(1)当期の概況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善傾向が見られ、個人消費が底堅く推移するなど、景気は緩やかな回復基調で推移しました。しかしながら、中国をはじめとする新興国の成長鈍化や、英国のEU離脱問題、米国の新政権への移行等を起因とする金融市場や為替の不安定な動き、さらには原油の中東減産合意による価格上昇等、依然として先行き不透明な状況で推移しました。
このような状況のもと、当社グループは最適な経営資源の投下、物流・生産体制の継続的見直しによる経営体質の更なる強化、原料の安定的な確保およびコスト競争力の強化を進めるとともに、"FUSOブランド"のグローバル市場での確立に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は362億24百万円(前連結会計年度比2.6%増、9億25百万円増)となりました。営業利益は98億67百万円(同35.6%増、25億88百万円増)、経常利益は100億38百万円(同37.5%増、27億39百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は68億95百万円(同46.2%増、21億79百万円増)となりました。
当社グループの報告セグメントの業績は、次のとおりです。
(ライフサイエンス事業)
ライフサイエンス事業の業績は、外部顧客に対する売上高が220億50百万円(前連結会計年度比5.3%減、12億35百万円減)、営業利益は39億79百万円(同12.4%増、4億38百万円増)となりました。
リンゴ酸等の果実酸類の販売は好調に推移しましたが、円高が海外子会社の円換算売上高および外貨建て売上高に大きな影響を与え、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業利益は、海外子会社の利益に対する円高の影響がありましたが、石油化学製品の価格下落、ならびに円高効果により、果実酸の原材料価格および商品輸入価格が下落したほか、継続的に取り組んでいるコスト削減が利益率の向上に貢献したことにより、前連結会計年度を上回りました。
(電子材料および機能性化学品事業)
電子材料および機能性化学品事業全体の業績は、外部顧客に対する売上高が141億74百万円(前連結会計年度比18.0%増、21億61百万円増)、営業利益は69億96百万円(同49.1%増、23億2百万円増)となりました。
円高により外貨建て売上高は大きな影響を受けましたが、半導体市場が引続き堅調であり、半導体製造プロセスの微細化の進展により当社製品「超高純度コロイダルシリカ」への需要も増加しています。さらにナノパウダー等の半導体研磨分野以外に使用される製品の販売も堅調に推移したため、売上高は前連結会計年度を上回りました。営業利益は、下期の設備投資に伴う生産停止が製造原価に影響を与えたものの、コスト削減や販売数量の増加により、前連結会計年度を上回りました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、借入金の返済がなくなったこと、および定期預金の払い戻しが多かったため、前連結会計年度末に比べ127億71百万円増加し、239億85百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は、前連結会計年度に比べ13億26百万円増加し、94億13百万円(前連結会計年度は80億86百万円の取得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が増加したためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果取得した資金は、前連結会計年度に比べ119億26百万円増加し、49億83百万円(前連結会計年度は69億43百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻を受けたためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ63億78百万円増加し、15億33百万円(前連結会計年度は48億45百万円の取得)となりました。これは主に、配当金の支払を行ったためです。
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比 |
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ライフサイエンス |
13,993,877千円 |
△14.4% |
|
電子材料および機能性化学品 |
15,400,751 |
15.9 |
|
合計 |
29,394,628 |
△0.8 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
(2)受注状況
当社グループは、見込み生産を行っているため、受注高および受注残高を把握していません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) |
前年同期比 |
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ライフサイエンス |
22,050,158千円 |
△5.3% |
|
電子材料および機能性化学品 |
14,174,198 |
18.0 |
|
合計 |
36,224,356 |
2.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、収益力・人財(材)力・技術力のレベルを高め、継続的発展を遂げる企業を目指すために、「企業価値」および「企業品質」をより高める企業経営をしていきます。
そのために、ニッチな市場のニーズをとらえ、スピード、コスト、クオリティのバランスが高次元で調和している製品の開発を目指し、顧客満足の最大化を目指していきます。
(2)目標とする経営指標および中長期的な会社の経営戦略
将来の成長に向けた設備投資は不可欠であると考えて、当社グループは「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)を最重要経営指標としています。併せて、収益性や安全性等をあらわす複数の指標のバランスを考慮して経営を進めています。
現時点における経営戦略としましては、財務体質の改善を図ることで競争力をつけることを目指します。中長期的に成長期待の大きい電子材料事業および海外事業に経営資源の積極投資を図っていきます。
(3)会社の対処すべき課題
当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。
(ライフサイエンス事業)
平成29年11月に予定されている三井化学株式会社からの鹿島工場の承継を遅滞なく完了し、平成30年度中の完成を目標に同工場内にリンゴ酸の新プラント建設の準備を進めてまいります。この「果実酸コンビナート」構想の1st Stepを確実に実現し、コスト競争力の抜本的な強化を図り、世界No.1のリンゴ酸メーカーを目指していきます。
また、少子高齢化や人口減少が続く日本市場での安定的な収益確保だけでなく、人口増加や経済成長の著しい中国、東南アジア市場でのビジネスの拡大に注力していきます。
具体的には、中国の100%出資子会社の青島扶桑精製加工有限公司で、従来のクエン酸類の精製に加え、市場の拡大している電子材料向け高純度クエン酸の製造等、高付加価値製品のウエイトを増やしていきます。また、人件費の高騰への対処として、生産設備の自動化によるコスト削減を進めていきます。
タイ、ベトナムを中心に加工食品市場が拡大している東南アジアにおいては、平成29年4月に完成した東京研究所のテストキッチンを有効活用し、各国の食品や食材に適した食品添加物製剤の開発・製造を進め、同地域でのビジネスを拡大していきます。また、日本、中国、タイのトライアングル体制で、中国、東南アジア地域での“FUSOブランド”の確立を目指していきます。
商品開発については、従来から進めている一次産業向け製品、食品添加物製剤の開発に加え、果実酸類の高純度品、コーティング品等の高付加価値製品の開発に注力していきます。
今後も、果実酸総合メーカーとしてこれまで蓄積してきた販売チャネル、製造・開発ノウハウを最大限に活用し、さらなる売上および利益の拡大に尽力してまいります。
(電子材料および機能性化学品事業)
継続的な成長が遂げられるよう、事業の中核となる半導体分野において、より一層の深耕を行うとともに、ケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進します。半導体分野では微細化、高集積化が益々進んでおり、それらのニーズに対応した製品開発を続けていきます。また、来るべきシングルナノ線幅加工に対応すべく当社の知識・技術を結集して、設備改造を実施し、さらに旺盛な需要に対応するために新規設備の建設も進めており平成30年度下期には本格稼働する予定としております。
将来を見据えて新分野(半導体研磨以外)への製品開発につきましても、東京研究所での研究開発を加速させるために増床、増員を実施し、当社グループのコア技術である超高純度コロイダルシリカの合成技術を活かしたシリカナノパウダー関連で新製品開発を進めています。数年内に半導体研磨分野以外での売上40億円以上を目指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)半導体業界の景気変動の影響について
当社グループにおいて、電子材料および機能性化学品事業は、半導体業界を中心に製品および商品を販売しています。
半導体業界の特徴として、好況・不況の景気の波が激しいことが挙げられます。そのため、半導体業界の景気変動の波を受けるリスクが存在し、当社グループの電子材料および機能性化学品事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)自然災害・事故災害の発生について
大規模地震等の自然災害、製造および研究設備等における事故が発生した場合には、生産および物流設備ならびに研究機器等への被害により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループだけでなく、重要な取引先への被害により、当社グループの業績に影響を与える可能性もあります。
(3)技術革新の影響について
電子材料事業の主要な納入先である半導体業界は技術革新の激しい業界であり、新規技術の開発・応用がなされた場合、市場が大きく変化する可能性があります。
(4)為替変動の影響について
当社グループの事業は世界的に広がっており、当連結会計年度における海外売上高の連結売上高に占める比率は36.6%(北米14.9%、アジア21.4%、ヨーロッパ0.2%、その他0.1%)となっています。
一方、当社グループの生産実績において、中国、米国およびタイの子会社が生産拠点として機能しています。
以上のような状況のもと、為替相場の変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)海外事業について
(4)にも記載しましたように、当社グループは海外においても事業を行っています。海外市場で事業を行う際には、社会的・経済的なカントリーリスク、人事・労務問題の環境の相違、法令等の規制強化等、特有のリスクがあり、それらが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)原材料の調達について
当社グループの原材料の調達活動において、中国からの調達のウエイトが大きなものとなっています。このため、中国の社会経済情勢の影響を受ける可能性があります。
また、原材料の調達価格が上昇した場合は、各種コスト削減や収益構造の見直しに加え、販売価格の改定による対応も図っていきます。しかし、価格改定等の実施時期によりましては、特定の会計期間における損益が影響を受ける可能性があります。
(7)化学品に対する法規制について
世界的に環境問題に対する関心が高まる中、化学品への規制が強まる傾向にあります。このような状況下、当社グループの製品の製造・販売についても法律等により規制される可能性があります。
(8)知的財産権について
知的財産権の取得および利用については、常に当社グループのスケジュール通りとなる保証はなく、市場競争力に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ訴訟等の当事者になる可能性があり、その際には費用の発生や人的資源の投入を強いられる可能性があります。
(9)製造物責任について
当社グループの製品に問題等が発生した場合には、当社グループの業績に対して影響を与えるとともに、企業への信頼についても影響を受ける可能性があります。
(10)設備投資計画について
当社グループは既存設備の更新だけでなく、新規設備投資等により事業の拡大を計画しております。しかしながら、当社グループの製品に対する需要が期待どおりに推移しなかった場合は、生産設備の稼働率低下による固定費の負担等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
平成26年10月1日付で、三井化学株式会社の有機酸事業の営業権を譲受けております。それに伴い下記の生産委託契約を継続しております。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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扶桑化学工業株式会社 (当社) |
三井化学株式会社 |
日本 |
有機酸 |
平成26年10月1日 |
生産委託 |
平成26年10月1日から製造設備等譲渡日の前日まで |
当社グループは、販売戦略ターゲットに対応して、ライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業に関する研究開発を行いました。
ライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業ともに、当社グループ内において、海外子会社も含めて営業関連部署や品質保証部門等と互いに連携し、またユーザーとも相互協力を図りながら新規事業、新製品の企画開発、技術開発情報の収集等を行いました。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は、次のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、5億63百万円となりました。
(1)ライフサイエンス事業
当連結会計年度の主な活動としましては、食品分野において顧客のニーズを取り入れた加工食品のレシピ提案型の拡販にて調味料製剤・食品添加物を複数上市、スーパーやコンビニ向けなどの加工食品へ採用となりました。また、アジアの食品市場をターゲットに国内ライトハウスカスタマーとの連携で技術と素材を生かし、市場の開拓と拡販を行っております。新規開発分野においては、農業、水産、畜産など一次産業向けに植物由来の天然素材を原料とした環境ストレス耐性剤を開発。上市を目指したフィールドでのテストにて有効データの蓄積を行っております。また、弊社主力製品である有機酸をベースに特殊加工を施した高付加価値有機酸を開発、加工食品分野にて新たな価値を提供できる素材の提供を進めております。
なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、1億46百万円となりました。
(2)電子材料および機能性化学品事業
当連結会計年度の主な活動としましては、シリコンウエハー研磨および半導体CMP研磨スラリー向けの超高純度コロイダルシリカ製品分野では、粒子サイズ、形状、濃度、表面状態、硬さ、粒度分布等を自在にコントロールする技術をさらに発展させ、顧客ニーズにマッチした新製品の開発を行い、着実にシェアを伸ばしております。また、それらの製造技術については、半導体配線幅微細化に対応した高レベルの製造工程品質管理体制を継続的にブラッシュアップしております。一方、上記コア技術を応用して情報産業向けに上市しましたナノシリカ粉末製品は確実に需要を伸ばしており、新規用途向け応用開発品についても東京研究所を拠点として、鋭意開発しております。機能性化学品につきましては、当社のナノ粒子製造技術・設備を活かした製品開発を行っております。
また当年度は、これら新規開発活動を支える開発環境の整備にも注力し、新たな品質評価機器の複数導入、更には、京都事業所ならびに東京研究所の開発部門2拠点の研究設備増強・増床を実施しました。
なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、4億17百万円となりました。
(1)経営成績の分析
① 売上高
前述の「1.業績等の概要 (1)当期の概況」に記載のとおりです。
② 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ2億97百万円減少し、63億91百万円となりました。これは主に、当連結会計年度において、のれんの償却および退職給付費用が減少したためです。
売上高の増加に対して、販売費及び一般管理費が減少したため、当連結会計年度の売上高販売管理費率は1.3ポイント減少して17.6%となりました。
③ 営業外収益・営業外費用
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ79百万円増加し、1億86百万円となりました。これは主に、為替差益の増加によるものです。また、当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べ71百万円減少し、15百万円となりました。これは主に、為替差損および新株発行費用の減少によるものです。
売上高の増加に対して、営業外収益は増加し、営業外費用が減少したため、当連結会計年度の売上高経常利益率は、7.0ポイント増加し、27.7%となりました。
④ 特別利益・特別損失
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ1億2百万円減少し、1百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において、投資有価証券売却益が1億4百万円発生したためです。また、当連結会計年度の特別損失は、前連結会計年度に比べ1億74百万円減少し、51百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において、固定資産除却損が2億14百万円発生したためです。
この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて21億79百万円増加し、68億95百万円となりました。
(2)財政状態の分析
① 資産の部
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ71億27百万円増加し、413億49百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の増加により現金及び預金が増加したためです。
また、当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ12億98百万円増加し、152億35百万円となりました。これは主に建設仮勘定が増加したためです。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ84億26百万円増加し、565億85百万円となりました。
② 負債の部
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ35億16百万円増加し、92億97百万円となりました。これは主に、設備投資に係る未払金が増加したためです。
また、当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ2億80百万円減少し、21億27百万円となりました。これは主に、長期未払金が減少したためです。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ32億36百万円増加し、114億25百万円となりました。
③ 純資産の部
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ51億89百万円増加し、451億60百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益により利益剰余金が増加したためです。
(3)資本の財源および資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、借入金の返済がなくなったこと、および定期預金の払い戻しが多かったため、前連結会計年度末に比べ127億71百万円増加し、239億85百万円となりました。
② 資金の調達
当社の資金の源泉は主に、営業活動によるキャッシュ・フローと金融機関からの借入れからなります。当連結会計年度において、金融機関からの借入れは特に行っておりません。