文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は、グローバルに事業展開を推進する荒川化学グループ全体で、共有すべきグループ経営理念である「個性を伸ばし 技術とサービスで みんなの夢を実現する」のもと、「つなぐを化学する SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」をビジョンとして掲げております。「つなぐを化学する」とは、当社の事業領域を表しており、当社の製品は材料の表面や隙間に存在し、機能を付与しています。私たちは、このような製品を通して、取引先はもとより、グループ社員、社会とのつながりを大切にする「SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」を目指すことを基本方針としております。
この基本方針を具体的に実現するため、安全を最優先に、国内外の生産・販売拠点および関係会社の整備と拡充を図り、全社をあげて経営基盤の充実と企業体質の強化に取り組み、同時に法令遵守、環境保護、社会貢献などの社会的責任を果たし、グループの発展に努めてまいります。
なお、当社は、グループ経営理念とビジョンの実現に向け、当社が大切にしている価値観・行動指針を明確化した「ARAKAWA WAY 5つのKIZUNA」を荒川化学グループ全社員で共有することで、根幹の部分は変わることのない経営を貫き、適切な判断と迅速な行動を積み重ねてまいります。
(2) 目標とする経営指標ならびに中長期的な会社の経営戦略
当社は、2021年4月より第5次中期5ヵ年経営実行計画「V-ACTION for sustainability」(2021~2025年度)をスタートしております。第5次中計の基本方針は、KIZUNA経営の推進とKIZUNA指標の達成です。当社が掲げた「ありたい姿」の実現を目指し、グループの価値観・行動指針(ARAKAWA WAY 5つのKIZUNA)に基づいた経営(=KIZUNA経営)のもと、2030年のビジョン(※1)と目指す未来像(※2)を新たに設定し、コア技術・素材の強化による新事業の創出に努めるとともに、市場環境の変化のスピードにも対応すべく事業ポートフォリオ改革を進めております。第4次中計からの重点施策の早期達成による成果の最大化と新たな付加価値の創造およびすべてのステークホルダーとともに持続可能な地球環境と社会の実現への貢献を目指しております。最終年度にあたる2025年度は、売上高900億円、営業利益65億円、経常利益65億円、親会社株主に帰属する当期純利益45億円、営業利益率7.0%以上、EBITDA 112億円以上、ROE7.0%以上の達成を目標としております。
そして、創業150周年、さらにその先を見据え、歴史と伝統をしっかりと受け継ぎながらも、安全文化の醸成、および働きがいと生産性の向上を目指すことで成長し続け、「ありたい姿」を実現するために設定したKIZUNA指標(=5つのKIZUNAとリンクした優先的な重要課題から設定した指標)を達成いたします。
(※1) 『ロジンをはじめとする環境に配慮した素材を活かし、「つなぐ」技術の深化と新たな付加価値の創造に挑戦し続けることで、地球環境と社会の持続可能な未来に貢献する』
(※2) 『地球環境と社会の持続的な未来に貢献するエコシステムにしっかり入り込み、ライフサイエンス関連などの素材をも手掛け、REALとDIGITALを下支えするケミカル・パートナーへの変革を目指す』

(3) 会社の経営環境と優先的に対処すべき課題
当社は、2021年4月より持続可能な成長の実現に向け、コーポレートガバナンス機能を強化するため、サスティナビリティ委員会を設置し、2017年12月1日に発生しました富士工場での爆発・火災事故を風化させないため、2021年度は新たに専任の安全担当取締役を置き、安全に対する体制を強化し、安全文化醸成に向けて富士工場に荒川安全伝承館の設置、全社員対象に安全教育を実施しました。引き続き、工場の保安力向上に向けた取り組みも進めております。また、東京証券取引所の市場再編にともないプライム市場への移行に向けた気候変動への対応などを議論、準備をし、日本の化学業界初となるサステナビリティ・リンク・ボンド(社債)を発行しました。そのほかにも事業ポートフォリオ改革をより迅速に実行するため事業戦略部を設置し、複数のビジネスユニットに対して事業評価を実施し、事業ミッションのSHIFTをおこないました。さらに、個人と会社がともに成長できる企業風土の改革を目指すためKIZUNA推進室を設置し、ダイバーシティ&インクルージョン推進の専任者を当社グループ社員から公募・選任、多様な働き方を支援する環境整備やKIZUNA指標に女性管理職人数や男性の育休取得率を新たに加えました。
第5次中期5ヵ年経営実行計画では、第4次中計からの事業評価機能を強化し、事業本部および研究開発本部、生産本部の組織体制を改廃し、コア技術・素材の強化に努めるとともに、環境に配慮した持続可能な開発にも注力し、市場変化のスピードにも対応すべく事業ポートフォリオ改革をおこない、グループの価値観・行動指針に基づいたKIZUNA経営を推進しております。
詳細については、当社ウェブサイトに掲載しておりますのでご参照ください。
・第5次中期5ヵ年経営実行計画 https://www.arakawachem.co.jp/jp/ir/strategy.html
・サスティナビリティ https://www.arakawachem.co.jp/jp/csr/
・KIZUNA指標 https://www.arakawachem.co.jp/jp/csr/sdgs.html#KIZUNA index
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経済状況および需要の動向について
当社グループは、日本、アジア、南北アメリカおよびヨーロッパ等の各地域において事業活動を展開しております。したがいまして、当社グループにおける生産・販売等の事業活動は、これらの国や地域における経済状況の影響を受けます。また、当社グループ製品の主な販売先である製紙、印刷インキ、塗料、粘着・接着剤および電子工業等の各業界が受ける景気後退等による需要減少は、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、需要動向などの影響を受け難い収益構造とするため、事業の新陳代謝を促し、いかなる環境変化にも迅速かつ柔軟に対応し、集中的、効率的に経営資源を投入していくことでリスクの最小化を図っております。
当社グループは、事業活動を展開している国内外の地域において各種許認可や規制等の様々な法令の適用を受けております。したがいまして、法規制の大幅な変更や強化、ならびに海外の進出地域における予期せぬ法令の変更等により事業活動が制限される場合や、規制遵守のための費用の増大、また、環境問題や製造物責任、知的財産侵害等による訴訟や紛争による費用の増大で経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、取締役会の下部組織であるリスク・コンプライアンス委員会が、事業目的を阻害するさまざまなリスクの発生を未然に防止するとともに、リスクが顕在化した場合、損害の拡大防止や当社グループの社会的信用の維持を図るため、適切な対応をおこなう体制を整備・構築しております。
当社グループは、国内外の拠点において生産活動を行っております。したがいまして、万一、大規模な自然災害や火災事故、感染症の大流行等が発生した場合には、当社グループを含めたサプライチェーンにおける生産活動の停止等により当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、災害・事故等による生産活動への悪影響を最小限に留めるために、リスク発生の可能性や結果の重大性に応じた製造設備の定期点検や従業員の教育・訓練等の保安活動、災害防止策の強化に努めるとともに、BCP(事業継続計画)を策定し、定期的な訓練をおこなうことによりリスクの最小化を図っております。なお、新型コロナウイルス感染症は、依然として収束時期が不透明な状況で、世界経済に影響を及ぼしております。当社グループではこうした状況に対して、社員およびその家族、取引先などの安全確保を優先し、かつ、事業活動全体への悪影響を最小限に留めるべく、感染防止策を徹底するとともに、テレワークや時差出勤、Web会議の積極活用や生産拠点での入場前チェック体制強化などの対策を実施しております。しかしながら、同感染症による世界経済への影響と収束動向は依然として不透明な状況が続くと見込まれ、世界経済の低迷がさらに長期化・深刻化した場合は、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。
当社グループの主要原材料は、石油化学製品およびガムロジンであります。ガムロジンは、松の木に溝を切りつけて滲み出てくる生松脂を蒸留して製造したもので、当社グループは、ガムロジンの調達の多くを最大の生産国である中国に依存しておりますが、中国におけるガムロジンの生産量は年々減少しております。したがいまして、ガムロジンの需給バランスの変動により購入価格が高騰した場合は、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。また、石油化学製品におきましても、グローバルな環境規制や安全規制による需給バランスの変動により購入価格が高騰した場合は、同様に当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、購入価格の変動に見合った販売価格の見直しをおこなうとともに、主要原材料の調達地域の多様化を進めることによりリスクの最小化を図っております。
当社グループは、アジア、南北アメリカおよびヨーロッパ等の各地域において事業活動を展開しております。したがいまして、外貨建ての取引におきましては、為替レートの変動は当社グループの経営成績等に影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、収入と費用の通貨を一致させる施策を進めること等によりリスクの最小化を図っております。また、当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、海外の連結子会社の財務諸表を円換算しており、為替レートが変動した場合、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。
当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や事業資産の収益性が著しく悪化し、回復の可能性が見込めない場合には、減損会計の適用により固定資産の減損処理をおこないます。これらの減損損失の発生は、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、各事業の事業採算を的確に把握し、採算悪化の兆候がみられる場合には、速やかに対策を講じて事業採算を改善させることによりリスクの最小化を図っております。
当社グループは、アジア、南北アメリカおよびヨーロッパ等の各地域において事業活動を展開しております。当社グループにおける事業活動のグローバル化には、進出地域における政治・経済情勢の悪化、治安の悪化、予期せぬ法律または規制、戦争・テロ・感染症等のリスクが潜在しておりますが、当社グループが進出している地域でこれら事象が顕在化した場合には、当該地域での事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績等に悪影響を与えることがあります。当社グループではこうした状況に対して、現地における優秀な人材の確保と育成を進め、いち早く正確な情報を入手し、的確に対応することによりリスクの最小化を図っております。
(1) 経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されるなかで持ち直しているものの、同感染症の再拡大による影響やウクライナ情勢の緊迫化、原油、エネルギー価格の高騰など、不透明な状況が強まってきております。また、中国やASEAN諸国においては、同感染症の影響を受け、移動や生産活動の制限などが経済活動の足かせとなり、グローバル規模でのサプライチェーン混乱の一因となっております。国内経済においては、景気は持ち直しの動きが続いているものの、同感染症の影響、原材料価格の上昇や半導体不足などにより、依然として厳しい状況にあります。引き続き、世界的な資源価格上昇などの影響を注視していく必要があります。
このような環境のもと、当社グループにおきましては、同感染症拡大の防止策を徹底し、生産活動等の維持、継続に努めてまいりました。また、2021年度よりスタートしました第5次中期5ヵ年経営実行計画の方針(KIZUNA経営の推進とKIZUNA指標の達成)に沿った重点施策を進め、コア技術・素材を中核とした事業ポートフォリオ改革や新事業の創出などによる持続可能な地球環境と社会を実現するための取り組みに注力しております。業績面では、同感染症の影響による需要環境の悪化から好転し、高付加価値製品の拡販、国内外における需要の回復、収益改善策の推進などにより増収営業増益となりましたが、ロジンや石化原料などの原材料価格の大幅な上昇、特に欧州における天然ガスの高騰等により、第3四半期連結会計期間以降の収益性は悪化しております。
その結果、当連結会計年度の売上高は805億15百万円(前年同期比14.1%増)、営業利益は33億4百万円(同1.4%増)、経常利益は35億66百万円(同2.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、荒川ヨーロッパ社の減損損失(3億46百万円)を計上したことなどにより、15億2百万円(同30.7%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用したことにより、売上高は28億14百万円減少しておりますが、営業利益および経常利益に与える影響はありません。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前年度比較については、前年度の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。また、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。
なお、報告セグメントに含まれないその他事業は、売上高は2億79百万円(前年同期比6.2%増)、セグメント利益は45百万円(同72.8%増)となりました。
電機・精密機器関連業界は、車載向け電子部品などの需要が堅調に推移しました。また、印刷インキ業界では、新型コロナウイルス感染症の影響により出版・広告分野で市場の縮小が加速しておりますが、大きく落ち込んだ前年からは回復しました。このような環境のもと、当事業におきましては、機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂は自動車関連分野や5G関連分野での販売が引き続き堅調に推移しました。一方で、印刷インキ用樹脂や塗料用樹脂などの販売は増加したものの、原材料価格の上昇等により下期の収益性が低下しました。
その結果、売上高は162億26百万円(前年同期比7.1%増)、セグメント利益は10億82百万円(同2.9%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は64百万円減少しております。
製紙・環境事業
製紙業界は、eコマース(電子商取引)市場の世界的な成長に伴う段ボール原紙など板紙の需要は堅調に推移しました。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、印刷用紙では市場の縮小が加速しておりますが、大きく落ち込んだ前年からは回復しました。このような環境のもと、当事業におきましては、原材料価格の上昇により下期の収益性が低下しましたが、紙力増強剤の販売が国内外ともに堅調に推移しました。
その結果、売上高は186億52百万円(前年同期比9.1%増)、セグメント利益は9億69百万円(同71.4%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は13億17百万円減少しております。また、荒川ケミカルベトナム社における紙力増強剤製造設備は2022年3月に稼働を開始しました。
粘着・接着剤業界は、自動車関連分野を中心に、新型コロナウイルス感染症の影響から回復に転じました。このような環境のもと、当事業におきましては、ロジン系粘着・接着剤用樹脂や水素化石油樹脂の販売は堅調に推移しましたが、ロジンや石化原料の価格の高騰に加えて、欧州における天然ガスおよび水素の価格高騰などにより、収益性が急激に悪化しました。
その結果、売上高は325億30百万円(前年同期比26.1%増)、セグメント利益は2億6百万円(同86.7%減)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は1億31百万円減少しております。また、千葉アルコン製造株式会社における水素化石油樹脂製造設備については、2022年度第2四半期連結会計期間の稼動開始に向けて取り組んでおります。
電子工業業界は、電子媒体関連や5G関連分野の需要は堅調に推移しましたが、一部において半導体不足やサプライチェーン停滞による稼働低下や在庫調整が長期化しており、依然として不透明な状況が続いております。このような環境のもと、当事業におきましては、電子材料用配合製品や精密研磨剤の販売が堅調に推移しました。
その結果、売上高は128億26百万円(前年同期比4.7%増)、セグメント利益は5億52百万円(同4.6%増)となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は13億円減少しております。
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ119億82百万円増加し、1,177億39百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が19億9百万円、受取手形及び売掛金が26億15百万円、棚卸資産が42億91百万円、有形固定資産が21億73百万円増加したことなどによります。
負債は、支払手形及び買掛金が22億12百万円、短期借入金が49億89百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ79億93百万円増加し、551億60百万円となりました。
純資産は、為替換算調整勘定、非支配株主持分が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ39億88百万円増加し、625億78百万円となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ19億7百万円増加し、92億50百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、39億89百万円の増加となりました。これは、棚卸資産の増加(36億65百万円)などにより資金が減少した一方、税金等調整前当期純利益(29億41百万円)および減価償却費(31億20百万円)などにより資金が増加した結果であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、74億1百万円の減少となりました。これは、固定資産の取得による支出(64億23百万円)が主なものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、49億27百万円の増加となりました。これは、配当金の支払額(9億52百万円)などにより資金が減少した一方、短期借入金の増加(46億47百万円)や非支配株主からの払込みによる収入(19億40百万円)により資金が増加した結果であります。
a 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) その他事業においては、生産をおこなっておりません。
b 受注実績
当社グループは過去の販売実績と将来の予測に基づいて見込生産方式をとっております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
2021年度よりスタートした第5次中期5ヵ年経営実行計画において、最終年度である2025年度には、売上高900億円、営業利益65億円、経常利益65億円、親会社株主に帰属する当期純利益45億円、EBITDA 112億円以上、ROE7.0%以上の達成を目標としております。
当連結会計年度の売上高は805億15百万円、営業利益は33億4百万円、経常利益は35億66百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、荒川ヨーロッパ社の減損損失(3億46百万円)を計上したことなどにより、15億2百万円となりました。業績につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による需要環境の悪化から好転し、高付加価値製品の拡販、国内外における需要回復、収益改善策を推進した一方、ロジンや石化原料、欧州における天然ガス価格の高騰等により、下期以降は収益性が悪化しました。
2022年度以降も原材料価格の高騰による収益性の低下が続くものと考えられるため、価格転嫁と更なるコスト削減による採算改善を進めてまいります。それに加えて、継続して第4次中計の重点施策に取り組み、早期達成させることにより、成果の最大化を進めてまいります。なお、第4次中計の主要な重点施策については以下のとおりであります。
千葉アルコン製造㈱における水素化石油樹脂の製造設備につきましては、当社グループにおいて過去最大級の大型設備であり、製造工程は複数にわたるため、動作確認および不具合の解消ならびに部品調達に多くの時間を要しておりますが、安全を最優先に稼働開始に向けて注力しております。稼働後は多額の償却費の計上となるため、当面の収益性を押し下げる要因となりますが、主要用途である紙おむつ用ホットメルト接着剤は、中長期的な成長市場であると見込んでおり、北中南米やアジアを主体にグローバルな供給体制を整えていくことで、当社グループの成長に繋がると考えております。
また、荒川ケミカルベトナム社における紙力増強剤製造設備につきましては、2022年3月に稼働を開始しており、早期の安定稼働・安定供給により成果の最大化を目指してまいります。成長が著しいベトナムのほか、ASEAN地域における板紙需要が引き続き拡大していくものと見込んでおり、当社グループの成長に繋がると考えております。
なお、第5次中計におけるセグメント別の実績および経営目標は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(参考)千葉アルコン製造㈱の減価償却費(予想)
資本の財源および資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の長期的な資金需要に関しては、金融機関からの長期借入や社債の発行により調達しております。
また、グループ会社の資金調達につきましては、当社において一元管理しております。
なお、当社は格付を取得しており、本報告書提出日時点において、日本格付研究所「A-」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、新型コロナウイルス感染症の収束が不透明な状況下におきましても当社グループの事業の維持・拡大、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因および対応策ならびに新型コロナウイルスの影響につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱、高圧化学工業㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度に研究開発本部を設置、第5次中期5ヵ年経営実行計画がスタートした2021年度よりコア技術・素材別に再編して一元化し、加えてAI・MIの活用にも注力することで選択と集中による効率化と新規開発、持続可能性への貢献を加速するため、機能性コーティング開発部、水系ポリマー開発部、フォレストケミカル開発部、ファイン・エレクトロニクス開発部、AI・MI推進部、コーポレート開発部に開発推進部を加えた体制にしております。あらためて当社グループのコア技術・素材を事業ポートフォリオの中核に据え、長期的に経営資源を投入し、顧客ニーズに対して研究開発部門の自律性を高め、多面的に対応できる形へと組み替えました。事業分野は機能性コーティング事業、製紙・環境事業、粘接着・バイオマス事業、ファイン・エレクトロニクス事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。
当連結会計年度の研究開発費は
当事業では、デジタルデバイス関連用途を中心に光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」や熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」の研究開発に注力しております。また、印刷インキや塗料用途において、環境負荷低減に向けた製品の研究開発をおこなうとともに、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発もおこなっております。また、ポリマー合成技術を活かした機能性材料の用途開発にも積極的に取り組んでおります。
光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」では、5G関連分野への量産に向け、市場からの高品質要求への対応に注力しております。ディスプレイ用途において、耐傷つき性に加えて、難密着素材への密着性付与、光学調整技術の改良、フレキシブルデバイス用での技術対応を進め、それぞれで採用が得られております。また、光硬化型粘着剤の開発にも取り組んでおります。水系化、無溶剤化による環境に配慮した製品の開発にも継続的に取り組んでおり、塗料用やフィルムコーティング用を中心に水系製品のラインナップ拡充を進めております。
熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系剥離コーティング剤の開発に取り組み、技術面の進展により新規実績化が進みました。また、帯電防止コーティング剤では電子材料分野でのさらなる実績拡大に向けて、新たな顧客ニーズへの対応に取り組んでおります。
印刷インキ用樹脂では、BCPの観点から各種原料ソースを使いこなす技術開発を進め、顧客での使用形態に応じたワニス製品の開発も進めることで実績が拡大しました。また、高付加価値化に繋がる製品の研究開発を進め、海外顧客において実績が拡大しました。加えて、ロジン系樹脂のバイオマス素材としての展開を進め、バイオマスインキ用樹脂として一部で実績化も進んでおります。
塗料用樹脂では、水系製品の有機溶剤中毒予防規則対応やハイソリッドなど環境対応製品の開発に取り組み、顧客での評価が進展しました。また、親水性コーティング剤でも顧客での評価が進み、親水性に加えて新たな機能付与にも取り組み、市場への提案を進めております。
剥離紙・フィルム用離型剤は、硬化方式別に熱硬化型および光硬化型、形態別には溶剤系に加えて、環境に配慮した無溶剤系および水分散系を揃えており、軽剥離性、ミスト低減に優れた製品開発を進めております。
当事業に係る研究開発費は
当事業では、紙の強度を向上させる紙力増強剤や紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤など、紙の機能を向上させる薬品開発に加え、環境視点に基づいた水系ポリマーの技術と用途開発をおこなっております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙条件に適応させ、紙のさらなる高機能化ならびに薬品の低コスト化、紙の生産性向上や合理化に寄与する技術の検討をおこなっております。また、中国,台湾,ASEAN等の海外向け製品の開発も積極的に進めており、荒川ケミカルベトナム社の本格稼働に向けて、特にASEANでの紙力増強剤のマーケティングに注力しております。また、水系ポリマー技術を活かした地球環境と社会に貢献できる開発テーマにも取り組んでおります。
紙力増強剤では、内添紙力増強剤「ポリストロンシリーズ」で高分子量化技術を駆使した、高い紙力増強効果を発現する製品が国内、海外で実績化が拡大しております。また、地球環境に配慮した製品として、バイオマス由来の機能性成分の配合および高濃度化による輸送頻度の低減を通じて、CO2排出量削減に寄与する製品の開発が進みました。
内添サイズ剤では、当社基盤技術である重合及び乳化プロセスを見直し、安定かつ持続可能な供給を目指す一方、中性抄紙系サイズ剤「サイズパインCAシリーズ」のさらなる高品質化を進めております。
また、環境に配慮した化学物質規制やプラスチック削減の動きに対応すべく、独自の水系ポリマー技術による紙用機能性コーティング剤の製品開発も進めております。
当事業に係る研究開発費は
当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組み、グローバルに展開しております。また、バイオマス素材としての利点を活かしたロジン誘導体事業の拡大と持続性確保に向けてロジンの基礎技術、変性技術の深化や持続可能な再生原料の有効活用を目指した開発にも取り組んでおります。
ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体はタッキファイヤーとして多く使用されておりますが、これまで培ってきた素材に関するノウハウや変性技術を活用して新規にプラスチック添加剤用に製品開発を進めています。流動性向上、相溶化、分散性、低誘電といった特長をキーワードに最近の技術トレンドや社会のニーズに対応すべく、提案・探索を進めております。さらに、当社は大阪大学宇山浩教授が代表幹事である「海洋生分解性バイオマスプラスチック開発プラットフォーム(MBBP)」に参画し、バイオマス素材としてのロジン誘導体を中心にライフサイエンス分野での新たな用途探索に取り組んでおります。
環境に配慮した製品の開発も推進しており、低VOC品や水系エマルジョン型粘着付与樹脂製品のグローバル展開も積極的に進めております。
当事業に係る研究開発費は
当事業では、半導体・電子部品およびデジタルデバイス関連用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料の研究開発をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、最新のLEDやパワー半導体モジュール用の耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を大手電機部品メーカーや自動車部品メーカー向けに開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。
精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、競合他社との差別化商品として環境負荷低減が可能な水系・再生型洗浄剤の実績化が進みました。はんだ関連材料であるフラックスでは、当社ロジン技術を活かした半導体パッケージ用途等に開発した新製品の実績化が進みました。
溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、5Gスマートフォンや5G基地局等に使用される高周波対応フレキシブルプリント回路基板用途、半導体パッケージ基板用途を中心に開発を進め、実績化が進みました。
また、ファインケミカル材料では、当社グループの高圧化学工業㈱が保有する耐腐食性を有し、高温・高圧・水素化反応にも対応できる設備の新規受託案件数が増加し、今後伸長が期待される新規受託の実績が拡大しました。
半導体モジュール向け樹脂では、低熱膨張と高流動化を両立した高耐熱性液状注型樹脂に成功しました。また、チップLED向け高接着力1液シリコーン樹脂の開発を進め、実績化が進みました。
精密研磨剤製品では、高速データ通信規格「5G」やクラウドサービスの普及で、データセンターの新増設が相次いでおり、ハードディスクの大容量化やSAWフィルター用基板の複合化に伴う研磨技術の高度化や研磨剤の品質向上、生産性向上に注力し、実績化が進みました。
当事業に係る研究開発費は
なお、当連結会計年度末における研究開発スタッフは236名であり、取得済特許権保有件数は、国内522件、海外331件、出願中のものは国内186件、海外283件であります。