第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 コーセーグループは1946年の創業以来、美を通じて人々に夢と希望を与え続けることを使命としてまいりました。1991年には、CIの導入を契機にこの想いを存在理念として明文化し、「英知と感性を融合し、独自の美しい価値と文化を創造する」ことで、現在に至るまで着実に成長を続けてまいりました。また、同時に発信した「美しい知恵 人へ、地球へ。」というコーポレートメッセージの中にも、「美の創造企業」として、「美」にまつわるあらゆる知恵を出し合い、人々のために、そして大切な地球のために役立てるという強い決意を込めております。

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、売上高営業利益率及び総資産事業利益率(ROA)、自己資本当期純利益率(ROE)の向上を重要な経営指標としております。

  注)総資産事業利益率=(営業利益+受取利息・配当金)/総資産(期首期末平均)×100

  自己資本当期純利益率=親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)×100

(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

 当社グループは、創業80周年に向けて更なる成長ステージを目指した中長期ビジョン「VISION 2026」を推進しております。

 

◇◇コーセーグループの将来像:世界で存在感のある究極の高ロイヤルティ企業◇◇

 「日本を代表する化粧品メーカーとして、日本独自の化粧文化を創造する」という自覚を持ち、“一人ひとりのきれい”を追求し、世界に先駆けて“独自の価値”を創出し続け(唯一無二の存在)、オリジナリティと魅力あふれる多彩なブランドをお届けすることで、一人でも多くのステークホルダーの皆さまに選ばれる企業(憧れの存在・かけがえのない存在)となることを目指しております。

 

■コーセーグループ中長期ビジョン「VISION 2026」

◆定量目標

・売上高 5,000億円

・営業利益率 16%以上

・ROA 18%以上

・ROE 15%以上

◆ロードマップ

・PhaseⅠ:「グローバルブランド拡充と顧客接点の強化」

・PhaseⅡ:「世界での存在感拡大と更なる顧客体験の追求」

・PhaseⅢ:「世界のひとりひとりに存在感のある顧客感動企業への進化」

◆基本戦略

①3つの成長戦略

1)ブランドのグローバル展開加速

2)独自性のある商品の積極的開発

3)新たな成長領域へのチャレンジ

②2つの価値追求

1)デジタルを活用したパーソナルな顧客体験の追求

2)外部リソースや技術と連携した独自の価値追求

③3つの経営基盤

1)企業の成長を支える経営基盤の構築

2)ダイバーシティ&インクルージョン経営の実践

3)バリューチェーン全体にわたるサステナビリティ戦略の推進

 

(4)新型コロナウイルス感染症への対応

 新型コロナウイルス感染症への対応については、「第2 事業の状況2.事業等のリスク」に記載しております。

 

 

 

 

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響が及ぶ可能性のあるリスク並びに投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には、以下のようなものがあると考えております。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が主要なリスクと判断したものでありますが、ここに掲げられているものに限定されるものではありません。

 

 当社では、将来にわたる事業の継続性と安定的発展の確保のため、全社横断的な組織として、「リスクマネジメント推進委員会」を設置し、リスクを網羅的に洗い出し、定性的な分析・評価を行うとともに、甚大な影響を及ぼす可能性のあるリスクに対し、必要な対策を講じております。具体的には、毎年、関係会社及び各部門の責任者へのアンケートを通じて、リスク項目を抽出するとともに、「リスクが顕在化した場合の経営成績等の状況に与える影響」「リスクが顕在化する可能性の程度」の2つの評価軸で優先付けを行っております。

 

 リスクアセスメントで抽出したリスクは、リスクカテゴリーごとに集約し、「戦略リスク」「事業・財務リスク」「政治・経済リスク」「事故・災害リスク」「人事・労務リスク」「法令違反・賠償リスク」に分類し、

定期的にそれぞれのリスク対応の現状と進捗状況をモニタリングする仕組みを構築・運用しております。

 

 なお、新型コロナウイルス感染症の再拡大により、日本をはじめ世界全体で、厳しい経済状態が続くと想定されます。各国でのロックダウン、外出自粛要請、渡航規制などのウイルス封じ込め策により、消費者の行動範囲・機会が縮小し、事業活動が制約されることで、需要、供給両面での経済活動が大きく抑制されております。その結果、消費マインドや、雇用・所得環境の悪化により、経済低迷の更なる長期化も懸念され、今後の経過によっては、引き続き当社グループの経営成績及び財政状態(売上・利益の低下、返品の増加、在庫価値の低下等)に影響を及ぼす可能性があります。

 

 新型コロナウイルス感染症対策本部を設置のうえ、テレワークのさらなる拡大のための業務の見直しや、Webによる会議環境の増強のための追加IT投資など、あらゆる手段を講じて対策を強化しており、今後も、感染拡大の防止と、お客様、取引先様、従業員の安全確保を最優先に対応してまいります。

 

リスクカテゴリー

主要リスクの内容

主な取り組み

戦略リスク

価格競争

ブランド価値の毀損

市場シェアの低下

マーケットニーズ・顧客志向の変化を考慮した商品開発・マーケティング・販売活動を行うとともに、機能的・情緒的な付加価値での差別化により、競合優位性を維持・向上させるべく取り組んでおります。

競合の新規参入

異業種からの参入や競合他社の新たなチャネル進出による市場シェアの低下

お取引先や営業・販売現場からの情報を随時把握するとともに、定期的な消費者調査により、市場の情報をタイムリーに把握することに取り組んでおります。また、積極的に異業種と協業し、外部リソースや技術と連携することで、独自の価値追求にも戦略的に取り組んでおります。

研究開発の遅れ

ブランドの市場競争力の低下

イノベーションの減退

先端技術研究所においては、データサイエンスを用いた基礎的・応用的な研究を行うとともに、フランスのリヨンに分室も開設し、最先端の皮膚科学研究に取り組んでおります。また、外部リソースを活用したオープンイノベーションにも積極的に取り組んでおります。

消費者嗜好の変化

消費者ニーズとの乖離によるブランド価値の低下

消費者の情報を適切に入手するための市場調査の定期的な実施と、日本国内の消費者調査に加え、海外進出国における調査も強化しております。またデジタルの積極的な活用による新たな顧客体験を追求しております。

 

気候変動対応への遅れ

低炭素化社会に対応できないことによる事業収益性の低下

 

温室効果ガス削減をはじめとした気候変動の緩和に向けた様々な取り組みを積極的に行っております。「SBT(Science Based Targets)」の設定や「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」の提言に沿った情報開示の検討など、国際的な動きへの対応にも努めております。

 

 

リスクカテゴリー

主要リスクの内容

主な取り組み

事業・財務リスク

原材料の価格高騰

原料高騰による利益率の低下

市場リスクを最小限にするために、海外を含めたグローバル調達を推進しております。また、サプライヤー様と良好な関係を保ちながら、必要な原材料や外注生産品を適切な価格でタイムリーに調達できるよう努めております。さらに、「原価在庫低減推進委員会」の設置により、適切な原価の維持や在庫を確保するための取り組みも行っております。

原材料の供給途絶

製品の安定的な供給への支障

売上高・利益率への影響

当社の信用の低下

 

政治・経済リスク

法的規制の改変・対応

需要変動のリスク

商品の輸出への影響

事業に関連する法規制の情報を日々収集するとともに、製品開発においては、法規制変更に伴う原料規格内容の見直し、代替原料の確保に向け、国内外の情報ネットワ-クを有効活用し、対応を進めております。

海外進出国エリアの政治情勢の急変

需要変動による売上への影響

従業員の安全リスク

海外現地法人・取引先様との連携を高め、各国、各エリアの経済・政治・社会的状況についてタイムリーな情報収集を通じて、必要な対策を講じております。

事故・災害リスク

自然災害(地震・噴火・津波など)

生産・物流機能の停止による事業活動の停滞や中断

災害発生や感染症が蔓延した場合、速やかに対策本部を設置し、対応策を協議の上、実行いたします。また、災害時に備え、危機管理マニュアルを作成し、職場安全性の確認及び不具合箇所の是正、代替手段の確保にも努めております。

強毒性の感染症の蔓延

生産・供給・販売など事業活動の停滞や中断

人事・労務リスク

優秀な人材の確保

企業競争力の低下

多様な人材が活躍できる環境づくりの取り組みを進めるとともに、採用活動においては、職種別採用の実施による専門人材の獲得や、ビューティーコンサルタント職の処遇制度の改定による優秀な人材の獲得を進めております。

法令違反・賠償リスク

製品事故に関わる問題

重篤な製品事故発生による、お客様からの信用損失と企業

ブランド価値の低下

お客様に安全・安心な商品をお届けすることを第一に考え、商品づくりに取り組んでおります。当社グループの品質に対する考えを「品質方針」として表現し、それを象徴する品質方針メッセージと5つの活動宣言を定め、日々活動しております。

機密漏洩・個人情報の漏洩

情報の漏洩による信用損失・損害賠償

「コンプライアンス推進委員会」によるコンプライアンスの啓蒙に加え、個人情報については法律や経済産業省のガイドラインに基づき「個人情報管理委員会」を設置するとともに、情報セキュリティの強化により、万全な管理体制の構築に取り組んでおります。また、社内研修を定期的に実施し、リスクの共有、防止を徹底しております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2020年4月1日から2021年3月31日まで)における日本経済は、昨年4-6月期に発出された緊急事態宣言解除後の経済活動再開、GoToキャンペーンなどの政策が功を奏し回復傾向にありました。しかしながら、10-12月期では新型コロナウイルス感染症の再拡大、さらに2021年1-3月期において2回目となる緊急事態宣言発出により経済回復は鈍化いたしました。

 当社グループが主に事業展開しているアジア・米国経済(2020年1月1日から2020年12月31日まで)においては、中国の景気は緩やかに回復しており、それ以外のアジア各国では厳しい状況にあるものの、下げ止まりや持ち直しの動きがみられます。米国では依然厳しい環境下ながらも経済活動が再開しております。

 

 日本の化粧品市場においては、新型コロナウイルス感染症拡大によりインバウンド需要が大幅に減少いたしましたが、日本人需要については外出自粛による消費意識の低下はあるものの、緩やかな回復傾向にあります。

 アジア・米国の化粧品市場においては、中国では経済活動の正常化が進み、Eコマースやトラベルリテールを中心に大きく成長しております。それ以外のアジアについては、引き続き厳しい状況にあるものの、下げ止まりの状況となっております。米国では、感染症拡大が鈍化する中、個人消費は回復傾向にあります。

 

 しかしながら足元の景況感では、日本では首都圏を中心として緊急事態宣言発出やまん延防止等重点措置適用に伴う、外出自粛や休業、時短営業による個人消費の低迷、中国以外のアジア各国・米国・欧州では、ロックダウンや渡航制限の影響を大きく受けており、今後も感染の動向などに注視しなければならない状況が続いております。

 

 このような市場環境の中、当社グループにおいては、過去の苦しい局面においてピンチをチャンスに変えてきた経験・ノウハウを有しており、今後もグローバル・ボーダレスに事業を拡大していくためにリスクに強い企業に進化すべく、課題に取り組み、改革を進めております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ220百万円減少し、308,386百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,316百万円減少し、67,087百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,096百万円増加し、241,299百万円となりました。

 

b. 経営成績

 当連結会計年度における当社グループの業績については、中国での販売が好調だったものの、日本および中国以外の各国で感染拡大の影響を大きく受け、売上高は前年同期比14.7%減279,389百万円(為替の影響を除くと14.2%減)となりました。なお、連結売上高に占める欧米亜売上高の割合は40.1%となりました。利益については、全社的なコストコントロールを実施したものの、上述の理由による売上高減少により、営業利益は13,294百万円(前年同期比67.0%減となりました。経常利益は助成金収入により18,745百万円(同54.2%減、親会社株主に帰属する当期純利益は11,986百万円(同55.1%減)となりました。

 

1)化粧品事業

 化粧品事業につきましては、中国では「コスメデコルテ」がすべてのチャネルで好調に推移いたしました。日本では、コスメデコルテの「リフトディメンション」、コーセーの薬用保湿美容液「ONE BY KOSÉ セラム ヴェール」、㈱コーセーとマルホ㈱の技術・知見を結集した高機能スキンケア「カルテHD」などが好調に推移いたしましたが、それ以外の主要ブランドが総じてマイナス成長となりました。また、インバウンド売上が大きく減少したこともあり、売上高は218,482百万円(前年同期比13.3%減)、営業利益は18,669百万円(同58.2%減)となりました。

 

2)コスメタリー事業

 コスメタリー事業につきましては、コロナ禍で需要が高まっている「メイク キープ ミスト」や「リップ ジェル マジック」、ヘアケアブランドの「スティーブンノル ニューヨーク」などが売上に貢献いたしました。また、コーセーコスメポート㈱の「グレイスワン」や「コエンリッチ」が好調に推移いたしましたが、クレンジング市場、ヘアケア市場での苦戦により、売上高は58,434百万円(前年同期比18.7%減)、営業損失は63百万円(前期は211百万円の営業利益)となりました。

 

3)その他

 その他の事業につきましては、OEM生産の受注が減少したため、売上高は2,472百万円(前年同期比36.9%減)、営業利益は973百万円(同24.1%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より9,767百万円増加80,051百万円(前年同期比13.9%増)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、23,280百万円の収入(同37.2%減)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益19,508百万円、非資金費用である減価償却費10,379百万円、たな卸資産の減少3,752百万円、売上債権の増加1,196百万円、その他の資産の減少5,530百万円、仕入債務の減少522百万円及び法人税等の支払い5,430百万円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、5,850百万円の支出(同69.2%減)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出8,657百万円定期預金の減少による純収入3,804百万円及び無形固定資産の取得による支出2,081百万円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、7,363百万円の支出(同35.7%減)となりました。主な要因は短期借入金の純増額6,872百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出4,930百万円及び配当金の支払い9,289百万円等であります。

生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

化粧品事業

163,840

71.5

コスメタリー事業

36,421

72.1

その他

1,621

51.1

合計

201,884

71.4

 (注)1.金額は製造会社販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b. 受注実績

 重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。

 

c. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

化粧品事業

218,482

86.7

コスメタリー事業

58,434

81.3

その他

2,472

63.1

合計

279,389

85.3

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は下記のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。なお、本表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りには過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。

 当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計上の見積り及び見積りに用いた重要な仮定は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績等

1)財政状態

 当連結会計年度末の流動比率は332.8%、当座比率は231.8%であり、前連結会計年度末に比べそれぞれ9.8ポイントの減少、4.0ポイントの増加となりました。主な理由は下記のとおりであります。

 資産は、前連結会計年度末に比べ220百万円の減少となりました。現金及び預金の増加5,834百万円、受取手形及び売掛金の増加1,048百万円等により当座資産が6,882百万円増加し、流動資産は592百万円増加いたしました。有形固定資産の減少3,130百万円、無形固定資産の減少621百万円、投資その他の資産の増加2,938百万円により固定資産は813百万円減少いたしました。

 負債は、前連結会計年度末に比べ1,316百万円の減少となりました。支払手形及び買掛金の増加537百万円、電子記録債務の減少2,042百万円、短期借入金の増加6,872百万円、未払費用の減少1,228百万円、未払消費税等の減少1,537百万円等により流動負債が1,932百万円増加いたしました。固定負債は、退職給付に係る負債の減少4,346百万円等により3,248百万円の減少となりました。

 なお、有利子負債残高は8,533百万円、デット・エクイティ・レシオは0.04倍となりました。

 

2)経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、279,389百万円(前年同期比14.7%減48,335百万円減)となりました。

 これをセグメントごとに分析すると、当社グループの主力事業である化粧品事業及びコスメタリー事業の売上高がそれぞれ218,482百万円(同13.3%減33,412百万円減)、58,434百万円(同18.7%減13,478百万円減)となりました。その他の事業の売上高は2,472百万円(同36.9%減1,444百万円減)となりました。

(営業費用)

 当連結会計年度の売上原価は、77,465百万円(前年同期比12.7%減11,238百万円減)となりました。

 販売費及び一般管理費は、188,629百万円(同5.1%減10,159百万円減)となりました。販売費及び一般管理費の削減に努めましたが、売上高の減少額が上回ったため、販売費及び一般管理費の売上高比率は6.8ポイント増加いたしました。

(営業外損益)

 当連結会計年度の営業外損益は、5,451百万円の利益(前年同期比677.7%増、4,750百万円増)となりました。当連結会計年度は助成金収入3,436百万円(前年同期比3,404百万円増)を計上しております。

(特別損益)

 当連結会計年度の特別損益は、763百万円の利益(前期566百万円の損失)となりました。固定資産売却益1,084百万円を特別利益に計上しております。

 

 

3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より9,767百万円増加し80,051百万円(前年同期比13.9%増)となりました。当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

 当社グループは「VISION 2026」実現に向け、生産設備の新設及び更新、新規市場進出のための投資、デジタルトランスフォーメーション推進への投資などを実施してまいります。それぞれの投資のタイミングにつきましては、資金残高及び資金調達のバランスを検証し、優先順位をつけて実施してまいります。

 自己資金による事業運営、設備投資、株式投資、配当などを行っておりますが、金融機関とは28,000百万円のコミットメントラインを締結しており、事業運営上必要な投資などへの資金につきましては、外部調達も可能となっております。

 当社グループの財務状況、安定した業績については、金融機関及び金融市場からの評価は高く、自己資金が不足した場合においても外部調達は可能と判断しております。また、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響による資金需要に備え、金融機関とのコミットメントラインを増額いたしました

利益配分につきましては安定配当を基本としておりますが、今後の事業拡大のための内部資金の確保に配慮しつつ、財政状態、業績、配当性向などを勘案し、配当金額を決定しております。

 

b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 化粧品市場においては、国内外におけるEコマース売上規模の拡大、交通インフラの発展や、経済成長に伴う所得水準の上昇により、中国をはじめトラベルリテール事業の売上も増加しました。

 今後につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による消費マインドや、雇用・所得環境の悪化の改善、経済回復時期も不透明なため、市場変化に対するタイムリーな対応の成否が、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼすことが想定されます。

 

c. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資金調達の状況につきましては、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。

 今後の資金使途につきましては、内部留保により財務体質の強化を図る一方、設備投資やM&Aに取り組むことで将来のキャッシュ・フローの創出につなげ、資本効率の向上を図ってまいります。また、一時的な余剰資金の運用につきましても、安全性を第一に考慮し運用商品の選定を行ってまいります。

 

d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高営業利益率、総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の向上を重要な経営指標としております。総資産事業利益率(ROA)及び自己資本当期純利益率(ROE)の前連結会計年度、当連結会計年度推移と「VISION 2026」でのそれぞれの目標に対する進捗については、以下のとおりです。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

「VISION 2026」

総資産事業利益率(ROA)

13.4%

4.5%

18%以上

自己資本当期純利益率(ROE)

12.3%

5.3%

15%以上

売上高営業利益率

12.3%

4.8%

16%以上

 

 当連結会計年度の数値は、全て前連結会計年度を下回りました。その要因は、経営成績が前連結会計年度を下回ったことによります。当連結会計年度における各重要な経営指標につきましては、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況で述べたとおりであります。

 (注) 総資産事業利益率=(営業利益+受取利息・配当金)/総資産(期首期末平均)×100

     自己資本当期純利益率=親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)×100

 

e. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

1)財政状態

(化粧品事業)

 セグメント資産は、現金及び預金の減少9,062百万円、売掛金及び受取手形の増加761百万円、たな卸資産の減少3,210百万円、有形固定資産の減少1,234百万円、無形固定資産の減少1,050百万円等により、前連結会計年度末に比べ12,782百万円減少の191,543百万円となりました。

(コスメタリー事業)

 セグメント資産は、現金及び預金の減少108百万円、売掛金及び受取手形の増加379百万円、有形固定資産の減少2,301百万円等により、前連結会計年度末に比べ2,431百万円減少の46,272百万円となりました。

(その他)

 セグメント資産は、現金及び預金の減少469百万円、有形固定資産の減少345百万円等により、前連結会計年度末に比べ1,565百万円減少の3,770百万円となりました。

 

2)経営成績

 当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績につきましては、第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b. 経営成績で述べたとおりであります。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、お客様のニーズに合った化粧品を市場に提供するために、主に、以下の国内二拠点を中心として研究開発活動に取り組んでおります。

コーセー製品開発研究所‥‥‥‥‥‥‥製品開発研究、海外市場研究、製品管理、研究管理、薬事戦略

サステナビリティ研究

コーセー先端技術研究所‥‥‥‥‥‥‥先端技術研究、基盤技術研究、品質保証研究、研究戦略

 当連結会計年度におきましては、さらなる顧客価値創出のための技術開発力と品質保証体制の強化、グローバル化への対応を進め、研究開発活動のより一層の向上に努めました。

 当連結会計年度における研究成果及び研究開発費は次のとおりであります。

 製品研究分野の研究成果として、当連結会計年度において開発いたしました主な製品は以下のとおりであります。

 スキンケア製品

製品名称等

特徴

セグメントの名称

サンカット プロディフェンス

薬用ミルクD

世界初、制汗機能を有したSPF50+、PA++++の日やけ止め。

コスメタリー事業

ルシェリ リンクルホワイト

UVエマルジョン

日本初、シワ改善と美白効果を有したSPF50+、PA++++の日中用UV乳液。

化粧品事業

ONE BY KOSÉ

セラム ヴェール〔医薬部外品〕

有効成分ライスパワーNo11の配合によりセラミド産生を促進し、肌の水分保持能を改善する美容液。

化粧品事業

カルテHDシリーズ

 

コーセーマルホファーマ株式会社から発売した、ヘパリン類似物質を配合し保湿効果に優れた商品群。

化粧品事業

コスメデコルテ キモノ

オードトワレ

ブランド50周年にあたり開発したコスメデコルテを体現するフレグランス。

化粧品事業

 

 メイクアップ製品・ヘアケア製品

製品名称等

特徴

セグメントの名称

メイクキープミストEX

独自の製剤技術により、新たに「皮脂テカリ・崩れ防止成分」を配合、更なるメイクキープ機能の高水準化を実現した。

コスメタリー事業

コスメデコルテ

トーンパーフェクティングパレット

自社独自のコンシーラー理論を構築、その理論に基づいた最適な色の組み合わせにより、シミ・クマ・くすみの全ての悩みへ対応できる、テーラーメイド要素の高いパレットとして実現した。

化粧品事業

アディクション

ザ マットリップ リキッド

自社独自性の高い技術で、マットで色鮮やかな発色、マスクに付かないロングラスティング、軽い「無重力」な使用感を実現。

化粧品事業

カールキープマジック

マスカラ下地、マスカラ、トップコートと1つで3役の機能性を独自処方で実現。長時間にじまず、つややかな睫毛とカール効果を持続する。

コスメタリー事業

ジルスチュアート

アイジュエルデュー

独自製法でつくられた、弾力のあるタッチで軽やかになじみ、宝石をちりばめたようなきらめきで彩るアイカラー。

化粧品事業

スティーブンノル

プロフェッショナル

コアリニューシリーズ

サロン専用のステップ使用のヘアケア商品。ステップ使用ならではの高い毛髪補修効果を実現した商品。

化粧品事業

 

 基礎研究分野では、化粧品の有効性と安全性をより一層高めるため、iPS細胞を用いた抗老化研究、シミ・しわなどの発生メカニズム解明、高度な分析機器を用いた生体成分分析方法の確立などを推進しております。また、世界初のしわ予測数理モデルの構築やオンラインでの新しいカウンセリングコンテンツの開発など、デジタル技術を駆使した先端的な研究にも取り組んでいます。カウンセリングコンテンツの実例として、コニカミノルタ株式会社と協業して開発した「毛髪診断システム」をMaison KOSÉ銀座へ導入しました。これら研究成果は多岐にわたる分野での学会発表を実施し、優秀賞など多くの賞を受賞しております。今後、これらの基礎研究から得られる成果を、新製品の開発や顧客満足度に繋がるカウンセリングツールなどに随時応用していく予定です。また、不要となった化粧品を絵具に再利用する事業への協力を開始しており、サステナビリティ推進に向けた研究も今後強化していく方針です。

 以上の結果、当連結会計年度に支出した研究開発費の総額は5,996百万円であり、セグメントごとの内訳は、化粧品事業4,566百万円、コスメタリー事業928百万円、その他の事業141百万円であります。また、各事業部門に配分できない基礎研究費用は358百万円であります。