第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 対処すべき課題

当社は、市場や市況の変動による影響を最小限に留め、安定的に利益を生み出す事業基盤の構築に向けた、全社的なコスト削減に取り組むとともに、原価の変動に見合った適正な販売価格を維持し、収益性の向上に努めてまいります。
 

事業部門別の課題として、感光性材料事業では、半導体、フラットパネルディスプレイ(FPD)マーケットが成長をつづけており、当社製品の需要も顕著に増加しております。これに対応した生産能力増強が課題となっておりましたが、設備投資を行い、稼働を開始しております。今後も安定供給体制の強化に努めてまいります。また、デバイスの進化に伴い、EUVリソグラフィー向け感光性材料の早期量産化と共に、製品、製造工程の品質向上とその管理維持体制を強化し、競争力のある製品の提供に努めてまいります。また、お客様との関係強化により、次世代のニーズを取り込んだ製品開発および製造、品質管理を行える仕組みづくりをさらに推進してまいります。

化成品事業では、引き続き需要拡大が見込まれる電子材料分野に対して、生産設備の増強、生産効率化、カスタマーサービスの強化により安定供給に努めてまいります。また、更なる品質向上が求められる中、サプライヤーを含めた品質管理体制の強化、次世代の管理レベルを見据えた製品の開発を実施いたします。海外需要の取り込みに対して、電子材料向け、香料材料向けともにセールスチャネルを強化してまいります。

ロジスティック分野は、為替の急激な変動により輸入品タンク契約の需要に影響が生じる場合がありますが、国内メーカー等需要の多様性を開拓し、安定契約取込みに努めてまいります。

(2) 株式会社の支配に関する基本方針

会社法施行規則第118条第3号に定める「株式会社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」(以下「会社の支配に関する基本方針」といいます。)の内容は下記のとおりです。

①  会社の支配に関する基本方針の内容

当社は、1954年の設立以来、独創的な視点を大切にした研究・開発に注力し、現在ではフォトレジスト向けの感光性材料等の製造・販売を中心とした「感光性材料事業」、香料材料の製造・販売及び電子材料向け溶剤を中心とする高付加価値品の製造・販売及びリサイクル、ならびに液体化学品の保管業務を行う「化成品事業」を営んでおります。

当社事業の特徴として、①顧客企業と研究開発段階からの技術的な摺り合せによる顧客との強力な協業関係の構築、②長年にわたり蓄積された高い生産技術力、③事業環境の変化への対応力を高める成長事業と基盤事業を組み合わせた事業ポートフォリオの構築、④各事業が密接に結び付くことによる大きなシナジー効果等により、国内のみならず、世界各国のお客様より高い評価をいただいております。

当社は、当社の財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方について、当社の経営理念や企業価値のさまざまな源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させる者でなければならないと考えております。

上場会社である当社の株式は、株式市場を通じて多数の株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株式に対する大規模な買付行為や買付提案があった場合においても、当該大規模な買付等が当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものであれば一概に否定するものではなく、これに応じるか否かは最終的に株主の皆様の自由な意思により判断されるべきであると考えております。

しかしながら、このような大規模な買付等の中には、専ら買付者自らの利潤のみを追求しようとするもの、株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。

当社は、上記の例を含め、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模な買付等を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。

 

②  会社の支配に関する基本方針の実現に資する取組み

当社では、中長期的な経営戦略及びコーポレート・ガバナンスの強化の両面より、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保、向上に努めており、次の施策が会社の支配に関する基本方針の実現に資するものと考えております。

a  経営の基本方針

当社は、経営方針として「①安全操業を最優先し、従業員、協力会社社員、地域住民など関係者の安心できる操業環境を確保する。②法令や社内ルールを遵守するとともに、誠実かつ公正な企業活動を行う。③世界最高のマイクロストラクチャー構造材料を国際社会に提供する。④常に新製品、新プロセス、新サービスを開発する。⑤生産技術の高度化を推進し、新プロセスを開発、安定品質で市場競争を勝ち抜く。⑥国内外隔たりなく企業活動を展開し、日本を代表するグローバル企業となる。⑦全社をあげて、常に能力開発に努め、個人の能力の向上を通じて創造性を発揮し、社会に貢献する。」を掲げております。当社は、この経営方針に基づき、積極的な事業展開を進め、業容の拡大と業績の向上に邁進し、高品質かつ高機能な材料を可能な限り安価に供給することにより、産業全体の発展と高度化に役立つことを目指しております。

また、創業以来、「当社の生命線は研究開発にある」を理念に、独創的な視点を大切にした研究開発力の強化と生産技術の向上に努め、蓄積された技術やノウハウを活用して市場ニーズに迅速かつ的確に対応し、有機合成から分離精製、プラントエンジニアリング、化成品物流等に至るまで、事業分野及び事業規模を着実に拡大させることにより化学産業界で独自の地位を築いてまいりました。当社は永続的発展を通じてお客様、株主の皆様、従業員等の利害関係者に貢献することを目指しております。

 

b  中長期的な経営戦略

 当社は、当社の企業価値および株主共同の利益の向上のため、5ヵ年の中期経営計画「TGC300」を策定し、今年度からスタートさせています。

 本中期経営計画では、「当社が蓄積してきた高純度合成力、精製技術により磨きをかけ、顧客品質を満たす安定供給体制を構築し、世界の技術革新に資する人・組織・事業の成長の三立を実現する」というコンセプトの下、「顧客課題、技術課題一つ一つを真摯に独創的な視点で解決し、超高品質と生産性を両立し、世界No.1ダントツ企業となる」というビジョンを掲げ、5年後の数値目標である売上高300億円以上、経常利益30億円以上、経常利益率10%以上の実現に向けて取り組んでまいります。

 なお本中期経営計画の事業戦略、全社戦略は次の通りです。

<セグメント戦略>

■感光性材料事業の生産能力拡大

 ・顧客品質の継続的実現により、電子材料の技術革新に貢献する

 ・先端半導体を支える超高純度合成と生産性向上の両立

■化成品事業の事業強化

 ・先端半導体向け超高純度溶剤の品質・開発・安定供給体制の強化

 ・化学専業タンクターミナルとしての自動化促進と更なる高付加価値化

<全社戦略>

■人材育成

 ・生産性向上に向けた人材育成の強化

 ・文化的多様性を許容できる次世代ビジネスリーダーの育成

■技術戦略の強化

 ・顧客品質と生産性を両立する製造技術開発強化

 ・蓄積された世界随一の高純度製造ノウハウとIoT技術の融合による生産性の向上

 ・技術シーズを事業化する体制を強化し、次世代のビジネスポートフォリオの構築を

  図る

■経営基盤の強化

 ・機能性材料サプライチェーンを支える安全技術力を高める

 ・企業価値向上を目的としたガバナンス体制を構築する

 

 また、各事業の基本戦略は次の通りです。

 感光性材料事業は、半導体、FPDの製造に使用されるフォトレジストの主原料となる感光性材料を主要製品として供給しております。半導体業界は、世界的なIoTへの進化により、情報通信技術の普及は産業面だけでなく、日常生活に不可欠なコンシューマ向けエレクトロニクス製品や車の自動運転等、使用用途の一層の拡大が見込まれております。また、これらを実現するための技術として、半導体設計サイズの微細化、三次元化のためのリソグラフィ技術は進化し、当社が供給している素材についても高度な研究開発と、pptレベルの品質管理と共に安定した供給の責任が求められて来ております。このような市場状況に対応するため、感光性材料事業では、新規材料の研究開発、製造技術開発、品質管理の高度化に取組み、世界最先端の半導体技術へ素材材料から貢献する企業を目指してまいります。また、世界的な需要の拡大に対応した生産能力の増強をより一層進めることにより、事業の拡大と収益性の向上を図ってまいります。

 化成品事業は、化成品分野として半導体やFPD、及び医薬品等の製造に使用される高純度溶剤、フレーバー・フレグランス等の香料に使用される香料原料用途の化学品の製造・販売、およびロジスティック分野として液体化学品の保管管理を行っております。

 化成品分野で扱う最先端の電子部品の製造に使われる高純度溶剤は、電子部品の不具合につながるような不純物・金属イオン等を限りなく低減させた高純度が必須であり、当社創業以来培ってきた高純度化や難易度の高い合成力といった技術・ノウハウによって実現しています。当社製品が製造に使用される半導体・FPD・医薬品・香料などは、いずれも人々の日常生活に必要なものであるため、当社は安全操業、安定供給という社会的責任を果たすとともに、研究開発や技術開発を一層強化することで、市場ニーズを見据えた競争力の高い製品の開発を強力に推進してまいります。

 ロジスティック分野は、国内外の化学品の首都圏需要に対応する化学品物流の主要拠点として東京湾内最大の出荷量を誇るケミカルタンクターミナルを構え、液体化学品の受入・保管管理・出荷をおこなっております。国内の化学品物流は、石油化学関連企業の統合等により、物流経費の削減及び物流基地の統廃合が進んでおり、事業を取り巻く環境は引き続き厳しいものと予想されます。しかしながら、遠隔地に立地する石油コンビナートで生産された液体化学品や海外メーカーの液体化学品を、大都市消費地へ輸送する物流形態は、今後も引き続き必要不可欠であります。当社は、お客様のニーズに柔軟な対応が可能な液体化学品総合物流基地としての機能を構築しており、安全操業と化学品の生産活動で蓄積した高度な取扱・保管技術を最大限に活かし、今後もお客様の信頼を獲得してまいります。

 当社では、このような取組みを積極的に行い、企業価値の持続的な向上を実現してまいります。

 

c  コーポレート・ガバナンスの強化への取組み

当社は、企業価値・株主共同の利益の向上を実現するためには、株主価値を高めることが課題であると認識しており、経営の効率化、健全化を積極的に進めるとともに、経営の透明性を高めるため、コーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおります。

当社は、監査役会設置会社及び執行役員制度を採用し、取締役会による「意思決定・監督」と管掌取締役及び執行役員による「業務執行」、監査役及び会計監査人による「監査」により、経営監督・監査と執行の機能を分担して運営しております。

取締役の責任の明確化と事業環境の変化に柔軟に対応するため、取締役の任期を1年としております。また、社外取締役及び社外監査役を選任しており、株式会社東京証券取引所が定める独立性の基準に従い独立役員として届け出ております。これらの社外役員と代表取締役社長による連絡会を四半期に一度開催し、経営や企業統治に関する様々な助言を得ることができる機会を設け、コミュニケーションの強化を図っております。

これらの取組みにより株主の皆様をはじめとする様々なステークホルダーとの信頼関係をより一層強固なものにし、企業価値の継続的な向上をめざしてコーポレート・ガバナンスの強化に努めてまいります。

 

③  会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、上記会社の支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させるための取組みとして、2017年5月12開催の当社取締役会において「当社株式の大規模買付行為に関する対応策」(以下「本プラン」といいます。)の継続を決議し、2017年6月23日開催の当社第67回定時株主総会において、本プランについて株主の皆様にご承認をいただき継続しております。

本プランの対象となる当社株式の大規模買付行為とは、特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為をいい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」といいます。

本プランにおける大規模買付時における情報提供と検討時間の確保等に関しては、次のとおり一定のルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を設けており、大規模買付ルールによって、①事前に大規模買付者が当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、②必要情報の提供完了後、対価を現金のみとする公開買付による当社全株式の買付けの場合は最長60日間、またはその他の大規模買付行為の場合は最長90日間を当社取締役会による評価・検討等の取締役会評価期間として設定し、取締役会評価期間、または株主検討期間を設ける場合には取締役会評価期間及び株主検討期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。

本プランにおいては、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置は講じません。ただし、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、遵守しても当該大規模買付行為が、結果として当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断する場合には、必要かつ相当な範囲で新株予約権の無償割当等、会社法その他の法律及び当社定款が認める検討可能な対抗措置をとることがあります。

このような対抗措置をとる場合、その判断の客観性及び合理性を担保するために、取締役会は対抗措置の発動に先立ち、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役または社外有識者から選任された委員で構成する独立委員会に対して対抗措置の発動の是非について諮問し、独立委員会は対抗措置の発動の是非について、取締役会評価期間内に対抗措置発動の是非または対抗措置の発動について株主総会に付議することの要否を、取締役会に対し勧告するものとします。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとします。

なお、本プランの有効期限は2020年6月30日までに開催される当社第70回定時株主総会の終結の時までとします。本プランは、当社第67回定時株主総会において継続が承認され発効した後であっても、①当社株主総会において本プランを廃止する旨の株主の一定割合の意思表示が行われた場合、②当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議等が行われた場合には、その時点で廃止されるものとします。継続後の本プランの詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載しております。

(当社ウェブサイト  http://www.toyogosei.co.jp)

 

④  本プランが会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて

本プランは、a 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること、b 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって導入されていること、c 株主総会での承認により発効しており、株主意思を反映するものであること、d 独立性の高い社外者のみから構成される独立委員会の判断を重視するものであること、e デッドハンド型及びスローハンド型の買収防衛策ではないこと等、会社の支配に関する基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1) 市場環境の変動について

<感光性材料事業>

感光性材料事業の主力製品である感光性材料は、フォトレジストの原料として使用され、半導体、FPDの製造工程で使用されます。当事業製品は、グローバルに供給されており、世界的な半導体、FPD需要はエレクトロニクス製品の世界需要によるところが大きく、新たな通信技術、電子制御、および電子データを使用するマーケットの創出により、市場の需要が変化し、業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、ファインケミカルメーカー、半導体・FPD業界の再編等により、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

<化成品事業>

当社の溶剤製品は、電子材料分野の需要動向、お客様の製造工程変更等による品種や仕様の変更があった場合、業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

香料材料の主力商品の原料には天産品由来のものもあり、天候や市況によりその価格に大きな変動を及ぼす可能性があります。

ロジスティック部門は、顧客サプライチェーンの多様化により為替変動の影響は軽微でありますが、景気変動により荷役量が減少した場合、当事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 原燃料価格の上昇について

当社で使用する主要な原材料並びに重油等の原料は、市況により価格が変動します。これら原材料の価格が高騰した場合には製造原価の上昇につながり、この上昇をコストダウンで吸収しきれない場合、また市場の状況によって販売価格への転嫁が困難な場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 為替レートの変動について

当事業年度の海外直接売上高割合は32.34%でありますが、経済のグローバル化が一層進展する中で、感光性材料事業・化成品事業(主に香料材料分野)ともに、海外市場での営業展開は、事業の更なる発展にとって必要不可欠な課題と位置づけております。こうした観点から、今後も輸出比率は上昇する可能性があります。当社は、為替レート変動への対処策として、為替予約等によるリスクヘッジや、海外から輸入する原材料の外貨建て決済化など、為替変動の直接的な影響の回避を図っておりますが、為替相場の急激な変動により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 製品の在庫水準について

当社は、事業継続計画(BCP)に基づき一定の水準で製品在庫を保有しており、他業種に比較して、当社の在庫水準は高くなる傾向にあります。急激な販売増加により運転資金が増加する可能性や、末端市場での急激な需要落ち込み等により余剰在庫が滞留することによる運転資金の増加の可能性があります。

(5) 借入金への依存度及び金利変動について

当社は設備投資資金、および運転資金を銀行からの借入によって賄ってきたため、有利子負債の比率が高い水準となっております。当社は借入金比率の低減を図り、財務体質の強化に努める方針でありますが、急激な金利変動が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 環境安全と安全管理について

当社は、企業活動と自然環境の保護・保全の調和を常に意識しながら、環境保全活動に積極的に取り組んでおります。しかしながら、米国のTRI(Toxic Release Inventory)が1986年に発足してから、環境に関する取り組みは規制型から監視型へ転換し、各企業の自主性を求め、それを公表するように促しております。データを公表することにより、近隣住民、NGO団体等からの厳しいチェックを受け、日常の企業活動に予期せぬ制約を受ける可能性があります。また、現行法上、特に規制を受けていない既存物質においても、新たに規制対象物質に組み込まれた場合、生産を始めとした企業活動に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(7) 自然災害・事故災害の影響について

当社は、製造設備の停止による事業活動への影響を最小限に抑えるため、定期的な設備の点検および保守を行なっております。また、労働災害を予防するため、リスクアセスメントの結果に基づき対策を講じ、実施状況について監査を行うとともに、BCPを構築し、防災訓練などの緊急時対応訓練も定期的に行なっております。2012年9月には事業継続の認証であるBS-25999を取得(翌2013年9月、国際規格ISO022301へ移行)しており、高いレベルでのリスクマネジメントにも取り組んでおります。しかしながら、天変地異や不測の事故等により重大な損害を被った場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 製品の品質・欠陥について

当社の製品は、納入先との契約に従った品質検査だけではなく、当社においてより厳格な品質管理基準を設けるなど、厳格な品質管理を実施しております。また、感光性材料事業の製品、化成品事業の電子材料用途の製品、ならびに香料材料製品につきましては、上記の当社における品質検査のほか、お客様における受入品質検査を受けております。しかしながら、当社製品を原因とする問題が生じた場合、損害賠償等により、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 産業財産権について

当社が現在展開している製造事業は、長年にわたって当社が蓄積してきた他社製品との差別化技術とノウハウとに基づき運営しております。当社は、それら技術に関して、特許権等産業財産権による保護が適当であると判断した技術については産業財産権を取得するよう努めております。しかしながら、当社保有の産業財産権の権利範囲外であっても、当社の製品と類似の機能を有するものが第三者から販売される可能性が有り、さらに当社の製造方法等の権利侵害の立証の困難な技術に関する産業財産権については、第三者による当社産業財産権の侵害を効果的に防止できない可能性もあります。そのような事態が発生した場合、当社の業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社が現在、開発・製造販売を展開している製品及び今後、開発・製造する新製品についても、企画開発段階から新製品に係る第三者の産業財産権の系統的な調査を行い、第三者の権利侵害を未然に防ぐよう努めております。しかしながら、当社が調査でも把握できなかった第三者の産業財産権を侵害した場合又はその疑いが生じた場合には、その権利保有者から当社の権利侵害を主張され、当社が損害賠償若しくは侵害被疑製品の製造販売の差し止めを請求され又はロイヤルティ等の支払いを要求される可能性があります。そのような事態が発生した場合、当社の事業戦略や業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。なお、現時点において経営に重大な影響を与える当社が侵害被疑者となっている産業財産権関連の訴訟はありません。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 わが国経済は、雇用・所得情勢の改善を受けた個人消費の持ち直しや堅調な企業収益により緩やかな景気回復が続きました。

一方、世界経済は、米国では企業収益の改善や雇用拡大を背景に底堅く推移したものの、中国・欧州は景気に減速感が見られました。

さらに、米中貿易摩擦の推移、金融資本市場の動向、各国・地域における地政学的リスクなど、引き続きの注視が必要とされる状況が続いています。

このような状況のもと、当社は2018年8月10日発表の中期経営計画「TGC300」に基づき、お客様との関係強化、積極的な拡販、新製品の開発、コスト削減に取り組み、当事業年度の売上高は22,975,020千円(前期比+2,438,276千円、+11.87%)、営業利益は1,559,700千円(前期比+258,962千円、+19.91%)、経常利益は1,567,860千円(前期比+478,521千円、+43.93%)、当期純利益は1,171,026千円(前期比+307,967千円、+35.68%)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

[感光性材料事業]

半導体市場は、メモリ市況の減速があったものの、全体では堅調に推移し、FPD市場も長期的な市場の拡大が続きました。ナフトキノン系感光性材料(PAC)は、FPD向けを中心に引き続き好調に推移し、売上が増加しました。KrF、ArF露光向け感光性材料(PAG)も在庫確保を含めた半導体向け需要が堅調に推移し、売上が増加しました。また、新規EUV世代向け感光性材料の量産化、および先端半導体向け感光性材料の新規品開発も進捗し、新製品販売が増加しました。

一方、営業利益は当期実施した生産能力増強投資に伴い減価償却費、労務費が先行して増加したことにより減益となりました。

この結果、同事業の売上高は12,611,387千円(前期比+1,283,212千円、+11.33%)、営業利益は1,058,870千円(前期比△216,989千円)となりました。

 

[化成品事業]

高純度溶剤製品は、成長率の高い電子材料分野の需要拡大に対して、生産設備の増強、生産効率化を積極的に推進した結果、売上は大幅に増加しました。

香料材料製品は、世界的に品質への要求が厳しくなるなか、品質の安定化および安定供給に努めたことにより、国内外ともに販売は堅調に拡大しました。

ロジスティック部門は、顧客満足度向上に努めた結果、タンク契約率、回転率共に高水準で推移しております。

この結果、同事業の売上高は10,363,633千円(前期比+1,155,063千円、+12.54%)、営業利益は500,830千円(前期比+475,952千円)となりました。

 

当事業年度末における総資産は36,865,948千円となり、前事業年度末比6,737,167千円の増加となりました。

流動資産は17,228,884千円で、前事業年度末比4,611,430千円の増加となりました。これは主に現金及び預金2,886,857千円の増加、売掛金693,986千円の増加及び商品及び製品490,200千円の増加並びに原材料及び貯蔵品261,691千円の増加によるものであります。    

固定資産は19,637,063千円で、前事業年度末比2,125,737千円の増加となりました。これは主に取得による増加4,096,326千円及び除売却による減少28,175千円並びに減価償却による減少1,944,260千円によるものであります。

流動負債は16,765,158千円で、前事業年度末比907,484千円の増加となりました。これは主に買掛金128,204千円の増加、設備関係未払金1,084,399千円の増加によるものであります。      

固定負債は11,259,554千円で、前事業年度末比4,771,707千円の増加となりました。これは主に長期借入金4,570,300千円の増加によるものであります。     

純資産合計は8,841,235千円で、前事業年度末比1,057,976千円の増加となりました。これは主に当期純利益1,171,026千円によるものであります。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ2,886,857千円増加し、5,000,383千円となりました。

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益1,511,270千円、減価償却費1,944,260千円などにより、2,097,664千円(前期比△229,627千円)の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出2,480,182千円などにより、2,499,423千円(前期比+1,619,053千円)の支出となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減額△1,350,000千円、長期借入金の純増減額4,874,469千円などにより、3,268,486千円(前期比+4,030,006千円)の収入となりました。

 

  ③生産、受注及び販売の状況

  a.生産実績

当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

前年同期比(%)

感光性材料事業(千円)

14,409,395

17.3

化成品事業(千円)

9,908,775

15.8

合計(千円)

24,318,171

16.7

 

(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

    b.受注状況

当社は、原則として見込み生産を行っております。

 

    c.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自  2018年4月1日

至  2019年3月31日)

前年同期比(%)

感光性材料事業(千円)

12,611,387

11.3

化成品事業(千円)

10,363,633

12.5

合計(千円)

22,975,020

11.9

 

注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2. 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Merck Performance Materials Co., Ltd.

1,993,284

9.7

2,297,986

10.0

 

3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

 ①重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用とともに、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを用いております。これらの見積りにあたり過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 

②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

   a.当社の当事業年度の経営成績等

      ・経営成績の分析

 当事業年度の売上高は22,975,020千円(前期比+2,438,276千円、+11.87%)、営業利益は1,559,700千円(前期比+258,962千円、+19.91%)、経常利益は1,567,860千円(前期比+478,521千円、+43.93%)、当期純利益は1,171,026千円(前期比+307,967千円、+35.68%)となりました。
  売上高および営業利益については「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載の通り、売上高・利益ともに前期比増加となりました。

 営業外収益から営業外費用を差引いた純額は、8,160千円の収益計上となりました。内訳としては、支払利息117,180千円があったものの、受取保険金51,846千円、為替差益33,702千円があったこと等によるものであります。この結果、当期の経常利益は1,567,860千円(前期比+478,521千円)となりました。

 特別利益は、21,673千円の計上となりました。内訳としては、投資有価証券売却益21,673千円の計上によるものであります。

 特別損失は、78,262千円の計上となりました。内訳としては、固定資産除却損78,262千円の計上によるものであります。

 以上の結果、税引前当期純利益は1,511,270千円となり、法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額を差引いた当期純利益は1,171,026千円(前期比+307,967千円)となりました。

 

 

 ・財政状態の分析

 当事業年度の財政状態の分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

 ・キャッシュ・フローの分析

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

   b.当社の経営成績に重要な影響を与える要因

当社の経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しているとおりですが、市場環境の変動等、さまざまなリスク要因が当社の成長や経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は、常に新技術の動向や市場動向に留意しつつ、お客様ニーズに合致した製品を開発し提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因の低減を図ってまいります。

 

 c.当社の資本の財源及び資金の流動性

当社の運転資金需要のうち主なものは、原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、生産設備の購入等によるものであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金、長期運転資金および設備投資は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は18,553,523千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は5,000,383千円となっております。

 

 d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 

[感光性材料事業]

当事業年度の売上高は12,611,387千円(前期比+1,283,212千円、+11.33%)、セグメント利益は1,058,870千円(前期比△216,989千円)となりました。この要因は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載の通り、販売・生産量共に順調に増加したため、売上高は前期比増加となりました。

一方、利益につきましては、当期実施した生産能力増強投資に伴い減価償却費、労務費が先行して増加したことにより減益となりました。

 

[化成品事業]

当事業年度の売上高は10,363,633千円(前期比+1,155,063千円、+12.54%)、セグメント利益は500,830千円(前期比+475,952千円)となりました。この要因は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載の通り、化成品部門は、販売・生産量共に順調に増加したため売上高・利益ともに前期比増加、ロジスティック部門は、タンク契約率、回転率共に高水準で推移したため売上高・利益ともに前期比増加となりました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社は、感光性材料事業においては、感光材研究所にて半導体及びFPDに用いられる感光性材料の研究開発を行い、千葉工場研究開発部門では、感光性材料の工業化プロセスの研究開発だけでなく、工場に隣接した環境で研究開発から製品化までを一貫して短い期間で行う機能も備え、タイムリーな工業製品の供給を行っております。

化成品事業においては、感光材研究所と協働して、高純度溶剤、香料材料に用いられる新製品の開発、及び新技術、コストダウンのための研究開発を行っております。

新規事業分野においては、感光材研究所にてナノテクノロジー材料、ライフサイエンス関連材料、新規機能性材料などの研究開発を行っております。

各営業グループ、各工場のプロセス開発グループ及び感光材研究所が一体となり、お客様ニーズに合致した製品を開発するため、お客様との共同研究、共同開発を精力的に推進しております。また、大学及び公的研究機関等との共同研究、共同開発も積極的に推進しております。

2019年3月期の研究開発費の総額は801,350千円で、主な研究開発活動は次の通りであります。

 

(1) 感光性材料事業

感光性材料部門においては、高集積半導体デバイス加工、FPD等に使用されるフォトレジストの原材料となる感光材の開発ならびに工業化を推進しております。近年、先端LSIの領域では、厳しい品質管理が求められ、不純物メタルを低減することのみならず、製造工程の細部にわたる製造管理が求められており、このための材料開発、製造プロセスについても継続的な開発を続けております。

当社のコアテクノロジーである化学増幅型レジスト用材料の分野では、これからの半導体製造プロセスで本格的量産が見込まれるEUV用レジスト用材料などの先進材料の研究開発を行っております。上記のレジスト用材料の開発で培った高品質な精密合成技術を半導体、FPDの周辺材料分野にも展開し、新たな半導体、FPDを高機能化する材料の開発を推進しております。

 

(2) 化成品事業

 溶剤関係では、電子材料分野に使用される高品質溶剤の製造方法・リサイクル方法を中心に研究開発を行っております。また、集積回路の微細化に資するため、純度を高めた製品開発を顧客企業とともに進めております。

 香料材料関係では、高品質かつ安定した品質の合成香料及び材料の製造方法を中心に研究開発を行い、世界の大手香料会社から高い評価を得ております。競争力のある製品作りを主眼に既存製品の工程や原料の見直しを積極的に進め、また新たな製造方法の導入、装置化も進めております。

 

(3) 新規事業分野

ナノテクノロジー分野は、各種FPDなどをはじめ、これから多くの市場を創造し、その成長性が期待されている分野です。当社は、光ナノインプリント樹脂およびモールド樹脂の研究開発の成果を通して、お客様のこれらの製品の性能・機能の向上に貢献しております。

ライフサイエンス分野は21世紀の成長市場と期待されていますが、当社では、当社が保有する生体適合ポリマー技術、3D細胞培養技術を駆使して、培養容器向け材料や、化学物質の毒性検査、薬理スクリーニングや再生医療技術に有効な均質なスフェロイドのより効率的な形成が可能な細胞培養プレートおよび、お客様がご購入後すぐに使用できるスフェロイド形成済のプレートの開発と事業開拓を鋭意進めております。

新規機能性材料では、今後需要拡大と技術の高度化が見込まれる半導体チップ実装用封止・接着剤向け、構造接着向けの硬化剤、硬化促進剤などの技術開発と事業開拓を鋭意進めております。

以上のように、当社は、化学による「ものづくり」の技術革新を通して、21世紀前半に花開くと期待されている様々な製品分野の開発に貢献しており、今後もお客様と共に、最先端で最高の機能・性能を追求してまいります。