第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社グループは昨今の目まぐるしく変化する事業環境を踏まえ、中長期的経営課題を総合的に勘案し、2021年6月より新たな経営戦略の下、10年後の「ありたい姿」を実現すべく、新中期経営計画『VISION25/30』を立案しました。2022年6月から経営体制を一新しましたが、新中期経営計画『VISION25/30』を承継し、計画達成に向けて邁進して参ります。

新中期経営計画『VISION25/30』の基本方針及び経営目標は以下の通りです。

(基本方針)

1)現有戦力(ヒト・モノ・カネ)による収益を拡大させることによる財務健全化

2)4大新製品投入による成長戦略の推進

※PIM製品のみならず、全事業、新分野へ新製品を投入

3)成長事業への選択と集中⇒事業ポートフォリオの再編

4)経営体制刷新(執行役員制の導入)

5)ESG経営⇒事業活動を通じたSDGs達成への貢献

(2025年度経営目標)

1)連結売上高   :40億円 以上(目標50億円)

2)連結営業利益  :5億円

3)連結営業利益率 : 10%

なお、将来に関する事項は、当連結会計年度の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等

当社グループでは、原材料価格及びエネルギーコストの高騰、液晶パネルの在庫動向、PIM製品の生産効率並びに品質の向上の3つが今後における不確定要素への対応として喫緊の課題となっております。

昨今の目まぐるしく変化する経営環境下において中長期的経営課題を総合的に勘案し、現有の経営資源である「ヒト・モノ・時間」を最大限に活用し、更なる企業価値の向上に努めてまいります。

① 半導体資材事業

2021年度第3四半期連結会計期間以降、世界的サプライチェーンの混乱に端を発した需要の波の発生により、当事業年度においてもスペーサーテープの出荷数量が不安定となりました。足元はようやく一服感が見られる状況となりましたが、米国による関税政策の発動や中国国内における景気の低迷など不確定要素も多く、為替の動向も含め引き続き市場の動向を注視してまいります。

また、PETフィルム等の原材料やその他副資材、荷造り運賃の高騰に対しては生産等の効率化に努めるとともに販売価格の適正化に取り組み、利益への影響を最小限に留めてまいります。

② 衛生検査器材事業

インバウンド需要の継続的な回復により外食需要はコロナ禍以前を上回る水準で推移し、また、内食・デリバリー・テイクアウト需要も底堅く推移いたしました。今後も目まぐるしく変化する市場環境において、アフターコロナにおける産業構造の変化を注視したきめ細やかな営業活動と柔軟な生産体制を構築すべく、社内の体制を一層、強化してまいります。

また、シャーレ製品用のPS(ポリスチレン)材以外にも原材料、副資材、荷造り運賃等の原価について悪化が予想されることから、引き続き販売価格の適正化に取り組み、利益への影響を最小限に留めてまいります。

③ PIM事業

自動車用ターボ部品について、製品仕様の変更に伴う準備期間に入ったことによる在庫調整により出荷数量は予定を大幅に下回っておりましたが、仕様変更の評価が完了し量産出荷が再開となりました。高機能部品についても順調に推移しました。今後については生産効率の向上並びに品質の安定化に向けた量産技術の構築や人員の確保等、安定的な供給が可能な体制を強化するとともに、収益率の高い高機能部品においては新規案件の更なる獲得を進めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、将来に関する事項は、当連結会計年度の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループは持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティ推進体制を強化しており、代表取締役社長を室長とするSDGs推進室を中心に議論を行い、2021年4月15日開催の取締役会において、サステナビリティを巡る当社の取組に係る「アテクトSDGsへの取組」を策定、公開しました。

2023年4月1日付で、経営執行委員会の諮問機関として代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会に再編し、代表取締役社長がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。

持続可能性の観点で当社グループの企業価値を向上させるため、サステナビリティに係る当社グループの在り方を検討することを目的として、以下の内容の協議等を行い、経営執行委員会・取締役会へ報告します。サステナビリティ委員会は一月に1回開催しております。

   ①中長期的な視点に立ち、サステナビリティに関する重要課題の抽出

   ②サステナビリティに関する重要課題のリスク及び機会の識別

   ③サステナビリティに関する重要課題のリスク及び機会への対応の基本方針の策定

   ④当該基本方針に基づく重要課題に対する対処方法の施策・検討

   ⑤当該基本方針に基づく重要課題に対する対処方法の実行及び計画の立案・検討

取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。経営執行委員会、サステナビリティ委員会で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画についての審議・監督を行っております。

 

(2)重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

   ①人的資本経営の推進

   ②温暖化ガス排出量削減の推進

   ③社会から信頼される持続可能な企業経営の推進

それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方、取組及び目標は次のとおりであります。

   ①人的資本経営の推進について

(a)採用における多様性人材の確保

(b)人口バランスに応じた人材バランスを2030年までに目指す

(c)女性管理職比率を2025年までに10%を目指し、2030年までに50%を目標とする

(d)人事評価制度に360°評価システム導入を2025年までに目指す

(e)残業ゼロを2025年までに目指す

(f)バリアフリー化(原則、車いすで全エリアにアクセスできる)を2030年までに目指す

   ②温暖化ガス排出量削減の推進について

(a)全電力の再生可能エネルギー化率を2025年までに25%を目指し、2030年までに50%を目標とする

(b)ガソリン(レギュラー)ベースでのCO2排出量換算を基準とした2030年までに全社運行車両の20km/L以上の

   燃費効率実現を目指し総排出量の半減化

(c)出荷製品の静脈流通整備を含めた資源リサイクルシステムを2030年までに目指す

      ③社会から信頼される持続可能な企業経営の推進について

(a)地域貢献の継続

(b)全社員に無災害、防災対策環境の実現

(c)全社員が自分事として目標に向けた活動

 

(3)人材育成方針及び社内環境整備方針

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

①人材育成方針

当社の経営理念である

(a)「社会にとっての価値を生みだし、働く者の幸福を追求することが我々の使命である」

(b)「ヒト・モノ・時間という限りある資源を無駄なく使わなければならない」

(c)「社会の要求は常に変化するので我々も変化し、発展向上しなければならない」

を表明し、人材の幸福・成長・変化を重要課題と認識し、人材育成を行っております。具体的には、各職位へ期待する役割を設定し、各職位に共通する必要な能力/スキル、職種別に必要とする能力/スキルを定義し、半期ごとに部門及び個人目標を設定し、各人がOJT及び外部研修を通して、目標に向けたスキルを身に付け、能力を十分に発揮できるように運用しております。既にスキルを持っている人材でも、様々な状況変化に対応し、更なる高みを目指すことができるようにリスキル、学び直し等を促し、継続的な育成に取り組んでおります。

 

②社内環境整備方針

人材の幸福・成長・変化を促進し、能力を十分に発揮できる環境を整え、人的生産性向上の好循環をもたらす社内環境整備を行っております。さらに、中長期的な企業価値向上のためには、イノベーションを生み出すことが重要であり、その原動力となるのは、多様な個人の掛け合わせと考えており、国籍・性別・年齢・障害の有無に関係なく様々な人材が活躍できる環境や仕組みを整備し、多様な人材が意欲をもって活躍する活力ある組織の構築を推進していくとともに、優秀な人材を確保するため、新卒を対象とした定期採用に加え、即戦力として期待できる中途採用も積極的に行っております。具体的には、以下の環境を整備しております。

(a)6S活動の徹底

5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ(躾))活動に設備の「整備」を加え、社内独自の6S活動を通して、物の整理、設備点検等をすることにより、生産性の向上、労災事故・機械トラブルの最小化ができるように整備しております。

(b)生産変革活動の推進

社内独自のシステムであるAFI(AtectFactoryIntelligent&Integrate)システムにより、業務の見える化、システム化を推進していき、生産効率向上を促進できるように整備しております。

(c)ワークライフ・バランスをとるための制度設計

育児休業・介護休業の制度設計、時間単位の有給休暇制度の導入及び有給休暇の会社推奨日設定による有給休暇の積極取得の奨励等の制度を整備することにより、多様な人材がワークライフ・バランスを取りやすい環境を整備しております。当該制度を適切に運用するため、2025年2月にイクボス宣言をし、社員が積極的に制度を利用し、働きやすい環境を実現する取組をしています。さらに、残業ゼロを目標に掲げ、残業削減に向けた生産効率アップの施策に取り組んで参ります。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは、上記「(3)人材育成方針及び社内環境整備方針」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

指標

目標

実績(2025年3月期)

2023年3月期

(目標設定時点)

管理職に占める女性労働者の割合

2025年3月までに10
2030年3月までに50%

8.3

8.3%

全社員(管理職者を含む)
の残業時間

2025年3月までに0時間

14.0時間

31.2時間

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態は、今後事業を行っていく上で起こりうる種々のリスクによって影響を受ける可能性があり、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、特に、投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項について、以下に記載しております。
  なお、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1) 半導体資材事業に関するリスク

① 経済環境、景気動向について

当該事業におきましては、当社製品を日本国内の企業及び主にアジアに所在する海外の企業に対して販売しております。そのため、当社製品の需要は、日本経済及び世界経済の景気動向、特に液晶テレビ、スマートフォン等の生産水準・消費の動向の影響を強く受けるため、これらが当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定の販売先に対する売上高への依存について

当該事業におきましては、顧客数が少ないため、国内外ともに特定の販売先に片寄る傾向があります。また、顧客基盤の拡大余地が大きくないために、受注状況が悪化した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 販売先の動向について

当該事業におきましては、販売先の事業戦略転換や販売動向による影響を受ける場合があります。販売先における事業戦略の見直しにより、競合他社に対する生産委託、販売先自らの社内生産、販売先における生産拠点の海外移転等が行われた場合には当社の受注数量が減少する可能性があります。また、販売先において業績不振等による生産縮小が行われた場合にも当社の受注数量が減少する可能性があります。これらの場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 代替の可能性について

当該事業におきましては、当社が製造しているスペーサーテープは、主に、TABテープ及びCOFテープの製造及び搬送工程に使用されておりますが、技術革新等によりこれらのテープによらない半導体部品の製造方法等が確立された場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 衛生検査器材事業に関するリスク

① 販売先について

当該事業におきましては、販売先の社内検査方法等の見直しがあった場合には、当該事業の製品及び商品の需要が減少する可能性があり、その時に、新規取引先を開拓できず、また、既存客への販売を拡大できない場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法的規制

当該事業におきましては、食品衛生法関連法規に則り、厳格な品質管理のもとに製品の製造を行っております。しかし全ての製品に品質問題が発生しないという保証はありません。もし重大な品質問題が発生した場合には売上高の減少、コストの増加等により当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) PIM事業に関するリスク

 販売先の動向について

当該事業におきましては、販売先の事業戦略転換や研究開発・販売動向による影響を受ける場合があります。また、販売先において業績不振等による生産縮小が行われた場合にも当社の受注数量が減少する可能性があります。これらの場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

(4) 貸倒れについて

当社の取引先信用不安により予期せぬ貸倒れが発生し、追加的な損失や引当金の計上が必要となる場合は、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 原料価格の変動について

半導体資材事業及び衛生検査器材事業ともに製品の原材料は、各種プラスチック等の石油化学製品が多いため、原油・ナフサの価格変動や石油化学製品の市況変動が当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 特定の生産拠点及び物流拠点への依存について

現在、衛生検査器材事業及びPIM事業の生産拠点及び物流拠点は、本社がある東近江市に集中しております。当社の想定を超える天災その他の事変により、工場の生産能力が減少若しくは生産が不能となった場合、または物流拠点に損害を被った場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 経営組織の拡大への対応について

当社の役職員数は、必要最小限の人員であり、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。当社の経営組織については事業規模に応じて内部管理体制を拡充していく方針でありますが、適切かつ十分な組織対応ができない場合には、組織の一時的な機能低下が発生する可能性があります。

 

(8) ストック・オプションについて

当社は役職員の士気を高め、また優秀な人材を獲得するためのインセンティブプランとして、新株予約権を付与する可能性がありますが、将来的にこれらの新株予約権が行使されれば、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し今後の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善や各種政策の効果により、景気は緩やかな持ち直しの動きが見られるものの、継続する物価上昇や米国の関税政策による影響の懸念等もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。

このような中、当連結会計年度のグループ連結業績は、前期比で増収増益となりました。半導体資材事業においては中間連結会計期間から第3四半期連結会計期間にかけては液晶パネル需要が在庫調整により減少しておりましたが、第4四半期連結会計期間に需要は回復傾向となりました。また為替については円高傾向となり、円安効果は減少しました。衛生検査器材事業においては旺盛なインバウンド需要による外食産業の伸長が見られるとともに、内食・デリバリー及びテイクアウト需要についても安定的に推移し、売上高は創業以来過去最高を更新しました。PIM事業においては自動車用ターボ部品の量産出荷が再開したことに加え、高機能部品の販売が堅調に推移したことにより大幅な増収となり創業以来過去最高を大幅に更新しました。

利益面では高騰が続く原材料費の影響は、衛生検査器材事業のシャーレ主原料であるPS(ポリスチレン)材及び、半導体資材事業のスペーサーテープの主原料であるPETフィルム、その他資材全般やエネルギーコストが値上がりとなり原価を押し上げ、引き続き利益圧迫要因となっておりますが、粘り強く販売価格の適正化を継続してまいりました。

引き続き各事業における地道な販売価格の適正化や生産性改善活動等により利益の確保に努めてまいります。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,201百万円(前期比0.8%増)、営業利益80百万円(前期比25.0%増)、経常利益64百万円(前期比18.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は40百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失244百万円)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

半導体資材事業

当事業においては、当連結会計年度累計での販売数量は6,280万mとなりました。中間連結会計期間から第3四半期連結会計期間においては在庫調整局面を迎えましたが、第4四半期連結会計期間においては中国で導入された家電の買い替えを促進する補助金制度の影響により、出荷数量は増加の傾向が見られました。第4四半期連結会計期間単独での販売数量は1,518万mとなり、足元も比較的好調に推移しております。

しかしながら米国による関税政策の発動や、中国国内における景気の低迷など不確定要素も多く、引き続き市場の動向を注視してまいります。

また、競争力の高い製品開発及びFPD(フラットパネルディスプレイ)業界以外への販売にも注力し、更なる増収を目指してまいります。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,136百万円(前期比2.8%減)、営業利益84百万円(前期比1.0%増)となりました。

 

 

衛生検査器材事業

当事業においては、インバウンド需要の継続的な回復により外食需要はコロナ禍以前を上回る水準で推移し、また、内食・デリバリー・テイクアウト需要も底堅く推移いたしました。これらの需要拡大に支えられ、主たる顧客層の販売活動は概ね堅調に推移しました。

また、新製品としまして簡易型微生物検出用培地『aS-Medium』の販売を開始し、各方面へのサンプル出荷を含む積極的な拡販活動を展開いたしました。同製品は、誰でも簡便に微生物検査が行えることをコンセプトとしており、食の安全性向上に寄与する製品として高い関心を集めております。

利益面ではシャーレの主原料であるPS(ポリスチレン)材やその他資材全般の価格高騰が継続しましたが、この対応として、製造合理化による原価低減及び販売価格の適正化への対応を積極的に推進いたしました。

今後の事業展開においては、営業体制の強化を実施し、既存顧客の深耕と新規開拓の両面でより機動力のある営業活動体制を構築してまいります。また、高付加価値製品の開発と販売、適切な販売管理費の投入、生産合理化による原価低減を継続し、収益の更なる向上と市場における競争力の強化を図ってまいります。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,840百万円(前期比0.4%増)、営業利益134百万円(前期比69.4%増)となりました。

 

PIM事業

当事業においては、自動車用ターボ部品が前期より続いていた製品仕様変更に伴う受注減少からの回復が進み、中間連結会計期間に量産出荷が再開され、第3四半期連結会計期間以降にはフル生産に向けた体制を整備してまいりました。その結果、当製品の売上高は大きく増加(前期比45.4%増)し、PIM事業の売上高を牽引しました。

一方、産業機器向けの高機能部品については主力製品であるPIM用バインダー、CMOSセンサー用セラミックス部品、直動型ベアリング及びボールねじ用部品などの産業機器向け高機能部品の販売についても堅調に推移しました。

利益面では、製品立ち上げや設備保全に伴う費用等の増加により、通期で営業損失が拡大する結果となりました。

次期連結会計年度に向けては、自動車用ターボ部品の本格的なフル生産及び納入開始が見込まれており、引き続き安定的な受注・生産が期待されています。また、高機能製品群においても新規アイテムの拡大による製品ラインアップの充実を図ってまいります。

さらに、自動車の電動化や産業機器の高性能化といった市場変化に対応するため、セラミック系などの新製品開発にも注力し、PIM製品採用分野の開拓や成長市場への展開を進めてまいります。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は213百万円(前期比54.3%増)、営業損失145百万円(前期は営業損失104百万円)となりました。

 

その他の事業

不動産賃貸業

当事業においては、2024年7月末をもって賃貸先との契約が終了となり、その後当該スペースは社内にて有効活用しております。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は11百万円(前期比66.7%減)、営業利益6百万円(前期比19.1%増)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ227百万円減少し、295百万円となりました。

また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローは、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動による資金の収入は132百万円(前期は462百万円の収入)となりました。

税金等調整前当期純利益65百万円、減価償却費の計上258百万円による増加、運転資金(売上債権、棚卸資産、仕入債務)の増減により160百万円、法人税等の支払額42百万円の減少等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動による資金の支出は122百万円(前期は163百万円の支出)となりました。

定期預金54百万円、設備投資による有形固定資産65百万円、預かり保証金の返還8百万円の支出等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動による資金の支出は229百万円(前期は437百万円の支出)となりました。

短期借入金の増加額100百万円、長期借入れによる収入350百万円のほか、長期借入金の返済による支出619百万円、配当金の支払額44百万円等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

半導体資材事業

704,664

104.4

衛生検査器材事業

842,550

105.4

PIM事業

172,472

219.5

合計

1,719,686

110.7

 

(注) 1. 金額は、製造原価によっております。

2. 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。その内容等については、「第2「事業の状況」4「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」をご参照願います。

 

(b) 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前期比(%)

衛生検査器材事業

205,572

95.6

PIM事業

11,610

84.2

合計

217,182

94.9

 

(注)  金額は、仕入価格によっております。

 

 

(c) 受注実績

当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(千円)

前期比(%)

受注残高
(千円)

前期比(%)

半導体資材事業

1,082,558

85.0

128,781

70.5

PIM事業

214,216

123.5

52,337

101.8

合計

1,296,775

89.6

181,119

77.4

 

(注) 1. 金額は、販売価格によっております。

2. 衛生検査器材事業は受注生産を行っておりませんので、記載を省略しております。

 

(d) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

半導体資材事業

1,136,402

97.2

衛生検査器材事業

1,840,454

100.4

PIM事業

213,306

154.3

その他の事業

11,468

33.3

合計

3,201,630

100.8

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析

(流動資産の部)

当連結会計年度末の流動資産は、1,521百万円(前期は1,737百万円)、215百万円の減少(前期比12.4%減)となりました。これは、「売掛金」が21百万円増加する一方、「現金及び預金」が189百万円、「原材料及び貯蔵品」が48百万円減少したこと等によるものです。

 

(固定資産の部)

当連結会計年度末の固定資産は、3,164百万円(前期は3,392百万円)、227百万円の減少(前期比6.7%減)となりました。これは、「建物及び構築物」が68百万円、「建設仮勘定」が142百万円減少したこと等によるものです。

この結果、総資産は、4,686百万円(前期は5,129百万円)、443百万円の減少(前期比8.6%減)となりました。

 

(流動負債の部)

当連結会計年度末の流動負債は、1,612百万円(前期は1,639百万円)、27百万円の減少(前期比1.7%減)となりました。これは、「短期借入金」が100百万円、「1年内返済予定の長期借入金」が77百万円増加する一方、「支払手形及び買掛金」が22百万円、「電子記録債務」が161百万円、「未払金」が23百万円減少したこと等によるものです。

 

 

(固定負債の部)

当連結会計年度末の固定負債は、1,359百万円(前期は1,727百万円)、367百万円の減少(前期比21.3%減)となりました。これは、「長期借入金」が347百万円減少したこと等によるものです。

この結果、負債合計は、2,971百万円(前期は3,366百万円)、394百万円の減少(前期比11.7%減)となりました。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末の純資産は、1,714百万円(前期は1,763百万円)、48百万円の減少(前期比2.8%減)となりました。これは、「利益剰余金」が4百万円、「為替換算調整勘定」が44百万円減少したこと等によるものです。

 

(b) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度のグループ連結売上高は、3,201百万円(前期は3,175百万円)、25百万円の増収(前期比0.8%増)となりました。

当連結会計年度における売上高の概況は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

 

(売上原価)

売上原価は、1,913百万円(前期は1,797百万円)、115百万円の増加(前期比6.4%増)となりました。

また売上原価の比率は、59.8%(前期は56.6%)となりました。

売上総利益は1,288百万円(前期は1,378百万円)、89百万円の減益(前期比6.5%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費は、1,207百万円(前期は1,313百万円)、106百万円の減少(前期比8.1%減)となりました。これは、修繕費及び研究開発費が減少したためであります。

 

(営業利益)

営業利益は、80百万円(前期は64百万円)、16百万円の増益(前期比25.0%増)となりました。

 

(営業外損益)

営業外損益は、15百万円の損失(前期は14百万円の収益)となりました。これは、営業外費用として支払利息14百万円の計上が主な要因であります。

 

(経常利益)

上記の結果、経常利益は64百万円(前期は78百万円)、14百万円の減益(前期比18.0%減)となりました。 

 

(特別損益)

特別損益は、0百万円の収益(前期は429百万円の損失)、430百万円の増加となりました。

 

(法人税等)

法人税等は、29百万円(前期は38百万円)、8百万円の減少(前期比21.8%減)となりました。

 

(法人税等調整額)

法人税等調整額は、△4百万円(前期は△144百万円)、140百万円の増加となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、40百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失244百万円)、284百万円の増益(前期は403百万円の減益)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

当連結会計年度は、フリーキャッシュ・フロー(営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動に支出されたキャッシュ・フローの合計)は、10百万円増加(前期は298百万円の増加)、前期比288百万円の減少となりました。当社グループは、フリーキャッシュ・フローを戦略的投資または負債返済に充当可能な資金の純額、或いは、資金調達にあたって外部借入への依存度合いを測る目的から、有用な指標と考えております。

 

(資本の財源及び資金の流動性に関する情報)

当社グループの主な資金需要は、事業活動に要する運転資金及び事業部での生産及び効率改善に向けられた設備投資等であり、自己資金、或いは金融機関からの短期・長期借入金等により必要資金を調達しております。当社グループは、金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、長期借入金を中心に必要資金を調達しています。

資金の流動性につきましては、投資計画に応じた現金及び預金残高の確保と必要に応じた外部資金の調達を柔軟に行うことにより維持してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。当社は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、衛生検査器材事業におけるaS-Mediumの研究開発及びPIM事業における新規高機能部品並びに自動車用ターボ部品の量産立上げと、次世代製品開発のための研究開発及び工法開発を行いました。

当連結会計年度における研究開発費の金額は4百万円であります。