第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、連結ベースにおける事業経営を念頭におき、「Growing together with U」の理念を掲げ、お客様とともに一体となった成長を目指してまいります。そのために、当社グループの総合力を最大限に活用し、お客様のニーズに迅速かつ効率的な対応ができる体制を構築するとともに、先端技術分野に向けた表面処理技術の開発に専念し、ハード、ソフトを一体としたトータルソリューションを提供してまいります。さらに、透明性ある経営を通じて社会に貢献するとともに、株主に対する利益還元を重要な基本方針と考えております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループといたしましては、グローバルな生産・販売・開発体制を構築し、市場のニーズに合致した製品の開発提供に一層注力し、国際的に認知される企業集団としてのウエムラ・グループを目指してまいります。また、表面処理業界のリーディングカンパニーとして、経営成績の向上、環境問題への取り組みを強化し、経営資源を効率的・集中的に配分することにより、業容の一層の発展に努めてまいります。具体的には、株主資本利益率(ROE)10%を目標とし、株主への利益還元として、連結総還元性向30%を目標にしてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、表面処理業界のリーディングカンパニーとして、二十一世紀に成長発展を続ける企業を目指しております。基本方針といたしましては、「選択と集中とスピード」をキーワードに、積極的な新製品の開発、中国市場を中心とした新市場への展開を図ります。

当社グループの強みは、めっき薬品の開発だけでなく、めっき機械設備の開発、そして薬液の管理を行うめっき管理装置の開発を自社グループ内で手掛けていることにあり、また、グループ内でめっき加工事業も行うことで、めっきに関するあらゆるノウハウを蓄積し、これらの総合技術力で顧客のニーズに最大限に応えることにあります。当社グループは、他社との競合優位性を保つため、更に薬品・機械・管理装置・めっき加工部門・事業の海外展開の総合力を高めることに注力してまいります。

これらの基本方針に従って、連結子会社を含めグループ一体となって、事業の方向性を明確にし、それぞれの課題の解決に取り組んでおります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の国内経済の見通しは、新型コロナウイルス感染症の拡大や米中貿易摩擦を巡る海外経済の動向等により、先行きは極めて不透明な状況にあります。とりわけ新型コロナウイルス感染症は、世界規模での急速な拡大により各国で緊急的な対応に追われており、世界経済への深刻かつ長期的な影響が懸念されております。

当社グループの主要市場であるエレクトロニクス市場では、5G(第5世代移動通信システム)導入やカーエレクトロニクス分野における先進運転支援システム(ADAS)をはじめとする車載部品の搭載数の増加により、中期的に電子部品需要が拡大する見通しは変わらないものの、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う企業の設備投資や個人の消費活動への影響は計り知れず、厳しい事業環境が続くことが予想されます。

特に、新型コロナウイルス感染症の拡大による自動車メーカー各社の新車需要の低迷が顕著となっており、当社グループのめっき加工事業においては、主な売上高が自動車のフロントグリルやエンブレムなどの外装部品へのめっき加工であるため、顧客である自動車メーカーの生産停止や稼働調整に伴い、当社グループのめっき加工事業を行うタイやインドネシアの現地連結子会社においても、生産停止や稼働調整を行っており、めっき加工事業の売上高や利益に減少が生じております。新型コロナウイルス感染症の収束の時期は未だ不透明でありますが、その影響を最小限に留めるように、めっき加工事業の原価率の改善や生産性の向上に取り組んでおります。

エレクトロニクス市場の技術は絶え間なく進化しており、その要求に応えるためには、クオリティの高い製品・技術を市場が要求するタイミングで提供することが不可欠となります。当社グループはこの日々変化するお客様の要求に対しまして、他社に真似のできない技術やノウハウを有した高付加価値製品を提供し続けていかなければなりません。また一方で、経営資源の効率化や業務効率の見直し、徹底したコストダウンを引続き推進する必要もあります。

先端技術分野、エレクトロニクス産業・自動車産業などのサポーティング・インダストリー分野においてめっき技術の重要性はますます高まっております。今後も当社グループはその一翼を担う企業集団として、めっき技術に関わるハード、ソフトを一体とした質の高いトータルソリューションを提供し、かつグローバルに事業展開する必要があります。

このような経営課題に基づき、現在次のような取り組みを実施中であります。

① 安全・環境対応の徹底

② コンプライアンスの徹底

③ 研究開発の環境整備と迅速化の推進

④ 今後10年、20年を見据えた取り組み

⑤ トータルソリューションを提供できるビジネスの確立

⑥ グループ会社間・部門間のシナジー効果向上の推進

⑦ 将来を見据えた海外の新製造拠点・新販売拠点の探索と検討

⑧ ビジネス環境変化への迅速な対応の徹底

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業展開について影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1)技術革新の影響

 当社グループの製品は需要業界の技術革新の影響を常に受けます。社会や市場での新技術の開発、新方式の採用、新製品の出現等で表面処理のウェイトが減少し、当社グループの製品の需要が減少する可能性があります。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(2)稀少原料の安定確保の影響

 当社グループの製品には、競合会社製品に対して優位性を持つために稀少原料を使用している製品があります。稀少原料が原料メーカーの戦略あるいは法規制などで生産中止になり、かつ適性な代替原料がない場合、当社グループの製品の競争力に影響します。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(3)使用原料規制の影響

 環境対応に関する法規制あるいは企業の自主規制で当社グループの製品の原料及び当社グループの製品を用いためっき皮膜等が対象となる可能性があります。その場合該当製品の売上に影響します。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(4)材料費高騰の影響

 中国の経済成長が一つの要因となって、総じて諸材料、諸原料は値上がり傾向にあります。当社グループの主力製品の主原料が高騰(もしくは長期間高価格)し、なおかつ販売価格がそれに見合って上げられない状況になる可能性があります。その場合、該当製品の収益性に影響します。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5)機械設備の据付工事における追加原価の影響

 機械設備の据付工事において、顧客との請負契約締結後に資材価格や労務単価等が上昇し、これを請負金額に反映できない場合や契約時に想定した工期に遅れが生じた場合には、追加原価が発生し、不採算工事となる可能性があります。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6)為替レートの変動による影響

 当社グループの取引及び資産・負債には外貨建てのものが含まれており、為替レートの変動によって、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの為替レートの変動によるリスクを軽減するために、為替予約取引等の手段により、可能な限りリスクを軽減し、回避するよう努めておりますが、為替レートの変動によるリスクの全てを排除することは不可能であります。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7)新型コロナウイルス感染症の拡大による影響

 新型コロナウイルス感染症に対して、当社グループでは、従業員の安全・健康を最優先に、海外出張の原則禁止、在宅勤務の実施、Web会議の推進、就業時間中のマスクの着用などの感染症の拡大防止策に努めておりますが、従業員に感染者が出た場合には、感染者は、医療機関等の指示に従い入院治療や宿泊施設若しくは自宅での療養によって症状が完全に治まった日から更に2日間は自宅での療養を行い、また、濃厚接触者は、感染者との濃厚接触があったことが確認された日から14日間の自宅待機の措置がとられることから、自社工場での生産活動に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症が収束に向かわず、拡大が長期間にわたり続いた場合、世界的な経済活動の停滞に伴い、当社グループの製品の需要が減少する可能性があります。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、雇用情勢や所得環境の改善が継続し、緩やかな回復基調で推移しましたが、米中貿易摩擦の長期化への懸念等に加え、新型コロナウイルス感染症の世界的流行により、景気の先行きに対する警戒感が一層強まりました。

当社グループの主要市場であるエレクトロニクス市場におきましては、自動車の安全性確保や利便性向上に伴う車載用電子部品の生産数は堅調に推移し、また、スマートフォン市場は需要低迷による減速傾向が続いたものの、5G(第5世代移動通信システム)導入に向けた需要の立ち上がりが見られました。

このような状況の下、当社グループは、収益力の更なる向上を目指して、高付加価値製品の開発と提案並びに拡販活動に注力してまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は522億23百万円(前連結会計年度比0.5%増)、営業利益は75億39百万円(同8.2%減)、経常利益は78億70百万円(同8.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は53億58百万円(同5.2%減)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 表面処理用資材事業

主力のプリント基板用及びパッケージ基板用めっき薬品の売上高は、カーエレクトロニクス向けは引き続き堅調に推移しましたが、ハイエンドスマートフォン向けが需要減少の影響を受けて前連結会計年度を下回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は385億49百万円(前連結会計年度比2.6%減)、セグメント利益は63億93百万円(同18.5%減)となりました。

 

 表面処理用機械事業

国内の電子部品メーカーや自動車部品メーカーによる設備投資への前向きな動きにより、機械の受注環境が回復し、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は74億34百万円(前連結会計年度比40.2%増)、セグメント利益は7億40百万円(前連結会計年度はセグメント損失64百万円)となりました。

 

 めっき加工事業

タイの自動車産業の減速や日本国内からの事業撤退の影響により、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を下回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は55億61百万円(前連結会計年度比14.4%減)、セグメント損失は15百万円(前連結会計年度はセグメント利益1億19百万円)となりました。

 

 不動産賃貸事業

新大阪の賃貸用オフィスビルにおいて、オフィスビルの賃料が改定したことから、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は7億69百万円(前連結会計年度比4.0%増)、セグメント利益は4億10百万円(同34.7%増)となりました。

 

なお、上記のセグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ74億48百万円減少し、231億45百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって獲得した資金は43億2百万円(前連結会計年度は83億74百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額27億87百万円、売上債権の増加額12億47百万円、たな卸資産の増加額7億93百万円の資金の使用がありましたが、税金等調整前当期純利益77億77百万円、減価償却費21億43百万円、減損損失4億67百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動において使用された資金は91億9百万円(前連結会計年度は30億44百万円の資金の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入5億75百万円の資金の獲得がありましたが、投資有価証券の取得による支出75億74百万円、固定資産の取得による支出22億13百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動において使用された資金は24億95百万円(前連結会計年度は19億30百万円の資金の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額13億50百万円、自己株式の取得による支出9億99百万円、リース債務の返済による支出1億6百万円があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

表面処理用資材事業 (千円)

12,645,044

△3.6

表面処理用機械事業 (千円)

4,544,988

38.4

めっき加工事業 (千円)

4,265,528

△17.7

不動産賃貸事業 (千円)

報告セグメント計 (千円)

21,455,562

△0.6

その他事業 (千円)

合計 (千円)

21,455,562

△0.6

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

b. 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 なお、表面処理用機械事業を除く製品について見込み生産を行っております。

区分

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

表面処理用機械事業

5,900,825

△12.9

5,310,117

△21.8

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2019年4月1日

至 2020年3月31日)

前年同期比(%)

表面処理用資材事業 (千円)

38,495,541

△2.5

表面処理用機械事業 (千円)

7,383,783

40.3

めっき加工事業 (千円)

5,561,130

△14.4

不動産賃貸事業 (千円)

769,933

4.0

報告セグメント計 (千円)

52,210,388

0.5

その他事業 (千円)

12,614

△2.7

合計 (千円)

52,223,003

0.5

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ11億74百万円増加し、791億17百万円となりました。主な増加は、投資有価証券の増加70億23百万円、受取手形及び売掛金の増加11億80百万円、建物及び構築物(純額)の増加10億67百万円であり、主な減少は、現金及び預金の減少75億57百万円、建設仮勘定の減少13億47百万円、土地の減少4億31百万円であります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ15億70百万円減少し、152億29百万円となりました。主な増加は、退職給付に係る負債の増加1億25百万円、リース債務(固定)の増加85百万円であり、主な減少は、支払手形及び買掛金の減少4億34百万円、繰延税金負債の減少3億10百万円、電子記録債務の減少2億68百万円であります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ27億44百万円増加し、638億87百万円となりました。主な増加は、利益剰余金の増加40億8百万円であり、主な減少は、自己株式の増加9億99百万円、その他有価証券評価差額金の減少3億59百万円であります。

 

b. 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、前連結会計年度に比べ、売上高は、表面処理用機械事業において、国内の電子部品メーカーにおける設備投資が堅調に推移し、受注が増加したことから増収となりましたが、表面処理用資材事業において、スマートフォンの販売台数減少の影響を受けて、利益率の高いめっき薬品の売上高が減少したことから、利益面では減益となりました。

当社グループの主要市場であるエレクトロニクス市場では、5G(第5世代移動通信システム)の導入やカーエレクトロニクス分野における先進運転支援システム(ADAS)の導入による電子部品の精密化や細線化への流れが更に進展し、市場が要求する技術は日々進歩しております。当社グループは、その要求に応えるため、めっきに関する技術の継続的な創出を行い、市場が要求するタイミングに合う製品を顧客に提供できるように取り組んでおります。

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

表面処理用資材事業

表面処理用資材事業は、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を下回りました。主な要因としましては、主力のプリント基板用及びパッケージ基板用めっき薬品の売上高が、カーエレクトロニクス向けは引き続き堅調に推移しましたが、ハイエンドスマートフォン向けが需要減少の影響を受けて減少したことによります。

自動車に搭載されるセンサーやカメラモジュールは、自動運転の技術開発が進む中、増加傾向にあり、これら車載用電子部品の表面処理に対応するめっき薬品の開発、拡販に取り組んでおります。また、次世代の通信規格の導入により、スマートフォンなどに用いられるプリント基板及びパッケージ基板の更なる微細化、高性能化が進んでいることから、これらの最先端技術に対応するためのめっき薬品の開発、拡販にも取り組んでおります。

 

表面処理用機械事業

表面処理用機械事業は、電子部品メーカーや自動車部品メーカーによる設備投資への前向きな動きにより、機械の受注環境が回復し、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。半導体への表面処理の需要が増えていることから、これらのめっき技術に対応した機械の設計や製造に取り組んでおります。また、競合他社との価格競争に対応するため、コスト削減を目的とした機械製造の最適化を進めております。

 

めっき加工事業

めっき加工事業は、タイの自動車産業の減速や日本国内からの事業の撤退の影響により、売上高が前連結会計年度を下回り、セグメント損失を計上しました。原価率の改善を目的として、グループ内のめっき加工の生産拠点間で問題点の共有化を行い、品質向上のための施策や生産プロセスの改善に取り組んでおります。

また、めっき加工事業では、自動車産業からの需要の依存度が高く、新型コロナウイルス感染症の拡大による自動車メーカー各社の新車需要の低迷に伴い、グループ内のめっき加工の生産拠点では、生産停止や稼働調整を行っており、めっき加工事業の売上高や利益に減少が生じております。

新型コロナウイルス感染症の収束の時期は未だ不透明であり、めっき加工事業の本格的な生産活動の再開時期も不透明な状態でありますが、めっき加工のための薬品の品質保持や生産設備のオーバーホールを行い、本格的な生産再開に向けてスムーズな立ち上げができるよう準備を行っております。

 

不動産賃貸事業

不動産賃貸事業は、新大阪の賃貸用オフィスビルにおいて、オフィスビルの賃料が改定したことから、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。賃貸用オフィスビルでは、定期的なメンテナンスや修繕工事を行い、顧客に対して快適な入居環境を提供し、安定的な入居率の確保に努めております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品の製造に係る原材料の仕入、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、当社グループは、長期的に成長が期待できる分野において、製造設備や研究開発設備に積極的に投資を行ってまいります。これら運転資金及び設備資金につきましては、自己資金及び銀行借入により資金調達を行うことを方針としております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(追加情報)」に記載のとおりであります。

この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っておりますが、これらの見積り、予測は、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

めっき薬品・機械設備・浴管理装置の三位一体の開発を継続しながら、難易度の高いテーマに積極的に取り組み、最先端技術を追求するとともに、将来技術の探索や環境対応技術への取り組みを行っております。また、台湾・マレーシア・中国・タイ等にある海外開発・技術拠点との連携も一層深めています。

当連結会計年度におけるセグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,274百万円であります。

(1)表面処理用資材事業

① プリント配線板(PWB)/半導体パッケージ(PKG)対応技術の強化

PWB/PKG関連の表面処理は当社の最も得意とする分野であり、高密度化する実装技術に対応したプロセスやカーエレクトロニクス、半導体向けめっきプロセス等に対応した製品開発に注力しています。

イ. 最終表面処理関連

当社の強みである無電解ニッケル/パラジウム/金プロセスにおいて、顧客ニーズの多様化に合わせた製品開発を継続するとともに、ファインパターン基板、高周波デバイス向け基板等へ対応した独自技術のあるプロセス開発を行っており、新たに3製品を上市いたしました。また、半導体へのめっきプロセスについては、主にパワーデバイスやロジックデバイス向けに無電解ニッケルやパラジウム浴等の開発を行っております。

ロ. 銅めっき関連

さらなる細線化や各種樹脂上への配線形成に対応するために、MSAPやロープロファイル基材向けに当社独自の前処理プロセスや無電解銅めっきの開発を行っており、SAP用前処理液1製品を新たに上市いたしました。また、電解銅めっき関係では、基板用のビアフィリング浴並びにRDL用のめっき浴の開発を継続しております。引き続き、新規樹脂上への無電解銅めっきプロセスやパッケージ基板へのポストめっき用高速電解銅めっき浴並びにウェハーの再配線用途のめっき浴の開発も進めています。

② 汎用無電解ニッケル並びに電子部品への電気めっき製品の強化

 カーエレクトロニクスに適合した無電解ニッケルや機械要素部品へのめっきプロセス並びにHD用めっき液の開発を行なっており、新たに1製品を上市いたしました。また、当社独自のめっき装置であるフロースループレーターを使用してめっきするチップ部品用めっき浴や半導体、電子部品の電気めっきの開発を行い、新たに2製品を上市いたしました。さらに、装飾品用等、幅広い製品の開発を行っております。

③ 環境・資源問題への配慮

有害重金属フリーの無電解ニッケル浴、PFOAフリーのPTFE複合めっき浴、ノーシアンタイプの無電解金めっき浴、ノーシアンの金および銀めっき浴、ホルマリンフリーの無電解銅めっき浴等、エコフレンドリーな製品の品揃えにも努めております。

④ 海外開発拠点との技術協力推進

現在、海外の研究開発拠点は台湾桃園・マレーシアジョホール・中国深圳・タイナワナコン等にあり、各地域に適合した製品開発を行っております。これからも、日本の中央研究所を核としながら、海外拠点を活用して地域に密着したグローバルな研究開発体制を推進してまいります。

⑤ 基礎研究分野における産官学の連携

国内外の大学や公的研究機関並びに大手民間企業との共同研究において理論的解析等を行い、製品開発方向を定める一助とするとともに、将来技術の探索を行っております。また、国内外での学会発表も行い、業界トップの技術力を維持強化してまいります。

⑥ プロパテント政策

当連結会計年度末時点において当社が保有及び出願中の特許は573件(国内172件、海外401件)、実用新案は2件(国内1件、海外1件)です。保有する商標は324件(国内88件、海外236件)です。当社は知的財産権の取得も開発戦略に含めており、特許・商標の海外での権利化を重視しております。

表面処理用資材事業に係る研究開発費は2,116百万円であります。

 

(2)表面処理用機械事業

 装置及び浴管理装置の開発

 当社独自の技術であるSAP対応縦型連続搬送装置(U-VCP及びU-VCPS)の開発を継続し、実機ベースの装置と薬液を使用しためっきつけが可能となっております。また、半導体向けのめっき装置の開発も行っております。浴管理装置についても、幅広い浴に対応した管理装置を提供しております。

表面処理用機械事業に係る研究開発費は158百万円であります。

 

今後も、投資対効果を常に意識し、無駄のないメリハリの利いた重要テーマへの積極的投資を続けてまいります。