第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社グループは、企業理念「表面処理技術から未来を創造する」のもと、創業以来、装飾・防錆めっき技術から発展した様々な表面処理技術の提供で、自動車、エレクトロニクスなどの産業の成長を支えてきました。これからも、長年培った知見と研究・開発力で、新たな表面処理技術を追究し、ものづくりを支え、世界中の人々の豊かな生活に貢献します。

 

(2) 経営戦略及び経営環境の対処すべき課題

当社グループを取り巻く環境は、装飾分野の自動車部品向け薬品において、米中貿易摩擦による自動車販売不振の影響があるものの、長期的には微増基調で推移するものと予想されます。電子分野の主力製品であるプリント基板向け薬品においては、5Gの普及に伴い、スマートフォン向けに加え、基地局、サーバー、タブレット、ウェアラブル端末など、5Gに対応する高機能電子デバイス向けにも、需要が拡大することが予想されます。

このような状況を踏まえ、当社は長期的に目指すべき姿を「持続可能な成長を続けるグローバル企業」とし、事業をESG、SDGsに結び付けて経営する企業、どの国でも生き残ることができる企業を目指します。これを実現するために、中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)「Next 50 Innovation 2nd」を策定し、「コア事業の強化」、「ESG視点での経営基盤構築」を基本方針としました。

「コア事業の強化」においては、マーケティング戦略、開発戦略、販売戦略を最優先課題とし、組織的にマーケティング活動を行い、入手した情報に基づいた開発戦略、販売戦略を策定し、グループ間の連携の下、コア事業を強化します。また、グローバルでの重点地域戦略を構築し、以下の取り組みを推進してまいります。

 

① 開発

当社は研究開発型企業であり、世の中のニーズに合致した新製品を、常に市場に投入にしていかなければなりません。そのために、マーケティング結果に基づき環境・コスト・健康を意識した、競合他社を凌駕する製品開発を推進してまいります。特にプリント基板業界は、技術革新のテンポが非常に早く、常に次世代技術の動向を注視し、市場の要求に応えた製品を提供できるよう取り組んでまいります。

② 薬品事業

プリント基板向け薬品、及び自動車部品向け薬品等の海外拡販を進めてきた結果、海外売上高比率は7割を超えるまで成長を遂げました。今後も持続可能な成長を続けるため、グローバル販売戦略の構築による組織的、効率的な販売活動を行ってまいります。世界中どの地域でも同じ品質、サービスを提供しながら、開発、生産、及びグループ間で連携した価格戦略、広報戦略を組み込んだ施策で売り上げの向上を目指します。

③ 装置営業

当社グループ設立以来の考え方である「装置と薬品の一体販売」に基づき、薬品の研究開発に装置部門が参画することで、薬品性能を最大限に引き出す装置の開発、販売を推進してまいります。薬品だけでは達成できない技術的課題を装置機構の側面から検証し、最高のパフォーマンスを提供する差別化された装置の市場投入を目指します。

④ 生産

当社のマザー工場である新潟工場、及び2021年1月に本格稼働を開始した、技術サポート機能を兼ね備えた中国湖北工場を中心に、顧客要求を満たす高品質な製品を安定供給し、災害、地政学リスクにも対応できるグローバルな生産体制を確立してまいります。

⑤ マーケティング

今後も成長を続けるためには、最新の市場ニーズを把握することが必要不可欠であると考えております。効率的な情報収集を実施し、入手した情報に基づいた開発戦略、販売戦略を策定、グループ間の連携の下、コア事業を強化してまいります。

 

「ESG視点での経営基盤構築」においては、グローバル業務の拡大と企業を取り巻く環境の変化に対応できる経営基盤を構築します。そのための人材育成を最優先課題として取組み、ESG視点の経営を積極的に推進してまいります。特に人材育成においては、当社に必要な人材像として、高い開発力のある人材、高いサポート力のある人材、グローバルに対応できる人材、経営視点を持つ人材と設定し、グローバル体制に適したキャリアパスへシフトしてまいります。

また、気候変動リスクに対応するため、当社はCO2削減の具体目標に、新潟工場における「CO2ゼロ」を設定いたしました。2031年3月期までに、新潟工場で排出される分のCO2年間排出量を全てオフセットすることを目指します。

 

2 【事業等のリスク】

  有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。

 また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 需要先業界の動向(自動車業界、エレクトロニクス業界)

 当社グループの売上の大部分は、表面処理用薬品関連資材及び装置に係るものであり、主に自動車業界とエレクトロニクス業界、特にプリント基板業界で使用されており、その市場動向により当社グループの業績は大きく影響を受けます。

 自動車業界における当社グループの表面処理薬品は、自動車前面部のラジエータグリル(樹脂製化粧部品)やドアハンドル(樹脂製)等高級車に採用される部品のめっき工程等で使用されます。そのため、自動車生産量の推移及び自動車のEV化等に伴う意匠や機能の変化により影響を受けます。また、自動車業界の設備投資の動向により、装置の受注活動は大きな影響を受けます。

 プリント基板業界における当社グループの表面処理薬品は、回路形成用の銅めっき工程等で使用され、プリント基板の需要先は主に電子機器メーカーであります。なかでもスマートフォンやタブレット端末、ゲーム機、パソコン、デジタル家電市場の生産量推移が、当社グループの業績に大きな影響を及ぼします。また、プリント基板業界の設備投資の動向により、自動車業界と同様、装置の受注活動は大きな影響を受けます。

 

(2) 材料価格の変動

 当社グループの薬品事業の主要製品に使用されている原材料は、薬品類や貴金属等種類としては多岐にわたります。これらの原材料の市況において大幅に左右されないように対応はしておりますが、市況の大きな変動により原材料価格が上昇し、製造コストの削減や製品価格に転嫁できない場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(3) 為替レートの変動

 当社グループは国内のみならず、海外においても幅広く事業を展開しております。当社グループは外貨建て決済を行う場合、必要に応じて為替予約等により短期的な影響を最小限にする努力をしておりますが、予想を超える大幅な為替変動があった場合には、当社グループの業績は影響を受けます。また、海外の連結子会社において現地通貨にて作成される財務諸表は、連結財務諸表作成のため円換算されており、換算時の為替レートの変動により当社グループの業績は影響を受けます。

 

(4) 海外での事業

 当社グループは、成長を成功させる要因として中国での事業拡大を第一に掲げており、販売網の拡充、現地生産拠点の充実に注力しています。しかし、米中貿易戦争によるデカップリング、環境問題、人件費高騰等により、プリント基板メーカー等お客様が中国国外に移転を進める可能性があり、その場合には、当社製品への需要が大きく低下する可能性があります。また、環境問題により、当社工場が操業できない、又は移転を余儀なくされるリスクがあります。そのようなリスクが顕在化した場合、特に、湖北工場へ行った設備投資の回収に想定以上の時間がかかる可能性があります。販売面においても売上の3割以上を中国に依存しており、中国での需要低下により、当社グループの業績は影響を受けます。なお、中国のみならず、当社グループは複数の国や地域に展開していますが、事業を継続する上で、予期せぬ景気後退、テロ等の地政学的リスク、異常気象等が生じ、長引いた場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(5) 技術ノウハウの流出

当社グループの技術情報には、表面処理薬品の開発経緯、薬品の成分・組成、装置の開発経緯、仕入商品情報、当社グループとお客様間の技術データ等があります。これらの技術情報は、外部への持ち出し、複写等を禁じ、外部漏洩に備えております。しかしながら、万一、これらの情報が外部へ漏洩した場合には、他社において類似品の製造等が可能になると考えられ、当社グループの業績は影響を受けます。また、退職者が、退職後の守秘義務契約にも関わらず、一部の技術・情報等が流出したときには、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(6) 情報システム障害

 未知のコンピュータウイルス感染により、個人パソコンはもとよりネットワークに繋がる全てのパソコンが停止した場合、社内業務が停止します。データを保管しているサーバーまで影響が及んだ時には、サーバー内の重要データが全て消失するおそれがあります。また、ウイルス感染による集団感染となれば社内業務が滞り、当社グループが起因となりお客様等へ被害が及んだ場合、損害賠償等の請求が発生し、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(7) 人材の確保・育成

 当社グループは、今後も継続的に成長するため、採用活動の強化、教育・研修の拡充等の施策を行っております。しかしながら、優秀な人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合、又は事業活動に不可欠な人材、技術や語学力をもった優秀な人材の流出等が生じた場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(8) ハラスメント

 当社グループでは、ハラスメント対策として社内に相談室を設置して周知するとともに、プライバシーの保護等相談しやすい環境づくりをしております。また、ハラスメントの研修・教育等を行い未然防止に努めておりますが、個人の意識の差や上下関係の差等から、万一、ハラスメントが発生した場合には、ステークホルダーの信用を失い、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(9) 労働安全衛生

 当社グループでは、多くの薬品や装置を扱っており、薬品取扱い時の不測の事態により液が飛散・漏洩し、薬傷等がおこるリスクや、装置関連での人為的なミスが起こるおそれがあります。取扱い時には細心の注意を払っておりますが、重大な事故につながった場合には、当社グループの業績は影響を受けます。また、労働安全衛生の管理を徹底しておりますが、労災や職業病の不適切な対応、法令違反等の労務トラブルが生じた場合には、ステークホルダーの信用を失い、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(10) 法的規制

 当社グループでは、コンプライアンス委員会のもと、業務に係る法令の遵守に努めております。特に表面処理薬品の原材料として様々な薬品を使用していることから、国内外における化学物質に関する法令により規制を受けております。これらの法令の改正にも注視しておりますが、規制等の対応の遅れにより、当社の表面処理薬品の原材料となる薬品の一部について、使用禁止や制限等の措置が講じられた場合には、代替製品を開発するまでの間、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(11) 環境保全

 当社グループはこれまでも環境配慮型製品の開発や、事業活動におけるCO2排出量削減の推進及びカーボン・オフセットへの取り組み等、環境保全に対して尽力しております。しかし、気候変動問題や環境汚染等を含む様々な潜在的リスクがあります。また、多くの化学物質を取り扱っていることから環境規制への対応等、環境保全への取り組みが不足した場合には、お客様をはじめとする様々なステークホルダーの皆様からの信頼が失墜し、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(12) 保有有価証券の価格変動

  当社グループは、取引先等との関係構築・維持のために株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落又は株式保有先の業績悪化等により保有する株式の価額が著しく下落し、しかも回復の可能性が認められない場合は、保有する株式の減損処理を行うこととなり、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(13) 製品やサービス

グループでは、お客様にご満足いただける製品の提供とご購入いただいた後の液管理等のアフターフォロー

サービスを充実させ、お客様満足度の向上に取組んでおります。安定した物づくりを実現するために工場の維持管理や原材料の調達、インフラの保守整備には注意を払っておりますが、設備の故障、原材料の入手遅れ、インフラの停止、輸送上の障害等による納期遅延でお客様からの信用が低下した場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(14) 品質管理体制

 当社グループでは、当事業年度後にJCU表面技術(湖北)有限公司が取得したことで、国内外の自社工場すべてでISO9001認証を取得完了し、品質マネジメントシステム(QMS)に従って品質管理体制を構築しております。 品質方針を実現すべく、品質管理や工程管理、計測器管理等を行い製造し、製造等での不具合発生時の対応も整備しております。しかしながら、管理項目の不備等により不適合品がお客様に納品され、信用が低下した場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(15) 他社との競合、新技術の開発遅れ

 エレクトロニクス業界は、技術変革、ニーズの変化に伴い表面処理方法も変更されることがあり、これらに対応するため当社グループ及び競合各社は常に新製品開発を行っております。当社グループにおいて新技術の開発及び表面処理方法の変化への対応の遅れにより、開発競争に打ち勝つことができない場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(16) 知的財産の擁護、侵害

当社グループでは多数の知的財産を保有しており、それらを保護・維持し適正な管理に努めております。また、第三者の知的財産権についての侵害等は行わないようにしておりますが、万一、他社特許等に抵触した場合には、損害賠償等も考えられ、当社グループの業績は影響を受けます。さらに、当社グループの製品において、模倣品が市場に出回り、価格競争に巻き込まれ、当社の競争力が低下した場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(17) 固定資産の減損会計

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。大幅な業績の悪化が一定期間続き、かつ将来キャッシュ・フロー減少等の一定の条件を満たすと見込まれた場合には、減損損失が発生し当社グループの業績は影響を受けます。

 

(18) 税務及び移転価格税制

当社グループは、各国の税法に準拠して税額を計算し、適正な納税を行うように努めておりますが、税務調査により不適切な処理が発覚した場合や各国の税務当局と見解の相違が生じた場合には、申告所得漏れとして法人税等を追徴される可能性があり、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(19) 売上債権等の貸倒

当社グループは、社内ルールに基づき与信管理を徹底しているものの、お客様の経営状況の悪化等により売上債権等の回収が不能になることもあり得ます。回収不能見込額については、財務諸表に貸倒引当金を適切に計上しておりますが、予測を上回る回収不能額が発生した場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(20) 自然災害、事故、感染症等

当社グループでは、新潟県上越市の工場及び海外の工場においても表面処理薬品を生産しております。有事への対応としては、事業継続計画を策定し、情報の共有化を図り、非常事態に備えております。しかし、これらの地域にて大規模な地震その他の自然災害、事故及び感染症等が発生した場合には、生産活動の停滞や、輸送上の障害等が生じるおそれがあります。また、このような非常事態の長期化により、お客様の稼働状況が低迷した場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

(21) 経営方針・経営戦略に係るリスク

当社グループは、「持続可能な成長を続けるグローバル企業」を目指す姿と捉え、「コア事業の強化」として、「マーケティング戦略」「開発戦略」「販売戦略」を掲げ、さらに「ESG視点での経営基盤構築」として、「人材育成」を最優先課題としております。また、当社グループは中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)「Next 50 Innovation 2nd機能別、地域戦略を明確にして、中期経営計画における諸施策を推進しております。加えて市場環境や熾烈なグローバル競争及び潜在するリスクなど様々な視点から分析・議論をリスク管理委員会、執行役員会、そして取締役会において行っております。かかる戦略を実行するため、当社グループは、ここに多くの「ヒト・モノ・カネ」を投入し、これを今後も継続していく予定ですが、この戦略のための取り組みが成功しない、又は期待した効果を得られない場合には、当社グループの業績は影響を受けます。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済萎縮が継続する中で、テレワーク関連をはじめ情報サービスなどの需要が好調であった一方、緊急事態宣言の発令等を受け、宿泊・飲食サービスなどの個人消費関連の業種では景気が低迷しました。輸出は各国生産活動の下振れ、及び世界的な自動車需要の急減を受け大幅に減少しましたが、下半期は中国向けを中心に回復基調に転じました。また、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化が懸念されることから、企業の設備投資の動きは慎重姿勢が強まりました。

海外においては、米中貿易摩擦の長期化による景気低迷に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大により世界的に経済活動が制限された影響を強く受け、消費需要は急減速しました。中国において製造業は生産稼働が復旧し、政府の経済政策を下支えに景気は回復傾向にあるものの、その他の国においては感染収束時期が見通せない中、再拡大の不安も出てきており予断を許さない状況が続いています。

当社グループを取り巻く事業環境は、米中貿易摩擦及び諸外国の経済活動停滞により、自動車産業やスマートフォン市場の低迷は継続しました。しかしテレワークの拡大や5G対応に向けたスマートフォン以外の情報通信機器の需要増加等により、電子部品の需要は好調に推移しました。

 

その結果、当社グループの経営成績は次のとおりとなりました。

 

前連結会計年度

(自  2019年4月1日 

 至  2020年3月31日)

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比

売上高

22,319百万円

21,192百万円

5.1%減

営業利益

6,297百万円

6,799百万円

8.0%増

経常利益

6,240百万円

6,922百万円

10.9%増

親会社株主に帰属する当期純利益

4,416百万円

4,708百万円

6.6%増

 

 

セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

(薬品事業)

電子分野

中国 5G基地局や、サーバー、タブレット向けプリント基板、車載用プリント基板、SSD基板などの需要は増加しましたが、スマートフォンの販売台数は減少し、薬品需要は横ばいに推移しました。

台湾 5G対応に向けた電子部品に使用される半導体パッケージ基板が増加したことに加え、テレワークの拡大 

   による通信機器向けプリント基板の増加も寄与し、薬品需要は大幅に増加しました。

韓国 半導体パッケージ基板の需要は好調に推移しているものの、前連結会計年度に一部のプリント基板メーカーがHDI(高密度配線)基板事業を撤退したことによる減少分が影響し、薬品需要は横ばいに推移しました。

装飾分野

日本 自動車業界は新型コロナウイルス感染症の影響からは回復基調にあるものの、上半期の減少分をカバーすることができず、薬品需要は減少しました。

中国 自動車部品メーカーの生産稼働は、新型コロナウイルス感染症の影響からは回復基調にありましたが、環境規制の厳格化、米中貿易摩擦の影響による自動車生産台数の低迷は継続し、薬品需要は横ばいに推移しました。

 

その結果、売上高は19,147百万円(前年同期比1.1%減)、セグメント利益は7,788百万円(前年同期比6.0%増)となりました。

 

 

(装置事業) 

新型コロナウイルス感染症の影響により自動車部品メーカーの設備投資需要が減少し、売上高、受注高ともに大幅に減少しました。

その結果、売上高は2,035百万円(前年同期比30.7%減)、セグメント損失は108百万円(前年同期はセグメント損失8百万円)となりました。

 

(その他事業)

その他事業におきましては、売上高は9百万円(前年同期比65.3%減)となり、セグメント損失は57百万円(前年同期はセグメント損失90百万円)となりました。

 

生産、商品仕入、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

① 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

薬品事業

(千円)

19,533,311

103.6

装置事業

(千円)

2,029,853

69.2

報告セグメント計

(千円)

21,563,164

99.0

その他

(千円)

6,675

53.5

        合計

(千円)

21,569,840

99.0

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

② 商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

薬品事業

(千円)

742,954

77.8

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

4.装置事業においては、商品仕入は行っておりませんので、該当事項はありません。

 

③ 受注状況

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

装置事業

911,834

32.1

131,974

10.9

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

4.上記の金額は、機械装置の製作・据付に関する請負契約等の受注状況を記載しており、表面処理薬品及び商品に関する受注は、売上計上までの期間が短期間であるため、記載を省略しております。

 

 

④ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

薬品事業

(千円)

19,147,087

98.9

装置事業

(千円)

2,035,551

69.3

報告セグメント計

(千円)

21,182,639

95.0

その他

(千円)

9,424

34.7

        合計

(千円)

21,192,063

94.9

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,184百万円(6.6%)増加し、35,224百万円となりました。流動資産は、主に受取手形及び売掛金の減少、その他の減少の一方、現金及び預金の増加により2,474百万円(10.2%)増加し、26,724百万円となりました。固定資産は、主に、有形固定資産の減少により290百万円(3.3%)減少し、8,499百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ191百万円(2.5%)減少し、7,520百万円となりました。流動負債は、主にその他の減少の一方、支払手形及び買掛金の増加、未払法人税等の増加により276百万円(4.8%)増加し、6,050百万円となりました。固定負債は、主に、その他の減少により468百万円(24.2%)減少し、1,470百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,376百万円(9.4%)増加し、27,703百万円となりました。これは主として、自己株式の取得、為替換算調整勘定の減少の一方、その他有価証券評価差額金の増加、利益剰余金の増加によるものであります。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、12,685百万円と前年同期と比べ3,775百万円(42.4%)の増加となりました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは売上債権が1,118百万円減少し(前年同期は1,457百万円増加)、退職給付に係る負債が増加し(前年同期は1,506百万円の減少)、税金等調整前当期純利益が前年同期と比べ607百万円(9.7%)増加したことにより、営業活動によるキャッシュ・フローは6,779百万円と、前年同期と比べ収入が3,792百万円(127.0%)の増加となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは主に定期預金の減少及び有形固定資産の取得による支出の減少により、投資活動によるキャッシュ・フローは△557百万円と、前年同期と比べ支出が2,021百万円の減少となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは主に自己株式の取得による支出が減少したことにより、財務活動によるキャッシュ・フローは△2,350百万円と、前年同期と比べ支出が924百万円の減少となりました。

 

 

資金の流動性については、運転資金としては将来予測可能な資金需要に対して十分な流動性資産を確保しております。

これらの資金基盤を背景に、当社グループは、収益性・事業効率の向上に向けて、研究開発体制の強化や、中国・米国・欧州・インドといった海外市場への戦略的投資機会を追求することで、薬品事業の競争力強化、海外市場でのさらなる成長、次世代技術開発と早期市場投入や新市場・新分野への挑戦を図ってまいります。

株主への利益還元策につきましては、持続的な成長を達成するため手元流動性の確保を重視し、安定した財務基盤を維持しつつ、安定増配基調継続を目指してまいります。

「事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループの事業等は様々なリスクを伴っています。事業展開にあたっては、自己資金の充当が望ましいと考えておりますが、将来、それを上回る資金需要が発生した場合にも必要資金を円滑かつ低利で調達できるよう財務基盤の健全性は常に維持していくよう努めてまいります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

 

(1)事業用借地権設定契約

 

相手先

契約年月日

契約の内容

契約期間

賃料(年額)

川崎市

2006年2月8日

当社総合研究所の借地権の設定

20年間
自 2006年3月1日
至 2026年2月28日

18,338千円

 

 

(2)業務・資本提携契約

 

相手先

契約年月日

契約の内容

株式の取得価額

JESAGI HANKOOK CO., LTD.
(韓国)

2006年9月1日

相手方株式の取得及びプリント基板洗浄装置の販売権取得

100,000千円

 

 

 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、事業セグメントの垣根を乗り越えて、「表面処理技術から未来を創造する」を企業理念に、研究開発活動を推進しております。新製品及び新技術の開発はもちろんのこと、従来技術の改良開発等も随時行うことで、顧客満足度の向上を図っております。自動車・建材・水栓金具からエレクトロニクス・デバイス・半導体に至る幅広い業界の最先端技術に対応すべく、顧客との共同研究も視野に進めております。

当連結会計年度における研究開発費は、960百万円であり、全額を薬品事業に配分しております。

 

(1) 薬品事業

薬品事業における研究開発活動は、「環境、コスト、健康を意識した製品開発」、「競合他社を凌駕する製品開発」を基本戦略としております。

自動車分野では、6価クロム等の環境規制化学物質を使用しない薬品の早期市場投入を目指すための研究開発に取り組んでおります。また、自動車部品の色味や質感等のデザイン多様化に対して、意匠めっきのバリエーションを展開するための研究開発を行っております。

電子分野では、スマートフォン、PC、タブレット、5G基地局、サーバーなどの用途を中心とした、高密度プリント基板、及び半導体パッケージ基板向けの薬品プロセスである「ビアフィリング硫酸銅めっき」、「微細配線用の各種エッチング液」など、主力製品のさらなる強化に取り組んでおります。また、自動車の電装化に伴い需要の増加が見込まれる車載基板に対して、これまで培ったノウハウを応用する薬品プロセスの研究開発を行っております。

今後に向けては、自動車の軽量化、5G・6Gに向けてますます加速する電子部品の高集積、及び高周波対応の要求から、めっきが難しいとされる様々な新しい素材が検討されており、これらの新素材に対して、めっきを可能にするプロセスの開発を行っております。

総合表面処理メーカーとして顧客の多様な要求に応えるべく、たゆまぬ研究開発を続けてまいります。

 

(2) 装置事業

装置事業における研究開発は、高品質で高機能な自動車部品用めっき装置や、プリント基板向けめっき装置等、顧客の多様な要求に応えるべく、努力を続けております。中でも、当社の設立以来の考え方である「装置と薬品の一体販売」に基づき、薬品の研究開発に装置部門が参画することで、薬品性能を最大限に引き出す装置の開発、販売を推進しております。薬品だけでは達成できない技術的課題を装置機構の側面から検証し、最高のパフォーマンスを提供する差別化された装置の市場投入を目指します。

めっき装置の他、薬品事業との親和性が高い、プラズマ技術を用いたプリント基板のエッチング及び洗浄装置など、高密度化製造技術に対応した研究開発を行っております。