名称 ECM マスター ファンド SPV 3
所在地 Conyers Trust Company (Cayman) Limited, Cricket quare, Hutchins Drive, PO Box 2681, Grand Cayman KY1-1111, Cayman Islands
普通株式
(1)意見の内容
当社取締役会は、2025年9月25日開催の取締役会において、本公開買付けに対して反対の意見を表明することを決議いたしました。
株主の皆様におかれましては、本公開買付けに応募されないようお願い申し上げますとともに、既に応募された株主の皆様におかれましては、速やかに本公開買付けに係る契約の解除を行って頂きますよう、お願い申し上げます。
(2)意見の根拠及び理由
当社が本公開買付けに対して反対の意見を表明する根拠及び理由は以下のとおりです。
① 本公開買付けに関する検討の経緯
当社は、2025年8月18日付で、Effissimo Capital Management Pte Ltd(以下「エフィッシモ」といいます。)より、2025年5月16日開催の当社取締役会の決議に基づき設置された特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)の委員に対する面談の機会の設定を要請されましたが、2025年8月21日、本特別委員会の委員から堯アセットマネジメント株式会社(以下「本MBO公開買付者」といいます。)による当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下「本MBO公開買付け」といいます。)に関する開示情報以上の説明はできかねることを理由として、当該要請は受け入れられない旨をメールにて回答し、代替として長期間にわたる支援に対する謝意を述べるべく当社取締役小西紀行及び事務局メンバーとの面談を設定することを打診いたしました。しかし、当社は、2025年8月25日、エフィッシモより、謝意はメールにより受領したことを理由に当該面談は見送る旨の回答をメールにて受領いたしました。
そして、当社は、エフィッシモより2025年8月28日付「公開買付けによる株式会社ソフト99コーポレーションの株式取得に関する意向表明書」を受領し、本公開買付けに関する提案(以下「本提案」といいます。)を受けました。当社は、本提案が、経済産業省が公表した2023年8月31日付「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」(以下「買収行動指針」といいます。)3.1.2に定める「真摯な提案」に該当するか判断するために必要な情報を収集すべく、株式会社KPMG FAS(以下「KPMG」といいます。)及び西村あさひ法律事務所・外国法共同事業(以下「西村あさひ」といいます。)の助言を受け、本特別委員会との間で事前に方針を相談・検討するとともに、本特別委員会の意見、指示、要請等を受け、エフィッシモとの間で、書面による質問及び回答のやり取りを複数回行って、慎重に検討を進めました。その上で、当社は、2025年9月11日、本特別委員会に対して、(ⅰ)本提案が、買収行動指針3.1.2に定める「真摯な買収提案」に該当するか、(ⅱ)本提案が「真摯な買収提案」に該当すると判断した場合、当社取締役会が、本提案に対しどのような意見を表明すべきか、及び(ⅲ)本提案を踏まえて、本特別委員会から当社取締役会に提出された2025年8月5日付「答申書」(以下「本答申書」といいます。)において表明された当社株式を非公開化することを目的とするいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)のための本MBO公開買付けを含む一連の取引(以下「本MBO取引」といいます。)に係る答申の内容について変更があるか(変更がある場合には、変更後の答申内容を含む。)(以下、総称して「本追加諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申を当社に提出することを嘱託いたしました。
その後、当社による検討が完了する前に、エフィッシモが運用するイーシーエム マスター ファンド(ECM Master Fund)の受託者として、サンテラ(ケイマン)リミテッド(以下「サンテラ」といい、公開買付者、エフィッシモ及びサンテラを総称して「公開買付者グループ」といいます。)が株式を所有する公開買付者が、2025年9月12日、本公開買付けを開始する旨を公表し、同月16日、本公開買付けを開始しました。これを受け、当社は、本公開買付けに関して、慎重に協議・検討を行いました。
また、本追加諮問事項の諮問及び本公開買付けの公表を受け、本特別委員会は、2025年9月15日に改めて特別委員会を開催し、本特別委員会の委員、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてのKPMG、並びにリーガル・アドバイザーとしての西村あさひについて、エフィッシモ及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本MBO取引及び本提案の成否について重要な利害関係を有しておらず、独立性に問題ないことを確認した上で、KPMG及び西村あさひの助言を受け、本追加諮問事項について慎重に検討を行いました。
その後、当社は、本特別委員会から、当該検討結果として、2025年9月16日付「追加答申書」(以下「本追加答申書」といいます。)の提出を受け、本追加諮問事項(ⅰ)について、2025年9月12日付で、本公開買付けが2025年9月16日より開始される旨が既に公表されているため、本提案が「真摯な買収提案」に該当するか否かについての検討は省略する旨、本追加諮問事項(ⅱ)について、本公開買付けの実現可能性や、本公開買付けが当社の企業価値の向上に資するものであるか、当社の一般株主にとって公正なものであるかといった点について慎重な検討を行うべく、当該時点においては、当社取締役会は、本公開買付けに対する意見の表明を留保するべきである旨、並びに、本追加諮問事項(ⅲ)について、(a)本特別委員会は、本答申書において、①本MBO取引の目的は正当性・合理性を有すると考えられること、②本MBO取引の取引条件は公正かつ妥当であると考えられること、③本MBO取引の手続は公正なものであると考えられること、④本MBO取引は当社の一般株主にとって公正なものであると考えられることから、当社取締役会が本MBO公開買付けに対して賛同する意見を表明することは妥当である旨の答申を表明しているところ、本公開買付けの開始を踏まえても、当該時点で本特別委員会による上記判断の基礎となる事情に変更すべき点は認められないため、当社取締役会が本MBO公開買付けに対して賛同する意見を表明することは妥当であると考えられる旨の本特別委員会の答申に変更はない旨、及び、(b)本MBO公開買付けの公開買付価格(1株あたり2,465円)を含めた取引条件が公正かつ妥当であるとの本特別委員会の判断に変更はないものの、本公開買付けに係る公開買付価格(1株あたり4,100円)が、上記価格を上回っていることに鑑み、当社取締役会が当社の株主に対して本MBO公開買付けへの応募を推奨する旨の意見は撤回し、本公開買付けに応募するか否かについては株主の判断に委ねる旨の意見へと変更するべきである旨の答申を得ました。
当社は、上記の本追加答申書の答申を踏まえ、2025年9月16日付当社取締役会において、本公開買付けに対する意見の表明を留保する旨、及び、本MBO公開買付けに賛同する旨の意見は維持するものの、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見を撤回し、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについては、株主の皆様のご判断に委ねる旨を決議いたしました。当社が本公開買付けに対する意見の表明を留保した根拠及び理由の詳細につきましては、2025年9月16日に公表した「ECM マスター ファンド SPV 3による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明(留保)のお知らせ」(以下「意見表明留保プレスリリース」といいます。)をご参照ください。
その後、本特別委員会は、2025年9月22日及び同月24日に特別委員会を開催し、KPMG及び西村あさひの助言を受け、本追加諮問事項について改めて慎重に検討を行いました。具体的には、エフィッシモより受領した当社の質問に対する書面回答の内容を精査するとともに、2025年9月22日に開催された特別委員会において、田中秀明氏より、本公開買付け成立後の田中秀明氏の当社代表取締役辞任の意向の有無及び本MBO公開買付けに応募する意向を示している当社株主の所有割合等を確認いたしました。その後、当社は、本特別委員会から当該検討結果として、2025年9月24日付「追加答申書(2)」(以下「本追加答申書(2)」といいます。)の提出を受け、本追加諮問事項(ⅱ)について、本公開買付けは、当社グループの企業価値の向上に資するものとは認められず、当社の一般株主にとって公正なものであるとも認められないことから、当社取締役会は、本公開買付けに対して反対する旨の意見を表明すべきである旨、並びに、本追加諮問事項(ⅲ)について、9月16日付本追加答申書において表明した本MBO取引に係る答申の内容について変更はない旨の答申を得ました。
当社は、上記の本追加答申書(2)の答申を踏まえ、2025年9月25日付当社取締役会において、本公開買付けに対して反対の意見を表明することを決議いたしました。
② 意見の根拠及び理由
上記の経緯の下、当社は、2025年9月25日開催の取締役会において、利害関係を有しない取締役全員の一致により、以下のとおり、本公開買付けは、当社グループの企業価値の向上に資するものとは認められず、当社の一般株主にとって公正なものであるとも認められないものと判断し、本公開買付けに対して反対の意見を表明することを決議いたしました。
(ⅰ)本公開買付けが当社グループの企業価値向上に資するものと認められないこと
下記「ア.本MBO取引に比して本公開買付けが当社の企業価値向上に資するものとは認められないこと」及び「イ.本公開買付けが成立した場合には田中秀明氏が当社経営から退く可能性が高いこと」のとおり、本公開買付けは、本MBO取引に比して当社グループの企業価値向上に資するとはいえず、そればかりか、当社グループの企業価値の源泉である田中秀明氏の退任による企業価値への重大な悪影響を生じさせる可能性が高いことから、当社グループの企業価値の向上に資するものとは認められません。
ア.本MBO取引に比して本公開買付けが当社グループの企業価値向上に資するものとは認められないこと
下記「(ア)本MBO取引について」及び「(イ)本公開買付けについて」のとおり、本提案については、当社株式の非公開化・スクイーズアウトを必ずしも企図したものでも確約するものでもなく、中長期的な視野での成長を目指した当社グループの企業価値向上策を積極的かつ機動的に検討・実行する上で大きな制約が残る上に、当社グループの事業環境や当社グループが直面している経営課題も踏まえると、本MBO取引に比して、当社グループの企業価値向上に資するものであるとは認められません。
(ア)本MBO取引について
当社が2025年8月6日付で公表した「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(以下「本MBO賛同意見表明プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、田中秀明氏は、技術革新の急速な進展、コロナ以降の新しい生活様式の下での消費者ニーズの変化、各種法改正・法規制強化への対応、物価の上昇や米国の政策動向の影響といった事業環境を踏まえ、当社グループが更なる発展を遂げ、中長期的な視野での成長を目指し企業価値向上を実現するためには、企業価値向上のための施策を積極的かつ機動的に検討・実行できる経営体制を構築し、足元の業績や株価に捉われることなく、当該施策を迅速に実行していくことが必要であるとの認識を持つに至ったとのことです。
また、田中秀明氏は、本MBO取引の実行後に、当社グループの企業価値向上のための各施策((Ⅰ)既存領域の更なる進化と新たな事業領域への進出を目的とした固有技術の強化及び深耕、(Ⅱ)サービス領域や海外市場への積極的な展開、(Ⅲ)デジタル技術の活用による付加価値及び効率性の向上、(Ⅳ)機動的なアライアンスやM&Aの活用による非連続かつ持続的な成長の実現の各施策をいい、これらを以下「本企業価値向上策」といいます。)を実行することを検討しているとのことです。これらの本企業価値向上策は直ちに当社グループの業績に貢献するものではなく、一時的に当社グループの財務状況や業績を悪化させるリスクがあることを踏まえると、資本市場からの短期的な業績期待にとらわれずに、安定的かつ持続的に当社グループの企業価値を向上させるためには、当社株式を非公開化することが、本企業価値向上策の実行に伴う一時的な業績の悪化等によって株価が低迷するといった当社の株主のリスク負担を回避しつつ、本企業価値向上策を機動的に実践するために最も有効であり、さらには、市場株価に一定のプレミアムを付した金額で株式の売却機会を提供することも可能になることから、当社の株主の利益に資する手段であるとの結論に至ったとのことです。
さらに、田中秀明氏は、本企業価値向上策を中長期的な視点から一貫性をもって実践するためには、これまでの当社の事業運営の連続性も確保しつつ当社株式を非公開化する必要があり、そのためには、MBOの手法が最適な手段であるという結論に至ったとのことです。
なお、田中秀明氏としては、当社株式を非公開化したとしても、資金調達、人材の確保、取引先との取引等の面で当社グループに生じるデメリットは極めて限定的であると考えているとのことです。
本MBO賛同意見表明プレスリリースに記載のとおり、当社としては、当社グループの置かれている事業環境についての田中秀明氏の認識は合理的なものであり、また、田中秀明氏が計画している本企業価値向上策は、当社グループの企業価値向上に資するものと評価し得ると考えております。そして、当社としては、当社の株主の皆様に対して、本企業価値向上策の実行に伴う一時的な業績の悪化等によって株価が低迷するといった短期的な悪影響を回避し、市場株価に一定のプレミアムを付した金額で株式の売却機会を提供するとともに、当社株式を非公開化することで、短期的な株式市場からの評価にとらわれず、かつ、機動的な意思決定を可能とする経営体制を構築し、経営の柔軟性を向上させることが、当社グループの企業価値向上を実現する最良の選択であると考えております。また、当社としては、当社株式の非公開化に伴い当社に生じるデメリットは限定的であり、当社株式の非公開化のメリットは、そのデメリットを上回ると考えております。
以上を踏まえ、当社としては、本MBO取引は、当社グループの企業価値向上に資するものと判断しており、本書提出日現在においても、これらの判断及び評価の基礎となる事情に変更すべき点は認められないと判断しております。
(イ)本公開買付けについて
本公開買付けでは、買付予定数の下限が6,163,300株(所有割合(注1):28.54%)に設定されております。この買付予定数の下限は、当社の発行済株式総数(22,274,688株)から、当社の自己株式数(679,505株)を控除した数(21,595,183株)に係る議決権数(215,951個)に33.34%を乗じた数(71,998個)から、公開買付者、エフィッシモ、及び、エフィッシモが運用するECM Master Fundの受託者であるサンテラが既に所有する当社株式(1,036,500株)に係る議決権数(10,365個)を控除した数(61,633個)に当社の単元株式を乗じた株式数とのことです。そのため、本公開買付けが成立した場合であっても、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が、スクイーズアウト手続の実施のために必要となる、当社の総株主の議決権の3分の2以上に達するか否かは不確実です。この点に関し、公開買付者は、本公開買付けの終了後、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が、当社の総株主の議決権の3分の2以上とならなかった場合には、本公開買付けの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格を買付け等の価格として、買付予定数の上限及び下限を設定しない公開買付けを再度実施することを検討しているとのことですが、かかる追加の公開買付けが実際に実施されるかどうかは不明である上に、仮に当該公開買付けが実施されたとしても、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が当社の総株主の議決権の3分の2以上に達するか否かはなお不確実です。したがって、本提案は、当社株式の非公開化・スクイーズアウトを必ずしも企図したものでもなければ、確約するものでもありません(なお、公開買付者による2025年9月12日付「株式会社ソフト99コーポレーション(証券コード4464)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」と題するプレスリリース(以下「本公開買付開始プレスリリース」といいます。)においても、本公開買付けは「対象者の非公開化を目的としておりません」と明記されています。)。
(注1) 「所有割合」とは、当社が2025年8月6日に公表した「2026年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社第1四半期決算短信」という。)に記載された2025年6月30日現在の発行済株式総数22,274,688株から、当社第1四半期決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(679,505株)(なお、当該自己株式数には、当社の「従業員持株会支援信託ESOP」の信託財産として、株式会社日本カストディ銀行が所有する当社株式115,100株を含めておりません。以下、当社が所有する自己株式数について同様です。)を控除した株式数(21,595,183株)に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入。)をいいます。
上記(ア)のとおり、当社としては、現在の事業環境を踏まえると、当社グループが更なる発展を遂げ、中長期的な視野での成長を目指し企業価値向上を実現するためには、企業価値向上のための施策を積極的かつ機動的に検討・実行できる経営体制を構築し、足元の業績や株価に捉われることなく、企業価値向上のための施策を迅速に実行していくことが必要であるという田中秀明氏の認識が合理的なものであると考えております。そして、そのような施策の実行に伴う一時的な業績の悪化等によって株価が低迷するといった当社の株主に対する短期的な悪影響を回避しつつ、当該施策を機動的に実践するために最も有効であり、さらには、市場株価に一定のプレミアムを付した金額で株式の売却機会を提供することも可能になるという点で、当社株式を非公開化することが、当社の株主の利益に資すると考えています。しかし、本提案は、当社株式の非公開化・スクイーズアウトを必ずしも企図したものでも確約するものでもなく、中長期的な視野での成長を目指した当社の企業価値向上策を積極的かつ機動的に検討・実行する上で大きな制約が残ると考えられます。
また、本公開買付け成立後に公開買付者が実施を予定している各施策の内容(①当社を指名委員会等設置会社へ移行、②独立社外取締役の割合を3分の2以上とする、③当社経営陣の報酬設計を企業価値及び株主価値の増加から生じる利益を共有するインセンティブ報酬を積極的に付与することができるように改定、④議決権行使基準に従った議決権の行使)を見ても、当社株式の上場維持を前提とした、コーポレートガバナンス及びコンプライアンスの強化の観点からの施策に限定されており、これらの施策が、具体的にどのような形で当社グループの企業価値の向上に結びつくのかは示されておらず、前述の当社の事業環境や当社が直面している経営課題も踏まえると、本MBO取引に比して、上記各施策が当社グループの企業価値向上に資するものであるとは認められません。
イ.本公開買付けが成立した場合には田中秀明氏が当社経営から退く可能性が高いこと
本公開買付者によれば、本公開買付け後の具体的な経営方針として、エフィッシモは原則として当社の業務執行に直接携わることなく、当社経営陣の意向を最大限尊重する方針であるとのことです。
しかしながら、当社が本MBO公開買付者から受けた説明によれば、田中秀明氏としては、本公開買付けの成立は、本MBO取引における田中秀明氏の目指す経営の方向性やその施策に対して当社株主からの信任を得られていないことを示すものであると理解しているため、本公開買付けが成立した場合には、当社の経営から退く意向であるとのことです。田中秀明氏は、当社の創業家一族かつ現代表取締役として、当社グループについて最も深い理解の下に経営を担ってきた人物であって、当社グループの企業価値の源泉であることから、田中秀明氏による経営への関与が失われた場合には、当社グループの企業価値に重大な悪影響が生じる可能性が高いと考えられます。
ところが、本公開買付けにおいて、田中秀明氏が経営から退き、従前の経営体制が維持できなくなった場合に、これに代わってどのような経営体制を構築するかについて、具体的な方針は何ら示されていません。特に、前述のとおり、本提案は必ずしも当社株式の非公開化・スクイーズアウトを企図したものでも確約するものでもないことに鑑みると、どのような経営体制が想定されているのかは、引き続き当社株主の地位にとどまる可能性のある少数株主にとっては極めて重要な事項であると考えられ、本公開買付けは、そのような重要な事項に対する方針を欠いたものであると考えられます。
(ⅱ)本公開買付けが一般株主にとって公正なものであると認められないこと
本公開買付価格である4,100円は、本公開買付けの公表日の前営業日の東証スタンダード市場における当社株式の終値2,462円に対して66.5%、過去1ヶ月間の終値単純平均値2,465円に対して66.3%、過去3ヶ月間の終値単純平均値1,934円に対して112.0%、過去6ヶ月間の終値単純平均値1,785円に対して129.7%のプレミアムがそれぞれ加算された金額であり、また、本MBO公開買付けに係る買付価格を66%上回る金額です。
しかしながら、経済産業省が公表した2019年6月28日付「公正なM&Aの在り方に関する指針」3.7においては、MBOや支配株主による従属会社の買収の場合だけでなく、通常のM&A一般において、当該取引が公開買付けにより行われる場合には、一般株主が公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保するために、強圧性(公開買付けに応募しなかった株主が不利に取り扱われるような推測を生じさせることによる、買付価格に不満のある株主に対しても公開買付けに応募させるような事実上の圧力)が生じないように配慮されるべきであるとされています。この点に関し、本公開買付けにおいては、上記「(ⅰ)本公開買付けが当社グループの企業価値向上に資するものと認められないこと」の「ア.本MBO取引に比して本公開買付けが当社の企業価値向上に資するものとは認められないこと」の「(イ)本公開買付けについて」のとおり、買付予定数の下限が6,163,300株(所有割合:28.54%)とされており、本公開買付けが成立した場合であっても、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が、スクイーズアウト手続の実施のために必要となる当社の総株主の議決権の3分の2以上に達するか否かは不確実です。さらに、公開買付者は、本公開買付けの終了後、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が、当社の総株主の議決権の3分の2以上とならなかった場合には、本公開買付価格と同一の価格を買付け等の価格として、買付予定数の上限及び下限を設定しない公開買付けを再度実施することを検討しているとのことですが、かかる追加の公開買付けが実際に実施されるかどうかは不明である上に、仮に当該公開買付けが実施されたとしても、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が当社の総株主の議決権の3分の2以上に達するか否かはなお不確実です。そのため、一般株主の立場からは、本公開買付けの成立後にスクイーズアウト手続が実施されず、少数株主として取り残されるおそれがあることにより、本公開買付けに応募させるような事実上の圧力が生じる可能性は否定できません。
さらに、当社が本MBO公開買付者から受けた説明によれば、当社株主のうち、主要株主、役員等又は国内の事業法人等に該当する株主であって、本公開買付けに応募しない意向を示している株主の合計株式数の当社発行済株式総数(注2)に占める割合は少なく見積もっても30%を超える見通しです。これらを前提とすると、本公開買付けによって公開買付者が取得する当社株式数が買付予定数の下限値(この場合における当社発行済株式総数に占める割合は32.4%)であったとしても、当社株式の流通株式比率は、東証スタンダード市場の流通株式比率の基準である25%に近接した値となり、公開買付者が取得する当社株式数によっては、当社が上場を維持するために必要な流通株式比率を保つことができなくなる可能性は高いと考えられます。仮に当社株式が上場廃止基準に抵触し上場廃止となった場合には、本公開買付けに応募しなかった一般株主は当社株式を市場で売却する機会を失うことになるため、単にスクイーズアウト手続が実施されない可能性があるに留まらず、上場廃止の現実的なおそれを伴っているという点で、本公開買付けは一般株主に対して極めて強い強圧性を生じさせるおそれがあります。
なお、当社は、本提案を受領した後にエフィッシモとの間で複数回行った書簡のやりとりにおいて、本公開買付けの終了後、当社株式が上場廃止基準に抵触する懸念について質問しましたが、エフィッシモからは、上場廃止基準に抵触する恐れが生じた場合には、当社経営陣や本MBO公開買付者の関係者と対話を行い、当社の企業価値や株主価値を毀損することがないように真摯に協力する所存である旨の回答がされるにとどまり、具体的な解決策は全く提示されていません。
以上を踏まえると、本公開買付けは、一般株主に対して極めて強い強圧性を生じさせるおそれのあるものであり、一般株主にとって公正であるとはいえません。
(注2) 「当社発行済株式総数」とは、当社第1四半期決算短信に記載された2025年6月30日現在の発行済株式総数22,274,688株をいいます。
以上を踏まえ、当社は、2025年9月25日開催の取締役会において、取締役全員の一致により、企業価値及び株主共同の利益の確保及び向上の観点からは、本MBO公開買付けは本公開買付けより望ましいと考えられることを踏まえ、本公開買付けに関しては、反対の意見を表明することを決議いたしました。
なお、当社が本MBO公開買付者から受けた説明によれば、本公開買付けの公表から7営業日が経過し、本公開買付けの存在及び条件に関する情報が各株主に十分周知されたとものと考えられる2025年9月24日終了時点においても、本MBO公開買付けへの応募数の合計と、応募契約に基づき、当社の取締役会による本MBO公開買付けに対する賛同意見表明決議が維持されていることを条件に本MBO公開買付けへの応募が合意されているKeePer技研株式会社(以下「KeePer技研」といいます。)が所有する当社株式の全てである2,687,700株を合算すると、既に本MBO公開買付けにおける買付予定数の下限(7,566,400株)(所有割合:35.04%)を上回っているとのことです。当該事実を踏まえると、当社としては、本公開買付けの実現可能性(本公開買付けへの応募総数が、買付予定数の下限である6,163,300株(所有割合:28.54%)に達するか否か)については合理的な疑義が残ると考えております。
(3)算定に関する事項
当社及び本特別委員会は、本公開買付けに対する反対の意見を表明するに当たり、算定機関から株式価値算定書を取得しておりません。
なお、本MBO公開買付けの開始時の意見表明にあたり、当社が選任した独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるKPMGから当社が取得した株式価値算定書における株式価値算定の概要並びに本特別委員会が選任した第三者算定機関である株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス」といいます。)から本特別委員会が取得した株式価値算定書における株式価値算定の概要及びフェアネスオピニオンの概要については、本MBO賛同意見表明プレスリリースをご参照ください。
(4)上場廃止となる見込み及びその事由
当社株式は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場されています。
本公開買付開始プレスリリースによれば、以下のとおりとのことです。
公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の上場廃止基準に従って、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があるとのことです。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、意見表明留保プレスリリースに記載のとおり、適用法令に従い、当社株式の全て(公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)の取得を目的とした取引を行う可能性があるとのことであり、この取引が実現した場合、当社株式は、東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となるとのことです。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。
なお、上記「(2)意見の根拠及び理由」に記載のとおり、当社としては、本公開買付けが成立した場合には、スクイーズアウト手続が実施されず、かつ、当社が上場を維持するために必要な流通株式比率を保つことができなくなる可能性が否定できないと考えております。
(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)
公開買付者より開示された公開買付届出書によれば、以下のとおりとのことです。
公開買付者は、本公開買付け終了後に、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が当社の総株主の議決権の3分の2以上となり、かつ公開買付者が当社株式の全て(公開買付者グループが所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後に、以下の方法により、当社の株主を公開買付者のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実行することを予定しているとのことです。なお、公開買付者は、本公開買付け終了後に、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が当社の総株主の議決権の3分の2以上とならなかった場合には、本公開買付価格と同一の価格を買付け等の価格として、買付予定数の上限及び下限を設定しない公開買付けを再度実施することを検討しているとのことです。
① 株式売渡請求
公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下「会社法」といいます。)第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。
株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社が取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承認を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主からその所有する当社株式の全部を取得するとのことです。そして、公開買付者は、当該売渡株主の所有していた当社株式1株当たりの対価として、各売渡株主に対して本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。
株式等売渡請求に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
② 株式併合
本公開買付けの成立により、公開買付者グループが所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の3分の2以上となり、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、本公開買付け終了後、公開買付者は、会社法第180条に基づき当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款変更を行うことを付議議案に含む当社の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを、本公開買付けの決済の完了後速やかに当社に要請する予定とのことです。
本臨時株主総会の開催時期等については、公開買付者と当社にて協議の上、決定次第、当社に速やかに公表するよう要請するとのことです。なお、公開買付者としては、本臨時株主総会の開催に向けて当社が協力するように誠実に説明予定とのことですが、仮に当社が協力しない場合には、やむを得ず、株主としての地位に基づいて本臨時株主総会の開催のために必要となる手続を、自ら、できる限り速やかに実施する予定とのことです。また、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案について承認された場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会において承認を受けた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、当社の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する対象普通者株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。本株式併合の割合は、本日現在において未定であるものの、公開買付者のみが当社株式の全て(当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することとなるよう、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)が所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定するよう当社に要請する予定とのことです。
本株式併合に関連する少数株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、所定の条件を充たす場合には、当社の株主は、当社に対し、自己の所有する当社株式のうち1株に満たない端数となるものの全部を公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。上記のとおり、本株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)が所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定であり、本株式併合に反対する当社の株主は、上記申立てを行うことができることになる予定とのことです。なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものではないとのことです。
上記の手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況等によっては、実施に時間を要し、又はそれと概ね同等の効果を有するその他の方法に変更する可能性があるとのことです。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。もっとも、本株式併合についての株式買取請求に関する価格の決定の申立てがなされた場合において、当社株式の株式買取請求に関する価格は、最終的に裁判所が判断することになります。
以上の場合における具体的な手続及びその実施時期等について、本公開買付け終了後、公開買付者は当社に協議の申入れを行う予定であり、決定次第、当社に速やかに公表するよう要請するとのことです。なお、本公開買付けへの応募又は上記の手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税務専門家にご確認いただきますようお願いするとのことです。
(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置
当社は、取締役会の意思決定過程における恣意性のおそれを排除し、その公正性・適正性を確保するため、以下の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を講じた上で、本公開買付けに対しては、反対の意見を表明することを決議しております。
① 外部アドバイザーからの助言の取得
上記「(2)意見の根拠及び理由」のとおり、当社は、本公開買付けに係る当社の意見を表明するに当たり、フィナンシャル・アドバイザーであるKPMG及びリーガル・アドバイザーである西村あさひから取得した助言を踏まえて、本公開買付けについて慎重に評価・検討しております。なお、KPMG及び西村あさひは、いずれもエフィッシモ及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本MBO取引及び本提案の成否に関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
② 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けに関する検討の経緯」に記載のとおり、当社は、エフィッシモより本提案を受領したことを受け、本提案が「真摯な提案」に該当するか判断するために必要な情報を収集すべく、KPMG及び西村あさひの助言を受け、本特別委員会との間で事前に方針を相談・検討するとともに、本特別委員会の意見、指示、要請等を受け、エフィッシモとの間で、書面による質問及び回答のやり取りを複数回行って、慎重に検討を進めました。その上で、当社は、2025年9月11日、本特別委員会に対して、本追加諮問事項について諮問し、これらの点についての答申を当社に提出することを嘱託いたしました。
その後、当社の検討が完了する前に、公開買付者は、2025年9月12日、本公開買付けを開始する旨を公表し、2025年9月16日、本公開買付けを開始いたしました。
本追加諮問事項の諮問及び本公開買付けの公表を受け、本特別委員会は、2025年9月15日に改めて特別委員会を開催し、本特別委員会の委員、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてのKPMG、並びにリーガル・アドバイザーとしての西村あさひについて、エフィッシモ及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本MBO取引及び本提案の成否について重要な利害関係を有しておらず、独立性に問題ないことを確認した上で、KPMG及び西村あさひの助言を受け、本追加諮問事項について慎重に検討を行いました。
本特別委員会は、以上のような経緯の下、本追加諮問事項について慎重に協議及び検討した結果、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、2025年9月16日付で本追加答申書を、同月25日付で本追加答申書(2)を提出いたしました。本追加答申書における本特別委員会の答申内容及び答申の理由については、意見表明留保プレスリリースをご参照ください。本追加答申書(2)の答申内容及び答申の理由については、概要、以下のとおりです。
(ⅰ)答申の内容
本公開買付けは、当社グループの企業価値の向上に資するものとは認められず、当社の一般株主にとって公正なものであるとも認められない。さらに、本公開買付けの実現可能性についても合理的な疑義が残ることを踏まえると、当社取締役会は、本公開買付けに反対する意見を表明すべきであると考えられる。
(ⅱ)答申の理由の概要
ア.本MBO取引に比して本公開買付けが当社グループの企業価値向上に資するものとは認められないこと
(ア)本MBO取引について
・本特別委員会は、本MBO賛同意見表明プレスリリースにおいて記載された当社グループの置かれている事業環境についての田中秀明氏の認識が、合理的なものであり、技術革新の急速な進展、コロナ以降の新しい生活様式の下での消費者ニーズの変化、各種法改正・法規制強化への対応、物価の上昇や米国の政策動向の影響といった事業環境を踏まえると、当社が、足元の業績や株価に捉われることなく、企業価値向上策を積極的かつ機動的に検討・実行できる経営体制を構築することが必要であると認識している。
・また、田中秀明氏が本MBO取引後に予定している当社グループの企業価値向上のための各施策は、当社グループの企業価値向上に資するものと評価し得ると考えており、当該各施策の実行に伴う一時的な業績の悪化等によって株価が低迷するといった当社の株主のリスク負担を回避し、かつ、市場株価に一定のプレミアムを付した金額で株式の売却機会を提供する一方で、本MBO取引後の本企業価値向上策の実行により当社グループの企業価値向上を図るという本MBO取引の目的には、合理性が認められると考えている。
・そして、本特別委員会としては、当社株式の非公開化に伴い当社に生じるデメリットについての田中秀明氏の認識は合理的であり、本MBO取引の実行後の本企業価値向上策の実施及び上場コストの削減等による当社の企業価値向上に向けたメリットは、当社株式の非公開化に伴うデメリットを上回ると評価することも可能であると考えている。
(イ)本公開買付けについて
・本公開買付けは、当社株式の非公開化・スクイーズアウトを必ずしも企図したものでもなければ、確約するものでもないため、上記の企業価値向上策の実施に大きな制約が残る可能性がある。また、本公開買付け成立後に予定されている各施策の内容は、当社株式の上場維持を前提としたコーポレートガバナンス及びコンプライアンスの強化の観点からの施策に限定されており、これらの施策が、具体的にどのような形で当社グループの企業価値の向上に結びつくのかが示されていない。
・そして、本公開買付けは、スクイーズアウトを必須の前提としておらず、引き続き少数株主が残る可能性がある以上、経営体制は極めて重要な事項であるにもかかわらず、公開買付者は、公開買付け後の光の具体的な経営方針については、「経営陣の意向を最大限尊重」するに留まる。
・他方、田中秀明氏は本公開買付け成立後には、当社の経営から退く意向とのことである。当社の創業家一族かつ現代表取締役として、当社グループについて最も深い理解の下に経営を担ってきた人物で、当社グループの企業価値の源泉であると認められる田中秀明氏が退任する場合に、公開買付者が田中秀明氏に代わってどのような経営体制を構築するかについて、具体的な方針は示されていない。
イ.本公開買付けが、当社一般株主にとって公正なものであるとは認められないこと
・本公開買付けが成立した場合であっても、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が、スクイーズアウト手続の実施のために必要となる当社の総株主の議決権の3分の2以上に達するか否かは不確実である。また、公開買付者は、本公開買付けの終了後、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が、当社の総株主の議決権の3分の2以上とならなかった場合には、追加の公開買付けを実施することを検討しているとのことであるが、かかる追加の公開買付けが実際に実施されるかどうかは不明である上に、仮に当該公開買付けが実施されたとしても、公開買付者グループの所有する当社株式に係る議決権が当社の総株主の議決権の3分の2以上に達するか否かはなお不確実である。そのため、一般株主の立場からは、本公開買付けの成立後にスクイーズアウト手続が実施されず、少数株主として取り残されるおそれがあることにより、本公開買付けに応募させるような事実上の圧力が生じる可能性は否定できない。
・さらに、当社株主のうち、主要株主、役員等又は国内の事業法人等に該当する株主であって、本公開買付けに応募しない意向を示している株主の合計株式数の当社発行済株式総数に占める割合は少なく見積もっても30%を超える見通しであると考えられる。
・これらを前提とすると、本公開買付けによって公開買付者が取得する当社株式数が買付予定数の下限値であったとしても、当社株式の流通株式比率は、東証スタンダード市場の流通株式比率の基準である25%に近接した値となり、公開買付者が取得する当社株式数によっては、当社が上場を維持するために必要な流通株式比率を保つことができなくなる可能性は高いと考えられる。
・仮に当社株式が上場廃止基準に抵触し上場廃止となった場合には、本公開買付けに応募しなかった一般株主は当社株式を市場で売却する機会を失うことになるため、単にスクイーズアウト手続が実施されない可能性があるに留まらず、上場廃止の現実的なおそれを伴っているという点で、本公開買付けは一般株主に対して極めて強い強圧性を生じさせるおそれがあり、一般株主にとって公正であるとはいえない。
ウ.本公開買付けの実現可能性に疑義が残ること
・本公開買付けの公表から7営業日が経過し、本公開買付けの存在及び条件に関する情報が各株主に十分周知されたとものと考えられる2025年9月24日終了時点においても、本MBO公開買付けへの応募数の合計と、応募契約に基づき、当社の取締役会による本MBO公開買付けに対する賛同意見表明決議が維持されていることを条件に本MBO公開買付けへの応募が合意されているKeePer技研が所有する当社株式の全てである2,687,700株を合算すると、既に本MBO公開買付けにおける買付予定数の下限(7,566,400株)(所有割合:35.04%)を上回っているとのことである。
・以上を踏まえると、本公開買付けの実現可能性については合理的な疑義が残る。
③ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び監査役全員の異議がない旨の意見
当社は、KPMG及び西村あさひの助言を踏まえつつ、本特別委員会(本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、をご参照ください。)から提出を受けた本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本提案の諸条件について慎重に検討を行いました。
その結果、当社は、に記載のとおり、2025年9月25日付の取締役会において、本公開買付けは、当社グループの企業価値の向上に資するものとは認められず、当社の一般株主にとって公正なものであるとも認められないと判断し、本公開買付けに対して反対の意見を表明することを、決議に参加した当社の取締役(取締役合計9名のうち、田中秀明氏、上尾茂氏を除く取締役7名)の全員一致で決議いたしました。また、下記の福井健司氏を除く当社の監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べました。
上記の取締役会においては、当社の代表取締役社長である田中秀明氏は、本MBO公開買付者の代表取締役であり本MBO取引後も継続して当社の経営にあたることを予定していることから、本MBO取引及びこれと競合する本提案において特別の利害関係を有しており、また、当社の取締役である上尾茂氏は、創業家の運営する資産管理会社の役員も兼務していることから、本MBO取引及びこれと競合する本提案において特別の利害関係を有しており、この2名においては当社との間で利益が相反する可能性があることから、本MBO取引の検討に関する議題の決議には一切参加しておらず、また、当社の立場において田中秀明氏及び公開買付者との協議及び交渉には一切参加しておりません。また、当社の常勤監査役である福井健司氏は、本書提出日現在、本MBO公開買付けに関して本MBO公開買付者との間で不応募合意を締結しているサントレード株式会社の監査役を務めていることを考慮し、本MBO取引及びこれと競合する本提案における構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除する観点から、上記決議について意見を述べることを差し控えております。
|
氏名 |
役職名 |
所有株式数(株) |
議決権の数(個) |
|
田中 秀明 |
代表取締役社長 |
661,976 |
6,619 |
|
小西 紀行 |
常務取締役 ポーラスマテリアル事業担当 |
41,386 |
413 |
|
上尾 茂 |
取締役 管理本部長 |
2,177 |
21 |
|
石居 誠 |
取締役 企画開発本部長 |
28,746 |
287 |
|
宮園 哲哉 |
取締役 生産統括本部長 |
8,952 |
895 |
|
田中 一成 |
取締役 営業統括本部長 |
40,878 |
408 |
|
生駒 英昭 |
取締役 営業統括本部副本部長 |
51,453 |
514 |
|
井原 慶子 |
取締役 |
1,690 |
16 |
|
藤井 美保代 |
取締役 |
1,881 |
18 |
|
福井 健司 |
常勤監査役 |
81,376 |
813 |
|
平井 康博 |
監査役 |
0 |
0 |
|
樋口 秀明 |
監査役 |
11,020 |
110 |
|
計 |
12名 |
931,539 |
9,315 |
(注1) 役職名、所有株式数及び議決権の数は、本書提出日現在のものです。
(注2) 取締役井原慶子及び藤井美保代は、社外取締役であります。
(注3) 監査役平井康博及び樋口秀明は、社外監査役であります。
(注4) 所有株式数及び議決権の数には、それぞれ当社の役員持株会を通じて間接的に所有する当社株式数(小数点以下切捨て)及びそれに係る議決権の数を含めております。
該当事項はありません。
以 上