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回次 |
第50期 |
第51期 |
第52期 |
第53期 |
第54期 |
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決算年月 |
2021年3月 |
2022年3月 |
2023年3月 |
2024年3月 |
2025年3月 |
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売上高 |
(千円) |
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経常利益 |
(千円) |
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当期純利益 |
(千円) |
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持分法を適用した場合の投資利益 |
(千円) |
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資本金 |
(千円) |
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発行済株式総数 |
(株) |
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純資産額 |
(千円) |
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総資産額 |
(千円) |
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1株当たり純資産額 |
(円) |
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1株当たり配当額 |
(円) |
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(うち、1株当たり中間配当額) |
( |
( |
( |
( |
( |
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1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額 |
(円) |
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自己資本比率 |
(%) |
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自己資本利益率 |
(%) |
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株価収益率 |
(倍) |
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配当性向 |
(%) |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
(千円) |
△ |
△ |
△ |
△ |
△ |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
(千円) |
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従業員数 |
(名) |
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(外、平均臨時雇用者数) |
( |
( |
( |
( |
( |
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株主総利回り |
(%) |
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(比較指標:配当込みTOPIX) |
(%) |
( |
( |
( |
( |
( |
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最高株価 |
(円) |
3,005 |
3,070 |
2,692 |
3,090 |
3,720 |
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最低株価 |
(円) |
2,235 |
2,317 |
2,230 |
2,351 |
2,800 |
(注)1 当社は、連結財務諸表を作成しておりませんので、連結会計年度に係る主要な経営指標等の推移については、記載しておりません。
2 第51期の1株当たり配当額には、設立50周年記念配当10円を含んでおります。
3 当社は第53期より配当性向に加えてDOE(自己資本配当率)5%を下限とする配当方針を採用しております。
4 持分法を適用した場合の投資利益につきましては、関連会社が存在しないため記載しておりません。
5 自己資本利益率につきましては、期首期末平均純資産額に基づいて算出しております。
6 従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員であり、外数で記載しております。
7 最高株価及び最低株価は、2022年4月4日より東京証券取引所プライム市場におけるものであり、それ以前については東京証券取引所市場第一部におけるものであります。
8 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第51期の期首から適用しており、第51期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。
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年月 |
概要 |
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1971年7月 |
東京都豊島区東池袋一丁目39番1号において、貴金属めっき薬品の開発、製造及び販売を目的として日本高純度化学株式会社を設立(資本金1,000千円) |
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1979年3月 |
本店を東京都豊島区東池袋一丁目2番11号に移転 |
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1981年7月 |
本店を東京都豊島区南池袋二丁目26番7号に移転 |
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1988年3月 |
川口工場を新設 |
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1999年8月 |
MBOを目的とした合併を前提として、ジェイピーシーホールディング株式会社(設立1991年6月13日、本店所在地 東京都千代田区三崎町三丁目3番23号)が日本高純度化学株式会社株式を取得し、持株会社となる。 |
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1999年11月 |
ジェイピーシーホールディング株式会社を存続会社として、日本高純度化学株式会社を消滅会社とする合併を行い、商号を日本高純度化学株式会社、本店所在地を東京都豊島区南池袋二丁目26番7号とする。 |
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2001年2月 |
本店を東京都練馬区北町三丁目10番18号に移転登記 |
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2001年5月 |
移転登記後の所在地に設備を移設し業務開始 |
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2002年12月 |
JASDAQ市場に株式公開 |
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2004年3月 |
東京証券取引所市場第二部に上場 |
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2005年3月 |
東京証券取引所市場第一部に上場、川口工場を閉鎖し本社工場に統合 |
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2005年4月 |
ISO9001及びISO14001の認証取得 |
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2005年9月 |
本社第二工場を新設 |
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2009年12月 |
本社第二工場を閉鎖し本社工場に統合 |
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2019年2月 |
一般財団法人JPC奨学財団を設立(2020年4月より「公益財団法人」) |
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2022年4月 |
東京証券取引所プライム市場に移行 |
<日本高純度化学の価値創造ストーリー>
日本高純度化学株式会社(JPC:Japan Pure Chemical)は1971年の創業以来、電子機器の接点・接合に使われる「貴金属めっき薬品」を専門とする化学会社です。東証プライム上場企業でありながら、社員50名程度、さらにその8割ほどが理系出身という知識集約型・研究開発型の技術者集団です。
『化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる』の企業理念のもと、希少な貴金属資源の節減を実現する高品質な製品の提供を通じてサステナブルな地球環境を実現するとともに、ファインケミカルとエレクトロニクスの懸け橋として豊かな社会づくりの一翼を担っていると自負しています。
めっき技術は、時計や宝飾品等に用いる「装飾めっき」と、電子機器の接合等の「機能めっき」に大別できます。機能めっきの中でも、半導体などの最重要部品は接点の数も圧倒的に多く緻密な回路になるため、信頼性(絶対に錆びない等)の観点から金・銀・パラジウムなどの「貴金属めっき」が用いられます。
装飾めっきは、「この素材の部品にはどんな金属でおよそどのくらいの厚みでめっき(金属薄膜)をつければ色・輝きが綺麗に保てるか」という経験と匠の技をもって実現可能ですが、機能めっきは電子機器、電子部品の接合用のため精密度が桁違いです。規格が厳格に定められ、金属めっきの特性や信頼性が物理・化学の分野における原子や分子レベルの知見で裏付けされた技術でないと成立しません。酸化還元反応など、化学反応のメカニズムを明らかにしないと電子機器メーカー等の顧客から要求される機能が発揮できない世界です。(顧客側にはめっき技術の専門家はほとんどいないため、物理的・化学的にめっき反応を説明しないと理解が得られないということでもあります)。
当社が創業した当時のめっき薬品業界は、分野ごとに一定の特性が定められており「顧客はその特性に合わせてラインを調整しなければならない」という画一的なラインナップが一般的でした。
そこで当社は、希少かつ高価である貴金属めっきに事業を集中し、物理・化学の知見をもって貴金属めっき反応のメカニズムを徹底的に研究して、顧客に伴走しながら用途やライン毎に異なるニーズにきめ細かく対応する薬品を都度調合するモデルを立上げるとともに、定期的な分析により不足してきた成分を添加剤で補給することが可能な供給サイクルも確立しました。
加えて当社のめっき薬品には「貴金属消費量の節減につながる性能をもつ」という共通の特長があります。貴金属は高価でありムダ使いできないため「限りなく薄く、ムラなく、かつ必ず皮膜が形成される」ことが重要ですが、単純に通電してめっき皮膜を作るだけでは、厚みがバラバラだったり、一部分に皮膜が作られず電子部品そのものがショートして破壊されてしまったりします。当社のめっき薬品を用いるとそうした失敗がなくなり最小限の貴金属消費量でめっきができます。当社が編み出した特定の配合により化学反応が生じ、狙った箇所に狙った厚みで皮膜形成が適えられるからです。
このように、ライン立上げ時の利便性や柔軟性、めっき薬品の性能や歩留まりの高さによる希少な資源の節減、ひいてはライン全体としての低コスト化が評価され、顧客と長期にわたる関係を築き、当社は貴金属めっき薬品市場でトップクラスの地位を占めるまでになりました。
現代社会は人口増加や高齢化に伴う介護問題、エネルギー供給問題、気候変動や環境破壊、食糧の持続可能性など、抱えきれないほどの課題に直面しており、これらを克服して次世代に豊かな社会を残すためにも、エレクトロニクスの進化はますます重要になっています。例えば、AIやIoTを活用したスマートシティの発展によりエネルギーや交通の効率化が進み、より安全で便利な都市環境が整備されます。高速通信技術の進歩によって自動運転技術が発展して人々の移動の自由度が高まり、次世代医療技術の進化が遠隔治療を可能にし、無医村地域などの健康寿命も延伸されます。エンターテインメントや通信技術の発展も合わさって、人々の暮らしはより豊かで充実したものになるでしょう。
このような未来を支える基盤には半導体をはじめとした電子部品の高度化が不可欠です。例えば、コンピュータの計算速度が速まると高熱が発生するようになります。“ハンダ”では熱に耐えきれずに電子部品の接合が溶けてしまうので、より高い耐熱性能が求められるようになります。逆に人工衛星には極低温耐性が、人命に直接的に影響する遠隔医療機器や自動運転インフラにおいては「高速伝送」や「長寿命かつ高信頼を支える耐腐食性」などが重要になってくることが想像できます。
これらの実現を性能面、環境面から支えるのが、当社が長年向き合ってきた貴金属めっき技術です。高価で希少な貴金属の特性を活かし、用途に応じた高性能なめっき薬品に仕立てることによって強みを発揮しつづけるとともに、独自の省貴金属技術を通じて地球環境の持続可能性にも貢献することができます。
さらに当社は、将来を担う新しい事業領域として電池事業への挑戦を始めています。めっきにより起こる化学反応は酸化還元反応ですが、これは電池の基本原理そのものです。この反応を効率的に制御することが電池開発の本丸と言われており、当社の知見と技術を応用することで電池の大容量化や長寿命化、充放電の高効率化や高出力化が期待できます。
JPCの技術は無限の可能性を秘めています。化学の好奇心のもとで事業をさらに深化・進化・新化させ、より環境にやさしく、持続可能で豊かな社会づくりに貢献してまいります。
当社は、電子部品のプリント基板(注)1(パッケージ基板(注)2を含む)、コネクター及びリードフレーム(注)3等の接点・接続部位に使用される貴金属めっき薬品の開発、製造及び販売を主な事業内容としております。特にプロセスアドバイス及びアフターフォロー等までも含めた総合的な提案・提供を行っており、ユーザーのニーズに密着した製品の開発、製造及び販売に努めております。
当社は、1971年7月の会社設立以来、常にエレクトロニクス分野を最大のターゲットとしており、エレクトロニクス業界の伸長に伴い、プリント基板、コネクター及びリードフレーム用の金めっき薬品、銀めっき薬品、パラジウムめっき薬品を市場に送り出してまいりました。特に、製品開発においては海外からの技術導入に頼らない自社独自の開発技術体制で臨んでおり、長年にわたって技術の集積を行っております。
貴金属めっき技術は、表面処理技術の1つであり、貴金属を電気化学的に析出させる「電解めっき」と化学反応を利用して析出させる「無電解めっき」とに大別されます。当社の貴金属めっき薬品を方法別・貴金属別に分類しますと、次のようになります。
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めっき方法 |
貴金属 |
種類 |
用途品目別区分 (主な最終製品) |
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電 解 |
金 |
軟質純金 |
プリント基板・半導体搭載基板(注)4 (スマートフォン、パソコン、電子機器等) |
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硬質金 |
コネクター・マイクロスイッチ (スマートフォン、パソコン、電子機器等) |
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パラジウム |
パラジウム合金 |
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純パラジウム |
リードフレーム (スマートフォン、パソコン、電子機器等) |
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銀 |
純銀 |
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無電解 |
金 |
置換金 |
プリント基板・半導体搭載基板 (携帯電話、スマートフォン等) |
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還元金 |
プリント基板・半導体搭載基板 (サーバー、パソコン等) |
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パラジウム |
還元パラジウム |
プリント基板・半導体搭載基板 (携帯電話、スマートフォン等) |
貴金属めっきの必要性について
エレクトロニクス機器は、多くの部品を組み合わせて作られますが、個々の部品を接続していく工程(実装工程)で、不可欠なものが貴金属めっきです。高密度実装になるほど部品間の接続面積は小さくなり、接点のわずかな腐食、酸化が接続不良につながります。貴金属(金、銀、パラジウム)は、金属の中でも最も腐食、酸化されにくい金属で、実装工程での接点部に貴金属めっきを施すことにより実装部品の信頼性を高めることができます。
(注)1 プリント基板
絶縁物の板に薄い銅箔を貼付けた基板を、回路図にしたがって不必要な銅箔を取り去り、電子回路を構成したものをいいます。絶縁物にはベークライト、紙にフェノール樹脂をしみ込ませたもの、グラスファイバーに樹脂をしみこませたものなどが使われます。最近では、より小型化するために板を何枚も重ねた多層基板が主流になっています。パソコンのマザーボードなどがプリント基板に該当します。
2 パッケージ基板
BGA(注)5、CSP(注)6などに代表される小型の電子部品で、LSI(大規模集積回路)に内蔵され、シリコンチップとLSI外部とを電気的に接続するプリント基板であります。
3 リードフレーム
半導体パッケージの内部配線として使われる薄板の金属のことで、外部の配線との橋渡しの役目を果たしており、半導体パッケージの大部分に使われております。
4 半導体搭載基板
半導体チップ(IC、LSIチップ)とプリント基板を接続するために使用される基板のことをいいます。後述するBGA、CSPなどが該当します。
5 BGA(Ball Grid Array ボール・グリッド・アレイ)
IC(集積回路)パッケージのひとつで、パッケージの裏面に、入出力用のパッドを並べたタイプです。ICチップとの接続はワイヤーボンディング方法が主体です。多ピンのICを表面実装するためのパッケージとして広く使われています。プリント基板との接続は、2次元格子状に配置された半田ボール用電極にて行っています。ワイヤーボンディング及び半田ボール用電極は、いずれも金めっきが施されています。金めっきはワイヤーボンディング部分と半田ボール接合部分に使われております。
6 CSP(Chip Size Package チップ サイズ パッケージ)
ICのチップとほぼ同じ大きさの超小型ICパッケージのことであります。CSPを使用することで、セットの基板実装面積を大幅に削減できます。BGAと基本構造は同じになっております。高精細な設計になっており、パッケージの大きさはICチップと同等まで小型化されております。電極の大きさは数十ミクロン。金めっきはワイヤーボンディング部分と半田ボール接合部分に使われております。
<価値創出の循環モデル>
当社は『化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる』の企業理念のもとに集まった技術者集団です。経営上の重要課題(マテリアリティ)として、(1)環境にやさしい製品づくり、(2)人的資本経営の推進、(3)知的無形資産の質的向上、(4)経営基盤の強化、の4点を認識し、従業員のほか、お客様やお取引先様、株主や投資家の皆様、化学の将来を担う学生の皆様ほか、すべてのステークホルダーと社会全体に価値を提供しています。さらには、事業活動によって生み出した価値を経営資源に再投入しながら、財務的・非財務的な価値を持続的・循環的に拡大していきます。
<企業理念:化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる>
■経営上の重要課題(マテリアリティ)
(1)環境にやさしい製品づくり
①環境負荷低減につながる製品開発及び事業活動の推進
②めっき工程におけるエネルギー使用量削減
③めっきで培ったコア技術の応用によるエネルギー分野への貢献
(2)人的資本経営の推進
①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成
②能動型自律人材の採用と育成
③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備
(3)知的無形資産の質的向上
①知財・無形資産の適切な管理・共有
②知財・無形資産の効果的な活用
(4)経営基盤の強化
①社外役員による監督・指導と内部監査等によるコーポレート・ガバナンスの強化
②コンプライアンス体制の強化
③ステークホルダーへの適切な情報発信
<価値創造を支える経営資源(インプット)>
1.人的資本:技術系を中心とした能動型自律人材
当社は知識集約型・研究開発型の企業であり、人的資本が事業活動の大切な源泉と考えています。「能動型自律人材」を育成し、製品開発や営業活動をはじめとする事業活動を活性化するとともに、従業員が安心して働くことのできる健康的で安全な職場環境の整備によって会社と従業員のエンゲージメントが高まることが事業成長と企業価値向上につながる機会と考え、①企業理念に共感し、ビジョンの実現に主体的に参画する組織風土の醸成、②能動型自律人材の採用と育成、③働きやすく、やりがいを感じる職場環境の整備という3つのテーマ・方針に沿って「人的資本経営」を推進しています。
2.知的資本:蓄積された研究開発ノウハウと製品レシピ
社員の約8割を占める技術系出身者が営業・技術一体となって、当社固有技術であるProtecting Agent*等を用いた技術開発・提案を行い、お客様の課題解決に取り組むなかで、実験データを始めとする化学の知見やノウハウを蓄積し続けています。また、当社にとって重要な製品レシピ等の知的財産を安全かつ効果的に活用するため、営業・技術情報の電子化・システム化などのDX基盤整備を進めています。
* 特定の金属に選択的に吸着し、電子を供与又は吸引することによってめっき反応や皮膜物性をコントロールする一連の有機化合物。
3.製造資本:フォーミュレーション型の製造設備と生産体制
当社はめっき薬品の製造において大型な設備は保有せず、工程をフォーミュレーション(調合)に絞ることによりファブレス(ファブライト)型経営を実現しています。長年培ったオペレーションのノウハウがお客様ニーズに柔軟に対応する多品種少量生産を支えています。
4.自然資本:原料となる貴金属、化合物の有効活用
めっき薬品の製造に欠かせない貴金属や希少鉱物、化学物質の安定的な調達先を確保し、事業活動に活用します。一方でサステナビリティの観点から、貴金属の使用量を節約する省貴金属や、環境に悪影響を及ぼす物質の使用を回避する環境配慮型の製品開発を推進しています。
5.社会・関係資本:ステークホルダーとのエンゲージメント
多品種少量・短納期生産への対応や、意思決定の速さや手厚いサポートによって、お客様との信頼関係を培ってきました。めっき薬品のもととなる原材料の仕入先様とも長年にわたり良好な関係を維持しています。加えて、プライム上場企業として情報開示の充実やIR活動、SR活動を通じて、多くの株主・投資家の皆さまとのエンゲージメントを築いております。
6.財務資本:強固な財務基盤
知識集約型企業としての効率的な経営と競争力の高い製品により強固な財務基盤を築いています。純資産は高い水準を維持しており、一定水準の株主還元を行いながらも引き続き安定的に推移する見通しです。中期経営計画では、政策保有株式の縮減により得られる資金を含めた手元資金を、事業拡大に向けた戦略投資に充てる計画です。
<事業活動>
企業理念『化学の好奇心でエレクトロニクスに役立てる』のもと、エレクトロニクス業界を牽引するファインケミカル企業となるための中長期ビジョン「RDD2030」とともに、めっきで磨いてきた酸化還元の技術で新たな事業価値を創造することを目指しています。
1.強みとこだわり ~JPC’s Identity
(1)金の卓越したノウハウ
当社は貴金属や希少鉱物を取り扱っています。事業領域をエレクトロニクス分野の貴金属めっきに集中し、限りある資源を有効活用し使用量を節減する社会的使命を50年以上にわたって大切に引き継ぎながら、優れた省貴金属性能や環境配慮特性をもった製品を輩出しています。
当社のめっき薬品は半導体や電子回路基板などの接点に利用され、最終的にはスマートフォンやパソコン、自動車、家電などの身の回り品や、人工衛星や高速通信の基地局などの先進社会インフラに組み込まれることによって、安心・安全で豊かな社会と持続可能な地球の両立を支えています。
(2)スピード
当社は50名ほどの社員の大部分が物理・化学分野に精通した技術者で、営業部門は技術部門とのローテーション制です。それは「化学の好奇心」を持つ技術者が直接お客様のもとに赴き、適時に課題や要望を吸収して即応する体制を築いていることを意味しています。また技術部門が有する高度な分析設備を、商品の開発や改良だけでなくお客様の製造ラインの課題解決にも直接役立てています。素早い意思決定にもとづく早期・柔軟・高品質な技術サポートに加え、長年にわたり蓄積した知見にもとづくめっきプロセス全般のアドバイスを行うトータルソリューションによって、お客様との信頼関係を築いています。
(3)フォーミュレーション
当社はめっき薬品を製造していますが、大型の製造設備(固定資産)は持っていません。原材料を外部から調達し、製造工程をフォーミュレーション(調合)に絞ることで、“持たざる経営”を実現しています。早くから投資の大部分を“人”に集中し、事業活動の中心を研究開発とすることによって生み出した無形の資産たる“レシピ”こそが、当社の付加価値の源泉なのです。
こうした強みを発揮することによって盤石の経営基盤を確立してきた当社ですが、技術者の「化学の好奇心」はとどまるところを知りません。現在の強みはそのままに、新たな技術領域を取り入れたり、めっきにより育んできた酸化還元反応の技術と知見を他分野へと応用したりすることによってイノベーションを起こし、さらなる飛躍を目指してまいります。
2.事業活動
■事業活動の系統図
※レシピ:めっき薬品を調合するための、原材料の成分と手順を記したもの
(1)仕入
当社は貴金属化成品メーカーより貴金属地金及び貴金属(金、銀、パラジウム)を含んだ薬品(以下「貴金属薬品」という)を仕入れております。また、化学薬品メーカーより化学薬品を仕入れております。
(2)生産
当社は国内外のユーザー及び国内外の販売代理店から受注して生産を行っております。顧客のニーズに合わせ、仕入れた原材料を調合することで、貴金属めっき薬品が完成します。
(3)外注
当社は仕入れた貴金属(金、銀、パラジウムの地金)を貴金属化成品メーカーに支給し、貴金属薬品への加工を依頼するケースがあります。化学薬品も市販品がない場合には、特注品を化学薬品メーカーに合成を委託し、新製品に応用するケースがあります。特注品の委託の際にはNDA(秘密保持契約)を交わして行います。
(4)販売
当社は貴金属めっき薬品を国内外のめっき専業メーカー、電子部品メーカー及び総合電機メーカーに販売しております。直接上記メーカーに販売するケースと国内外の販売代理店を通して販売するケースの2通りがあります。
国外は韓国、台湾、中国、シンガポールに販売代理店を置いております。
<価値創出(アウトプット)>
-めっき薬品-
・省貴金属性能
・環境に配慮した製品
・短納期生産
・顧客に最適化した製品
-サポートサービス-
・早期の課題解決
・高品質なサポート
・めっきプロセス全般のトータルアドバイス
<価値提供(アウトカム)>
1.従業員
仕事を通じて能動型自律人材へと成長し、ウェルビーイングを実現します。
2.学生
「JPC奨学財団」により理工学を学ぶ学生の成長を支援します。また新卒の学生を継続的に採用します。
3.顧客
省貴金属性能や歩留まり率の向上により、生産工程におけるQCDの向上を実現するとともに、環境配慮型商品の開発・製造や、健康で安全な職場環境づくりに貢献します。
4.取引先
公正な取引を続け、安定的な関係を構築します。
5.環境
サプライチェーンにおける貴金属使用量を節減するとともに、有害物質の排出をなくします。
6.株主投資家
企業価値を向上させ、安定した株主還元を続けます。
■財務目標
-2030年度目標
・売上高 :300億円
・営業利益 :30億円
-経営効率目標 :ROE 10%
-配当指標 :DOE 5%下限(2023年度期末配当より)
■非財務目標
-GHG 排出量の削減
-エネルギー使用量の削減
-健康経営優良法人認定の継続的取得
該当事項はありません。
(1)提出会社の状況
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(2025年3月31日現在) |
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従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(千円) |
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( |
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(注)1 従業員数は就業人員であります。
2 平均年間給与は、賞与及び基準外給与を含んでおります。
3 従業員数欄の( )は、臨時従業員の年間平均雇用人員であり、外数で記載しております。
4 当社は単一セグメントのためセグメント毎の記載はしておりません。
5 当社は常時雇用される従業員が100名以下の事業規模であり、女性活躍推進法等の規定による公表をしておりません。そのため、女性管理職比率、男性育児休業取得率及び男女賃金差異等の記載を省略いたします。なお、当社においては、同様な労働条件(学歴、年齢、勤続年数等)における男女間の賃金差異はないものの、開発型企業の特徴として、従業員の約8割が理系分野出身者で占めており、採用段階から女性の母集団が小さいことは否めません。女性の活躍を促進していくために、女性従業員の積極採用、長く働ける職場環境づくりに取り組んでおります。
(2)労働組合の状況
労働組合は結成されておりませんが、労使関係は円満に推移しております。