1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】
当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループでは、経営理念を「わたしたちは、豊かなくらしのにないてとして、常に正道に立ち、お客さま起点で社業を運営します。」と掲げ、エネルギーを中心とした生活者周辺サービスの充実を図っています。
常に生活者目線で新しいサービスを拡充していくのはもちろんのこと、自然エネルギーの活用や省エネ住宅機器の設置推進等により、これからも地球環境保全へ貢献してまいります。
また、特にエネルギー製品では「安全・安心」を最優先して提供できるよう保安への取り組みを継続的に強化し、事業活動ではコンプライアンスに重点を置き、企業の社会的責任を果たしてまいります。
(2)経営戦略等
当社グループの中心事業であるエネルギー事業、中でも高い収益力を維持するLPガスは災害時に強い分散型エネルギーとして注目されておりますが、その市場傾向は成熟期であり、人口減少が見込まれるこれからの時代にあって飛躍的に市場規模が拡大することは見込めず、灯油やガソリン等の石油製品は需要が減少傾向にあります。
こうした状況下で競争力を維持し、安定した収益を確保するため、徹底した合理化による事業コストの削減はもとより、次世代の中核となり得る事業の市場開拓と収益力拡大による成長戦略が重要となります。
当社グループは経営理念に掲げる「豊かなくらしのにないて」となるべく、コア事業であるエネルギー周辺事業の競争力を維持しながら、主として以下の事項に注力してまいります。
(エネルギー事業)
エネルギー事業では、事業環境の変化に迅速に対応し、「既存エネルギー事業の深耕と中長期ビジネスモデルの開発」を目標に、ユーザーアカウント拡大と生活インフラ商材の提供を軸とした新たなサービスメニューの拡充を図り、家計消費支出の10%を担えるエネルギーサービス事業者を目指します。カーボンニュートラルについては成長のチャンスと捉え、当社グループのシナジーを発揮し実現に向けた取り組みを一層強化してまいります。また、エネルギー事業では、2030年に向けて「くらしを支える。みらいを育てる。」というビジョンを掲げ、社員全員が一丸となって理想の未来に向けて日々取り組んでいます。当社グループの長い歴史の中で先人たちから受け継がれてきた企業DNAを大切にしながら常に時代と向き合い、環境変化に適応してお客様のニーズを的確に捉え、新たな価値創出への挑戦を続けます。今後も、安全・保安第一、カスタマーフォーカスという姿勢は変えることなく、未来の明るいくらしに向けて礎を築いてまいります。
(電力事業)
当社グループの長い歴史の中で築いてきたお客様への安定供給を前提に、電力の新たな顧客開拓を行い、更なる規模の拡大を図ってまいります。供給面では自社の再生可能エネルギー電源や、新たに導入した系統用蓄電池を最大限活用するとともに、様々な発電事業者と連携することにより新たな電源を開拓し増加する電力需要に対応いたします。
また、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、再生可能エネルギーの電源受電をより増加させられるよう取り組みます。電力事業における2030年の非化石比率44%の目標を達成するために、お客様に積極的に「環境低負荷メニュー」の販売を促進し、CO2排出量の軽減を図る所存です。
電力事業を通じて将来のエネルギー需要の増加とカーボンニュートラルを両立させ、ゆたかで明るい未来の創造に貢献してまいります。
(フーズ事業)
我々の事業を取り巻く環境は日々目まぐるしく変化しています。フーズ事業では、事業環境の変化を捉えた上で、当社グループの原点「豊かなくらしのにないて」であり続けるべく、安心安全な「飲食」を通じて人々の健康増進と日常生活への彩りを創出し、多様化するお客様のニーズや社会課題と常に向き合いソリューションを追求していきます。また、長い歴史の中で築いてきた当社グループのネットワークを活かし、お客様を増やすことで更なる規模の拡大を図ると同時に、今後も地方産業との共生や地域社会への貢献に努め、サステナブルな社会実現を目指してまいります。
(リビング&ウェルネス事業)
不動産事業では、エネルギーや電力等のグループの主要事業とは異なるマーケット動向が見られるため、事業の維持拡大を通じてグループ全体を支える安定的な収益基盤となることを目指してまいります。同時に、「豊かなくらしのにないて」として安心・安全・快適な空間を提供し、新しいくらしのあり方を創造していくことに挑戦します。
ウェルネス事業では、「美と健康の増進」「スポーツの推進」に加え、「新時代のウェルネスコンテンツの開発」と「ヒューマンエナジーの創出」を目標に、横浜エリアを中心としたウェルビーイング推進事業者を目指します。デジタル技術を活用した個別の健康プランの提供など、よりパーソナライズされたサービスを展開し、新たな顧客体験を提案いたします。また、ボウリング・ゴルフなどの生涯スポーツを通じて身体活動を促進し、スポーツ習慣を形成することで、利用者の健康増進に寄与します。さらに家族や地域コミュニティの交流の場として、多世代交流を促進し、社会的なつながりを強化します。また、Personal Beauty Retreatment事業として温浴効果を利用し心身を整え、自分だけの静かな時間を過ごせる癒しのサードプレイスを展開してまいります。厳選したスキンケアとの相乗効果により、人々のこころとからだの美と健康を増進し、ヒューマンエナジーの創出に寄与してまいります。
(海外事業)
海外事業では、アジア太平洋地域を中心に、事業展開している地域社会へのサステナブルバリューの提供を目指し、現地企業と協力関係の構築に努めてまいります。当社グループが堅実な実績を誇るエネルギー分野でのパートナーシップを追求するだけでなく、脱炭素社会への貢献とともに、エネルギーや社会インフラの発展、そして経済の構造的進化に貢献する新たなテクノロジーやビジネスにも積極的に関与してまいります。
(その他事業)
リース事業においては、2027年に適用される新リース会計基準へのシステム対応を進めるとともに、電気自動車をはじめとする環境配慮型のリース事業の業容拡大のほか、リセール市場商材や専門分野に特化したリース事業の展開を進めてまいります。
業務サポート事業では、専門知識やノウハウ、テクノロジーを利用して間接業務のあり方を変え、日本一の生産性向上支援プロバイダーとなり、消費者の「ゆたかなくらし」を守り新たな価値の提供に挑戦する当社グループを支えます。SmartOWL®(スマートオウル)サービスについては、配送効率化ソリューションを利用した配送回数削減による「LPガス配送業務の効率化」に、AI配送ルートマッピングによる「配送順序組立の業務時間の削減」を組み合わせることで、「CO2削減」と「高齢化に伴う配送人員の労働力不足の解消」というESG推進につながる当社グループ独自のサービスとして、他社への新しい価値の提供を図ってまいります。
EC事業では、都市と地方をつなぐデジタルプラットフォームを通じ、食・住・衣・楽の分野で多様な商品やサービスを提供します。お客様と作り手が出会い、新たな価値を共創する場として、アベニューからタウン、そしてシティへと進化を目指します。
コンテンツ事業では、開発済みコンテンツを活用しながら、ドラマ・映画・舞台など新規コンテンツ開発を積極的に行い、「豊かなくらしのにないて」として、“新しい価値”を提供できるようこれからも挑戦します。
スマート農業事業については、既に栽培が始まっているスペシャリテイーコーヒーに加え今後はバニラの栽培にも挑戦してまいります。気候変動に左右されないハウス内のスマート管理により最適化を目指すとともに、休耕地の活用による営農型農業、ドローンを活用した農業関連のサポートも実施してまいります。
<今後の投資及び資本施策の方針>
当社は、強固な財務基盤と健全な財務規律を保つとともに、積極的な投資を行うことにより、株主還元強化を図ることを経営の重要課題の一つと位置付けております。
エネルギー価格や卸電力市場価格の変動、天候不順、国際情勢等の外部環境の変化や、需要変動に左右されない強固な財務基盤と健全な財務規律を保つため、連結自己資本比率を50~55%程度に維持する方針としております。
投資につきましては、2023年度より500億円の中長期的な投資枠を設定しており、初年度の2023年度は86億円、2024年度は60億円の投資を行いました。
株主還元につきましては、2025年3月期より配当方針の変更を行い、総還元性向50%以上を維持した上で、累進配当を継続して実施していくことを基本方針といたしました。
今後も成長が見込まれる事業分野への投資や戦略投資、既存事業の維持強化への投資を行うことにより、持続的な成長と企業価値の向上、株主還元強化に努めてまいります。
<サステナビリティ経営の推進>
当社グループは「持続可能な社会づくりへの貢献」を重要な経営戦略のひとつに据えています。ESGの観点から長期的な視野でミツウロコグループの事業を鑑み、あらゆる社会課題の中から経営が優先的に取り組むべき課題を検討し、6つのマテリアリティを特定しています。各マテリアリティには定量目標と目標年度を設定し、これらの達成を目指すことで、多様なステークホルダーの皆様と新たな価値創造を継続し、持続可能な社会づくりに貢献していきます。
① 環境への貢献
② 地域社会への貢献
③ コンプライアンスの徹底
④ 安全及び災害対策の強化
⑤ 健康経営
⑥ ダイバーシティの推進
(3)経営環境
当社グループを取り巻く経営環境は、電力・ガス自由化以降、脱炭素化、分散化、デジタル化という流れの中、電力・ガス・熱供給分野の一体的な改革が進み、エネルギー市場の垣根を越えた総合エネルギー市場が創出されております。さらに、AI・IoT等の革新的な技術の導入や異なるサービスの融合といったイノベーションの創発を通じ、エネルギー選択自由度の拡大や料金の最大限の抑制等、消費者の利便性が向上しております。
また、世界規模でのCO2削減取り組みや激甚化する自然災害に備えたインフラ強靭化、ウクライナ情勢の変化などによる資源価格の高騰、国際的な需給構造の変化、少子高齢化や人口減少による需要変化、生活様式の変化等の国内外の多様な環境変化への対応が求められております。エネルギー事業者は、環境適合、安定供給、経済効率の観点から、サステナブルな社会に向けた低炭素化・脱炭素化、安全・安心な社会に向けたレジリエンス強化、安定供給継続・事業継続に向けた経営基盤の強化等の更なる高度化を進める必要があります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 環境への貢献
ミツウロコグループは、この地球から事業活動に必要な資源等、様々な恩恵を受けており、地球環境をより良い状態に保全していくことが自らの責務であることを自覚しています。ミツウロコグループの存在意義は、日々の企業活動を通じ、社会そのものを良くしていくことであり、社会課題を解決するための積極的な取り組みを最重要視しています。世界共通の課題である気候変動対策として、ミツウロコグループの事業活動及びお客様の製品・サービス利用時のCO2排出量の削減とエネルギー効率向上へ貢献し、2050年度のカーボンニュートラルを目指します。事業活動におけるCO2排出量を削減するため、SmartOWL®の自動検針による配送業務効率化や、錯綜配送の解消、エコドライブ活動の推進、営業車のEV車への変更、再生可能エネルギーや低環境負荷電源の取扱量の拡大を行います。また、お客様のCO2排出量の削減に貢献するため、LPガス配送効率化サービスの拡大、高効率住宅機器への切替え、ミツウロコグリーンプランの推進、ミネラルウォーターのペットボトル本体のラベルレス化や飲食店舗における脱プラスチック化等を図っていきます。
② 地域社会への貢献
ミツウロコグループは、事業を営む上で、これまで多くのステークホルダーに支えられてきました。その中でも地域社会の皆様の存在は欠かすことができないものです。ミツウロコグループはこれまで、ビジネスを通じた関係だけでなく、地域の清掃活動や行事への参加、チャリティ活動、スポーツなどの様々な関わりを通じ、伝統的に地域との信頼関係を築いてきました。ミツウロコグループは、この地域社会における企業市民として、たとえ小さなことでも自分たちができること、するべきことに全力で取り組み、地域社会と共存・共栄をしていきたいと考えています。
③ コンプライアンスの徹底
ミツウロコグループは、常に正道に立ちお客様起点で社業を運営することを経営理念に掲げ、経営・事業活動における法令遵守の必要性を唱えてきました。これまでも有効かつ適正な内部統制を徹底しつつ、各種コンプライアンス研修の実施、不正事例に関するオリジナルの研修映像作成やコンプライアンスカードの常備携帯などを通じ、継続的に法令遵守体制の維持を図っています。これからも、常に企業の社会的責任の観点に立ち、高い倫理性に基づいた誠実な経営活動・事業活動を行っていきます。
④ 安全及び災害対策の強化
安全は、ミツウロコグループの推進する事業全ての特性から、欠かすことのできないものです。特に主力であるエネルギー関連製品は、ライフラインとして私たちの生活に直結しており、エネルギーの安定供給、安全・安心・迅速な物流サービスを通じて社会に貢献することがミツウロコグループの使命です。今後も、東日本大震災の経験・教訓や、近年多発している台風・水害・猛暑等による大規模自然災害の影響を踏まえ、防災の必要性・重要性を認識し、防災対策や支援体制、BCP等の災害対策の強化に努めていきます。
⑤ 健康経営
ミツウロコグループでは、人財こそ最大の資産であるという考えに従い、将来の成長力の源泉である従業員の健康管理を重要な経営課題として捉えています。「ミツウロコグループヘルスケア宣言」のもと、一人ひとりが多様なライフステージに向かっていることを尊重し、様々な取り組みや情報発信を通じて、従業員の自律的・積極的な健康増進をサポートしてきました。今後も、更なる疾病予防のための心身の健康づくり、新型コロナウイルス感染症パンデミック後の新しい生活様式に沿った働き方等、健康経営のリーディングカンパニーとして一層充実した健康への取り組みやサポートを推進していきます。
⑥ ダイバーシティの推進
ミツウロコグループは、時代が求めるものを生業とする「環境適応業」として成長し、時代とともに変化することを理念としてきました。今後は環境に後追いで適応するのではなく、私たち自身で新しい環境やより良い環境を提案し創ることが持続的な成長の実現に必要だと考えています。そのためには、ミツウロコグループにおいても、新卒・中途採用、雇用形態、国籍、性別、年齢等に捉われない組織と、その多様性を受け入れ強みとして活かす企業文化の醸成が不可欠です。ミツウロコグループ自体が「好循環を創造する企業」となり、「私たちが変化し続ける」ことで、新しい時代を創っていく存在になりたいと考えています。
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループがサステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するためのサステナビリティ推進体制は以下のとおりです。
<環境関連のガバナンスおよびリスク管理体制>
当社は、地球環境の保全を経営上の重要な課題として認識し、環境課題への対応方針の意思決定をし、対応状況の監督をしています。具体的には、定期的(少なくとも年1回)に、取締役GCIDOより取締役会に当社グループの環境課題に関する機会・リスクとその対応状況が報告され、取締役会はそれに基づいて、環境課題に対する対応方針と目標(KPI)を決定します。その上で、取締役会は、毎月開催される定時取締役会において、対応方針への取り組み状況と目標(KPI)の進捗状況につき、コーポレート・ガバナンス報告の項目の一つとして取締役GCIDOより報告を受け、監督を行っています。
なお、当社グループのコーポレート・ガバナンス全般に関する事項は、「
(2)戦略
当社グループは「持続可能な社会づくりへの貢献」を重要な経営戦略の1つに据えています。
ESGの観点から長期的な視野で当社グループの事業に鑑み、あらゆる社会課題の中から経営が優先的に取り組むべき課題を検討し、6つのマテリアリティを特定しています。
各マテリアリティには定量目標と目標年度を設定し、これらの達成を目指すことで、多様なステークホルダーの皆様と新たな価値創造を継続し、持続可能な社会づくりに貢献していきます。
6つのマテリアリティと、主な取組みは以下のとおりです。
① 環境への貢献
・SmartOWL®(AI・IoTを活用したLPガス業務効率化ソリューション)によるCO2直接排出の低減
・2030年を目途に全営業車両のEV化
・自社消費電力及び、お客様への販売電力におけるCO2低減(ミツウロコグリーンプラン)推進
・ミネラルウォーターのラベルレス商品の販売
・高効率給湯器(「エコジョーズ」「エコワン」等)の販売促進
・LPガス配送分野におけるCO2低減(LPガス配送業者様へのSmartOWL®の展開及びサポート) 等
② 地域社会への貢献
・一般財団法人クリステル・ヴィ・アンサンブル(クリステル財団)への募金活動
・採水地周辺の森林保護育成活動
・「全国ミツウロコ会」の会員店への経営支援、勉強会等を通じた地域社会の活性化
・スポーツを通じた地域コミュニティの交流と活性化への貢献活動 等
③ コンプライアンスの徹底
・「コンプライアンスハンドブック」の発行及び配布、コンプライアンス通報制度の運用
・コンプライアンス研修の実施(ITコンプライアンス研修、ハラスメント研修等)
・情報セキュリティカードの発行及び全従業員への常時携帯の徹底 等
④ 安全および災害対策の強化
・法令以上に厳しい社内基準の策定、供給機器の期限管理徹底、CO中毒事故撲滅対策(エネルギー事業)
・食品安全管理規格(JFS-B規格適合証明)の取得、取引先の厳選(フーズ事業)
・安否確認システムの導入、安否確認訓練の実施
・BCP及び災害対応マニュアルの策定、事故対応訓練の実施、BCP対策としての長野オフィスの開設 等
⑤ 健康経営
・健診受診100%の継続、二次検査の受診推奨
・敷地内全面禁煙、禁煙デーの設定、禁煙外来受診費用の補助等の受動喫煙防止対策
・女性社員や男女管理職に向けた各種セミナーの実施、女性特有疾患の定期健診の補助
・メンタルヘルス対策(社内外の相談窓口の設置、各種研修の実施等)
・新しい生活様式への対応(テレワークの推進、及びテレワーク時の心身ケアを目的としたセルフケアマネジメントの推進等) 等
⑥ ダイバーシティの推進
・女性就業比率及び女性管理職比率の引き上げ
・多様な働き方の実現(リモートワークのツール支給、ハイブリッド型勤務、時差勤務等)
・ワークライフインテグレーションへの取組み(育児休業制度、介護休業制度、子の看護休暇制度、時間単位有給制度、リフレッシュ休暇等)
・「育児・介護両立支援ハンドブック」の発行及び配布 等
また、当社グループは、「豊かなくらしのにないて」として、お客様により良いサービスを提供するために、社員一人ひとりの能力開発・育成を進めるとともに、その力を最大限に発揮するための環境を整備しています。
① 評価制度
当社グループでは、社員の能力開発の援助とその発揮の促進、職務の遂行度の正確な把握とOJT、公平かつ公正な評価、上位昇格へのチャレンジと公正化、能力全般を通して昇格・異動・配置・教育などの公正な処遇システムへの帰結を目的に、多角的な考課を行っています。
② 研修制度
当社グループでは、社員のスキルとモチベーションの向上を目指し、社員力向上プログラムの整備に取り組んでいます。また、株式会社ミツウロコプロビジョンズでは各機関・各学校からの実習受け入れ活動を通して、次世代の職業人財育成を支援しています。
(3)リスク管理
当社グループでは、「リスク管理規程」を制定し、すべての事業を対象にリスクマネジメント体制を整備・運用しています。
当社グループは、リスク管理の実践を通じ、事業の継続・安定的発展を確保します。また、製品・サービスの品質と安全性の確保を最優先に、顧客、取引先、株主や投資家、地域社会等の各利害関係者、ならびにグループ全役職員の利益阻害要因の除去、軽減に誠実に努めます。
社会全般において幅広く使用されている製品やサービスを供給する者としての責任を自覚し、それらを安定的に供給することを社会的使命とし、コンプライアンスの精神に則り、各種法令、企業倫理憲章をはじめとする行動規範や規則等を遵守し、それぞれが自律的に、何が倫理的に正しい行為かを考え、その価値判断に基づき行動をします。
<リスクマネジメント推進体制及びプロセス>
当社グループではコンプライアンス及びリスク管理の推進を図ることを目的として、「リスク管理委員会」を設置しグループ全体のリスク管理を統括するとともに、ファイナンス&コントロールがこれらを横断的に推進、管理しています。部門ごとに「内部統制責任者」、「内部統制推進者」、「内部統制推進委員」を選任し、当該部門におけるコンプライアンスに係る情報の発信や、現場従業員の相談窓口としての役割を果たしています。
リスクマネジメントプロセスについては、ファイナンス&コントロールにおいてグループ全体を横断的に推進、管理し、月次でグループから報告されたリスクを取締役会に報告し、問題発生を未然に防いでいます。また、検出されたリスクについて、金額的影響やリスクの重要度を勘案し、全社的な対応が必要と判断した場合、リスク管理委員会が対応を協議の上、取締役会にて最終判断を行い、具体的な対応策を検討、対応を行っています。
<モニタリング>
ファイナンス&コントロールは「コーポレート・ガバナンスに係るモニタリングシート」を通し、グループ全体のリスクを的確に把握し、重点的に対策を講じる必要があるリスクを抽出することで注力すべきリスクとそのプライオリティを可視化しています。「コンプライアンス」、「ルール遵守/情報の共有化」、「人事」、「財務経理」、「事業」等についてのリスクを管理し、月次で当社取締役会に報告することで、問題発生を未然に防いでいます。年間を通じて特に重要なリスクを中心にモニタリングするとともに、必要に応じて関係部署や内部監査室が調査を行い、是正措置・再発防止を講じています。
<リスクマネジメント推進体制>
(4)指標及び目標
当社グループが定めた6つのマテリアリティに対して、グループ全体のKPIと目標値及び進捗状況は以下のとおりです。
① 環境への貢献
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KPI |
定量目標 |
目標年度 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
|
顧客のCO2削減率 |
カーボン ニュートラル※1 |
2050年度 |
△3.7% |
- (集計中) |
|
自社のCO2削減率 |
△6.8% |
※1 CO2排出量から植物等による吸収量を差し引いて、排出量を実質的にゼロにすること。
② 地域社会への貢献
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KPI |
定量目標 |
目標年度 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
|
一般財団法人クリステル・ ヴィ・アンサンブルへの 募金箱設置箇所の拡大 |
11カ所(2021年の 設置数)から増加 |
各年 |
+3カ所 (全11ヵ所) |
△2カ所 (全9ヵ所) ※店舗閉鎖のため |
|
地域/社会貢献活動の実施(地域清掃など) |
- |
2回 |
2回 |
③ コンプライアンスの徹底
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KPI |
定量目標 (全社員対象) |
目標年度 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
|
|
年1回 |
各年 |
1回 |
|
|
|
1回 |
|
||
|
|
1回 |
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④ 安全および災害対策の強化
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KPI |
定量目標 (全社員対象) |
目標年度 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
|
|
年 |
各年 |
2回 |
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⑤ 健康経営
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KPI |
定量目標(全社員に対する比率) |
目標年度 |
2023年度実績 |
2024年度実績 ※1 |
|
|
|
各年 |
100% |
|
|
|
|
|
100% |
|
|
|
|
58.9% |
|
|
|
|
|
100% |
|
|
|
|
|
32.0% |
|
|
|
|
|
24.4% |
|
※1 提出日現在の速報値のため、確定値とは異なる可能性があります。
⑥ ダイバーシティの推進
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KPI |
定量目標 |
目標年度 |
2023年度実績 |
2024年度実績 |
|
育児休業取得率 |
女性100%の継続 男性35% |
各年 2025年度 |
女性100% 男性 50% |
女性100% 男性 57.1% |
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28.2% |
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|
9.0% |
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年 |
|
1回 |
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年 (若手女性対象) |
2回 (若手男女向け1回/ 若手女性向け1回) |
(若手男女向け1回/ 若手女性向け1回) |
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産前産後休業・ 育児休業研修回数 |
年 |
1回 |
|
なお、当社グループの「環境・社会・ガバナンス(ESG)」における課題、考え方、取り組み等の詳細な内容につきましては、
当社グループの株価、財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資判断上重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループはこれらリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)需要動向について
当社グループの主力商品である石油製品(灯油)及びLPガスは、一般的に気温が低いと需要が伸びることから、天候により売上高が変動し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)商品の調達について
当社グループの主力商品である石油製品、LPガス及び電力は、原油価格及びLPガスのCP等の変動や、為替レートの動向、天候不順や国際情勢等による電力需給の逼迫を通じた卸電力市場価格の動向により売上原価が変動し、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを軽減する目的で、必要に応じて先物取引等によるヘッジ取引や仕入調達先の分散等の試みを行っておりますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。
(3)営業戦略について
当社グループは、家庭用エネルギーである石油製品、LPガス及びその周辺機器を販売するエネルギー事業及び、風力発電やバイオマス発電などの再生可能エネルギーの発電及び一般家庭への電力小売販売を行う電力事業をコア事業としております。エネルギー選択の自由度拡大や料金の最大限の抑制等により、同業者間の顧客獲得競争が激化しており、それらによる顧客の減少並びに販売価格の低下が当社グループの収益面に影響を及ぼす可能性があります。
(4)災害等について
当社グループの各事業所には、石油製品及びLPガスの貯蔵設備、発電所等があります。法令上の定期検査、自主保安体制による設備点検、定期的な改修等を行っておりますが、大規模な地震やその他災害等により漏洩事故や資産の毀損を生じさせる可能性があります。
(5)投資等について
当社グループは、経営基盤の強化をはかるため、国内外において子会社又は関連会社の設立、外部との資本提携等を行っております。投資等については、投資リスク等を十分勘案したうえで決定し、投資価値の回収可能性を定期的にチェックしておりますが、経営環境の変化や予測し難い事態等が生じ投資先の財政状態及び経営成績が悪化し、投資の回収可能性が低下する場合及び株価が一定水準を下回る場合には、投資の一部又は全部が損失となるリスクがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)固定資産について
当社グループは、事業用固定資産を数多く所有しておりますが、いずれも事業遂行には必要不可欠なものであり、過去及び現在においても十分なキャッシュ・フローを生成していると認識しております。投資価値の回収可能性を定期的にチェックしておりますが、今後の地価の動向や当社グループの収益状況の変化によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)法的規制について
当社グループが事業を営む上で遵守すべき法律・規制は多岐に亘ります。エネルギー事業及び電力事業では高圧ガス保安法、消防法、電気事業法等、またフーズ事業においては食品関連法による様々な規制や外部公的機関による品質検査等があります。
さらに今後は、世界規模でのCO2削減取り組み強化・脱炭素化の要請の中で、温室効果ガス排出規制や炭素税の導入等、様々な法的制約を受ける可能性があります。
当社グループに適用のある法規制に違反した場合には、罰則や損害賠償、当社グループの信用の低下等により事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。また将来において、規制等の大幅な改正や厳格化、現在予見しえない規制等が設けられた場合には、多額の設備投資が必要になる可能性があります。
(8)海外事業について
当社グループはアジア地域において海外事業を展開しており、為替リスクに加えて、各国における政治・経済・社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規制の変更等、海外事業一般に内在するリスクを負っており、これらが事業の継続に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済情勢は、賃金の増加や雇用情勢の改善が見られインバウンド需要の増加もあり、緩やかな景気回復が続きました。一方、物価上昇の影響で個人消費は低迷し、輸出の動きは弱く、内需の寄与度は低下しました。また、米国の今後の政策や、中国経済の今後の懸念など、全体として、地政学的リスクや物価上昇圧力が経済情勢に影響を与え、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く経営環境は急速に変化しており、国内のエネルギー市場においては、価格の上昇と供給の不安定さが顕著でした。電気・ガス代の負担軽減措置が終了し、家庭や企業のコスト負担が増加、省エネ対策が求められました。エネルギー価格は上昇傾向にあるものの、原油価格は比較的安定して推移しました。脱炭素化に向け日本では、第7次エネルギー基本計画の策定が進み、再生可能エネルギーと原子力の最大限活用が打ち出されました。一方、米国では第2次トランプ政権の誕生に伴い、気候変動対策への関心が低下し、脱炭素化の進展に不透明感が漂うなど、全体として、脱炭素化の取り組みは進展しているものの、地政学的リスクや政策の変動が影響を与えております。
このような状況下、エネルギー事業者は環境適合、安定供給、経済効率の観点から、サステナブルな社会に向けた低炭素化・脱炭素化、安全・安心な社会に向けたレジリエンス強化、安定供給継続・事業継続に向けた経営基盤の強化等を高度かつ迅速に進めることが必要と考えております。
当連結会計年度における当社グループの主なトピックスとしましては、電力事業のミツウロコグリーンエネルギー株式会社において、2024年6月より北海道支店を開設し、更なる営業拡大を図っております。また、2024年12月には「省エネコミュニケーション・ランキング制度」で五つ星評価を3年連続受賞いたしました。2025年2月からは、東芝エネルギーシステムズ株式会社とともに、ミツウロコグリーンエネルギー株式会社が所有する神栖風力発電所をFITからFIPに移行し、東芝エネルギーシステムズ株式会社がアグリゲーターとして、卸売市場(JEPX)への売電及び再エネアグリゲーションサービスの提供を開始しました。両社は再エネアグリゲーションサービスの電力受給契約を締結しており、契約期間は2025年2月~2028年2月末までの約3年間となります。海外事業のTRIFORCE INVESTMENTS PTE. LTD.は、シンガポールに本社を置く太陽光発電開発会社 SunPro Energies Pte. Ltd.と業務提携いたしました。本提携により、ミツウロコグループはSunPro Energies Pte. Ltd.に30%出資し、シンガポールにおける太陽光プロジェクトを進め、地域の再生可能エネルギー目標と環境の持続可能性に貢献していきます。同じく海外事業のGeneral Storage Company Pte. Ltd.は、シンガポール企業庁とシンガポール知的財産庁が後援しているシンガポールで最も長く続く権威あるブランディングに関する賞の一つ「シンガポール プレステージ ブランド アワード 2024」、主要産業及び貿易セクターにおけるシンガポールの主要な中小企業を表彰する「シンガポール SME 500 アワード」、 シンガポールサイバーセキュリティ庁が支援する賞で、サイバーセキュリティにおいて卓越性、革新性、リーダーシップを発揮した企業を表彰する「SME サイバー セキュリティ エクセレンス アワード」を受賞いたしました。その他事業の株式会社ミツウロコテックでは、当社組織「ゆたかなくらし企画室」との協同で2024年4月より新規事業となる「スマート農業ハウス」により100%国産スペシャリティコーヒー豆の栽培を群馬県藤岡市において開始いたしました。また、同じくその他事業の株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズでは、2024年7月にキッティング作業の受託業務において、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC 27001:2022」の認証を取得いたしました。さらに、2025年3月には、株式会社イービーエムとの合弁会社として株式会社ミツウロコEBMを設立いたしました。Personal Beauty Retreat事業を中心に事業展開し、人々のウェルビーイング(Well-being)向上に寄与するサービスを提供し、お客様の心とからだに寄り添うことで、より豊かなライフスタイルの実現をサポートしていくことを目指します。
グループ全体の業務効率化としては、グループの事務センターでDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、受発注業務では入力業務の90%以上が自動化され、事務センター設立時と同一業務で比較し、一人当たり処理業務データ数は約3倍、単位コストで60%超の削減を実現しております。
当連結会計年度の業績としては、当社グループのコア事業であるエネルギー事業及び電力事業において営業政策により売上高は増加しておりますが、電力事業は容量市場への拠出金の影響が加わり増収減益となり、エネルギー事業においては人財や設備に対する投資費用の増加により増収減益となっております。一方で、フーズ事業においては飲料事業の拡販政策と工場の一部設備増強による製造原価低減を主因に業績拡大を続けているほか、海外事業においても投資費用が一段落し安定的に業績推移したことにより、連結業績に寄与しております。また、政策保有株式の縮減を行い、投資有価証券売却益50億66百万円を特別利益に計上しております。以上により、売上高は前期比9.9%増の3,396億56百万円、営業利益は前期比28.9%減の87億69百万円、経常利益は前期比24.8%減の100億5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比15.5%増の105億15百万円となりました。売上高及び親会社株主に帰属する当期純利益は、連結会計年度の過去最高益を更新しております。
各セグメントの状況は次のとおりです。
(エネルギー事業)
LPガス事業においては、省エネ機器の普及による単位消費量の減少は見られますが、積極的な営業活動により一般家庭用、業務用ともに顧客数が増加し、LPG販売数量は前期比101%と伸長いたしました。これにより、原材料価格、人件費、物流コストの上昇による影響は継続するものの、売上総利益は前年並みとなりました。今後もLPガスを巡る省令改正等による環境変化に適応し、安定供給と保安の確保を最優先にお客様へ付加価値あるサービスの提供を続けてまいります。
石油事業においては、省エネ機器の普及と燃料油価格の上昇による節約志向により販売数量は前期比97.9%となりましたが、タンクローリーのチャーター化の推進による物流効率化等で利幅が改善し、売上総利益は前年並みとなりました。
直営ガソリンスタンド事業においては、SNSの登録顧客数が堅調に増加し、販売数量は前期比107%と伸長する一方、SNS登録販促キャンペーンの実施等により利益率が減少した結果、売上総利益は前期比99.8%となっております。
住宅機器販売事業においては、「省エネキャンペーン2024補助金」を活用した電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯器(ハイブリッド給湯器)の販売に注力した結果、前期比172.3%の販売実績を達成いたしました。また当連結会計年度より販売を開始した健康・美容関連商材も好調な販売推移となっております。これらにより住宅機器販売全体の売上総利益としては前期比104.4%と伸長いたしました。引き続き、GHP、高効率ガス給湯器、省エネリフォーム提案を中心としたカーボンニュートラルに寄与する商材の提案・販売に注力してまいります。
新エネルギー部門では、カーボンニュートラルの実現に向けた取組みを強化しており、政府補助金の採択を受けた「需要家主導型太陽光発電導入支援事業」を活用した非化石電源の運用を開始いたしました。このプロジェクトは、当社のESG経営の一環として、環境負荷の低減と再生可能エネルギーの利用拡大を目指すものであり、今後も取組みを強化し持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。
以上の結果、エネルギー事業全体では、売上高は前期比4.6%増の1,534億64百万円となりましたが、ベースアップを主とした人財投資費用、LPガス事業におけるLPガス業務効率化ソリューション「SmartOWL®」への先行投資費用等による販売費及び一般管理費の増加により、営業利益は前期比17.4%減の24億14百万円となりました。
(電力事業)
小売電気事業においては、資源価格の乱高下も収まりつつあり、電源原価も落ち着きを取り戻してきておりますが、再生可能エネルギーの普及に伴い1日の中で時間帯ごとに市場価格が乱高下する状況が続いております。
当連結会計年度は、燃料費調整のタイムラグの影響がなくなり、新規顧客の拡大による販売数量の増加により、前期比増収となっておりますが、当連結会計年度より発生した容量拠出金の負担により、利益は減少しております。
以上の結果、売上高は前期比17.7%増の1,569億72百万円、営業利益は前期比31.4%減の67億22百万円となりました。引き続き、新規顧客の獲得による顧客数の増加を促進し、販売電力量の増加による規模拡大に取り組んでいきます。
なお、当事業では電源調達量に応じた電力供給の実施、また電力卸売市場からの調達依存率の低減、電源調達先の分散化を進展させることで原価変動の影響を抑え安定した収益を計上できるよう取り組んでおります。
また、経済産業省による「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」において、家庭の電力使用量の最も多い時期である2025年1月~3月使用分(2025年2月~2025年4月検針分)の3か月について電気・ガス料金の支援を行ってまいりました。
前期より運用を開始している系統用蓄電池を活用し、引き続き「需給調整市場」に参入しております。さらに、経済産業省の主管する「系統用蓄電池・水電解装置導入支援事業」の採択により、北海道北広島市に新たな系統用蓄電池の着工を開始し2025年度末に運開予定となっております。当社グループが得意とするデマンドレスポンスサービスの実施とともに、電力系統の安定化を図り、カーボンニュートラルの実現に向けた再生可能エネルギー発電設備の導入拡大により一層取り組むことで、再生可能エネルギー導入拡大に伴う需給バランスの調整や、電気代の負担軽減に繋がる節電・省エネに貢献してまいります。また、近年高まりつつある脱炭素社会へのお客様のニーズに対して『環境低負荷メニュー』の電力販売を更に拡販することにより、お客様のCO2排出量の軽減を図ってまいります。
(フーズ事業)
飲料事業においては、自社の開発技術の向上による商品構成の増加、ならびに自社ブランドの茶系飲料(麦茶・緑茶)の販売が好調に推移したことを主な要因として、清涼飲料水及びミネラルウォーターの販売数量が前年同期比102%と伸長しております。販売数量拡大による効率化が進んだことにより、主要原材料及びエネルギー価格の高騰等の影響を抑え、業績は向上いたしました。引き続き製品の品質に係る体制の強化と新製品の開発に注力すること、及び環境対策の一環としてリサイクルボトルを採用した商品の供給等を推進し、更なる事業発展に向けて取り組んでまいります。
飲食事業では、店舗運営に係る原材料費の高騰や人件費の増加による原価上昇分を吸収することが出来ず、また商業施設内の退店に係る原状回復費用の発生等により、販管費が増加し収益減少となりました。今後の取組みとしては、引き続きベーカリー「麻布十番モンタボー」の新たな商品ブランド「モンタボーベーグル」の販売、またショップ事業においては、インバウンド需要の増加に対応した商品及びサービスの提供を継続してまいります。
フーズ事業全体の業績としては、飲料事業の販売数量の拡大及び工場の一部設備増強による製造原価低減を主な要因として、売上高は前期比0.6%減の211億61百万円、営業利益は前期比5.1%増の8億99百万円となりました。
(リビング&ウェルネス事業)
不動産事業では、住宅を中心とした賃貸不動産が順調に稼働しており、売上総利益は前期比100.6%となりました。2023年8月に取得した賃貸マンション「桜樹高山」(世田谷区)の稼働に加え、「アーバンフォート住吉」(江東区)の高稼働や退去・更新時の賃料アップが売上総利益向上に貢献しました。
当事業では、全ての物件について、安全を最優先とした修繕・更新を実施していくことに加え、居住者の居住性の向上並びに時代のニーズに合わせた設備投資を推進し、物件価値の向上を目指しております。また、再生可能エネルギー電力の利用や電動マイクロモビリティのシェアリングサービスポートの設置により、CO2排出量削減を推進しております。引き続きポートフォリオの最適構成を図りながら、新規収益物件の取得や開発にも積極的に取り組んでまいります。
また、ハマボールイアスビル全体の入館者数及びテナント売上高は、前期比99.6%で同程度となっております。2025年はハマボールイアスビルがオープンして15周年という節目の年であることから、お客様への感謝の気持ちを込めて、一定額購入とSNS登録でコーヒードリップバッグをプレゼントするキャンペーンを実施いたしました。引き続き認知度向上や来館者数増加に向けて、イベントやキャンペーンを企画・実施してまいります。
スパイアスの当連結会計年度の売上高は前期比104.6%、入館者数は前期比109.8%と伸長しました。リニューアルによる休業を契機とした駆け込み需要やポイント消化を背景に、2025年3月はコロナ禍以降で最高の入館者数を記録しております。営業最終週は終日混雑し、メインコンテンツの「毎時間ロウリュウ」も好評で、早々に全時間枠が予約で埋まり、スパイアスのロウリュウブランドの需要の高さが窺えました。2026年7月のリニューアルオープンに向けて、新たな付加価値をつけるべく取り組んでまいります。
ハマボールでは、当連結会計年度の売上高は前期比102.5%となり、コロナ禍以降の回復基調が継続しております。一般・学生利用については新型コロナウイルス感染症5類移行後の初の春休みであった前期と比較するとやや減少しておりますが、法人・団体による予約利用の増加や、当連結会計年度に実施した「第四回 健康ボウリング教室」による新規入会者の増加により、来場者数は前期比102%と伸長しました。
スポーツビジネスでは、スポーツスタジオ「EIGHT ANGLE」(自由が丘)における人気プロによる完全マンツーマンのゴルフレッスンの安定的な稼働、人気プロの増員による客数の増加、「ビジョントレーニング」の会員数増加などにより売上高は開業当初の前期比186.2%となりました。今後は幅広い年代層に対してのビジョントレーニングの事業化に向けて、ハマボール会員やその他施設の方々へのトライアル実施を継続していく予定です。
上記の理由により、リビング&ウェルネス事業全体としては、売上高は前期比2.4%増の27億34百万円となりましたが、休業による有形固定資産の加速度償却等を主な要因として、営業利益は前期比48.2%減の88百万円となりました。
(海外事業)
当事業では主として、General Storage Company Pte. Ltd.他6社がアジア地域においてレンタル収納事業を行っております。当連結会計年度においては、シンガポールのLock+Store並びに香港のThe Store Houseの両ブランドが、最高水準のサービス提供事業者を読者投票により表彰する「Expat Living Hong Kong and Singapore Readers’ Choice Award 2025」において、当社の安全で顧客重視のセルフストレージサービスが評価され「Best Storage Facility」に選ばれました。また、香港のThe Store Houseでは、香港の捨て犬を保護する団体の香港ドッグレスキュー(HKDR)への支援を目的として、香港で開催された「ペットショー2025」でキーホルダー型エコバックを販売いたしました。引き続き、地域の皆様に選ばれる店舗づくりを通じて地域貢献を続けてまいります。
また当第4四半期において子会社TRIFORCE INVESTMENTS PTE. LTD.が、シンガポールで太陽光発電事業を手掛けるSunPro Energies Pte. Ltd.に1百万シンガポールドルの出資を行いました。これにより当社持分比率は30%となり、SunPro Energies Pte. Ltd.は当社の持分法適用会社となっております。
当連結会計年度においては円安の影響等により売上高は前期比8.7%増の29億8百万円となり、前期の36 Kaki Bukit Placeの不動産リースホールド取得に伴って発生した租税費用の減少による影響等により、営業利益は1億76百万円(前期は1億27百万円の営業損失)となりました。
なお、タイのSiamgas & Petrochemicals Public Company Limitedからの当連結会計年度の受取配当金は、同社株式の追加取得等を背景に前期比9.6%増の4億18百万円となりました。
(その他事業)
ICT通信事業においては、集合物件のオーナー様や不動産管理会社様を対象に展開している全戸一括型インターネットマンションサービス「ミツウロコnet」の導入が堅調に推移し、前期比112%の導入戸数実績を達成いたしました。賃貸マンションや学生寮、ビジネスホテルや高齢者住宅など、快適なWi-Fi環境を提供することで、引き続き、空室改善や家賃の下げ止め、物件の付加価値向上を推進するとともに、顧客の課題解決に繋がるソリューションの開発に取り組んでまいります。
情報システム開発・販売事業では、「SmartOWL®配送効率化ソリューション」の提供開始当初から比較し、LPWAが設置されている消費者宅へのLPガス配送回数を約25~30%削減しており、現在約13万軒の消費者に対するLPガス配送業務の効率化を実現しました。また、LPガス配送に係る平均走行距離で試算した場合のCO2削減量は1回の配送当たり1.189㎏が見込まれ、LPWA設置の普及とSmartOWL®の利用促進により今後ますますのCO2削減効果が期待されております。
リース事業においては、グループ内リース会社として事業に貢献するほか、グループ外ユーザーに対してもカーリース事業の拡大に努めております。また当事業は環境省によるESGリース促進事業の指定リース事業者に選定されており、脱炭素化を目指す中小企業のリース需要のサポートを行っております。
コンテンツ事業においては、テレビ番組や映画の共同制作、演劇公演の企画等を行っております。2025年3月5日にシリーズ初となる映画版「この動画は再生できませんTHE MOVIE」のDVDを発売開始し、オリコンデイリー映画DVDランキング2025年3月4日付1位を獲得しました。
その他事業全体としては、リース事業におけるグループ外部顧客売上の増加幅を上回る仕入原価の増加等により、売上高は前期比3.7%増の24億14百万円、営業利益は前期比77.6%減の21百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、179億68百万円(前期は105億35百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益142億27百万円、減価償却費52億17百万円、投資有価証券売却益50億66百万円、売上債権の増加額23億95百万円、仕入債務の増加額58億73百万円、法人税等の支払額37億63百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、5億86百万円(前期は94億15百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入67億24百万円、フーズ事業における設備増強のための有形固定資産の取得等を行ったことによる支出42億49百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、88億38百万円(前期は18億87百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入22億円、長期借入金及び社債の償還による支出29億73百万円、リース債務の返済による支出13億3百万円、自己株式の取得による支出39億円、配当金の支払額24億11百万円等によるものです。
また、上記キャッシュ・フローに加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により51百万円減少した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末の残高は、前連結会計年度末と比較して96億65百万円増加し、404億89百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
電力事業 |
3,146 |
100.9 |
|
フーズ事業 |
9,980 |
104.4 |
|
合計 |
13,126 |
102.5 |
(注)電力事業については風力発電会社等の電力生産実績、フーズ事業については㈱ミツウロコビバレッジの飲料水生産実績等であり、それぞれ実際生産金額によっております。
(ロ)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
エネルギー事業 |
128,108 |
106.0 |
|
電力事業 |
145,147 |
122.6 |
|
フーズ事業 |
4,856 |
93.0 |
|
報告セグメント計 |
278,112 |
113.7 |
|
その他事業 |
602 |
95.5 |
|
合計 |
278,715 |
113.7 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
エネルギー事業 |
153,464 |
104.6 |
|
電力事業 |
156,972 |
117.7 |
|
フーズ事業 |
21,161 |
99.4 |
|
リビング&ウェルネス事業 |
2,734 |
102.4 |
|
海外事業 |
2,908 |
108.7 |
|
報告セグメント計 |
337,241 |
109.9 |
|
その他事業 |
2,414 |
103.7 |
|
合計 |
339,656 |
109.9 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態
(ⅰ)資産の部
当連結会計年度における資産の残高は、前連結会計年度末と比較して48億58百万円増加の1,857億25百万円となりました。
主な増減要因としては、電力事業の収益増加に伴う現金及び預金の増加94億99百万円、エネルギー事業や電力事業の売上高増加に伴う売掛金の増加24億27百万円、フーズ事業の設備投資に伴う建設仮勘定の増加13億84百万円、株式の売却及び市場価格の下落に伴う投資有価証券の減少87億14百万円等によるものです。
(ⅱ)負債の部
当連結会計年度における負債の残高は、前連結会計年度末と比較して60億67百万円増加の870億35百万円となりました。
主な増減要因としては、電力市場の容量市場への拠出金の増加や燃料調達価格上昇に伴う支払手形及び買掛金の増加58億73百万円、仕入原価の上昇や固定資産の購入等に伴う未払消費税等の増加16億19百万円、投資有価証券の売却及び市場価格の下落に伴う繰延税金負債の減少24億36百万円等によるものです。
(ⅲ)純資産の部
当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度末と比較して12億9百万円減少の986億89百万円となりました。
主な増減要因としては、利益剰余金の増加31億円、自己株式の消却等による増加11億12百万円、投資有価証券の売却及び市場価格の下落に伴うその他有価証券評価差額金の減少55億68百万円等によるものです。
(ロ)経営成績
当連結会計年度の売上高は前期比9.9%増の3,396億56百万円、営業利益は前期比28.9%減の87億69百万円、経常利益は前期比24.8%減の100億5百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比15.5%増の105億15百万円となりました。
(ⅰ)売上高の状況
前連結会計年度と比べて305億71百万円増加(9.9%増加)の3,396億56百万円となりました。
当社グループのコア事業であるエネルギー事業及び電力事業における営業政策が主な要因です。
(ⅱ)営業利益の状況
前連結会計年度と比べて35億64百万円減少(28.9%減少)の87億69百万円となりました。
電力事業における容量市場への拠出金の影響や、エネルギー事業における人財や設備に対する投資費用の増加等が当連結会計年度の営業利益の減少に寄与しております。
(ⅲ)経常利益の状況
経常利益は前連結会計年度に比べて32億97百万円減少(24.8%減少)の100億5百万円となりました。
営業利益が前連結会計年度と比べて35億64百万円減少したことを主因として、そのほか、Siamgas & Petrochemicals Public Company Limitedからの受取配当金37百万円の増加等が主な増減要因です。
(ⅳ)親会社株主に帰属する当期純利益の状況
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて14億8百万円増加(15.5%増加)の105億15百万円となりました。
当連結会計年度においては経常利益が32億97百万円減少した一方、政策保有株式の縮減による投資有価証券売却益50億66百万円を計上したことが主な原因です。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。
事業活動にかかる運転資金につきましては、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、それに加えて金融機関からの短期借入や社債の発行により流動性を保持しています。また、当社と連結子会社間では、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により資金融通を行うことで資金効率を高めております。
一方、設備資金等の長期資金につきましては、投資計画に基づき、市場金利動向や既存借入金の返済時期等を総合的に勘案し、金融機関からの長期借入や社債の発行により流動性を維持しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日現在において過去の実績等を勘案し合理的に判断して見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。