第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当期の世界経済は、米国では景気の回復基調が継続しており、欧州でも緩やかな回復傾向にあります。また、減速が続く中国・新興国の経済についても持ち直しの兆候が見られましたが、米国の新政権の政策動向や欧州の政治情勢の不確実性などにより、世界的に先行き不透明な状況が続いています。
 一方、日本経済は経済対策・金融政策を背景に雇用環境などに改善が見られるなど、緩やかな回復傾向にあります。

当社を取り巻く事業環境においては、半導体・フラットパネルディスプレイ向けの需要が堅調に推移しました。

このような状況のもと、当社はお客様との関係強化に努め、積極的な販売拡大、新製品の開発、コスト削減に取り組みました。販売・生産量共に順調に増加いたしましたが、売上高は円高の影響により前期比微増となり、利益については為替の影響、一過性費用、機能強化費用の発生により前期比減益となりました。
 当事業年度の売上高は、18,183,226千円(前期比+264,013千円 +1.5%)、営業利益は527,082千円(前期比△438,984千円 △45.4%)、経常利益は412,363千円(前期比△276,253千円 △40.1%)、当期純利益は233,286千円(前期比△234,758千円 △50.2%)となりました。

[感光性材料事業]

半導体向け感光性材料は、スマートフォン、自動車、LEDなどのマーケットの拡大、ならびにフラッシュメモリーの3次元化による需要の拡大により販売が拡大しました。ディスプレイ製造向け感光性材料も、スマートフォン、高精細テレビ、車載LCDなどの需要拡大により、販売は好調に推移しました。

以上の結果、同事業の売上高は9,721,031千円(前期比+251,477千円)、営業利益は616,632千円(前期比△307,053千円)となりました。

[化成品事業]

香料材料関係は、海外向けの販売量は堅調に推移しました。しかし、上期の急激な円高により、販売額は横ばいとなりました。溶剤関係の電子材料向けについては、半導体用途の一部の減少はあったものの、新製品などの取込みにより堅調に推移しました。ロジスティック部門は、顧客満足度向上に努めた結果、タンク契約率、回転率共に高水準で推移しております。

以上の結果、同事業の売上高は8,462,195千円(前期比+12,536千円)、営業損失は89,549千円(前期比△131,931千円)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ536,168千円増加し、1,453,819千円となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益156,432千円、減価償却費1,628,401千円などにより、2,378,557千円(前期比+146,413千円)の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,198,607千円などにより、1,179,239千円(前期比+601,557千円)の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増額1,492,000千円、長期借入金の純減額1,957,790千円などにより、629,120千円(前期比△1,050,370千円)の支出となりました。

 

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

前年同期比(%)

感光性材料事業(千円)

10,769,083

△4.6

化成品事業(千円)

8,459,893

4.1

合計(千円)

19,228,976

△1.0

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

前年同期比(%)

感光性材料事業(千円)

9,721,031

2.7

化成品事業(千円)

8,462,195

0.1

合計(千円)

18,183,226

1.5

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 対処すべき課題

当社は、市場や市況の変動による影響を最小限に留め安定的に利益を生み出す事業基盤の構築に向けた、全社的なコスト削減に取り組むとともに、原価の変動に見合った適正な販売価格を維持し、収益性の向上に努めてまいります。
 事業部門別の課題として、感光性材料事業では、デバイスの進化に伴い、ArFエキシマレーザー用リソグラフィーに加え、EUVリソグラフィー向けポリマーおよび光酸発生剤(PAG)の開発体制の強化と共に、製品および製造工程の品質向上とその管理維持体制を強化し、トータル品質として競争力のある製品の提供に努めてまいります。また、お客様との関係強化により、次世代のニーズを取り込んだ製品開発および製造、品質管理体制を行える仕組みづくりを強化してまいります。
 化成品事業では、西日本地区の需要を淡路工場へ取込み、工場収益を改善させる事が課題と考えています。また、海外需要の取込みも精力的に進めます。ロジスティック部門は、為替の急激な変動により輸入品タンク契約の需要に影響が生じる場合がありますが、国内メーカー等需要の多様性を開拓し、安定契約取込みに努めてまいります。

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

会社法施行規則第118条第3号に定める「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下「会社の支配に関する基本方針」といいます。)の内容は下記のとおりです。

①  会社の支配に関する基本方針の内容

当社は、昭和29年設立以来、独創的な視点を大切にした研究・開発に注力し、現在ではフォトレジスト向けの感光性材料等の製造・販売を中心とした「感光性材料事業」、香料材料の製造・販売及び電子材料向け溶剤を中心とする高付加価値品の販売及びリサイクル、ならびに液体化学品の保管業務を行う「化成品事業」を営んでおります。

 

当社事業の特徴として、①顧客企業と研究開発段階からの技術的な摺り合せによる参入障壁の構築、②長年にわたり蓄積された高い生産技術力、③事業環境の変化への対応力を高める成長事業と基盤事業を組み合わせた事業ポートフォリオの構築、④各事業が密接に結び付くことによる大きなシナジー効果等により、国内のみならず、世界各国のお客様より高い評価をいただいております。

当社は、当社の財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方について、当社の経営理念や企業価値のさまざまな源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させる者でなければならないと考えております。

上場会社である当社の株式は、株式市場を通じて多数の株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模な買付行為や買付提案があった場合においても、当該大規模な買付等が当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであれば一概に否定するものではなく、これに応ずるか否かは最終的に株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えております。

しかしながら、このような大規模な買付等の中には、専ら買付者自らの利潤のみを追求しようとするもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

当社は、上記の例を含め、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模な買付等を行う者を、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。

 

②  会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み

当社は、中長期的な経営戦略及びコーポレート・ガバナンスの強化の両面より、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保、向上に努めております。以下の施策を、会社の支配に関する基本方針の実現に資するものと考えております。

a  経営の基本方針

当社は、経営方針として「①安全操業を最優先し、従業員、協力会社社員、地域住民など関係者の安心できる操業環境を確保する。②法令や社内ルールを遵守するとともに、誠実かつ公正な企業活動を行う。③世界最高のマイクロストラクチャー構造材料を国際社会に提供する。④常に新製品、新プロセス、新サービスを開発する。⑤生産技術の高度化を推進し、新プロセスを開発、安定品質で市場競争を勝ち抜く。⑥国内外隔たりなく企業活動を展開し、日本を代表するグローバル企業となる。⑦全社をあげて、常に能力開発に努め、個人の能力の向上を通じて創造性を発揮し、社会に貢献する。」を掲げております。当社は、この経営方針に基づき、積極的な事業展開を進め、業容の拡大と業績の向上に邁進し、高品質かつ高機能の材料を可能な限り安価に供給することにより、産業全体の発展と高度化に役立つことを目指しております。

また、創業以来、「当社の生命線は研究開発力にある」を理念に、研究開発力の増強と生産技術の向上に努め、蓄積された技術やノウハウを活用して市場ニーズに迅速かつ的確に対応し、有機合成から、分離精製、プラントエンジニアリング、化成品物流等に至るまで、事業分野及び事業規模を着実に拡大させることにより化学産業界で独自の地位を築き、当社の永続的発展を通じてお客様、株主の皆様、従業員等の利害関係者に貢献することを目指しております。

b  中長期的な経営戦略

当社は、感光性材料事業及び化成品事業の2事業を営んでおります。感光性材料事業の関連業界は、IoT時代の到来により、半導体、電子部品需要のさらなる拡大が予測され、今後も成長が期待できると考えられますが、新興国の技術水準の向上と、それに伴うエレクトロニクス産業の新興国への生産拠点シフトによる低価格化の進行、ならびに技術革新による新技術や新製品の開発競争も激しさを増しております。これらの要因から、価格競争の激化のみならず、景気全体の影響やエレクトロニクス製品の市場でのヒットなどの影響を受けやすく、業績の大きな変動も避けられないものと考えます。これら需要変動の影響を最小限に留めるため、化成品事業の競争力をより向上させ、当社全体として安定した業績を維持できる体質を構築することが必要と考えております。

 

<感光性材料事業>

デジタル家電の普及とともに、「表示装置は大型・小型とも高精細」「半導体等のデバイスは小型で高機能な製品」を求める動きはより一層活発になるものと予想されます。これに伴い、当社の供給する感光性材料に関しましても、より微細で高機能、かつ安定品質で提供できる材料が求められております。具体的には、KrF,ArFエキシマレーザー用、および次世代のEUV用レジスト向けの樹脂、及び光酸発生剤(PAG)の新製品開発と生産設備の増強に取り組むとともに、表示装置用途向け液晶用感光材の拡販を着実に進めております。

今後も、研究開発及び生産技術、工程、製品品質の更なる向上に努めるとともに、お客様との関係強化を通じて幅広いニーズに応える事業展開を目指しております。

また、電解液及びイオン液体は、感光材で培った合成、精製及び分析技術を応用することにより、高純度製品を製造し、需要開拓に努めております。

<化成品事業>

石油化学の誘導品は、低価格の海外製品との競争が激化し、事業環境は激しさを増しております。こうした状況に対応するため、高付加価値製品の研究開発に取り組み、主に欧米向けを中心に市場開発を進めています。また、規制物質を低減した医薬品の開拓も進めていきます。

溶剤関係については長年培ってきた精密蒸留分離技術の強みを活かし、環境問題や省資源に対する関心を背景に拡大が見込まれるリサイクル市場の開拓にも取組むとともに、高付加価値製品を中心に電子材料業界向け溶剤の販売及びリサイクル需要を獲得してまいります。

ロジスティック部門は、石油化学関連業界での競争激化により、物流経費の削減及び物流基地の統廃合が進んでおり、事業を取り巻く環境は引き続き厳しいものと予想されます。しかしながら、遠隔地に立地する石油コンビナート生産工場で生産された液体化学品や海外メーカー生産の液体化学品は、大都市消費地へ輸送し販売を行う場合、タンカーから沿岸タンクに受け入れて一時保管し、車両によるユーザーへの陸上輸送を行います。この物流形態は、今後も引き続き必要不可欠であります。また、当社は、ローリー単位での輸送からドラム単位の取扱に至るまで、お客様のニーズに柔軟な対応を可能とする液体化学品総合物流基地としての機能を構築しております。高浜油槽所の立地条件の良さと安全操業、化学品の生産活動で蓄積した高度な取扱・保管技術を最大限に活かし、今後も液体化学品総合物流基地としてお客様の信頼を獲得してまいります。

c  コーポレート・ガバナンスの強化への取組み

当社は、企業価値・株主共同の利益の向上を実現するためには、株主価値を高めることが課題であると認識しており、経営の効率化・健全化を積極的に進めるとともに、経営の透明性を高めるためコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおります。

当社は監査役会設置会社及び執行役員制度を採用し、取締役会による「意思決定・監督」と執行役員による「業務執行」、監査役及び会計監査人による「監査」により、経営監督・監査と執行の機能を分担して運営しております。
取締役の責任明確化と経営環境の変化に柔軟に対応するため、取締役の任期を1年としております。また、社外取締役及び社外監査役を選任しており、株式会社東京証券取引所が定める独立性の基準に従い独立役員として届け出ております。これらの社外役員と代表取締役社長による連絡会を四半期に一度開催し、経営や企業統治に関する様々な助言を得ることができる機会を設け、コミュニケーションの強化を図っております。

これらの取り組みにより株主の皆さまをはじめとする様々なステークホルダーとの信頼関係をより一層強固なものにし、企業価値の継続的な向上をめざしてコーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。

 

③  会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、上記会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させるための取組みとして、平成29年5月12開催の当社取締役会において「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本プラン」といいます。)の継続を決議し、平成29年6月23日開催の当社第67回定時株主総会において、本プランについて株主の皆様にご承認をいただき継続しております。

本プランの対象となる当社株式の大規模買付行為とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。

本プランにおける大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関しては、次のとおり一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設けており、大規模買付ルールによって、①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付けの場合は最長60日間、またはその他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価・検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間、または株主検討期間を設ける場合には取締役会評価期間及び株主検討期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。

本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。ただし、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても当該大規模買付行為が、結果として当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で新株予約権の無償割当等、会社法その他の法律及び当社定款が認める検討可能な対抗措置をとることがあります。

このような対抗措置をとる場合、その判断の客観性及び合理性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役または社外有識者から選任された委員で構成する独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について、取締役会評価期間内に対抗措置発動の是非または対抗措置の発動について株主総会に付議することの要否を、取締役会に対し勧告するものとします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。

なお、本プランの有効期限は平成32年6月30日までに開催される当社第70回定時株主総会の終結の時までとします。本プランは、当社第67回定時株主総会において継続が承認され発効した後であっても、①当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合には、その時点で廃止されるものとします。継続後の本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載しております。

(当社ウェブサイト  http://www.toyogosei.co.jp)

 

④  本プランが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

本プランは、a 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること、b 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること、c 株主総会での承認により発効しており、株主意思を反映するものであること、d 独立性の高い社外者のみから構成される独立委員会の判断を重視するものであること、e デッドハンド型及びスローハンド型の買収防衛策ではないこと等、会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1) 市場環境の変動について

<感光性材料事業>

感光性材料事業の主力製品である感光性材料は、お客様であるフォトレジストメーカーによりフォトレジストの原料として使用され、半導体・液晶の製造工程で使用されます。当事業製品の供給先は、日本、北米、韓国、台湾でありますが、半導体および液晶の需要はエレクトロニクス製品の世界需要によるところが大きく、世界景気の影響や、携帯電話、タブレット等の新製品の売れ行きにより、業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、ファインケミカルメーカー、半導体・液晶業界再編等により、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<化成品事業>

香料材料関係の主力商品の原料には天産品由来のものも多く、天候や市況によりその価格に大きな変動を及ぼす可能性があります。溶剤関係は、溶剤の市場価格の変動やお客様の製造工程の変更等により、溶剤の仕様変更等のリスクがあります。ロジスティック部門は、顧客層の多様化により為替変動の影響は軽微でありますが、景気変動による荷役量低下は、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原燃料価格の上昇について

当社で使用する主要な原材料並びに重油等の原料は、市況により価格が変動します。これら原材料の価格が高騰した場合には製造原価の上昇につながり、この上昇をコストダウンで吸収しきれない場合、また市場の状況によって販売価格への転嫁が困難な場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替レートの変動について

当事業年度の海外直接売上高割合は38.4%でありますが、経済のグローバル化が一層進展する中で、感光性材料事業・化成品事業(主に香料材料分野)ともに、海外市場での営業展開は、事業の更なる発展にとって必要不可欠な課題と位置づけております。こうした観点から、今後も輸出比率は上昇する可能性があります。当社は、為替レート変動への対処策として、為替予約等によるリスクヘッジや、海外から輸入する原材料の外貨建て決済化など、為替変動の直接的な影響の回避を図っておりますが、為替相場の急激な変動により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 製品の在庫水準について

感光性材料製品は、各お客様の使用に合致した極めて高品質な製品供給が求められております。このため新規供給製品だけでなく継続供給製品においても、品質検査を受け、検査の合格を待って出荷する制度を採用しております。この検査期間の間、製品を在庫として保有することになります。また、各製品の安定供給のために、お客様による検査合格済製品を一定水準で在庫として保有することを要請されております。こうした要因により、当社の在庫水準は他業種に比較して高水準となる傾向があり、運転資金が増加する可能性があります。

(5) 借入金への依存度及び金利変動について

当社は設備投資資金、および運転資金を銀行からの借入によって賄ってきたため、有利子負債の比率が高い水準となっております。当社は借入金比率の削減を図り、財務体質の強化に努める方針でありますが、急激な金利変動が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 環境安全と安全管理について

当社は、企業活動と自然環境の保護・保全の調和を常に意識しながら、環境保全活動に積極的に取り組んでおります。しかしながら、米国のTRI(Toxic Release Inventory)が1986年に発足してから、環境に関する取り組みは規制型から監視型へ転換し、各企業の自主性を求め、それを公表するように促しております。データを公表することにより、近隣住民、NGO団体等からの厳しいチェックを受け、日常の企業活動に予期せぬ制約を受ける可能性があります。また、現行法上、特に規制を受けていない既存物質においても、新たに規制対象物質に組み込まれた場合、生産工程を始めとした企業活動に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(7) 自然災害・事故災害の影響について

当社は、製造設備の停止による事業活動への影響を最小限に抑えるため、定期的な設備の点検および保守を行なっております。また、労働災害を予防するため、リスクアセスメントの結果に基づき対策を講じ、実施状況について監査を行うとともに、BCPを構築し、防災訓練などの緊急時対応訓練も定期的に行なっております。平成24年9月には事業継続の認証であるBS-25999を取得(翌25年9月、国際規格ISO022301へ移行)しており、高いレベルでのリスクマネジメントにも取り組んでおります。しかしながら、天変地異や不測の事故等により重大な損害を被った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 製品の品質・欠陥について

当社の製品は、納入先との契約に従った品質検査だけではなく当社の厳格な品質管理基準を設けるなど、厳格な品質管理を実施しております。感光性材料製品につきましては、当社で品質検査を実施し、さらにお客様における品質検査の合格をもって出荷する制度を採用しております。また、化成品事業での製品につきましても、当社の品質検査を実施しており、香料材料製品などにつきましては、お客様における品質検査を受けております。しかしながら、当社製品を原因とする問題が生じた場合、損害賠償等により、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 産業財産権について

当社が現在展開している製造事業は、長年にわたって当社が蓄積してきた他社製品との差別化技術とノウハウとに基づき運営しております。当社は、それら技術に関して、特許権等産業財産権による保護が適当であると判断した技術については産業財産権を取得するよう努めております。しかしながら、当社保有の産業財産権の権利範囲外であっても、当社の製品と類似の機能を有するものが第三者から販売される可能性が有り、さらに当社の製造方法等の権利侵害の立証の困難な技術に関する産業財産権については、第三者による当社産業財産権の侵害を効果的に防止できない可能性もあります。そのような事態が発生した場合、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社が現在、開発・製造販売を展開している製品及び今後、開発・製造する新製品についても、企画開発段階から新製品に係る第三者の産業財産権の系統的な調査を行い、第三者の権利侵害を未然に防ぐよう努めております。しかしながら、当社が調査でも把握できなかった第三者の産業財産権を侵害した場合又はその疑いが生じた場合には、その権利保有者から当社の権利侵害を主張され、当社が損害賠償若しくは侵害被疑製品の製造販売の差し止めを請求され又はロイヤルティ等の支払いを要求される可能性があります。そのような事態が発生した場合、当社の事業戦略や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点において経営に重大な影響を与える当社が侵害被疑者となっている産業財産権関連の訴訟はありません。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社は、感光性材料事業においては、感光材研究所で半導体及びディスプレイに用いられる感光性材料の研究開発を行っております。千葉工場研究開発部門では、感光材研究所で開発された光・電子材料に関連する感光性材料の工業化プロセスの研究開発だけでなく、工場の隣接した環境で研究開発から製品化までを一貫して短い期間で行う機能を備え、タイムリーな工業製品の供給を推進しております。

化成品事業においては、感光材研究所内の先進技術研究グループと開発技術部において、香料材料、機能性材料に用いられる新製品と新技術、コストダウンのための研究開発を行っております。

新規事業分野においてはナノテクノロジー材料、ライフサイエンス関連材料、新規機能性材料などの研究開発を行っております。

各営業グループ、各工場のプロセス開発グループ及び感光材研究所が一体となり、お客様ニーズに合致した製品を開発するため、お客様との共同研究、共同開発を精力的に推進しております。また、大学及び公的研究機関等との共同研究、共同開発も積極的に推進しております。

平成29年3月期の研究開発費の総額は859,364千円で、主な研究開発活動は次の通りであります。

 

 

(1) 感光性材料事業

感光性材料部門においては、高集積半導体デバイス加工、液晶ディスプレイ等に使用されるレジストの原材料となる感光材の開発ならびに工業化を推進しております。近年、先端LSIの領域では、厳しい品質管理が求められ、特に製品に含まれる不純物メタルを低減することが求められており、このための材料開発、製造プロセスについても継続的な開発を続けております。また、これらのコストダウンのための新しいプロセスの工業化にも取組みました。

当社のコアテクノロジーである化学増幅型レジスト用材料の分野では、これからの半導体製造プロセスで期待されているEUV用レジスト用材料などの先進材料の研究開発を行っております。上記のレジスト用材料の開発で培った技術を表示素子の分野にも展開し、表示素子を高機能化する材料の開発を推進しております。

ネガ型感光性樹脂の分野では、水溶性光硬化性樹脂の材料開発を行っております。優れたプロセス特性を有する樹脂の研究開発を行っており、お客様の新規高機能デバイスの開発に貢献しています。

 

(2) 化成品事業

香料材料関係では、高品質かつ安定した品質の合成香料及び材料の製造方法を中心に研究開発を行い、世界の大手香料会社から高い評価を得ております。競争力のある製品作りを主眼に既存製品の工程や原料の見直しを積極的に進め、また新たな製造方法の導入、装置化も進めております。

溶剤関係では、電子材料向けの先端デバイスの加工時に使用される高品質溶剤の製造方法・リサイクル方法を中心に研究開発を行っております。また、集積回路の微細化に資するため、純度を高めた製品開発を顧客企業とともに進めております。更に、規制物質を低減した医薬品向け溶剤の研究開発も行っております。

 

(3) 新規事業分野

ナノテクノロジー分野は、各種ディスプレイパネルなどをはじめ、これから多くの市場を創造し、その成長性が期待されている分野です。当社は、光ナノインプリント樹脂およびモールド樹脂の研究開発の成果を通して、お客様のこれらの製品の性能・機能の向上に貢献しております。

ライフサイエンス分野は21世紀の成長市場と期待されていますが、当社では、当社が保有する生体適合ポリマー技術、3D細胞培養技術を駆使して、培養容器向け材料や、化学物質の毒性検査、薬理スクリーニングや再生医療技術に有効な均質なスフェロイドのより効率的な形成が可能な細胞培養プレートおよびお客様がご購入後すぐに使用できる(ready-to-use)、スフェロイド形成済のプレートの開発と事業開拓を鋭意進めております。

新規機能性材料では、今後需要拡大と技術の高度化が見込まれる半導体チップ実装用封止・接着剤向け、構造接着向けの硬化剤、硬化促進剤などの技術開発と事業開拓を鋭意進めております。

以上のように、当社は、化学による「ものづくり」の技術革新を通して、21世紀前半に花開くと期待されている様々な製品分野の開発に貢献しており、今後もお客様と共に、最先端で最高の機能・性能を追求してまいります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態

当事業年度末における総資産は28,425,112千円となり、前期比192,112千円の増加となりました。

流動資産は11,465,482千円で、前期比353,749千円の増加となりました。これは主に現金及び預金の増加によるものであります。

固定資産は16,959,629千円で、前期比161,637千円の減少となりました。これは主に減価償却によるものであります。

流動負債は14,037,774千円で、前期比1,637,871千円の増加となりました。これは主に短期借入金の増加によるものであります。

固定負債は7,387,026千円で、前期比1,640,055千円の減少となりました。これは主に長期借入金の減少によるものであります。

純資産合計は7,000,311千円で、前期比194,296千円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものであります。

なお、キャッシュ・フローの分析につきましては、1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローに記載しております。

 

(2) 経営成績

当事業年度の売上高は、18,183,226千円(前期比+264,013千円 +1.5%)、営業利益は527,082千円(前期比△438,984千円 △45.4%)、経常利益は412,363千円(前期比△276,253千円 △40.1%)、当期純利益は233,286千円(前期比△234,758千円 △50.2%)となりました。
売上高および営業利益については「1 業績等の概要 (1) 業績」に記載の通り、販売・生産量共に順調に増加いたしましたが、売上高は円高の影響により前期比微増となり、利益については為替の影響、一過性費用、機能強化費用の発生により前期比減益となりました。

営業外収益から営業外費用を差引いた純額は、114,719千円の費用計上となりました。内訳としては、支払利息177,826千円によるものであります。この結果、当期の経常利益は412,363千円(前期比△276,253千円)となりました。

特別損失は、255,955千円の計上となりました。内訳としては、役員退職慰労引当金計上によるものであります。

以上の結果、税引前当期純利益は156,432千円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を差引いた当期純利益は233,286千円(前期比△234,758千円)となりました。