文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、グローバルに事業展開を推進する荒川化学グループ全体で、共有すべきグループ経営理念である「個性を伸ばし 技術とサービスで みんなの夢を実現する」のもと、「つなぐを化学する SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」をビジョンとして掲げております。「つなぐを化学する」とは、当社の事業領域を表しており、当社の製品は材料の表面や隙間に存在し、機能を付与しています。私たちは、このような製品を通して、取引先はもとより、グループ社員、社会とのつながりを大切にする「SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」を目指すことを基本方針としております。
この基本方針を具体的に実現するため、安全を最優先に、国内外の生産・販売拠点および関係会社の整備と拡充をはかり、全社をあげて経営基盤の充実と企業体質の強化に取り組み、同時に法令遵守、環境保護、社会貢献などの社会的責任を果し、グループの発展に努めてまいります。
なお、当社は、グループ経営理念とビジョンの実現に向け、当社が大切にしている価値観・行動指針を明確化した「ARAKAWA WAY 5つのKIZUNA」を荒川化学グループ全社員で共有することで、根幹の部分は変わることのない経営を貫き、適切な判断と迅速な行動を積み重ねてまいります。
(2) 目標とする経営指標ならびに中長期的な会社の経営戦略
当社は、2016年4月より第4次中期5ヵ年経営計画「Dramatic SHIFT 1」(2016~2020年度)を推進しております。基本方針のもと、2020年度までに経営資源を適正に配置(「SHIFT 実現体制の構築」)し、事業の変革(「事業の新陳代謝」)を進め、永続的な成長サイクルの創出と真のグローバル化を目指しております。そして、創業150周年(2026年)に向け、歴史と伝統をしっかりと受け継ぎながらも、変革に挑戦することで永続的に成長し続ける企業集団となり、売上高1,000億円、経常利益60億円達成を目標としております。
(3) 会社の対処すべき課題
2017年12月1日に発生しました富士工場での爆発・火災事故において、お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げ、ご遺族に対し心よりお悔やみ申し上げます。また、負傷された方、近隣住民の皆様、関係ご当局の皆様、株主の皆様、お客様をはじめとする多くの方々に多大なご迷惑、ご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。被害に遭われた皆様方には改めて深くお詫び申し上げますとともに、今後も誠心誠意対応させていただく所存でございます。
事故の原因につきましては、現在も関係ご当局および当社の事故調査委員会による調査が継続中であります。
今後、二度とこのような事故を起こさないよう、関係ご当局のご指導を仰ぎながら、再発防止に徹底的に取り組み、安全体制の強化をおこなう所存でございます。
当社は、各事業を戦略に基づき成長させ、中期的な採算性の見極めをおこない、資源投下の可否や継続性を判断していきます。一方、伸長させうる事業や新規な事業(現状での事業未満群含む)の成長性を評価し、経営資源をシフトしていきます。
2020年度に向けて、中長期の成長の源泉となる新規開発投資が負担できる構造へと変革し、全事業の収益力を向上させ、第4次中期5ヵ年経営計画の達成を目指します。
当社グループは、日本、アジア、南北アメリカおよびヨーロッパ等の各地域において事業活動を展開しております。したがいまして、当社グループにおける生産・販売等の事業活動は、これらの国や地域における経済状況の影響を受けます。また、当社グループ製品の主な販売先である製紙、印刷インキ、塗料、粘着・接着剤および電子工業等の各業界が受ける景気後退等による需要減少は、当社グループの業績に悪影響を与えることがあります。
当社グループは、事業活動を展開している国内外の地域において各種許認可や規制等の様々な法令の適用を受けております。当社グループでは、コンプライアンスの徹底を図りながら、法規制および社会的ルールを遵守し事業活動をおこなっておりますが、法規制の大幅な変更や強化、ならびに海外の進出地域における予期しない法令の変更等により、当社グループの事業活動が制限される場合や、規制遵守のための費用の増大等で業績に悪影響を与えることがあります。
当社グループは、災害・事故等による生産活動への悪影響を最小限に留めるために、リスク発生の可能性や結果の重大性に応じた製造設備の定期点検や従業員の教育・訓練等の保安活動、災害防止策の強化に努めております。しかしながら、万一、大規模な自然災害や火災事故等が発生した場合には、当社グループを含めたサプライチェーンにおける生産活動の停止や製造設備の損壊等により当社グループの業績に悪影響を与えることがあります。
当社グループの主要原材料は、石油化学製品およびガムロジンであります。ガムロジンは、松の木に溝を切りつけて滲み出てくる生松脂を蒸留して製造したもので、当社グループは、ガムロジンの調達の大半を最大の生産国である中国に依存しております。石油化学製品およびガムロジンの購入価格の変動に見合った販売価格の見直しをその都度おこない、影響を最小限に留めるように努めておりますが、当社グループの業績は、石油化学製品およびガムロジンの市況変動の影響を受けることがあります。
当社グループは、アジア、南北アメリカおよびヨーロッパ等の各地域において事業活動を展開しております。したがいまして、為替レートの変動は当社グループの業績に影響を与えることがあります。
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や事業資産の収益性が著しく悪化し、回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用により固定資産の減損処理をおこないます。これらの減損損失の発生は、当社グループの業績に悪影響を与えることがあります。
当社グループは、アジア、南北アメリカおよびヨーロッパ等の各地域において事業活動を展開しております。当社グループにおける事業活動のグローバル化には、進出地域における政治・経済情勢の悪化、治安の悪化、予期しない法律または規制、戦争・テロ等のリスクが潜在しておりますが、当社グループが進出している地域でこれら事象が顕在化した場合には、当該地域での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に悪影響を与えることがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成30年6月20日)現在において、当社グループが判断したものでありますが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の世界経済は、米国を中心に緩やかな回復傾向が継続しました。しかしながら、米国の政策や中国を始めとするアジア新興国等の経済の先行きは、依然不透明な状況にあります。一方、国内経済は、堅調な雇用情勢を受けた個人消費の回復や輸出の持ち直しなどによる企業収益の改善を背景に緩やかな回復基調で推移しました。
このような環境のもと、当社グループにおきましては、2016年度よりスタートしました第4次中期5ヵ年経営計画の方針(「事業の新陳代謝」や「真のグローバル化」など)に沿った重点施策を進め、事業拡大や事業開発の促進に注力してまいりました。しかしながら、2017年12月1日に発生しました富士工場爆発・火災事故により、出版等の印刷インキ用樹脂、製紙用薬品および粘接着剤用水系樹脂を中心に供給面で大きな支障をきたしました。また、業績面では販売および損益に影響がありました。
その結果、当連結会計年度の売上高は807億82百万円(前年同期比4.4%増)、営業利益は48億92百万円(同4.0%減)、経常利益は52億18百万円(同1.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は31億11百万円(同8.9%減)となりました。
なお、第4次中計の重点施策である水素化石油樹脂の共同事業化につきましては、2018年2月に千葉アルコン製造株式会社を設立いたしました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。また、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。なお、報告セグメントに含まれないその他事業は、売上高は2億65百万円(前年同期比5.8%減)、セグメント利益は24百万円(同55.3%増)となりました。
国内製紙業界は、印刷・情報用紙の需要が低迷する中、段ボール原紙など板紙の生産が堅調に推移しました。このような環境のもと、当事業におきましては、板紙向け紙力増強剤の需要が増加しましたが、富士工場爆発・火災事故の影響や原材料価格の上昇による収益性の悪化もあり、売上高は198億39百万円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益は9億34百万円(同26.9%減)となりました。
印刷インキ業界は、出版・広告分野では市場の縮小が続いております。このような環境のもと、当事業におきましては、印刷インキ用樹脂は海外で食品包装用が堅調に推移したものの、国内では、富士工場爆発・火災事故により生産能力が減少した影響もあり、大幅に販売減となりました。一方、機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂は高付加価値製品の寄与もあり、堅調に推移しました。
その結果、売上高は191億50百万円(前年同期比1.2%減)、セグメント利益は11億5百万円(同1.0%減)となりました。
粘着・接着剤業界は、世界的に紙おむつ向け接着剤の需要が増加しております。このような環境のもと、当事業におきましては、水素化石油樹脂の販売が好調に推移するとともに、アジア地域を中心にロジン系の粘着・接着剤用樹脂の販売が堅調に推移しました。しかしながら、富士工場爆発・火災事故の影響や原材料価格上昇による収益性の低下がありました。
その結果、売上高は285億64百万円(前年同期比6.7%増)、セグメント利益は24億27百万円(同7.6%減)となりました。
電子工業業界は、スマートフォンや自動車分野などに加え、AIやIoTの普及により半導体や高機能デバイスの需要が好調に推移しました。このような環境のもと、当事業におきましては、電子部品向けを中心とした電子材料用配合製品や精密部品洗浄剤が好調に推移しました。また、第4次中計における「みつける」「そだてる」の促進に注力する中、次世代通信技術「5G」に対応する低誘電ポリイミド樹脂の実績化が始まりました。
その結果、売上高は129億62百万円(前年同期比2.2%増)、セグメント利益は6億70百万円(同41.5%増)となりました。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ56億64百万円増加し、895億62百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が17億40百万円、無形固定資産が2億76百万円減少した一方、受取手形及び売掛金が24億2百万円、たな卸資産が11億97百万円、有形固定資産が4億91百万円、投資その他の資産が23億77百万円増加したことによります。なお、富士工場爆発・火災事故により焼失した固定資産およびたな卸資産等の帳簿価額ならびに損壊した資産の修繕費等の合計額1億73百万円は、保険金を受領できる見込みであるため、火災未決算として流動資産の「その他」に計上しております。
負債は、短期借入金が16億88百万円、長期借入金が3億43百万円減少した一方、支払手形及び買掛金が20億75百万円、長期繰延税金負債が5億71百万円増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ15億25百万円増加し、338億65百万円となりました。
純資産は、利益剰余金、その他有価証券評価差額金が増加したことにより、前連結会計年度に比べ41億39百万円増加し、556億96百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ17億14百万円減少し、84億4百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、38億8百万円の増加となりました。これは、税金等調整前当期純利益(47億21百万円)、減価償却費(26億13百万円)などにより資金が増加した一方、期末日休日の影響を含む売上債権の増加(27億5百万円)などにより資金が減少した結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、20億48百万円の減少となりました。これは、固定資産の取得による支出(22億15百万円)が主なものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、35億86百万円の減少となりました。これは、借入金の純減少(22億37百万円)および配当金の支払(8億46百万円)が主なものであります。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
数量(トン) |
前年同期比(%) |
|
製紙薬品事業 |
212,534 |
+8.2 |
|
コーティング事業 |
57,218 |
△5.8 |
|
粘接着事業 |
91,509 |
△0.6 |
|
機能性材料事業 |
10,098 |
△0.6 |
|
合計 |
371,359 |
+3.3 |
(注) その他事業においては、生産をおこなっておりません。
当社グループは過去の販売実績と将来の予測に基づいて見込生産方式をとっております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
製紙薬品事業 |
19,839 |
+8.7 |
|
コーティング事業 |
19,150 |
△1.2 |
|
粘接着事業 |
28,564 |
+6.7 |
|
機能性材料事業 |
12,962 |
+2.2 |
|
その他事業 |
265 |
△5.8 |
|
合計 |
80,782 |
+4.4 |
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の状況および報告期間に発生した費用・収益、ならびに将来の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすような偶発的事項に関して、適切な分析・見積りをおこなっております。
資産の評価方法および引当金の計上方法などの方針は、保守主義の原則に沿って、健全性を優先して適切に定めております。
このように、当社グループでは、必要な流動性の維持、事業活動に十分な資金の確保、健全なバランスシートの維持、および正確な費用収益の対応と真実の利益表示を会計方針としております。
重要な会計方針の具体的な内容については、経理の状況に記載しております。
製紙薬品事業以外のセグメントは第4次中計の目標に沿って推移しております。製紙薬品事業の遅れは、中国・台湾での原材料の高騰やグローバル展開の遅れ、富士工場爆発・火災事故により生産量が減少したコーティング事業と工場を共有していたことによる固定費負担の増加に起因しております。これらの影響はありますが、第4次中計の基本方針は変更せず、事業の収益性向上に努め、引き続き「事業の新陳代謝」を実践し、新事業開発である「みつける」「そだてる」を促進していくことで、第4次中計の最終目標である売上高1,000億円、経常利益60億円の達成を目指します。
第4次中計の重点施策である水素化石油樹脂の共同事業化につきましては、2018年2月に千葉アルコン製造株式会社を設立し、2020年末のプラント稼働に向け、準備を進めております。同業他社のプラント建設も計画されておりますが、樹脂の主要用途である紙おむつ用のホットメルト接着剤は、新興国の生活水準向上にともない引き続き拡大していくものと見込んでおります。
なお、第4次中計におけるセグメント別の経営目標は以下のとおりであります。
(百万円)
|
|
2016年度 (実績) |
2017年度 (実績) |
2018年度 (中間目標) |
2020年度 (目標) |
|
|
製紙薬品 |
売上高 |
18,252 |
19,839 |
23,000 |
25,000 |
|
セグメント利益 |
1,278 |
934 |
1,550 |
1,700 |
|
|
コーティング |
売上高 |
19,391 |
19,150 |
21,500 |
23,000 |
|
セグメント利益 |
1,116 |
1,105 |
1,000 |
1,300 |
|
|
粘接着 |
売上高 |
26,775 |
28,564 |
30,000 |
36,000 |
|
セグメント利益 |
2,627 |
2,427 |
2,150 |
2,700 |
|
|
機能性材料 |
売上高 |
12,679 |
12,962 |
13,500 |
16,000 |
|
セグメント利益 |
473 |
670 |
600 |
1,100 |
|
自己資本利益率(ROE)につきましては、収益性、効率性、健全性のバランスを考慮しながら、2020年度目標として6.5%以上を目指しております。当連結会計年度におけるROEは6.0%でした。引き続き向上を目指して取り組んでまいります。
資本の財源および資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の長期的な資金需要に関しては、金融機関からの長期借入や社債の発行により調達しております。
また、グループ会社の資金調達につきましては、当社において一元管理しております。
なお、当社は格付を取得しており、本報告書提出日時点において、日本格付研究所「A-」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持・拡大、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。
該当事項はありません。
当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。
顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学する SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度から機能本部制に移行し、研究開発本部を設置、環境の変化や顧客ニーズに対して速やかに、機動的に対応できる体制にしております。事業分野は製紙薬品事業、コーティング事業、粘接着事業および機能性材料事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。
研究開発スタッフは254人でありますが、これは総従業員数の約2割に当たります。
当連結会計年度の研究開発費は32億20百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となる新規研究開発費用3億74百万円を含んでおります。
当事業では、紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤や紙の強度を向上させる紙力増強剤など、紙の機能を向上させる薬品について研究開発を行っております。顧客ニーズや年々変化する紙の抄紙環境に適応させ、紙の更なる高機能化並びに薬品の低コスト化に注力しております。また海外展開についても積極的に進めており、今後更に海外向け製品の開発に注力する予定であります。
サイズ剤では、中性抄紙系で高い効果を示す当社のオンリーワン製品である新規内添サイズ剤の実績化が進みました。また、新たな乳化技術にて製品安定性を改良した表面サイズ剤「ポリマロンEシリーズ」の顧客評価も進んでおります。更に中国の抄紙条件に適合させた表面サイズ剤「ポリマロンKシリーズ」の開発も進んでおります。
紙力増強剤では、紙力効果を更に向上させるため、新たに見出した高分子量化技術を駆使した製品を開発し、国内、海外で実績化が進みました。また、高分子量化技術を水平展開した表面紙力増強剤「ポリマセットHPシリーズ」、多層抄きの紙の層間強度を高めつつ排水負荷を低減する層間スプレー用紙力増強剤「ポリマジェットシリーズ」の顧客評価も進んでおります。
さらに、紙パルプ技術協会主催「第60回 紙パルプ技術協会 年次大会」において、「佐々木賞」を受賞しました。これは当社の分析による両性紙力増強剤のパルプ繊維への定着状態の可視化技術とこれまでの紙パルプ業界への貢献が評価されたものであります。
当事業に係る研究開発費は7億3百万円であります。
当事業では、印刷インキや塗料、粘着・接着剤用途において、顧客ニーズに対応した高機能化およびコスト低減を実現する製品の研究開発をおこなうとともに、顧客のグローバル展開に合わせた海外向け製品の開発にも積極的に取り組んでおります。また、ディスプレイ用途を中心とした光硬化型機能性コーティング剤や各種機能を付与したフィルム用コーティング剤などの研究開発にも注力しております。
印刷インキ用樹脂では、原料面からの研究開発に加え、印刷インキの製造、印刷工程の合理化や環境負荷の低減、高付加価値化に繋がる製品、さらには海外市場向け製品の研究開発も進め、実績化が進みました。
塗料用樹脂では、防錆塗料用途向けに原料組成の見直しを行ない、環境や法規制への対応を進めました。特に、低VOCである水系塗料用樹脂の開発を進め、表面処理剤への用途展開も視野に開発を進めております。
機能性コーティング剤「アラコート」は、帯電防止コーティング、蒸着用アンカー、ハードコート用アンカーでの実績拡大が進みました。さらに自己修復性など市場が求める各種機能を付与した製品の開発を進め、電子材料用途、自動車関連用途への展開を図っております。
光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」、「オプスター」ではフィルムハードコーティング剤分野において、ハードコート特性の改善とともに、防汚性、帯電防止性、屈折率制御などの機能性を付与した製品の開発を進めたことで実績化が進みました。ディスプレイ用途に加え自動車関連用途への展開を目指すとともに、光学用粘着剤や電子材料分野向けの製品開発にも取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は7億98百万円であります。
当事業では、粘着・接着剤用途において多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組んでおります。
ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体はタッキファイヤーとして多く使用されております。VOC、臭気の低減という環境課題に対して製造プロセスの最適化により低沸点成分の除去やロジン特有の臭気を大幅に低減させた製品開発を進めております。光学用途への展開では、透明性、耐熱性、耐候性に優れたロジン誘導体の開発を行い、また、新たな用途として、相溶化剤、フィラー分散剤、可塑剤等のプラスチック添加剤としての展開を進めております。
環境配慮型水系エマルジョン型粘着付与樹脂では、グローバル展開に向けて温度・湿度等の幅広い使用条件下に対応できる接着性能の向上を目指し開発が進んでおります。
当事業に係る研究開発費は3億円であります。
当事業では、半導体・電子部品およびディスプレイ用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料の研究開発をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、LEDやパワー半導体モジュール用に耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。
精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、洗浄工程で発生する排水を減少させることで環境負荷を低減できる水系・再生型洗浄剤の開発を進め、実績拡大しました。はんだ関連材料では、フローはんだ付け用のポストフラックス「パインフラックス」で、環境に配慮したハロゲンフリータイプを開発し、顧客認証を取得することができました。
また、溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、高周波回路基板用途を中心に開発を進め、実績が拡大しました。
精密研磨剤製品では、ハードディスクのデータ保存容量増加に伴い、アルミ基板の品質を向上すべく研磨剤の性能向上に注力し、実績が拡大しました。
当事業に係る研究開発費は10億42百万円であります。
なお、当連結会計年度末における取得済特許権保有件数は、国内542件、海外233件、出願中のものは国内185件、海外203件であります。