文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで、地域すべてのお客様の快適生活に貢献する」ことを経営理念として、環境に優しいエネルギーを安全に、かつ安定的にお届けするとともに、お客様の快適な住まいと暮らしを実現することを目指しています。
また、経営理念実現のため、社是である「信義・進取・楽業」を行動憲章として定めています。
「信義」…社会的責任の実践
約束を守り人の信頼に応え、責任を重んじて自らの務めを果たすということが「信義」の考えであり、当社グループの経営の根幹です。
「進取」…新たな価値の創造
あらゆる困難を退けて前進し、グループの存在価値を高めていくということが「進取」の考えであり、当社グループの事業に対する基本的な精神です。
「楽業」…こころ豊かな行動
働く喜びを感じ、仕事の中に楽しさを見出し、様々な方々と幅広い交流を図りながら、自らの人格を高めていくということが「楽業」の考えであり、当社グループの社員像を表しています。
(2)中長期的な経営戦略(第二次中期経営計画)
当社グループは、創業100周年の2027年度に向け、2020年度より3カ年の第二次中期経営計画をスタートさせました。なお、第二次中期経営計画は、第三次中期経営計画での躍進に向けた基盤整備と位置付けています。
計画スローガン
Challenging New Worlds with Big Sky-thinking ~大胆な発想で新しい世界への挑戦~
基本方針
持続的な成長を続ける組織となるための基礎固め
定性目標
① 資本効率の改善
ⅰ 既存事業の利益率向上 :効率化による利益率・資本効率の向上
ⅱ 低効率資産の活用・売却:遊休・低稼働資産の有効活用、売却の検討
ⅲ 既存事業の選択と集中 :資本効率の低い事業を撤退・売却し、資本効率の高い事業に集中
② 持続的成長を実現する投資の実行
ⅰ 既存事業の拡大投資 :既存事業の収益基盤強化のためのM&A、建物維持管理事業のM&Aの実行
ⅱ 新規事業への戦略投資:シェアサイクル事業・再生可能エネルギー事業・新規事業への積極投資の実行
ⅲ 基幹システムの整備 :事業の多様化、環境変化に対応した基幹システムの高度化の実現
③ 社員の考え方・慣習・行動様式の変革
ⅰ 風土・体質改善 :個人・組織の常識や慣習を見直し、VUCA(注1)時代に対応できるマインドを醸成
ⅱ 働き方改革の推進:社員が職を楽しみ、生き生きと働き続けられるような環境の整備
ⅲ 人材育成・登用・配置転換
:アントレプレナーシップ(注2)と多様な人財を育成するための仕組み作りの実現
(注1)VUCAとは、「Volatility(不安定性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字をつなげた言葉で予測不能な時代を表す言葉のこと。
(注2)アントレプレナーシップとは、起業家精神とも言われ、チャレンジ精神・主体性を持ち、全体最適でものごとを捉えて行動できる社員のこと。
2022年度(2023年3月期)数値目標
「ROE6.0%以上」を定量目標とし、持続的に「ROE6.0%以上」を生み出す事業構造の確立
この定量目標は、第三次中期経営計画(2023年度から2025年度まで)における、更なるROEの向上に向けたマイルストーン(中間達成目標)としての位置づけです。
セグメント戦略
セグメントごとの主な戦略は次の通りです。
〔エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)〕
① 営業権買収・ガス事業者のM&Aなどによる主力の「LPガス・灯油販売」の顧客基盤の維持拡大
② 物流アライアンスの推進、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を活用した業務効率化
③ ガスと電気のセット販売の推進、取次店方式などを活用した電力販売の強化
④ 水回りリフォーム専門店や空き家管理サービスの拡充など新規事業の推進
〔エネルギーソリューション事業(BtoB事業)〕
① 軽油販売や灯油宅配など川下事業強化による石油事業の利益率向上
② 取次店開拓や環境配慮型電力メニュー拡充による電力事業の販売拡大
③ 太陽光関連事業における製販一体化による新商材、新販路の開発
④ 国内外での新型マイクロ風車搭載製品の開発・製造・販売の推進
⑤ アジアを中心とした風力発電事業など再生可能エネルギー電源の開発
〔非エネルギー及び海外事業〕
① 自転車事業 :プライベートブランドの拡販、小売店ダイシャリンの収益構造改革
② シェアサイクル事業 :ターゲットエリアでのステーション開発、データを活用した運営の効率化
③ 環境・リサイクル事業:木質チップ工場の安定稼働・業務効率化に加え、新たなバイオマス燃料事業の開発
④ 抗菌事業 :抗菌・消臭の総合ソリューション事業への変革、鉛吸着剤等の新規事業開発
⑤ システム事業 :主要機能強化による顧客件数の伸長、IoTを活用した新規事業開発
⑥ 建物維持管理事業 :関東全域への事業エリア拡大、設備工事・保守事業への展開
株主還元・配当方針
連結配当性向30%以上を目安に安定的な配当を実施してまいります。
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2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
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1株あたり配当金 |
75.0円 |
75.0円 |
75.0円 |
75.0円 |
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1株あたり当期純利益 |
231.13円 |
146.00円 |
274.84円 |
249.83円 |
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連結配当性向 |
32.4% |
51.4% |
27.3% |
30.0% |
(3)第二次中期経営計画の進捗状況
第二次中期経営計画の進捗状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(4)対処すべき課題
〔事業改革〕
当社グループの主力事業である石油・ガス事業を取り巻く環境は、国内人口の減少、省エネ機器の普及、ライフスタイルの変化などによりエネルギー需要の減少傾向が続き、引き続き厳しい状況にあります。また、世界的な脱炭素・SDGsへの意識の高まり、気候変動への対応などから、総合エネルギーサービス企業グループとして責任ある対応が求められています。
当社グループでは、こうした経営環境の変化や時代の潮流に対応すべく、(2)中長期的な経営戦略(第二次中期経営計画)に記載のとおり、2020年度より「Challenging New Worlds with Big Sky-thinking ~大胆な発想で新しい世界への挑戦~」をスローガンとした第二次中期経営計画をスタートさせました。既存事業の選択と集中、低効率資産の活用・売却による資本効率の改善を推進するとともに、再生可能エネルギー事業や環境配慮型電力の供給など、中長期的なトレンドを踏まえた新規事業への戦略投資を実行し、これからの持続的な成長を叶える事業構造を確立することで、企業価値の向上を目指していきます。
〔優秀な人材の確保、企業風土改革〕
当社グループでは、事業拡大を実現していくうえで、「人材」を最も重要な財産の一つと位置づけています。2018年から、労務環境の改善やITを活用した業務改善を目的として「働き方改革」を推進しています。2020年には、更なる取り組みとして、年功序列を廃し、役割を重視した人事制度に改定しました。新たな人事制度を基に、適材適所を重視した人員配置を行い、優秀な人材の確保に努めていきます。
また、2020年度は、中期経営計画の定性目標の一つである「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」のため、「風土改革プロジェクト」を立ち上げました。2020年11月には社長直下の「グループ改革推進室」を新設し、活動を推進しています。今後は、自由闊達な組織風土を形成し、アントレプレナーシップ(起業家精神)を持った社員を育成していきます。
〔DX(デジタルトランスフォーメーションの推進〕
当社グループの事業領域である「エネルギー・住まい・暮らし」の分野では、IT化・自動化の余地が多く残されています。第二次中期経営計画においては、企業風土・文化、ビジネスモデルを変革すべく、グループ経営基盤の強化や業務効率化の重要施策としてDXを位置付けています。
2020年度は、DX戦略の構築を推進した一方、セキュリティ強化を含むITガバナンスの整備等を実施しました。今後は、業務効率化という視点にとどまらず高付加価値サービスの創出も視野に入れ、DXへの取り組みを加速させ、企業価値の向上を図っていきます。
〔グループ連携の推進〕
当社グループは、当社を含む連結39社で企業集団を形成しています。各社においては、これまで自律的な意思決定を行うことで、スピード感のある事業経営を実現してきました。今後は、グループ各社の連携をより一層強化することで、グループ全体としてのシナジーを発揮し、収益の拡大と業務の効率性を追求していきます。
〔コーポレートガバナンスの強化〕
当社グループは、経営の透明性と健全性を確保し、意思決定と執行の迅速化を進めることにより、継続的に企業価値を高めていくことが、コーポレートガバナンスの基本であり、経営の重要課題の一つであると認識しています。2015年に持株会社体制へ移行した後、継続的にコーポレートガバナンス強化の取り組みを実行しています。
2020年度は、経営の透明性と健全性をより一層高めるべく、従来の「任意の指名委員会」から「任意の指名・報酬委員会」へ組織を改めました。
急速な事業環境の変化に適応し、継続的な成長を維持していくために、引き続き、コーポレートガバナンスの強化に努めていきます。
当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況並びに株価等(以下「業績等」という。)、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。
なお、記載中、将来に関する事項は当連結会計年度末(2021年3月31日)において判断したものであります。
また、当社は、これらのリスク発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。
A.当社グループの主力事業であるエネルギー事業に特有のリスク
(1)エネルギー業界をとりまく環境の変化
当連結会計年度の国内エネルギー業界においては、年度初めに大きく下落していた原油価格・プロパンCPは、同感染症のワクチン普及への期待感やOPECプラスの協調減産等が相場を下支えし上昇基調で推移した結果、先行して回復したプロパンCPに続き、年度末には原油価格についても同感染症拡大前の水準に回復しました。国内需要においては、寒波の影響もあり下期は堅調に推移したものの、全体としては、少子高齢化の進展、省エネ機器の普及やライフスタイルの変化等により、減少傾向が継続しています。
石油・ガス業界をとりまく環境は、供給側であるOPECプラスの産油量動向や中東情勢、需要側では大消費国である米国、中国、インド等の経済状況等が原油価格に大きな変動をもたらします。また、国内では環境意識の高まりや低炭素社会に向けた官民をあげての取り組みにより、エネルギーの節約志向は今後一層強まるものと考えられます。これら原油価格の変動や国内市況並びにエネルギー環境の変化等が当社グループの業績等に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、原油価格等の変動や消費者の節約志向等には直接対応できないため、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、住設機器の販売や住宅向けリフォーム等の住まいと暮らしの事業の拡大等、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、太陽光発電設備のメンテナンス事業や国内外の再生可能エネルギー事業の拡大等の非石油・ガス事業への展開のほか、シェアサイクル事業等の非エネルギー事業への積極投資により業界環境変化のリスク低減に取り組んでいます。
(2)気温の変動によるリスク
当社グループの主力となる事業は、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)であり、全セグメントの売上高のうち9割以上を占めています。このエネルギー事業については、基本的には気温の変動によるリスクを有しており、なかでも石油部門の主力商品である民生用灯油については、冬が最需要期であり、夏の使用量と比較して著しい格差があります。このため、暖冬により冬場の灯油の消費量が減少した場合、販売計画に狂いが生じ、また価格にも影響を及ぼすなど、気温の変動が当社グループの販売実績及び業績等に重要な影響を与える可能性があります。
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、冬場の気温に需要が左右される石油・ガスだけでなく、夏場に需要が増加する電力販売の拡大を進めること等により気温の変動によるリスク低減に取り組んでいます。
また、電力については夏場と冬場の需要期において、電力卸売市場の高騰を受け業績に重要な影響が与える可能性がありますが、電源構成の最適化により、リスクの低減に取り組んでいます。
(3)エネルギー業界における競争の激化
当社グループの属するエネルギー業界においては、規制緩和、環境問題、少子高齢化等の要因により、電力、石油、都市ガス、LPガス等の垣根を越えたエネルギー間競争が激化しています。「オール電化」「太陽光発電」「エネファーム」等のエコロジーと関連する商品群の開発・販売推進により、今後もこの傾向が続くものと予想されます。
また、LPガス業界においては、LPガス消費者の獲得やそれに伴うLPガス価格の引き下げ等、同業者間の競争が激しくなっています。石油業界においても、ガソリンスタンド間の厳しい生き残り競争や民生用灯油の巡回販売、ホームセンター他の販売チャネル間の争い等、同業者間の激しい競争が続いています。
こうしたエネルギー間競争及び同業者間競争の激化は、当社グループの業績等に重要な影響を与える可能性があります。
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、LPガス事業の営業権の買収や同業者のM&Aで事業基盤の維持拡大に努めています。また、石油・ガス・電気のエネルギーを取り扱い、セット販売等でお客様に継続してお取引いただけること等により競争激化に対するリスク低減に取り組んでいます。
(4)石油・LPガス設備の保安等と環境汚染に関するリスク
当社グループは、「保安は全てに優先する」と考え、石油及びLPガス販売に係る設備等について、関係諸法規及び内部規定に基づき定期的に厳格な保安監査を実施しています。また、石油設備については石油漏出による環境汚染事故を防止するため損害保険ジャパン株式会社と共同でリスクファイナンスを含む総合リスクマネジメントを実施しています。しかしながら、これらの対策が石油及びLPガスの漏洩等の事故及びそれによる損失の可能性を無にするものではありません。
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、法定点検のほか、戸建て住宅向けに「ひまわり点検」として年1回のガス・灯油関連設備の点検を実施しています。また、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、石油漏出を早期発見するため、日々漏洩点検を実施すること等により設備の保安等と環境汚染に関するリスク低減に取り組んでいます。
B.グループ事業全般におけるリスク
(1)取引先の信用リスク
当社グループの販売形態には、卸売販売及び小売販売があります。卸売販売については主に掛売りをしており、2021年3月末現在の「受取手形及び売掛金」の残高は267億円であります。
これらの売上債権については、回収サイトの短縮化や、取引先の資金状況を勘案し一部現金による前受制により回収の早期化を図っています。また、コンピュータシステムによる与信等債権管理の徹底を行っています。さらに、当社グループは貸倒損失発生時に備え十分な引当金を計上していますが、予測不能な事態が生じた場合には、売上債権の回収に支障を来し、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、信用調査会社のデータベースに基づき、毎年、与信枠を設定することで与信管理を徹底し、与信枠を増枠する場合は、個別に決裁すること等により取引先の信用リスク低減に取り組んでいます。
(2)外国為替変動リスク
当社グループは、主に、国内において円建による取引を行っていますが、シナネン株式会社の石油製品の輸出入及びシナネンサイクル株式会社の自転車の輸入、株式会社シナネンゼオミックの抗菌剤の輸出については一部外貨建で取引を行っています。このため、当社グループの業績が外国為替の変動に影響を受けることがあります。当社グループは、為替変動リスクを軽減するためヘッジ取引を行っていますが、必ずしもこれを完全に回避できるものではありません。
また、主力商品である石油類及びLPガスについては主に国内元売会社から仕入れていますが、原油やLPガスの輸入価格が、為替の変動により間接的に当社グループの仕入価格に影響を及ぼすというリスクを有しています。
外国為替取引においては、為替予約や想定為替レートを設定し、ヘッジ取引により外国為替変動によるリスク低減に取り組んでいます。
(3)固定資産の評価に関するリスク
当社グループは、主にエネルギー事業に係る資産として、石油類卸売設備、LPガス充填設備及びガソリンスタンド設備並びにこれらの設備を使用するための土地を保有しており、有形固定資産の2021年3月末現在の帳簿残高は309億円となっています。当社グループはこれまで非効率資産の売却を進め、財務体質の強化に努めています。
設備投資につきましては、回収可能性を十分に検討したうえで実行し、定期的に回収可能額の評価を行いますが、その結果、新たに減損損失が発生するリスクを有しています。
当社グループでは、第二次中期経営計画において、資本効率の改善を定性目標として掲げています。事業の効率化を進め、利益率を向上させること、低稼働資産を有効活用し、収益をあげること等により固定資産の評価に関するリスク低減に取り組んでいます。
(4)投資等に係る潜在的リスク
当社グループは経営基盤の強化を図るため、子会社または関連会社の設立、外部との資本提携等を行っていく可能性があります。投資等にあたっては投資リスク等を勘案したうえで決定し、その後定期的に投資価値のチェックにより回収可能性の判断を行っています。その際、必要があれば回収不能額を見積り、引当金等を計上する方針でありますが、投資先の経営成績及び財政状態が予想以上に悪化した場合には、当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。
また、当社は、取引の関係や提携の強化・円滑化を図る政策的な理由等から株式を長期間保有しています。これらの株式の一部については、減損処理を行っていますが、その後の投資先の経営成績及び財政状態並びに株価の推移等から投資価値は十分にあると認識しています。しかしながら、日本経済の動向及び海外情勢等に予測し難い事態が生じた場合には、株価下落により評価損が発生し、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、株式等の取得にあたっては、事前に投資の適正性を評価する「事前審査委員会」と代表取締役社長の意思決定に関する諮問機関としての「経営会議」を設置しています。それらの機関での検討内容を参考にして、最終的な意思決定をすることにより投資等に係るリスク低減を進めています。また、投資後についても、一定期間モニタリングを継続し、事前に定めた撤退審議基準に抵触した場合は、その改善を指示し、あるいは撤退・売却を指示すること等によりリスク低減を進めています。
(5)新規事業に参入するリスク
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)においては、新規事業として新型マイクロ風車関連事業を行うSinagy Revo株式会社が、2021年3月より埼玉県さいたま市で実証実験を開始し、本格販売開始に向けた取り組みに注力しております。また、韓国にて参画した大型風力発電事業は、開発許可を待つ状況にあります。
非エネルギー及び海外事業においては、シェアサイクル事業のシナネンモビリティPLUS株式会社は、大手ホームセンターやスーパーマーケット等新たな連携先の拡大や地方自治体との実証実験等により、首都圏を中心にシェアサイクルサービス「ダイチャリ」の拠点開発を推進しました。また、2020年10月に小田急グループとの取り組みとして、世田谷エリアの駅周辺にてMaaS(注)の実現に向けた実証実験を開始しました。なお、2021年3月末現在、ステーション数は1,800カ所を超え、設置自転車数も8,200台超へ増加するなど、シェアサイクル事業者として、国内有数の規模となっています。
このように当社グループは、新規収益源の発掘・育成を積極的に推進していきますが、事業環境の変化によっては、新規事業が期待通りの成長を遂げられず、予想通りの収益を計上できない可能性があります。また、将来においてこれらの新規事業の業績が当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、投資等に係る潜在的リスクと同様に「事前審査委員会」「経営会議」のプロセスを経ること、新規事業のフィジビリティスタディ(実行可能性評価)を事前に実施すること等により新規事業の参入リスク低減に取り組んでいます。また、投資後についても、投資等に係る潜在的リスクと同様のモニタリングを実施することによりリスク低減に取り組んでいます。
(注)MaaSとは、Mobility As A Serviceの略で、車や人の移動に関するデータを活用することで需要を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスのこと。
(6)海外進出に潜在するリスク
当社グループでは、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)において、2020年度より新たな事業展開として韓国にて90MW相当の大型風力発電事業に参画をしています。
また、株式会社シナネンゼオミックの製造する抗菌剤「ゼオミック」について、EPA(米国環境保護庁)及びFDA(米国食品医薬品局)等の認可を取得し、米国をはじめ欧州、中国、韓国及び東南アジア等に販売活動を進めています。
以上のように当社グループは海外事業への進出も行っていますが、法律または関税等の貿易取引制度の改正、政治的・経済的変動、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等のリスクが内在しています。
なお、ブラジルにおいて2012年より、バイオマス燃料の製造・販売事業に取り組んできましたが、第二次中期経営計画で進めている事業の選択と集中の一環として、今後の事業計画の評価を行った結果、当社グループの投資基準を上回る収益が見込めないと判断し、株式譲渡により、2021年度内に同事業から撤退することを決定しております。
当社グループでは、海外進出において、政治動向、経済動向、法制度、(優遇)税制等を事前に調査・評価することにより海外進出に関するリスク低減に取り組んでいます。
(7)製品の品質及び安全に関するリスク
当社グループは、抗菌事業、環境・リサイクル事業、自転車等の輸入販売事業その他の事業において製造、販売をしています。製品の生産開始以来、品質管理には十分留意しており、製造物責任法(PL法)の施行後は、生産物責任賠償保険に加入し事故発生による費用負担の低減を図っています。また、消費生活用製品安全法に基づき、製品の安全な使用方法に関する周知徹底を図るとともに事故発生時の対応強化に努めています。
しかしながら、今後大規模な製品回収や製造物責任が問われる不測の製品事故等が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
抗菌事業の株式会社シナネンゼオミックでは、2002年4月にISO9001の認証を取得した上で、社内の品質監査体制を強化しています。また、各事業会社において、品質管理を担当する部署を設置すること等により製品の品質及び安全に関するリスク低減に取り組んでいます。
(8)個人情報の取り扱いについて
当社グループは、エネルギー事業に係るLPガス及び都市ガスの消費者データ、またガソリンスタンド利用者のカード決済用データに関する個人情報等を保有しています。このような個人情報等を保護するために、リスク・コンプライアンス委員会を設置するとともに、従業員等に向けた個人情報保護に関する教育プログラムの実施、暗号化等の情報セキュリティシステムの導入、各種規程の制定等を行っています。
しかしながら、何らかの原因により個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループに対する信用が失われ、その結果、売上高の減少等により当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、個人情報保護方針、個人情報保護規程を制定し、個人情報の取り扱いに関するリスク低減に取り組んでいます。また、システム事業の株式会社ミノスはプライバシーマーク認定事業所であるほか、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格である「ISO/IEC27001:2013・JISQ27001:2014」を取得し、リスク低減に取り組んでいます。
(9)自然災害等に関するリスク
当社グループは、石油卸売設備、LPガス充填設備及びガソリンスタンド設備等のエネルギー事業の設備、抗菌事業の製造設備、自転車事業の倉庫や店舗(在庫を含む)、シェアサイクル事業の自転車やステーション設備等の資産を所有しています。これらの設備が大規模な台風、地震、津波、洪水等の自然災害等により被災した場合、正常な事業活動ができなくなり、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、充填施設等、事業継続のため中核施設には非常用電源を設置し、自然災害等の被災に備えています。また、建物は免震、耐震、制震構造とすることにより自然災害に関するリスク低減に取り組んでいます。
(10)新型コロナウイルス感染症に関するリスク
当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、事業によってその影響や程度が異なるものの、全体として重要な影響はありませんでした。当社グループの主力事業は、日常の生活に必要とするエネルギーの供給事業であるため、消費量が大きく変動することが少なく、今後も影響は限定的であると見込んでいます。
なお、ライフライン事業者として、事業継続にあたり、マスク着用、手洗い、消毒、検温、時差出勤等の感染予防措置を徹底すること等によりリスク低減に取り組んでいます。また、本社部門(管理、営業等)については、新型コロナウイルスの感染拡大に対応して、テレワークを進め、パソコン等を利用した社内外のコミュニケーションを実施しています。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により厳しい状況が続く中、政府の経済支援策の効果などもあり、個人消費、企業収益ともに一旦持ち直しの動きが見られました。しかしながら、同感染症の再拡大による緊急事態宣言の再発出により個人消費が弱含みの動きを見せるなど、景気の先行きは予断を許さない状況が依然として続いています。
国内エネルギー業界においては、年度初めに大きく下落していた原油価格・プロパンCPは、同感染症のワクチン普及への期待感やOPECプラスの協調減産などが相場を下支えし上昇基調で推移した結果、先行して回復したプロパンCPに続き、年度末には原油価格についても同感染症拡大前の水準に回復しました。国内需要においては、寒波の影響もあり下期は堅調に推移したものの、全体としては、少子高齢化の進展、省エネ機器の普及やライフスタイルの変化などにより、減少傾向が継続しています。
このような環境の中、当社グループは、当連結会計年度より第二次中期経営計画をスタートさせ、ROE6.0%以上とする定量目標と3つの定性目標(①資本効率の改善、②持続的成長を実現する投資の実行、③社員の考え方・慣習・行動様式の変革)を達成するための取り組みを進めてきました。
具体的には、資本効率の改善に向け、当社が保有する東京都品川区の固定資産を譲渡したことに加え、ミライフ西日本株式会社が運営する愛媛県新居浜市の営業拠点を事業譲渡しました。持続的成長を実現する投資の実行としては、新型マイクロ風車関連事業やシェアサイクル事業など新規事業への継続投資を実行しました。また、社員の考え方・慣習・行動様式の変革に向けては、2020年11月に社長直下のグループ改革推進室を新設するなど、風土改革プロジェクトを本格開始しました。
その結果、当連結会計年度の業績については、売上高2,171億22百万円(前年同期比8.4%減)、営業利益29億35百万円(前年同期比19.6%増)、経常利益30億23百万円(前年同期比37.2%増)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に特別利益として計上した投資有価証券売却益の反動減等もあり、27億17百万円(前年同期比9.1%減)となりました。また、当連結会計年度のROEは5.5%となりましたが、引き続き、第二次中期経営計画における目標数値であるROE6.0%以上を持続的に生み出す事業構造を確立すべく、資本効率の向上に取り組んでいきます。
セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。
『エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)』においては、主力の「LPガス・灯油販売」において、営業権買収等のМ&Aを中心とする収益基盤の強化と拡大に取り組んできましたが、買収案件が想定を下回りました。また、原油価格やプロパンCPの低下による販売単価の下落に加えて、夏場の平均気温が平年と比較して高かったことなどによる販売数量の減少により、減収となりました。その一方、利益面に関しては、寒冷地を中心に差益が改善したことなどにより、前年同期比で大幅な増益となりました。
なお、当連結会計年度より、西日本エリアにおいても家庭向け電力販売事業を開始したほか、関東エリアでは水回りリフォーム専門店を新たに2店舗オープンするなど、新たな収益源確保に向けた取り組みも推進しました。
以上の結果、当連結会計年度におけるエネルギー卸・小売周辺事業の売上高は629億94百万円(前年同期比12.8%減)、営業利益は9億63百万円(前年同期比25.7%増)となりました。
『エネルギーソリューション事業(BtoB事業)』においては、主力の石油事業で、同感染症拡大による産業用エネルギー等の需要低迷があったものの、春先の低温や年末年始の寒波到来などから需要が増加し、前連結会計年度を上回る販売数量を確保しました。その一方、原油価格やプロパンCPの低下に伴う販売単価の下落により、減収を余儀なくされました。利益面に関しては、原油市況の変動に対応した仕入施策を徹底したことで差益を確保し、前年同期比増益で着地しました。
また、既存の石油販売施設の軽油出荷能力を増強したオイルスクエアの利用率が向上しており、強みを持つ灯油販売に加え、軽油販売にも注力しました。法人向けを中心とした電力販売事業では、契約電力量が伸長したほか、電源構成の最適化による原価低減に取り組んできました。なお、新規事業として推進している新型マイクロ風車関連事業においては、2021年3月より、埼玉県さいたま市で実証実験を開始するなど、本格販売開始に向けた取り組みにも注力しました。また、韓国にて参画した大型風力発電事業は、開発許可を待つ状況にあります。
以上の結果、当連結会計年度におけるエネルギーソリューション事業の売上高は1,359億98百万円(前年同期比8.8%減)、営業利益は8億92百万円(前年同期比8.8%増)となりました。
『非エネルギー及び海外事業』においては、自転車事業のシナネンサイクル株式会社は、同感染症拡大の影響で新入学等の需要が当第1四半期にずれ込んだことなどから販売が順調に推移したほか、プライベートブランド車の拡販や不採算店舗の閉店を進めるなど収益力の改善に努めました。
シェアサイクル事業のシナネンモビリティPLUS株式会社は、大手ホームセンターやスーパーマーケットなど新たな連携先の拡大や地方自治体との実証実験等により、首都圏を中心にシェアサイクルサービス「ダイチャリ」の拠点開発を推進しました。また、2020年10月に小田急グループとの取り組みとして、世田谷エリアの駅周辺にてMaaS(注)の実現に向けた実証実験を開始しました。なお、2021年3月末現在、ステーション数は1,800カ所を超え、設置自転車数も8,200台超へ増加するなど、シェアサイクル事業者として、国内有数の規模となっています。
環境・リサイクル事業のシナネンエコワーク株式会社は、同感染症拡大の影響で建設工事が中断するなど建築廃材の発生が減少傾向にある中、コスト抑制など収益確保の施策が奏功しました。
抗菌事業の株式会社シナネンゼオミックは、世界的な同感染症拡大を受けて、北米のマスク・手術衣向け抗菌剤の受注が大幅に拡大するなど、好調に推移しました。下期に北米向け需要は一段落したものの、急増した国内外からの問い合わせに対応すべく、設備を増強し増産体制を整えました。また、展示会への出店などマーケティング活動を強化し、認知度の向上及び販路の開拓・拡大に努めてきました。
システム事業の株式会社ミノスは、主力のLPガス販売管理システムの安定的な貢献に加え、電力自由化に対応した顧客管理システム(電力CIS)の利用件数が大幅に伸長するなど、好調に推移しました。また、開発の内製化率を高めるなどコストコントロールを進め、生産性の向上に向けた取り組みを実行しています。
建物維持管理事業の中核となるタカラビルメン株式会社は、同感染症拡大に伴い管理する施設の休業があったものの、病院等向けの感染症対策消毒の受注が増加するなど、全体としては前期並みの売上水準を確保しました。その一方、人員確保に向けた取り組みとして、労務環境の改善を進めました。
ブラジルのバイオマス事業では、多年草CAPIMを活用した民生用炭の販売を行っていますが、ブラジルでの同感染症拡大が継続しており、低調に推移しました。同事業に関しては、第二次中期経営計画で進めている事業の選択と集中の一環として、今後の事業計画の評価を行った結果、当社の投資基準を上回る収益が見込めないと判断し、株式譲渡により、2021年度内に同事業から撤退することを決定しました。
以上の結果、当連結会計年度における非エネルギー及び海外事業の売上高は177億81百万円(前年同期比15.4%増)、営業利益は2億43百万円(前連結会計年度は営業損失50百万円)となりました。
(注)MaaSとは、Mobility As A Serviceの略で、車や人の移動に関するデータを活用することで需要供給を最適化し、移動に関する社会課題の解決を目指すサービスのこと。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、97億65百万円(前年同期比32.2%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は、79億47百万円(前年同期は5億69百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が47億25百万円、減価償却費が28億58百万円、固定資産売却益が21億66百万円、売上債権の増加が27億55百万円、及び仕入債務の増加が61億71百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動の結果得られた資金は、36百万円(前年同期は10億94百万円の支出)となりました。この主な要因は、固定資産の売却による収入21億87百万円、固定資産の取得による支出26億65百万円、長期貸付金の回収による収入2億6百万円、事業譲渡による収入3億15百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は、55億4百万円(前年同期は7億78百万円の支出)となりました。この主な要因は、短期借入金の減少額32億32百万円、長期借入金の返済による支出14億91百万円及び、配当金の支払額8億16百万円等によるものです。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
|
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
50.3 |
51.6 |
53.1 |
52.9 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
30.3 |
25.1 |
31.4 |
34.2 |
|
キャッシュ・フロー |
2.0 |
1.8 |
18.2 |
0.7 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
43.5 |
44.6 |
5.1 |
65.4 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
a.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式を除く)により算出しています。
c.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し、利払いは同計算書の利息の支払額を使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーの合計額を対象としています。
③ 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比増減率(%) |
|
|
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業) |
62,994 |
△12.8 |
|
|
エネルギーソリューション事業(BtoB事業) |
135,998 |
△8.8 |
|
|
非エネルギー及び海外事業 |
17,781 |
15.4 |
|
|
その他・調整額 |
347 |
66.4 |
|
|
連結合計 |
217,122 |
△8.4 |
|
(注)上記金額には、消費税等が含まれていません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 概観
当社では、2014年8月に経済産業省より公表されたいわゆる「伊藤レポート」を契機に、資本効率を意識した企業価値経営への転換を図り、長期的な株主価値の向上に資するべきと考えています。そこで、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの動向を検討する上では、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として位置付け、第二次中期経営計画においてもROE6.0%以上を定量目標として掲げています。
重要な経営指標の推移は下記のとおりです。
ROE向上に向けては、ROEの構成要素のうち、収益性と効率性の改善を優先的に取り組むこととしています。第二次中期経営計画においても、資本効率の改善を定性目標の1つとして掲げ、既存事業の利益率の向上策に加え、低効率資産の活用・売却のほか、事業の選択と集中を強力に推進しています。なお、ROEの構成要素を2017年3月期(比較基準年:第一次中期経営計画前年度)と比較すると、2021年3月期は当社が保有する固定資産の譲渡に伴う特別利益の計上もあり当期純利益率が高まり、収益性は向上しました。また、効率性(総資産回転率)も改善した一方、財務レバレッジは低下し、2021年3月期のROEは5.5%となりました。引き続き、第二次中期経営計画における目標数値であるROE6.0%以上を持続的に生み出す事業構造を確立すべく、企業価値の向上に取り組んでいきます。
② 経営者による財政状態の分析
流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は496億25百万円となり、前連結会計年度末と比較して53億1百万円増加いたしました。
増加した主な要因は、当社が保有する東京都品川区の固定資産の売却等により、現金及び預金が23億10百万円、年度末にかけて販売単価が上昇したこと等により、受取手形及び売掛金の売上債権が27億53百万円増加したことによるものです。
固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は472億9百万円となり、前連結会計年度末と比較して9億21百万円増加いたしました。
増加した主な要因は、東京都品川区に建設中の新社屋等の建設仮勘定が13億33百万円増加したことによるものです。
流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は355億7百万円となり、前連結会計年度末と比較して40億72百万円増加いたしました。
増加した主な要因は、返済による短期借入金の減少が33億27百万円あった一方で、仕入単価が上昇したこと等により、支払手形及び買掛金が61億71百万円増加したことによるものです。
固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は94億21百万円となり、前連結会計年度末と比較して9億33百万円減少いたしました。
減少した主な要因は、長期借入金が11億円減少したことによるものです。
純資産
当連結会計年度末における純資産は、利益剰余金の配当により8億15百万円減少した一方で、その他有価証券評価差額金が前連結会計年度末と比較して12億66百万円増加したこと、親会社株主に帰属する当期純利益が27億17百万円であったことから、前連結会計年度末と比較して30億83百万増加したため、519億5百万円となりました。
以上により、自己資本比率は前期と比較して0.2ポイント減少し、52.9%となりました。
③ 経営者による経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高2,171億22百万円(前年同期比8.4%減)、営業利益29億35百万円(前年同期比19.6%増)、経常利益30億23百万円(前年同期比37.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益27億17百万円(前年同期比9.1%減)となりました。
売上高
当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメント別の売上高及びその増減は以下のとおりです。
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|
エネルギー卸・小売周辺事業 |
72,271 |
62,994 |
△9,277 |
|
エネルギーソリューション事業 |
149,141 |
135,998 |
△13,142 |
|
非エネルギー及び海外事業 |
15,415 |
17,781 |
2,366 |
|
その他・調整額 |
208 |
347 |
138 |
|
連結合計 |
237,036 |
217,122 |
△19,914 |
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高は629億94百万円(前年同期比12.8%の減少)となりました。これは主に、夏場の平均気温が平年と比較して高かったことなどによる販売数量の減少に加え、原油価格やプロパンCPの下落による主力の石油類・ガスの販売単価が低下したことによります。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高は1,359億98百万円(前年同期比8.8%の減少)となりました。堅調な灯油を中心に石油類の販売数量は前年同期を上回ったものの、BtoC事業と同様に原油価格等の低下に伴う販売単価の下落が、主な要因です。
非エネルギー及び海外事業の売上高は177億81百万円(前年同期比15.4%の増加)となりました。これは主に、2020年3月にグループ化した株式会社サンフィールの貢献に加え、シェアサイクル事業におけるステーションと自転車数の増加と利用率の向上、抗菌事業における北米向け抗菌剤の好調な販売によります。
その他・調整額の売上高は3億47百万円(前年同期比66.4%の増加)となりました。これは主に、東京都港区の旧本社ビルの賃貸を開始したことによります。
売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は338億40百万円(前年同期比3.3%の増加)となりました。これは主に、主力の石油類・ガスの差益が改善したことによります。
販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は309億5百万円(前年同期比1.9%の増加)となりました。これは主に、新たにグループ化した株式会社サンフィールを中心に人件費が増加したことに加え、新規事業(シェアサイクル事業・小型風力発電システム販売事業など)における支払手数料が増加したことによります。
営業利益
当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメント別の営業利益及びその増減は以下のとおりです。
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|
エネルギー卸・小売周辺事業 |
766 |
963 |
196 |
|
エネルギーソリューション事業 |
819 |
892 |
72 |
|
非エネルギー及び海外事業 |
△50 |
243 |
293 |
|
その他・調整額 |
918 |
836 |
△81 |
|
連結合計 |
2,454 |
2,935 |
481 |
エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の営業利益は9億63百万円(前年同期比25.7%の増加)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大により営業活動が変化したことで営業関連費用が減少したことに加え、販売数量の低下に伴い物流費が減少したことによります。
エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の営業利益は8億92百万円(前年同期比8.8%の増加)となりました。これは主に、原油市況の変動に対応した仕入施策を徹底したことで石油類の差益を確保したことによります。
非エネルギー及び海外事業の営業利益は2億43百万円(前連結会計年度は営業損失50百万円)となりました。営業利益が増加した主な要因は、抗菌事業における北米向け抗菌剤の好調な販売に伴う大幅増益に加え、システム事業において電力CIS(電力自由化に対応した顧客管理システム)が堅調に推移したことによります。
その他・調整額の営業利益は8億36百万円(前年同期比8.9%の減少)となりました。これは主に、当社の人件費の増加によります。
営業外収益及び営業外費用
当連結会計年度の営業外収益は6億32百万円(前年同期比12.0%の減少)となりました。これは主に、保険返戻金の減少によります。
また、当連結会計年度の営業外費用は5億43百万円(前年同期比43.8%の減少)となりました。これは主に、貸倒引当金繰入額の減少とデリバティブ損失の減少によります。
経常利益
上記の結果、当連結会計年度の経常利益は30億23百万円(前年同期比37.2%の増加)となりました。
特別利益及び特別損失
当連結会計年度の特別利益は、当社が保有する東京都品川区の固定資産の売却益を21億57百万円計上したこと等により、25億58百万円(前年同期比16.3%の減少)となりました。特別利益が減少した主な要因は、前期あった投資有価証券売却益の消失に加え、前期グループ化した三河品川燃料株式会社の株式の段階取得に係る差益が消失したことによります。
また、当連結会計年度の特別損失は8億56百万円(前年同期比215.8%の増加)となりました。これは主に、ブラジルのバイオマス事業撤退に伴う事業整理損の計上によります。
税金等調整前当期純利益
上記の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は47億25百万円(前年同期比5.2%の減少)となりました。
法人税等
当連結会計年度の法人税等は20億19百万円で、前連結会計年度の19億88百万円とほぼ同額となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は27億17百万円(前年同期比9.1%の減少)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る状況
ⅰ キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況・分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要② キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
ⅱ 資金需要
当社グループでは、今後、第二次中期経営計画に掲げる「資本効率の改善」や「持続的成長を実現する投資の実行」のため、M&Aや営業権の買収、国内外での再生可能エネルギー事業や小型風力発電システム販売事業等の新規事業開発のための積極投資など、継続的な資金需要が見込まれています。それらを実行するための資金調達にあたりましては、韓国の大型陸上風力発電事業ではプロジェクトファイナンスによる資金調達を進めるほか、社債の発行、新たな借入金、自己株式の活用等の状況に応じて多様な資金調達ができるよう体制を整えています。
ⅲ 財務政策
当社グループは現在、運転資金については、当社および一部の連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っています。借入による資金調達に関しては、一時的な不足資金は、金融機関からの短期借入を行っております。また長期的な資金の需要に対しては必要に応じて金融機関からの長期借入等を行っています。
⑤ 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の業務用エネルギー、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の産業用エネルギー、環境・リサイクル事業、建物維持管理事業においてマイナス影響があった一方、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の家庭用エネルギー、抗菌事業、シェアサイクル事業においてプラス影響がありましたが、グループ全体としては限定的な影響にとどまりました。
会計上の見積りを行うに際し、同感染症拡大が今後の見通しに与える影響について検討した結果、当社グループの主力事業は、生活に必要なエネルギーの供給事業のため消費量が大きく変動することが少なく、グループ全体としての影響は限定的であり、見積りに重要な影響を与える変動は見込んでいません。
繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。
将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。
固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
貸倒引当金
当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を勘案し回収不能見込額を計上しています。
取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。
当社グループの当連結会計年度における研究開発費は
連結子会社である株式会社シナネンゼオミックは、抗菌・殺菌、消臭及び吸着の各技術に関する研究開発を行っています。
抗菌技術に関しては、プラスチックや塗料等の汎用製品向けに、従来の抗菌剤ゼオミックの課題であった変色問題を大幅に改善した、新規低変色性ゼオミックを製品化しました。
また、新型コロナウイルス感染の広がりを受け、市場では抗ウイルス加工製品のニーズが高まっておりますが、抗菌剤ゼオミックを配合したプラスチック製品が、新型コロナウイルス(SARS-Cov-2)に対して抗ウイルス効果を発揮することが確認されました。
水中の微生物抑制を目的としたUV-LED殺菌モジュールの用途開発については、当連結会計年度に実用化し、販売を開始しました。
一方、吸着技術については、既に製品化した鉛吸着剤の大量生産技術について研究を進めるとともに、様々な顧客ニーズに応えるべく、ヒ素・フッ素等他の有害物質をターゲットにした新たな吸着除去剤の研究も、継続しています。