第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第52期

第53期

第54期

第55期

第56期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

売上高

(千円)

2,855,563

3,086,173

2,961,717

3,175,924

3,201,630

経常利益

(千円)

189,259

348,748

193,242

78,862

64,706

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

75,191

169,787

158,966

244,352

40,176

包括利益

(千円)

109,828

182,447

165,476

206,913

4,596

純資産額

(千円)

1,720,976

1,902,329

2,014,389

1,763,265

1,714,460

総資産額

(千円)

5,743,788

5,791,136

5,645,956

5,129,644

4,686,067

1株当たり純資産額

(円)

388.04

428.22

455.65

398.85

387.81

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

17.09

38.43

35.96

55.27

9.09

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

17.09

38.43

自己資本比率

(%)

29.7

32.7

35.7

34.4

36.6

自己資本利益率

(%)

4.5

9.4

8.1

12.9

2.3

株価収益率

(倍)

54.7

20.0

15.9

14.1

46.6

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

457,241

800,255

361,113

462,868

132,975

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

407,772

421,588

426,296

163,956

122,891

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

196,499

179,661

263,693

437,507

229,627

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

771,508

973,368

646,696

522,321

295,080

従業員数
(ほか、平均臨時雇用者数)

(名)

105

103

96

109

122

(43)

(55)

(49)

(38)

(37)

 

(注)1.従業員数欄の( )は、臨時雇用者の年間平均雇用人員であります。

2.第54期及び第56期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

3.第55期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第53期の期首から適用しており、第53期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

5.「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日。以下「2022年改正会計基準」という。)等を第56期の期首から適用しており、第55期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。なお、2022年改正会計基準については第20-3項ただし書きに定める経過的な取扱いを適用し、「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第28号 2022年10月28日)については第65-2項(2)ただし書きに定める経過的な取扱いを適用しております。この結果、第56期の主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

(2) 提出会社の最近5事業年度に係る主要な経営指標等の推移

 

回次

第52期

第53期

第54期

第55期

第56期

決算年月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

2024年3月

2025年3月

売上高

(千円)

2,972,153

3,202,583

3,066,089

3,284,445

3,139,923

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

99,470

335,572

156,297

99,354

5,417

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

5,583

168,844

126,607

228,034

9,565

資本金

(千円)

809,639

822,266

822,266

822,266

822,266

発行済株式総数

(株)

4,416,100

4,436,800

4,436,800

4,436,800

4,436,800

純資産額

(千円)

1,874,088

2,040,328

2,113,519

1,841,274

1,787,499

総資産額

(千円)

6,070,901

6,025,762

5,833,250

5,296,705

4,810,845

1株当たり純資産額

(円)

422.84

459.43

478.07

416.49

404.33

1株当たり配当額
(うち1株当たり中間配当額)

(円)

5.00

10.00

10.00

10.00

10.00

( -)

( -)

( -)

( -)

( -)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

1.27

38.22

28.64

51.58

2.16

潜在株式調整後
1株当たり当期純利益

(円)

1.27

38.22

自己資本比率

(%)

30.6

33.7

36.2

34.8

37.2

自己資本利益率

(%)

0.3

8.7

6.1

11.5

0.5

株価収益率

(倍)

735.4

20.1

19.9

15.1

196.3

配当性向

(%)

393.7

26.2

34.9

19.4

463.0

従業員数
(ほか、平均臨時雇用者数)

(名)

52

49

45

51

59

(8)

(7)

(6)

(8)

(7)

株主総利回り     
(比較指標:配当込TOPIX) 

(%)(%)

110.2

(142.1)

92.1

 (145.0)

69.8

 (153.4)

95.8

 (216.9)

55.0

 (213.5)

最高

(円)

1,279

1,170

786

1,379

812

最低

(円)

671

617

496

511

355

 

(注) 1.従業員数欄の( )は、臨時雇用者の年間平均雇用人員であります。

2.第54期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

3.第55期及び第56期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、1株当たり当期純損失であり、また、潜在株式が存在しないため記載しておりません。

4.最高・最低株価は、2022年4月3日以前は東京証券取引所JASDAQ市場(スタンダード)におけるものであり、2022年4月4日以降は東京証券取引所スタンダード市場におけるものであります。

5.第53期より、不動産賃貸に係る表示方法の変更を行っております。第52期の主要な経営指標等についても表示方法の変更を反映させた組替え後の数値を記載しております。

6.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第53期の期首から適用しており、第53期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

7.「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(企業会計基準第27号 2022年10月28日。以下「2022年改正会計基準」という。)等を第56期の期首から適用しており、第55期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。なお、2022年改正会計基準については第20-3項ただし書きに定める経過的な取扱いを適用しております。この結果、第56期の主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

 

2 【沿革】

当社の沿革は、元会長小髙勇が1959年10月10日、大阪府大阪市生野区南生野町において、大日化成工業所を創業しプラスチック成形事業を開始したことから始まりますが、その源泉は、戦前の衣料用ボタン製造や潜水艦・鉄道車両向けの熱硬化性樹脂製碍子部品事業に遡ります。1963年に東大阪市荒本に移転し、ガス会社向けコックや化粧品容器の生産を開始いたしました。更にミシン用の模様カム成形を開始し、精度向上のため金型を内製化いたしました。

その後プラスチックフィルム製スピーカー振動板事業等の拡大により、1969年4月23日、大日化成工業株式会社を設立いたしました。

 

大日化成工業株式会社設立以降の会社及び主たる事業内容の変遷は、次のとおりであります。

 

年月

事項

1969年4月

合成樹脂製品の製造販売を目的として大日化成工業株式会社を設立

1975年4月

家庭用ビデオのギア・カム部品製造を開始

1982年4月

商号を大日実業株式会社に変更

1982年5月
 

販売部門を分離し、大日化成工業株式会社を設立
仕入部門を分離し、大日管理株式会社を設立

1982年6月
 

製造部門を分離し、大日エンジニアリング株式会社と株式会社ブレーバーソニックコーポレーションを設立

2001年10月
 

大日化成工業株式会社及び株式会社フルステリを吸収合併
商号を株式会社フルステリに変更し、半導体保護資材及び衛生検査器材の製造販売を開始

2003年5月

商号を株式会社アテクトに変更

2004年3月

ISO9001を取得

2005年2月

大腸菌及び大腸菌群の検出用機器「コリターグ」の製造、販売権を譲り受ける

2006年6月

ISO14001を取得

2006年6月

株式会社ジャスダック証券取引所に株式を上場

2006年10月

株式会社アテクトコリアを大韓民国に設立

2007年4月

株式会社アテクトコリアを連結子会社化

2008年1月

トライアル株式会社を連結子会社化

2008年1月

ポリマー微粒子の製造販売を開始

2008年4月

株式会社ダイプラを連結子会社化

2008年4月

プラスチック造形の製造販売を開始

2010年1月

アテクト・プログレッシヴ・アンド・イノヴェイティヴ・マニュファクチャリング株式会社設立

2010年8月

上海昂統快泰商貿有限公司を中華人民共和国 上海市に設立

2010年11月

安泰科科技股份有限公司を中華民国 高雄市に設立

2012年6月

国内連結子会社である株式会社ダイプラの当社持分株式を全て売却

2014年5月

国内連結子会社であるトライアル株式会社の特別清算が結了

2016年10月

国内連結子会社であるアテクト・プログレッシヴ・アンド・イノヴェイティヴ・マニュファクチャリング株式会社を株式会社アテクトエンジニアリングに社名変更

2017年4月

本社を滋賀県東近江市に移転

2021年6月

執行役員制度導入

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しによりJASDAQ市場(スタンダード)からスタンダード市場へ移行

2024年6月

上海昂統快泰商貿有限公司が清算結了

 

(注)1.2010年4月 ジャスダック証券取引所と大阪証券取引所の合併に伴い、大阪証券取引所JASDAQ市場となりました。

2.2010年10月 大阪証券取引所JASDAQ市場、大阪証券取引所ヘラクレス市場及び大阪証券取引所NEO市場の合併に伴い、大阪証券取引所JASDAQ市場(スタンダード)の上場となりました。

3.2013年7月 大阪証券取引所と東京証券取引所の市場統合に伴い、東京証券取引所JASDAQ市場(スタンダード)の上場となりました。

4.トライアル株式会社については、ポリマー微粒子事業の撤退に伴い、2012年6月15日付株主総会において解散を決議しております。

5.上海昂統快泰商貿有限公司については、長らく休眠状態が続いており、今後の活動計画がないため、2024年4月17日付取締役会において、解散の決議をしております。

 

 

3 【事業の内容】 

当社の企業集団は、当社及び連結子会社3社(安泰科科技股份有限公司、㈱アテクトコリア、㈱アテクトエンジニアリング)により構成されており、樹脂特性及び生体物質の制御をコア技術として、主に以下の事業を運営しております。なお、安泰科科技股份有限公司は現在休眠会社であり、前連結会計年度において連結子会社でありました上海昂統快泰商貿有限公司は清算結了したため、連結の範囲から除外しております。

 

(1) 半導体資材事業:フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイ)、有機ELディスプレイ駆動用LSI(注1)、ICカード用LSI(注2)といった情報電子機器部品の実装に用いられるTAB(注3)テープやCOF(注4)テープといったテープ部材の保護資材であるスペーサーテープ(注5)の製造及び販売を行っております。製品は、原則として直接電子部品メーカーに販売しております。

(注1)フラットパネルディスプレイ(液晶ディスプレイ及びプラズマディスプレイ)、有機ELディスプレイ駆動用LSI...液晶ディスプレイには、データを表示するために、表示すべきデータを電圧の量に変えてLCDを駆動するLSIが用いられます。プラズマディスプレイには、色と明るさを表現するために、画面全体に配置された微小な蛍光体部(画素)ひとつひとつの発光をコントロールするLSIが用いられます。

(注2)ICカード用LSI...データ保存用メモリーやCPU、非接触通信回路、暗号回路等を組み込んだ専用LSI。

(注3)TAB(Tape Automated Bonding)...LSI等の半導体チップを回路に接続(実装)するための方法の一つ。耐熱性プラスチックフィルム上にエッチングにより形成された微細なリード線と半導体チップを直接圧着(ボンディング)することにより、フィルム状のリード線を介して回路に電気的に接続できるようにする技術。
 リードフレームに金線を用いてワイヤーボンディングする一般の実装方法に比べて、連続的にボンディングが可能となる。
 主にフラットパネルディスプレイの駆動用LSIの実装に用いられる。

(注4)COF(Chip On Film)...前項同様、LSI等の半導体チップを回路に接続(実装)するための方法の一つ。耐熱性プラスチックフィルム上にエッチングにより形成された微細なリード線と半導体チップを直接圧着(ボンディング)することにより、フィルム状のリード線を介して回路に電気的に接続できるようにする技術。
 前項のTAB技術との違いは、半導体チップを接続するリード線(インナーリード)がフィルムに裏打ちされており、インナーリードの変形などが起こりにくく、取り扱いが簡便なことである。
 現在はTAB技術に代わってフラットパネルディスプレイの駆動用LSIの実装では主流を占めている。

(注5)スペーサーテープ...TABやCOFの製造・搬送工程でのリールに巻かれた製品同士が擦れ合うことを防止するエンボススペーサーテープ、モールドスペーサーテープ、フラットテープやTABやCOFの製造でリーダー(引き出し部)として使用されるリーダーテープ等があります。

 

(2) 衛生検査器材事業:食品、医薬品、化粧品等を製造する際、衛生に直結する微生物汚染を確認するための試薬や培地類およびディスポシャーレ等の容器類を製造および販売しております。製品及び商品は、原則として、食品メーカー、臨床検査会社、製薬会社、環境試験会社、病院等の顧客に直接販売しております。

 

(3) PIM事業:PIMとは粉末射出成形(Powder Injection Molding)の略称(以下省略)で、金属あるいはセラミックスの粉末とバインダーと呼ばれる結着剤とを混練したものを射出成形した後、脱脂・焼結工程を経て金属あるいはセラミックスの成形体を得る生産技法であります。
 金属あるいはセラミックスに通常適用される加工方法に比べて、加工の難しい超硬金属や超硬セラミックスを複雑な形状に量産加工することにメリットのある技術です。
  自動車に用いられる超耐熱金属の加工や、セラミックス製の高性能な放熱部品(ヒートシンク)などへの応用が期待されている技術です。

 

(4) その他の事業:当社は29,285坪の敷地に5,827坪の平屋の工場と3棟のテント倉庫(562坪)を保有しております。2021年12月より、約1,000坪の空きスペースを完全に別スペースに仕切り、不動産賃貸業としてスタートしました。

尚、当事業においては、2024年7月末をもって賃貸先との契約が終了となり、その後当該スペースは社内にて有効活用しております。

 

 

事業の系統図は、次のとおりであります。


 

 

 

4 【関係会社の状況】

 当社の関係会社の状況は、以下のとおりであります。

名称

住所

資本金又は
出資金
(千円)

主要な事業
の内容

議決権の
所有(被所有)割合

関係内容

所有
割合
(%)

被所有
割合
(%)

(連結子会社)

中華民国
台北市

10,926
(4,000千NTドル)

半導体資材事業

100.0

役員の兼任1名

安泰科科技股份
有限公司

(注)4

(連結子会社)

株式会社
アテクトコリア

(注)2

大韓民国
京畿道
平澤市

571,317
(5,540百万KRW)

半導体資材事業

100.0

韓国国内の部品メーカー等に対して、当社製品の製造および販売のための営業活動等を行っております。
役員の兼任1名

(連結子会社)

滋賀県
東近江市

10,000

半導体資材事業
衛生検査器材事業
PIM事業

100.0

当社より設備の貸与があります。
外注加工の業務を委託しております。
役員の兼任2名

株式会社アテクト
エンジニアリング

(注)2

(その他の関係会社)

三甲株式会社

 

岐阜県
瑞穂市

100,000

産業用プラスチック製品の製造販売

33.12

 

(注) 1. 主要な事業の内容欄には、セグメント情報に記載された名称を記載しております。 

2. 特定子会社に該当いたします。 

3. 有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。 

4. 安泰科科技股份有限公司は2014年3月末時点で休眠会社となっております。

5. 上海昂統快泰商貿有限公司は2024年6月18日付にて清算結了いたしました。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2025年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

半導体資材事業

15

(10)

衛生検査器材事業

49

(18)

PIM事業

21

(5)

その他の事業

-

(-)

全社(共通)

37

(4)

合計

122

(37)

 

(注) 1. 従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(パートタイマー、嘱託、契約及び派遣労働者)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2. 全社(共通)は、管理部門等の従業員数であります。

3.前連結会計年度末に比べ従業員数が13名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。

 

(2) 提出会社の状況

2025年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

59

40.3

5.2

4,950

(7)

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

半導体資材事業

4

(-)

衛生検査器材事業

24

(4)

PIM事業

2

(-)

その他の事業

-

(-)

全社(共通)

29

(3)

合計

59

(7)

 

(注) 1. 従業員数は就業人員数であり、臨時雇用者数(パートタイマー、嘱託、契約及び派遣労働者)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2. 平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3. 全社(共通)は、管理部門等の従業員数であります。

4.前事業年度末に比べ従業員数が8名増加しております。主な理由は、業容の拡大に伴い期中採用が増加したことによるものであります。

 

(3) 労働組合の状況

労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しております。

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合及び労働者の男女の賃金の差異

提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)

労働者の男女の賃金の差異(%)(注)

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

8.3

57.5

78.2

45.2

出向者については、当社から社外への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む

 

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。