文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。中期経営計画につきましては2021年5月7日に公表したものに基づきます。
(1)基本方針
当社グループは、下記の社是、経営信条に則り、収益力・人財(材)力・技術力のレベルを高め、継続的発展を遂げる企業を目指すために、「企業価値」および「企業品質」をより高める企業経営をしていきます。
社是
「限りなき進歩と創造」
経営信条
一. 信用を重んじ確実を旨とする
一. 技術を通じて国家社会に貢献し
一. 社業の繁栄によって従業員の豊かさを築く
そのために、ニッチな市場のニーズをとらえ、スピード、コスト、クオリティのバランスが高次元で調和している「金メダル製品」の開発を目指し、顧客満足の最大化を目指していきます。
(2)中長期的な会社の経営戦略、経営環境及び対処すべき課題
今後の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響、ウクライナ情勢の悪化、政治的対立の顕在化、インフレの進行等、経済の混乱要因により、先行きは見通せない状況にあります。
このような状況のもと、当社グループは従業員の健康・安全を確保した上で、生産・販売を維持、強化し、事業継続に注力します。
先行き不透明な状況ではありますが、新規設備の有効活用による国内外の需要取り込み、継続的なコスト削減を通じたコア事業の更なる強化、市場ニーズに適合した新規商品の開発、海外拠点を活用した海外展開、さらに新規設備投資計画を進め供給力強化に取り組みます。
昨年、当社は中期経営計画“FUSO VISION 2025”を策定しました。持続的な成長のため、目指すべき企業像に向けての方針を定め、中期経営計画のサブテーマである『社会課題の解決に貢献するFUSOであるために』を実現し、中期経営目標の達成を目指します。詳細は当社ウェブサイトに掲載しています。
2022年度の計画につきましては、インフレ進行、円安進行に伴う原料価格の上昇、それに伴う販売価格への影響、半導体市況の予測を織り込んで、下記のとおり計画しています。
〇連結業績計画および当期実績比較
(単位:百万円)
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2021年度実績 |
2022年度計画 |
増減額 |
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売上高 |
55,760 |
66,200 |
+10,439 |
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営業利益 |
15,034 |
15,650 |
+615 |
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経常利益 |
15,509 |
15,700 |
+190 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
10,890 |
10,800 |
△90 |
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償却前営業利益 |
19,488 |
20,350 |
+861 |
〇ライフサイエンス事業連結業績計画
(単位:百万円)
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2021年度実績 |
2022年度計画 |
増減額 |
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売上高 |
31,430 |
38,000 |
+6,570 |
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営業利益 |
4,940 |
5,700 |
+759 |
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償却前営業利益 |
6,435 |
7,300 |
+864 |
〇電子材料および機能性化学品事業連結業績計画
(単位:百万円)
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2021年度実績 |
2022年度計画 |
増減額 |
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売上高 |
24,329 |
28,200 |
+3,870 |
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営業利益 |
11,612 |
12,000 |
+387 |
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償却前営業利益 |
14,496 |
14,950 |
+453 |
<中期経営計画>
当社グループの持続的な成長のためには、グループとして中期的に目指すべき方向性・指針を社内外のステークホルダーに対して打ち出すことの必要性を感じ、昨年「中期経営計画 “FUSO VISION 2025”」を策定しました。これを基に2025年度(2026年3月期)までを、『更なる飛躍のための足場固めと新規事業創出・第3の柱構築への挑戦のための5年間』と位置づけ、事業環境の変化への対応と新たな価値の創造に挑戦し続けることで、中期経営計画のサブテーマである『社会課題の解決に貢献するFUSOであるために』を実現していきます。
1.中期経営計画の概要
名称 :中期経営計画“FUSO VISION 2025”
サブテーマ:社会課題の解決に貢献するFUSOであるために
期間 :2021年度~2025年度(5ヶ年の中期計画)
経営目標 :売上高580億円、営業利益140億円、償却前営業利益200億円
経営方針 :①既存事業における拡大する需要の取り込み、着実な対応
②新規事業・分野への投資・挑戦
③持続的成長を支える経営基盤の強化(SDGsへの取り組み)
2.目指す企業像
「限りなき進歩と創造」の先にあるもの、当社グループが目指す企業像としては、その特定の分野で輝く数多くの金メダル製品と様々な価値観・アイデアを持つ社員がそれぞれの持ち場で活き活きと働き、社会に貢献し続けられる体力のある企業、そのような未来を思い描き下記の通り設定しました。
・グローバルニッチトップを追求する FUSO
・人々の暮らしの豊かさの向上・持続的な未来に貢献し続ける FUSO
・現状に満足することなくInnovationに挑戦し続ける FUSO
・既存事業に続く成長性ある第3の柱構築で倒れない強い企業である FUSO
※中期経営計画の詳細につきましては、当社ウェブサイトをご覧ください。
3.中期経営計画の進捗状況
初年度の2021年度の業績は、期待以上の成果となりました。強い需要に支えられた販売量増加の影響もありますが、原材料価格や為替等の要因により売上単価の上振れが業績に大きく影響しました。2年目に当たる2022年度以降も原料価格の高騰は継続しており、為替も円安が進行しています。2022年度計画も上振れて進捗する計画ですが、コロナ禍の影響、ウクライナ情勢、政治的対立、インフレ、為替等、非常に不安定な状況が継続しており、2025年度までの計画は据え置きとさせていただきます。今後、外部要因の影響を慎重に検討し、見直しの是非を判断していきます。コストアップ等の要因も多く、厳しい状況が継続していますが、2022年度計画の達成に向けて注力していきます。
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2021年度(実績) |
2025年度(目標) |
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売上高 |
557億円 |
580億円 |
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営業利益 |
150億円 |
140億円 |
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償却前営業利益 |
194億円 |
200億円 |
<対処すべき課題>
当社グループの事業展開において、以下を重点的テーマとして取り組んでいきます。
(ライフサイエンス事業)
ライフサイエンス事業では、生産体制の拡充、新製品開発と早期戦列化、ならびに市場環境の変動に伴う課題に対処し、さらなる売上および利益の拡大に取り組みます。
鹿島事業所のリンゴ酸新プラントは2021年1月に本格稼働を開始し、年間を通した安定操業を実現し、大阪工場と並ぶリンゴ酸生産拠点となりました。2023年3月期はメインプラントとしてフル生産体制を確立し、生産数量向上に取り組みます。品質面においては、国際食品安全マネジメントシステム「FSSC22000」の認証を取得するとともに、米国FDA登録を完了しました。これによりリンゴ酸の輸出は大きく伸長し、新規輸出先への継続納入と需要の旺盛な東南アジアへの販売により更なる販売数量の拡大に努めます。
次世代新製品として取り組んできた有機酸のコーティング品については、2022年3月にコート果実酸M(リンゴ酸の油脂コート品)、コート果実酸C(クエン酸の油脂コート品)、コート果実酸V(ビタミンCの油脂コート品)の3製品を上市しました。今後は菓子、健康食品などへの採用による国内での早期戦列化と、海外各拠点も含めた海外への販売促進により、コート果実酸ビジネスの確立を推進します。
十三工場機能の大阪工場への集約につきましては、2021年8月に着工し、2022年末の完成に向けてこれまでのところ順調に進んでいます。
海外では、青島扶桑精製加工有限公司が2022年上期に上海食品調味料研究開発センター(仮称)を開設します。青島にあるテストキッチンと併せて活用することにより、中国国内での食品添加物製剤ならびに新規食品開発の加速を目指します。FUSO(THAILAND)CO.,LTD.では、周辺国での活動を強化し、タイ国内のみならず周辺国のローカル食品での食品添加物製剤の採用増と新規開発を進めます。PMP Fermentation Products, Inc.では、グルコン酸ソーダの販売において競合他社からのビジネスを取り返すとともに、新規案件の獲得により前期に落ち込んだシェアを回復しました。安定供給体制を確立し、シェアの維持に努めます。
(電子材料および機能性化学品事業)
電子材料および機能性化学品事業では、増加する需要へ対応するための生産能力強化、新規技術の研究開発活動に努めることで、さらなる売上および利益の向上に取り組みます。
2020年年初から始まった新型コロナウイルス感染症の拡大は、当社グループの超高純度コロイダルシリカの主な最終顧客である半導体業界に大きな影響を及ぼしました。ウェブ会議、リモートワーク、巣ごもり生活といった行動様式の変化に伴い半導体の需要が伸長し、超高純度コロイダルシリカの販売も計画を大きく上回る結果となりました。この数年間の市場傾向が継続していくことに加え、各国家・地域が半導体に対する政策を打ち出したこともあり、当社では、当面の期間、半導体の生産量増加が継続すると予測しています。また、半導体の微細化の進展や、高積層化によるウェハプロセスケミカルの需要量も引き続き増加基調が継続するものと予測しています。
この需要の増加に対応していくため、2020年11月に超高純度コロイダルシリカの生産能力増強を決定し、BCP(事業継続計画)の観点に鑑み、鹿島事業所に新設備を設置することとしました。2023年4月に稼働予定の本設備は、2018年に京都第一工場および第二工場に完成した超高純度コロイダルシリカ生産設備と同じ高度な技術を終結した仕様で、製造条件を高精度にコントロールする事が可能であり、益々厳しくなるお客様の品質要求に応える事が可能になります。また、旺盛な需要に対応するため、京都事業所第二工場での生産能力増強も2021年7月に決定し、鹿島事業所の設備と併せて生産能力を従来に対し3割以上強化する計画としています。
研究開発については、従来どおりケイ素化学を基軸として多方面への事業展開を推進しています。半導体分野では微細化、高集積化が益々進んでおり、それらのニーズに対応すべく、さらに様々な大きさの粒子や硬い粒子、表面修飾した粒子等の製品開発を続けていきます。
半導体研磨用途以外の新分野への製品開発や今後のグローバルな研究活動への拡大を見据え、2022年7月に新たな研究拠点を神戸に開設することとしました。従来から活動している東京研究所とともに、今後も積極的に経営資源を投下し、当社グループのコア技術である超高純度コロイダルシリカの合成技術を活かし、新規技術の研究開発を行います。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、将来の成長に向けた設備投資は不可欠であると考えて、設備投資の採算性を慎重に検討した上で「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)を最重要経営指標としています。併せて、総資産回転率等の資産効率、自己資本利益率等の収益性、自己資本比率等の安全性等、複数の指標のバランスを考慮して経営を進めています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)市場動向の影響について
ライフサイエンス事業の製品は、加工食品・飲料等の食品分野が主な用途ですが、金属加工・コンクリート混和剤等の工業分野でも広く使用されています。食品分野では、比較的景気変動の影響は限定的と言われていますが、異常気象・自然災害等により需要が大きく変動する可能性があります。工業分野では、食品分野に比べ、景気変動の影響をより一層受けるリスクが存在します。また、どの用途においても、輸入品等の競合品との価格競争、国内外の市況の変動により販売価格、原価が影響を受ける可能性があります。そのため、ライフサイエンス事業の特定の会計期間の業績に影響を及ぼす可能性があります。
電子材料および機能性化学品事業は、半導体業界を中心に製品および商品を販売しており、その半導体業界の特徴として、好況・不況の景気の波が激しいことが挙げられます。そのため、半導体業界の景気変動の波を受けるリスクが存在し、当社グループの電子材料および機能性化学品事業の特定の会計期間の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
両事業とも、特定の分野・地域・ユーザーの依存度を分散するよう、新規用途を獲得するため積極的に情報収集・製品開発を行っています。特に、半導体業界は、短期的な景気の変動はあるものの、中長期的には成長が続くものと想定しています。その想定に沿って、短期的な不況に耐えうる財務体質の強化を目指しています。
(2)自然災害・事故災害の発生について
大規模地震等の自然災害、製造および研究設備等における事故が発生した場合には、生産および物流設備、情報機器(システムサーバー)、研究機器等への被害により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループの事業所において、新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した場合には、当該事業所の一時閉鎖を行うなど、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
上記リスクは、当社グループだけでなく、重要な取引先でも発生する可能性があり、サプライチェーンへの影響により、当社グループの業績に影響を与える可能性もあります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
当社グループの生産および物流設備、情報機器(システムサーバー)、研究設備等が自然災害・事故災害に被災した場合、および当社グループの事業所において新型コロナウイルス感染症のクラスターが発生した場合には、当社グループで策定しているBCPの手続きにより、適切な情報収集・対応策を実施することで、最短での復旧を目指します。情報機器(システムサーバー)は、クラウド化による外部委託を推進しています。なお、感染症対策として、従業員の健康管理、テレワーク・時差出勤の推進、通勤手段の多様化への対応、勤務中の感染予防策の徹底等を周知し、実施しています。
また、重要な取引先で被害が発生した場合に備えて、仕入の複数購買等の施策をできる限り実施し、サプライチェーンの維持に努めています。
(3)技術革新の影響について
電子材料および機能性化学品事業の主要な納入先である半導体業界は技術革新の激しい業界であり、新規技術の開発・応用がなされた場合、市場が大きく変化する可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
常に半導体業界の最先端の動向・情報を収集し、最先端の技術に対応した製品開発を行い、供給体制を構築しています。また、半導体研磨分野で培った技術を活かし、中空ナノシリカ、トナー市場向けナノパウダー等の製品で半導体以外の市場の開拓を進め、依存度を下げます。
(4)海外事業について
当社グループの事業は世界的に広がっており、当連結会計年度における海外売上高の連結売上高に占める比率は47.0%(北米18.1%、アジア26.8%、ヨーロッパ1.7%、その他0.4%)と海外向けの売上高の比率が年々高くなっています。
また、在外の連結子会社は、中国、米国およびタイに合わせて5社あり、子会社を通じて海外においても事業を行っています。海外市場で事業を行う際には、社会的・経済的なカントリーリスク、人事・労務問題の環境の相違、法令等の規制強化等、特有のリスクがあり、それらが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
各国固有のカントリーリスクがあり、それを全て無くすことは困難ですが、各子会社へ駐在員を派遣し、専門家、業界団体等を活用し、各種リスクが顕在化する前段階での情報収集を実施し、早期対応に努めます。
(5)原材料の調達について
当社グループの原材料の調達活動において、中国からの調達のウエイトが大きなものとなっています。このため、中国の社会経済情勢の影響を受けた際には、調達が困難となる可能性や調達価格が上昇する可能性があり、特定の会計期間における業績が影響を受ける可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
中国以外の国からの調達も検討する等、分散化によりリスクの軽減を図っています。さらに、当社および現地法人を通じて、仕入れ先との協力関係を強化し、情報収集、早期の対応が可能な体制を構築しています。また、調達価格が上昇した場合は、各種コスト削減や収益構造の見直しに加え、販売価格の改定による対応も図っていきます。
(6)為替変動の影響について
(4)海外事業について(5)原材料の調達について、で記載のとおり、海外向けの売上高、海外からの仕入高、在外子会社の財務諸表の換算、また、在外子会社も現地通貨と取引通貨が違う場合、それぞれ為替相場の変動リスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
海外向けの売上高、海外からの仕入高のバランスをとることで、為替リスクの軽減を図っています。また、長期の販売契約を締結する際には、為替予約を利用して、仕入価格の固定化を図るなど、為替リスク軽減に努めています。
在外子会社の財務諸表を換算する際の為替リスクの回避は困難であり、海外子会社については、現地通貨での業績管理を行い、現地通貨ベースでの業績の向上を目指します。在外子会社が現地通貨以外の通貨で取引する場合は、基軸通貨である米ドルで取引を行い、為替の変動幅を最小限に抑えます。
(7)化学品に対する法規制について
世界的に環境問題に対する関心が高まる中、化学品への規制が強まる傾向にあります。このような状況下、当社グループの製品の製造・販売についても法律等により規制される可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
国内外の化学品への規制について、当社・子会社において、常に動向を注視し、情報収集を行い、必要な場合、担当部門において専門家や業界団体の助言等を得て、早期の対応に努めています。
(8)知的財産権について
知的財産権の取得および利用については、常に当社グループのスケジュール通りとなる保証はなく、市場競争力に影響を及ぼす可能性があります。また、予期せぬ訴訟等の当事者になる可能性があり、その際には費用の発生や人的資源の投入を強いられる可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
知的財産権について、今後の事業展開や競争力に直結するため、非常に重要であると認識しています。所管する部門において、常に動向を注視し、情報収集を行い、専門家を活用する等して、早期の対応に努めています。また、発明審査委員会を設置して、知的財産権について情報共有を図り、適正な管理運用を行う体制を構築しています。
(9)製造物責任について
当社グループでは、製品が顧客であるユーザーで原料として使用される、BtoBと呼ばれる商流が大部分を占めており、当社グループの製品に問題等が発生した場合には、ユーザーから一般消費者向けの製品へも影響を与えるなど、影響の範囲が大きく広がる可能性があります。その結果、当社グループの業績に対して影響を与えるとともに、企業への信頼についても影響を受ける可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
経営信条の一つに「信用を重んじ確実を旨とする」とあるとおり、メーカーとして品質・信頼の確保が重要であると認識し、行動規範に品質の維持、コンプライアンス活動の推進等必要な事項を定め、社内に周知徹底しています。
また、両事業とも品質保証部門に対する体制の強化を図り、当社グループの製商品に対する品質管理を行うとともに、国内外の関係部門、調達先等に関与し、工程管理による不良の低減等の品質保証活動を推進しています。
(10)設備投資計画について
当社グループは既存設備の更新だけでなく、新規設備投資等により事業の拡大を図っています。しかしながら、当社グループの製品に対する需要が期待どおりに推移しなかった場合は、生産設備の稼働率低下により、収益性が低下し、減損損失の計上・固定費の負担等、当社グループの財政状態および経営成績に影響を与える可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
新規製造設備への投資決定の際に、ユーザーからの要望・市場調査を念入りに行う等、十分な検討を重ねて決定しています。
新規製造設備や設備更新の際は、省人化、省エネルギー化等、コストの最小化、効率化を推進した設備の導入を進め、稼働率の低下にも耐えうる企業体質を目指しています。
(11)棚卸資産について
(1)市場動向の影響について、で記載したとおり、景気変動の影響を受けた際に棚卸資産が大きく増加し、陳腐化することで、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、原料価格・為替の変動により棚卸資産の簿価が市場価格より高くなり、低価法が適用されると、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
適時、販売状況・販売計画を確認し、生産・購買と販売のバランスをとり、タイムリーに生産計画・購買計画を立案・修正し、実行しています。
また、原料価格を販売価格へ転嫁し、適切な利幅を維持出来るよう、契約の見直しを実施しています。
(12)情報セキュリティについて
コンピューターウイルスによる感染や外部からの不正アクセス等によって、営業機密や個人情報の漏洩が発生した場合には、取引先からの損害賠償請求や社会的信用の失墜により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
ファイアウォールの強化や監視ソフトの導入など、情報セキュリティの強化に日々努めています。
また、クラウド化による外部委託を推進しています。
(13)気候変動について
気候変動の直接的な影響として、自然災害の増加、甚大化が想定されます。このリスクに対しては、(2)自然災害・事故災害の発生について、で記載しています。その他に間接的な影響として、気候変動緩和策へ対応した結果、調達先および販売先が限定される可能性や、温暖化対策の施策によるコスト増加により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(主なリスクへの対応・取り組み)
環境規制や関連法規等を遵守した上で、気候変動などの環境問題への対応を課題として捉えています。省エネの推進、温暖化ガスの排出量の削減に努めるとともに、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)が提言しております4つの柱(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿って、気候変動が当社グループに与える影響を分析し、対策を実施しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しています。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、回復傾向で推移しました。一方、インフレの進行と対応する金融政策の変更、ウクライナ情勢、政治的な対立の顕在化等、経済への影響が懸念され、先行き不透明な状況は継続しています。
日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動の制限と緩和を繰り返しながら緩やかな回復傾向で推移しましたが、インフレや円安の進行により経済への影響が懸念される状況となりました。
このような情勢下、当社グループは従業員の健康・安全を最優先に配慮した上で、感染対策を徹底して事業の継続に注力しました。加えて、成長を持続するため各事業において、拡販・価格改定等の営業体制強化、設備投資計画の推進、既存設備の維持・強化、原料の安定確保、コストダウンや効率化による供給体制の強化、新製品開発の推進等の研究開発体制の強化の取り組みを進めました。さらに、就業環境の整備、ガバナンス体制の強化を進め、経営基盤の一層の強化に取り組みました。
a. 財政状態
(資産の部)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ6,946百万円増加し、52,078百万円となりました。これは主に、売上高の増加、円安の進行により売掛金が増加したほか、原料価格の上昇、円安の進行により棚卸資産が増加したためです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ9,030百万円増加し、39,931百万円となりました。これは主に、鹿島事業所の超高純度コロイダルシリカ製造設備の工事の開始に伴い建設仮勘定が増加したためです。
以上の結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ15,977百万円増加し、92,009百万円となりました。
(負債の部)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ6,831百万円増加し、14,667百万円となりました。これは主に、鹿島事業所の超高純度コロイダルシリカ製造設備の設備投資に係る設備関係未払金が計上されたほか、利益の増加に伴う未払法人税等の増加、およびその他の負債が増加したためです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ12百万円増加し、2,038百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が増加したためです。
以上の結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ6,843百万円増加し、16,706百万円となりました。
(純資産の部)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9,133百万円増加し、75,303百万円となりました。これは主に、自己株式の取得を行ったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、利益剰余金の増加額がこれを上回ったためです。
b. 経営成績
当連結会計年度の売上高は55,760百万円(前連結会計年度比32.1%増、13,551百万円増)となりました。営業利益は15,034百万円(同56.1%増、5,402百万円増)、経常利益は15,509百万円(同59.1%増、5,763百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,890百万円(同60.0%増、4,082百万円増)となりました。
売上高、営業利益は、後述の各セグメントの要因により増収増益となりました。経常利益は、営業利益増加の要因に円安効果も加わり増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益計上の影響も加わり増益となりました。
当社グループの報告セグメントの業績は、次のとおりです。
(ライフサイエンス事業)
ライフサイエンス事業の業績は、外部顧客に対する売上高が31,430百万円(前連結会計年度比34.2%増、8,012百万円増)、営業利益は4,940百万円(同49.1%増、1,627百万円増)となりました。
日本においては、原料価格の高騰は継続し、原料価格に連動して販売価格が変動する契約となっている製品の販売単価が上昇しました。その他の製品においても、原料価格、輸入価格の高騰に対応して販売価格の改定を随時実施しました。鹿島事業所のリンゴ酸新設備の稼働に伴いリンゴ酸の売上は輸出を中心に大幅に増加し、国内景気の持ち直しによる需要の増加に円安効果も加わり、売上高は増加しました。海外子会社においても、中国、米国の需要の回復、販売促進の取り組みによる各国でのシェアアップ、円安による円換算後の増加効果もあり、セグメントの売上高は前連結会計年度を上回りました。営業利益は、世界的な原料価格の高騰や円安による輸入価格の上昇の影響があったものの、売上高の増加に加え、新規設備の減価償却費の減少、稼働率向上による製造原価の低減効果により前連結会計年度を上回り、増収増益となりました。
(電子材料および機能性化学品事業)
電子材料および機能性化学品事業全体の業績は、外部顧客に対する売上高が24,329百万円(前連結会計年度比29.5%増、5,538百万円増)、営業利益は11,612百万円(同51.9%増、3,966百万円増)となりました。
半導体市場は、米中対立の長期化や原材料不足による供給不安の懸念材料はあるものの、デジタル化の進展に伴い、引き続き堅調に推移しています。当社主力製品の超高純度コロイダルシリカは、半導体の微細化の進展および需要の増加に伴い採用は増加しています。下期より原料価格が大幅に上昇し、加えて世界的な海運の混乱は輸出に大きく影響を及ぼしましたが、販売価格の改定と円安効果により売上高は増加しました。在宅勤務の普及によるトナー需要減退の影響を受けたナノパウダー需要は、回復傾向で売上が増加に転じ、セグメントの売上高は前連結会計年度を上回りました。営業利益は、原料価格が大幅に上昇し製造コストに大きく影響があったものの、売上高の増加、新規設備の減価償却費の減少、増産によるコストダウン効果により、前連結会計年度を上回り増収増益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益および減価償却費の発生により取得した資金を有形固定資産の取得、法人税等の支払、配当金の支払に充てた結果、前連結会計年度末に比べ1,375百万円減少し、23,460百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果取得した資金は、10,199百万円(前連結会計年度は12,820百万円の取得)となりました。これは主に、売上債権、棚卸資産の増加および法人税等の支払いによる支出が発生したものの、税金等調整前当期純利益および減価償却費による収入が発生したためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、9,375百万円(前連結会計年度は2,620百万円の使用)となりました。これは主に、鹿島事業所の設備投資に係る支払が進み、有形固定資産の取得による支出が発生したためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2,882百万円(前連結会計年度は1,639百万円の使用)となりました。これは主に、自己株式の取得および配当金の支払いを行ったためです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比 |
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ライフサイエンス |
23,583,167千円 |
31.8% |
|
電子材料および機能性化学品 |
28,462,634 |
36.7 |
|
合計 |
52,045,801 |
34.5 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
b.受注実績
当社グループは、見込み生産を行っているため、受注高および受注残高を把握していません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比 |
|
ライフサイエンス |
31,430,947千円 |
34.2% |
|
電子材料および機能性化学品 |
24,329,534 |
29.5 |
|
合計 |
55,760,482 |
32.1 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
A社 |
4,771,371 |
11.3 |
5,928,602 |
10.6 |
|
B社 |
4,385,594 |
10.4 |
- |
- |
3.当連結会計年度のB社に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しています。
4.A社、B社との契約において秘密保持条項が存在するため、社名の公表は控えさせていただきます。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断および仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断および仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っています。しかしながら、これらの見積り、判断および仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。
また、新型コロナウイルス感染症による影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりです。
② 連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下のとおりです。
a. 経営成績等の状況
経営成績の分析
(ライフサイエンス事業)
「Ⅰ.果実酸コンビナート構想の実現」、「Ⅱ.生産体制の再構築及び設備増強」、「Ⅲ.次世代製品の早期戦列化」、「Ⅳ.FFAトップメーカへの挑戦」の各テーマに取り組みました。
Ⅰ. 果実酸コンビナート構想の実現
2017年11月に鹿島事業所の承継を完了し、リンゴ酸、フマル酸の原料である無水マレイン酸から製品までの一貫生産体制が確立され、国内№1のフマル酸メーカーとなりました。2019年7月には、鹿島事業所にリンゴ酸新製造設備が竣工し、日本唯一のリンゴ酸メーカーとして供給体制が強化されました。中期目標として、リンゴ酸年間20,000トンの販売体制の確立、鹿島事業所をメインプラントとした生産体制の確立を目指しました。2021年度において、鹿島事業所のリンゴ酸プラントは、国際認証であるFSSC22000の取得を完了し、本格的な商業連続生産を継続し、メインプラントとしての体制を確立しました。当社グループの販売力を結集し、海外顧客の新規獲得、既存顧客のシェア拡大に努めた結果、販売量は大幅に増加し、前倒しで目標を達成しました。引き続き、鹿島事業所の新設備、大阪工場の既存設備を有効活用することでコスト競争力を強化し、日本品質を活かしながら、当社グループの販売網により、アジア市場の拡大する需要を確実に取り込みつつ、欧米市場で獲得した新規顧客の定着を図ります。また、世界№1のリンゴ酸メーカーの地位を確立するため、安定操業を継続し生産数量の増加を目指します。
Ⅱ. 生産体制の再構築及び設備増強
大阪工場を西日本の主要工場として最適化、合理化を進めビジネス拡大を目指しました。新製品であるコート果実酸(油脂でコートした有機酸)の設備は2021年度に完成し、3品目を新たに上市しました。生産性向上、衛生環境強化を目的に製剤類の製造を行う十三工場の機能を大阪工場へ集約するためのプラントは、2022年度完成予定で工事は予定通り進捗しています。引き続き生産体制の見直し、効率化を進め、共有力の強化、コストダウンに取り組みます。
Ⅲ. 次世代製品の早期戦列化
次世代の主力製品として、優れたコート性能をもち、様々な顧客ニーズへ対応したコート果実酸(油脂でコートした有機酸)の開発および生産体制の確立を目指しました。製造プラントは2021年度に完成し、クエン酸、リンゴ酸、ビタミンCのコート果実酸3品目を上市しました。バイオスティミュラント(ストレスフリー製剤)については、地域農業関連団体、大手農業資材メーカーとの提携による評価を加速し拡販を実施しました。顧客評価においては高評価を得ており、採用実績もあがっています。引き続き開発を継続し拡販を行います。
Ⅳ. FFAトップメーカへの挑戦
食品添加物製剤(Formulation of Food Additives) 、食品素材・食品添加物製剤(Formulation of Food Materials and Food Additives)、機能性食品素材・食品添加物(Functional Food Material and Food Additive)、 機能性果実酸(Functional Fruits Acid)の商品群をFFAと総称しています。Food Tech等の新技術の台頭、食の多様化、フードロス意識の高まり等、食品業界を取り巻く環境は変革期に突入しています。この変革をチャンスととらえ、当社の製品、設備、販売チャネル、技術等のリソースを有効活用してこの領域でのビジネス拡大を目指し、研究、営業のプロジェクトチームを組成し、目標として5年後に3倍の売上を目指します。2021年度において新規製品の開発を進め特許出願を行いました。各拠点において各国の食品事情に適した製品開発を進め、新製品の開発、拡販を行いました。中国上海において上海食品調味料研究開発センターの開設を決定し、中国における調味料ビジネスの確立を進めました。引き続き外部研究機関との共同研究の推進、試験機器の導入により開発スピードを加速させます。
ライフサイエンス事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は、前連結会計年度に比べ8,012百万円増加し31,430百万円となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ1,627百万円増加し、4,940百万円となりました。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けていた国内外の経済環境は、回復傾向で推移しました。飲料、食品、家庭向け用途の販売は堅調に推移し、工業用途向け販売も回復基調で推移しました。鹿島事業所の生産体制が確立したリンゴ酸は、輸出を中心に拡販を進め大幅に増加しました。米国子会社のPMP社で製造販売するグルコン酸類は北米でのシェアを伸ばしました。原材料、仕入価格の大幅な上昇に対しては、顧客の理解を得ながら複数回に渡る価格改定を実施し対応しました。また、主要原料のベンゼン価格の上昇に伴い、契約販売価格は上昇しました。円安の効果による輸出価格の上昇、子会社業績の円換算の効果も加わり、売上高は前連結会計年度に比べ大幅に増加しました。営業利益は、原材料、仕入価格の大幅な上昇、物流費の上昇によるコストアップはありましたが、売上高の増加、適正な利益確保のための価格改定、円安による円換算後の増加、鹿島リンゴ酸設備の減価償却費の減少等により前連結会計年度に比べ大幅に増加しました。
(電子材料および機能性化学品事業)
「Ⅰ.半導体研磨:重点顧客との取り組み深化、生産効率最適化、新規砥粒開発推進」、「Ⅱ.生産・研究・品質保証体制堅実化:顧客要望事項への迅速な対応、分析精度・効率向上、コスト削減」、「Ⅲ.機能材料:ナノパウダーのビジネス拡大、生産体制の再構築」「Ⅳ.環境変化への適格な対応:国際輸送の遅滞及びコストアップ」の各テーマに取り組みました。
Ⅰ. 半導体研磨:重点顧客との取り組み深化、生産効率最適化、新規砥粒開発推進
2021年度において、引き続きコロナ禍で対面での顧客とのコミュニケーションが難しくなる中、リモート会議を定着させて新規砥粒開発をさらに推進し、課題解決の迅速化及び供給体制の早期構築が可能となりました。顧客の長期購買計画に基づく供給体制の構築を行い、増加する需要に対応しました。引き続き効率化を進め供給力の強化を図ります。新規砥粒の開発は、半導体の最先端世代向けに採用が進みました。先端世代における品質課題に対しても、新規砥粒への技術フィードバックにより解決に取り組みました。
Ⅱ. 生産・研究・品質保証体制堅実化:顧客要望事項への迅速な対応、分析精度・効率向上、コスト削減
2021年度において、生産体制は、超高純度コロイダルシリカの顧客需要予測に基づき設備増強を進めました。2021年7月に京都事業所第2工場に新プラント建設を決定し、既に建設が決定している鹿島事業所の設備の工事は順調に進捗しています。研究体制は、顧客ニーズに対応して新規コロイダルシリカの開発を進め、高濃度タイプ、表面修飾グレード等の新製品の拡充を図りました。また、高研磨タイプ、新規表面修飾タイプの開発を進めています。分析体制は、新規分析装置導入による精度向上、効率性の向上を図りました。製造プロセスの安定・最適化により品質の安定化、コスト削減を進めています。今後も供給体制を強化し、増加する需要に引き続き対応します。
Ⅲ. 機能材料:ナノパウダーのビジネス拡大、生産体制の再構築
ナノパウダーの主要用途であるトナー需要は、テレワークの進展による印刷量の減少に伴い、低調でありましたが、2021年度は回復基調で推移しました。そのような状況のもとナノパウダーの用途先拡大を図り、コア技術をベースに新規市場開拓に努めました。新規用途拡大を企画した組織再編、最適化を進め、引き続き既存顧客との取り組みを深めるとともに、新規顧客の開拓を進めます。
Ⅳ. 環境変化への適格な対応:国際輸送の遅滞及びコストアップ
2021年度において、国際物流の混乱は継続し、コンテナ船の運賃高騰、港の混乱による諸経費の上昇、船便の確保、リードタイムの長期化等、輸出入に大きな影響があり、現在も継続しています。複数航路の確保により供給体制の確立をすすめ、コストアップに対しては顧客の理解の上、価格改定を実施しました。
電子材料および機能性化学品事業の経営成績は、外部顧客に対する売上高は前連結会計年度に比べ5,538百万円増加し、24,329百万円となりました。営業利益は前連結会計年度に比べ3,966百万円増加し、11,612百万円となりました。
半導体市場はリモートワークの進展に伴い電子機器の需要増加や、データ通信量・保管量の増加によるサーバー需要増加等により堅調に推移しました。当社の超高純度コロイダルシリカは既存市場に加え、半導体の最先端の製造プロセスの微細化の進展に伴いCMP用途において採用が増加しています。また、半導体の積層数の増加や先端技術向けのウェハ研磨の増加により需要が増加しています。加えて、コロナ禍や半導体の供給状況等の不確実な外部環境へ対応、物流の混乱に対応するため在庫水準は引き上がり需要は増加しています。需要の増加に加え、原料価格の大幅な上昇に伴う価格改定、円安の影響、ナノパウダー等の機能性化学品製品全般の売上も増加し、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。営業利益は、原料価格の上昇、物流費の増加のコストアップ要因はありましたが、売上高の増加、円安の効果、販売量増加に伴う稼働率向上による原価低減効果、減価償却費の減少等により、前連結会計年度に比べ増加しました。
引き続きデジタル化の進展は加速し、半導体市場においては急速に需要が拡大しています。機能材料分野においてはトナー需要も回復見込みです。先行き不透明な状況は続いていますが、今後の動向を注視し、引き続き、原料等の安定調達に努め、安全操業を継続して増加する需要に対応していきます。
(売上高)
前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業ともに大きく増加したため、13,551百万円増加し、55,760百万円となりました。
(営業利益)
前述のとおり、前連結会計年度に比べライフサイエンス事業、電子材料および機能性化学品事業ともに大きく増加したため、5,402百万円増加し、15,034百万円となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ357百万円増加し、481百万円となりました。これは主に、金利の低下により受取利息が減少しましたが、年度末にかけてドルに対して円安が進行し為替差益が計上されたためです。営業外費用は、前連結会計年度に比べ2百万円減少し、6百万円となりました。これは主に、支払手数料、投資事業組合運用損が減少したためです。
上記要因により、経常利益は前連結会計年度に比べ5,763百万円増加し、15,509百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ214百万円増加し、227百万円となりました。これは主に、政策保有株式の売却に伴い投資有価証券売却益が計上されたためです。特別損失は、前連結会計年度に比べ7百万円減少し、23百万円となりました。これは主に、固定資産除却損が減少したためです。法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額は、利益の増加により法人税等合計で前連結会計年度に比べ1,902百万円増加し、4,823百万円となりました。
経常利益の増加に加え、特別利益が増加し、特別損失が減少したため、税金等調整前当期純利益は増加しました。法人税等は増加しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて4,082百万円増加し、10,890百万円となりました。
財政状態の分析
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりです。
キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
b. 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、棚卸資産の購入費用、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用です。運転資金の財源は、自己資金および金融機関からの短期借入等を基本としています。当連結会計年度は、新たな短期借入は行っておらず、当連結会計年度末に短期借入金の残高はありません。
投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、事業買収等によるものです。投資資金の財源は主に、自己資金および金融機関からの長期借入等によります。当連結会計年度は、設備投資に対する資金に対し、新たな長期借入は行っておらず、当連結会計年度末に長期借入金の残高はありません。当連結会計年度に実施した設備投資に係る資金の財源は、自己資金を充当しています。
新型コロナウイルス感染症の拡大に対して、現状は財政状態に大きな影響は出ていませんので新たな資金調達の予定はありませんが、今後の状況を注視して、必要に応じて資金調達等の対策を検討します。
c. 経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
d. 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当連結会計年度における当社の最重要指標である「償却前営業利益」(営業利益に減価償却実施額を加えた金額)は、前連結会計年度に比べ4,828百万円増加し、19,488百万円となりました。
前連結会計年度に比べ、減価償却費は両事業で減少しました。ライフサイエンス事業における鹿島事業所のリンゴ酸設備投資は、稼働開始後2年が経過し、電子材料および機能性化学品事業における京都事業所の新設備も稼働開始から3年が経過したことが要因です。営業利益が両事業でともに減価償却費の減少額以上に増加したため、全体で償却前営業利益は増加しました。
総資産回転率は0.66回で前連結会計年度に比べわずかに上昇しました。設備投資の効果によって売上高が増加し、総資産の増加を上回ったためです。
自己資本利益率は15.4%で、前連結会計年度に比べて大きく上昇しました。分母である純資産は、配当の増加、自己株式の取得による株主還元策による減少要因はありましたが、利益の計上により増加し、分子である親会社株主に帰属する当期純利益が大きく増加したため、大きく上昇しました。今後、設備投資の計画に伴う減価償却費の増加による一時的な利益の低下が想定されるものの、償却前営業利益の最大化を目指し、純資産は安全性とのバランスを考慮して、自己資本利益率の維持向上を目指します。
自己資本比率は81.8%で前連結会計年度より低下しましたが、水準以上の安全性は確保できています。利益の増加により純資産は増加しましたが、売上増加に伴う支払手形及び買掛金、設備投資の開始に伴う設備関係未払金、利益増加に伴う未払法人税等の増加により負債が増加したため、自己資本比率は低下しました。今後も、増加が見込まれる需要に対応するため、継続的な設備投資や研究開発投資が成長の源泉であり、投資を継続するためにも、一定水準以上の純資産の厚みが必要であると考えています。
投資計画、配当政策を考慮して、効率性、収益性のより一層の向上を目指します。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、ライフサイエンス事業については新大阪事業所および東京研究所、電子材料および機能性化学品事業については京都事業所(京都研究所)および東京研究所を拠点としています。各拠点において、販売戦略ターゲットに対応し、海外子会社を含む営業関連部門や品質保証部門等との相互連携、ユーザーとの相互協力を図りながら、新規事業・製品の開発、技術開発情報の収集等を行いました。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費は、次のとおりです。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、
(1)ライフサイエンス事業
SDGsへの取り組み、健康意識の高まり、食の多様化といった食品業界を取り巻く大きな環境の変化をチャンスととらえ、当社の主力製品である各種有機酸を活かし、コート果実酸や食品添加物製剤といった機能性を有する商品の開発に注力しました。
独自の加工技術で既存の有機酸粒子の表面を油脂で均一にコーティングした「コート果実酸」を開発し、大阪工場へのコート果実酸生産設備導入を完了して製造を開始しています。市場増大が見込まれるグミ・キャンディーを始めとした製菓分野や、健康食品分野などへの販売量の拡大を推し進めているところです。コーティングする有機酸の種類を増やすほか、コーティングする素材や比率を変えた新しい商品の開発を継続して進めながら、コート果実酸による新たな市場の創出を目指していきます。
また、SDGsへの取り組みの一環として、食品業界にとって避けては通れないフードロスの問題に貢献していかなければなりません。各種有機酸を活かしながら、微生物による加工食品の腐敗・変敗の抑制や、果物や野菜の褐変防止などに効果を有する食品添加物製剤の開発を行いました。種々の果実酸や食品素材などを組み合わせることで、酸味酸臭を低減しながらも微生物による腐敗・変敗を抑えることができる米飯向けの製剤や、ビタミンCを利用した果物用褐変防止剤などを開発し、食品添加物製剤の販売量拡大を図っています。
さらには、各種有機酸と食品素材とを組み合わせながら加工処理を施すことにより、小麦たんぱくや大豆たんぱくといった、既存のたんぱく素材の性能を補えるような機能性を有する食品素材の開発を進めました。昨今盛況なプラントベース食品市場の要求や動向を見極めながら、最適な商品を開発して投入し、新たな顧客を創り出すことを目指していきます。
なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、
(2)電子材料および機能性化学品事業
シリコンウエハ研磨および半導体CMP研磨スラリー向けの超高純度コロイダルシリカ製品分野では、粒子サイズ、形状、濃度、表面状態、硬さ、粒度分布、粗大粒子数等を安定的かつ自在にコントロールする技術をさらに発展させ、顧客ニーズにマッチした新製品の開発を行い、着実にシェアを伸ばしています。また、新たなコンセプトを導入した超高純度コロイダルシリカの開発に着手し、一部顧客へのサンプルワーク後、スケールアップが既に進んでいます。このように、シングルナノ~オングストローム配線幅となる最新世代に向けた取り組みは順調に進んでいます。より高度な技術が必要とされる分析装置についても、新測定技術を採用した最新鋭装置を積極的に導入し、稼働しています。
製造技術については、半導体配線幅の急速な微細化に対応した高レベルの製造工程品質管理体制を継続的にブラッシュアップすると同時に、最新鋭の機器を導入した新規ラインも高い水準で稼働しています。また、2020年11月に発表しました鹿島事業所への超高純度コロイダルシリカ製造設備の新設計画につきましては、来春以降の稼働に向け、計画通りに建設が進んでいます。また、京都第二工場への超高純度コロイダルシリカ製造設備の新規増設も発表し、着工に向け取り組んでいます。これにより生産能力増強を達成し、旺盛な半導体業界の需要に迅速に対応していきます。
一方、上記コア技術を応用して情報産業向けに上市しましたナノシリカ粉末製品は確実に販売を伸ばしており、数多くの顧客へのワークを継続しています。新規用途向け応用開発品についても、東京研究所を拠点として鋭意開発を行い、新規顧客の獲得ならびに、コア技術をベースとした新規分野向け製品群の拡充が進んでいます。
当連結会計年度は、これら新規開発活動を支える開発環境の整備にも更に注力し、最新鋭の品質評価機器の複数導入、新規開発拠点「神戸研究所」(2022年7月稼働)を計画し、京都研究所と東京研究所との2開発拠点での研究開発投資および要員増を実施しました。
なお、当連結会計年度の当セグメントにおける研究開発費は、