第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。中期経営計画につきましては2021年5月7日に公表したものに基づきます。

(1)基本方針

当社グループは、下記の社是、経営信条に則り、収益力・人財(材)力・技術力のレベルを高め、継続的発展を遂げる企業を目指すために、「企業価値」および「企業品質」をより高める企業経営をしていきます。

社是

「限りなき進歩と創造」

経営信条

一. 信用を重んじ確実を旨とする

一. 技術を通じて国家社会に貢献し

一. 社業の繁栄によって従業員の豊かさを築く

 

そのために、ニッチな市場のニーズをとらえ、スピード、コスト、クオリティのバランスが高次元で調和している「金メダル製品」の開発を目指し、顧客満足の最大化を目指していきます。

(2)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

今後の世界経済は、欧米においてはワクチン接種が進展し経済回復が期待されます。中国においては感染を抑え込み経済成長の回復が進んでいます。しかし、全世界的には変異ウイルスの蔓延等もあり感染収束は、まだ時間がかかると想定されます。日本においては、ワクチン接種は開始されましたが、感染再拡大により緊急事態宣言の再発令が行われ、経済停滞の長期化が想定されます。米中の対立、海運の停滞、半導体供給不足等、経済の混乱要因もあり、先行きは見通せない状況にあります。

このような状況のもと、当社は従業員の健康・安全を確保したうえで、生産・販売を維持、強化し、事業継続に注力します。新型コロナウイルスの感染拡大により、影響を受けた市場もありますが、全般的には当社業績に対する影響は限定的でした。しかし、今後の動向によっては、さらに大きな影響を受ける可能性もあり、できる限り顧客とのコミュニケーションを取り早期の情報収集に努め、リスクに先行して対応します。

先行き不透明な状況ではありますが、当社グループは、新規設備の有効活用による国内外の需要取り込み、継続的なコスト削減を通じたコア事業の更なる強化、市場ニーズに適合した新規商品の開発、海外拠点を活用した海外展開、さらに新規設備投資計画を進め供給力強化に取り組みます。2021年の連結業績の計画は、原油価格上昇に伴う原料価格アップ、それに伴う販売価格への影響、半導体市況の予測を織り込んで、下記の通り計画しています。

〇連結業績計画

(単位:百万円)

 

2020年度実績

2021年度計画

増減

売上高

42,209

46,500

+4,290

営業利益

9,632

10,200

+567

経常利益

9,746

10,200

+453

親会社株主に帰属する

当期純利益

6,808

6,950

+141

償却前営業利益

14,659

14,900

+240

 

〇ライフサイエンス事業連結業績計画

(単位:百万円)

 

2020年度実績

2021年度計画

増減

売上高

23,418

26,100

+2,681

営業利益

3,312

3,200

△112

償却前営業利益

4,957

4,800

△157

 

〇電子材料および機能性化学品事業連結業績計画

(単位:百万円)

 

2020年度実績

2021年度計画

増減

売上高

18,790

20,400

+1,609

営業利益

7,645

8,500

+854

償却前営業利益

10,998

11,500

+501

 

<中期経営計画>

当社グループの持続的な成長のためには、グループとして中期的に目指すべき方向性・指針を社内外のステークホルダーに対して打ち出すことの必要性を感じ、今般「中期経営計画 “FUSO VISION 2025”」を策定しました。これを基に2025年度(2026年3月期)までを、『更なる飛躍のための足場固めと新規事業創出・第三の柱構築への挑戦のための5年間』と位置づけ、事業環境の変化への対応と新たな価値の創造に挑戦し続けることで、中期経営計画のサブテーマである『社会課題の解決に貢献するFUSOであるために』を実現していきます。

 

1.中期経営計画の概要

名称   :中期経営計画“FUSO VISION 2025”

サブテーマ:社会課題の解決に貢献するFUSOであるために

期間   :2021年~2025年(5ヶ年の中期計画)

経営目標 :売上高580億円、営業利益140億円、償却前営業利益200億円を目指します。

経営方針 :①既存事業における拡大する需要の取り込み、着実な対応

②新規事業・分野への投資・挑戦

③持続的成長を支える経営基盤の強化

 

2.目指す企業像

「限りなき進歩と創造」の先にあるもの、当社グループが目指す企業像としては、その特定の分野で輝く数多くの金メダル製品と様々な価値観・アイデアを持つ社員がそれぞれの持ち場で活き活きと働き、社会に貢献し続けられる体力のある企業、そのような未来を思い描き下記の通り設定しました。

 

・グローバルニッチトップを追求する FUSO

 ・人々の暮らしの豊かさの向上・持続的な未来に貢献し続ける FUSO

 ・現状に満足することなくInnovationに挑戦し続ける FUSO

 ・既存事業に続く成長性ある第3の柱構築で倒れない強い企業である FUSO

 

3.経営方針

 ①既存事業における拡大する需要の取り込み、着実な対応

 

(ライフサイエンス事業)

 リンゴ酸を核とした海外事業の拡大戦略を加速するとともに、国内事業は採算性の向上を強力に推し進めます。また、コア技術を活かした新規テーマの創出にも注力します。食品用途においては、FUSO製品を使用した食品有効利用技術の提案を進め、地球環境と社会へ貢献できる新規テーマの創出に注力していきます。

 

主な市場環境の現状認識

  ・食品関連

    食品廃棄ロスに対する問題意識の高まり

    健康に対する関心の高まり

・工業関連

  SDGsの意識の高まり

・共通

  国内市場の縮小

  海外市場の拡大

 

 主な市場環境の将来予測

  ・食品関連

    限られた食糧資源を有効利用する技術の発達

未利用資源を食用として利用できる技術の発達

東南アジアを中心とした人口増加と生活レベルの向上に伴う需要の拡大

・工業関連

  電子材料関連の市場の継続的な伸長

COVID-19の流行による需要構造の変化

 

事業方針

 ・社会変化や課題の解決に寄与する技術と製品を提供する

  ・人々の食、健康、住環境の向上に寄与する製品を提供し続ける

 

重点戦略

  ・国内唯一の果実酸総合メーカーとして、更なる基盤強化とラインナップの拡充

   (アクション)

     FUSO果実酸コンビナート構想の実現

     電子材料関連に対応した高純度品の開発

   (目指す成果)

     安定品質、安定供給により顧客の発展に貢献

     付加価値ある提案力により盤石なポジションを構築

 

  ・フードテックの新技術に対する提供価値の創出

   (アクション)

     FUSO製品を使用した食品有効利用技術の提案

     高付加価値な食品素材及び食品添加物製剤の開発

   (目指す成果)

     フードロス削減をはじめ様々な社会課題および食の発展に貢献

     新しい価値を持った食品開発に貢献

 

  ・海外への事業展開の更なる強化

   (アクション)

     各海外拠点における現地企業への展開

     REACH規則への対応

   (目指す成果)

     中国および東南アジアの食文化多様化に貢献

     北米市場でFUSO新商品上市によるブランド力向上

     欧州市場でビジネス拡大、用途拡張

 

(電子材料および機能性化学品事業)

半導体業界の進展に伴う当社製品への需要拡大に備えた生産効率最大化を進め、供給者責任を果たしていきます。世界中の人々の生活の豊かさ向上につながる製品開発を通じて社会に貢献していきます。

 

主な市場環境の現状認識

   ・半導体関連

 コロナウイルス禍によるリモートワークの拡大

     5G、IoTの普及に伴う半導体の需要拡大

 ・情報産業関連

     より便利で豊かさを求める消費者の増加

     低消費電力をはじめとした低環境負荷への要望拡大

 

 主な市場環境の将来予測

   ・半導体関連

     新生活様式定着による半導体需要増

     半導体配線の微細化と多層化による需要増

   ・情報産業関連

     暮らしの高機能化を支援する先端材料需要増

     環境負荷を低減できる材料の普及

 

事業方針

  ・超高純度コロイダルシリカ等の先端素材の開発・生産で、エレクトロニクス分野の高機能化で社会に貢献する

 

重点戦略

   ・半導体 AI・5G・IoT・自動運転など、拡大する半導体需要への対応

 (アクション)

      需要拡大に備えた生産効率最大化および鹿島事業所での生産能力増設の完了、稼働

      配線微細化・高平坦化の進展に対応したコロイダルシリカの能力増強

    (目指す成果)

      AI・5G・IoT・自動運転など次世代技術開発に不可欠な存在であり続ける

 

   ・情報産業 低環境負荷と高付加価値を実現する材料の開発と需要の取り込み

 (アクション)

      顧客ニーズと技術動向の把握

      他社に先駆けた新素材の開発

    (目指す成果)

      他社に先駆けて量産体制を構築し、新素材でトップシェアを目指す

 

   ・機能性材料 市場ニーズを取り入れた先端材料の開発と新規市場の開拓

 (アクション)

      新技術の開発と製品の拡充

    (目指す成果)

      先端材料開発のパイオニアを目指すとともに、業界標準になり得る材料を開発する

 

 ②新規事業・分野への投資・挑戦

社内外でのオープンイノベーションを推し進め、また外部リソースを最大限に活用し、ライフサイエンス事業・電子材料および機能性化学品事業に続く、第三の柱となる新規事業創出に挑戦します。CVCファンドへのLP出資、M&A、ベンチャー企業との連携、産学連携など様々な手段を検討します。

  (アクション)

    戦略的投資枠の設定

 CVCファンドへのLP出資、M&A、ベンチャー企業との連携、産学連携、社内外でのオープンイノベーションの推進、外部リソースの活用を検討

(目指す成果)

 第三の柱確立に向けた基盤を固め、道筋をつける

 長期的視野に立った事業確立を目指し、中期経営計画においては売上高10億円程度を目標とする

 

③持続的成長を支える経営基盤の強化

 重点戦略

    企業責任・SDGsの取り組み

    コーポレートガバナンスの一層の強化

    非財務目標の「定量化」「可視化」とコミットメント

    ダイバーシティ(多様性)の推進・意識改革

    イノベーションを生み出せる組織風土

    社員が活躍できる職場(多様な視点・価値観)

    働き方改革(自己実現・働き甲斐)

 

<対処すべき課題>

当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。

 

(ライフサイエンス事業)

2019年7月に竣工した鹿島事業所のリンゴ酸新製造設備は2021年1月から本格稼働しています。2021年度(2022年3月期)は年間を通した安定操業を目指し、工程管理の強化等に努めます。品質面においては、国際食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」の認証を2021年度第1四半期中に取得できる見込みです。これにより大阪工場のリンゴ酸製造設備に加えて、鹿島事業所のリンゴ酸新製造設備においても、海外で要求される「FSSC22000」、「HALAL」、「KOSHER」の認証の取得および米国FDA登録を完了します。海外子会社と連携してリンゴ酸の輸出販売を加速させ、海外市場でのFUSOのブランド力向上に努めていきます。

また、次世代新製品として取り組んできた有機酸のコーティング品については、2021年度第3四半期中の上市を目標としており、コート有機酸ビジネスの拡大をはかります。

次に生産体制の最適化・効率化のため、大阪工場へのコート有機酸設備の導入と同時に十三工場機能を大阪工場に集約します。製剤類他製造設備の再編による合理化を進め、コスト競争力の更なる強化をはかります。

海外では、2020年に青島扶桑精製加工有限公司にテストキッチンを新設しました。このテストキッチンを活用することで現地の食品メーカーとの連携を強化し、中国国内での食品添加物製剤ならびに新規食品の開発・拡販を目指します。FUSO(THAILAND) CO., LTD.では、コンビニなどの中食の販売が増加している現地の状況において、タイ国内流通食品への食品添加物製剤の採用増と新規開発を進めます。

これまでに蓄積してきた販売チャネル、製造・開発ノウハウなどのリソースを最大限に活用し、「『FUSO』果実酸コンビナート構想(※)」の実現と食品添加物製剤のトップメーカーを目指すことで、さらなる売上および利益の拡大に取り組んでいきます。

 

※「『FUSO』果実酸コンビナート構想」とは

▷ 大阪工場、鹿島事業所、中国、米国、タイ子会社など国内外の拠点を、大きなコンビナートととらえ、パイプでつながっているかのように有機的に作用しあう生産・開発体制を確立すること

▷ リンゴ酸においては鹿島事業所にて原料からの一貫生産(垂直)体制を確立させたが、幅広い果実酸のラインアップを拡充させ(水平)、かつ誘導品やコート品など派生した製品の自社製造により、ワンストップの総合果実酸メーカーとしての地位を確立すること

 

(電子材料および機能性化学品事業)

2020年年初から始まった新型コロナウイルス禍の拡大は、当社の超高純度コロイダルシリカの主な最終顧客である半導体業界にも非常に大きな影響を及ぼしました。ウェブ会議、リモートワーク、巣ごもり生活といった行動様式の変化に伴い半導体の需要が伸長し、当社の超高純度コロイダルシリカの販売も計画を大きく上回る結果となりました。当社では、半導体の生産量は、半導体の微細化の進展およびそれに伴う製造設備の増設、また、これに追加し、各国家/地域の半導体に対する政策により、当面の期間にわたり需要の増加が継続すると予測しています。

当社では、この需要の増加に対応していくため、2020年11月に超高純度コロイダルシリカの生産能力増強を決定し、BCP(事業継続計画)の観点に鑑み、当社の鹿島事業所に新設備を設置することとしました。2023年4月に稼働予定の本設備は、2018年に京都第一工場および第二工場に完成した超高純度コロイダルシリカ生産設備と同じく、最新の技術を結集した仕様で、これまで以上に製造条件を高精度にコントロールする事が可能となり、これにより益々厳しくなるお客様の品質要求に応える事ができます。

研究開発におきましては、従来どおりケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進しています。半導体分野では微細化、高集積化が益々進んでおり、それらのニーズに対応すべく、さらに様々な大きさの粒子や硬い粒子、表面修飾した粒子等の製品開発を続けていきます。

半導体研磨用途以外の新分野への製品開発につきましても、東京研究所に積極的に経営資源を投下し、当社グループのコア技術である超高純度コロイダルシリカの合成技術を活かし、新規技術の研究開発を行っています。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、将来の成長に向けた設備投資は不可欠であると考えて、設備投資の採算性を慎重に検討した上で「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)を最重要経営指標としています。併せて、総資産回転率等の資産効率、自己資本利益率等の収益性、自己資本比率等の安全性等、複数の指標のバランスを考慮して経営を進めています。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

(1)市場動向の影響について

ライフサイエンス事業の製品は、加工食品・飲料等の食品分野が主な用途ですが、金属加工・コンクリート混和剤等の工業分野でも広く使用されています。食品分野では、比較的景気変動の影響は限定的と言われていますが、異常気象・自然災害等により需要が大きく変動する可能性があります。工業分野では、食品分野に比べ、景気変動の影響をより一層受けるリスクが存在します。また、どの用途においても、輸入品等の競合品との価格競争、国内外の市況の変動により販売価格、原価が影響を受ける可能性があります。そのため、ライフサイエンス事業の特定の会計期間の業績に影響を及ぼす可能性があります。

電子材料および機能性化学品事業は、半導体業界を中心に製品および商品を販売しており、その半導体業界の特徴として、好況・不況の景気の波が激しいことが挙げられます。そのため、半導体業界の景気変動の波を受けるリスクが存在し、当社グループの電子材料および機能性化学品事業の特定の会計期間の業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

両事業とも、特定の分野・地域・ユーザーの依存度を分散するよう、新規用途を獲得するため積極的に情報収集・製品開発を行っています。

特に、半導体業界は、短期的な景気の変動はあるものの、中長期的には成長が続くものと想定しています。その想定に沿って、短期的な不況に耐えうる財務体質の強化を目指しています。

(2)自然災害・事故災害の発生について

大規模地震等の自然災害、製造および研究設備等における事故が発生した場合には、生産および物流設備ならびに研究機器等への被害により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループの事業所において、新型コロナウイルスの感染者が発生した場合には、当該事業所の一時閉鎖を行うなど、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

上記リスクは、当社グループだけでなく、重要な取引先でも発生する可能性があり、サプライチェーンへの影響により、当社グループの業績に影響を与える可能性もあります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

当社グループの生産設備・研究設備が自然災害・事故災害に被災した場合、および当社グループの事業所において新型コロナウイルスの感染者が発生した場合には、当社グループで策定しているBCPの手続きにより、適切な情報収集・対応策を実施することで、最短での復旧を目指します。なお、感染症対策として、従業員の健康管理、テレワーク・時差出勤の推進、通勤手段の多様化への対応、勤務中の感染予防策の徹底等を社内周知し、実施しています。

また、重要な取引先で被害が発生した場合に備えて、仕入の複数購買等の施策をできる限り実施し、サプライチェーンの維持に努めています。

(3)技術革新の影響について

電子材料および機能性化学品事業の主要な納入先である半導体業界は技術革新の激しい業界であり、新規技術の開発・応用がなされた場合、市場が大きく変化する可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

常に半導体業界の最先端の動向・情報を収集し、最先端の技術に対応した製品開発を行い、供給体制を構築しています。また、半導体研磨分野で培った技術を活かし、中空ナノシリカ、トナー市場向けナノパウダー等の製品で半導体以外の市場の開拓を進め、依存度を下げます。

(4)海外事業について

当社グループの事業は世界的に広がっており、当連結会計年度における海外売上高の連結売上高に占める比率は43.6%(北米16.4%、アジア26.3%、ヨーロッパ0.7%、その他0.2%)と海外向けの売上高の比率が年々高くなっています。

また、在外の連結子会社は、中国、米国およびタイに合わせて5社あり、子会社を通じて海外においても事業を行っています。海外市場で事業を行う際には、社会的・経済的なカントリーリスク、人事・労務問題の環境の相違、法令等の規制強化等、特有のリスクがあり、それらが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

各国固有のカントリーリスクがあり、それを全て無くすことは困難ですが、各子会社へ駐在員を派遣し、専門家、業界団体等を活用し、各種リスクが顕在化する前段階での情報収集を実施し、早期対応に努めます。

(5)原材料の調達について

当社グループの原材料の調達活動において、中国からの調達のウエイトが大きなものとなっています。このため、中国の社会経済情勢の影響を受けた際には、調達が困難となる可能性や調達価格が上昇する可能性があり、特定の会計期間における業績が影響を受ける可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

中国以外の国からの調達も検討する等、分散化によりリスクの軽減を図っています。さらに、当社および現地法人を通じて、仕入れ先との協力関係を強化し、情報収集、早期の対応が可能な体制を構築しています。また、調達価格が上昇した場合は、各種コスト削減や収益構造の見直しに加え、販売価格の改定による対応も図っていきます。

(6)為替変動の影響について

(4)海外事業について(5)原材料の調達について、で記載のとおり、海外向けの売上高、海外からの仕入高、在外子会社の財務諸表の換算、また、在外子会社も現地通貨と取引通貨が違う場合、それぞれ為替相場の変動リスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

海外向けの売上高、海外からの仕入高のバランスをとることで、為替リスクの軽減を図っています。また、長期の販売契約を締結する際には、為替予約を利用して、仕入価格の固定化を図るなど、為替リスク軽減に努めています。

在外子会社の財務諸表を換算する際の為替リスクの回避は困難であり、海外子会社については、現地通貨での業績管理を行い、現地通貨ベースでの業績の向上を目指します。在外子会社が現地通貨以外の通貨で取引する場合は、基軸通貨である米ドルで取引を行い、為替の変動幅を最小限に抑えます。

(7)化学品に対する法規制について

世界的に環境問題に対する関心が高まる中、化学品への規制が強まる傾向にあります。このような状況下、当社グループの製品の製造・販売についても法律等により規制される可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

国内外の化学品への規制について、当社・子会社において、常に動向を注視し、情報収集を行い、必要な場合、担当部門において専門家や業界団体の助言等を得て、早期の対応に努めています。

(8)知的財産権について

知的財産権の取得および利用については、常に当社グループのスケジュール通りとなる保証はなく、市場競争力に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ訴訟等の当事者になる可能性があり、その際には費用の発生や人的資源の投入を強いられる可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

知的財産権について、今後の事業展開や競争力に直結するため、非常に重要であると認識しています。所管する部門において、常に動向を注視し、情報収集を行い、専門家を活用する等して、早期の対応に努めています。また、発明審査委員会を設置して、知的財産権について情報共有を図り、適正な管理運用を行う体制を構築しています。

(9)製造物責任について

当社グループでは、製品が顧客であるユーザーで原料として使用される、BtoBと呼ばれる商流が大部分を占めており、当社グループの製品に問題等が発生した場合には、ユーザーから一般消費者向けの製品へも影響を与えるなど、影響の範囲が大きく広がる可能性があります。その結果、当社グループの業績に対して影響を与えるとともに、企業への信頼についても影響を受ける可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

経営信条の一つに「信用を重んじ確実を旨とする」とあるとおり、メーカーとして品質・信頼の確保が重要であると認識し、行動規範に品質の維持、コンプライアンス活動の推進等必要な事項を定め、社内に周知徹底しています。

また、両事業とも品質保証部門に対する体制の強化を図り、当社グループの製商品に対する品質管理を行うとともに、国内外の関係部門、調達先等に関与し、工程管理による不良の低減等の品質保証活動を推進しています。

(10)設備投資計画について

当社グループは既存設備の更新だけでなく、新規設備投資等により事業の拡大を図っています。しかしながら、当社グループの製品に対する需要が期待どおりに推移しなかった場合は、生産設備の稼働率低下により、収益性が低下し、減損損失の計上・固定費の負担等、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

新規製造設備への投資決定の際に、ユーザーからの要望・市場調査を念入りに行う等、十分な検討を重ねて決定しています。

新規製造設備や設備更新の際は、省人化、省エネルギー化等、コストの最小化、効率化を推進した設備の導入を進め、稼働率の低下にも耐えうる企業体質を目指しています。

(11)たな卸資産について

(1)市場動向の影響について、で記載したとおり景気変動の影響を受けた際に、たな卸資産が大きく増加し、陳腐化することで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、原料価格・為替の変動により、たな卸資産の簿価が市場価格より高くなり、低価法が適用されると、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(主なリスクへの対応・取り組み)

適時、販売状況・販売計画を確認し、生産・購買と販売のバランスをとり、タイムリーに生産計画・購買計画を立案・修正し、実行しています。

原料価格を販売価格へ転嫁し、適切な利幅を維持出来るよう、契約の見直しを実施しています。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

①  財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における経済環境は、世界経済においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により大幅に落ち込みました。各国政府は大規模な経済対策を実施し、中央銀行も金融緩和により経済を強力に下支えしながら、ロックダウン等の感染症対策を実施しました。感染拡大に一定の歯止めがかかった後、社会活動の再開とともに株価が回復する等、経済回復に明るい兆しもありましたが、その後、再び感染増加に転じ、ロックダウン等の政策が繰り返され、経済的に厳しい状況が継続しました。欧米においてはワクチン接種が進展し、経済回復の期待も高まっていますが、世界的な感染症の収束は未だ見通せない状況にあります。さらに米中対立の継続、加えて海運の停滞、半導体の供給不足等の新たな課題も発生し、先行きは不透明な状況にあります。

日本経済は、新型コロナウイルス感染拡大により発令された初めての緊急事態宣言下で経済活動は停滞し、景気は大幅に落ち込みました。緊急事態宣言解除後、社会活動の再開とともに各経済政策が実施され、景気の落ち込みは一旦底を打ちましたが、感染の再拡大、緊急事態宣言の再発令等の感染対策を繰り返し、社会活動の制限が継続され、インバウンド需要は消失し、個人消費や経済活動の本格的な回復は、未だ見通せない状況が続いています。

このような情勢下、当社グループは従業員の健康・安全を最優先に配慮した上で感染対策を徹底して事業の継続に注力するとともに、成長を持続するため各事業において新規設備の本格稼働への対応や供給体制の維持、強化のための原料の安定確保、設備保全、新規設備投資計画の策定等、経営基盤の一層の強化に取り組みました。

 

a. 財政状態

(資産の部)

当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ9,631百万円増加し、45,131百万円となりました。これは主に、大型の設備投資が一巡したことで投資に伴う支出が減少し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、現金及び預金が増加したためです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,821百万円減少し、30,901百万円となりました。これは主に、大型の設備投資が一巡したため投資額以上に減価償却費が計上されたことにより、有形固定資産が減少したためです。

以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ6,809百万円増加し、76,032百万円となりました。

(負債の部)

当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ739百万円増加し、7,836百万円となりました。これは主に、設備投資に係る未払金が減少したものの、未払法人税等およびその他の負債が増加したためです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ189百万円増加し、2,026百万円となりました。これは主に、設備投資に伴う長期設備未払金が増加したためです。

以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ929百万円減少し、9,862百万円となりました。

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,880百万円増加し、66,169百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益により、利益剰余金が増加したためです。

b. 経営成績

当連結会計年度の売上高は42,209百万円(前年同期比2.2%増、898百万円増)となりました。営業利益は9,632百万円(同9.1%増、801百万円増)、経常利益は9,746百万円(同8.8%増、791百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,808百万円(同2.9%減、206百万円減)となりました。

売上高、営業利益は、後述の各セグメントの要因により増収増益となりました。経常利益は、期末にかけて円安が進行したことにより為替差損が解消し、為替差益が計上されたことで増益となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の法人税等が少なかった影響により減益となりました。

 

当社グループの報告セグメントの業績は、次のとおりです。

(ライフサイエンス事業)

ライフサイエンス事業の業績は、外部顧客に対する売上高が23,418百万円(前連結会計年度比2.9%減、701百万円減)、営業利益は3,312百万円(同23.5%減、1,016百万円減)となりました。

日本においては、原料価格の低下は底を打ち上昇に転じたものの、前連結会計年度に引き続き、原料価格に連動して販売価格が変動する契約となっている製品の販売単価が低下しました。加えて、飲食・宿泊等の業務用向けや、飲料用途等、外出自粛による経済低迷の影響を受けた業界向け製商品の販売が減少しました。海外子会社においては、足元では持ち直していますが、中国・米国の経済の落ち込みの影響を受けました。

鹿島事業所のリンゴ酸新規設備の稼働に伴いリンゴ酸の輸出は順調に増加しているものの、前述の要因により、売上高は前連結会計年度を下回りました。営業利益は、原料価格の低下によるコストダウン効果はあったものの、新規設備の稼働に伴う減価償却費の増加によるコストアップや売上高減少の影響により、前連結会計年度を下回り、減収減益となりました。

(電子材料および機能性化学品事業)

電子材料および機能性化学品事業全体の業績は、外部顧客に対する売上高が18,790百万円(前連結会計年度比9.3%増、1,600百万円増)、営業利益は7,645百万円(同33.0%増、1,896百万円増)となりました。

半導体市場は、米中対立・半導体供給不足等の懸念材料はあるものの、デジタル化の進展に伴うデータ量の増大によるサーバー需要の増加等により引き続き堅調に推移しました。半導体の微細化の進展に伴い、当社製品の超高純度コロイダルシリカも採用はさらに増加しています。

在宅勤務の普及によるトナー需要の減少により、ナノパウダーの売上は減少しましたが、超高純度コロイダルシリカの売上が堅調に推移した結果、売上高は前連結会計年度を上回りました。営業利益は、売上高の増加、増産によるコストダウン効果により、前連結会計年度を上回り、増収増益となりました。

②  キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益および減価償却費の発生により取得した資金を有形固定資産の取得、法人税等の支払、配当金の支払に充てた結果、前連結会計年度末に比べ8,752百万円増加し、24,835百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果取得した資金は、前連結会計年度に比べ883百万円増加し、12,820百万円(前連結会計年度は11,936百万円の取得)となりました。これは主に、法人税等の支払があった一方で、税金等調整前当期純利益および減価償却費による収入が発生したためです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ1,700百万円減少し、2,620百万円(前連結会計年度は4,320百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の預入れによる支出、有形固定資産の取得による支出が発生したためです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ2百万円増加し、1,639百万円(前連結会計年度は1,641百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払を行ったためです。

③  生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

前年同期比

ライフサイエンス

17,890,730千円

△3.1%

電子材料および機能性化学品

20,813,763

13.7

合計

38,704,493

5.3

(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

b.受注実績

当社グループは、見込み生産を行っているため、受注高および受注残高を把握していません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

前年同期比

ライフサイエンス

23,418,822千円

△2.9%

電子材料および機能性化学品

18,790,558

9.3

合計

42,209,380

2.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

2.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自  2019年4月1日

至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自  2020年4月1日

至  2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

A社

4,771,371

11.3

B社

4,385,594

10.4

3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

4.前連結会計年度のA社、B社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しています。

5.A社、B社との契約において秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせていただきます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

①   重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断および仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断および仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っています。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。

また、新型コロナウイルス感染症による影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。

②  連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりです。

a. 経営成績等の状況

経営成績の分析

(ライフサイエンス事業)

「ⅰ.果実酸コンビナート構想の実現」、「ⅱ.生産体制の再構築及び設備増強」、「ⅲ.次世代製品の早期戦列化」、「ⅳ.グローバル展開」の各テーマに取り組みました。

ⅰ. 果実酸コンビナート構想の実現

2017年11月に鹿島事業所の承継を完了し、リンゴ酸、フマル酸の原料である無水マレイン酸から製品までの一貫生産体制が確立され、国内№1のフマル酸メーカーとなりました。2019年7月には、鹿島事業所にリンゴ酸新製造設備が竣工し、鹿島事業所で生産するリンゴ酸の国際認証(FSSC22000、HARAL、Kosher)の取得、米国FDA登録を進めるとともに、国内外の顧客の品質評価、認定を促進しました。当社グループの販売力を結集し、海外顧客の新規獲得、既存顧客のシェア拡大に努めた結果、年度後半には海外での販売も増加し、稼働率も向上しました。引き続き、生産効率の高い新設備を有効活用することでコスト競争力を強化し、日本品質を活かしながら、当社グループの販売網により、アジア市場の拡大する需要を確実に取り込みつつ、欧米市場で獲得した新規顧客の定着を図ります。また、世界№1のリンゴ酸メーカーの地位を確立するため、安定操業を継続しメインプラントとして体制を構築します。

 

ⅱ. 生産体制の再構築及び設備増強

増加するリンゴ酸、フマル酸等の果実酸の需要への対応、生産性向上、衛生環境強化を目的に、西日本の生産体制の再構築を進めました。大阪工場リンゴ酸製造設備のマルチプラント化、製剤類の製造を行う十三工場機能の大阪工場集約、次世代製品である油脂コート有機酸の製造設備建設等のプロジェクトを進めました。コロナ禍により困難な局面で時間を要しましたが、2021年9月の油脂コート有機酸設備の建設、2022年度の十三工場機能の大阪工場移転を決定し進めています。大阪工場リンゴ酸製造設備のマルチプラント化についても、引き続き検討準備を進めています。大阪工場を西日本の主要工場とし生産体制の最適化、合理化を進めビジネスの拡大に繋げます。

 

ⅲ. 次世代製品の早期戦列化

次世代の主力製品として、優れたコート性能をもち、様々な顧客ニーズへ対応した油脂コート有機酸の開発および、2020年度中の生産設備導入・製品化、販売開始を目指しました。開発において一定の成果は出ているものの、コロナ禍において製造設備の導入は遅延しましたが、2021年9月の製造設備の建設を決定し、現在工事を行っています。バイオスティミュラント(ストレスフリー製剤)については、植物試験による耐暑性に対する効果・再現性の確認、対象品目の拡充、対象ストレスの拡充、拡販活動を行いました。顧客評価においては高評価を得ていますが、評価系の再現性の確認においては未達成性で、引き続き開発を継続します。

 

ⅳ. グローバル展開

日本、中国、タイ、米国の拠点を活かして、グループの連携を強化し、果実酸の拡販、各製剤類の拡販を各地域で進めました。

アジアにおいては、「One-Stop食添製剤メーカー」として高付加価値の食品添加物製剤を対象品目、取扱い品目や、販売地域を積極的に拡大し、拡販に努めました。中国子会社青島扶桑精製加工有限公司において、テストキッチンが2020年10月に完成し食品添加物製剤ビジネスの拡大に貢献しています。タイ子会社FUSO(THAILAND)CO.,LTD.においても日系、タイローカルの食品大手において新規採用が進みました。中国、東南アジアにおけるリンゴ酸の拡販もグループ一体で進め、販売は増加しました。

北米においては、米国子会社PMP Fermentation Products,Inc.が、アンチダンピング提訴の成功もあり、グルコン酸類の米国唯一の国産メーカーとしての地位を確立しました。コロナ禍で北米市場は停滞しましたが、潜在的な需要は大きく段階的に製造能力の増強を進めています。北中米におけるリンゴ酸の拡販も進め、販売は増加しました。

 

ライフサイエンス事業の経営成績は、売上高は、前連結会計年度に比べ701百万円減少し23,418百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ1,016百万円減少し、3,312百万円となりました。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、国内においてはインバウンド需要が消滅し、飲料用途、工業用途で販売が減少しました。欧米、中国等、海外市場においても移動制限、ロックダウン等により社会活動が停滞し、景気の悪化の影響を受けました。また、無水マレイン酸、フマル酸は、原料価格の低下に連動して販売価格が下落しました。家庭用途向けの商品の販売は増加し、リンゴ酸は北米、東南アジア、欧州で新規顧客を獲得し大幅に増加しましたが売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。営業利益は原料価格の低下による原価ダウンの効果はありましたが、鹿島リンゴ酸設備の稼働に伴う減価償却費の増加、北米市場の景気悪化による利益減少により前連結会計年度に比べ減少しました。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、ライフサイエンス事業に関連する各市場では、プラス面・マイナス面それぞれの影響がありました。当社への影響は、全般的には限定的でしたが、今後の動向を注視していきます。日本においては感染収束の目途が立たない状況ですが、海外においてはワクチン接種の進展により経済活動が大幅に回復している地域もあり、需要を取りこぼすことなく対応できるよう引き続き努めます。

 

(電子材料および機能性化学品事業)

「ⅰ.半導体研磨:重点顧客との取組み強化、生産効率最大化、新規砥粒開発推進」、「ⅱ.生産・研究・品質保証体制堅実化 顧客要望事項への迅速な対応、分析精度・効率向上、コスト削減」、「ⅲ.機能材料:ナノパウダーのビジネス拡大、中空ナノシリカ上市、生産体制の再構築」の各テーマに取り組みました。

ⅰ. 半導体研磨:重点顧客との取組み強化、生産効率最大化、新規砥粒開発推進

コロナ禍で対面での顧客とのコミュニケーションが難しくなる中、リモート会議を活用し、新規砥粒開発を推進しました。開発は計画通り進捗し、新規製造ラインの顧客認定を進め、2020年度下期より本格的に新規砥粒の供給を開始しました。新製造ラインを含めた製造設備をフル活用して、増加する需要に対応します。さらに増加が見込まれる需要に対応するため鹿島事業所に超高純度コロイダル設備の建設を決定しました。供給体制の確立のため、確実に計画を進めていきます。

 

ⅱ. 生産・研究・品質保証体制堅実化 顧客要望事項への迅速な対応、分析精度・効率向上、コスト削減

最先端の製造設備を導入し、シングルナノ世代に対応した高精度のプロセス制御を行い、高品質・高効率の生産体制の確立に努めました。また、既存設備を合わせて品種ごとの生産切り替えを減らし、生産の効率化を推進し、コスト削減に寄与しました。研究開発体制は、新規砥粒の開発を進めるとともに、新規設備を含めた製造設備を有効活用できるよう量産化とマッチした開発を実施しました。また、スケールアップ技術の確立、デザインレビューの実施、高精度装置の導入、プロセス技術開発を推進しました。品質保証体制については、新たな分析機器を導入、顧客認定を取得し、分析精度および顧客評価との相関性の向上を図りました。今後も製品供給体制の強化を図り、増加する需要に対応できる体制を構築します。

 

ⅲ. 機能材料:ナノパウダーのビジネス拡大、中空ナノシリカ上市、生産体制の再構築

トナー需要は、テレワークの進展により印刷量が減り、減少しています。また、顧客においてもトナー関連部材の開発ペースが鈍化しています。改めてナノパウダー、中空ナノシリカの市場調査を進め、引き続き既存顧客との取組みを深めるとともに、新規顧客の開拓を進めます。

 

電子材料および機能性化学品事業の経営成績は、売上高は前連結会計年度に比べ1,600百万円増加し、18,790百万円となりました。営業利益は前連結会計年度に比べ1,896百万円増加し、7,645百万円となりました。

半導体市場はリモートワークの進展に伴い電子機器の需要増加や、通信量の増加によるデータセンター増設等により堅調に推移しました。当社の超高純度コロイダルシリカは既存市場に加え、半導体の最先端の製造プロセスのCMP用途において採用が増加しています。また、米中貿易摩擦や半導体需要の急速な増大により半導体の供給体制に不安が生じており、業界の在庫水準も引き上がっています。ナノパウダーはトナー需要減少の影響を受けましたが、上記要因により、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。営業利益は、売上高の増加に加え、販売量増加に伴う稼働率向上による原価低減効果、増設設備の稼働に伴う減価償却費も減少に転じて、前連結会計年度に比べ増加しました。

新型コロナウイルス感染症の拡大により、デジタル化の進展が加速し、半導体市場においては急速に需要が拡大しました。機能材料分野においてはトナー需要の減少や自動車需要の減少等の影響もあります。半導体需要の急速な拡大に対する供給不安、海運の停滞、米中対立の継続等、先行き不確定な要素も多く今後の動向を注視していきます。引き続き、原料等の安定調達に努め、安全操業を継続して増加する需要に対応していきます。

 

(売上高)

前述のとおり、前連結会計年度に比べ電子材料および機能性化学品事業は増加しましたが、ライフサイエンス事業で減少したため、898百万円増加し、42,209百万円となりました。

 

(営業利益)

前述のとおり、前連結会計年度に比べ電子材料および機能性化学品事業は増加しましたが、ライフサイエンス事業で減少したため、801百万円増加し、9,632百万円となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ31百万円減少し、123百万円となりました。これは主に、年度末にかけて円安が進行し為替差益が計上されたものの、金利が急速に下がったことにより受取利息が減少したためです。営業外費用は、前連結会計年度に比べ22百万円減少し、9百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に為替差損が計上されていたためです。

上記要因により、経常利益は前連結会計年度に比べ791百万円増加し、9,746百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ65百万円減少し、13百万円となりました。これは主に、前連結会計年度で台風等の災害に対して受取保険金が計上されたためです。特別損失は、前連結会計年度に比べ127百万円減少し、30百万円となりました。これは主に、固定資産除却損が減少したためです。法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額は、利益の増加に加え、前連結会計年度に適用された税額控除の影響が大きく、法人税等合計で前連結会計年度に比べ1,060百万円増加し、2,921百万円となりました。

特別利益が減少したものの、特別損失の減少と経常利益の増加により税金等調整前当期純利益は増加しましたが、法人税等増加の影響が大きく、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて206百万円減少し、6,808百万円となりました。

 

財政状態の分析

財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。

キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

b. 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、棚卸資産の購入費用、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。運転資金の財源は、自己資金および金融機関からの短期借入等を基本としています。当連結会計年度は、新たな短期借入は行っておらず、当連結会計年度末に短期借入金の残高はありません。

投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収等によるものです。投資資金の財源は主に、自己資金および金融機関からの長期借入等によります。当連結会計年度は、設備投資に対する資金に対し、新たな長期借入は行っておらず、当連結会計年度末に長期借入金の残高はありません。当連結会計年度に実施した設備投資に係る資金の財源は、自己資金を充当しています。

新型コロナウイルス感染症の拡大に対して、現状は財政状態に大きな影響は出ていませんので新たな資金調達の予定はありませんが、今後の状況を注視して、必要に応じて資金調達等の対策を検討します。

c. 経営成績に重要な影響を与える要因

「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度における当社の最重要指標である「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)は、前連結会計年度に比べ1,296百万円増加し、14,659百万円となりました。

前連結会計年度に比べ、減価償却費は、電子材料および機能性化学品事業は大型の設備投資が一巡し減少に転じましたが、ライフサイエンス事業において鹿島事業所の設備投資の影響が大きく増加しました。営業利益はライフサイエンス事業において減少しましたが、電子材料および機能性化学品事業において増加し、全体で償却前営業利益は増加しました。

総資産回転率は0.58回で低下傾向にあります。これは、設備投資が売上高の増加に先行して行われており、総資産の増加が売上高の増加を上回るためです。今後、設備投資を売上高の増加に繋げて改善を目指します。

自己資本利益率は10.8%で、低下傾向にあります。営業利益は増加しましたが、法人税等の増加の要因で親会社株主に帰属する当期純利益が減少し、純資産は利益剰余金により増加したためです。今後も投資は計画されており、減価償却費の増加による一時的な利益の低下は想定されるものの、償却前営業利益の最大化を目指し、純資産は安全性とのバランスを考慮して、自己資本利益率の維持向上を目指します。

自己資本比率は87.0%で、水準以上の安全性は確保できています。今後も、増加が見込まれる需要に対応するため、継続的な設備投資や研究開発投資が成長の源泉であり、投資を継続するためにも、一定水準以上の純資産の厚みが必要である認識です。

投資計画、配当政策を考慮して、効率性、収益性のより一層の向上を目指します。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、販売戦略ターゲットに対応して、ライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業に関する研究開発を行いました。

ライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業ともに、当社グループ内において、海外子会社も含めて営業関連部署や品質保証部門等と互いに連携し、またユーザーとも相互協力を図りながら新規事業、新製品の企画開発、技術開発情報の収集等を行いました。

当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は、次のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、685百万円となりました。

(1)ライフサイエンス事業

フードロスの削減、サスティナブルな原料利用、健康意識の高まり、食の多様化といった食品業界を取り巻く大きな環境の変化をチャンスととらえ、当社の主力製品である各種有機酸を活かし、食品添加物製剤やコート有機酸といった機能性を有する商品の開発に注力しました。

特に、SDGsへの取り組みとして、食品業界にとって避けては通れないフードロスの問題に貢献するため、各種有機酸を果物や野菜の褐変防止や加工食品の日持ち向上に利用できるよう、食品添加物製剤の開発を進めました。加工食品メーカーへの新規採用も進んでおり、今後もフードロス削減の一助となるよう、新たに見出した知見を活かした商品開発を進めていきます。

また、各種有機酸を活かした、機能性を有するコート有機酸の開発を進めました。各種有機酸を心材とし、油脂等を用いてコーティングすることで、酸味のマスキング、吸湿・酸化・反応防止、流動性改善、飛散防止等の効果が期待できます。現在、市場増大が見込まれる製菓、グミ・キャンディーを始めとした加工食品分野に向け商品の上市を目指し、大阪工場への生産設備導入を進めています。

一方、新規の取り組みとして、近年着目されているバイオスティミュラント製剤の開発を進めてきました。数年前から「ある天然物由来の活性成分」に着目し、その活性成分がHSP(ヒートショックプロテイン)発現に作用することを活かした商品開発に取り組み、商品化に目途がつきました。今後も顧客(地域農業関連団体)との取組みを加速させ、販売拡大を目指していきます。

なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、226百万円となりました。

(2)電子材料および機能性化学品事業

シリコンウエハ研磨および半導体CMP研磨スラリー向けの超高純度コロイダルシリカ製品分野では、粒子サイズ、形状、濃度、表面状態、硬さ、粒度分布、粗大粒子等を安定的かつ自在にコントロールする技術をさらに発展させ、顧客ニーズにマッチした新製品の開発を行い、着実にシェアを伸ばしています。また、新たなコンセプトを導入したコロイダルシリカの開発に着手し、一部顧客へのサンプルワークを開始するなど、シングルナノ~オングストローム配線幅となる最新世代に向けた取り組みを進めています。より高度な技術が必要とされる分析装置についても、新測定技術を採用した最新鋭装置を積極的に導入しています。

製造技術については、半導体配線幅の急速な微細化に対応した高レベルの製造工程品質管理体制を継続的にブラッシュアップすると同時に、最新鋭の機器を導入した新規ラインも高い水準で稼働しています。また、2020年11月には、鹿島事業所への超高純度コロイダルシリカ製造設備の新設計画を発表しました。これにより製造能力増強を達成し、旺盛な半導体製造業界の需要に迅速に対応していきます。

一方、上記コア技術を応用して情報産業向けに上市しましたナノシリカ粉末製品は確実に需要を伸ばしており、数多くの顧客へのワークを継続しています。新規用途向け応用開発品についても、東京研究所を拠点として鋭意開発を行い、新規顧客の獲得ならびに、コア技術をベースとした新規分野製品群の拡張が進んでいます。

当連結会計年度は、これら新規開発活動を支える開発環境の整備にも注力し、最新鋭の品質評価機器の複数導入、京都研究所ならびに東京研究所の2開発拠点での研究開発投資および要員増を実施しました。

なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、458百万円となりました。