(1)当期の概況
当連結会計年度における世界経済は、米国においては雇用、個人消費の回復が継続し、堅調に推移しましたが、中国およびアジア新興国における景気鈍化、原油価格の下落の世界的影響もありました。日本経済においても、世界経済の景気下振れ懸念、円高の進行により、停滞感が強まりました。
このような状況のもと、当社グループは最適な経営資源の投下、在庫・生産体制の抜本的見直しによる経営体質の更なる強化、原料の安定的な確保およびコスト競争力の強化を進めるとともに、"FUSOブランド"のグローバル市場での確立を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は352億98百万円(前連結会計年度比9.5%増、30億75百万円増)となりました。営業利益は72億79百万円(同34.1%増、18億53百万円増)、経常利益は72億99百万円(同32.1%増、17億74百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は47億16百万円(同36.6%増、12億64百万円増)となりました。
なお、平成27年12月に今後の設備投資計画に充当するため公募増資を実施し、東京証券取引所市場第一部へ市場変更を行いました。
当社グループの報告セグメントの業績は、次のとおりです。
(ライフサイエンス事業)
ライフサイエンス事業の業績は、外部顧客に対する売上高が232億85百万円(前連結会計年度比9.0%増、19億15百万円増)、営業利益は35億41百万円(同30.3%増、8億22百万円増)となりました。
前連結会計年度下期より事業承継した無水マレイン酸・フマル酸の販売寄与があったこと、また、主に飲料用途において、夏場の需要増と新製品への新規採用があり、果実酸全般の販売が増加しました。海外子会社の業績も堅調に推移したほか、主力製品である果実酸の原価低減も影響し、売上高・営業利益ともに前連結会計年度を上回りました。
(電子材料および機能性化学品事業)
電子材料および機能性化学品事業全体の業績は、外部顧客に対する売上高が120億12百万円(前連結会計年度比10.7%増、11億59百万円増)、営業利益は46億94百万円(同33.8%増、11億85百万円増)となりました。
半導体プロセスの微細化の進展に伴った当社製品「超高純度コロイダルシリカ」の需要が旺盛であり、またナノパウダー等の半導体研磨分野以外向け製品の販売も堅調に推移しました。当連結会計年度において、一部ユーザーの在庫調整の影響がありましたが、販売価格改定に努めた結果、売上高・営業利益ともに前連結会計年度を上回りました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益により取得した資金と公募増資により調達した資金を定期預金の運用、有形固定資産の取得、短期借入金および長期借入金の返済に充てた結果、前連結会計年度末に比べ56億92百万円増加し、112億14百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は、前連結会計年度に比べ17億17百万円増加し、80億86百万円(前連結会計年度は63億69百万円の取得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益、減価償却費の発生およびたな卸資産が減少したためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ44億円増加し、69億43百万円(前連結会計年度は25億42百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の運用および有形固定資産の取得による支出が発生したためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果取得した資金は、48億45百万円(前連結会計年度は17億78百万円の使用)となりました。これは主に、公募増資を行ったためです。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比 |
|
ライフサイエンス |
16,341,542千円 |
6.8% |
|
電子材料および機能性化学品 |
13,292,716 |
4.0 |
|
合計 |
29,634,258 |
5.5 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)受注状況
当社グループは、見込み生産を行っているため、受注高および受注残高を把握していません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日) |
前年同期比 |
|
ライフサイエンス |
23,285,700千円 |
9.0% |
|
電子材料および機能性化学品 |
12,012,928 |
10.7 |
|
合計 |
35,298,629 |
9.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。
(ライフサイエンス事業)
三井化学株式会社から営業権を取得した有機酸事業の主力工場である鹿島工場の生産設備の承継を2017年末に完了する予定です。それに加え、2018年度中の稼働を目標に鹿島工場内にリンゴ酸生産設備建設を予定しています。この「果実酸コンビナート」構想を実現し、コスト競争力の抜本的な強化を図り、世界No.1のリンゴ酸メーカーを目指します。
また、日本・中国・タイ・米国に拠点を有する企業として、各拠点間のネットワークを最大限に活用し、グローバル展開を推進します。特に、加工食品市場が拡大しているアジアに経営資源を集中し、各国の食品や食材に適した食品添加物製剤の開発・製造を進め、既存商品を含めた販売を拡大し、アジア地域での“FUSOブランド”の確立を目指します。既存顧客である日本向け食品加工メーカーに留まらず、東南アジア全域で新規顧客への販売強化にも注力します。
商品開発については、顧客のニーズに合致する食品添加物製剤(品質向上剤、呈味改善剤等)、GMP基準に準拠した医薬品原料および当社の既存製品の粉体二次加工品等の開発を強化します。また、政府の成長戦略等により、今後大きく変化が予想される農業、漁業、畜産業等の一次産業分野へ自社製品である果実酸を原料とした製剤類の新規開発に取り組んでいきます。
一方、為替要因による利益の減少を回避するために、タイムリーな価格改定を進めると同時に、在庫数量の削減、不良在庫の整理、さらには不採算品目の統廃合によるコスト削減を進めていきます。賃金、物価上昇等により製造原価が上昇している中国の青島扶桑精製加工有限公司においても日本と同様にコスト削減を進めていきます。
今後も、果実酸総合メーカーとしてこれまで蓄積してきた販売チャネル、製造・開発ノウハウをフルに活用し、さらなる売上および利益の拡大に尽力します。
(電子材料および機能性化学品事業)
継続的な成長が遂げられるよう、事業の中核となる半導体分野において、より一層の深耕を行うとともに、ケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進します。
半導体分野では微細化、高集積化が益々進んでおり、それらのニーズに対応した製品開発を続けていきます。
また、来るべきシングルナノ線幅加工に対応すべく当社の知識・技術を結集した新規設備建設計画に着手しました。
将来を見据えて新分野(半導体研磨以外)への製品開発につきましても東京研究所を中心に、営業、R&D部門とも連携して進めております。当社グループのコア技術である超高純度コロイダルシリカの合成技術を活かしたシリカナノパウダー関連で新製品の種を見出しており早期製品化を目指しています。数年内に半導体研磨分野以外での売上30億円以上を目指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)半導体業界の景気変動の影響について
当社グループにおいて、電子材料および機能性化学品事業は、半導体業界を中心に製品および商品を販売しています。
半導体業界の特徴として、好況・不況の景気の波が激しいことが挙げられます。そのため、半導体業界の景気変動の波を受けるリスクが存在し、当社グループの電子材料および機能性化学品事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)自然災害・事故災害の発生について
大規模地震等の自然災害、製造および研究設備等における事故が発生した場合には、生産および物流設備ならびに研究機器等への被害により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループだけでなく、重要な取引先への被害により、当社グループの業績に影響を与える可能性もあります。
(3)技術革新の影響について
電子材料事業の主要な納入先である半導体業界は技術革新の激しい業界であり、新規技術の開発・応用がなされた場合、市場が大きく変化する可能性があります。
(4)為替変動の影響について
当社グループの事業は世界的に広がっており、当連結会計年度における海外売上高の連結売上高に占める比率は36.1%(北米14.3%、アジア21.1%、ヨーロッパ0.4%、その他0.3%)となっています。
一方、当社グループの生産実績において、中国、米国およびタイの子会社が生産拠点として機能しています。
以上のような状況のもと、為替相場の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業について
(4)にも記載しましたように、当社グループは海外においても事業を行っています。海外市場で事業を行う際には、社会的・経済的なカントリーリスク、人事・労務問題の環境の相違、法令等の規制強化等、特有のリスクがあり、それらが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)原材料の調達について
当社グループの原材料の調達活動において、中国からの調達のウエイトが大きなものとなっています。このため、中国の社会経済情勢の影響を受ける可能性があります。
また、原材料の調達価格が上昇した場合は、各種コスト削減や収益構造の見直しに加え、販売価格の改定による対応も図っていきます。しかし、価格改定等の実施時期によりましては、特定の会計期間における損益が影響を受ける可能性があります。
(7)化学品に対する法規制について
世界的に環境問題に対する関心が高まる中、化学品への規制が強まる傾向にあります。このような状況下、当社グループの製品の製造・販売についても法律等により規制される可能性があります。
(8)知的財産権について
知的財産権の取得および利用については、常に当社グループのスケジュール通りとなる保証はなく、市場競争力に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ訴訟等の当事者になる可能性があり、その際には費用の発生や人的資源の投入を強いられる可能性があります。
(9)製造物責任について
当社グループの製品に問題等が発生した場合には、当社グループの業績に対して影響を与えるとともに、企業への信頼についても影響を受ける可能性があります。
(10)設備投資計画について
当社グループは既存設備の更新だけでなく、新規設備投資等により事業の拡大を計画しております。しかしながら、当社グループの製品に対する需要が期待どおりに推移しなかった場合は、生産設備の稼働率低下による固定費の負担等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
平成26年10月1日付で、三井化学株式会社の有機酸事業の営業権を譲受けております。それに伴い下記の生産委託契約を継続しております。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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扶桑化学工業株式会社 (当社) |
三井化学株式会社 |
日本 |
有機酸 |
平成26年10月1日 |
生産委託 |
平成26年10月1日から製造設備等譲渡日の前日まで |
当社グループは、販売戦略ターゲットに対応して、ライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業に関する研究開発を行いました。
ライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業ともに、当社グループ内において、海外子会社も含めて営業関連部署や品質保証部門等と互いに連携し、またユーザーとも相互協力を図りながら新規事業、新製品の企画開発、技術開発情報の収集等を行いました。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は、次のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、5億13百万円となりました。
(1)ライフサイエンス事業
当連結会計年度の主な活動としましては、食品分野において、顧客のニーズを取り入れたレシピ提案による調味料製剤を複数上市し、対象食材も畜産・水産と広げる事が出来ました。日持ち+保水+緑色保持を持ち合わせた製剤を上市しました。素材関連では、日持ち向上剤原料となる化合物を上市しました。また、新規開発分野としまして、農業および水産分野における動植物用生育促進剤の現場試験においても有効なデータを得る事が出来ました。対象動植物を増やし、拡販に繋げていきます。
なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、1億63百万円となりました。
(2)電子材料および機能性化学品事業
当連結会計年度の主な活動としましては、シリコンウエハー研磨および半導体CMP研磨スラリー向けの超高純度コロイダルシリカ製品分野では、粒子サイズ、形状、濃度、表面状態、硬さ、粒度分布等を自在にコントロールする技術をさらに発展させ、顧客ニーズにマッチした新製品の開発を行い、着実にシェアを伸ばしております。また、それらの製造技術については、半導体配線幅微細化に対応した高レベルの製造工程品質管理体制を継続的にブラッシュアップしております。一方、上記コア技術を応用して情報産業向けに上市しましたナノシリカ粉末製品は確実に需要を伸ばしており、新規用途向け応用開発品についても東京研究所を拠点として、鋭意開発しております。機能性化学品につきましては、当社のナノ粒子製造技術・設備を活かした製品開発を行っております。
なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、3億49百万円となりました。
(1)経営成績の分析
① 売上高
前述の「1.業績等の概要 (1)当期の概況」に記載のとおりです。
② 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ4億62百万円増加し、66億88百万円となりました。これは主に、当連結会計年度において、割引率の変更により退職給付費用が増加したためです。
売上高の増加に対して、販売費及び一般管理費増加幅が小さかったため、当連結会計年度の売上高販売管理費率は0.4ポイント減少して18.9%となりました。
③ 営業外収益・営業外費用
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ41百万円減少し、1億7百万円となりました。これは主に、為替差益の減少によるものです。また、当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べ36百万円増加し、86百万円となりました。これは主に、為替差損、新株発行費用の増加、および借入金の返済に伴う支払利息の減少によるものです。
売上高の増加に対して、営業外費用の増加幅が小さかったため、当連結会計年度の売上高経常利益率は、3.5ポイント増加し、20.7%となりました。
④ 特別利益・特別損失
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ1億3百万円増加し、1億4百万円となりました。これは主に、当連結会計年度において、投資有価証券売却益が1億4百万円発生したためです。また、当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べ1億57百万円増加し、2億26百万円となりました。これは主に、当連結会計年度において、固定資産除却損が2億14百万円発生したためです。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて12億64百万円増加し、47億16百万円となりました。
(2)財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ108億91百万円増加し、342億21百万円となりました。これは主に、公募増資により現金及び預金が増加したためです。
また、当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ16億92百万円減少し、139億37百万円となりました。これは主に、有形固定資産の除却と減価償却により、有形固定資産が減少したためです。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ91億99百万円増加し、481億58百万円となりました。
② 負債の部
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ3億86百万円減少し、57億80百万円となりました。これは主に、短期借入金が減少したためです。
また、当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ1億95百万円増加し、24億7百万円となりました。これは主に、割引率の変更により退職給付に係る負債が増加したためです。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ1億90百万円減少し、81億88百万円となりました。
③ 純資産の部
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ93億90百万円増加し、399億70百万円となりました。これは主に、公募増資による資本金および資本剰余金の増加、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したためです。
(3)資本の財源および資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益により取得した資金と公募増資により調達した資金を定期預金の運用、短期借入金および長期借入金の返済に充てた結果、前連結会計年度末に比べ56億92百万円増加し、112億14百万円となりました。
② 資金の調達
当社の資金の源泉は主に、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入れからなります。当連結会計年度において、金融機関からの借入れは特に行っておりません。
また、当連結会計年度においては、平成27年12月に公募増資により資金調達を行っております。