今後の我が国経済につきましては、インフレの高進や人件費の上昇、金融政策の転換による金利の上昇など先行きに懸念があり、厳しい経営環境が予測されます。
特に石油事業においては、原油価格の変動を受ける為替に連動した仕入価格や、気温の変動により変化する需要に、石油事業の販売価格は大きな影響を受け、当期は計画を大きく劣後いたしました。このようなボラティリティの高い外的要因に左右されない安定的な販売基盤を確立するため、事業収益を石油製品自体に依存するだけではなく、石油事業の周辺製品やサービスなどラインナップを拡充し、これらを用いた付加価値を訴求する提案型営業を強化することで、安定した収益を確保できる体制へ収益構造の転換を図ってまいります。
ホームエネルギー事業では、「安心・安全・安定」供給体制を柱に安定的な収益確保を図るとともに、環境にやさしい商品やサービスの提供を通じた新規顧客の獲得や新たな商材として既存ビジネスをさらに発展させ、「住環境の商材・商品」ビジネスの展開を図ってまいります。
レンタル事業においては、レンタル機械の早期発注により安定導入・確保を図るとともに、新規顧客の開拓および既存顧客の拡販に努めつつ、建設機械や車両の価格上昇分の貸出単価への転嫁を推し進め、厳しい営業環境の中においても収益の拡大を図ってまいります。
リサイクル事業については、世界的な脱炭素への動きや海洋プラスチックごみの問題から、産業廃棄物処理企業は、よりリサイクルを意識した循環型社会に貢献する企業へのシフトが求められております。廃棄物や廃油の回収を安定して実施できる体制を強固にするとともに、再資源化の更なる強化と販売先の拡充を図ってまいります。
環境関連事業においては、アドブルーを使用するSCR搭載商用車が増加する機会を捉え、小売店向け販売を強化し更なる増販に努めてまいります。
再生重油や高純度バイオディーゼル「B30燃料」等の環境負荷低減に資する商品は、今後ますます社会的ニーズが高まることが予想されます。このような社会の要請に応えるため当社グループは、エネルギーを取り扱う企業として環境負荷低減に資するエネルギーの供給を担い、低炭素化社会の実現に向けた取り組みに貢献してまいります。今後とも商品ラインナップの拡充に努め、当社グループの長期ビジョンである「お客様が必要とするエネルギーを提供する企業グループ」を目指してまいります。
以上のような事業別施策を着実に実施し、中期経営計画の目標達成に向け、グループ全体で鋭意取り組み、企業価値を向上させることにより、ステークホルダーの期待に応えてまいります。
このように大きく変化する環境の下で、当社グループは、長期ビジョンと新たな「中期経営計画(2024年度~2026年度)(以下「本中計」という。)」を次のとおり策定し、各種施策に取り組んでおります。
①本中計の概要
当社グループは、環境負荷低減に資する次世代エネルギーとして、2023年よりバイオディーゼル燃料(BDF)の供給に着手してまいりましたが、本中計では、より供給体制の拡充を図り、環境対応エネルギーのコアビジネス化を「加速」してまいります。
また、積極的な投資によるリサイクル事業の「拡大」を進めるために、グループ会社である環境開発工業に蓄積された経験、知見と創造性を最大限活用し、地球環境の保護に貢献することで、新たな当社グループの企業価値向上に努めてまいります。
加えて、資本コストを意識しながら投下資本効率を高め、着実な事業戦略の推進により、さらなる「成長軌道」を創造してまいります。
②長期ビジョンの内容
「環境のグリーン化対応とエネルギーの供給を通して社会に貢献するエネルギー商社であり続ける」ことを長期ビジョンと位置づけ、当社グループのマテリアリティに積極的に取り組むとともに、事業戦略強化ならびに経営基盤強化に注力し、環境対応型事業のリーディングカンパニーを目指して尽力してまいります。
|
当社マテリアリティ(重要課題) +環境への貢献 +良質な製品・サービスの提供 +人材育成・社内環境整備 +地域社会への貢献 +コーポレートガバナンスの強化 |
③ 本中計の内容
ア.位置づけ
前中計からスタートいたしましたBDF等の環境対応エネルギー事業、リサイクル事業を中心とする「拡大・成長期」と位置づけ、主に次の3点を推進してまいります。
|
a.BDFの拡販及び製造拠点の拡充・増設 b.リサイクル事業の強化およびエリア拡大 c.高水準の配当と成長投資の両立 |
イ.目標とする経営指標
積極的な投資を実施することで、事業拡大を図ることにより利益を拡大し、本中計最終年度にはROE8.0%以上を達成することを目指します。
利益目標といたしましては、主にBDFを含む石油事業の新規ビジネス、および海外展開と、リサイクル事業の強化による利益の最大化を図り、中計最終年度には経常利益で14.5億円を計上することを目指します。
|
a.ROE : 8.0%以上(本中計最終年度) b.経常利益: 14.5億円(本中計最終年度) |
ウ.非財務目標
人材育成・社内環境整備を念頭に、本中計よりエンゲージメントの向上と働きやすい環境づくりに向け、非財務目標を設定致しました。
|
指標 |
26年度目標 |
|
有給休暇消化率 |
70%以上 |
|
育休休暇取得率 |
100% |
|
キャリア採用者数 |
20名以上 |
|
女性管理職者数 |
11名以上 |
|
教育関連費 |
1,650万円以上 |
|
研修受講者数(のべ数) |
700名以上 |
エ.株主還元方針
成長投資による収益力強化を図りつつ、引き続き、高水準の総還元性向を維持していくことを方針とし、総還元性向は3年平均で80%以上、ならびにDOE 5.0%以上を目指してまいります。
|
a.総還元性向: 80%以上(3年平均) b.DOE: 5.0%以上(3年平均) |
また、キャッシュ・アロケーションにつきましては、3年間で約120億円のキャッシュ・インフローを見込んでおり、M&Aを含めた成長投資を行いつつ、株主還元に努めてまいります。
以上、当社グループは、本中計の目標達成に向け、グループ全体で鋭意取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
1.ガバナンス
当社グループはCSRを軸にした地球環境保全への取り組みを推進しており、その一環として2023年5月より取締役会の直下にサステナビリティ委員会を設置しております。
当委員会は、代表取締役社長を委員長とし、当社の各グループ会社の代表取締役社長、業務執行取締役、各部長を委員として構成されており、サステナビリティ委員会では当社グループにおけるサステナビリティに関する基本方針の策定、マテリアリティの特定とそれに基づく目標設定および進捗管理を行っております。
同委員会にて検討された内容については、委員長より取締役会に直接報告しており、委員会で検討した当社グループにおける気候変動対応を含むサステナビリティに関する対応の監督・指示を実施しております。
なお、本委員会で策定したサステナビリティ基本方針は次のとおりであります。
(サステナビリティ基本方針)
富士興産グループは、「環境のグリーン化対応とエネルギーの供給を通して社会に貢献するエネルギー商社であり続ける」ことを長期ビジョンと位置づけ、環境対応型事業のリーディングカンパニーを目指しこれに基づく事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値の持続的な向上を目指します。
2.戦略
(1)マテリアリティの特定と戦略の概要
サステナビリティ委員会においてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに従い、対象となる事業の規模を表す「影響度」とリスク・機会となりうる気候関連の事象の「発生度」から、当社グループの各事業におけるリスク・機会の重要度を評価し、当社グループのサステナビリティに係るマテリアリティを特定するとともに、当該マテリアリティに対する戦略の概要を次のとおり策定いたしました。
|
分類 |
マテリアリティ |
戦略の概要 |
|
E (環境) |
①環境への貢献 |
環境負荷低減に資する商品・サービスの提供 |
|
サーキュラーエコノミーを担うリサイクル事業等の推進 |
||
|
シェアリングエコノミーに貢献するレンタル事業等の推進 |
||
|
②良質な製品・サービスの提供 |
社会の要請に対応した製品・サービスのラインナップの拡充 |
|
|
S (社会) |
サプライチェーンの維持強化 |
|
|
③人材育成・社内環境整備 |
社員のエンゲージメントの向上 |
|
|
人材の多様性の推進 |
||
|
将来を担う人材の育成促進 |
||
|
④地域社会への貢献 |
地域に根ざした事業展開の推進 |
|
|
製品・サービスの供給体制の強化 |
||
|
災害発生時の供給体制・サービス体制の維持と強化 |
||
|
G (ガバナンス) |
⑤コーポレート・ガバナンスの強化 |
経営の透明性を高めるコーポレート・ガバナンス体制の構築 |
|
コンプライアンスの徹底 |
||
|
非財務情報を含む情報開示の充実 |
(2)人材育成方針・社内環境整備方針
(人的資本への対応について)
当社グループは、「環境のグリーン化対応とエネルギーの供給を通して社会に貢献するエネルギー商社であり続ける」との長期ビジョンのもと、収益基盤事業の維持・強化、成長事業への積極投資、新たな収益基盤の確立に向けて歩みを進めてまいりました。
現在、脱炭素社会に向けた動きが加速している環境下において、石油事業をコア事業としている当社グループは様々な課題に直面し、大きく変わっていくことが求められております。私たちはこの変化をチャンスととらえ、継続的に成長し、環境の変化によって生まれてくる社会の様々な課題の解決に取り組み、よりよい社会づくりに貢献できる企業であり続けるために、変化を恐れず、積極的に行動する人材を必要としています。当社グループは、そうした人材を育成し、社員と会社がともに成長していく環境づくりを推進してまいります。
①人材育成方針
会社を取り巻く環境とお客様が求めるニーズの変化を敏感にとらえ、会社の継続的な成長に活かすことができる発想力とチャレンジ精神をもって、積極的かつ主体的に行動する社員を育成します。
②社内環境整備方針
(A)社員のエンゲージメントの向上
企業の成長には、社員一人一人がその能力を十分に発揮し、高いモチベーションをもって働くことができる環境が必要不可欠であります。これまでも年次有給休暇の取得奨励、育児・介護のための短時間勤務制度の導入、会社業績に応じた社員へのインセンティブの付与を含む賃金体系の見直しなど働きやすい職場環境の整備を進めてまいりました。これからも社員がイキイキと働きやすく、活躍しやすい環境づくり、社員の貢献に即した報酬制度などモチベーション向上に寄与する施策を実施し、社員のエンゲージメント向上に積極的に取り組んでまいります。
(B)人材の多様性の推進
企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、各自が思い描くキャリアプランや適性を的確に把握し、多様な視点や価値観をもった人材がそのもてる能力を存分に発揮できる場を提供することが大切と考えております。これからも役職・年齢・性別・採用方法などにかかわらず、各自の能力・資質を適切に評価し、適材適所の人材配置・積極的な人材登用を行い、多様な人材がイキイキと活躍できる環境づくりを推進してまいります。
(C)将来を担う人材育成の促進
「人の成長=企業の成長」という考えのもと、階層別研修を中心とした各種研修の実施、資格取得の補助制度等を実施しております。これからも各自のキャリア志向および適性に応じた学びの機会の提供その他社員の成長を後押しする施策を実施し、将来を担う人材の育成に取り組んでまいります。
3.リスク管理
(1)気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセス
当社グループでは、気候変動に伴うリスクについては短期的なリスクのみならず中長期的なリスクに関しても考慮しており、サステナビリティ委員会にて識別・評価を実施し、特に重要なリスクについては取締役会に報告される体制となっております。
識別・評価された気候変動リスクに関しては、サステナビリティ委員会にて予防策と対応方針を検討し、取締役会で承認した後に各グループ会社で実行されます。また、リスクの優先順位付けプロセスとしては「影響度」と「発生度」の二つの軸を用いて評価することで、対処すべきリスクの重要度と優先順位の決定を行っております。
(2)全社のリスク管理への統合プロセス
全社リスクを統括するリスク管理委員会は取締役会の直下に設置され、原則として半期に一回開催されております。当委員会では、当社の経営に及ぼす可能性が高いリスクの発生防止に係る管理体制の整備、及び危機・緊急事態が発生した場合に、迅速かつ的確な対応により被害を最小限に抑え、事業の円滑な運営を実現するための議論・検討を行っております。また、気候変動に係るリスクに関しては、当委員会において、サステナビリティ委員会決定事項等を共有し、全社統合的なリスク管理体制を構築しております。
なお、主要なリスクについては、「
4.指標及び目標
(1)環境関連
当社グループの気候関連リスクを管理する指標として、温室効果ガス排出量(Scope1・Scope2)の算定を進めております。現時点で算出の完了した当社の2023年度の温室効果ガス排出量(Scope1・Scope2)は次のとおりであります。
|
項 目 |
2023年度 排出量実績(t-CO2) |
|
Scope1 |
|
|
Scope2 |
|
|
Scope1・2合計 |
|
今後、グループ会社を含めた温室効果ガス排出量(Scope1・Scope2)を含めた目標につきましては、策定次第公表いたします。
(2)人的資本関連
当社グループの人材育成方針・社内環境整備方針に関する指標並びに実績及び目標は、次のとおりであります。
|
指 標 |
2023年度実績 |
目標( |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
キャリア採用者数 (目標は中計期間累計) |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項として以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
また、ここに記載するリスクは将来発生しうる全てのリスクを必ずしも網羅したものではありません。
(1) 天候リスク
当社グループの販売商品のうち灯油・A重油は、暖冬となった場合に販売数量が減少する可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、環境関連事業は、豪雨・豪雪等の天候不良により発電量が減少する可能性があり、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 公共投資リスク
当社グループの販売商品のうちアスファルトは、主として道路舗装用であるため、道路工事に対する公共投資が減少すると販売数量が減少する可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループのレンタル事業は、主として道路工事用機械のレンタルを行っているため、同様に、道路工事に対する公共投資が減少すると取引が減少する可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 得意先信用リスク
売上債権は回収する前に得意先が信用不安に陥り、貸倒れもしくは貸倒引当金計上の必要が生じる可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。その対策として、与信管理制度に基づき、取引先の経営状況に応じた与信枠の設定、預り保証金の受け入れや製品の納入と代金の決済を同時に行うキャッシュ・オン・デリバリー取引を行うなど貸倒損失の発生防止に努めております。
また、各事業所に設置された「債権管理委員会」にて毎月取引先の債権管理の状況の確認を行い、取引先の債権回収に懸念が生じた時は、「債権管理委員会」の統括組織として本社に設置された「信用取引委員会」を開催し、債権保全に関する事項を審議する体制を構築しております。
(4) 石油製品市況リスク
当社グループは、主として石油製品を仕入れておりますが、原油価格高騰等により仕入価格が高騰した際、販売価格に十分転嫁できない可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 仕入先依存度リスク
当社グループの石油製品の主要仕入先はENEOS㈱であり、当連結会計年度の総仕入高に占める同社からの仕入高の割合は約8割であります。現行は同社との取引基本契約に基づき安定供給を受けているものの、取引関係が継続困難となった場合には受注に対する仕入ができなくなる可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢は先行きに不透明感を増しておりますが、当該国・地域において、当社グループは直接の仕入取引及び販売取引はありません。
(6) 環境規制リスク
当社グループは、様々な環境規制の適用を受けており、法規制を遵守し、将来の環境対策に関して合理的な見積額に基づき引当計上をしていますが、規制強化等により環境対策に必要な費用が増加する可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため次世代液体エネルギーの取り扱いを前提として、サプライチェーンの拡充と強化に努めてまいります。
(7) 自然災害等リスク
当社グループは、火災・地震・台風・津波等の自然災害により所有資産及び営業活動に被害を受ける可能性があり、これらにより業績に影響を及ぼす可能性があります。その対策として、重要な所有資産に損害保険を付保し、自然災害の影響を低減させるよう努めております。
(8) 固定資産の減損リスク
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 新規事業投資リスク
当社グループは、新規事業及び既存成長事業の収益拡大に向けた積極投資を行っております。
しかしながら、適正価格ではない投資、期待した業績やシナジーが得られないこと、人材や顧客の流出等があった場合に、業績に影響を及ぼす可能性があります。
その対策として、綿密なデューデリジェンスを実施することにより、事業投資リスクを低減させるよう努めております。
(10) 感染症拡大リスク
新型コロナウィルス感染症のような大規模な感染症拡大による社会的混乱が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は従来より、複数の金融機関に十分な借入枠を有するとともに、総額20億円のコミットメントライン契約を主要取引金融機関と締結し、資金の流動性を補完しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(当社グループを取り巻く環境)
当連結会計年度における我が国経済につきましては、COVID-19の感染症法上の位置づけが5類感染症に引き下げられ、行動制限の緩和により社会経済活動の正常化が進み、堅調な公共投資と企業業績の改善を支えに、個人消費の持ち直しも加わり、景気は緩やかに回復している状況にあります。
一方、ウクライナ情勢や中東地域をめぐる地政学リスクの高まりに伴うエネルギー価格・資源価格の高止まりや世界的な金融引き締めなど、経済活動の抑制要因は継続しております。
エネルギー業界におきましては、2023年11月から開催されたCOP28において、GHG排出量を2030年までに43%、2035年までに60%を削減する必要性が改めて認識され、世界的に地球温暖化対策への取り組みが加速することが予想される中、再生可能エネルギーの推進や環境負荷低減に資する省エネルギー商品の供給等が期待されております。
(当連結会計年度における事業の経緯と成果)
当連結会計年度につきましては、中期経営計画(2021年度~2023年度)の最終年度であり、「富士興産は生まれ変わります」のスローガンのもと、当社グループの全社員が一丸となり、目標達成に向けて各事業に取り組んでまいりました。
石油事業につきましては、環境のグリーン化対応のひとつとして、軽油と比較してCO₂排出量を約30%削減することが可能となる「バイオディーゼル『B30燃料』」のオフロードとオンロードでの約1年間の実証実験を2023年4月から開始いたしました。本実証実験において知見とデータを蓄積することにより、消費者の皆様に環境負荷の低減を可能とする商品をお届けできるよう品確法(揮発油等の品質の確保等に関する法律)の登録を目指すものであります。また、並行して、カーボンニュートラルの実現に向けた需要増加に対応するため、バイオディーゼル燃料製造設備の能力増強を図ってまいりました。さらに、お客様の利便性向上のため、CO₂排出量を100%削減する「B100燃料(FAME)」、同排出量を約5%削減することが可能となる「B5燃料」をラインナップに加え、販売を開始いたしました。これら環境負荷低減に資する商品は、実証実験でご協力いただいております株式会社鴻池組を通じて「2025年日本国際博覧会 (大阪・関西万博)」の工事現場にも使用されております。
一方、2022年10月に当社グループに加わった環境開発工業株式会社(以下「環境開発工業」という。)が、当社グループ全体の業績に大きく貢献いたしました。環境開発工業が営むリサイクル事業は、循環型社会の進展に寄与するとともに、環境開発工業の取り扱う、CO₂排出量を実質ゼロカウントとみなすことが可能な「再生重油」については、石油事業の顧客向けにも販売を開始し、シナジー効果を生み出しており、当社グループの新たな収益の柱として順調に実績を上げております。
さらに、ホームエネルギー事業におきましては、新規取引先の開拓や、灯油卸売販売の強化などの施策が奏功し、販売数量が増加したことにより、前年を上回る業績をあげることができました。また、レンタル事業におきましても、北海道の堅調な公共事業と民間設備投資の増加に伴う建設機材需要の高まりを的確に捉えたことにより、業績は順調に推移し前年を上回りました。
ガバナンスの強化につきましては、事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値の持続的な向上を目指すため、サステナビリティ委員会を設置いたしました。
また、前年度に企業価値の持続的な向上と株主の皆様との一層の価値共有を目的として取締役(監査等委員である取締役及び社外取締役を除く。)に対して導入いたしました譲渡制限付株式報酬制度について、一定の条件を満たす当社従業員に対しても適用し、導入対象を拡大しました。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、石油事業における暖冬による販売数量減少などから前年同期比31億円(4.9%)減少の619億円となりました。損益面では、前連結会計年度の2022年10月から環境開発工業が当社グループに加わったことや、ホームエネルギー事業、レンタル事業が好調に推移したことにより売上総利益は、前年同期比665百万円(15.9%)増加の4,843百万円となりました。営業利益は前年同期比567百万円(164.1%)増加の913百万円となり、経常利益は、前年同期比575百万円(155.2%)増加の946百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比198百万円(48.7%)増加の607百万円となりました。
中期経営計画(2021年度~2023年度)において当初掲げた最終年度の目標は、連結経常利益10億円以上でありましたが、当社グループを取り巻く環境の悪化を勘案して修正した当連結会計年度の目標である経常利益950百万円(2023年5月15日公表)につきましては、概ね達成することができました。
さらに、当社グループは、この中期経営計画の期間において、従来の石油事業をコアとする事業構造から、次世代エネルギー供給企業、リサイクル事業を展開する環境対応型企業への転換の基礎を整備することができました。
なお、当連結会計年度末のPBR(株価純資産倍率)は、当社グループを挙げて企業価値向上に努めてきた結果、1倍以上に改善されております。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
「石油事業」
石油業界におきましては、期初80ドル/バーレル台のドバイ原油価格が、産油国の減産維持、中東における地政学リスクの高まり、中国経済の減速等により70~90ドル台の間を推移いたしました。国内の石油製品需要は、記録的な暖冬の影響により冬季の暖房需要が大きく減少したことなどから、当社グループの主力商品である灯油・A重油の販売数量は前年同期比90%台前半に減少し、アスファルトの販売数量につきましても前年同期比80%台と低調な動きとなりました。
当社グループは、このような厳しい環境に対応するため、気温の変動、原油価格・為替等のボラティリティの高い外的要因に左右されない安定的な販売基盤の確立を目指し、石油事業の周辺製品やサービス等のラインナップを拡充し、付加価値を訴求する提案型営業に努めてまいりました。また、販売エリアや販売形態別にきめ細やかな価格管理を行うことによりマージンの改善を目指す一方、本社の需給・直売機能を強化し、事業所の取引先の一部を本社に移管することにより販売の効率化を図り、徐々に成果も出始めてまいりました。
しかしながら、暖房需要の最盛期であります冬季に入っても暖かい日が続き、当社グループが強みとする北海道、東北エリアにおいては、エネルギーコストの高騰による節約志向の高まりも加わり、需要が低調であったことから、販売数量は伸び悩みました。
この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は販売数量の減少などから前年同期比42億円(7.2%)減少の548億円となりました。営業利益につきましては前年同期比252百万円増加したものの26百万円の損失となりました。
「リサイクル事業」
北海道道央地域に営業基盤を有するリサイクル事業におきましては、世界的に進む持続可能な社会の構築に向けた動きの中で、資源リサイクルに対する社会の要請は一段と高まっており、産業廃棄物業界が静脈産業として、サーキュラーエコノミーに貢献すべき役割の重要性が増しております。また、原油価格の高止まりと世界的なカーボンニュートラルへの動きが加速する中、当社グループが取り扱う「再生重油」は、CO₂排出量をゼロカウントとみなすことが可能であり、その評価は一段と高まってまいりました。
このような環境の下で、当社グループは、廃油・廃プラスチック・OA機器等の産業廃棄物収集運搬・中間処理を経て各産業に再生資源を提供するだけでなく、全道における同業者や当社グループ各社と連携を深めることで、より多くのお客様や地域社会のニーズに貢献する事業活動を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、環境リサイクル事業における土壌汚染対策工事の完成高が大幅に増えたことなどから1,505百万円となり、のれん並びに顧客関連資産の償却額72百万円を差し引いた営業利益は285百万円となりました。なお、2022年10月3日付で環境開発工業を連結子会社としたため、前年同期比の比較は行っておりません。
「環境関連事業」
当社グループが取り組んでいる環境関連事業のうち、メガソーラー発電事業につきましては、2023年1月に阿久根発電所を売却いたしましたが、好天により売電量は前年を上回りました。また、グリーン商品であるアドブルー(※)の販売につきましては、アドブルーを使用するSCR搭載商用車が増加する機会を捉え、販売チャネルを広げるため、ホームセンター等の小売向けの販売を拡大いたしました。これにより販売数量は前年同期比103%となりました。
この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、アドブルーのマーケット価格の下落により前年同期比32百万円(3.0%)減少の1,050百万円となりました。営業利益は、アドブルー販売においては採算を重視した販売に努めたことや、メガソーラー発電事業における売電収益の増加から、前年同期比31百万円(18.9%)増加の196百万円となりました。
※アドブルー(AdBlue):ディーゼル車の排ガス中の窒素酸化物(NOx)を無害化する「SCRシステム」に使われる高品位尿素水。
「ホームエネルギー事業」
北海道道央地域に営業基盤を有するホームエネルギー事業(LPG・灯油など家庭用燃料小売事業)におきましては、例年に比べ平均気温が高く推移したことや物価高騰による節約志向の高まりにより、当社の主力商品である家庭用燃料油は、一世帯当たりの消費量が大きく減少いたしました。
このような環境の下で、顧客獲得競争の激化から投資額が高騰し、資本効率が低下傾向にあるなか、資本効率の良い集合住宅とオールガス戸建住宅の顧客獲得に注力した結果、販売数量は前年同期比110.6%となりました。また、既存の顧客に対しましては、各種点検並びにアフターサービスの充実に努めるとともに、灯油の自社配送を強化してまいりました。さらに、この配送体制を当社グループ企業にも活用することでシナジーの拡大を図ってまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は前年同期比157百万円(7.2%)増加の2,336百万円となりました。営業利益は、販売数量の増加などにより前年同期比61百万円(40.8%)増加の210百万円と過去最高益となりました。
引き続き地域のライフラインの一翼を担う責任と自覚を持ち「安全・安心・安定」の供給体制を柱に、お客様から選ばれるサービス体制の向上に努めてまいります。
「レンタル事業」
北海道道央地域に営業基盤を有する建設機材レンタル事業におきまして、事業と関係性の深い公共工事は期初より動きが鈍く、発注実績は前年同期比7.0%減となりましたが、営業基盤のある石狩地区では北海道新幹線の延伸トンネル工事が下支えとなり、その発注実績は前年同期比33.5%増となりました。また、前年度から半導体不足並びに大手自動車メーカーによる排ガス検査数値偽装問題により、建設機械や車両の納期遅延が継続しております。
このような環境の下で、当社グループは、新規顧客獲得活動並びに休眠顧客の掘起しと重点拡販先を選定し、顧客のニーズを最大限取り込む丁寧な営業活動を積極的に展開・継続いたしました。また、建設機械や車両の一部納入遅延に対しては、顧客の信頼に応えるべく保有機材を最大限活用する一方、顧客の様々なニーズに応えるためレンタル建設機材のラインナップ拡充に努めました。
この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、前年同期比62百万円(3.0%)増加の2,132百万円となり、好調であった前年をさらに上回りました。営業利益は、前年同期比14百万円(6.2%)増加して過去最高益となる246百万円となりました。
資産、負債、純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ836百万円増加の19,121百万円となりました。この主な要因は、製品販売価格の上昇による売掛金の増加346百万円、現金及び預金の増加739百万円などの増加要因の合計額が、商品及び製品の減少245百万円などの減少要因の合計額を上回ったことによるものであります。
また、負債合計は、前連結会計年度末に比べ656百万円増加の9,616百万円となりました。この主な要因は、仕入価格の上昇による支払手形及び買掛金の増加446百万円や未払金の増加189百万円などによるものであります。
純資産合計は、利益剰余金が、配当金の支払いによる減少460百万円に、親会社株主に帰属する当期純利益607百万円の増加等を加え、163百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ180百万円増加の9,505百万円となりました。
なお、2022年10月3日に行われた環境開発工業の株式取得による企業結合について、前連結会計年度におきまして暫定的な会計処理を行っておりましたが、当連結会計年度に確定したため、前連結会計年度との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の重要な見直しが反映された後の金額を用いております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加額が、投資活動及び財務活動による資金の減少額を上回りました。これにより当連結会計年度末の資金残高は前連結会計年度末に比べ730百万円増加して3,434百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は1,959百万円(前期は870百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益980百万円や仕入債務の増加額442百万円、棚卸資産の減少額245百万円など資金増加要因と、減価償却費912百万円などの非資金項目の合計額が、売上債権の減少額310百万円や法人税等の支払額397百万円などの資金減少要因の合計額を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は767百万円(前期は1,454百万円の使用)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出787百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は462百万円(前期は750百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払額460百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは、石油製品の販売事業、リサイクル事業、メガソーラー発電による売電等の環境関連事業、ホームエネルギー事業(LPG・灯油等の家庭用燃料小売事業)及びレンタル事業を営んでおり、生産及び受注については、該当事項はありません。
販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
石油事業 |
54,887 |
△7.2 |
|
リサイクル事業 |
1,505 |
142.6 |
|
環境関連事業 |
1,050 |
△3.0 |
|
ホームエネルギー事業 |
2,336 |
7.2 |
|
レンタル事業 |
2,132 |
3.0 |
|
合計 |
61,912 |
△4.9 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況に記載しております。
経営成績に重要な影響を与える要因
第2[事業の状況]3[事業等のリスク]に記載しております。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
|
|
2022年3月期 |
2023年3月期 |
2024年3月期 |
|
連結経常利益(計 画) |
603百万円 |
740百万円 |
950百万円 |
|
(実 績) |
577百万円 |
370百万円 |
946百万円 |
|
(達成率) |
95.7% |
50.1% |
99.6% |
当社グループは、長期ビジョン及び中期経営計画(2024年度~2026年度)を策定しております。当社グループは、この中期経営計画の目標達成を目指して、グループ一丸となり、鋭意取り組んでまいります。
詳細につきましては、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析
第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況に記載しております。
資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの資金需要のうち、運転資金の主な資金需要は、石油事業とホームエネルギー事業の営業活動における製品仕入や、各事業における販売費及び一般管理費等であります。また、投資資金の主な資金需要は、石油事業における油槽所設備の更新、リサイクル事業のリサイクル設備の取得、ホームエネルギー事業におけるLPG設備の取得及びレンタル事業におけるレンタル機械の更新購入等であります。
(財務政策)
当社グループのコア事業である石油事業は、原油価格や為替、季節的変動等のボラティリティの大きいリスクに晒されております。このような中で大きな財務リスクを抱えること無く、事業活動に必要な資金を安定的・効率的に確保するために、自己資金を優先的に活用することを基本方針としつつ、自己資金が不足する場合には金融機関からの借り入れにより資金調達することとしております。
また、当社は複数の金融機関に十分な借入枠を有するとともに、総額20億円のコミットメントライン契約を主要取引金融機関と締結し、資金の流動性を補完しております。
なお、重要な資本的支出及びその資金の調達源につきましては、第3[設備の状況]3[設備の新設、除却等の計画]重要な設備の新設に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項]連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項に記載しているとおりであります。
当社グループは、見積りが必要となる事項については、合理的と考えられる基準に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債及び収益・費用に反映させ連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(石油事業に属する固定資産の評価)
当社は、固定資産について支店、営業所、油槽所、賃貸物件、遊休資産を独立したキャッシュ・フローを生み出す、最小の単位としています。本社費等の共通費については、合理的な方法によりそれぞれの資産グループに配分しております。
本社費等を一定の基準により配賦した後の営業利益が2期連続で赤字となるなど減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回り減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額又は使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。
また、将来キャッシュ・フローの見積りは、事業計画を基礎としており、特に単位当たり粗利額や販売数量の見込みを主要な仮定として織り込んでいます。これらの主要な仮定は外部環境や顧客動向により高い不確実性を伴うため、翌連結会計年度において重要な変更が生じ減損の兆候があると判断された場合には、固定資産の減損損失を認識する可能性があります。
(リサイクル事業に属するのれん及び顧客関連資産の評価)
のれんは、今後の事業活動により期待される将来の超過収益力として、取得原価と被取得企業の識別可能資産及び負債の企業結合日時点の時価との差額で算定しております。顧客関連資産は、既存顧客との継続的な取引関係により生み出すことが期待される超過収益力の現在価値として算定しております。
減損の兆候があると認められる場合には、割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。
また、将来キャッシュ・フローの見積りは、事業計画を基礎としており、売上高及び営業利益の将来予測並びに割引率等の主要な仮定を用いております。これらの主要な仮定は見積りの不確実性を伴うため、翌連結会計年度において重要な変更が生じ減損の兆候があると判断された場合には、のれん及び顧客関連資産の減損損失を認識する可能性があります。
当社が締結している継続的な売買契約
|
相手先の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
|
ENEOS㈱ |
石油製品の継続的な売買契約 |
2017年10月1日より 2018年9月30日まで (以降1年ごと自動延長) |
当社は、環境負荷の低減に資するエネルギーの提供を目指し、軽油の代替となるB5やB30燃料の混和製造能力を強化いたします。この能力強化によって2024年度上期には岸和田製造所の混和製造、及び製品貯蔵能力を数十倍に引き上げる予定です。
カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが加速する中、バイオディーゼル燃料をはじめとするバイオ燃料のユーザーニーズは今後も一定した増加が見込まれます。当社は、この需要増に対応するためバイオ燃料事業へ積極的に投資を行ってまいります。
また、当社は2023年春からB30燃料を使用した大型トラックの公道試験や、建設現場での約1年間の実証実験を継続して実施しております。
これによりB30燃料の実際の使用状況や、車両への影響、排気ガスの性状など、パートナー企業様のご協力により、バイオディーゼル燃料の特性に関する貴重な知見を得ておりますことから、これらの知見にもとづきバイオ燃料の更なる普及に努め、環境負荷の低減による持続可能な社会の実現に向けた取り組みに貢献してまいります。