第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、連結ベースにおける事業経営を念頭におき、「Growing together with U」の理念を掲げ、お客様とともに一体となった成長を目指してまいります。そのために、当社グループの総合力を最大限に活用し、お客様のニーズに迅速かつ効率的な対応ができる体制を構築するとともに、先端技術分野に向けた表面処理技術の開発に専念し、ハード、ソフトを一体としたトータルソリューションを提供してまいります。さらに、透明性ある経営を通じて社会に貢献するとともに、株主に対する利益還元を重要な基本方針と考えております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループといたしましては、グローバルな生産・販売・開発体制を構築し、市場のニーズに合致した製品の開発提供に一層注力し、国際的に認知される企業集団としてのウエムラ・グループを目指してまいります。また、表面処理業界のリーディングカンパニーとして、経営成績の向上、環境問題への取り組みを強化し、経営資源を効率的・集中的に配分することにより、業容の一層の発展に努めてまいります。具体的には、株主資本利益率(ROE)8.5%を目標とし、中長期的には10%を目指します。また、株主への利益還元として、連結総還元性向50%を目標にしてまいります。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、表面処理業界のリーディングカンパニーとして、二十一世紀に成長発展を続ける企業を目指しております。基本方針といたしましては、「選択と集中とスピード」をキーワードに、積極的な新製品の開発、中国市場を中心とした新市場への展開を図ります。

当社グループの強みは、めっき薬品の開発だけでなく、めっき機械設備の開発、そして薬液の管理を行うめっき管理装置の開発を自社グループ内で手掛けていることにあり、また、グループ内でめっき加工事業も行うことで、めっきに関するあらゆるノウハウを蓄積し、これらの総合技術力で顧客のニーズに最大限に応えることにあります。当社グループは、他社との競合優位性を保つため、更に薬品・機械・管理装置・めっき加工部門・事業の海外展開の総合力を高めることに注力してまいります。

また、当社グループでは、売上や利益の追求にとどまらず、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを経営の重要課題と位置付け、「社会発展、環境改善へとつながる製品の開発」、「事業活動に伴う環境負荷の低減」、「いきいきと働ける職場環境の整備」、「社会貢献活動への取り組み」などの施策を実施することで、ステークホルダーの皆様へ高い価値を提供してまいります。特に、当社グループの事業や開発製品を通じ、企業価値を向上させるとともに、持続可能な社会に貢献できる企業グループを目指してまいります。

これらの基本方針に従って、連結子会社を含めグループ一体となって、事業の方向性を明確にし、それぞれの課題の解決に取り組んでおります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の国内経済の見通しは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や米中の安全保障の影響が引き続き懸念されることに加え、ロシア、ウクライナの情勢がニッケル、パラジウムなどの資源価格の高騰や世界経済へマイナス影響を与えることなどにより、景気の先行きは極めて不透明な状況にあります。

当社グループの主要市場であるエレクトロニクス市場では、半導体の一部で供給不足の状態が続くものの、自動車の電動化、自動化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、半導体や電子部品の需要は引き続き堅調に推移することが予想されます。

エレクトロニクス市場では技術が絶え間なく進化しており、その要求に応えるためには、クオリティの高い製品・技術を市場が要求するタイミングで提供することが不可欠となります。当社グループではこの日々変化するお客様の要求に対しまして、他社に真似のできない技術やノウハウを有した高付加価値製品を提供し続けていかなければなりません。

先端技術分野、エレクトロニクス産業・自動車産業などのサポーティング・インダストリー分野においてめっき技術の重要性はますます高まっております。今後も当社グループはその一翼を担う企業集団として、めっき技術に関わるハード、ソフトを一体とした質の高いトータルソリューションを提供し、かつグローバルに事業展開する必要があります。

 

我々は、この経営課題に対して、現在次のような経営方針の下で取り組んでおります。

① SDGs(持続可能な開発目標)・ESG(環境・社会・ガバナンス)・安全強化の推進

② コンプライアンスの徹底

③ 研究開発の環境整備と迅速化の推進

④ 今後10年、20年を見据えた取り組み

⑤ トータルソリューションを提供できるビジネスの確立

⑥ グループ会社間・部門間のシナジー効果向上の推進

⑦ 将来を見据えた海外の新製造拠点・新販売拠点の探索と検討

⑧ ビジネス環境変化への迅速な対応の徹底

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの事業展開について影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

(1)技術革新の影響

 当社グループの製品は需要業界の技術革新の影響を常に受けます。社会や市場での新技術の開発、新方式の採用、新製品の出現等で表面処理のウェイトが減少し、当社グループの製品の需要が減少する可能性があります。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(2)稀少原料の安定確保の影響

 当社グループの製品には、競合会社製品に対して優位性を持つために稀少原料を使用している製品があります。稀少原料が原料メーカーの戦略や法規制、あるいはロシアによるウクライナ侵攻などの地政学的リスクの高まりによって生産中止になり、かつ適正な代替原料がない場合、当社グループの製品の競争力に影響します。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(3)使用原料規制の影響

 環境対応に関する法規制あるいは企業の自主規制で当社グループの製品の原料及び当社グループの製品を用いためっき皮膜等が対象となる可能性があります。その場合該当製品の売上に影響します。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(4)材料費高騰の影響

 中国の経済成長が一つの要因となって、総じて諸材料、諸原料は値上がり傾向にあります。また、ロシアによるウクライナ侵攻を背景とした供給不安から、めっき薬品の原材料である金やパラジウム、ニッケルなどの非鉄金属の市場価格が上昇しております。当社グループの主力製品の主原料が高騰(もしくは長期間高価格)し、なおかつ販売価格がそれに見合って上げられない状況になる可能性があります。その場合、当該製品の収益性に影響します。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(5)機械設備の据付工事における追加原価の影響

 機械設備の据付工事において、顧客との請負契約締結後に資材価格や労務単価等が上昇し、これを請負金額に反映できない場合や契約時に想定した工期に遅れが生じた場合には、追加原価が発生し、不採算工事となる可能性があります。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(6)為替レートの変動による影響

 当社グループの取引及び資産・負債には外貨建てのものが含まれており、為替レートの変動によって、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの為替レートの変動によるリスクを軽減するために、為替予約取引等の手段により、可能な限りリスクを軽減し、回避するよう努めておりますが、為替レートの変動によるリスクの全てを排除することは不可能であります。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(7)新型コロナウイルス感染症の拡大による影響

 新型コロナウイルス感染症に対して、当社グループでは、従業員の安全・健康を最優先に、海外出張の原則禁止、在宅勤務の実施、Web会議の推進、就業時間中のマスク着用、飲み会や食事会の自粛などの感染症の拡大防止策に努めておりますが、従業員に感染者が出た場合には、感染者は、医療機関等の指示に従い入院治療や宿泊施設若しくは自宅での療養によって、自宅待機・在宅勤務となり、20日目と22日目にPCR検査を受診し、両方とも陰性と判明した翌日から出社できるように対応しております。また、濃厚接触者は、感染者との濃厚接触があったことが確認された日から10日間の自宅待機をとられることから、自社工場での生産活動に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症が終息に向かわず、拡大が更に長期間にわたり続いた場合、世界的な経済活動の停滞に伴い当社グループの製品の需要が減少する可能性があります。

 その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、徐々に経済活動が再開され回復の兆しが一部でみられるものの、変異株の流行による感染再拡大により、国内景気は不安定な状況で推移しました。また、資源価格の上昇、半導体をはじめとする部材の供給不足が顕在化する中、ロシアのウクライナ侵攻による世界経済への深刻かつ長期的な影響が懸念されております。

当社グループの主要市場であるエレクトロニクス市場におきましては、5G(第5世代移動通信システム)関連の実用化やテレワークの普及に伴うサーバー需要が引き続き堅調に推移しました。また、カーエレクトロニクス分野では、半導体供給不足の影響で自動車などの生産に影響が出ておりますが、半導体自体は需給状況解消に向けて生産が継続しております。

このような状況の下、当社グループは、収益力の更なる向上を目指して、高付加価値製品の開発と提案並びに拡販活動に注力してまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は723億3百万円(前連結会計年度比29.2%増)、営業利益は139億47百万円(同47.0%増)、経常利益は146億6百万円(同47.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は96億81百万円(同35.8%増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、当連結会計年度の売上高は1億45百万円、営業利益は16百万円、経常利益は19百万円増加しております。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 表面処理用資材事業

主力のプリント基板用及びパッケージ基板用めっき薬品は、5Gや半導体関連市場における需要拡大により、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は599億20百万円(前連結会計年度比38.9%増)、セグメント利益は127億17百万円(同52.7%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高、セグメント利益はそれぞれ3百万円減少しております。

 

 表面処理用機械事業

半導体や電子部品向けの需要は引き続き堅調に推移しましたが、汎用的な表面処理用機械の販売が減少し、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を下回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は70億13百万円(前連結会計年度比10.4%減)、セグメント利益は6億80百万円(同25.7%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億49百万円増加し、セグメント利益は19百万円増加しております。

 

 めっき加工事業

タイやインドネシアにおける自動車産業は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による低迷が続いており、厳しい事業環境が継続しましたが、台湾において行っているプリント基板へのめっき加工が好調に推移し、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は45億18百万円(前連結会計年度比7.7%増)、セグメント利益は29百万円(前連結会計年度はセグメント損失2億22百万円)となりました。

 

 不動産賃貸事業

新大阪の賃貸用オフィスビルにおいて、オフィスビルの賃料が改定したことから、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。

この結果、当連結会計年度の売上高は8億34百万円(前連結会計年度比3.7%増)、セグメント利益は5億3百万円(同10.7%増)となりました。

 

なお、上記のセグメントの売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億30百万円増加し、262億80百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によって獲得した資金は74億17百万円(前連結会計年度は86億77百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、棚卸資産の増加額41億93百万円、法人税等の支払額41億84百万円の資金の使用がありましたが、税金等調整前当期純利益140億67百万円、減価償却費19億13百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動において使用された資金は46億93百万円(前連結会計年度は39億5百万円の資金の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入14億46百万円の資金の獲得がありましたが、固定資産の取得による支出27億18百万円、投資有価証券の取得による支出20億28百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動において使用された資金は37億85百万円(前連結会計年度は17億82百万円の資金の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出20億円、配当金の支払額15億91百万円、リース債務の返済による支出1億72百万円があったことによるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

表面処理用資材事業 (千円)

20,859,109

28.4

表面処理用機械事業 (千円)

3,992,610

△33.1

めっき加工事業 (千円)

3,745,554

12.2

不動産賃貸事業 (千円)

報告セグメント計 (千円)

28,597,274

11.9

その他事業 (千円)

合計 (千円)

28,597,274

11.9

 (注)金額は製造原価によっております。

 

b. 受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 なお、表面処理用機械事業を除く製品について見込み生産を行っております。

区分

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

表面処理用機械事業

8,690,908

△7.4

8,553,404

24.4

 

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

表面処理用資材事業 (千円)

59,918,771

39.0

表面処理用機械事業 (千円)

7,013,612

△10.4

めっき加工事業 (千円)

4,518,584

7.7

不動産賃貸事業 (千円)

834,636

3.7

報告セグメント計 (千円)

72,285,604

29.2

その他事業 (千円)

18,019

40.5

合計 (千円)

72,303,623

29.2

 (注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態の分析

(資産の部)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ160億83百万円増加し、1,011億89百万円となりました。主な増加は、売掛金の増加35億88百万円、原材料及び貯蔵品の増加20億42百万円、投資有価証券の増加19億21百万円、土地の増加17億17百万円であり、主な減少は、建物及び構築物の減少2億42百万円であります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ68億45百万円増加し、224億76百万円となりました。主な増加は、契約負債の増加25億38百万円、支払手形及び買掛金の増加18億89百万円、電子記録債務の増加6億99百万円、未払法人税等の増加3億17百万円であり、主な減少は、役員退職慰労引当金の減少1億93百万円であります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ92億38百万円増加し、787億12百万円となりました。主な増加は、利益剰余金の増加81億44百万円、為替換算調整勘定の増加31億4百万円であり、主な減少は、自己株式の増加19億87百万円であります。

 

b. 経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、表面処理用資材事業において、5G(第5世代移動通信システム)対応基地局向けによる、電子部品向けめっき薬品が好調に推移し、売上高、利益ともに前連結会計年度を大きく上回り、当社グループ全体の業績を牽引いたしました。

当社グループの主要市場であるエレクトロニクス市場では、半導体の一部で供給不足の状態が続くものの、自動車の電動化、自動化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の進展に伴い、半導体や電子部品の需要は引き続き堅調に推移することが予想されております。当社グループは、その要求に応えるため、めっきに関する技術の継続的な創出を行い、市場が要求するタイミングに合う製品を顧客に提供できるように取り組んでおります。

セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

表面処理用資材事業

表面処理用資材事業は、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。主な要因としましては、主力のパッケージ基板向けのめっき薬品の売上高が、5G関連向けの需要増加やテレワークの普及に伴うデータセンター向けで好調に推移したことによります。

自動車に搭載されるセンサーやカメラモジュールは、自動運転の技術開発が進む中、増加傾向にあり、これら車載用電子部品の表面処理に対応するめっき薬品の開発、拡販に取り組んでおります。また、次世代の通信規格の導入により、スマートフォンなどに用いられるパッケージ基板の更なる微細化、高性能化が進んでいることから、これらの最先端技術に対応するためのめっき薬品の開発、拡販にも取り組んでおります。

 

表面処理用機械事業

表面処理用機械事業は、半導体やパッケージ関連の表面処理用機械の需要は増加傾向にありますが、汎用的な表面処理用機械の販売が減少したため、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を下回りました。今後も半導体への表面処理の需要が増えていることから、これらのめっき技術に対応した機械の設計や製造に取り組んでおります。また、競合他社との価格競争に対応するため、コスト削減を目的とした機械製造の最適化を進めております。

なお、コロナ禍で電子部品、配管材料及び電動モーターなど表面処理用機械の製造に使用される材料の入手が困難な状態でありますので、入手ルートの見直しや早期発注などにより、材料の確保に努めております。

 

めっき加工事業

めっき加工事業は、タイやインドネシアにおける自動車産業は、新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響による低迷が継続したことから、厳しい事業環境が継続しましたが、台湾では、需要が好調なパッケージ関連の表面処理加工に特化していることから好調に推移し、めっき加工事業全体としては、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。

原価率の改善を目的として、グループ内のめっき加工の生産拠点間で問題点の共有化を行い、品質向上のための施策や生産プロセスの改善に取り組んでおります。

また、タイやインドネシアにおけるめっき加工事業では、自動車産業からの需要の依存度が高く、新型コロナウィルス感染症の拡大による自動車メーカー各社の新車需要の低迷に伴い、当社グループのめっき加工の生産拠点では、一部生産調整を行っており、めっき加工事業の売上高や利益に影響を及ぼしております。

新型コロナウィルス感染症の拡大による自動車産業への影響は、今後1年程度で概ね正常状態に戻り、当社グループのめっき加工事業の生産も徐々に回復するものと想定しております。本格的な生産増加に対応するため、めっき加工のための薬品の品質保持や生産設備のオーバーホールを行っております。

 

不動産賃貸事業

不動産賃貸事業は、新大阪の賃貸用オフィスビルにおいて、オフィスビルの賃料が改定したことから、売上高、セグメント利益ともに前連結会計年度を上回りました。賃貸用オフィスビルでは、定期的なメンテナンスや修繕工事を行い、顧客に対して快適な入居環境を提供し、安定的な入居率の確保に努めております。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品の製造に係る原材料の仕入、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、当社グループは、長期的に成長が期待できる分野において、製造設備や研究開発設備に積極的に投資を行ってまいります。これら運転資金及び設備資金につきましては、自己資金及び銀行借入により資金調達を行うことを方針としております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(追加情報)、(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っておりますが、これらの見積り、予測は、不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

5【研究開発活動】

めっき薬品・機械設備・浴管理装置の三位一体の開発を継続しながら、難易度の高いテーマに積極的に取り組み、最先端技術を追求するとともに、将来技術の探索や環境対応技術への取り組みを行っております。また、台湾・マレーシア・中国・タイ等にある海外開発・技術拠点との連携も一層深めています。

当連結会計年度におけるセグメント別の研究目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は2,280百万円であります。

(1)表面処理用資材事業

① プリント配線板(PWB)/半導体パッケージ(PKG)対応技術の強化

PWB/PKG関連の表面処理は当社の最も得意とする分野であり、高密度化する実装技術や次世代通信、カーエレクトロニクス、半導体向けめっきプロセス等に対応した製品開発に注力しております。

イ. 最終表面処理関連

当社の強みである無電解ニッケル/パラジウム/金プロセスを中心として顧客ニーズの多様化に合わせた製品開発を継続するとともに、ファインパターン基板、高周波デバイス向け基板等へ対応できる独自性のある新たなめっき浴やプロセス開発を行っております。半導体向けめっきプロセスについては、主にパワーデバイスやロジックデバイス向けに、主に無電解めっき浴の開発を行っております。

ロ. 銅めっき関連

次世代通信向け基板、フレキシブル基板、部品内蔵基板等に対応するため、さらなる細線化や新しい基板材料への配線形成が可能な前処理プロセスや無電解銅めっき浴の開発を行っております。また、電解銅めっきにおいてもプリント基板や半導体の微細配線や3D実装に適応できる技術として、スルーホールフィリング、ビアフィリング、再配線やポスト用のめっき浴の開発を行っております。

② 汎用無電解ニッケル並びに電子部品への電気めっき製品の強化

 カーエレクトロニクスに適合した無電解ニッケルや機械要素部品へのめっきプロセス並びにアルミニウム基板のハードディスク用めっき液の開発を行っております。また、半導体の3D実装用途の電解錫バンプめっきや、電子部品の電解めっき浴の開発を行っております。さらに、装飾品用等、幅広い製品の開発も行っております。

③ SDGs(持続可能な開発目標)を見据えた環境・資源問題への配慮

有害重金属フリーの無電解ニッケル浴、PFOAフリーのPTFE複合めっき浴、シアンフリーの無電解金めっき浴、シアンフリーの電解金及び電解銀めっき浴、ホルマリンフリーの無電解銅めっき浴等、SDGsを見据えた環境・資源問題に配慮した製品開発に注力しており、エコフレンドリーな製品の品揃えに努めるとともに、めっき廃液の処理システムの開発も行っております。

④ 海外開発拠点との技術協力推進

現在、海外の研究開発拠点は台湾桃園・マレーシアジョホール・中国深圳・タイナワナコン等にあり、各地域に適合した製品開発を行っております。これからも、日本の中央研究所を核としながら、海外拠点を活用して地域に密着したグローバルな研究開発体制を推進してまいります。

⑤ 基礎研究分野における産官学の連携

国内外の大学や公的研究機関並びに大手民間企業との共同研究において理論的解析等を行い、製品開発方向を定める一助とするとともに、国家プロジェクトへの参画による将来技術の探索を行っております。また、国内外での学会発表も行い、業界トップの技術力を維持強化してまいります。

⑥ プロパテント政策

当連結会計年度末時点において当社が保有及び出願中の特許は627件(国内176件、海外451件)、実用新案は1件(国内0件、海外1件)で、申請中の商標は352件(国内90件、海外262件)です。当社は知的財産権の取得も開発戦略に含めており、特許・商標の海外での権利化を重視しております。

表面処理用資材事業に係る研究開発費は2,213百万円であります。

 

(2)表面処理用機械事業

 装置及び浴管理装置の開発

 当社独自の技術であるSAP対応縦型連続搬送装置(U-VCP及びU-VCPS)の開発を継続し、実機ベースの装置と薬液を使用しためっきつけが可能となっております。浴管理装置についても、半導体向けだけでなくプリント基板用等、幅広い浴に対応した管理装置を開発・提供しております。

表面処理用機械事業に係る研究開発費は67百万円であります。

 

今後も投資対効果を常に意識し、無駄のないメリハリの利いた重要テーマへの積極的投資を続けてまいります。