第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで、地域すべてのお客様の快適生活に貢献する」ことを経営理念として、環境に優しいエネルギーを安全に、かつ安定的にお届けするとともに、お客様の快適な住まいと暮らしを実現することを目指しています。

 また、経営理念実現のため、社是である「信義・進取・楽業」を行動憲章として定めています。

 

「信義」…社会的責任の実践

 約束を守り人の信頼に応え、責任を重んじて自らの務めを果たすということが「信義」の考えであり、当社グループの経営の根幹です。

 

「進取」…新たな価値の創造

 あらゆる困難を退けて前進し、グループの存在価値を高めていくということが「進取」の考えであり、当社グループの事業に対する基本的な精神です。

 

「楽業」…こころ豊かな行動

 働く喜びを感じ、仕事の中に楽しさを見出し、様々な方々と幅広い交流を図りながら、自らの人格を高めていくということが「楽業」の考えであり、当社グループの社員像を表しています。

 

(2)対処すべき課題

 当社グループの主力事業である石油・ガス事業を取り巻く環境は、国内人口の減少、省エネ機器の普及、ライフスタイルの変化などによりエネルギー需要の減少傾向が続き、引き続き厳しい状況にあります。また、世界的な脱炭素・SDGsへの意識の高まりに加えて、国内でも2050年カーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速する中、総合エネルギーサービス企業グループとして責任ある対応が強く求められています。

 当社グループでは、こうした経営環境の変化や時代の潮流に対応すべく、当連結会計年度までの第二次中期経営計画において、創業100周年での飛躍・躍進に向けた経営基盤の整備を進めてきました。2023年4月からは、「脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化」をビジョンとする第三次中期経営計画を新たにスタートさせています。なお、当初の3年間は、2027年度における飛躍・躍進に向けた基盤整備の期間と位置付けています。

 第三次中期経営計画で掲げるビジョンの実現に向けて、経営基盤の強化を加速させるとともに、成長戦略を確実に実行することが、当社グループの対処すべき課題と考えています。

 

 第三次中期経営計画の概要は、以下の通りです。

 

ビジョン

脱炭素社会の実現に貢献する総合エネルギー・ライフクリエイト企業グループへの進化

 

グループ全体戦略

経営基盤の強化を加速させつつ、成長戦略を実行し、ビジョンの実現を目指します。

 

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・成長戦略

1.事業ポートフォリオの変革

 季節や気候など外部環境による影響が大きい石油・ガス事業に依存した事業ポートフォリオから、外

部環境による影響が少ない持続可能な事業ポートフォリオに移行すべく、電力事業や再生可能エネルギ

ー事業、生活関連事業を中心に成長領域を特定し、経営資源の集中投下を行うとともに、新規事業の創

出を推進していきます。また、ポートフォリオの変革を明確化すべく、第三次中期経営計画期間中に、

事業セグメントの変更を行っていきます。

 

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2.資本効率の改善

 建物維持管理事業の統合を皮切りに、既存事業の選択と集中を踏まえたグループ内再編を推進しま

す。また、主力事業におけるエリア効率性の向上を促進し、収益の最大化を図ります。

 

・経営基盤強化

3.風土改革・働き方改革のさらなる推進

 第二次中期経営計画から引き続き風土改革と働き方改革を推し進め、個を高め活かしあう自由闊達な

組織風土の醸成と、社員の成長に資する制度や仕組みの整備を進めていきます。

 

4.人財育成の推進、人財の適正配置の実現

 企業価値は社員の市場価値の総和であるという考えのもと、社員の自律的成長に資する育成体系の整

備を行うとともに、事業ポートフォリオに基づく人員シフトを進め、利益最大化をもたらす組織の構築

を目指します。

 

5.業務効率化、標準化等による生産性向上

 事業戦略に沿った最適な業務プロセスの構築や新たな基幹システムの構築によるスムーズな経営管理

体制の確立により、生産性の向上を進めていきます。

 

6.グループ経営体制の強化

 グループガバナンスの強化、とりわけ、リスク管理体制の強化と実効的・機動的なグループ経営体制

の構築に取り組んでいきます。特に、2023年度においては、投資評価機能の強化や撤退基準の具体化

をはじめとした投資基準の明確化とともに、エネルギー事業におけるマーケットリスクの管理強化など

予実管理の精度向上を優先的に対処すべき課題として、捉えています。

 また、事業部門・事業会社間の横断的な連携やデジタル技術による新たな価値の創出に取り組み、グ

ループ経営体制を強化していきます。

 

財務目標・非財務目標

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・財務目標

2027年度の財務目標として、ROE8%以上、経常利益100億円を設定しました。

 

・非財務目標

 非財務目標としては、「脱炭素社会に対応した事業構造への転換」と「社員の市場価値の向上」を設定しました。詳細は、下記の通りです。

 

①脱炭素社会に対応した事業構造への転換

 当社グループは、脱炭素社会の実現のためカーボンニュートラル目標を設定し、自社操業に伴うGHG排出量(Scope1+2)の削減目標を、2027年度に2016年度比31%、2030年度に2016年度比50%、2050年度には排出量実質ゼロを目指します。

 また、サプライチェーン全体での目標(Scope1~3)として、GHG排出量1tあたりの生産性を測る「炭素生産性」を採用しました。当社グループでは、「炭素生産性」指標を「売上総利益/GHG排出量」と定め、2027年度に炭素生産性を2016年度比6.0%向上させることを目指し、より少ないGHG排出量でより多くの利益を創出し、脱炭素社会に対応した事業構造への転換を目指していきます。

 

②社員の市場価値の向上

 当社グループでは、個人の成長と組織の成長を連動させて、企業価値の向上を目指しています。企業価値は社員の市場価値の総和であるという考えのもと、個人の成長を促すための施策と、成長した個人に選ばれ続ける組織であるための職場環境整備を同時並行で進め、企業価値の向上につなげていきます。また、その中でも特に重要と考える「エンゲージメント」「ダイバーシティ&インクルージョン」「教育投資」の観点については、それぞれ目標を設定しています。詳細は、「第2 事業の状況」の「2.サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人的資本 ②指標及び目標」をご参照ください。

 

事業戦略

 既存事業の収益拡大と脱炭素実現に寄与する新規事業創出の両輪で、収益性の向上を図ります。

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・新規事業

 既存事業の経営資源を活用し、脱炭素実現に寄与する新規事業の創出(再生可能エネルギー、廃棄物再資源化、環境負荷が低い新燃料製造・供給、住宅・建物の脱炭素化など)を目指していきます。

 

・エネルギー卸・小売周辺事業:BtoC事業

 直売顧客を中心とした総顧客数の拡大とともに、住宅メンテナンス・リフォームなど高付加価値サービスの拡充を推進します。

 

・エネルギーソリューション事業:BtoB事業

 石油中心のポートフォリオから電力・再生可能エネルギーなど総合エネルギーサービスへポートフォリオの転換を目指します。

 

・非エネルギー事業

 建物維持管理事業とシェアサイクル事業を中心に拡大を目指します。

①建物維持管理事業

 事業会社統合によるワンストップサービスの実現で、安定収益の確保及び利益率の向上を進めます。

②シェアサイクル事業

 高収益エリアでのステーション開拓によるさらなる収益性向上とともに、メンテナンスサービスなど新たな収益源の創出を目指します。

 

資本戦略

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 基本方針として、健全な財務基盤を維持・活用し、持続的な企業価値向上に向けた成長投資の推進と安定的な株主還元の継続を実施します。また、株主還元においては、配当性向30%を目安に1株当たり75円を下限とした安定配当を維持しつつ、中期的には配当性向40%への引き上げを目指します。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

1株当たり配当金

75.0円

75.0円

75.0円

75.0円

75.0円

1株当たり当期純利益

146.00円

274.84円

249.83円

228.33円

43.82円

連結配当性向

51.4%

27.3%

30.0%

32.8%

171.2%

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

(1)サステナビリティ

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 なお、文中の詳細に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで地域すべてのお客様の快適な生活に貢献する」を企業理念に掲げ、創業以来90年以上にわたって、お客様にエネルギーをお届けしています。

 昨今、国連サミットでのSDGsの採択やCOP21におけるパリ協定の発効などを契機に、サステナビリティ・脱炭素に関する企業への対応要請が高まっており、事業やビジネスモデルの変革が必要不可欠となっています。

 そういった状況の中、当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献し、ステークホルダーの皆様の信頼に一層応えるべく、サステナビリティ基本方針を2022年5月、下記のとおり策定し、2022年6月には、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」による提言への賛同を表明しています。

 

 シナネンホールディングスグループは、「エネルギーと住まいと暮らしのサービスで地域すべてのお客様の快適な生活に貢献する」という企業理念に基づき、お客様、お取引先、株主・投資家、従業員、地域社会などあらゆるステークホルダーを尊重し、企業活動を通じて「持続可能な社会の実現」に貢献するとともに、当社グループの「持続的な成長」と「企業価値の向上」を目指してまいります。

 

1.脱炭素社会の達成に向けて、社会・環境問題の解決へ真摯に取り組みます。

2.お客様・お取引先との相互の信頼と透明で公正な関係を築きます。

3.個人の人権、多様な価値観を尊重するとともに、働きがいのある職場環境を実現します。

4.安全安心な製品・サービスの提供により、社会生活基盤を支え、持続可能な社会の実現に貢献します。

5.経営情報を適時・適切に開示し、経営の透明性を高めます。

6.法令や社会規範を遵守し、公正、誠実な企業活動を実現します。

 

 また、2023年4月からスタートした第三次中期経営計画の非財務目標を設定するにあたっては、国際的なガイドラインを参照しつつ、当社グループとステークホルダーの皆様にとって重要と考える社会課題を、網羅的にリストアップしました。そのリストアップした課題について、当社グループのミッションとバリューを踏まえ、課題の重要度と緊急度の両面から検証を行った後、経営陣での議論、取締役会の決議を経て、気候変動への対応として「脱炭素社会に対応した事業構造への転換」を、人的資本経営の一環として「社員の市場価値の向上」の2つを、第三次中期経営計画の非財務目標に設定いたしました。なお、サステナビリティへの取組みとして、当社グループのマテリアリティ(重要課題)についても、同じ内容を掲げています。

 

①ガバナンス

 当社グループでは、気候変動への対応を重要な経営課題と捉え、当社代表取締役社長を委員長とした「サステナビリティ推進委員会」を2022年度より設置し、サステナビリティ全般に関する課題をグループ全体で把握し、具体的な対応策や目標設定について協議を行っています。

 サステナビリティ推進委員会は、リスク・コンプライアンス委員会の委員長であるチーフ・コンプライアンス・オフィサーを副委員長とすることでグループ全体のリスク管理の網羅性を高め、グループ全体の取り組みを管掌する関連部門責任者を委員とすることで、事業との連動性を強化する体制としています。

 委員会での議論・決定内容は取締役会に適宜報告し、取締役会においては対応策の承認と必要な助言を行う体制としております。

 また、委員会の取り組み進捗状況については年1回以上委員会より取締役会に報告する体制としています。

 

<サステナビリティ推進体制図>

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②戦略

 当社グループでは、気候変動への対応を重要な経営課題として認識しており、気候変動におけるリスク及び機会のシナリオ分析を実施しています。分析の対象は想定される財務インパクトの大きさから、当社グループ売上高の80%以上(2021年度実績)を占める石油事業、ガス事業としています。

 分析の時間軸は、移行リスク、物理的リスクが大きく顕在化する2050年を分析時間軸と設定し、4℃・2℃それぞれのシナリオについて分析を行っています。

 リスク分析の手法としては、SDGs目標やTCFD推奨開示項目から当社グループの事業と関連が深い項目を特定し、移行リスク、物理的リスクのそれぞれの算定を行っています。

 分析作業は事業への影響度が高い移行リスクを中心とし、物理的リスクでは主に自社で所有する不動産に対する自然災害の影響度合いを算定しました。

 各項目に対してリスクと機会を整理し、発生時期を短期・中期・長期、影響度を小・中・大に分類しています。

 

区分

項目

リスク

機会

発生時期

影響度

移行

リスク

政策

規制

炭素税・炭素価格の導入

・炭素価格導入による化石燃料の需要減

・炭素価格導入による燃料調達コスト増

中~長期

脱炭素目標の設定

・未達時のクレジット購入コスト増加

・達成時のクレジット販売による収益増加

中~長期

市場

エネルギーミックスの変化/エネルギー価格の増減

・運送費のエネルギー調達コスト増

・エネルギー価格高騰による需要減

・再生可能エネルギー事業の収益拡大

・石油代替燃料の販売拡大

短~中期

脱炭素製品の市場シェア向上

・電気自動車、水素自動車の普及によるガソリン需要減

・LPガスの低炭素燃料推進

短~中期

技術

脱炭素・低炭素新技術登場

・バイオプラ等、脱炭素素材の普及による石油等の売上減

・環境対応の車両等の機器導入コストの増加

・環境配慮車両の燃費向上、物流効率化に伴うコスト減

・スマートメータ導入・配送効率化による運送費の削減

短~中期

中~大

新技術開発への投資リスク

・再生可能エネルギー等の投資対象における、投資コスト増加および投資対象の陳腐化

・再生可能エネルギー等への投資における収益拡大

中~長期

レピュテーション

消費者の脱炭素選好による需要変化

・石油・ガス事業へのダイベストメントが加速する事による資金調達コスト増加

中~長期

ステークホルダーからの懸念の増加

・気候変動対応の要請増による対応コスト増

中~長期

小~中

物理的

リスク

急性

リスク

台風/豪雨による水害の発生

・保有資産の毀損復旧費・対策費・保険料の増加

・営業可能日利用制限による収益減少

・配送遅延・事故の増加に伴うコスト増加

・サプライチェーン分断による事業継続への影響

・浸水リスクの高地域の物件の資産価値減少

・ライフライン分断にともなうLPガスの備蓄増加

短~中期

慢性

リスク

海面水位の上昇

・湾岸エリア等に所在する工場、施設への浸水

・物件の移転コスト

中~長期

平均気温の上昇

・平均気温・水温上昇に伴う、ガス需要の低下

中~長期

 

 リスク・機会の評価の中で選定した項目のうち、影響度が高い以下の項目について、関連するシナリオとパラメータの選定を行い、4℃・2℃それぞれのシナリオに関する財務インパクト評価を行っています。

 シナリオ分析により特定した項目については、リスクの最小化、機会の最大化を実現すべく、中期ビジョン(2023~2027年度)に反映させており、今後戦略のレジリエンスを高めてまいります。

 

<影響度が高い項目>

気候変動による売上の変化

気候変動による費用の変化

需要減に伴う販売量減少
・炭素税・炭素価格の導入によるエネルギー価格の高騰とそれによるエネルギー需要減
・水素・電気自動車等の普及に伴う需要減
・脱炭素素材普及に伴う石油等の需要減
・気温上昇・水温上昇に伴うガス需要減

炭素税・炭素価格の導入に伴う費用の増加
・炭素税・炭素価格の導入による費用の増加
・炭素排出量未達に伴う炭素クレジットコストの費用増加

再エネ事業の販売拡大

運送費の増加
・エネルギー価格(ガソリン代、軽油代等)の高騰に伴う運送費の増加
・EV車両等の設備投資と運送コストへの価格転嫁による運送費の増加

化石代替燃料の販売拡大

設備投資の増加
・台風・洪水等の水害に伴う設備費の増加

 

③リスク管理

 当社グループは、気候変動関連の規制や事業への影響等のリスク要因を幅広く情報収集・分析しています。

 留意すべき重要な機会とリスクについては「サステナビリティ推進委員会」で評価・特定を行い、事務局である成長戦略部が監督・モニタリングを実行します。

 また、チーフ・コンプライアンス・オフィサーがサステナビリティ推進委員会の副委員長とリスク・コンプライアンス委員会の委員長を兼任し、両委員会で問題を共有することで、組織のリスク管理を統合しています。

 

④指標及び目標

 当社グループは、気候変動のリスク及び機会を評価・管理するための指標としてGHG排出量と炭素生産性の2つを設定し、事業成長とGHG排出量の削減を同時に実現してまいります。

 

<GHG排出量>

 Scope1~3全体の排出量を算定した上で、削減目標としては自社努力による削減余地が大きいScope1、Scope2に対象を絞り目標を設定しています。

対象年度

削減目標

2030年度

Scope1+Scope2 50%削減(2016年度対比)

2050年度

Scope1+Scope2 カーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)

 

<炭素生産性>

 事業成長と共に環境負荷が低い企業グループへと変革を遂げるべく、より少ない炭素排出量で効率的な企業活動を行う指標として設定しています。

対象年度

削減目標

2027年度

6%向上(2016年度対比)

※炭素生産性=売上総利益÷GHG排出量(Scope1~3)

Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)

Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出

Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)

 

 なお、当社グループの気候変動に関する考え方及び取組の詳細は以下をご参照ください。

 https://sinanengroup.co.jp/sustainability/environmentalinitiatives/responsetotcfd/

 

(2)人的資本

 当社グループの人的資本に関する考え方及び取組は次のとおりであります。

 なお、文中の詳細に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①戦略

 当社グループは2027年に創業100周年を迎えます。2020年に有志社員の声から始まった風土改革の活動の中で、100周年の組織ビジョンをSpiral Up Company(選ばれ続ける人と組織へ)と定めました。組織ビジョンを達成するために、意識・行動・コミュニケーションの面から変革を推進するための風土改革と、仕組みの面から変革を推進する働き方改革に取り組んでいます。取り組みの本質は社員個人の尊重を前提とした社員一人ひとりの“個の成長”であり、「社員の市場価値の向上」が企業価値向上につながるとの考えを基に活動を進めています。

 

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<社員の成長を推進する取り組み>

(人財戦略)

 当社グループでは、事業拡大を実現していくうえで、「人財」を最も重要な財産の一つと位置づけています。2020年には、年功序列を見直し役割を重視した新たな人事制度への改定を行い、適材適所を重視した人員配置を行うと共に、優秀な人財の確保に努めています。育成面については、多様性を重んじ、機会差別のない階層別研修・選択型研修に加えて、意欲と能力を優先した選抜型研修を整備しています。

 今後も引き続き、多様な人財が仕事と生活の調和を図りながら、最大限の能力を発揮できる職場環境や企業風土の醸成に取り組んでいきます。

 

(風土改革)

 当社グループの風土改革の本質は社員一人ひとりの“個の成長”です。これは風土改革が始まった初年度から一貫して発信されており、当社代表取締役社長と社員が直接話す機会(Face to Face Session)では、3年間で全国の拠点約100拠点以上、累計550名ほどの社員との会話の中で繰り返し伝えています。また、心理的安全性の確保を通して、社員の意見やアイデアを歓迎し、自由闊達な組織風土を形成、アントレプレナーシップを持った社員を育成していきます。

(働き方改革)

 働き方改革における最上位目的を“世の中から選ばれ続ける人と組織へ”と定め、これを実現するために、①ワークライフバランス実現、②多様な働き方推進、③キャリア開発、④仕事の質向上の4つのテーマに対し、施策を進めています。2019年度に48%だった有給休暇取得率は、2022年度に57%まで増加しました。

 また、社員の成長に資する働き方改革の一環として、5つの新制度(副業制度、育児休業取得中の社員を対象とした学習支援、70歳までの再雇用制度、治療と仕事の両立支援、自己都合退職者再雇用制度)の構築に取り組みました。特に、育児休業取得中の学習支援制度については、女性社員のキャリアアップの壁となる出産育児期と昇格時期の重なりをどうすれば解消できるかを考え、企画を進めました。今後は、業務効率化・各種制度の整備やデジタル化の推進などを通じて働きやすさを向上させると共に、社員一人ひとりが自らの人生や働き方を見つめ直し、主体的にキャリアを形成していける機会を創出し、働きがいも向上させていきます。

 

参考リンク

プレスリリース 働き方改革の一環として新たに5つの人事制度を2023年4月より導入

https://sinanengroup.co.jp/news/hd/230411617

 

(人財育成)

 2020年度に人事制度の見直しを実施しました。この取り組みは、組織の効率性と競争力を向上させることを目的としており、社員のモチベーション向上や能力開発に焦点を当てています。2022年度まで3年間の運用の中で出てきた課題は、都度プロセスを見直し、社員の成長を促進する仕組みとなるよう改善に取り組んでおり、優れた成果を上げる社員を適切に評価し報いる仕組みを構築しています。また、育成体系については、経営人財育成のための仕組みとして人財パイプラインの考え方を2022年度に導入し、一般社員の上位層から課長級、部長級、経営層につながるそれぞれの階層ごとにカスタマイズした研修を実施しています。

 

(配置転換)

 適材適所の配置転換を実現するために、年に1回自己申告書を用いて上司部下間でキャリア志向を共有しています。新たに取り組みたい業務内容や働く場所について、上司との面談を実施し、翌年の配置計画に活かしています。また、2022年度から、社内の募集に対し、自ら手を挙げて応募できる社内公募制度を開始しました。今後は、キャリア開発研修や社内公募制度の拡充を行うことで、さらに社員が自律的にキャリアを構築できる仕組みづくりを推進していきます。

 

(女性活躍推進)

 創業100周年である2027年度を目標に、女性管理職の比率を20%にすることを掲げ、女性活躍の推進に取り組んでいます。2022年度には、グループ内の女性社員で構成されるコミュニティを立ち上げ、女性社員自身がキャリアアップや働きやすい環境について意見を交わし、半年間の活動を通じて、会社への提案としてキャリア研修の企画や社内留学制度など、成長を重視した施策をまとめました。これらの提案は経営層にプレゼンテーションされ、翌年度以降の人事施策に取り入れる予定です。今後は、将来的に女性社員が組織の意思決定に関与する機会を増やすために、ダイバーシティ推進の体制を強化し、生き生きと自分らしく働ける環境づくりに取り組んでいきます。

 

参考リンク

コーポレートサイト ダイバーシティ&インクルージョン

https://sinanengroup.co.jp/sustainability/social/employee/di.html

 

②指標及び目標

 当社グループでは、社員の成長を促すための施策と、成長した社員に選ばれ続ける組織であるための職場環境整備を同時並行で進め、企業価値の向上につなげていきます。また、その中でも特に重要と考える「エンゲージメント」「ダイバーシティ&インクルージョン」「教育投資」の観点から、それぞれ下記の目標を設定しています。

 

「エンゲージメント」

 会社の存在意義や事業の社会貢献性、ミッション、ビジョンなどを魅力的に発信し、学ぶ意欲のある社員には教育機会を与えキャリア形成を仕組み化し、多様な社員が活躍できる環境を整備することで、エンゲージメント指数(組織風土調査における「満足度」指数)を、2022年度の3.3から、2027年度に4.0以上へ向上させていきます。

 

「ダイバーシティ&インクルージョン」

 ダイバーシティを推進し新たな価値を創出すべく、まずは女性社員を積極登用し多様な視点を経営に反映させるため、女性管理職比率を2022年度の5.1%から2027年度に20.0%へ向上させていきます。

 

「教育投資」

 成長する個人を会社の仕組みとしてサポートすべく教育機会を拡充させるため、社員一人当たりの年間教育訓練時間を、2022年度の16.4時間から2027年度に25.0時間まで増加させていきます。

 

指標

実績

目標

エンゲージメント指数

2023年3月期

3.3

2028年3月期

4.0以上

女性管理職比率

2023年3月期

5.1%

2028年3月期

20.0%

社員一人当たりの

年間教育訓練時間

2023年3月期

16.4時間

2028年3月期

25.0時間

 

<今後の展開>

 2023年度からスタートした第三次中期経営計画の非財務目標として 「社員の市場価値向上」を掲げています。当社グループでは社員の成長が企業価値向上へつながるという考えを根本として、社員の能力開発や組織全体のパフォーマンス向上を図り、持続可能な成長に貢献します。具体的には、

①成長意欲のある社員に対し、学ぶ機会を増やすこと

②自律的なキャリアの構築を支援するために、キャリア開発研修だけでなく、公募制度の拡充など人事制度の見直しを実施すること

③社員のエンゲージメントを向上させるため、職場環境の整備やビジョン・方針をわかりやすく伝達すること

④社員が健康で活気に満ちた働き方ができるよう、健康経営を推進し、健康経営優良法人 大規模 ホワイト500認定の取得を目指すこと

⑤女性活躍や障がい者雇用に留まらず、多様な価値観をイノベーションにつなげるため、ダイバーシティ&インクルージョン施策の充実を行うこと

 以上の施策を推進していきます。

 

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参考リンク

■第三次中期経営計画の詳細に関するお知らせ

https://ssl4.eir-parts.net/doc/8132/tdnet/2279313/00.pdf

3【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況並びに株価等(以下「業績等」という。)、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。

 なお、記載中、将来に関する事項は当連結会計年度末(2023年3月31日)において判断したものであります。

 また、当社グループは、これらのリスクの回避、低減及び顕在化した場合の影響最小化への対応に努める方針であります。

 

A.当社グループの主力事業であるエネルギー事業に特有のリスク

(1)エネルギー業界を取り巻く環境の変化

 当連結会計年度の国内エネルギー業界においては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた第6次エネルギー基本計画が2021年10月に閣議決定されるなど、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しています。また、年度初めより上昇基調にあった原油価格・プロパンCPは、ウクライナ情勢など地政学的リスクの顕在化による供給不足の懸念が強まり、2014年以来の高値水準での推移となりました。一方、石油・ガスの国内需要は、少子高齢化の進展、省エネ機器の普及やライフスタイルの変化などにより全体としては減少傾向が継続しています。

 石油・ガス業界をとりまく環境は、供給側であるOPECプラスの産油量動向や中東情勢、需要側では大消費国である米国、中国、インド等の経済状況等が原油価格に大きな変動をもたらします。また、国内では環境意識の高まりや脱炭素社会に向けた官民をあげての取り組みにより、エネルギーの節約志向は今後一層強まるものと考えられます。これら原油価格の変動や国内市況並びにエネルギー環境の変化等が当社グループの業績等に重要な影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、原油価格等の変動や消費者の節約志向等には直接対応できないため、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、住設機器の販売や住宅向けリフォーム等の住まいと暮らしの事業の拡大等、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、太陽光発電設備のメンテナンス事業や国内外の再生可能エネルギー事業の拡大等の非石油・ガス事業への展開のほか、シェアサイクル事業等の非エネルギー事業への積極投資により業界環境変化のリスク低減に取り組んでいます。

 

(2)気温の変動によるリスク

 当社グループの主力となる事業は、エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)であり、全セグメントの売上高のうち94.3%を占めています。このエネルギー事業については、基本的には気温の変動によるリスクを有しており、なかでも石油部門の主力商品である民生用灯油については、冬が最需要期であり、夏の使用量と比較して著しい格差があります。このため、暖冬により冬場の灯油の消費量が減少した場合、販売計画に狂いが生じ、また価格にも影響を及ぼすなど、気温の変動が当社グループの販売実績及び業績等に重要な影響を与える可能性があります。

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、冬場の気温に需要が左右される石油・ガスだけでなく、夏場に需要が増加する電力販売の拡大を進めると共に、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)における既存の石油販売施設について、建設機械やトラック等の燃料として年間を通じて需要の見込める軽油の出荷能力を増強したオイルスクエアへの移行等により気温の変動によるリスク低減に取り組んでいます。

 また、電力については世界的にLNGをはじめとする燃料の高騰を背景にした電力需給環境の変化が激しい状況が続いています。特に夏場と冬場の需要期において、電力卸売市場の高騰を受け業績に重要な影響を与える可能性がありますが、調達の多様化により、リスクの低減に取り組んでいます。

 

(3)エネルギー業界における競争の激化

 当社グループの属するエネルギー業界においては、規制緩和、環境問題、少子高齢化等の要因により、電力、石油、都市ガス、LPガス等の垣根を越えたエネルギー間競争が激化しています。「オール電化」「太陽光発電」「エネファーム」等のエコロジーと関連する商品群の開発・販売推進により、今後もこの傾向が続くものと予想されます。

 また、LPガス業界においては、LPガス消費者の獲得やそれに伴うLPガス価格の引き下げ等、同業者間の競争が激しくなっています。石油業界においても、ガソリンスタンド間の厳しい生き残り競争や民生用灯油の巡回販売、ホームセンター他の販売チャネル間の争い等、同業者間の激しい競争が続いています。

 こうしたエネルギー間競争及び同業者間競争の激化に加え、世界的な脱炭素・SDGsへの意識の高まりや国内でも2050年カーボンニュートラルの実現に向けた動きが加速する中、総合エネルギーサービス企業グループとして責任ある対応が強く求められており、これらへの対応の遅れは当社グループの業績等に重要な影響を与える可能性があります。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、実質再生可能エネルギー100%の電気料金プランを提供しています。エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、LPガス事業の営業権の買収や同業者のM&Aで事業基盤の維持拡大に努めています。また、石油・ガス・電気のエネルギーを取り扱い、セット販売等でお客様に継続してお取引いただけること等により競争激化に対するリスク低減に取り組んでいます。

 

(4)石油・LPガス設備の保安等と環境汚染に関するリスク

 当社グループは、「保安は全てに優先する」と考え、石油及びLPガス販売に係る設備等について、関係諸法規及び内部規程に基づき定期的に厳格な保安監査を実施しています。また、石油設備については石油漏出による環境汚染事故を防止するため損害保険ジャパン株式会社と共同でリスクファイナンスを含む総合リスクマネジメントを実施しています。しかしながら、これらの対策が石油及びLPガスの漏洩等の事故及びそれによる損失の可能性を無にするものではありません。

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)では、ガス関連設備について、法定点検に加えて、お客様の要望に応えた自主保安点検として戸建て住宅向けに「ひまわり点検」を実施しています。また、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)では、石油漏出を早期発見するため、日々漏洩点検を実施すること等により設備の保安等と環境汚染に関するリスク低減に取り組んでいます。

 

B.グループ事業全般におけるリスク

(1)取引先の信用リスク

 当社グループの販売形態には、卸売販売及び小売販売があります。卸売販売については主に掛売りをしており、2023年3月末現在の「受取手形及び売掛金等の売上債権」の残高は364億円であります。

 これらの売上債権については、回収サイトの短縮化や、取引先の資金状況を勘案し一部現金による前受制により回収の早期化を図っています。また、コンピュータシステムによる与信等債権管理の徹底を行っています。さらに、当社グループは貸倒損失発生時に備え十分な引当金を計上していますが、予測不能な事態が生じた場合には、売上債権の回収に支障をきたし、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、信用調査会社のデータベースに基づき、毎年、与信枠を設定することで与信管理を徹底し、与信枠を増枠する場合は、個別に決裁すること等により取引先の信用リスク低減に取り組んでいます。

 

(2)外国為替変動リスク

 当社グループは、主に、国内において円建による取引を行っていますが、シナネン株式会社の石油製品の輸出入及びシナネンサイクル株式会社の自転車の輸入、株式会社シナネンゼオミックの抗菌剤の輸出については一部外貨建で取引を行っています。このため、当社グループの業績が外国為替の変動に影響を受けることがあります。当社グループは、為替変動リスクを軽減するためヘッジ取引を行っていますが、必ずしもこれを完全に回避できるものではありません。

 また、主力商品である石油類及びLPガスについては主に国内元売会社から仕入れていますが、原油やLPガスの輸入価格が、為替の変動により間接的に当社グループの仕入価格に影響を及ぼすというリスクを有しています。

 外国為替取引においては、為替予約や想定為替レートを設定し、ヘッジ取引により外国為替変動によるリスク低減に取り組んでいます。

 

(3)固定資産の評価に関するリスク

 当社グループは、主にエネルギー事業に係る資産として、石油類卸売設備、LPガス充填設備及びガソリンスタンド設備並びにこれらの設備を使用するための土地を保有しており、有形固定資産の2023年3月末現在の帳簿残高は283億円となっています。当社グループはこれまで非効率資産の売却を進め、財務体質の強化に努めています。

 設備投資については、回収可能性を十分に検討したうえで実行し、定期的に回収可能額の評価を行いますが、その結果、新たに減損損失が発生するリスクを有しています。

 当社グループでは、第二次中期経営計画において、資本効率の改善を定性目標として掲げています。事業の効率化を進め、利益率を向上させること、低稼働資産を有効活用し、収益をあげること等により固定資産の評価に関するリスク低減に取り組んでいます

 

(4)投資等に係るリスク

 当社グループは経営基盤の強化を図るため、子会社または関連会社の設立、外部との資本提携等を行っていく可能性があります。投資等にあたっては投資リスク等を勘案したうえで決定し、その後定期的に投資価値のチェックにより回収可能性の判断を行っています。その際、必要があれば回収不能額を見積り、引当金等を計上する方針ですが、投資先の経営成績及び財政状態が予想以上に悪化した場合には、当社グループの業績等が影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループは、取引の関係や提携の強化・円滑化を図る政策的な理由等から株式を長期間保有しています。これらの株式の一部については、減損処理を行っていますが、その後の投資先の経営成績及び財政状態並びに株価の推移等から投資価値は十分にあると認識しています。しかしながら、日本経済の動向及び海外情勢等に予測し難い事態が生じた場合には、株価下落により評価損が発生し、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、事業投資や資産の取得等の投資について、適正性・収益性等を評価する「事前審査委員会」と代表取締役社長の意思決定に関する諮問機関としての「経営会議」を設置しています。それらの機関での検討内容を参考にして、最終的な意思決定をすることにより投資等に係るリスク低減を進めています。また、投資後についても、一定期間モニタリングを継続し、事前に定めた撤退審議基準に抵触した場合は、その改善を指示し、あるいは撤退・売却を指示すること等によりリスク低減を進めています。

 

(5)新規事業に参入するリスク

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)においては、新規事業として新型マイクロ風車関連事業を行うSinagy Revo株式会社を2023年4月1日付でシナネン株式会社に吸収合併しました。同事業については、実証実験を継続するとともに、保有する特許の売却を検討しています。また、韓国にて参画した大型陸上風力発電事業は、韓国建設予定地の都市計画条例の改正に伴う発電設備設置範囲の厳格化等の影響により、減損処理と持分法による投資損失の計上を行いました。今後、当該事業は売却の可能性を含め、関係各所との折衝を進めます。

 非エネルギー事業においては、シェアサイクル運営事業を行うシナネンモビリティPLUS株式会社は、地域の移動に対する課題解決に寄与することを目指し、首都圏を中心に地方自治体との協定を進めるとともに、大手コンビニエンスストア、鉄道事業者、不動産事業者等と積極的に提携し、シェアサイクルステーションを展開しました。なお、2023年3月末現在、ステーション数は3,100カ所、設置自転車数は10,000台を超える規模に拡大し、日本最大級のシェアサイクル事業者となりました。今後も継続してステーション展開に取り組み、事業規模の拡大を図ります。また、利用者を限定したクローズドシェアサイクルにおいては、山梨エリアにおいて観光活性化のために50台導入し、2023年3月末よりサービスを開始しました。

 このように当社グループは、新規収益源の発掘・育成を積極的に推進していきますが、事業環境の変化によっては、新規事業が想定通りの収益を計上できない可能性があり、将来においてこれらの新規事業の業績が当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、新規事業への参入についても投資等に係るリスクと同様に「事前審査委員会」「経営会議」のプロセスを経ること、新規事業のフィジビリティスタディ(実行可能性評価)を事前に実施すること等によりリスク低減に取り組んでいます。また、投資後についても、投資等に係るリスクと同様のモニタリングを実施することによりリスク低減を図っています。

 

(6)海外進出に伴うリスク

 当社グループでは、エネルギーソリューション事業(BtoB事業)において、2020年度より韓国にて90MW相当の大型風力発電事業に参画をしています。当該事業の状況は、「(5)新規事業に参入するリスク」に記載の通りです。

 また、株式会社シナネンゼオミックの製造する抗菌剤「ゼオミック」について、EPA(米国環境保護庁)及びFDA(米国食品医薬品局)等をはじめとする国内外の取得許認可を活かして、米国、欧州、中国、韓国及び東南アジア等への販売活動を進めています。欧州においては、規制情報の収集や関係当局との情報交換を通じて、EU-BPR(欧州殺生物性製品規則)の承認取得に取り組んでいます。

 このように当社グループは海外事業へ進出していますが、法令または関税等の貿易取引制度の改正、政治的・経済的変動、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等のリスクが内在しています。

 当社グループでは、海外進出において、政治動向、経済動向、法制度、(優遇)税制等を事前に調査・評価することにより海外進出に関するリスク低減に取り組んでいます。

 

(7)製品の品質及び安全に関するリスク

 当社グループは、抗菌事業、環境・リサイクル事業、自転車等の輸入販売事業その他の事業において製造、販売をしています。製品の生産開始以来、品質管理には十分留意しており、製造物責任法(PL法)の施行後は、生産物責任賠償保険に加入し、事故発生による費用負担の低減を図っています。また、消費生活用製品安全法に基づき、製品の安全な使用方法に関する周知徹底を図るとともに事故発生時の対応強化に努めています。

 しかしながら、今後大規模な製品回収や製造物責任が問われる不測の製品事故等が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 抗菌事業を行う株式会社シナネンゼオミックでは、2002年4月にISO9001の認証を取得した上で、社内の品質監査体制を強化しています。また、製品の製造・販売を行う各事業会社においては、品質管理を担当する部署を設置すること等により製品の品質及び安全に関するリスク低減に取り組んでいます。

 

(8)個人情報の取り扱いについて

 当社グループは、エネルギー事業における石油・ガス・電気等の消費者データ及び非エネルギー事業における製品販売・サービス提供等で取得した顧客データ等の個人情報を保有しています。これらの個人情報を保護するために、リスク・コンプライアンス委員会を設置するとともに、従業員等に向けた個人情報保護に関する教育プログラムの実施、暗号化等の情報セキュリティシステムの導入、各種規程の制定等を行っています。

 しかしながら、何らかの原因により個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループに対する信用が失われ、その結果、売上高の減少等により当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、個人情報保護方針、個人情報保護規程を制定し、個人情報の取り扱いに関するリスク低減に取り組んでいます。また、システム事業を行う株式会社ミノスは、プライバシーマーク認定事業所であるほか、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)に関する国際規格である「ISO/IEC27001:2013・JISQ27001:2014」を取得し、リスク低減に取り組んでいます。

 

(9)自然災害等に関するリスク

 当社グループは、石油卸売設備、LPガス充填設備及びガソリンスタンド設備等のエネルギー事業の設備、抗菌事業の製造設備、自転車事業の倉庫や店舗(在庫を含む)、シェアサイクル事業の自転車やステーション設備等の資産を所有しています。これらの設備が大規模な台風、地震、津波、洪水等の自然災害等により被災した場合、正常な事業活動ができなくなり、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、充填施設等、事業継続のため中核施設には非常用電源を設置し、自然災害等の被災に備えています。また、建物は免震、耐震、制震構造とすることにより自然災害に関するリスク低減に取り組んでいます。

 

(10)新型コロナウイルス感染症に関するリスク

 当社グループにおいて、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、事業によっては仕入における供給量不足や納期遅延等は発生したものの、全体として重大な影響はありませんでした。当社グループの主力事業は、日常の生活に必要とするエネルギーの供給事業であるため、消費量が大きく変動することが少なく、今後も影響は限定的であると見込んでいます。

 

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から持ち直しの動きが見られたものの、依然として世界的な資源価格の高騰が続いていることに加え、長期化するウクライナ情勢に端を発する地政学的リスクの顕在化や為替相場の急激な変動など引き続き予断を許さない状況が続いています。

 国内エネルギー業界においては、主力の石油類・LPガスの仕入価格に影響を及ぼす原油価格・プロパンCPは、夏場以降の世界的なインフレを背景とした景気後退懸念による需要減から、やや下落基調に転じたものの、ロシア産原油の供給を巡る不透明感は根強く、引き続き、高値圏で推移しました。また、電力業界においても、節電要請が夏季と冬季に発出される厳しい需給動向を背景に、12月までは卸電力市場価格が高値圏で推移していたものの、年明け以降は冬季の需要期であるにも関わらず需要が伸び悩んだことからスポット価格が前年比で4割程度低下するなど、見通し難い状況が続きました。さらに、長期的な観点でも、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から「急速かつ大幅で~即時の温室効果ガスの排出削減が必要」とする第6次評価報告書が2023年3月に採択されるなど、当社を取り巻く事業環境は大きく変化しています。

 このような環境の中、当社グループは、2027年度の創業100周年での飛躍に向けた基盤整備の期間と位置付けた第二次中期経営計画の最終年度を迎えました。第二次中期経営計画期間においては、既存事業の選択と集中、低効率資産の活用・売却による資本効率の改善を推進するとともに、シェアサイクル事業など新規事業への戦略投資を実行しました。また、前連結会計年度に引き続き、DX推進に向けたIT関連投資や人財関連投資を計画に沿って加速させてきました。

 その結果、当連結会計年度の業績については、原油価格やプロパンCPの高騰に伴う販売単価の上昇により、売上高は3,422億54百万円(前連結会計年度比18.3%増)となりました。利益面は、主に電力事業において、調達コストが高止まりする中、冬場の需要増加を見越して調達した相対電源価格に対する価格転嫁が遅れたことなどにより、売上総利益が333億36百万円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。営業利益・経常利益については、売上総利益の減少に加えて、IT関連投資を含む支払手数料や人件費等の増加に伴い販売費及び一般管理費が5億13百万円増加した影響などにより、営業利益8億95百万円(前連結会計年度比63.9%減)、経常利益12億27百万円(前連結会計年度比62.5%減)となりました。また、2020年より取り組んでいる韓国の大型陸上風力発電事業につきましては、建設予定地の都市計画条例改訂により、当初見込んでいた計画及び開発が著しく困難になったと判断し、保有する固定資産の減損処理を行うなど、27億62百万円の特別損失を計上しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益については、4億78百万円(前連結会計年度比80.8%減)と大幅減益となりました。

 

 セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。

 

[エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)]

 売上面は、主力の「LPガス・灯油販売」で、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が大幅に上昇し、増収となりました。

 利益面は、住設機器等の増販があった一方、電力販売において調達コスト上昇の影響を受け売上総利益が大幅に悪化し、減益となりました。

 なお、新たな収益源確保に向けた取り組みとして、当連結会計年度より、東北エリアにおいて集合住宅向け建物維持管理に関する事業を開始するとともに、関東エリアにおいても不動産の売買・管理等を行う不動産事業を開始しました。

 以上の結果、当連結会計年度におけるエネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高は814億19百万円(前連結会計年度比11.3%増)、営業利益は1億50百万円(前連結会計年度比85.5%減)となりました。

 

[エネルギーソリューション事業(BtoB事業)]

 売上面は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格の高騰に伴い販売単価が大幅に上昇し、増収となりました。

 利益面は、船舶燃料部門における長期契約案件の獲得に加えて、軽油の販売機能を強化したオイルスクエアでの拡販を中心に石油類で売上総利益が増加した一方、BtoC事業と同様に調達コスト上昇の影響を受けた電力事業における売上総利益の悪化が大きく影響し、赤字となりました。

 なお、韓国における大型陸上風力発電事業は、当初見込んでいた計画及び開発が著しく困難になったと判断し、株式の売却可能性を含め関係各所との折衝を進めています。

 以上の結果、当連結会計年度におけるエネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高は2,412億51百万円(前連結会計年度比22.0%増)、営業損失は3億46百万円(前連結会計年度は営業利益5億73百万円)となりました。

 

[非エネルギー事業]

 非エネルギー事業全体としては、抗菌事業の需要一服があった一方、シェアサイクル事業・システム事業が好調に推移したことなどにより、増収増益となりました。

 

 事業別の状況は、次のとおりです。

 自転車事業(シナネンサイクル株式会社)は、世界的な部品不足の解消を背景に、海外輸送費や原材料価格の高騰に対応した価格改定の実施に加えて、新規法人開拓を推進したことで、増収増益となりました。

 シェアサイクル事業(シナネンモビリティPLUS株式会社)は、収益性の高いターゲットエリアを中心にシェアサイクルサービス「ダイチャリ」の拠点開発を推進するとともに、新たな地方自治体との実証実験を開始し、2023年3月末現在、ステーション数は3,100カ所超、設置自転車数は10,000台を超える規模まで拡大しました。利用データを活用した運営効率化も進め、昨年4月に行った価格改定の効果も相まって、設立以来初の通期黒字を達成しました。

 環境・リサイクル事業(シナネンエコワーク株式会社)は、主力の「木くずリサイクル」において、新設住宅着工戸数の伸び悩みによる建築系廃棄物の発生量減少が影響し、減収減益となりました。

 抗菌事業(株式会社シナネンゼオミック)は、新型コロナウイルス感染症拡大による抗菌需要が一服した影響により減収減益となりました。なお、新たな成長戦略として、中国・台湾市場での拡販や「吸着剤」の事業拡大に向けた取り組みを進めています。

 システム事業(株式会社ミノス)は、主力のLPガス基幹業務システムの安定的な貢献に加え、電力自由化に対応した顧客情報システム(電力CIS※)が伸長しており、顧客管理軒数も870万軒を超える規模まで拡大し、好調に推移しました。また当連結会計年度より、2028年3月期中のリリースに向けて、次世代システムの開発をスタートさせています。

 建物維持管理事業の中核となるタカラビルメン株式会社は、マンション・斎場など定期管理業務の安定的な貢献に加えて集合住宅の運営管理業務のエリア拡大が順調に進み、増収増益となりました。また、新たに公営斎場の運営を受託するなど、翌連結会計年度の安定収益確保に向けた成果も表れています。なお、建物維持管理事業を手掛けるグループ4社については、昨年10月よりグループシナジーやスケールメリットを求めた統合への取り組みを本格稼働させていますが、2023年10月をもって統合し、総合建物メンテナンス会社としてサービス展開を進めていく予定です。

 以上の結果、当連結会計年度における非エネルギーの売上高は193億54百万円(前連結会計年度比6.9%増)、営業利益は8億56百万円(前連結会計年度比324.9%増)となりました。

 

 なお、当連結会計年度より報告セグメントの名称を非エネルギー及び海外事業から非エネルギー事業に変更していますこの変更はセグメント名称の変更でありセグメント情報に与える影響はありません

 

※ CISとは、Customer Information Systemの略で、顧客情報の管理から契約形態に合わせた料金計算、請求までの業務を一括で管理できるシステムのこと。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は、99億27百万円(前連結会計年度比0.2%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は、3億89百万円(前連結会計年度は11億33百万円の収入)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が17億89百万円、減価償却費27億14百万円、減損損失25億43百万円、投資有価証券売却益9億68百万円、固定資産売却益23億54百万円、売上債権の減少23億36百万円及び仕入債務の減少51億69百万円等によるものです。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は、6億98百万円(前連結会計年度は21億54百万円の収入)となりました。この主な要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入23億40百万円、投資有価証券の取得による支出13億2百万円、固定資産の売却による収入24億36百万円及び固定資産の取得による支出40億96百万円等によるものです

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動の結果得られた資金は、4億35百万円(前連結会計年度は31億20百万円の支出)となりました。この主な要因は、短期借入金の増加額21億85百万円、長期借入金の返済による支出6億64百万円及び配当金の支払額8億18百万円等によるものです。

 

 なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

53.1

52.9

51.2

52.9

時価ベースの自己資本比率(%)

31.4

34.2

34.3

34.6

キャッシュ・フロー
対有利子負債比率(年)

18.2

0.7

3.4

13.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

5.1

65.4

12.3

4.6

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

a.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

b.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式を除く)により算出しています。

c.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用し、利払いは同計算書の利息の支払額を使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている借入金、社債及びコマーシャル・ペーパーの合計額を対象としています。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

販売高

前年同期比増減率(%)

エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)

81,419

11.3

エネルギーソリューション事業(BtoB事業)

241,251

22.0

非エネルギー事業

19,354

6.9

その他・調整額

228

△38.9

連結合計

342,254

18.3

(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 概観

 当社では、2014年8月に経済産業省より公表されたいわゆる「伊藤レポート」を契機に、資本効率を意識した企業価値経営への転換を図っており、長期的な株主価値の向上に資するべきと考えています。そこで、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの動向を検討する上では、ROE(自己資本利益率)を重要な経営指標として位置付け、2023年4月からスタートした第三次中期経営計画においてもROE8.0%以上を財務目標として掲げています。

 ROE向上に向けては、ROEの構成要素のうち、収益性と効率性の改善を優先的に取り組むこととしています。第三次中期経営計画においても、「資本効率の改善」を成長戦略の1つとして掲げており、建物維持管理事業の統合を皮切りに既存事業の選択と集中を踏まえたグループ内再編を推進し効率性の改善を図るとともに、主力事業におけるエリア効率性の向上を促進し、収益性の向上を図っていきます。

 

 ROEの構成要素に関する目標値は下記のとおりです。なお、比較基準年は、第一次中期経営計画前年度の2016年度としています。

 

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 ROEを持続的に向上させるためには、現在の事業構造から脱却し、新規事業をはじめ収益率の高い事業を伸ばすことで、新たな事業構造を作り上げていく必要があると考えています。当社グループは、引き続き、財務レバレッジに過度に依存することなく、収益性・効率性の改善に取り組み、ROE8.0%以上を持続的に生み出す事業構造を確立していきます。

 

② 経営者による財政状態の分析

流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は587億60百万円となり、前連結会計年度末と比較して30億37百万円減少しました。

 減少した主な要因は、受取手形及び売掛金の売上債権が23億52百万円減少したこと等によるものです。

 

固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は425億89百万円となり、前連結会計年度末と比較して5億20百万円減少しました。

 減少した主な要因は、韓国の大型陸上風力発電事業に係る固定資産の減損処理をしたことによるものです。

 

流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は390億71百万円となり、前連結会計年度末と比較して33億5百万円減少しました。

 減少した主な要因は、短期借入金の増加が19億85百万円あった一方で、支払手形及び買掛金が51億57百万円減少したこと等によるものです。

 

固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は86億46百万円となり、前連結会計年度末と比較して4億97百万円増加いたしました。

 増加した主な要因は、長期借入金が4億49百万円減少した一方で、繰延税金負債が7億35百万円、長期預り保証金が3億2百万円増加したこと等によるものです。

 

純資産

 当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上が4億78百万円あったものの、利益剰余金の配当による減少8億17百万円等により536億31百万円となり、前連結会計年度末と比較して7億49百万円の減少となりました。

 以上により、自己資本比率は前連結会計年度末と比較して1.7ポイント増加し、52.9%となりました。

 

③ 経営者による経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度における経営成績は、売上高3,422億54百万円(前連結会計年度比18.3%増)、営業利益8億95百万円(前連結会計年度比63.9%減)、経常利益12億27百万円(前連結会計年度比62.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4億78百万円(前連結会計年度比80.8%減)となりました。

 

売上高

 当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメント別の売上高及びその増減は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)

73,152

81,419

8,267

エネルギーソリューション事業(BtoB事業)

197,715

241,251

43,535

非エネルギー事業

18,097

19,354

1,257

その他・調整額

374

228

△145

連結合計

289,340

342,254

52,914

 

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の売上高は、主力の「LPガス・灯油販売」で、原油価格やプロパンCPの高騰に伴い販売単価が大幅に上昇したことにより、814億19百万円(前連結会計年度比11.3%増)となりました。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の売上高は、主力の石油事業でBtoC事業と同様に原油価格の高騰に伴い販売単価が大幅に上昇したことにより、2,412億51百万円(前連結会計年度比22.0%増)となりました。

 非エネルギー事業の売上高は、シェアサイクル事業におけるユーザー数や利用回数の順調な増加と価格改定による単価の向上に加えて、集合住宅の運営管理業務のエリア拡大が順調に進んだタカラビルメン株式会社をはじめとする建物維持管理事業が好調であったことなどにより、193億54百万円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。

 その他・調整額の売上高は、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上であり、前連結会計年度に譲渡した埼玉県川口市の固定資産に関する賃貸収入の減少などにより、2億28百万円(前連結会計年度比38.9%減)となりました。

 

売上総利益

 当連結会計年度の売上総利益は333億36百万円(前連結会計年度比3.1%減)となりました。これは主に、主力の石油類・ガス又は電気の仕入値の高騰が影響したことによります。

 

販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は324億40百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。これは主に、従業員数増加等により人件費が増加したことに加え、IT関連投資等に係る支払手数料が増加したことによります。

 

営業利益

 当連結会計年度及び前連結会計年度におけるセグメント別の営業利益又は営業損失(△)及びその増減は以下のとおりです。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)

1,039

150

△888

エネルギーソリューション事業(BtoB事業)

573

△346

△919

非エネルギー事業

201

856

654

その他・調整額

665

235

△430

連結合計

2,480

895

△1,584

 

 エネルギー卸・小売周辺事業(BtoC事業)の営業利益は、電力販売において調達コスト上昇の影響を受け売上総利益が大幅に悪化したことにより、1億50百万円(前連結会計年度比85.5%減)となりました。

 エネルギーソリューション事業(BtoB事業)の営業損益は、BtoC事業と同様に調達コスト上昇の影響を受けた電力事業における売上総利益の悪化が大きく影響し、3億46百万円の営業損失(前連結会計年度は5億73百万円の営業利益)となりました。

 非エネルギー事業の営業利益は、拠点拡大と運営効率化を進めたシェアサイクル事業が黒字転換したことに加えて、価格改定や新規法人開拓を進めた自転車事業と顧客管理件数が増進したシステム事業が利益貢献し、8億56百万円(前連結会計年度比324.9%増)となりました。

 その他・調整額の営業利益は、当社が管理している不動産賃貸収入に係る売上に加えて、セグメント間消去取引、各報告セグメントに配分されていない全社費用が含まれていますが、上述の売上高の減少に加えて、当連結会計年度の重点施策として掲げているIT関連投資に係る支払手数料や人件費の増加などにより、2億35百万円(前連結会計年度比64.7%減)となりました。

 

営業外収益及び営業外費用

 当連結会計年度の営業外収益は7億68百万円(前連結会計年度比21.1%減)となりました。これは主に、保険返戻金の減少によります。

 また、当連結会計年度の営業外費用は4億36百万円(前連結会計年度比139.1%増)となりました。これは主に、持分法による投資損失の増加によります。

 

経常利益

 上記の結果、当連結会計年度の経常利益は12億27百万円(前連結会計年度比62.5%減)となりました。

 

特別利益及び特別損失

 当連結会計年度の特別利益は、33億24百万円(前連結会計年度比48.1%増)となりました。これは主に、当社が保有する東品川の土地売却等により固定資産売却益を23億56百万円、政策保有株式の売却により投資有価証券売却益を9億68百万円計上したことによります。

 また、当連結会計年度の特別損失は27億62百万円(前連結会計年度比161.9%増)となりました。これは主に、韓国の大型陸上風力発電等に係る固定資産の減損損失を25億43百万円計上したことによります。

 

税金等調整前当期純利益

 上記の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は17億89百万(前連結会計年度比59.9%減)となりました。

 

法人税等

 当連結会計年度の法人税等は20億46百万円で、前連結会計年度の19億91百万円とほぼ同額となりました。

 

親会社株主に帰属する当期純利益

 以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は4億78百万円(前連結会計年度比80.8%減)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

ⅰ キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況・分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しています。

ⅱ 資金需要

 当社グループでは、今後、第三次中期経営計画に掲げる「脱炭素社会に対応した事業構造への転換」のため、再生可能エネルギーや廃棄物再資源化等の新規事業開発、M&Aや営業権の買収のための投資など、継続的な資金需要が見込まれています。それらを実行するための資金調達にあたりましては、社債の発行、新たな借入金、自己株式の活用等の状況に応じて多様な資金調達ができるよう体制を整えています。

ⅲ 財務政策

 当社グループは現在、運転資金については、当社及び一部を除く連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っています。借入による資金調達に関しては、一時的な不足資金は、金融機関からの短期借入を行っています。また長期的な資金の需要に対しては必要に応じて金融機関からの長期借入等を行っています。

 

⑤ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されています。連結財務諸表の作成にあたり、期末時点の状況をもとに、種々の見積りと仮定を行っていますが、それらは連結財務諸表に影響を及ぼします。連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目・事象は以下のとおりです。

 なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度における影響は、軽微にとどまりました。会計上の見積りを行うに際し、同感染症拡大が今後の見通しに与える影響について検討した結果、当社グループの主力事業は、生活に必要なエネルギーの供給事業のため消費量が大きく変動することが少なく、グループ全体としての影響は引き続き限定的であり、見積りに重要な影響を与える変動は見込んでいません。

 

繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しています。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しています。

 将来の課税所得見込額はその時の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収懸念額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益が変動する可能性があります。

 

固定資産の減損

 当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討していますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

貸倒引当金

 当社グループは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収の可能性を勘案し回収不能見込額を計上しています。

 取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

5【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループの当連結会計年度における研究開発費は170百万円であり、非エネルギー事業において研究・開発を行っています。

 非エネルギー事業の株式会社シナネンゼオミックは、抗菌・抗ウイルス、消臭及び吸着の各技術に関する研究開発を行っています。

 抗菌剤事業においては、プラスチックや塗料向けに課題であった変色問題を大幅に改善した低変色性銀ゼオライトを製品化し、安定生産にも目処をつけることができました。更に、新型コロナウイルス感染拡大による抗ウイルス加工ニーズの高まりに対応するため、銀ゼオライトの抗ウイルス性能強化を目指した処方開発も継続しています。鉛吸着剤事業においては、生産効率の改善を図るとともに安定生産体制を構築し、販売に大きく寄与しました。

 また、様々な顧客ニーズに応えるべく、他の有害物質をターゲットにした新たな吸着剤の開発を継続しています

 新しい取り組みとして、世界各国の化学物質規制に対応すべく、天然素材や有機合成品をベースとした非銀系抗菌剤の開発を開始し、製品ポートフォリオの拡充を推進しています。