第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。なお、当社は単一セグメントです。

 

(1)経営方針

 IT社会は多様な産業に支えられていますが、日本が最も活躍している産業は、電子デバイスに必要とされる機能

性材料を供給しているファインケミカルの分野です。当社の主要製品である貴金属めっき薬品は、その機能性材料の一種であることから、当社はケミストリ(化学)を基礎に科学的に理論武装した独創的な製品により、社会課題と向き合い、多様な視点と独自の発想力を発揮し、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業を目指します。

 

(2)経営戦略等

 当社は少数精鋭・ファブレス型・開発型企業として、貴金属めっきに特化して事業を発展させてきました。製造プラント等の生産設備は持っておらず、新規製品開発のためのマーケティング、それを実行するための技術開発及び営業活動に力を入れ、いち早く商品化を実現することで、市場のシェアを獲得してまいりました。設立50年を過ぎた今、コロナ禍のもとDX化等により急拡大する電子部品業界において、既存市場以外においても当社の技術で解決できる社会課題があることが、より鮮明になってきました。

 そこで当社は、自身の強みを堅持しつつ、新規事業領域や既存市場でのニーズをとらえて社会課題の解決につなげるべく、新たに中長期ビジョン「RDD2030*」を策定し、2030年までの期間を3つのフェーズに分け、既存市場はもとより、新たな市場で評価される“日本高純度化学”へと進化していくことを目指します。その第1フェーズ(2022~2024年)の中期経営計画の骨子は当社HP(https://www.netjpc.com/)にて公表しており、今後詳細等につきましても同様に公表する予定です。

 RDD2030= Redox-innovation through Discovery & Development toward 2030

 

(3)経営環境

 当社が主力基盤とする半導体・電子部品市場は、グローバル規模での発展を維持しており、当社の販売先であるメーカーの多くは、この広大な市場に適応するために、新技術を生み出す開発力を競い合っています。

 当社を取り巻くリスクについては、次項2〔事業等のリスク〕に記載の通りですが、パンデミックや気候変動等の「環境的リスク」、貿易制限や紛争・戦争といった「地政学的リスク」、重要原材料・重要部品の不足等の「経済的リスク」、輸送インフラ不全等の「技術的リスク」といった様々なリスクが見られる不透明・不確実な足元の経営環境の中でも、新型ウイルスによるライフスタイルの変革、脱炭素/省資源に伴うエネルギーシフト、データ通信量・容量の急激な増加等の「変わらぬメガトレンド」が存在し、当社が貢献できる社会課題は多数あると認識しており、当社の独創性、知的財産を活かした事業機会はますます広がっていると考えています。

 

(4)対処すべき課題と対策

①技術開発力の強化

 当社の競争相手は、貴金属めっき薬品業界だけでなく卑金属めっき薬品業界も含みます。したがって、貴金属めっき技術分野ではタイムリーな改良に対応できる技術開発力及び車載向けや産業機械向け等の新用途開拓に向けた技術力向上、さらに貴金属/卑金属にこだわらず、業界として技術的に未完成なテーマを厳選して完成に向けた開発を推進していくことが重要と考えます。

 さらに当社は、めっきで培った酸化還元(Redox)の技術を活かし、既存の事業領域だけでなく新しい事業領域の創出を目指しており、中長期ビジョンRDD2030のもと、中期経営計画のなかで具体的に推進してまいります。したがって、従来のめっきだけに留まらない柔軟な思考力と技術開発力が必要となります。

 そのためには、当社の数倍の技術陣容を有する競合めっき薬品メーカーにも対抗できるユニークな発想を持つ技術陣の育成が必要となります。引き続き、新分野に積極的にチャレンジする人材、資質の高い人材の採用と育成により、技術陣のレベルアップを実現し、開発力の強化を図ってまいります。同時に、当社単独では困難な技術開発を効率的に実施していくため、最適な外部連携を図ってまいります。

 

②営業力の強化

 新型コロナウイルスを起因としたライフスタイルの変化、デジタルトランスフォーメーション向けIoTデバイス/データセンター関連の需要拡大、自動車関連におけるEV化/自動運転化に向けた取り組み等の社会動向に伴い、半導体をはじめ、半導体搭載基板、プリント基板、コネクター等におけるハイエンド電子部品の需要が高まっているのと同時に、より高性能,高品質のめっき薬品が求められております。この市場におけるシェア拡大が当社の成長戦略のベースと考え、国内、海外を問わず各アプリケーションのトップメーカーに対して当社製品の技術的優位性をもとにした拡販活動をパートナー企業と連携して行い、売上・利益の向上を目指します。

 加えて、新しい市場、新しい事業分野への参入に向けたマーケティングを行い、デバイスメーカーと技術交流ができるような会社間ネットワーク構築の強化を行ってまいります。

 

(5)目標の達成状況を判断するための経営指標

 当社は、2022年3月期のROEは7.2%となり、前期比0.5ポイント改善しております。詳細につきましては、「第一部〔企業情報〕第1〔企業の概況〕〔主要な経営指標等の推移〕自己資本利益率」をご参照ください。今後とも、更なる改善に向け、資産の効率化、収益性の向上に取り組んでいく所存であります。

 

(6)新型コロナウイルス感染拡大の影響について

 世界的な景気の減速が懸念される中、当社は半導体・電子部品業界の重要なサプライヤーとして、安定して事業を継続していくことが重要であると認識し、新型コロナウイルス感染防止を推進しております。

 めっき薬品の需要及び供給については、重要な影響は出ておりませんが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響による消費動向には引き続き注意が必要です。

 

 

2【事業等のリスク】

 以下において、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる事項を記載しております。当社として必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項につきましても投資判断上、あるいは当社の事業活動を理解するうえで重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から記載しております。

 記載された事項で、将来に関する事項は、提出日現在入手可能な情報から当社の経営判断や予測に基づくものです。

 

a 電子機器業界への依存度が高いことについて

 当社製品は、主に電子部品の半導体搭載基板、プリント基板、コネクター、リードフレーム等に用いられており、その販売先は主に電子機器業界であります。当社の業績は、これらの電子機器業界動向、とりわけスマートフォン市場、パソコン市場の影響を大きく受けます。

 

b 製品市況及び原材料市況等の影響について

 当社の主要製品に使用されている原材料は、貴金属類と薬品類に大別され、金額ベースでは貴金属類が大半を占めております。

 薬品類の価格は比較的安定しておりますが、貴金属(金、銀、パラジウム)は国際商品市況に大きく左右されます。ウクライナ侵攻等の地政学的リスクの顕在化や鉱山の事故等を背景とした原材料の価格高騰、供給制限が生じた場合には、当社の事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、貴金属についての顧客との契約は基本的に仕入、販売とも当日の建値を基準に決定しており、受注と同時に貴金属の発注を行うため、利益額については貴金属価格の変動の影響をほとんど受けません。ただし、回転在庫を確保しておくことによる価格変動リスクが発生するため、納期の短縮や、在庫量を最小限に抑えることで、影響を最小限にとどめるよう努めております。

 

c 為替変動による影響について

 2021年3月期及び2022年3月期における当社の輸出比率は、それぞれ54.3%、54.6%であります。海外との取引につきましては、円建での決済を基本としておりますが、最近ではドル建による取引が増加傾向にあります。為替予約等によるリスクヘッジを行っておりますが、これによる当該リスクを完全に回避できる保証はなく、業績が為替変動の影響を受ける可能性があります。

 

d 研究開発について

 電子機器業界における技術革新は著しく、より顧客ニーズに合った製品を提供し、シェアの維持と拡大を行うための研究開発は極めて重要であり、当社は新製品の開発及び既存製品の改良等の研究開発活動を全力で推進しております。

 当社は今後とも、最先端デバイス向けめっき薬品をはじめ、ユーザーの更なる性能の向上及びコストダウンに貢献するめっき薬品や、環境に配慮しためっき薬品等の研究開発活動に取組んでいく方針ですが、かかる研究開発活動が当社の計画通りに順調に行われなかった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

e 知的所有権について

 当社の主力製品である貴金属めっき薬品は、成分組成が複雑であるため、分析による成分組成の解析が困難で同等品としての参入は一般的に容易ではないことに加え、当社が申請した特許が不成立となった場合にはめっき薬品の組成情報が公開されてしまうことから、当社はこれまで貴金属めっき薬品の特許権取得を積極的に行っておりませんでした。

 しかしながら、近年の有機分析技術の進展を受け、今後の新技術の研究開発については、組成情報による特許出願ではなく物理化学定数で規定するパラメーター特許出願により技術保全を重視していく方針です。ただし、出願する特許がすべて登録されるとは限らず、また、当社の研究開発を超える優れた研究開発がなされた場合には、当社の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。

 入念な事前調査を行っているにもかかわらず、当社が開発・販売する製品が第三者の知的所有権を侵害しているものと判断された場合や、当社製品に関連する新しい他社特許が認可された場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

f 技術ノウハウの流出及び漏出について

 当社の技術情報には、めっき薬品の開発経緯、めっき薬品の組成・成分、当社と顧客間との技術データ等があります。これらの技術情報は所定の保管庫に収納し、日次管理を行っており、外部への持出、複写等を禁じております。特にめっき組成・成分につきましては、当社特有の呼称に変換して記載するなど、漏出防止に努めております。

 しかしながら、最近は社外とのコミュニケーションにメール、フラッシュメモリ、プロジェクター等を使用するケースが増加しており、万が一これらの情報が外部へ漏出した場合には、めっき薬品の成分分析結果と漏出情報との照合により類似品製造が可能になると考えられ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、社員採用時に当社の方針、守秘義務、機密保持等の理解を徹底しておりますが、退職者が出た場合には、退職後相当期間も含む守秘義務契約にもかかわらず、一部の技術情報等が流出し、当社の事業に影響を及ぼす可能性は否定できません。

 

g 人材の確保、育成について

 当社は、各社員が自らの役割を遂行することはもちろん、各々が常に全体観を持って業務を推進しております。現状では、知名度の向上、採用活動の強化、教育・研修の拡充等の施策により優秀な人材を確保できる状況にありますが、今後、研究開発体制の更なる強化、更なる海外展開、新事業分野への進出等にともなう業容の拡大に際し、当社の求める人材を十分に確保、育成できない場合には、今後の事業推進に影響を及ぼす可能性があります。

 

h 法的規制について

 当社は、めっき薬品の原材料として「毒物及び劇物取締法」の対象となる薬品を使用しているため、その販売、製造、輸入等に関して同法の規制を受けております。

 当社は、劇物、毒物に関する販売業登録、製造業登録及び輸入業登録等を取得しており、徹底した社内管理体制を確立し、法令遵守に努めております。しかしながら、万が一法令違反があった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

i 廃棄物等の管理について

 当社の製造または実験過程において生じる廃液及び大気中への排出物については、環境に配慮した適切な処理が必要とされます。当社は、廃液についてはその濃度に応じて、排水処理装置での処理、または外部委託処理を行っております。排気管理については実験室及び製造工程における局所排気を通じ排気ガス処理装置で処理しております。これらの取組みの結果、現在まで行政からの指導、地域住民等からの申入れ等を受けたことはありませんが、将来において当社の排出物の管理に何らかの問題が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

j 被災時の対策について

 当社はこれまで全部門が単一拠点に集中することで意思決定の迅速さ、生産効率と顧客満足の向上に努めてまいりました。一方、東日本大震災後、BCP(事業継続計画)の重要性が注目され、当社主要顧客からBCP策定を要求される機会も増しております。
 当社としましては、主要製品の在庫保有と主要顧客向け外部倉庫の運用をしております。また、当社事務棟で主要製品の製造スペース及び設備導入などの準備が完了し、緊急時製造拠点として確保しました。しかしながら、首都圏において大規模な震災等が発生した場合、一時的に製品製造や出荷等が滞り、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

k 新型コロナウイルス感染拡大の影響について

 時々刻々と変化する事態に対応して的確な意思決定を行うため、BCPにおける危機対策本部(本部長社長)を設置し、従業員及びお取引様に対する安全配慮義務の遵守と共に安定した事業継続に関する注意義務の履行について、適切な対応を図っています。

 提出日現在、めっき薬品の需要及び供給については重要な影響は出ておりませんが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響によるめっき薬品の需要低迷が生じた場合、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この

財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては「第一部〔企業情報〕第5〔経理の状況〕〔財務諸表等〕重要な会計方針」をご参照ください。

 

(2)財政状態の状況

(単位:百万円)

 

2021年3月末

2022年3月末

 

 

増減額

主な増減理由

 流動資産

8,096

8,306

210

売掛金+415、原材料及び貯蔵品+78、

未収消費税等+61、現金及び預金△339

 固定資産

8,053

8,561

508

投資有価証券+618

資産合計

16,149

16,868

718

 流動負債

1,042

550

△491

買掛金△405、設備関係未払金△82

 固定負債

1,857

2,073

216

繰延税金負債+216

負債合計

2,900

2,624

△275

純資産合計

13,249

14,243

994

利益剰余金+497、

その他有価証券評価差額金+420

負債純資産合計

16,149

16,868

718

 

 当期末の総資産は16,868百万円となり、前期比718百万円の増加となりました。

 流動資産の残高は8,306百万円となり、前期比210百万円の増加となりました。これは主に売掛金が415百万円増加、原材料及び貯蔵品が78百万円増加、未収消費税等が61百万円増加したものの、現金及び預金が339百万円減少したことによるものであります。

 固定資産の残高は8,561百万円となり、前期比508百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券が618百万円増加したことによるものであります。
 当期末の負債総額は2,624百万円となり、前期比275百万円の減少となりました。
 流動負債の残高は550百万円となり、前期比491百万円の減少となりました。これは主に買掛金が405百万円減少、設備関係未払金が82百万円減少したことによるものであります。
 固定負債の残高は2,073百万円となり、前期比216百万円の増加となりました。これは主に繰延税金負債が216百万円増加したことによるものであります。
 当期末の純資産は14,243百万円となり、前期比994百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金が497百万円増加、その他有価証券評価差額金が420百万円増加したことによるものであります。

 

(3)経営成績の状況

① 売上高

 当期の売上高は18,714百万円と前期比12.6%増加いたしました。

 (詳細は下記の業績等の概要に記載のとおりです。)

 当期の海外での売上高は、総売上高の約54.6%を占めます。

 海外での売上高は約64.1%が円建てで、約35.9%が外貨建てとなっています。また、外貨建てにつきましては、基本的には為替ヘッジをし、為替レートの変動を抑えています。

② 売上原価

 売上原価は主として原材料費、工場の人件費から構成されています。また原材料費は貴金属と一般薬品に分けられます。このうち一般薬品につきましては、価格は比較的安定しておりますが、貴金属につきましては、その価格変動及び数量の増減は売上原価に大きな影響を与えます。売上高に対する売上原価の比率は、88.3%となりました。

 

③ 売上総利益

 当期の売上総利益は、前期と比べ225百万円増加し2,190百万円となりました。売上総利益率は11.7%となりました。

④ 販売費及び一般管理費

 当期の販売費及び一般管理費は988百万円と前期比2.0%減少となりました。

 販売費及び一般管理費は、主に人件費・研究開発費・減価償却費などであります。当期の販売費及び一般管理費の売上総利益に対する比率は前期に比べ6.3ポイント改善し45.1%になりました。

⑤ 営業利益

 営業利益は1,201百万円と前期比25.8%増加となりました。

⑥ 営業外収益と費用

 営業外損益は137百万円の利益となり前期比20.7%増加いたしました。

⑦ 経常利益

 経常利益は1,339百万円となり前期比25.2%増加となりました。

⑧ 税引前当期純利益

 税引前当期純利益は1,340百万円となり前期比24.8%増加となりました。

⑨ 法人税等

 法人税等は365百万円となり前期比29.3%増加となりました。

⑩ 当期純利益

 当期純利益は前期比183百万円増加し、974百万円(前期比23.2%増)となりました。

⑪ ROE

 ROEは7.2%となり、前期比0.5ポイント改善しております。

 

(4)業績等の概要

 当期の世界経済は新型コロナウイルスの相次ぐ変異株の流行で感染第5波に次ぐ第6波に見舞われましたが、ワクチン接種の進展で期末にかけて一部の国を除いて感染拡大が一巡し、経済活動が徐々に正常化に向かいつつあります。こうした中で世界の在庫投資と設備投資が回復に転じ、多くの国が新型コロナ前の実質GDPの水準を回復するなど明るさが広がりました。一方、半導体やエネルギーなどの供給不足と物流網の混乱で需要と供給のミスマッチから石油はじめ国際商品価格の高騰が始まり、一次産品のネット輸出国と輸入国との間で景気の明暗が分かれ、とくに資源をほとんど海外からの輸入に依存する日本は交易条件の悪化で景気回復が遅れ、水面下の回復に留まりました。期末にはロシアのウクライナ侵攻で国際商品価格が一段と高騰し、消費者物価が上昇に転じる中で、米国が利上げに踏み切り、米中対立に加えてロシアに対する経済制裁の強化による世界経済の分断化やスタグフレーションへの懸念から、世界の株価が調整色を強めるなど景気の先行きに対する不安が高まるに至りました。

 電子部品業界におきましては、5G対応スマートフォンとその基地局整備、ITインフラのリモート運用やクラウドサービスの利用拡大に伴うデータセンター関連、および工場や医療などのデジタルトランスフォーメーション向けIoTデバイスの需要に支えられ、おおむね堅調に推移しました。一方、車載用電子部品については、自動車の堅調な需要動向に対して、半導体の供給不足を解消できず、自動車の生産面に影響を与えました。

 当社におきましては、プリント基板・半導体搭載基板用めっき薬品の販売が、5G対応スマートフォン、データセンター関連の需要により、引き続き堅調に推移しました。

 コネクター用めっき薬品の販売については、車載向けで減産の影響を受けたものの、5G対応スマートフォン向けなどの需要増加に支えられ、堅調に推移しました。

 リードフレーム用めっき薬品の販売については、IoTデバイスの旺盛な需要と貴金属パラジウムの在庫確保の前倒し注文により順調に推移しました。

 その結果、売上高は18,714百万円(前期比12.6%増)、営業利益は1,201百万円(前期比25.8%増)、経常利益は1,339百万円(前期比25.2%増)、当期純利益は974百万円(前期比23.2%増) となりました。
最終用途品目別の状況は次のとおりであります。

 

(プリント基板・半導体搭載基板用)
 スマートフォン向けのプリント基板や半導体パッケージ基板に適用される貴金属めっき薬品は、5G対応スマートフォン、データセンター関連の需要により堅調に推移し、売上高は5,978百万円と前期比0.6%の増収となりました。
(コネクター・マイクロスイッチ用)
 マイクロコネクター用硬質金めっき薬品の販売については、スマートフォン向けなどの需要が堅調に推移し、売上高は2,983百万円と前期比5.8%の増収となりました。

 


(リードフレーム用)
 リードフレーム用パラジウムめっき薬品の販売は、貴金属価格の高騰に伴い、引き続き売上増に寄与しました。売上高9,617百万円と前期比24.7%の増収となりました。
(その他)
 時計装飾用等の売上高は134百万円と前期比6.6%の減収となりました。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

①キャッシュ・フローの分析

(単位:百万円)

 

2021年3月期

4月~3月

2022年3月期

4月~3月

 

 

増減額

主な増減理由

 営業活動による

キャッシュ・フロー

363

180

△183

仕入債務の減少△439、棚卸資産の増加△249

税引前当期純利益+266、

売上債権の減少+232、

 投資活動による

キャッシュ・フロー

△40

△93

△52

有形固定資産の取得による支出△56

 財務活動による

キャッシュ・フロー

△447

△425

21

自己株式処分による収入+24

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△123

△339

△215

現金及び現金同等物の期首残高

4,193

4,069

△123

現金及び現金同等物の期末残高

4,069

3,729

△339

 

 当期末の現金及び現金同等物の残高は、3,729百万円となり、前期比339百万円の減少となりました。なお、当期におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動におけるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは180百万円となり、前期比183百万円の減少となりました。これは主に仕入債務の減少により439百万円、棚卸資産の増加により249百万円それぞれ減少したものの、税引前当期純利益の増加により266百万円、売上債権の減少により232百万円増加したことによるものであります。

(投資活動におけるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは93百万円の支出となり、前期比52百万円の支出増となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が56百万円増加したことによるものであります。
(財務活動におけるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは425百万円の支出となり、前期比21百万円の支出減となりました。これは主に自己株式の処分による収入が24百万円増加したことによるものであります。

 

②財務政策

 当社の事業は前述の「第2[事業の状況] [事業等のリスク]」 に記載のとおり様々なリスクを伴っており、運転資金としては将来予測可能な資金需要に対して十分な流動性ある資産の確保を基本方針としております。配当については、後述の「第4[提出会社の状況] [配当政策]」に記載の通り、収益状況に応じた株主様への還元を行うこととしており、財務基盤の健全性を常に維持していくよう勘案して実施しております。運転資金及び経常的な設備投資資金については手許資金で賄っております。

 

(6)生産、受注及び販売の実績

 当社は単一セグメントのためセグメント毎の記載はしておりません。

①生産実績

用途品目別

第51期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プリント基板・半導体搭載基板用

5,963,590

100.4

コネクター・マイクロスイッチ用

2,982,499

106.0

リードフレーム用

9,628,328

124.9

その他

134,325

1,664.5

合計

18,708,743

113.6

(注) 上記の金額は、販売価格によっております。

 

②受注実績

用途品目別

第51期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高

受注残高

金額(千円)

前年同期比(%)

金額(千円)

前年同期比(%)

プリント基板・半導体搭載基板用

5,785,775

95.5

246,740

56.2

コネクター・マイクロスイッチ用

3,215,386

114.8

302,921

425.7

リードフレーム用

9,719,752

126.1

537,711

123.4

その他

179,121

151.3

45,168

7,917.5

合計

18,900,036

113.2

1,132,541

119.6

 

 

 

③販売実績

用途品目別

第51期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プリント基板・半導体搭載基板用

5,978,299

100.6

コネクター・マイクロスイッチ用

2,983,630

105.8

リードフレーム用

9,617,925

124.7

その他

134,523

93.4

合計

18,714,378

112.6

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

兼松株式会社

2,734,619

16.5

3,226,178

17.2

株式会社コタベ

2,075,277

12.5

2,686,546

14.4

 

3 最近2事業年度の主要な輸出先及び輸出販売高及び割合は、次のとおりであります。

 なお、( )内は、総販売実績に対する輸出高の割合であります。

輸出先

第50期

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

第51期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

韓国

1,380,859

15.3

1,481,836

14.5

台湾

2,547,207

28.3

3,297,780

32.3

シンガポール・マレーシア

3,065,541

33.9

3,044,218

29.8

中国

818,026

9.1

1,049,984

10.3

その他の地域

1,206,274

13.4

1,340,141

13.1

合計

9,017,908

(54.3%)

100.0

10,213,962

(54.6%)

100.0

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

(1)研究開発活動の基本方針

 当社の研究開発部門のミッションは、最先端のデバイスの表面実装に必要とされる貴金属めっき技術をエレクトロニクス業界に提供することです。

 貴金属めっきの顧客は急速にグローバル化が進んでおり、これに対応するには、当社の研究開発業務を、ソフト技術、材料技術の両面より推進する必要があります。ソフト技術を駆使してグローバル化に対応しながら、一方では次世代の材料技術を長期的な視野で育成してゆくのが当社の研究開発の基本方針です。

 ソフト技術とは、当社の既存のめっき薬品をどのような条件で、かつどのような前工程、後工程との組み合わせで使用するかを検討し、顧客に最適なトータルプロセスを提案する技術です。対象となる電子デバイスは多様であり、顧客の設備も多様です。これらの状況を考慮しながら顧客の満足するソリューションを提供するのがソフト技術で、既存の当社の製品を顧客の設備にいかにフィットさせるか、短期間に解答を出すことが要求されます。

 一方、材料技術とは、既存の薬品では対応できないような課題を解決するための新しい薬品を開発する業務です。新しい薬品はデバイスに用いられ、実装工程を経て、最終的にはエレクトロニクス機器(完成装置)としての一連の評価まで行い、新製品として認定されますので、開発から製品化までには数年の検討期間が必要になることもあり、長期間にわたる計画が必要です。

 特に新規化合物を発見しないと問題が解決されないような製品には、新規化合物の環境試験も行わねばならず、長期間のR&Dは避けられませんが、グローバルなファインケミカル企業になるための必須条件と受けとめております。

 なお、当社は単一セグメントのためセグメント毎の記載はしておりません。

 

(2)研究開発活動の主要課題

 当社は、会社設立以来、エレクトロニクス業界を最大のターゲットとして貴金属めっき薬品を提供してまいりました。近年、めっき液の低金濃度化やめっき皮膜の薄膜化による金使用量を削減(省金化)した仕様が浸透しつつあり、めっき皮膜物性を維持しつつ、このような仕様に対応することが主要課題となっております。

そのような状況の中でも業界に先駆けてMPUパッケージ用無電解金めっき薬品のシアンフリー化を達成しており、技術課題の解決と環境配慮志向の両面で新たな価値を提供しています。

 さらに、省金化に伴う貴金属めっき薬品の販売量低下を補うべく、これまでに集積した貴金属めっき技術を、エレクトロニクス業界以外へ展開すること、貴金属以外のめっき技術へ応用することも課題として取り組んでおります。

 その一つが電池材料への展開です。電気自動車や再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、従来よりも安価で軽量かつ長寿命な電池が求められています。電池の充放電反応は、めっきと同じ酸化還元反応(Redox反応)を利用しています。当社はめっき薬品開発で培ったRedox制御技術で電池材料の課題解決にも貢献すべく、新たな技術開発に着手しています。

 このような新たな技術開発を推進するためには、従来のめっきだけに留まらない柔軟な思考力と技術開発力が必要となるため、当社の数倍の技術陣容を有する競合めっき薬品メーカーにも対抗できるユニークな発想を持つ技術陣の育成が必要となります。引き続き、新分野に積極的にチャレンジする人材、資質の高い人材の採用と育成により、技術陣のレベルアップを実現し、開発力の強化を図ってまいります。同時に、当社単独では困難な技術開発を効率的に実施していくため、最適な外部連携を図ってまいります。

具体的には以下の課題に取り組んでまいります。

① 環境問題対応

・有害物質(シアン、鉛)不使用のめっき技術

・穀物由来原料の削減

② 新規要求に対するデバイス対応

・5G対応のめっき技術

・高密度実装技術対応のめっき技術

・自動車電装化対応めっき技術

③ 新しい事業領域の創出

・半導体・センサー・部品などへの展開

・電解液・電極など電池材料へ進出

 

(3)研究開発の成果

 当期の研究開発の成果は次のとおりであります。

① 5G対応ニッケル不使用めっき技術(DIG、EPIG)

 一般的に厚付けで施されるNiめっき皮膜を使用せず、電子回路の細線化に貢献できる最終表面処理プロセスとして期待されており、銅配線上のダイレクト無電解金めっき(DIG)、銅配線上のダイレクト無電解パラジウム/無電解金めっき(EPIG)プロセス用の金めっき液及びパラジウムめっきを開発しました。Niめっきを省くことから省資源化・生産効率の向上が期待されるだけでなく、高速データ伝送に有利な高周波特性が認められております。

② 高密度パッケージ用無電解金めっき技術

 最先端高密度半導体パッケージ基板用の環境配慮型のノーシアンタイプ無電解金めっき液を開発しました。

 

③ 半導体配線用金めっき技術

 最先端半導体配線用の環境配慮型のノーシアンタイプ電解金めっき液を開発しました。

 

(4)研究開発費

 第51期(2022年3月期)における、研究開発費の総額は344,709千円であります。