第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間の国内経済は、一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境が徐々に改善し、緩やかに回復しています。世界経済は、米国において利下げが開始されたものの、高い金利水準が継続しており、中国における不動産市場の停滞に伴う影響や地政学リスクの高まりなど、依然として先行き不透明な状況が継続しております。

このような環境のもと、当社グループにおきましては、2021年度よりスタートしました第5次中期5ヵ年経営実行計画の方針(KIZUNA経営の推進とKIZUNA指標の達成)に沿った重点施策を進め、コア技術・素材を中核とした事業ポートフォリオ改革や新事業の創出などによる持続可能な地球環境と社会を実現するための取り組みに注力しております。特に、事業ポートフォリオ改革においては、既存事業の収益力の回復にも努めており、ロジン誘導体・サイズ剤事業等における製造拠点の統廃合を進めております。

業績面では、スマートフォンの出荷台数やデータセンター投資が回復傾向にあるなど、電子部品の需要環境は回復基調で推移しており、機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂やハードディスク用精密研磨剤などが堅調に推移しました。また、海外において板紙向け紙力増強剤や粘着・接着剤用樹脂の販売が堅調に推移したことが業績に寄与いたしました。

その結果、当中間連結会計期間の売上高は393億27百万円前年同期比13.4%増)、営業利益は3億13百万円(前年同期は営業損失18億27百万円)、経常利益は3億13百万円(前年同期は経常損失14億51百万円)、親会社株主に帰属する中間純利益は固定資産売却益9億84百万円の計上などにより16億34百万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失7億53百万円)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。また、報告セグメントに含まれないその他事業は、売上高は47百万円(前年同期比24.8%増)、セグメント利益は28百万円(同68.8%増)となりました。

 

① 機能性コーティング事業

電機・精密機器関連業界は、電子部品などの需要が徐々に回復基調で推移しています。このような環境のもと、当事業におきましては、今後の需要拡大に向けて人的・設備的な経営資源を積極的に投入している機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂は、スマートフォンやディスプレイ関連分野での需要回復が進みました。

その結果、売上高は82億11百万円(前年同期比18.4%増)、セグメント利益は5億99百万円(同448.8%増)となりました。

 

② 製紙・環境事業

製紙業界は、中国の段ボール原紙工場の稼働が低い状況にあり、また国内においても市況の低迷が続いており、厳しい需要環境となりました。このような環境のもと、当事業におきましては、アジアでの需要の創出に注力している板紙向け紙力増強剤が堅調に推移したことなどにより、大幅に増益となりました。

その結果、売上高は109億93百万円(前年同期比11.2%増)、セグメント利益は10億11百万円(同206.2%増)となりました。

 

 

③ 粘接着・バイオマス事業

粘着・接着剤業界は、国内の自動車関連分野では一部で生産停止の影響が懸念されますが、テープやシート類用途などの需要は堅調に推移しています。このような環境のもと、当事業におきましては、千葉アルコン製造株式会社は、稼働の再開後も断続的な生産を余儀なくされており、水素化石油樹脂の収益を押し下げました。一方、ロジン系の粘着・接着剤用樹脂はアジア地域を中心に販売が堅調に推移しました。

その結果、売上高は132億30百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント損失は12億92百万円(前年同期はセグメント損失18億2百万円)となりました。

 

④ ファイン・エレクトロニクス事業

電子工業業界は、電子部品などの需要の回復や生成AIの需要増加に伴うデータセンターへの積極的投資が進んでおります。このような環境のもと、当事業におきましては、将来に向けて生産能力増強を進めている半導体関連先端材料のファインケミカル製品やハードディスク用精密研磨剤などが堅調に推移しました。

その結果、売上高は68億43百万円(前年同期比26.3%増)、セグメント利益は3億67百万円(前年同期はセグメント損失3億19百万円)となりました。

 

当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ31億76百万円減少し、1,222億42百万円となりました。主な要因は、受取手形及び売掛金が4億98百万円、棚卸資産が12億18百万円、有形固定資産が7億23百万円減少したことによります。

負債は、支払手形及び買掛金が13億74百万円、短期借入金が11億6百万円、長期借入金が14億24百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ48億81百万円減少し、636億18百万円となりました。

純資産は、利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ17億5百万円増加し、586億23百万円となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ88百万円増加し、92億53百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローは、33億98百万円の増加となりました。これは税金等調整前中間純利益(15億66百万円)や減価償却費(27億9百万円)の計上などにより資金が増加した結果であります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、4億7百万円の減少となりました。これは、有形固定資産の売却(7億69百万円)や投資有価証券の売却(3億55百万円)による収入があった一方、固定資産の取得による支出(18億6百万円)が主なものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、32億64百万円の減少となりました。これは、借入金の減少(27億79百万円)が主なものであります。

 

資本の財源及び資金の流動性に係る情報

短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の長期的な資金需要に関しては、金融機関からの長期借入や社債の発行により調達しております。

また、グループ会社の資金調達につきましては、当社において一元管理しております。

なお、当社は格付を取得しており、本報告書提出日時点において、株式会社日本格付研究所「BBB+」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持・拡大、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。

 

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。

 

(5) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は15億円であります。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因

当中間連結会計期間において、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載したとおり、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因には、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。