第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで、地域すべてのお客様の快適生活に貢献する」ことを経営理念として、環境に優しいエネルギーを安全に、かつ安定的にお届けするとともに、お客様の快適な住まいと暮らしを実現することを目指しています。

 また、経営理念実現のため、社是である「信義・進取・楽業」を行動憲章として定めています。

 

「信義」…社会的責任の実践

 約束を守り人の信頼に応え、責任を重んじて自らの務めを果たすということが「信義」の考えであり、当社グループの経営の根幹です。

 

「進取」…新たな価値の創造

 あらゆる困難を退けて前進し、グループの存在価値を高めていくということが「進取」の考えであり、当社グループの事業に対する基本的な精神です。

 

「楽業」…こころ豊かな行動

 働く喜びを感じ、仕事の中に楽しさを見出し、様々な方々と幅広い交流を図りながら、自らの人格を高めていくということが「楽業」の考えであり、当社グループの社員像を表しています。

 

(2)中長期的な経営戦略(第二次中期経営計画)

 当社グループは、創業100周年の2027年度に向け、2020年度より3カ年の第二次中期経営計画をスタートさせました。なお、第二次中期経営計画は、第三次中期経営計画での躍進に向けた基盤整備と位置付けています。

 

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計画スローガン

Challenging New Worlds with Big Sky-thinking ~大胆な発想で新しい世界への挑戦~

 

基本方針

持続的な成長を続ける組織となるための基礎固め

 

定性目標

① 資本効率の改善

ⅰ 既存事業の利益率向上 :効率化による利益率・資本効率の向上

ⅱ 低効率資産の活用・売却:遊休・低稼働資産の有効活用、売却の検討

ⅲ 既存事業の選択と集中 :資本効率の低い事業を撤退・売却し、資本効率の高い事業に集中

② 持続的成長を実現する投資の実行

ⅰ 既存事業の拡大投資 :既存事業の収益基盤強化のためのM&A、建物維持管理事業のM&Aの実行

ⅱ 新規事業への戦略投資:シェアサイクル事業・再生可能エネルギー事業・新規事業への積極投資の実行

ⅲ 基幹システムの整備 :事業の多様化、環境変化に対応した基幹システムの高度化の実現

 

③ 社員の考え方・慣習・行動様式の変革

ⅰ 風土・体質改善 :個人・組織の常識や慣習を見直し、VUCA(注1)時代に対応できるマインドを醸成

ⅱ 働き方改革の推進:社員が職を楽しみ、生き生きと働き続けられるような環境の整備

ⅲ 人材育成・登用・配置転換

  :アントレプレナーシップ(注2)と多様な人財を育成するための仕組み作りの実現

 

(注1)VUCAとは、「Volatility(不安定性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(不透明性)」の頭文字をつなげた言葉で予測不能な時代を表す言葉のこと。

(注2)アントレプレナーシップとは、起業家精神とも言われ、チャレンジ精神・主体性を持ち、全体最適でものごとを捉えて行動できる社員のこと。

 

2022年度(2023年3月期)数値目標

「ROE6.0%以上」を定量目標とし、持続的に「ROE6.0%以上」を生み出す事業構造の確立

 この定量目標は、第三次中期経営計画(2023年度~)における、更なるROEの向上に向けたマイルストーン(中間達成目標)としての位置づけです。

 

セグメント戦略

 セグメントごとの主な戦略は次の通りです。

 

〔エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)〕

① 営業権買収・ガス事業者のM&Aなどによる主力の「LPガス・灯油販売」の顧客基盤の維持拡大

② 物流アライアンスの推進、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)を活用した業務効率化

③ ガスと電気のセット販売の推進、取次店方式などを活用した電力販売の強化

④ 水回りリフォーム専門店や空き家管理サービスの拡充など新規事業の推進

 

〔エネルギーソリューション事業(BtoB事業)〕

① 軽油販売や灯油宅配など川下事業強化による石油事業の利益率向上

② 取次店開拓や環境配慮型電力メニュー拡充による電力事業の販売拡大

③ 太陽光関連事業における製販一体化による新商材、新販路の開発

④ 国内外での新型マイクロ風車搭載製品の開発・製造・設計・販売などの推進

⑤ アジアを中心とした風力発電事業など再生可能エネルギー電源の開発

 

〔非エネルギー及び海外事業〕

① 自転車事業     :プライベートブランドの拡販、小売店ダイシャリンの収益構造改革

② シェアサイクル事業 :ターゲットエリアでのステーション開発、データを活用した運営の効率化

③ 環境・リサイクル事業:木質チップ工場の安定稼働・業務効率化に加え、新たなバイオマス燃料事業の開発

④ 抗菌事業      :抗菌・消臭の総合ソリューション事業への変革、鉛吸着剤等の新規事業開発

⑤ システム事業    :主要機能強化による顧客件数の伸長、IoTを活用した新規事業開発

⑥ 建物維持管理事業  :関東全域への事業エリア拡大、設備工事・保守事業への展開

 

株主還元・配当方針

 連結配当性向30%以上を目安に安定的な配当を実施してまいります。

 

2018年3月期

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

1株あたり配当金

75.0円

75.0円

75.0円

75.0円

75.0円

1株あたり当期純利益

231.13円

146.00円

274.84円

249.83円

228.33円

連結配当性向

32.4%

51.4%

27.3%

30.0%

32.8%

 

(3)第二次中期経営計画の進捗状況

 第二次中期経営計画の進捗状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(4)対処すべき課題

〔事業改革、脱炭素社会への取り組み〕

 当社グループの主力事業である石油・ガス事業を取り巻く環境は、国内人口の減少、省エネ機器の普及、ライフスタイルの変化などによりエネルギー需要の減少傾向が続き、引き続き厳しい状況にあります。また、世界的な脱炭素・SDGsへの意識の高まりに加えて、国内でも2050年カーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速する中、総合エネルギーサービス企業グループとして責任ある対応が強く求められています。

 当社グループでは、こうした経営環境の変化や時代の潮流に対応すべく、前連結会計年度より、「Challenging New Worlds with Big Sky-thinking ~大胆な発想で新しい世界への挑戦~」をスローガンとした第二次中期経営計画をスタートさせました。本中期経営計画においては、既存事業の選択と集中、低効率資産の活用・売却による資本効率の改善を推進するとともに、シェアサイクル事業や再生可能エネルギー事業など新規事業への戦略投資を実行し、持続的成長を可能にする事業構造の確立を目指しています。

 当連結会計年度(2022年3月期)は、新規事業への戦略投資に加えて、DX推進に向けたIT関連投資を促進し、第三次中期経営計画での更なる飛躍と躍進に向けた基盤整備を実行しました。また、本年4月より、グループ全体の成長性向上に向け、脱炭素社会に向けた取り組みを強化すべく、社長直下の「成長戦略部」内に「サステナブル推進チーム」を新設しました。引き続き、脱炭素社会に向けた取り組みを通じ、企業価値の向上を目指していきます。

 

〔風土改革、働き方改革〕

 当社グループでは、前連結会計年度よりスタートさせた第二次中期経営計画の定性目標の一つである「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」に向け、風土改革と働き方改革を推進しています。

 2020年11月には、専門部署として「グループ改革推進室」を新設し、グループ全体で様々な取り組みを進めています。

 当連結会計年度は、2027年の創業100周年に向けた組織ビジョンとして、「Spiral Up Company~情熱とワクワクのエネルギー好循環組織~」を掲げ、活動を深化させました。組織ビジョンの共有のため、グループ全社員に向けたオンラインミーティング、組織風土調査、マネジメント研修など、各種取り組みを着実に実行しています。

 今後は、自由闊達な組織風土を形成し、アントレプレナーシップ(起業家精神)を持った社員を育成していきます。

 また、風土改革と連動する働き方改革においても、「ワークライフバランス実現」「多様な働き方推進」「キャリア開発」「仕事の質向上」をテーマに掲げ、取り組みを進めています。

 今後は、業務効率化・各種制度の整備やデジタル化の推進などを通じて働きやすさを向上させると共に、社員一人ひとりが自らの人生や働き方を見つめ直し、主体的にキャリアを形成していける機会を創出し、働きがいも向上させていきます。

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〔コーポレート・ガバナンスの強化〕

 当社グループは、経営の透明性と健全性を確保し、意思決定と執行の迅速化を進めることにより、継続的に企業価値を高めていくことが、コーポレート・ガバナンスの基本であり、経営の重要課題の一つであると認識しています。2015年に持株会社体制へ移行した後、下記のとおり、年々、コーポレート・ガバナンス強化の取り組みを実行しています。

 当連結会計年度は、当社グループの中長期的な企業価値の向上に向けて、企業価値を持続的に高めるインセンティブを付与するとともに、株主の皆様との価値共有を進めることを目的に、譲渡制限付株式報酬制度を導入しました。

 急速な事業環境の変化に適応し、継続的な成長を維持していくために、引き続き、コーポレート・ガバナンスの強化に努めていきます。

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〔人材戦略〕

 当社グループでは、事業拡大を実現していくうえで、「人材」を最も重要な財産の一つと位置づけています。2020年には、年功序列を見直し役割を重視した新たな人事制度への改定を行い、適材適所を重視した人員配置を行うと共に、優秀な人材の確保に努めています。育成面についても、多様性を重んじ、機会差別のない階層別研修・選択型研修に加えて、意欲と能力を優先した選抜型研修を整備しています。

 本年4月より、従業員を財産に資する「人的財産」として尊重することを明確化するため、「人材開発チーム」の名称を「人財開発チーム」に変更しました。今後も引き続き、多様な人材が仕事と生活の調和を図りながら、最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでいきます。

 

〔DX(デジタルトランスフォーメーションの推進〕

 当社グループの事業領域である「エネルギー・住まい・暮らし」の分野では、IT化・自動化の余地が多く残されています。第二次中期経営計画においては、企業風土・文化、ビジネスモデルを変革するべく、グループ経営基盤の強化や業務効率化の重要施策としてDXを位置付けています。

 これまでに、当社グループでは、DXに関わる経営ビジョン・取り組みの方向性を実現するためのロードマップを下記のとおり、策定するとともに、ガバナンスとマネジメントの役割を分離し、意思決定と執行の透明化・迅速化を図るDX推進体制を整えてまいりました。当連結会計年度は、これらの取り組みが評価され、2021年12月に、経済産業省が定める「DX認定事業者」に選定されました。

 今後は、業務効率化という視点にとどまらず高付加価値サービスの創出も視野に入れ、DXへの取り組みを加速させ、企業価値の向上を図っていきます。

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〔グループ連携の推進〕

 当社グループは、当社、連結子会社37社、関連会社13社で企業集団を形成しています。各社においては、これまで自律的な意思決定を行うことで、スピード感のある事業経営を実現してきました。今後は、グループ各社の連携をより一層強化することで、グループ全体としてのシナジーを発揮し、収益の拡大と業務の効率性を追求していきます。

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況並びに株価等(以下「業績等」という。)、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。

 なお、記載中、将来に関する事項は当連結会計年度末(2022年3月31日)において判断したものであります。

 また、当社グループは、これらのリスクの回避、低減及び顕在化した場合の影響最小化への対応に努める方針であります。

 

A.当社グループの主力事業であるエネルギー事業に特有のリスク

(1)エネルギー業界を取り巻く環境の変化

 当連結会計年度の国内エネルギー業界においては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた第6次エネルギー基本計画が2021年10月に閣議決定されるなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。また、年度初めより上昇基調にあった原油価格・プロパンCPは、ウクライナ情勢など地政学的リスクの顕在化による供給不足の懸念が強まり、2014年以来の高値水準での推移となりました。一方、石油・ガスの国内需要は、少子高齢化の進展、省エネ機器の普及やライフスタイルの変化などにより全体としては減少傾向が継続しています。

 石油・ガス業界をとりまく環境は、供給側であるOPECプラスの産油量動向や中東情勢、需要側では大消費国である米国、中国、インド等の経済状況等が原油価格に大きな変動をもたらします。また、国内では環境意識の高まりや脱炭素社会に向けた官民をあげての取り組みにより、エネルギーの節約志向は今後一層強まるものと考えられます。これら原油価格の変動や国内市況並びにエネルギー環境の変化等が当社グループの業績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、原油価格等の変動や消費者の節約志向等には直接対応できないため、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、住設機器の販売や住宅向けリフォーム等の住まいと暮らしの事業の拡大等、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、太陽光発電設備のメンテナンス事業や国内外の再生可能エネルギー事業の拡大等の非石油・ガス事業への展開のほか、シェアサイクル事業等の非エネルギー事業への積極投資により業界環境変化のリスク低減に取り組んでいます。

 

(2)気温の変動によるリスク

 当社グループの主力となる事業は、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)であり、全セグメントの売上高のうち9割以上を占めています。このエネルギー事業については、基本的には気温の変動によるリスクを有しており、なかでも石油部門の主力商品である民生用灯油については、冬が最需要期であり、夏の使用量と比較して著しい格差があります。このため、暖冬により冬場の灯油の消費量が減少した場合、販売計画に狂いが生じ、また価格にも影響を及ぼすなど、気温の変動が当社グループの販売実績及び業績等に重要な影響を与える可能性があります。

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、冬場の気温に需要が左右される石油・ガスだけでなく、夏場に需要が増加する電力販売の拡大を進めると共に、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)における既存の石油販売施設について、建設機械やトラック等の燃料として年間を通じて需要の見込める軽油の出荷能力を増強したオイルスクエアへの移行等により気温の変動によるリスク低減に取り組んでいます。

 また、電力については世界的にLNGをはじめとする燃料の高騰を背景にした電力需給環境の変化が激しい状況が続いています。特に夏場と冬場の需要期において、電力卸売市場の高騰を受け業績に重要な影響を与える可能性がありますが、調達の多様化により、リスクの低減に取り組んでいます。

 

(3)エネルギー業界における競争の激化

 当社グループの属するエネルギー業界においては、規制緩和、環境問題、少子高齢化等の要因により、電力、石油、都市ガス、LPガス等の垣根を越えたエネルギー間競争が激化しています。「オール電化」「太陽光発電」「エネファーム」等のエコロジーと関連する商品群の開発・販売推進により、今後もこの傾向が続くものと予想されます。

 また、LPガス業界においては、LPガス消費者の獲得やそれに伴うLPガス価格の引き下げ等、同業者間の競争が激しくなっています。石油業界においても、ガソリンスタンド間の厳しい生き残り競争や民生用灯油の巡回販売、ホームセンター他の販売チャネル間の争い等、同業者間の激しい競争が続いています。

 こうしたエネルギー間競争及び同業者間競争の激化に加え、世界的な脱炭素・SDGsへの意識の高まりや国内でも2050年カーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速する中、総合エネルギーサービス企業グループとして責任ある対応が強く求められており、これらへの対応の遅れは当社グループの業績等に重要な影響を与える可能性があります。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、実質再生可能エネルギー100%の電気料金プランを提供しています。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、LPガス事業の営業権の買収や同業者のM&Aで事業基盤の維持拡大に努めています。また、石油・ガス・電気のエネルギーを取り扱い、セット販売等でお客様に継続してお取引いただけること等により競争激化に対するリスク低減に取り組んでいます。

 

(4)石油・LPガス設備の保安等と環境汚染に関するリスク

 当社グループは、「保安は全てに優先する」と考え、石油及びLPガス販売に係る設備等について、関係諸法規及び内部規定に基づき定期的に厳格な保安監査を実施しています。また、石油設備については石油漏出による環境汚染事故を防止するため損害保険ジャパン株式会社と共同でリスクファイナンスを含む総合リスクマネジメントを実施しています。しかしながら、これらの対策が石油及びLPガスの漏洩等の事故及びそれによる損失の可能性を無にするものではありません。

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、ガス関連設備について、法定点検に加えて、お客様の要望に応えた自主保安点検として戸建て住宅向けに「ひまわり点検」を実施しています。また、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、石油漏出を早期発見するため、日々漏洩点検を実施すること等により設備の保安等と環境汚染に関するリスク低減に取り組んでいます。

 

B.グループ事業全般におけるリスク

(1)取引先の信用リスク

 当社グループの販売形態には、卸売販売及び小売販売があります。卸売販売については主に掛売りをしており、2022年3月末現在の「受取手形及び売掛金等の売上債権」の残高は387億円であります。

 これらの売上債権については、回収サイトの短縮化や、取引先の資金状況を勘案し一部現金による前受制により回収の早期化を図っています。また、コンピュータシステムによる与信等債権管理の徹底を行っています。さらに、当社グループは貸倒損失発生時に備え十分な引当金を計上していますが、予測不能な事態が生じた場合には、売上債権の回収に支障をきたし、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、信用調査会社のデータベースに基づき、毎年、与信枠を設定することで与信管理を徹底し、与信枠を増枠する場合は、個別に決裁すること等により取引先の信用リスク低減に取り組んでいます。

 

(2)外国為替変動リスク

 当社グループは、主に、国内において円建による取引を行っていますが、シナネン株式会社の石油製品の輸出入及びシナネンサイクル株式会社の自転車の輸入、株式会社シナネンゼオミックの抗菌剤の輸出については一部外貨建で取引を行っています。このため、当社グループの業績が外国為替の変動に影響を受けることがあります。当社グループは、為替変動リスクを軽減するためヘッジ取引を行っていますが、必ずしもこれを完全に回避できるものではありません。

 また、主力商品である石油類及びLPガスについては主に国内元売会社から仕入れていますが、原油やLPガスの輸入価格が、為替の変動により間接的に当社グループの仕入価格に影響を及ぼすというリスクを有しています。

 外国為替取引においては、為替予約や想定為替レートを設定し、ヘッジ取引により外国為替変動によるリスク低減に取り組んでいます。

 

(3)固定資産の評価に関するリスク

 当社グループは、主にエネルギー事業に係る資産として、石油類卸売設備、LPガス充填設備及びガソリンスタンド設備並びにこれらの設備を使用するための土地を保有しており、有形固定資産の2022年3月末現在の帳簿残高は281億円となっています。当社グループはこれまで非効率資産の売却を進め、財務体質の強化に努めています。

 設備投資については、回収可能性を十分に検討したうえで実行し、定期的に回収可能額の評価を行いますが、その結果、新たに減損損失が発生するリスクを有しています。

 当社グループでは、第二次中期経営計画において、資本効率の改善を定性目標として掲げています。事業の効率化を進め、利益率を向上させること、低稼働資産を有効活用し、収益をあげること等により固定資産の評価に関するリスク低減に取り組んでいます。

 

(4)投資等に係るリスク

 当社グループは経営基盤の強化を図るため、子会社または関連会社の設立、外部との資本提携等を行っていく可能性があります。投資等にあたっては投資リスク等を勘案したうえで決定し、その後定期的に投資価値のチェックにより回収可能性の判断を行っています。その際、必要があれば回収不能額を見積り、引当金等を計上する方針ですが、投資先の経営成績及び財政状態が予想以上に悪化した場合には、当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループは、取引の関係や提携の強化・円滑化を図る政策的な理由等から株式を長期間保有しています。これらの株式の一部については、減損処理を行っていますが、その後の投資先の経営成績及び財政状態並びに株価の推移等から投資価値は十分にあると認識しています。しかしながら、日本経済の動向及び海外情勢等に予測し難い事態が生じた場合には、株価下落により評価損が発生し、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、事業投資や資産の取得等の投資について、適正性・収益性等を評価する「事前審査委員会」と代表取締役社長の意思決定に関する諮問機関としての「経営会議」を設置しています。それらの機関での検討内容を参考にして、最終的な意思決定をすることにより投資等に係るリスク低減を進めています。また、投資後についても、一定期間モニタリングを継続し、事前に定めた撤退審議基準に抵触した場合は、その改善を指示し、あるいは撤退・売却を指示すること等によりリスク低減を進めています。

 

(5)新規事業に参入するリスク

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)においては、新規事業として新型マイクロ風車関連事業を行うSinagy Revo株式会社が、研究機関の風洞実験で得られたデータを基に製品化に向けた取り組みを進めています。また、韓国にて参画した大型陸上風力発電事業は、新型コロナウイルス感染症拡大、地域住民の反対運動、一部設計の見直し等により開発許可の取得が大幅に遅れています。現時点では早期事業開始を前提とした取り組みを推進しておりますが、許容できる期間内に開発許可が取得できない場合や、その他の事由により当該事業の推進が困難となった場合への対応も含めて、計画の多方面に渡る見直しを行っています。

 非エネルギー及び海外事業においては、シェアサイクル事業のシナネンモビリティPLUS株式会社は、地域の移動に対する課題解決に寄与することを目標とし、地方自治体、大手コンビニエンスストア、鉄道事業者等と積極的に提携することにより、首都圏を中心にシェアサイクルサービス「ダイチャリ」のステーション開発を推進しました。なお、2022年3月末現在、ステーション数は2,200カ所、設置自転車数は10,000台に増加し、日本最大級のシェアサイクル事業者となりました。また、会社の従業員やマンションの住人等に利用を限定したシェアサイクル事業やメンテナンス事業を新たにスタートさせました。

 このように当社グループは、新規収益源の発掘・育成を積極的に推進していきますが、事業環境の変化によっては、新規事業が想定通りの収益を計上できない可能性があり、将来においてこれらの新規事業の業績が当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、新規事業への参入についても投資等に係るリスクと同様に「事前審査委員会」「経営会議」のプロセスを経ること、新規事業のフィジビリティスタディ(実行可能性評価)を事前に実施すること等によりリスク低減に取り組んでいます。また、投資後についても、投資等に係るリスクと同様のモニタリングを実施することによりリスク低減を図っています。

 

(6)海外進出に伴うリスク

 当社グループでは、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)において、2020年度より韓国にて90MW相当の大型風力発電事業に参画をしていますが、「(5)新規事業に参入するリスク」に記載の通り、開発許可取得の遅れ等による大幅な進捗遅延及び計画の多方面に渡る見直しが生じています。

 また、株式会社シナネンゼオミックの製造する抗菌剤「ゼオミック」について、EPA(米国環境保護庁)及びFDA(米国食品医薬品局)等をはじめとする国内外の取得許認可を活かして、米国、欧州、中国、韓国及び東南アジア等への販売活動を進めています。欧州においては、規制情報の収集や関係当局との情報交換を通じて、EU-BPR (欧州殺生物性製品規則)の承認取得に取り組んでいます。

 このように当社グループは海外事業へ進出していますが、法令または関税等の貿易取引制度の改正、政治的・経済的変動、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等のリスクが内在しています。

 なお、ブラジルにおいて2012年より、バイオマス燃料の製造・販売事業に取り組んできましたが、第二次中期経営計画で進めている事業の選択と集中の一環として、今後の事業計画の評価を行った結果、当社グループの投資基準を上回る収益が見込めないと判断し、株式譲渡により、同事業から撤退しています。

 当社グループでは、海外進出において、政治動向、経済動向、法制度、(優遇)税制等を事前に調査・評価することにより海外進出に関するリスク低減に取り組んでいます。

 

(7)製品の品質及び安全に関するリスク

 当社グループは、抗菌事業、環境・リサイクル事業、自転車等の輸入販売事業その他の事業において製造、販売をしています。製品の生産開始以来、品質管理には十分留意しており、製造物責任法(PL法)の施行後は、生産物責任賠償保険に加入し、事故発生による費用負担の低減を図っています。また、消費生活用製品安全法に基づき、製品の安全な使用方法に関する周知徹底を図るとともに事故発生時の対応強化に努めています。

 しかしながら、今後大規模な製品回収や製造物責任が問われる不測の製品事故等が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 抗菌事業を行う株式会社シナネンゼオミックでは、2002年4月にISO9001の認証を取得した上で、社内の品質監査体制を強化しています。また、製品の製造・販売を行う各事業会社においては、品質管理を担当する部署を設置すること等により製品の品質及び安全に関するリスク低減に取り組んでいます。

 

(8)個人情報の取り扱いについて

 当社グループは、エネルギー事業における石油・ガス・電気等の消費者データ及び非エネルギー事業における製品販売・サービス提供等で取得した顧客データ等の個人情報を保有しています。これらの個人情報を保護するために、リスク・コンプライアンス委員会を設置するとともに、従業員等に向けた個人情報保護に関する教育プログラムの実施、暗号化等の情報セキュリティシステムの導入、各種規程の制定等を行っています。

 しかしながら、何らかの原因により個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループに対する信用が失われ、その結果、売上高の減少等により当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、個人情報保護方針、個人情報保護規程を制定し、個人情報の取り扱いに関するリスク低減に取り組んでいます。また、システム事業を行う株式会社ミノスは、プライバシーマーク認定事業所であるほか、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格である「ISO/IEC27001:2013・JISQ27001:2014」を取得し、リスク低減に取り組んでいます。

 

(9)自然災害等に関するリスク

 当社グループは、石油卸売設備、LPガス充填設備及びガソリンスタンド設備等のエネルギー事業の設備、抗菌事業の製造設備、自転車事業の倉庫や店舗(在庫を含む)、シェアサイクル事業の自転車やステーション設備等の資産を所有しています。これらの設備が大規模な台風、地震、津波、洪水等の自然災害等により被災した場合、正常な事業活動ができなくなり、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、充填施設等、事業継続のため中核施設には非常用電源を設置し、自然災害等の被災に備えています。また、建物は免震、耐震、制震構造とすることにより自然災害に関するリスク低減に取り組んでいます。

 

(10)新型コロナウイルス感染症に関するリスク

 当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、事業によっては仕入における供給量不足や納期遅延等は発生したものの、全体として重大な影響はありませんでした。当社グループの主力事業は、日常の生活に必要とするエネルギーの供給事業であるため、消費量が大きく変動することが少なく、今後も影響は限定的であると見込んでいます。

 なお、ライフライン事業者として、事業継続にあたり、マスク着用、手洗い、消毒、検温、時差出勤等の感染予防措置を徹底すること等によりリスク低減に取り組んでいます。また、本社部門(管理、営業等)については、新型コロナウイルスの感染拡大に対応して、テレワークを進め、パソコン等を利用した社内外のコミュニケーションを実施しています。

 

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しています。

 そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しています。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大と収束が繰り返されるなか、経済活動への厳しい制限が徐々に緩和され、社会活動や個人消費に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢など地政学的リスクの高まりに加え、世界的な半導体不足や資源価格の高騰などにより、景気の先行きは予断を許さない状況が依然として続いています。

 国内エネルギー業界においては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた第6次エネルギー基本計画が2021年10月に閣議決定されるなど、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。また、年度初めより上昇基調にあった原油価格・プロパンCPは、地政学的リスクの顕在化による供給不足の懸念が強まり、2014年以来の高値水準での推移となりました。一方、石油・ガスの国内需要は、少子高齢化の進展、省エネ機器の普及やライフスタイルの変化などにより全体としては減少傾向が継続しています。

 このような環境のなか、前連結会計年度よりスタートさせた第二次中期経営計画の2年目となる当連結会計年度においては、引き続き、ROE6.0%以上とする定量目標と3つの定性目標(①資本効率の改善、②持続的成長を実現する投資の実行、③社員の考え方・慣習・行動様式の変革)を達成するための取り組みを推進しました。

 具体的には、「資本効率の改善」に向けて当社が保有する埼玉県川口市の固定資産を譲渡したことに加え、「社員の考え方・慣習・行動様式の変革」に向けた風土改革・働き方改革を引き続き推進しました。また、「持続的成長を実現する投資の実行」としては、新規事業への戦略投資に加えて、DX推進に向けたIT関連投資を促進し、第三次中期経営計画での躍進に向けた基盤整備を進めてきました。2021年12月には、当社の取り組みが評価され、経済産業省が定める「DX認定事業者」に選定されました。

 その結果、当連結会計年度の業績については、売上高2,893億40百万円(前連結会計年度は2,171億22百万円)、営業利益24億80百万円(前連結会計年度は29億35百万円)、経常利益32億72百万円(前連結会計年度は30億23百万円)となりました。なお、経常利益の額が営業利益の額を上回っているのは、保険返戻金の増加に加えて、原油価格等の変動に対するデリバティブ評価益を計上していることなどによります。また、親会社株主に帰属する当期純利益については、前連結会計年度に計上した負ののれん発生益と事業譲渡益の計上がなかったことなどにより、24億87百万円(前連結会計年度は27億17百万円)となりました。

 

 セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。

 

[エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)]

 売上面は、主力の「LPガス・灯油販売」で平均気温が前年より高く需要が低調に推移したことから春先と晩秋を中心に販売数量が減少した一方で、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が大幅に上昇しました。

 利益面は、灯油を中心とした石油類の売上総利益の減少に加えて、LPガスの仕入価格上昇に伴う販売価格への転嫁が遅れた一方、棚卸資産の在庫影響などがプラス要因となり、増益となりました。

 以上の結果、当連結会計年度におけるエネルギー卸・小売周辺事業の売上高は731億52百万円(前連結会計年度は629億94百万円)、営業利益は10億39百万円(前連結会計年度は9億63百万円)となりました。

 

[エネルギーソリューション事業(BtoB事業)]

 売上面は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格の高騰に伴い販売単価が大幅に上昇しました。また、既存の石油販売施設について、軽油出荷能力を増強したオイルスクエアへの移行を進めたことなどにより、販売数量も軽油を中心に前期を上回り、全体として好調に推移しました。

 利益面は、石油事業において原油市況の変動に対応した仕入施策により差益を確保した一方、電力事業において世界的なLNG高を背景にした需給環境の変化が激しい中、調達の多様化を進めるなど影響の軽減に努めましたが、全体としては、減益となりました。

 なお、新規事業の新型マイクロ風車関連事業においては、研究機関の風洞実験で得られたデータを基に製品化に向けた取り組みを進めています。また、韓国における大型陸上風力発電事業は、開発許可の取得が当初想定より遅れておりますが、引き続き、早期の開発許可取得に注力しています。

 以上の結果、当連結会計年度におけるエネルギーソリューション事業の売上高は1,977億15百万円(前連結会計年度は1,359億98百万円)、営業利益は5億73百万円(前連結会計年度は8億92百万円)となりました。

 

[非エネルギー及び海外事業]

 シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS株式会社)は、埼玉県ふじみ野市など新たな地方自治体との実証実験の開始に加えて、相模鉄道㈱との新たな連携を開始するなど、シェアサイクルサービス「ダイチャリ」のステーション開発を推進しました。2022年3月末現在、ステーション数は2,200カ所、設置自転車数は10,000台に増加し、2021年11月には過去最高の月間利用回数(60万回超)となりました。また、駅近用地の開拓など高稼働が見込めるターゲットエリアを中心に営業活動を推進する一方、運営体制の見直しによる機会損失の減少など利用回数向上に向けた取り組みの成果も表れています。

 環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク株式会社)は、主力の「木くずリサイクル」において、新型コロナウイルス感染症による建築廃材減少の影響が続く中、木質チップの需給変動がプラスに作用し取引高が増加しました。また、金属スクラップ取引などその他事業も好調に推移し、収益に貢献しました。

 抗菌事業(株式会社シナネンゼオミック)は、同感染症拡大による抗菌需要の増加を背景に、国内・海外共に好調な販売を維持したほか、大手メーカーとのサンプル試作を開始するなど、新規顧客の開拓を推進しました。

 システム事業(株式会社ミノス)は、主力のLPガス基幹業務システムの安定的な貢献に加え、電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS※)が大幅に伸長し、増益となりました。

 タカラビルメン株式会社を中核とする建物維持管理事業は、マンションなど集合住宅の定期管理業務の安定的な貢献のほか、医療施設などでの感染消毒清掃の新規受注増加、集合住宅のメンテナンス件数の反動増などがプラス要因となった一方、不動産管理事業の管理物件数の減少などがマイナス要因となり、全体としては微増益となりました。なお、次期以降の安定収益の確保に向けて感染消毒清掃をフックとした営業活動を推進し、複数の医療機関から年間契約案件を獲得したほか、長年の実績が評価され、新規公営斎場の運営を受託するなど、着実に成果が表れています。

 自転車事業(シナネンサイクル株式会社)は、プライベートブランド車の開発を進めるなど収益力の改善に努めましたが、同感染症拡大により前連結会計年度増加した需要の反動減にパーツメーカーの供給不足に伴う需給のひっ迫、海外輸送費や原材料価格の高騰、為替の円安傾向などが重なり、減収減益となりました。

 以上の結果、当連結会計年度における非エネルギー及び海外事業の売上高は180億97百万円(前連結会計年度は177億81百万円)、営業利益は2億1百万円(前連結会計年度は2億43百万円)となりました。

 

※ CISとは、Customer Information Systemの略で、顧客情報の管理から契約形態に合わせた料金計算、請求までの業務を一括で管理できるシステムのこと。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、99億48百万円(前年同期比1.9%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は、11億33百万円(前年同期は79億47百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が44億62百万円、減価償却費が28億86百万円、固定資産売却益が14億88百万円、売上債権の増加が100億85百万円及び仕入債務の増加が86億90百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動の結果得られた資金は、21億54百万円(前年同期は36百万円の収入)となりました。この主な要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入16億98百万円、投資有価証券の取得による支出13億82百万円、固定資産の売却による収入37億51百万円、固定資産の取得による支出19億77百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は、31億20百万円(前年同期は55億4百万円の支出)となりました。この主な要因は、短期借入金の減少額15億円、長期借入金の返済による支出5億27百万円及び配当金の支払額8億15百万円等によるものです。

 

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

51.6

53.1

52.9

51.2

時価ベースの自己資本比率(%)

25.1

31.4

34.2

34.3

キャッシュ・フロー
対有利子負債比率(年)

1.8

18.2

0.7

3.4

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

44.6

5.1

65.4

12.3

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

a.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式を除く)により算出しています。

c.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し、利払いは同計算書の利息の支払額を使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーの合計額を対象としています。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)

73,152

エネルギーソリューション事業(BtoB事業)

197,715

非エネルギー及び海外事業

18,097

その他・調整額

374

連結合計

289,340

(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 概観

 当社では、2014年8月に経済産業省より公表されたいわゆる「伊藤レポート」を契機に、資本効率を意識した企業価値経営への転換を図り、長期的な株主価値の向上に資するべきと考えています。そこで、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの動向を検討する上では、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として位置付け、第二次中期経営計画においてもROE6.0%以上を定量目標として掲げています。

 ROE向上に向けては、ROEの構成要素のうち、収益性と効率性の改善を優先的に取り組むこととしています。第二次中期経営計画においても、資本効率の改善を定性目標の1つとして掲げ、既存事業の利益率の向上策に加え、低効率資産の活用・売却のほか、事業の選択と集中を強力に推進しています。

 

 ROEの構成要素の推移は下記のとおりです。

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 ROEの構成要素を2017年3月期(比較基準年:第一次中期経営計画前年度)と比較すると、2022年3月期は効率性が改善された一方、収益性と財務レバレッジが低下し、4.7%となりました。当社グループの場合、マージンが固定された石油類の卸売販売が売上高に占める割合が高く、原油価格の変動など外部要因により収益性が上下しやすい事業構造となっています。ROEを持続的に向上させるためには、現在の事業構造から脱却し、新規事業をはじめ収益率の高い事業を伸ばすことで、新たな事業構造を作り上げていく必要があると考えています。第二次中期経営計画の目標数値であるROE6.0%にはまだ開きがありますが、当社グループは、引き続き、財務レバレッジに過度に依存することなく、収益性・効率性の改善に取り組み、ROE6.0%以上を持続的に生み出す事業構造を確立していきます。

 

② 経営者による財政状態の分析

流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は617億98百万円となり、前連結会計年度末と比較して121億73百万円増加いたしました。

 増加した主な要因は、年度末にかけて販売単価が上昇したこと等により、受取手形及び売掛金の売上債権が120億28百万円増加したことによるものです。

 

固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は431億10百万円となり、前連結会計年度末と比較して40億99百万円減少いたしました。

 減少した主な要因は、埼玉県川口市に所有していた土地と、建物及び構築物を売却したこと等によるものです。

 

流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は423億77百万円となり、前連結会計年度末と比較して68億69百万円増加いたしました。

 増加した主な要因は、返済による短期借入金の減少が13億59百万円あった一方で、仕入単価が上昇したこと等により、支払手形及び買掛金が86億90百万円増加したことによるものです。

 

固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は81億49百万円となり、前連結会計年度末と比較して12億71百万円減少いたしました。

 減少した主な要因は、長期借入金が6億67百万円減少したことによるものです。

 

純資産

 当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上が24億87百万円、「収益認識に関する会計基準」等の適用により利益剰余金の当期首残高が6億39百万円増加した一方で、利益剰余金の配当により8億15百万円減少したこと等により、前連結会計年度末と比較して24億76百万円増加したため、543億81百万円となりました。

 以上により、自己資本比率は前期と比較して1.7ポイント減少し、51.2%となりました。

 

③ 経営者による経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高2,893億40百万円(前連結会計年度は2,171億22百万円)、営業利益24億80百万円(前連結会計年度は29億35百万円)、経常利益32億72百万円(前連結会計年度は30億23百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益24億87百万円(前連結会計年度は27億17百万円)となりました。

 

売上高

 当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメント別の売上高及びその増減は以下のとおりです。なお、当連結会計年度における「収益認識に関する会計基準」等の適用前の売上高を参考値として記載しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

当連結会計年度
収益認識基準適用前(※参考値)

エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)

62,994

73,152

74,270

エネルギーソリューション事業(BtoB事業)

135,998

197,715

206,735

非エネルギー及び海外事業

17,781

18,097

18,097

その他・調整額

347

374

374

連結合計

217,122

289,340

299,478

 

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高は、主力の「LPガス・灯油販売」で平均気温が前年より高く需要が低調に推移したことから春先と晩秋を中心に販売数量が減少した一方で、原油価格やプロパンCPの高騰に伴う販売単価上昇の影響が大きく、731億52百万円(前連結会計年度は629億94百万円)となりました。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格の高騰に伴い販売単価が大幅に上昇したことに加え、前連結会計年度を超える販売数量を確保したことにより、1,977億15百万円(前連結会計年度は1,359億98百万円)となりました。

 非エネルギー及び海外事業の売上高は、シェアサイクル事業におけるユーザー数や利用回数の順調な増加に加え、医療施設等での感染消毒清掃の新規受注が増加したタカラビルメン株式会社をはじめとする建物維持管理事業が好調であったことなどにより、180億97百万円(前連結会計年度は177億81百万円)となりました。

 その他・調整額の売上高は、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上であり、東京都港区の旧本社ビルの賃貸収入とシェアオフィス「seesaw」の運営収入の増加などにより、3億74百万円(前連結会計年度は3億47百万円)となりました。

 

売上総利益

 当連結会計年度の売上総利益は344億6百万円(前連結会計年度は338億40百万円)となりました。これは主に、主力の石油類・ガスの差益が改善したことによります。

 

販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は319億26百万円(前連結会計年度は309億5百万円)となりました。これは主に、これは主に、従業員数増加等により人件費が増加したことに加え、IT関連投資等に係る支払手数料が増加したことによります。

 

営業利益

 当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメント別の営業利益及びその増減は以下のとおりです。なお、当連結会計年度における「収益認識に関する会計基準」等の適用前の営業利益を参考値として記載しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

当連結会計年度
収益認識基準適用前(※参考値)

エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)

963

1,039

1,038

エネルギーソリューション事業(BtoB事業)

892

573

578

非エネルギー及び海外事業

243

201

201

その他・調整額

836

665

665

連結合計

2,935

2,480

2,484

 

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の営業利益は、販売数量の減少などがマイナス要因となった一方で、棚卸資産の在庫影響がプラス要因となり、10億39百万円(前連結会計年度は9億63百万円)となりました。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の営業利益は、マイクロ風車関連事業に係る開発投資の増加に加えて、人件費や販売手数料など販管費が増加したことなどにより、5億73百万円(前連結会計年度は8億92百万円)となりました。

 非エネルギー及び海外事業の営業利益は、シェアサイクル事業で拠点拡大と運営効率化が進み赤字幅が縮小した一方、自転車事業で需給のひっ迫、輸送費や原材料価格の高騰等により減益となったことなどが影響し、2億1百万円(前連結会計年度は2億43百万円)となりました。

 その他・調整額の営業利益は、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上に加えて、セグメント間消去取引、各報告セグメントに配分されていない全社費用が含まれていますが、当期の重点施策として掲げているIT関連投資に係る支払手数料や人件費の増加などにより、6億65百万円(前連結会計年度は8億36百万円)となりました。

 

営業外収益及び営業外費用

 当連結会計年度の営業外収益は9億74百万円(前連結会計年度は6億32百万円)となりました。これは主に、保険返戻金の増加によります。

 また、当連結会計年度の営業外費用は1億82百万円(前連結会計年度は5億43百万円)となりました。これは主に、貸倒引当金繰入額の減少によります。

 

経常利益

 上記の結果、当連結会計年度の経常利益は32億72百万円(前連結会計年度は30億23百万円)となりました。

 

特別利益及び特別損失

 当連結会計年度の特別利益は、22億45百万円(前連結会計年度は25億58百万円)となりました。これは主に、当社が保有する埼玉県川口市の固定資産の売却等により、固定資産売却益を14億93百万円計上したこと、投資有価証券売却益を7億32百万円計上したことによります。

 また、当連結会計年度の特別損失は10億55百万円(前連結会計年度は8億56百万円)となりました。これは主に、固定資産の減損損失を3億28百万円、のれん償却額を5億3百万円計上したことによります。

 

税金等調整前当期純利益

 上記の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は44億62百万円(前連結会計年度は47億25百万円)となりました。

 

法人税等

 当連結会計年度の法人税等は19億91百万円で、前連結会計年度の20億19百万円とほぼ同額となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は24億87百万円(前連結会計年度は27億17百万円)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ⅰ キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況・分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

ⅱ 資金需要

 当社グループでは、今後、第二次中期経営計画に掲げる「資本効率の改善」や「持続的成長を実現する投資の実行」のため、M&Aや営業権の買収、国内外での再生可能エネルギー事業や新型マイクロ風車関連事業等の新規事業開発のための積極投資など、継続的な資金需要が見込まれています。それらを実行するための資金調達にあたりましては、韓国の大型陸上風力発電事業ではプロジェクトファイナンスによる資金調達を進めるほか、社債の発行、新たな借入金、自己株式の活用等の状況に応じて多様な資金調達ができるよう体制を整えています。

ⅲ 財務政策

 当社グループは現在、運転資金については、当社および一部を除く連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っています。借入による資金調達に関しては、一時的な不足資金は、金融機関からの短期借入を行っております。また長期的な資金の需要に対しては必要に応じて金融機関からの長期借入等を行っています。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

 なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、軽微にとどまりました。会計上の見積りを行うに際し、同感染症拡大が今後の見通しに与える影響について検討した結果、当社グループの主力事業は、生活に必要なエネルギーの供給事業のため消費量が大きく変動することが少なく、グループ全体としての影響は引き続き限定的であり、見積りに重要な影響を与える変動は見込んでいません。

 

繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

 将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。

 

固定資産の減損

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

貸倒引当金

 当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を勘案し回収不能見込額を計上しています。

 取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

4【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。

 

 

5【研究開発活動】

 当社グループの当連結会計年度における研究開発費は291百万円であり、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)及び非エネルギー及び海外事業において研究・開発を行っています。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)のSinagy Revo株式会社は、再生可能エネルギーを活用した新型マイクロ風車搭載製品の開発等を行っています。

 当連結会計年度は、開発製品の1つである独立型防災スマート街路灯(Wind Power Station)について、2021年4月よりさいたま市、同年12月より札幌市にてフィールドにおける実証試験を開始したことに加え、2022年2月には研究機関での風洞実験を実施しました。これらの実験で得られたデータを基に、製品化に向けた取り組みを進めています。

 非エネルギー及び海外事業の株式会社シナネンゼオミックは、抗菌・殺菌、消臭及び吸着の各技術に関する研究開発を行っています。

 抗菌剤事業においては、プラスチックや塗料向けに課題であった変色問題を大幅に改善した低変色性銀ゼオライトを製品化し、安定生産にも目処をつけることができました。更に、新型コロナウイルス感染拡大による抗ウイルス加工ニーズの高まりに対応するため、銀ゼオライトの抗ウイルス性能強化を目指した処方開発も継続しています。鉛吸着剤事業においては、生産効率の改善を図るとともに安定生産体制を構築し、販売に大きく寄与しました。

 また、様々な顧客ニーズに応えるべく、他の有害物質をターゲットにした新たな吸着剤の開発を継続しています。水中の微生物抑制を目的としたUV-LEDモジュール事業においては、取組先での採用が始まりました。更なる改良に向けての開発を継続しています。

 新しい取り組みとして、世界各国の化学物質規制に対応すべく、天然素材や有機合成品をベースとした非銀系抗菌剤の開発を開始し、製品ポートフォリオの拡充を推進しています。