当連結会計年度における経済情勢は、海外では中国やアジア新興国の景気減速が顕著になり、国内では雇用情勢が回復傾向にあったものの個人消費が伸び悩み、年明け以降は急速に円高が進行するなど、先行き不透明かつ厳しい状況にありました。
このような事業環境のもと当社グループは、中国市場でのコスト競争力の向上、新規分野・地域での積極営業展開および新製品開発・展開によるシェア拡大に注力するとともに、ナノインプリント事業の受注拡大、次世代を担う新製品・新規事業の開発に取り組んでまいりました。
しかしながら、ケミカルズについては、中国景気減速の影響を受けて需要が低迷した特殊機能材および加工製品の販売が減少したことなどにより、売上高は前年度を下回りました。装置システムについては、国内での工事完成高が増加したことにより、売上高は前年度を上回りました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、260億19百万円(前連結会計年度比9.6%減)となりました。利益面では、継続的なコスト削減への取り組みに成果があったものの、為替相場変動の影響を受けて為替差損を計上したことなどにより、経常利益は10億7百万円(前連結会計年度比28.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億29百万円(前連結会計年度比30.8%減)となりました。
セグメント別の状況は、以下のとおりです。
<ケミカルズ>
ケミカルズについては、売上高は232億26百万円(前連結会計年度比11.6%減)となりました。製品別の状況は、以下のとおりです。
粘着剤関連製品は、両面テープ等の一般用途向けの販売数量が増加したものの、液晶ディスプレイ用途向けの販売数量が減少し、売上高は124億39百万円(前連結会計年度比1.8%減)となりました。
微粉体製品は、中国市場における光拡散フィルム用途向けの販売数量が減少し、売上高は25億9百万円(前連結会計年度比14.1%減)となりました。
特殊機能材製品は、中国市場における電子材料用途向けの販売数量が減少し、売上高は30億22百万円(前連結会計年度比24.8%減)となりました。
加工製品は、中国市場における家電・電子情報機器分野での機能性粘着テープの販売が減少し、売上高は52億55百万円(前連結会計年度比21.3%減)となりました。
<装置システム>
装置システムについては、受注が回復傾向にあった設備関連の工事完成高が前年度を上回り、売上高は27億93百万円(前連結会計年度比12.0%増)となりました。
製品の種類別売上高は、下表のとおりであります。
セグメントの名称 | 前連結会計年度 (自 平成26年4月1日 至 平成27年3月31日) (百万円) | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) (百万円) |
ケミカルズ |
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粘着剤 | 12,665 | 12,439 |
微粉体 | 2,920 | 2,509 |
特殊機能材 | 4,017 | 3,022 |
加工製品 | 6,674 | 5,255 |
小計 | 26,277 | 23,226 |
装置システム |
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装置システム | 2,494 | 2,793 |
小計 | 2,494 | 2,793 |
合計 | 28,772 | 26,019 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億26百万円増加し、43億1百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、36億60百万円(前年同期は21億73百万円の増加)となりました。
これは、主に税金等調整前当期純利益9億94百万円、減価償却費17億18百万円、売上債権の減少8億35百万円、たな卸資産の減少2億20百万円などによる増加と、法人税等の支払額3億24百万円などに伴う減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、20億60百万円(前年同期は18億28百万円の減少)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得21億00百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、12億99百万円(前年同期は17億31百万円の減少)となりました。
これは、主に短期借入金の減少4億63百万円、長期借入金の返済4億60百万円、配当金の支払額2億90百万円などに伴う減少によるものであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | |
金額(千円) | 前年同期比(%) | |
ケミカルズ | 22,488,392 | 88.3 |
装置システム | 2,795,331 | 112.8 |
合計 | 25,283,723 | 90.5 |
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | |||
受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) | |
ケミカルズ | 23,148,204 | 87.2 | 573,872 | 88.0 |
装置システム | 2,829,966 | 92.8 | 1,005,767 | 103.8 |
合計 | 25,978,171 | 87.7 | 1,579,640 | 97.4 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) | |
販売高(千円) | 前年同期比(%) | |
ケミカルズ | 23,226,375 | 88.4 |
装置システム | 2,793,454 | 112.0 |
合計 | 26,019,830 | 90.4 |
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
次期の事業環境は、国内では景気の停滞感が強まるなか、為替相場や原油価格の変動による影響が懸念され、海外では中国や新興国経済の不確実性が高まるなど、先行き不透明な状況が続くとみております。
当社グループは、事業環境の変化に強い事業構造への変革を目指し、次期を最終年度とする中期経営計画「New Value-2016」で掲げたアジア地域での収益規模の拡大と次世代を担う新たな製品・サービスの創出に向けて、以下の課題にグループの総力を結集して取り組んでまいります。
① 中国市場での収益規模拡大を図るために、中国新工場の本格稼働および既存工場の生産能力向上によるコスト競争力と収益力を確保するとともに、中国事業拠点間の連携を強化し、事業環境の変化に臨機応変に対応できる機動的な事業運営体制を構築・推進する。
② 将来の成長の柱となる新たな事業を創出・育成するために、既存・新規の材料・技術の組み合わせによる新規製品・サービス創出への取り組みを具体化するとともに、ナノインプリント事業の有望事業分野を特定して事業基盤の確立を加速する。
③ 既存事業のシェアを拡大するために、情報収集・分析に努め、ニーズ対応力を強化するとともに、将来有望な事業地域や新たな事業分野の探索による事業領域の拡大に注力する。
当社グループは、これらの課題への取り組みを着実に進めることで、事業基盤の強化と収益規模の拡大を目指すとともに、企業としての社会的責任を果たすために、安全確保、環境保全、コンプライアンスの徹底を図り、企業価値の向上に努めてまいります。
当社グループの経営成績、財務状態及びキャッシュ・フロー等の業績に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のようなものがあります。
当社グループにおいては、これらのリスクの発生を防止、分散あるいはヘッジすることにより軽減を図っておりますが、予測を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
なお、記載した事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではありません。
① 経済動向及び製品・原材料市況
当社グループのケミカルズ製品は、電子・情報分野をはじめとし、自動車・家電・建材、その他日用品等と幅広い分野で使用されており、装置システムの販売対象も、合成樹脂、塗料・インキ等のメーカーなど多岐にわたっております。このため、当社グループの経営成績は、景気動向及び設備投資動向全般の影響を受けております。特に、液晶表示装置関連用途における需要動向・競合状況・価格情勢により、当社グループの業績は大きな影響を受ける可能性があります。
また、ケミカルズ製品の主要原材料であるアクリル酸エステル類や酢酸エチルなどの価格は、原油・ナフサ価格の市況の影響を受け、製造原価の変動による業績への影響が考えられます。
② 法的規制
当社グループの主力製品である粘着剤をはじめとした製品群の多くは、原材料及び製品とも消防法上の危険物であります。当社グループは、安全管理の徹底や事業所内における自衛消防隊の設置等により事故発生の防止と被害の極小化に努めておりますが、万が一不測の重大事故が発生した場合には、製品の製造停止や復旧及び損害賠償等の費用発生等により、当社グループの財政状態や経営成績が影響を受ける可能性があります。
③ 海外での事業展開
当社グループは、アジア地域、特に中華人民共和国におけるケミカルズ製品の市場の将来性に注目し、子会社4社・関連会社1社を通じ積極的事業展開を行っておりますが、現地における法令の改変や商慣習等に起因する予期せぬ事態が発生することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 環境問題
当社グループは、原材料として各種化学物質を取り扱うため、環境に関連する法規を遵守するとともに、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境負荷物質の排出抑制にも努めております。しかしながら、環境保全に関する規制が予測以上に厳しくなり、使用する化学物質が制限されるほか、対応するための大型設備投資等が必要になる場合には、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 災害事故
当社グループは、化学物質、特に危険物を取り扱うため、火災爆発事故や環境汚染事故により、重大な損失を招くリスクがあります。このため、製造設備の点検・保守、安全のための設備投資、定期的な防災訓練の実施など、予防管理に努めております。しかしながら、突発的に発生する災害により製造設備が損害を受けた場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 新製品開発
当社グループは、常に市場ニーズに合った独創的な商品・技術を開発し、スピーディーに事業内容を進化させ、企業体質を強化していく必要があると考え、新製品・新技術の基礎研究及び応用研究の両面から積極的に研究開発を行っております。しかしながら、当社グループの研究開発は、基礎研究を含んでいるため研究開発期間が長期間に亘る場合があり、またすべての研究開発テーマが実用化され、当社グループの業績に寄与する保証はありません。
⑦ 製造物責任
当社グループは、製品の品質に細心の注意を払い生産を行っております。当社の事業の中心は生産材の製造であり、最終消費者に対して賠償や回収を行う可能性は低いと考えますが、当社製品の品質により、製造物賠償責任等が発生した場合、当社及び当社製品に対する信頼性を損なうものであり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 知的財産権
当社グループは、知的財産権が事業活動・製品競争力に重要な役割を果たしていることを認識し、知的財産権の取得による自社権利の保護に努める一方で、他社の知的財産権を調査し、問題の発生防止を図っております。しかしながら、他社との間で知的財産権を巡る紛争が生じたり、他社から知的財産権を侵害された場合には、事業活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
契約会社名 | 契約相手先 | 国名 | 契約内容 | 契約期間 |
綜研化学 | 中信興業投資 | 中華人民 | 粘着剤、粘着加工品等の製造・販売に関する合弁契約 | 平成6年5月26日から |
同上 | 遼河石油 | 中華人民 | 熱媒体油の製造・販売に関する合弁契約 | 平成7年12月19日から |
当社グループの研究開発活動は、国際競争に打ち勝ち、高収益を上げ続けるため、「研究開発力」と「生産技術力」に重点を置き、既存事業での顧客・市場ニーズへの迅速かつ的確な対応と新規事業の創出、育成に取り組んでおります。
研究開発体制は、既存事業の製品開発につきましては、より効率的かつ顧客視点で進められるよう各事業部門が担当しており、新規事業につきましては、市場調査、顧客開拓から製品・技術開発まで一貫した体制をとり、早期事業化を目指すとともに、既存・新規の材料・技術の組合せによる新たな製品・サービスの創出に向けて取り組んでおります。既存製品および新製品開発の基盤技術強化、新たな機能性材料の開発、生産プロセスの技術開発につきましては、研究開発センターが担っております。
研究投資につきましては、中長期的な成長を目指し、新規材料、新規事業開発にウェイトを置いております。
68期末における子会社を含む研究開発部門の従業員数は150名であり、当連結会計年度における研究開発費は19億53百万円であります。
研究開発活動において注力するのは電子・情報材料分野及び環境・エネルギー分野としておりますが、ライフサイエンス分野などの新規分野開拓にも積極的に取り組んでおります。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
(ケミカルズ)
粘着剤につきましては、フラットパネル・ディスプレイ(FPD)分野でのシェア拡大と用途拡大に向け、継続した製品開発、改良に注力しております。液晶ディスプレイ(LCD)の偏光板用途では、市場要求に応じた光学特性と耐久性の向上に取り組み、FPD周辺部材分野では、保護フィルム用途などでの機能性向上に取り組んでおり、着実に成果を上げております。
微粉体につきましては、LCD分野における光拡散シート用途での更なるシェア拡大を図るために、市場ニーズの変化に対応した光学特性の向上と低コスト化に向けた製品開発を継続し、着実に成果を上げております。また、他の微粉体製品でも、用途拡大に向けた性能改良や新機能付加などの研究開発に注力しております。
特殊機能材につきましては、顧客ニーズに応じた電子材料用樹脂の開発に注力するとともに、用途拡大に向けた新たな機能性樹脂の開発に注力しております。
加工製品につきましては、環境対応製品である無溶剤型厚物両面テープの開発に注力するとともに、スマートフォンなどの情報・電子機器分野での市場ニーズの変化に対応した高機能テープ・フィルム製品の品揃え拡充や改良に取り組み、着実に成果をあげております。また、用途拡大と価格競争力の強化を図るために、性能向上と低コスト化に向けた製品開発に注力しております。
新規事業につきましては、当社独自のナノインプリント技術により、つなぎ合わせ精度の高いシームレス化を実現した大面積モールドの量産化に注力するとともに、光学、医療分野向けなどでの機能性フィルムの開発にも取り組んでおります。また、導電性ポリマーや新たな機能性材料の開発を進めるとともに、既存の樹脂合成技術、加工技術、プロセス技術の組合せや新たな技術の導入による新製品・新規事業の創出にも取り組んでおります。
(装置システム)
装置システムにつきましては、有機溶剤回収装置や熱媒体油再生装置による新規事業の創出に取り組んでおります。
(1) 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」という。)に比べて9.6%減の260億19百万円となりました。セグメント別の概況につきましては「第2[事業の状況]1[業績等の概要](1)業績」に記載のとおりであります。
売上原価は販売数量の減少に伴い、前期に比べ12.0%減の176億97百万円となり、売上総利益は前期に比べ4.0%減の83億22百万円となりましたが、製造コスト削減の効果などにより、売上総利益率は前期に比べ1.9ポイント増の32.0%となりました。
販売費及び一般管理費は、一部の売上債権に対する貸倒引当金繰入額を計上したものの、販売経費の減少や経費削減の効果などにより、前期に比べ2.2%減の70億77百万円となりましたが、売上高比率は前期に比べ2.0ポイント増の27.2%となりました。
これらにより、営業利益は前期に比べ13.0%減の12億44百万円となり、売上高営業利益率は0.2ポイント減の4.8%となりました。
営業外損益が為替変動の影響を受けて為替差損を計上したことなどにより、前期から224百万円減少し、経常利益は前期に比べ28.9%減の10億7百万円となり、売上高経常利益率は1.0ポイント減の3.9%となりました。
特別損益では、特別利益として固定資産売却益7百万円、投資有価証券売却益22百万円を計上し、特別損失として固定資産除売却損42百万円を計上しました。
これらの結果、税金等調整前当期純利益は、前期に比べ29.3%減の9億94百万円となり、法人税等および非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ30.8%減の5億29百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて17億19百万円減少し、330億31百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金が増加したものの、受取手形及び売掛金、有価証券、たな卸資産が減少したことなどにより、前期末に比べ12億58百万円減少し、168億53百万円となりました。
固定資産は、有形固定資産、投資有価証券が減少したことなどにより、前期末に比べ4億61百万円減少し、161億78百万円となりました。
一方、負債については短期借入金、長期借入金が減少したことなどにより、前期末に比べ9億83百万円減少し、119億49百万円となりました。
当期末における純資産は、利益剰余金が増加したものの、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整累計額が減少したことなどにより、前期末に比べ7億36百万円減少し、210億82百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前期末59.5%から0.8ポイント増加し60.3%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2[事業の状況]1[業績等の概要] (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。