第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、グローバルに事業展開を推進する荒川化学グループ全体で、共有すべきグループ経営理念である「個性を伸ばし 技術とサービスで みんなの夢を実現する」のもと、「つなぐを化学する SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」をビジョンとして掲げております。「つなぐを化学する」とは、当社の事業領域を表しており、当社の製品は材料の表面や隙間に存在し、機能を付与しています。私たちは、このような製品を通して、取引先はもとより、グループ社員、社会とのつながりを大切にする「SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」を目指すことを基本方針としております。

この基本方針を具体的に実現するため、安全を最優先に、国内外の生産・販売拠点および関係会社の整備と拡充をはかり、全社をあげて経営基盤の充実と企業体質の強化に取り組み、同時に法令遵守、環境保護、社会貢献などの社会的責任を果たし、グループの発展に努めてまいります。

なお、当社は、グループ経営理念とビジョンの実現に向け、当社が大切にしている価値観・行動指針を明確化した「ARAKAWA WAY 5つのKIZUNA」を荒川化学グループ全社員で共有することで、根幹の部分は変わることのない経営を貫き、適切な判断と迅速な行動を積み重ねてまいります。

 

(2) 目標とする経営指標ならびに中長期的な会社の経営戦略

当社は、2016年4月より第4次中期5ヵ年経営計画「Dramatic SHIFT 1」(2016~2020年度)を推進しております。基本方針のもと、2020年度までに経営資源を適正に配置(「SHIFT 実現体制の構築」)し、事業の変革(「事業の新陳代謝」)を進め、永続的な成長サイクルの創出と真のグローバル化を目指しております。そして、創業150周年(2026年)に向け、歴史と伝統をしっかりと受け継ぎながらも、変革に挑戦することで永続的に成長し続ける企業集団となり、売上高1,000億円、営業利益58億円、経常利益60億円、当期純利益37億円、ROE6.5%以上の達成を目標として、高付加価値製品の拡販や国内外の大型設備投資など重要な施策を進めております。しかしながら、掲げておりました重点施策の進捗が当初計画より遅れていることに加え、2017年12月1日に発生しました富士工場での爆発・火災事故や米中貿易摩擦の影響、新型コロナウイルスの感染拡大などによる需要環境の変化も起こり、計数目標の達成は困難な見込みとなりました。このように先行きが非常に不透明な状況ではありますが、重点施策の早期達成による成果の最大化と新たな付加価値の創造を目指した次期中期経営計画の策定を進めてまいります。

 

(3) 会社の経営環境と優先的に対処すべき課題

(全般)

2017年12月1日に発生しました富士工場での爆発・火災事故において、お亡くなりになった方のご冥福をお祈り申し上げ、ご遺族に対し心よりお悔やみ申し上げます。また、負傷された方、近隣住民の皆様、関係ご当局の皆様、株主の皆様、お客様をはじめとする多くの方々に多大なご迷惑、ご心配をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。被害に遭われた皆様方には改めて深くお詫び申し上げますとともに、今後も誠心誠意対応させていただく所存でございます。

当該事故を受け、社外の学識経験者および専門家を招聘し、事故調査委員会による調査が進められました。同委員会で事故原因および再発防止対策について議論が重ねられ、2018年11月、事故調査委員会報告書として事故の直接原因と再発防止対策が取りまとめられました。当社グループは同委員会からの提言を重く受け止め、再発防止対策の実施と安全文化の醸成に取り組んでおり、粉じん対策設備を順次導入し、安定稼働を始めております。また、当該事故を風化させないため、各事業所において事故の伝承活動を展開し、安全に対する意識を高めております。引き続き、事故防止対策の実施と安全文化の醸成に取り組んでまいります。

 

 

当社は、2016年4月より経営資源の適正な配置や事業の変革を推進するために、事業本部、研究開発本部、生産本部、管理本部を新設、資材戦略部を加えた4本部1戦略部を中心とした機能本部体制を導入し、全機能を十分に発揮できる体制を整えました。事業の新陳代謝につきましては、各事業を戦略に基づき成長させ、中期的な採算性の見極めをおこない、資源投下の可否や継続性を判断していきます。一方、伸長させうる事業や新規な事業(現状での事業未満群含む)の成長性を評価し、経営資源のシフトを加速させるとともに、国内市場が縮小する中、成長が見込まれる海外市場での事業拡大を目指してまいります。

第4次中期5ヵ年経営計画の最終年度となる2020年度は、中長期の成長の源泉となる新規開発投資が負担できる構造へと変革し、全事業の収益力を向上させ、第5次中期経営計画に繋げてまいります。

 

(セグメント)

・製紙薬品事業

製紙業界では、eコマース市場(電子商取引)の世界的な成長に伴い、段ボール原紙など板紙の需要は中長期的には堅調に推移すると見込まれます。一方、印刷業界では出版・広告分野で市場の縮小が続き、印刷用紙などの需要が減少しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりさらなる減少が見込まれます。当社の主要製品には、板紙などに使用される紙力増強剤や印刷用紙などに使用されるサイズ剤があります。当セグメントにおきましては、国内事業はコストダウン等による収益性の向上に努め、海外事業はアジアを中心に生産・販売体制を強化することにより、事業の拡大を目指してまいります。

 

・コーティング事業

電機・精密機器関連業界では、デジタルテクノロジーの進展により車載向け電子部品やスマートフォン向けの需要は中長期的には堅調に推移すると見込まれますが、新型コロナウイルス感染症の影響により車載向けやスマートフォン向けの需要の減少が見込まれます。また、印刷インキ業界では出版・広告分野で市場の縮小が続いておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりさらなる需要の減少が見込まれます。当社の主要製品には、印刷インキ用樹脂、塗料用樹脂、合成ゴム重合用乳化剤、光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などがあります。当セグメントにおきましては、印刷インキ用樹脂の需要減少が継続すると見込まれますが、成長の著しい市場において、光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などの技術的に特長を有する製品での事業の拡大を目指してまいります。

 

・粘接着事業

粘着・接着剤業界では、世界的に紙おむつ向け接着剤の需要増加が継続しており、粘着性付与剤の需要は堅調に推移すると見込まれます。当社の主要製品には、粘着・接着剤用樹脂、剥離紙用離型剤などがあります。また、当社では高圧水素化技術を強みとしており、半世紀前に世界に先駆けて商品化した水素化石油樹脂「アルコン」や、超淡色ロジン「パインクリスタル」を上市しております。さらに、環境に配慮した水系エマルジョン型粘着付与樹脂は、車載用途や生活に欠かせない製品として食品ラベルなどの幅広い用途で使用されております。新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、車載向けでの需要減少が見込まれます。当セグメントにおきましては、水素化石油樹脂のグローバル展開の加速と、ロジン誘導体の高付加価値化・用途展開およびグローバル展開の加速による事業の拡大を目指してまいります。

 

・機能性材料事業

電子工業業界では、デジタルテクノロジーの進展により半導体などの電子部品やスマートフォンの需要は中長期的には堅調に推移すると見込まれますが、新型コロナウイルス感染症の影響により車載向けやスマートフォン向けの需要の減少が見込まれます。当社の主要製品には精密部品洗浄剤、電子材料用配合製品、機能性ファインケミカル製品、精密研磨剤などがあります。当セグメントにおきましては、特長ある独自技術を有するグループ会社間の連携を強化することにより、事業領域を広げるとともに、収益性を高め、アジアを中心とした海外展開による事業の拡大を目指してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュフローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済状況および需要の動向について

当社グループは、日本、アジア、南北アメリカおよびヨーロッパ等の各地域において事業活動を展開しております。したがいまして、当社グループにおける生産・販売等の事業活動は、これらの国や地域における経済状況の影響を受けます。また、当社グループ製品の主な販売先である製紙、印刷インキ、塗料、粘着・接着剤および電子工業等の各業界が受ける景気後退等による需要減少は、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、需要動向などの影響を受け難い収益構造とするため、事業の新陳代謝を促し、いかなる環境変化にも迅速かつ柔軟に対応し、集中的、効率的に経営資源を投入していくことでリスクの最小化を図っております。

(2) 法的規制について

当社グループは、事業活動を展開している国内外の地域において各種許認可や規制等の様々な法令の適用を受けております。したがいまして、法規制の大幅な変更や強化、ならびに海外の進出地域における予期せぬ法令の変更等により事業活動が制限される場合や、規制遵守のための費用の増大、また、環境問題や製造物責任、知的財産侵害等による訴訟や紛争による費用の増大で経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、取締役会の下部組織であるリスク・コンプライアンス委員会が、事業目的を阻害するさまざまなリスクの発生を未然に防止するとともに、リスクが顕在化した場合、損害の拡大防止や当社グループの社会的信用の維持を図るため、適切な対応をおこなう体制を整備・構築しております。

(3) 災害・事故・感染症について

当社グループは、国内外の拠点において生産活動を行っております。したがいまして、万一、大規模な自然災害や火災事故、感染症の大流行等が発生した場合には、当社グループを含めたサプライチェーンにおける生産活動の停止等により当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、災害・事故等による生産活動への悪影響を最小限に留めるために、リスク発生の可能性や結果の重大性に応じた製造設備の定期点検や従業員の教育・訓練等の保安活動、災害防止策の強化に努めるとともに、BCP(事業継続計画)を策定し、定期的な訓練をおこなうことによりリスクの最小化を図っております。なお、新型コロナウイルス感染拡大に対して、社員およびその家族、取引先などの安全を確保し、かつ、感染拡大抑止のため感染防止策を徹底するとともに、テレワークや時差出勤、Web会議の積極活用等による出張制限などの対策を実施しております。翌連結会計年度における新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、第1、第2四半期連結会計期間での関連業界における生産量の減少を5~30%、第3、第4四半期連結会計期間は概ね回復基調となる前提で、当社グループの売上高への影響は各セグメントで5~7%減少すると見込んでおります。しかしながら、一旦感染が収束したとしても、第二波、第三波と感染が拡大することで世界経済の低迷が長期化した場合は、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。

(4) 原材料について

当社グループの主要原材料は、石油化学製品およびガムロジンであります。ガムロジンは、松の木に溝を切りつけて滲み出てくる生松脂を蒸留して製造したもので、当社グループは、ガムロジンの調達の多くを最大の生産国である中国に依存しておりますが、中国におけるガムロジンの生産量は年々減少しております。したがいまして、ガムロジンの需給バランスの変動により購入価格が高騰した場合は、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。また、石油化学製品におきましても、グローバルな環境規制や安全規制による需給バランスの変動により購入価格が高騰した場合は、同様に当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、購入価格の変動に見合った販売価格の見直しをおこなうとともに、主要原材料の調達地域の多様化を進めることによりリスクの最小化を図っております。

 

(5) 為替レートの変動について

当社グループは、アジア、南北アメリカおよびヨーロッパ等の各地域において事業活動を展開しております。したがいまして、外貨建ての取引におきましては、為替レートの変動は当社グループの経営成績等に影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、収入と費用の通貨を一致させる施策を進めること等によりリスクの最小化を図っております。また、当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、海外の連結子会社の財務諸表を円換算しており、為替レートが変動した場合、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。

(6) 減損会計について

当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や事業資産の収益性が著しく悪化し、回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用により固定資産の減損処理をおこないます。これらの減損損失の発生は、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、各事業の事業採算を的確に把握し、採算悪化の兆候がみられる場合には、速やかに対策を講じて事業採算を改善させることによりリスクの最小化を図っております。

(7) 海外での事業活動について

当社グループは、アジア、南北アメリカおよびヨーロッパ等の各地域において事業活動を展開しております。当社グループにおける事業活動のグローバル化には、進出地域における政治・経済情勢の悪化、治安の悪化、予期せぬ法律または規制、戦争・テロ・感染症等のリスクが潜在しておりますが、当社グループが進出している地域でこれら事象が顕在化した場合には、当該地域での事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、現地における優秀な人材の確保と育成を進め、いち早く正確な情報を入手し、的確に対応することによりリスクの最小化を図っております。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度の世界経済は、米中貿易摩擦をはじめとする通商問題などにより、中国経済やアジア新興国経済の減速が見られました。国内経済は、輸出の弱含みが継続したことに加え、世界的な新型コロナウイルス感染症の影響によって先行き不透明な状況が続いております。

このような環境のもと、当社グループにおきましては、2016年度よりスタートしました第4次中期5ヵ年経営計画の方針(「事業の新陳代謝」や「真のグローバル化」など)に沿った重点施策を進め、事業の拡大や収益性の向上、事業開発の促進に注力してまいりました。しかしながら、業績面では、需要環境の悪化が継続していることによる販売数量の減少が収益に影響しました。その結果、当連結会計年度の売上高は729億67百万円前年同期比8.2%減)、営業利益は25億74百万円同27.8%減)、経常利益は29億27百万円同25.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億32百万円同55.5%減)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。また、報告セグメントに含まれないその他事業は、売上高は2億77百万円(前年同期比4.2%増)、セグメント利益は31百万円(同17.6%増)となりました。

 

製紙薬品事業

製紙業界は、eコマース市場(電子商取引)の世界的な成長に伴い、段ボール原紙など板紙の需要は堅調に推移したものの、国内では輸出の減少や天候の影響による需要不振がありました。このような環境のもと、当事業におきましては、国内では板紙向け紙力増強剤などの販売が減少しました。利益面では、海外での収益性の改善があったものの、国内における販売減により減益となりました。

その結果、売上高は189億12百万円(前年同期比11.2%減)、セグメント利益は3億46百万円(同5.3%減)となりました。

 

コーティング事業

電機・精密機器関連業界は、車載向け電子部品やスマートフォン向けの需要が引き続き低調でした。また、印刷インキ業界では出版・広告分野で市場の縮小が続いております。このような環境のもと、当事業におきましては、機能性コーティング材料用の熱硬化型樹脂の販売は堅調に推移しました。一方、主力の光硬化型樹脂は大幅に減少しましたが、一部で需要の回復が進みました。

その結果、売上高は160億92百万円(前年同期比10.8%減)、セグメント利益は9億73百万円(同7.4%減)となりました。

 

粘接着事業

粘着・接着剤業界は、世界的に紙おむつ向け接着剤の需要増加が継続しており、粘着性付与剤の供給能力も増強されています。このような環境のもと、当事業におきましては、水素化石油樹脂は、生産拠点を置くドイツのコンビナートが再度停止したことに伴う原材料コスト上昇や、定期修理での生産停止が重なったことに加え、市場における需給バランスの軟化もあり、収益の悪化が継続しました。

その結果、売上高は258億36百万円(前年同期比6.7%減)、セグメント利益は10億48百万円(同40.1%減)となりました。

 

 

機能性材料事業

電子工業業界は、米中貿易摩擦の影響などにより電子部品やスマートフォンの需要が引き続き低調でした。このような環境のもと、当事業におきましては、電子材料用配合製品およびスマートフォン関連の販売は減少しました。

その結果、売上高は118億48百万円(前年同期比2.8%減)、セグメント利益は3億85百万円(同39.1%減)となりました。

 

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ15億74百万円減少し、906億円となりました。主な要因は、有形固定資産が57億76百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が42億80百万円、投資有価証券が13億42百万円、たな卸資産が17億11百万円減少したことなどによります。

負債は、支払手形及び買掛金が30億4百万円、繰延税金負債が5億84百万円、未払法人税等が4億58百万円減少した一方、社債が50億円増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ7億24百万円増加し、365億72百万円となりました。

純資産は、自己株式の増加や、その他有価証券評価差額金が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ22億99百万円減少し、540億27百万円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ5億74百万円増加し、95億45百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、75億34百万円の増加となりました。これは、仕入債務の減少(29億34百万円)などにより資金が減少した一方、期末日休日の影響を含む売上債権の減少(44億52百万円)、税金等調整前当期純利益(31億22百万円)減価償却費(28億87百万円)などにより資金が増加した結果であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、90億1百万円の減少となりました。これは、固定資産の取得による支出(91億51百万円)が主なものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、20億84百万円の増加となりました。これは、自己株式の取得による支出(11億97百万円)および配当金の支払額(9億1百万円)により減少した一方、社債の発行による収入(49億74百万円)の増加が主なものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

数量(トン)

前年同期比(%)

製紙薬品事業

210,661

△8.4

コーティング事業

46,141

△8.4

粘接着事業

86,027

△3.9

機能性材料事業

10,628

△1.1

合計

353,457

△7.2

 

(注) その他事業においては、生産をおこなっておりません。

 

b 受注実績

当社グループは過去の販売実績と将来の予測に基づいて見込生産方式をとっております。

 

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

製紙薬品事業

18,912

△11.2

コーティング事業

16,092

△10.8

粘接着事業

25,836

△6.7

機能性材料事業

11,848

△2.8

その他事業

277

+4.2

合計

72,967

△8.2

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。

3 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の状況および報告期間に発生した費用・収益、ならびに将来の財政状態および経営成績に重要な影響を及ぼすような偶発的事項に関して、適切な分析・見積りをおこなっております。

資産の評価方法および引当金の計上方法などの方針は、保守主義の原則に沿って、健全性を優先して適切に定めております。

このように、当社グループでは、必要な流動性の維持、事業活動に十分な資金の確保、健全なバランスシートの維持、および正確な費用収益の対応と真実の利益表示を会計方針としております。

重要な会計方針及び見積りの具体的な内容ならびに新型コロナウイルス感染症の影響については、「5 経理の状況」に記載のとおりであります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

2016年度よりスタートしました第4次中期5ヵ年経営計画の前半は、概ね目標に沿って推移しましたが当初計画していた中計重点施策の進捗の遅れ、2017年12月に発生しました富士工場爆発・火災事故や米中貿易摩擦の影響等による需要環境の悪化もあり、収益性が低下しました。このような状況に加え、新型コロナウイルスの感染拡大などによる需要環境変化も起こり、売上高1,000億円、営業利益58億円、経常利益60億円、当期純利益37億円、ROE6.5%以上の計数目標達成は困難な見込みであります。しかしながら、第4次中計の基本方針は変更せず、中計最終年度も引き続き「SHIFT実現体制」の構築および「事業の新陳代謝」を実践し、収益性向上に努め、新規事業開発である「みつける」「そだてる」を促進していくことで、第5次中期経営計画に繋げてまいります。

第4次中計の重点施策の主なものは、次のとおりであります。

水素化石油樹脂の共同事業化につきましては、2018年2月に千葉アルコン製造㈱を設立し、2020年度末のプラント稼働に向け、準備を進めております。同業他社のプラント建設による供給増もありますが、樹脂の主要用途である紙おむつ用のホットメルト接着剤は、新興国の生活水準向上にともない引き続き拡大していくものと見込んでおります。

アジア地域における生産・販売体制強化による事業拡大推進につきましては、2019年12月に荒川ケミカルベトナム社を設立し、2021年中の稼働開始を目指し、準備を進めております。ASEANでは、高い経済成長を背景に紙の需要が増大し、紙・パルプ産業が急成長しており、引き続き拡大していくものと見込んでおります。

なお、第4次中計におけるセグメント別の経営目標は以下のとおりであります。

(百万円)

 

2018年度

(実績)

2019年度

(実績)

2020年度

(予想)

2020年度

(中計目標)

製紙薬品

売上高

21,295

18,912

18,200

25,000

セグメント利益

366

346

300

1,700

コーティング

売上高

18,049

16,092

16,800

23,000

セグメント利益

1,051

973

1,400

1,300

粘接着

売上高

27,698

25,836

25,300

36,000

セグメント利益

1,751

1,048

1,500

2,700

機能性材料

売上高

12,192

11,848

12,400

16,000

セグメント利益

632

385

400

1,100

 

 

資本の財源および資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の長期的な資金需要に関しては、金融機関からの長期借入や社債の発行により調達しております。

また、グループ会社の資金調達につきましては、当社において一元管理しております。

なお、当社は格付を取得しており、本報告書提出日時点において、日本格付研究所「A-」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、新型コロナウイルス感染症の収束が不透明な状況下におきましても当社グループの事業の維持・拡大、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。

 

なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因および対応策ならびに新型コロナウイルスの影響につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱、高圧化学工業㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度から機能本部制に移行し、研究開発本部を設置、環境の変化や顧客ニーズに対して速やかに、機動的に対応できる体制にしております。事業分野は製紙薬品事業、コーティング事業、粘接着事業および機能性材料事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。

研究開発スタッフは251人でありますが、これは総従業員数の約2割に当たります。

当連結会計年度の研究開発費は3,041百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となる新規研究開発費用294百万円を含んでおります。

(1) 製紙薬品事業

当事業では、紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤や紙の強度を向上させる紙力増強剤など、紙の機能を向上させる薬品について研究開発をおこなっております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙環境に適応させ、紙の更なる高機能化並びに薬品の低コスト化の検討をおこなっております。また、中国・台湾をはじめとしてASEAN等、海外向け製品の開発も積極的に進めており、荒川ケミカルベトナム社設立にともない特にASEAN地域での紙力増強剤のマーケティングに注力しております。

サイズ剤では、国内において中性抄紙系サイズ剤「サイズパインCAシリーズ」や海外では塗工条件に適応させた表面サイズ剤「ポリマロンKシリーズ」の実績化が進んでおります。

紙力増強剤では、紙力効果を更に向上させるため、新たに高分子量化技術を駆使した製品を開発しました。国内、海外においてその効果が認められ実績化が拡大しております。また、高分子量化技術を水平展開した表面紙力増強剤「ポリマセットHPシリーズ」、多層抄きの紙の層間強度を高めつつ排水負荷を低減する層間スプレー用紙力増強剤「ポリマジェットシリーズ」の実績化も進んでおります。

当事業に係る研究開発費は671百万円であります。

(2) コーティング事業

当事業では、印刷インキや塗料、粘着・接着剤用途において、顧客ニーズに対応した高機能化およびコスト低減を実現する製品の研究開発をおこなうとともに、顧客のグローバル展開に合わせた海外向け製品の開発にも積極的に取り組んでおります。また、ディスプレイ用途を中心とした光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」やフィルム用を中心とした熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」の研究開発にも注力しております。

印刷インキ用樹脂では、原料であるロジンの研究を進め、合理化した製品の実績が拡大するとともに、BCPの観点でも各種原料ソースを使いこなす技術開発に取り組んでおります。また、環境負荷の低減、高付加価値化に繋がる製品の研究開発を進め、海外市場向け製品の実績化が進みました。

塗料用樹脂では、水系製品の有機溶剤中毒予防規則対応やハイソリッドなど環境対応製品の開発に取り組み、実績化に向けた技術的進展が見られました。また、親水性コーティング剤では、家電向け用途での実績化が進み、新規用途への展開も図っております。

機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系離型コーティング剤や自己修復コーティング剤など新たな機能性を付与した製品の開発が進みました。引き続き市場が求める各種機能を付与した製品の開発を進め、電子材料用途、自動車関連用途への展開を図っております。

光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」ではフィルムハードコーティング剤分野において、耐傷つき性の向上に加え、防汚性の改善、フレキシブル性の付与等の開発が進展し、新たな採用が得られました。また、環境対応として、水系化、無溶剤化のニーズに対応した開発にも取り組んでおり、高屈折率無溶剤コート剤、スプレー塗料用水系樹脂等の開発を進めております。

熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」は、帯電防止コーティング剤での新規採用が加わり実績拡大が進みました。また、非シリコーン系離型コーティング剤の技術的進展が見られ、新規に実績化を開始しました。引き続き市場が求める各種機能を付与した製品の開発を進め、電子材料用途、自動車関連用途への展開を図っております。

当事業に係る研究開発費は791百万円であります。

 

(3) 粘接着事業

当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組み、グローバルに展開しております。また、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発をおこない、粘着・接着と剝離の両面からの知見を生かした開発に取り組んでおります。

ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体はタッキファイヤーとして多く使用されておりますが、新たに光学用途への展開を進めており、当社独自の水素化技術と製造プロセスを見直し、より効率よく透明性、耐熱性、耐候性に優れた製品の開発を進めました。また、相溶化剤、フィラー分散剤、可塑剤等のプラスチック添加剤としての展開を進めており、これまで課題であったプラスチックの透明性を維持しながら、改質に取り組んでおります。

環境に配慮した水系エマルジョン型粘着付与樹脂では、課題である耐水性を改良した製品を開発し、グローバル展開に向けて温度・湿度等の幅広い使用条件下に対応できる接着性能の向上を図り、サンプルワークを開始しております。

剥離紙・フィルム用離型剤は、形態別にソルベント系、ソルベントレス系、エマルジョン系、硬化様式別に熱硬化型、UV硬化型を揃えており、軽剥離性、ミスト低減に優れた製品開発を進めております。

当事業に係る研究開発費は353百万円であります。

(4) 機能性材料事業

当事業では、半導体・電子部品およびディスプレイ用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料の研究開発および受託製造をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、最新のLEDやパワー半導体モジュール用の耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を大手電機部品メーカーや自動車部品メーカー向けに開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。

精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、競合他社との差別化商品として環境負荷低減が可能な水系・再生型洗浄剤の実績化が進みました。はんだ関連材料であるソルダペーストでは、高信頼性を要求されるサーバーや車載用途に開発した新製品の実績化が進みました。

また、溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、5Gスマートフォンに使用される高周波対応フレキシブルプリント回路基板用途を中心に開発を進め、実績が進みました。

機能性ファインケミカル材料では、高度な品質管理技術だけでなく、当社グループの高圧化学工業㈱が保有する耐腐食性を有し、高温・高圧・水素化反応にも対応できる設備を活かした技術対応により新規受託案件が増加し、受託製造部門での実績が拡大しました。

精密研磨剤製品では、ハードディスクの大容量化、SAWフィルター用基板の複合化に対応する研磨剤の性能、品質向上に注力し、実績が進みました。

当事業に係る研究開発費は930百万円であります。

 

なお、当連結会計年度末における取得済特許権保有件数は、国内492件、海外266件、出願中のものは国内211件、海外252件であります。