第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(経営環境)

今後の我が国経済の見通しについては、世界的なインフレ圧力の高まりや、それに伴う物価上昇、人件費の増加が企業経営に直接的な影響を及ぼし、依然として不透明感が強まっています。加えて、中央銀行による金融政策の転換により、金利が上昇傾向にあることから、資金調達コストの増加や設備投資の抑制も懸念され、企業を取り巻く経営環境は一層厳しさを増しております。

一方で、地球温暖化対策に関しては、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが国際的にも加速しており、特に、温室効果ガスの排出削減や再生可能エネルギーの導入、省エネルギー技術の活用など、環境負荷の低減に向けた取り組みは、企業の社会的責任(CSR)やESG経営の観点からも注目されています。

さらに、資源の有限性や廃棄物問題への対応として、資源を効率的かつ循環的に活用する「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」への移行について、社会的要請が一段と高まっております。これらに対応したビジネスモデルの構築が企業に強く求められております。

このように、環境と経済の両立を図る持続可能な経営が、今後ますます重要性を増していくと考えられております。

 

各事業セグメントにおける環境認識、事業機会、当社グループの強みは、以下のとおりです。

 

(1)石油事業

環境認識

・気候変動への対応要請と環境負荷低減への取り組みに伴い、エネルギー供給における石油由来エネルギーの比率は、漸減傾向が続く見通し

・石油元売においては、業界再編により統合が進んだ一方、販売事業者では商社や大手卸売業者など競合が依然として多数存在し、競争環境が継続

事業機会

・脱炭素社会の実現に向けた取り組みの中で、再生可能エネルギーのひとつであるバイオ燃料の需要は今後さらに拡大

・再生可能エネルギーやEVシフトのインフラ整備の遅れと技術や経済性に課題がある

当社グループの強み

・バイオ燃料の製造体制を拡大中で、既に全国規模で販売を展開している

・環境対応型燃料のラインナップが豊富(バイオ燃料・再生重油・カーボンクレジット燃料等)

・石油燃料においては石油元売りであるENEOS株式会社の全国にある油槽所や配送網を利用した安定した供給体制を有する

・石油事業で長年培った製品製造販売の高度な経験と知見を保有

 

(2)リサイクル事業

環境認識

・廃棄物の回収・処理・再資源化を担う静脈産業であるリサイクル業界は、地域に根差した小規模な事業者が数多く存在

・再資源化事業等高度化法の施行により、動脈産業や異業種の参入ハードルが緩和される見込み

事業機会

・サーキュラーエコノミーの推進に貢献する事業として、社会的意義が高まっている

・全国規模で、リサイクル事業の活性化が見込まれる

当社グループの強み

・多品目の廃棄物を少量から回収可能

・自社による回収からリサイクルまでワンストップ対応

・行政より優良事業者に認定され、官公庁から民間企業まで、幅広いお客様から高い信頼を獲得

・再生重油の製造や土壌汚染対策工事等、環境負荷の低減に配慮した事業を展開

・北海道というリサイクル先進エリアにおいて、産業廃棄物処理の豊富な実績と蓄積された技術力・知見を保有

 

(3)ホームエネルギー事業

環境認識

・北海道道央地域では、オール電化の普及や省エネ機器が進化する一方、家庭用LPGの需要は堅調に推移

・液石法の施行により、料金の透明化と消費者保護の強化が求められている

・配送や点検等、専門性の高い業務における人材不足

事業機会

・LPGは、石油や石炭と比較して燃焼時のCO排出量が少ないクリーンな燃料であり、低炭素社会の実現に貢献できるエネルギー源

・LPGを活用したスマートホーム技術やIoTとの連携により、利便性の高いエネルギー管理システムの開発が可能

当社グループの強み

・地域密着型の効率的な配送体制、保安点検体制を確立

・「安全・安心・安定」の供給体制

 

(4)レンタル事業

環境認識

・北海道道央地域では、半導体工場建設や新幹線の延伸工事により、工事需要が旺盛

・建機レンタル業界は、大手企業と地場企業の二極化が進行

事業機会

・官民連携(PPP)による道路、橋梁、再生可能エネルギー施設(風力・太陽光)などの建設プロジェクトが増加

・地場における中小企業事業者のレンタルニーズの高まり

当社グループの強み

・建設機械から小さな備品まで、幅広い機材のラインナップ

・顧客ニーズに柔軟に対応したレンタル貸出・返却方法

・地域密着型の営業活動により、地元企業との継続的かつ信頼性の高いパートナーシップを保有

 

(経営戦略)

当社グループは、大きく変化する経営環境をむしろ機会と捉え、環境対応型事業のリーディングカンパニーを目指し、持続可能な成長の実現に向けた次の3つの施策を実施してまいります。

また、ホームエネルギー事業やレンタル事業といった地場密着型事業につきましては、グループ事業の基盤として、維持・強化を図ってまいります。

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(1)リサイクル事業でトップを走る環境開発工業の技術と知見を全国に展開

 リサイクル業界は、資源を効率的・循環的に有効活用するサーキュラーエコノミーへの移行において重要な役割を担う事業として注目されており、リサイクル事業への社会的要請と期待が高まっております。一方、リサイクル事業者は、特定のリサイクル素材のみを取り扱う小規模な事業者が多いのが現状であります。

 このような中、当社グループは、これまで多品目のリサイクル素材をワンストップで対応・処理する体制を整備してまいりました。今後は、当社グループが有する幅広いリサイクル技術と知見をM&Aを通じて全国に展開することで、リサイクル事業のさらなる拡大を図り、新たな収益の柱として一層強化してまいります。

 

(2)環境対応型エネルギーの全国製造及び販売のトップランナーを目指す

 エネルギー業界におきましては、世界的に脱炭素社会への転換が求められており、地球温暖化対策への取り組みが一層加速され、再生可能エネルギーの推進や環境負荷低減に資する省エネルギー商品の重要性が増す一方で、カーボンニュートラル社会の進展に向けて、産業競争力を損なうことがない、より現実的な施策が期待されております。

 このような中、当社グループは、

①バイオ燃料・再生重油・カーボンクレジット燃料等、環境対応型エネルギーのラインナップが豊富

②バイオ燃料は、内燃機関でそのまま利用でき産業競争力を維持できる商品

③石油事業で長年培った製品製造販売の高度な経験と知見を保有

④大手石油元売りに先駆けた、バイオ燃料や再生重油の自社製造販売体制を構築

 以上を強みに、環境対応型エネルギーの製造販売のトップランナーを目指してまいります。

 

(3)持株会社体制への移行による効率的なグループ経営の実現

 当社は、単独株式移転により、2025年10月1日付で、持株会社「富士ユナイトホールディングス株式会社」を設立し、持株会社体制に移行する予定であります。

 新たに設立される持株会社は、グループ全体の経営戦略に加え、リサイクル事業を中心としたM&Aや新規事業の創出に注力してまいります。一方、事業会社は、それぞれの事業運営に専念し、急速に変化する環境に柔軟かつ迅速に対応してまいります。

 この体制移行により、環境対応型エネルギーのコアビジネス化を「加速」させるとともに、積極的な投資を通じてリサイクル事業の「拡大」を着実に推進・実現していくことにグループを挙げて、取り組んでまいります。

 

成長イメージ図

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 また、持株会社体制への移行に伴い、これまで主に石油事業が負担していた持株会社業務にかかるコストが、今後は各事業セグメントに適正に配分されることとなります。これにより、各事業セグメントの営業利益やROIC(投下資本利益率)などの業績指標が、より正確かつ公正に評価される体制が整うとともに、グループ全体の事業ポートフォリオの最適化にもつながるものと考えております。

 

 なお、富士ユナイトホールディングス株式会社のグループの旗印となるグループマークと当社グループが、株主の皆様を始めとしたステークホルダーに提供する価値を、分かりやすくお伝えするタグラインは次の通りです。

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(目標とする経営指標と進捗)

 当社グループは、2024年度を初年度とした3ケ年の「中期経営計画(以下「中計」という。)」を策定しており、目標とする経営指標を次の通り定めております。

①積極的な投資を実施することで、事業拡大を図ることにより利益を拡大し、本中計最終年度にはROE8.0%以上を達成することを目指します。

②利益目標といたしましては、主にBDFを含む石油事業の新規ビジネスとリサイクル事業の強化による利益の最大化を図り、中計最終年度には経常利益で14.5億円を計上することを目指します。

 

 本中計における進捗は下表の通りであります。

 

2023年度

(前年度)

2024年度

(中計初年度)

2025年度

(次期予想)

ROE

6.5%

7.5%

5.2%

経常利益

946百万円

822百万円

800百万円

 

(株主還元方針)

 当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題であるとの認識のもと、中長期的な視野に立った投資により企業価値を増大させ、積極的な利益還元を行うことを基本方針としています。

 本中計期間(2024年度~2026年度)におきましては、成長投資による収益力強化を図りつつ、引き続き、高水準の総還元性向を維持していくことを方針とし、総還元性向は3年平均で80%以上、ならびにDOE5.0%以上を目指してまいります。

 

 なお、現在、バイオ燃料事業についての社会的関心が急速に高まっており、当社グループはこの機会を逃すことなく、将来の需要を大きく取り込むため、バイオ燃料事業への投資並びに人的資源を集中して投入することが必要との判断に至りました。加えて、リサイクル事業を中心とした事業領域拡大のための投資等につきましても積極的に行う予定であります。

 本中計期間におけるキャッシュ・アロケーションにつきましては、3年間で約120億円のキャッシュ・インフローを見込んでおり、M&Aを含めた成長投資を行いつつ、株主還元に努めてまいります。

 また、自己株式取得につきましても、株価の水準、フリー・キャッシュフローの状況を勘案し適宜実施を検討してまいります。

 

 

株主還元方針

2023年度

(前年度)

2024年度

(中計初年度)

2025年度

(予定)

1株当たり配当金額

93円

88円

62円

総還元性向

3年平均で

80%以上

100.8%

80.8%

81.7%

DOE

3年平均で

5.0%以上

6.5%

6.1%

 

 以上のような事業別施策を持株会社体制により、グループ全体で効率的かつ積極的に取り組むことで、グループ価値の向上を図り、株主の皆様の期待に応えてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

1.ガバナンス

当社グループはCSRを軸にした地球環境保全への取り組みを推進しており、その一環として2023年5月より取締役会の直下にサステナビリティ委員会を設置しております。

当委員会は各年度一回以上の頻度で開催され、代表取締役社長を委員長とし、当社の各グループ会社の代表取締役社長、社外取締役及び監査等委員である取締役を除いた取締役、各部長を委員として構成されており、サステナビリティ委員会では当社グループにおけるサステナビリティに関する基本方針の策定、マテリアリティの特定とそれに基づく目標設定および進捗管理を行っております。

同委員会にて検討された内容については、委員長より取締役会に直接報告しており、取締役会では報告内容について委員会に諮問のうえ、委員会で検討した当社グループにおける気候変動対応を含むサステナビリティに関する対応の監督・指示を実施しております。

なお、本委員会で策定したサステナビリティ基本方針は次のとおりであります。

 

(サステナビリティ基本方針)

富士興産グループは、「環境のグリーン化対応とエネルギーの供給を通して社会に貢献するエネルギー商社であり続ける」ことを長期ビジョンと位置づけ、環境対応型事業のリーディングカンパニーを目指しこれに基づく事業活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献するとともに企業価値の持続的な向上を目指します。

 

(当社グループのサステナビリティ推進体制)

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2.戦略

マテリアリティの特定と戦略の概要

サステナビリティ委員会においてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の枠組みに従い、対象となる事業の規模を表す「影響度」とリスク・機会となりうる気候関連の事象の「発生度」から、当社グループの各事業におけるリスク・機会の重要度を評価し、当社グループのサステナビリティに係るマテリアリティを特定するとともに、当該マテリアリティに対する戦略の概要を次のとおり策定いたしました。

 

分類

マテリアリティ

戦略の概要

(環境)

①環境への貢献

環境負荷低減に資する商品・サービスの提供

サーキュラーエコノミーを担うリサイクル事業等の推進

シェアリングエコノミーに貢献するレンタル事業等の推進

②良質な製品・サービスの提供

社会の要請に対応した製品・サービスのラインナップの拡充

(社会)

サプライチェーンの維持強化

③人材育成・社内環境整備

社員のエンゲージメントの向上

人材の多様性の推進

将来を担う人材の育成促進

④地域社会への貢献

地域に根ざした事業展開の推進

製品・サービスの供給体制の強化

災害発生時の供給体制・サービス体制の維持と強化

(ガバナンス)

⑤コーポレート・ガバナンスの強化

経営の透明性を高めるコーポレート・ガバナンス体制の構築

コンプライアンスの徹底

非財務情報を含む情報開示の充実

 

(分析のプロセス)

TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループの事業に及ぼすリスク・機会に関して、以下のステップで検討いたしました。

また、1.5℃シナリオと、4℃シナリオの二つのシナリオを用いて、政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と、災害等による物理的変化(物理的リスク・機会)に関する分析を実施いたしました。

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(気候変動シナリオ)

◆1.5℃シナリオ(脱炭素移行に関する将来想定)

 地球温暖化の抑制に向け、世界各国でカーボンニュートラルの実現に向けた取り組みが加速しています。その中で、産業革命前と比較して地球の平均気温の上昇を1.5℃未満に抑えることを目標とする「1.5℃シナリオ」が国際的な共通目標として提示されています。このシナリオでは、温室効果ガスの大幅な削減を推進するため、各国で炭素価格の導入、排出権取引制度の拡充、より厳しい環境規制の実施といった政策的対応が求められることが想定されています。その結果、移行リスクの中でもとりわけ政策・規制面での影響は、4℃シナリオと比べて一層大きくなる可能性があります。

 

◆4℃シナリオ(気候変動影響が深刻化する将来想定)

 気候変動対策が十分に進まず、産業革命以前と比べて今世紀末までに気温が約4℃上昇すると予測されるシナリオです。この場合、物理的リスクが深刻化し、極端な気象現象――台風・豪雨・猛暑などの発生頻度や規模の増大が想定されます。さらに、海面上昇による沿岸地域での浸水やインフラ被害も懸念され、地域社会や経済活動に広範な影響が及ぶ可能性があります。4℃シナリオは、環境・暮らし・産業に対し、多方面にわたる重大なリスクを示すものと位置づけられます。

 

◆1850~1900年を基準とした世界の平均気温の変化

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出典:IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約 暫定訳(文部科学省及び気象庁)

IPCC第6次評価報告書第1作業部会報告書 政策決定者向け要約 暫定訳(文部科学省及び気象庁)より、図SPM.8を転載

 

(リスク・機会のインパクト評価と対応策の選定)

1.5℃シナリオでは、カーボンニュートラル達成に向けた国際的な取り組みの加速により、排出規制や炭素税の導入、エネルギー効率の向上に関する政策が進むことが想定されます。当社では、これらの外部環境変化に伴い、主に化石燃料の需要減少リスクを認識しています。一方で、廃油プラスチックの再生需要の拡大想定を踏まえて、当社の提供する製品・サービスが新たな市場機会を創出する可能性があります。今後の対応戦略としては、再生重油などの環境対応燃料の販売を強化を検討しております。

一方で、4℃シナリオでは、気候変動対策が進まず自然災害の頻度や規模が増加することが想定され、インフラの強靭化工事や災害復旧工事の需要が高まることにより、アスファルトや燃料の供給機会が拡大すると見込まれます。また、建設機械のレンタル需要や、BCP対策としての発電機等の防災機器レンタルニーズも増加する可能性があります。こうした市場変化を捉えるべく、当社では、燃料や建機の安定供給体制を強化するとともに、仕入先との連携を深め、利益率の高い小口燃料販売の強化や、BCP対応機材・レンタルラインナップの拡充に向けた投資を推進しています。

リスク

ドライバー

気候変動がもたらす影響

発生

可能性

影響度

対応策

移行

リスク

法規制・

政策

温室効果ガス排出抑制に関する規制強化

GHG排出量削減目標達成のためによる化石燃料の需要減

・BDFの拡販

・カーボンクレジットの販売

市場

顧客からサプライヤーへのGHG削減対応要請強化

顧客のGHG削減ニーズを満たす燃料製品を提供できない場合の販売機会喪失

・BDFの拡販

・カーボンクレジットの販売

・EV建機などの商品拡充

低炭素化対応建機のラインナップがないことによる販売機会の喪失

・早期にカーボンニュートラル対応機材の採算性を確認しラインナップ化

車両向け燃料の脱・低炭素化

車両の電動化、環境対応燃料への燃転による石油製品の需要減少

・再生重油や高純度BDFなどの環境対応燃料の販売を強化

 

 

リスク

ドライバー

気候変動がもたらす影響

発生

可能性

影響度

対応策

物理的

リスク

急性

自然災害の激甚化

台風や水害により生産拠点や物流が被災しサプライチェーンが分断、製品調達や顧客先への配送が困難となる

・調達先を多様化し被災時に調達可能な取引先を増やす

・配送拠点(運送会社や小口配送依頼先)を複数設置し、拠点被災時に運べない確率を下げる

慢性

気温の上昇

暖冬や降雪量減少による燃料需要の減少

・暖房用以外の燃料使用先の拡大(土木工場等)

・住宅設備の販売強化

機会

市場

国土強靭化(インフラ強靭化、建物の修繕)

自然災害に備えるためのインフラ強靭化工事増加や自然災害復旧対応工事の増加に伴うアスファルト・燃料需要増

・サプライチェーンの維持強化、安定供給の実施

・仕入先との連携強化

・利益率の高い小口燃料販売の強化

自然災害に備えるためのインフラ強靭化工事増加や自然災害復旧対応工事の増加に伴う建機レンタル需要増

・レンタル機械の拡充等の投資強化

サーキュラーエコノミーの拡大

廃油プラスチックの再生需要の拡大

・再生重油の販売先の拡大

製品及び

サービス

国土強靭化(インフラ強靭化、建物の修繕)

BCPの観点から発電機等のラインナップ追加によるレンタル需要増

・BCP関連商品の拡充

 

このようなリスクと機会に対応するため、当社グループは、BDF・再生重油等の環境対応型エネルギーに関する取り組みを加速させることで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献してまいります。

 

3.リスク管理

(1)気候関連リスクを識別・評価・管理するプロセス

当社グループでは、気候変動に伴うリスクについては短期的なリスクのみならず中長期的なリスクに関しても考慮しており、サステナビリティ委員会にて識別・評価を実施し、特に重要なリスクについては取締役会に報告される体制となっております。

識別・評価された気候変動リスクに関しては、サステナビリティ委員会にて予防策と対応方針を検討し、取締役会にて承認した後に各グループ、部門で実行されます。また、リスクの優先順位付けプロセスとしては「影響度」と「発生度」の二つの軸を用いて評価することで、対処すべきリスクの重要度と優先順位の決定を行っております。

 

(2)全社のリスク管理への統合プロセス

全社リスクを統括するリスク管理委員会は取締役会の直下に設置され、原則として年度ごとに一回以上開催されております。当委員会では、当社の経営に及ぼす可能性が高いリスクの発生防止に係る管理体制の整備、及び危機・緊急事態が発生した場合に、迅速かつ的確な対応により被害を最小限に抑え、事業の円滑な運営を実現するための議論・検討を行っております。気候変動に係るリスクに関しては、リスク管理委員会開催時にサステナビリティ委員会より年に一回共有することで、全社統合的なリスク管理体制を構築しております。今後、グループ全体のリスク管理に関しては、グループリスク管理委員会にて統合的な管理も検討しております。

 

なお、主要なリスクについては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

4.指標及び目標

環境関連

当社グループでは、気候関連リスクおよび機会を評価・管理するための基盤として、GHGプロトコルに準拠した手法に基づき、温室効果ガス排出量(GHG)の算定を進めています。現在、Scope1およびScope2の排出量を把握しております。GHG排出量やエネルギー使用に関する定量的な削減目標は現時点で未設定ですが、排出実態の把握を進めた上で、中長期的な削減目標の策定を予定しています。

今後は、エネルギー起源の排出削減に向けた再生可能エネルギーの導入や、高効率設備への更新、業務効率化による省エネ推進などの施策を段階的に検討・実行していきます。また、Scope3も含めたバリューチェーン全体での排出削減を視野に入れ、調達先との連携強化や、低炭素製品・サービスの提供拡大による間接的な削減貢献にも取り組んでまいります。

 

当社グループにおける温室効果ガス排出量実績(Scope1,2)

(単位:t-CO2

 

2023年

2024年

Scope1(直接排出)

2,867

2,623

Scope2(間接排出)

 611

 514

Scope1・2合計

3,479

3,137

・Scope1およびScope2の算定結果は、当社グループの連結ベースでの排出量を示しています。

・Scope2の排出量は、マーケット基準に基づいて算定した結果を使用しています。

 

人材育成方針・社内環境整備方針

(人的資本への対応について)

当社グループは、「環境のグリーン化対応とエネルギーの供給を通して社会に貢献するエネルギー商社であり続ける」との長期ビジョンのもと、収益基盤事業の維持・強化、成長事業への積極投資、新たな収益基盤の確立に向けて歩みを進めてまいりました。

現在、脱炭素社会に向けた動きが加速している環境下において、石油事業をコア事業としている当社グループは様々な課題に直面し、大きく変わっていくことが求められております。私たちはこの変化をチャンスととらえ、継続的に成長し、環境の変化によって生まれてくる社会の様々な課題の解決に取り組み、よりよい社会づくりに貢献できる企業であり続けるために、変化を恐れず、積極的に行動する人材を必要としています。当社グループは、そうした人材を育成し、社員と会社がともに成長していく環境づくりを推進してまいります。

 

①人材育成方針

会社を取り巻く環境とお客様が求めるニーズの変化を敏感にとらえ、会社の継続的な成長に活かすことができる発想力とチャレンジ精神をもって、積極的かつ主体的に行動する社員を育成する。

 

②社内環境整備方針

(A)

社員のエンゲージメントの向上

考え方

企業の成長には、社員一人一人がその能力を十分に発揮し、高いモチベーションをもって働くことができる環境が必要不可欠

実施内容

社員がイキイキと働きやすく、活躍しやすい環境づくり、社員の貢献に即した報酬制度などモチベーション向上に寄与する施策を実施し、社員のエンゲージメント向上に積極的に取り組む

・年次有給休暇の取得奨励

・育児・介護のための短時間勤務制度の導入

・会社業績に応じた社員へのインセンティブの付与を含む賃金体系の見直し など

(B)

人材の多様性の推進

考え方

企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現するためには、各自が思い描くキャリアプランや適性を的確に把握し、多様な視点や価値観をもった人材がそのもてる能力を存分に発揮できる場を提供することが大切

実施内容

役職・年齢・性別・採用方法などにかかわらず、各自の能力・資質を適切に評価し、適材適所の人材配置・積極的な人材登用を行い、多様な人材がイキイキと活躍できる環境づくりを推進

(C)

将来を担う人材育成の促進

考え方

「人の成長=企業の成長」

実施内容

各自のキャリア志向および適性に応じた学びの機会の提供その他社員の成長を後押しする施策を実施し、将来を担う人材の育成に取り組む

・階層別研修を中心とした各種研修の実施

・資格取得の補助制度等を実施

 

③人的資本関連

当社グループの人材の育成方針・社内環境整備方針に関する指標並びに実績及び目標は、次のとおりであります。

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3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項として以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

また、ここに記載するリスクは将来発生しうる全てのリスクを必ずしも網羅したものではありません。

(1) 天候リスク

当社グループの販売商品のうち灯油・A重油は、暖冬となった場合に販売数量が減少する可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、環境関連事業は、豪雨・豪雪等の天候不良により発電量が減少する可能性があり、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

(2) 公共投資リスク

当社グループの販売商品のうちアスファルトは、主として道路舗装用であるため、道路工事に対する公共投資が減少すると販売数量が減少する可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループのレンタル事業は、主として道路工事用機械のレンタルを行っているため、同様に、道路工事に対する公共投資が減少すると取引が減少する可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 得意先信用リスク

売上債権は回収する前に得意先が信用不安に陥り、貸倒れもしくは貸倒引当金計上の必要が生じる可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。その対策として、与信管理制度に基づき、取引先の経営状況に応じた与信枠の設定、預り保証金の受け入れや製品の納入と代金の決済を同時に行うキャッシュ・オン・デリバリー取引を行うなど貸倒損失の発生防止に努めております。

また、各事業所に設置された「債権管理委員会」にて毎月取引先の債権管理の状況の確認を行い、取引先の債権回収に懸念が生じた時は、「債権管理委員会」の統括組織として本社に設置された「信用取引委員会」を開催し、債権保全に関する事項を審議する体制を構築しております。

(4) 石油製品市況リスク

当社グループは、主として石油製品を仕入れておりますが、原油価格高騰等により仕入価格が高騰した際、販売価格に十分転嫁できない可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 仕入先依存度リスク

当社グループの石油製品の主要仕入先はENEOS㈱であり、当連結会計年度の総仕入高に占める同社からの仕入高の割合は約8割であります。現行は同社との取引基本契約に基づき安定供給を受けているものの、取引関係が継続困難となった場合には受注に対する仕入ができなくなる可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、ロシア・ウクライナ情勢、中東情勢は先行きに不透明感を増しておりますが、当該国・地域において、当社グループは直接の仕入取引及び販売取引はありません。

(6) 環境規制リスク

当社グループは、様々な環境規制の適用を受けており、法規制を遵守し、将来の環境対策に関して合理的な見積額に基づき引当計上をしていますが、規制強化等により環境対策に必要な費用が増加する可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため次世代液体エネルギーの取り扱いを前提として、サプライチェーンの拡充と強化に努めてまいります。

(7) 自然災害等リスク

当社グループは、火災・地震・台風・津波等の自然災害により所有資産及び営業活動に被害を受ける可能性があり、これらにより業績に影響を及ぼす可能性があります。その対策として、重要な所有資産に損害保険を付保し、自然災害の影響を低減させるよう努めております。

(8) 固定資産の減損リスク

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ、回収可能価額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 新規事業投資リスク

当社グループは、新規事業及び既存成長事業の収益拡大に向けた積極投資を行っております。

しかしながら、適正価格ではない投資、期待した業績やシナジーが得られないこと、人材や顧客の流出等があった場合に、業績に影響を及ぼす可能性があります。

その対策として、綿密なデューデリジェンスを実施することにより、事業投資リスクを低減させるよう努めております。

(10) 感染症拡大リスク

 新型コロナウィルス感染症のような大規模な感染症拡大による社会的混乱が発生した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は従来より、複数の金融機関に十分な借入枠を有するとともに、総額20億円のコミットメントライン契約を主要取引金融機関と締結し、資金の流動性を補完しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

(当社グループを取り巻く環境)

当連結会計年度における我が国経済につきましては、雇用・所得環境の改善を背景に、堅調な公共投資と企業業績の改善により、景気は緩やかな回復が見られました。一方、長期化した地政学リスクの影響によりエネルギー価格の高止まりや、円安による物価上昇が進展しました。

エネルギー業界におきましては、世界的に脱炭素社会への転換が求められており、地球温暖化対策への取り組みが一層加速され、再生可能エネルギーの推進や環境負荷低減に資する省エネルギー商品の重要性が増すことが予想されます。

また、2025年2月に政府は「第7次エネルギー基本計画」を公表し、化石燃料が我が国のエネルギー供給の大宗を担っていることを確認する一方で、安定供給を確保しつつ脱炭素化に向け現実的なトランジションを進めていくことが示されました。

 

(当連結会計年度における事業の経緯と成果)

このような環境に対応するため、当社グループは、環境対応型エネルギーのコアビジネス化の「加速」、積極的な投資によるリサイクル事業の「拡大」、着実な事業戦略の「推進」を柱として、長期ビジョンの達成に向けて、次の取り組みを行ってまいりました。

① 環境対応型エネルギーのコアビジネス化の「加速」

石油事業において軽油と比較してCO₂排出量が低減可能な「バイオディーゼル燃料」(以下「BDF」という)の販売を開始いたしました。BDFは再利用可能な資源である廃食用油を再生(処理)し軽油代替燃料として利用できる環境負荷低減に資する商品であります。特に陸上輸送、建設現場、空港構内作業現場等への供給を中心に事業の拡大を図ってまいりました。

また、BDFは既存設備・機材での運用が可能であり、産業競争力を損なうことなくCO₂排出量を低減できる現実的なエネルギーであることから、今後、益々需要の増加が予想されます。このようなBDFの需要増加に対応するため、2024年11月に岸和田製造所を増強し、製造・出荷能力を向上させるとともに、2024年12月に千葉県野田市に新たな製造拠点を開設いたしました。また、2025年度に兵庫県姫路市にも製造拠点を開設予定であります。これら自社製造拠点に加え、提携先とも連携し、全国での供給体制の構築を図ってまいりました。

当社グループは、エネルギーを取り扱う企業として、エネルギーラインナップの拡充と安定供給を図るとともに、低炭素化社会の実現に向けた取り組みに積極的に貢献することにより、企業価値向上を目指しております。

② 積極的な投資によるリサイクル事業の「拡大」

リサイクル事業は、従来型のリサイクルの枠を超え、資源を再利用するサーキュラーエコノミーの進展において重要な役割を担う事業として注目されています。特に当社グループの取り扱う、CO₂排出量を実質ゼロカウントとみなすことが可能な「再生重油」は、資源の効率利用と環境負荷低減を両立するエネルギーであります。

当社グループは、再生重油の品質向上や効率的な処理プロセスの研究と、将来に向けた新たなリサイクル商材の検討、北海道エリア以外での事業拡大の検討を進めてまいりました。リサイクル事業への積極的な投資により事業を「拡大」することで、持続的な成長を目指しております。

③ 着実な事業戦略の「推進」

リサイクル事業、環境関連事業、ホームエネルギー事業、レンタル事業の各事業において計画を上回る実績を上げることが出来ました。

また、遊休資産であった和歌山県海南市に所有しておりました土地・建物並びに投資効率の低い坂東発電所を売却し、資本効率の向上を図ってまいりました。

さらに、近年、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向けた社会的要請が高まるとともに、当社グループを取り巻く事業環境は急速に変化しており、このような環境変化に迅速に対応するために持株会社体制への移行について検討を進めてまいりました。持株会社体制への移行は、株主の皆様をはじめとするステークホルダーからの期待に応えていくために、特にエネルギー事業及びリサイクル事業領域において、当社グループが提供可能なサービスを拡大するためのM&Aの推進や新規事業創出を含む戦略投資の拡大を積極的に行うことを目的としております。

このような3つの柱となる取り組みにより、当社グループは長期ビジョンである「環境のグリーン化対応とエネルギーの安定供給を通じて社会に貢献するグループであり続ける」の達成を通じて、当社グループ全体の価値向上と持続的な成長の実現に努めてまいりました。

 

この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、前年同期比64億円(10.4%)増加の683億円となりました。損益面では、売上総利益は、前年同期比168百万円(3.5%)増加の5,011百万円となりました。営業利益は、配送費用や人件費の増加等により前年同期比113百万円(12.4%)減少の800百万円となり、経常利益は、前年同期比123百万円(13.0%)減少の822百万円となりましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益に遊休資産と発電所の売却益を計上したこと等により、前年同期比109百万円(18.1%)増加の717百万円となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

「石油事業」

石油業界におきましては、ロシア・ウクライナ情勢や中東地域をめぐる地政学リスクが継続している中、ドバイ原油価格は期初90ドル/バーレル台から緩やかに下落し、期末では70ドル/バーレル台となりました。国内の石油製品需要は、すべての油種で前年を下回りました。

このような厳しい環境に対応するため、当社グループは国内需要が前年を下回る中、積極的な営業活動と採算販売の徹底に努めてまいりましたが、マーケットが低調に推移したことに加え、配送運賃等の物流経費やBDF事業拡大に係る経費の増加もあり、計画したマージンレベルの確保には至りませんでした。

しかしながら、次世代エネルギーであるBDF事業につきましては、環境対応の必要性の高い顧客から理解を得られつつあり、その機運は徐々に高まっております。また、J-クレジットを利用した「カーボンオフセット燃料」の販売を2024年12月から開始する等、顧客のニーズに応えるべく環境対応型エネルギーの商品・サービスのラインナップを拡充し、付加価値を訴求する提案型営業の推進により、利益の最大化に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は前年同期比62億円(11.3%)増加の611億円となりました。営業利益につきましては前年同期比66百万円減少の93百万円の損失となりました。

 

「リサイクル事業」

北海道道央地域に営業基盤を有するリサイクル事業におきましては、北海道経済が次世代半導体の製造拠点建設や札幌圏の再開発等、民間設備投資や公共工事に下支えされたことにより、底堅く推移いたしました。また、世界的なカーボンニュートラルへの動きが加速する中、資源のリサイクルに対する社会の要請は一段と高まっており、産業廃棄物業界は静脈産業として、循環型社会の進展に貢献すべき役割の重要性が増しております。

このような環境の下で、当社グループは、廃油・廃プラスチック・OA機器等の産業廃棄物収集運搬・中間処理を経て各産業に再生資源を提供するだけでなく、全道における同業者や当社グループ各社と連携を深めることで、より多くのお客様や地域社会のニーズに貢献する事業活動を推進してまいりました。また、お客様に廃棄物のワンストップサービスの提案や丁寧なリサイクル作業に努めることにより顧客満足度の向上に努め、廃棄物の回収量拡大を図ることでサーキュラーエコノミーの進展に寄与してまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、前期比30百万円(2.0%)増加の1,536百万円となり、のれん並びに無形固定資産の償却額72百万円を差し引いた営業利益は284百万円と過去最高益となった前期並みを達成いたしました。

 

「環境関連事業」

当社グループが取り組んでいる環境関連事業のうち、グリーン商品であるアドブルー(※)の販売につきましては、アドブルーを使用するSCR搭載商用車が増加する機会を捉え、カーショップやホームセンター等一般顧客向けの販売を拡大いたしました。

また、メガソーラー発電事業につきましては、2025年3月に投資効率の低い坂東発電所を売却いたしました。

この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、前年同期比48百万円(4.7%)減少の1,001百万円となりました。また、営業利益は、組織再編による管理コスト負担の増加もあり、前年同期比90百万円(46.1%)減少の106百万円となりましたが、計画を上回り順調に推移いたしました。

※アドブルー(AdBlue):ディーゼル車の排ガス中の窒素酸化物(NOx)を無害化する「SCRシステム」に使われる高品位尿素水。

 

「ホームエネルギー事業」

北海道道央地域に営業基盤を有するホームエネルギー事業(LPG・灯油など家庭用燃料小売事業)におきましては、エネルギー価格の高騰等による節約志向の継続により、一世帯当たりの家庭用燃料の消費量が減少いたしました。加えて物価高騰により、事業に不可欠な安全設備や配送代・工事代等の販売コストも上昇を続けております。また、LPGがお客様から信頼されるエネルギーとなることを目的として、2024年4月2日に「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律」(以下「液石法」という)が改正されました。

このような環境の下で、改正された液石法について、お客様並びに取引先が十分に理解・認識を得て取引いただけるよう、より一層の信頼関係の構築とコンプライアンスの徹底に努めてまいりました。また、地域のライフラインを担う企業として、お客様に「安全・安心・安定」を提供するため、配送体制の強化や各種点検並びにアフターサービスの充実等のサービス体制維持に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は前年同期比81百万円(3.5%)増加の2,417百万円となりました。営業利益は、販売数量の増加などにより前年同期比14百万円(6.8%)増加の225百万円と過去最高益となりました。

 

「レンタル事業」

北海道道央地域に営業基盤を有する建設機材レンタル事業におきまして、事業と関係性の深い公共工事の発注金額が、北海道全体では前期比8.2%増、営業基盤のある石狩地区においては、北海道新幹線の延伸トンネル工事等により前期比10.9%増となりました。

このような環境の下で、当社グループは、引き続き顧客のニーズに応える丁寧な営業活動を展開し、新規顧客の獲得並びに既存顧客の深耕に取り組むことで、増加した需要の取り込みに注力してまいりました。また、様々な業種の顧客の利便性向上に資するべく、保有機材のラインナップの拡充や7か所の営業拠点を活用した貸出・返却体制の整備に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は、前年同期比153百万円(7.2%)増加の2,285百万円となり、好調であった前年をさらに上回りました。営業利益は、前年同期比30百万円(12.4%)増加して過去最高益となる277百万円となりました。

 

資産、負債、純資産の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,809百万円増加の20,931百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金の増加2,255百万円等の増加要因の合計額が、固定資産の減少356百万円等の減少要因の合計額を上回ったことによるものであります。

また、負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,694百万円増加の11,310百万円となりました。この主な要因は、BDF製造拠点の建設やM&A等の資金需要に備えるため増加した長期借入金2,000百万円等の増加要因の合計額が、仕入価格の下落による支払手形及び買掛金の減少131百万円や未払金の減少149百万円等の減少要因の合計額を上回ったことによるものであります。

純資産合計は、利益剰余金が、配当金の支払いによる減少625百万円に、親会社株主に帰属する当期純利益717百万円の増加等を加え、91百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ115百万円増加の9,620百万円となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動及び財務活動による資金の増加額が、投資活動による資金の減少額を上回りました。これにより当連結会計年度末の資金残高は、前連結会計年度末に比べ2,246百万円増加して5,680百万円となりました。

 

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により増加した資金は1,351百万円(前期は1,959百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,093百万円等の資金増加要因と、減価償却費979百万円等の非資金項目の合計額が、法人税等の支払額369百万円や仕入債務の減少額115百万円等の資金減少要因の合計額を上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は478百万円(前期は767百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出935百万円等の資金減少要因の合計額が、有形固定資産の売却による収入535百万円等の資金増加要因の合計額を上回ったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により増加した資金は1,373百万円(前期は462百万円の使用)となりました。これは主に、BDF製造拠点の建設やM&A等の資金需要に備えるため実行した長期借入れによる収入2,000百万円と、配当金の支払額625百万円によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の状況

当社グループは、石油製品の販売事業、リサイクル事業、メガソーラー発電による売電等の環境関連事業、ホームエネルギー事業(LPG・灯油等の家庭用燃料小売事業)及びレンタル事業を営んでおり、生産及び受注については、該当事項はありません。

 

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

石油事業

61,102

11.3

リサイクル事業

1,536

2.0

環境関連事業

1,001

△4.7

ホームエネルギー事業

2,417

3.5

レンタル事業

2,285

7.2

合計

68,344

10.4

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.主要な販売先については、総販売実績に対する販売割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2025年3月31日)現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

経営成績に重要な影響を与える要因

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

連結経常利益(計  画)

603百万円

740百万円

950百万円

800百万円

  (実  績)

577百万円

370百万円

946百万円

822百万円

  (達成率)

95.7%

50.1%

99.6%

102.8%

 

当社グループは、長期ビジョン及び中期経営計画(2024年度~2026年度)を策定しております。当社グループは、この中期経営計画の目標達成を目指して、グループ一丸となり、鋭意取り組んでまいります。

詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

当社グループの資金需要のうち、運転資金の主な資金需要は、石油事業とホームエネルギー事業の営業活動における製品仕入や、各事業における販売費及び一般管理費等であります。また、投資資金の主な資金需要は、石油事業における油槽所設備の更新、リサイクル事業のリサイクル設備の取得、ホームエネルギー事業におけるLPG設備の取得及びレンタル事業におけるレンタル機械の更新購入等であります。

(財務政策)

当社グループのコア事業である石油事業は、原油価格や為替、季節的変動等のボラティリティの大きいリスクに晒されております。このような中で大きな財務リスクを抱えること無く、事業活動に必要な資金を安定的・効率的に確保するために、自己資金を優先的に活用することを基本方針としつつ、自己資金が不足する場合には金融機関からの借り入れにより資金調達することとしております。

また、当社は複数の金融機関に十分な借入枠を有するとともに、総額20億円のコミットメントライン契約を主要取引金融機関と締結し、資金の流動性を補完しております。

なお、重要な資本的支出及びその資金の調達源につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 重要な設備の新設」に記載しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。

当社グループは、見積りが必要となる事項については、合理的と考えられる基準に基づき、見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債及び収益・費用に反映させ連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(石油事業に属する固定資産の評価)

当社は、固定資産について支店、営業所、油槽所、賃貸物件、遊休資産等を独立したキャッシュ・フローを生み出す、最小の単位としています。本社費等の共通費については、合理的な方法によりそれぞれの資産グループに配分しております。

本社費等を一定の基準により配賦した後の営業利益が2期連続で赤字となるなど減損の兆候があると認められる場合には、資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。判定の結果、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回り減損損失の認識が必要とされた場合、帳簿価額を回収可能価額(正味売却価額又は使用価値のいずれか高い価額)まで減額し、帳簿価額の減少額は減損損失として認識されます。

また、将来キャッシュ・フローの見積りは、事業計画を基礎としており、特に単位当たり粗利額や販売数量の見込みを主要な仮定として織り込んでいます。これらの主要な仮定は外部環境や顧客動向により高い不確実性を伴うため、翌連結会計年度において重要な変更が生じ減損の兆候があると判断された場合には、固定資産の減損損失を認識する可能性があります。

 

(リサイクル事業に属するのれん及び顧客関連資産の評価)

のれんは、今後の事業活動により期待される将来の超過収益力として、取得原価と被取得企業の識別可能資産及び負債の企業結合日時点の時価との差額で算定しております。顧客関連資産は、既存顧客との継続的な取引関係により生み出すことが期待される超過収益力の現在価値として算定しております。

減損の兆候があると認められる場合には、割引前将来キャッシュ・フローの総額と帳簿価額を比較することによって、減損損失の認識の要否を判定します。

また、将来キャッシュ・フローの見積りは、事業計画を基礎としており、売上高及び営業利益の将来予測並びに割引率等の主要な仮定を用いております。これらの主要な仮定は見積りの不確実性を伴うため、翌連結会計年度において重要な変更が生じ減損の兆候があると判断された場合には、のれん及び顧客関連資産の減損損失を認識する可能性があります。

 

5【重要な契約等】

(1)当社が締結している継続的な売買契約

相手先の名称

契約品目

契約年月日

契約内容

契約期間

ENEOS㈱

石油製品

2017年10月1日

石油製品の継続的な売買契約

2017年10月1日より

2018年9月30日まで

(以降1年ごとに自動延長)

 

(2)単独株式移転による持株会社体制への移行

当社は、2025年5月15日開催の取締役会において、2025年6月27日開催予定の定時株主総会における承認等の所定の手続きを経た上で、2025年10月1日(予定)を効力発生日とする当社の単独株式移転により、持株会社(完全親会社)である「富士ユナイトホールディングス株式会社」を設立することを決議いたしました。

 

1.持株会社体制への移行の背景及び目的

(1)持株会社体制への移行検討の背景

富士興産グループは1949年(昭和24年)の創業以来、石油製品の供給を通じて、わが国の産業発展と豊かな社会づくりの一翼を担うとともに、お客様のご要望を真摯に受けとめ、ご満足いただけるよう企業活動に取り組んでまいりました。

しかし近年、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に向けた社会的要請が高まるとともに、当社を取り巻く事業環境は急速に変化しております。

このような環境のもと、環境対応型事業への大胆な転換により、当社の掲げる「環境のグリーン化対応とエネルギーの安定供給を通じて社会に貢献するグループであり続ける」という長期ビジョンの達成に向け、①環境対応型エネルギーのコアビジネス化の加速、②積極的な投資によるリサイクル事業の拡大、及び③着実な事業戦略の推進、を主な戦略の3本柱として、経営目標の達成に向け取り組んでおります。

上記の取組みを加速させ、株主の皆様をはじめとするステークホルダーからの期待に応えていくために、今後は、エネルギー事業及びリサイクル事業領域において、当社グループが提供可能なサービスを拡大するためのM&Aの推進を積極的に行って参ります。結果として、商品、サービスのライフサイクル全体を通じた提供体制の整備を進め、「環境のグリーン化対応とエネルギーの安定供給をするグループ」へと変革することにより、持続的な成長を目指して参ります。

上記の成長を加速させるため、当社は持株会社体制に移行することで、持株会社は、グループ経営戦略の策定及びリサイクル事業を中心とするM&Aや新規事業創出を含む戦略投資の拡大に注力し、事業会社は、事業運営に専念し、環境変化に迅速に対応する、というグループ経営体制を目指します。

また、経営資源配分の最適化を図り、当社グループ全体の価値向上と持続的な成長を実現してまいります。

 

(2)持株会社体制への移行目的と移行により実現するグループ経営体制

① グループ経営によるシナジー効果の最大化及び効率化

富士興産株式会社及び富士興産グループは、主に石油関連事業及び環境関連事業を担う当社、リサイクル事業を担う環境開発工業株式会社、ホームエネルギー事業を担う富士ホームエナジー株式会社、レンタル事業を営む富士レンタル株式会社と分かれていますが、グループ全体の企業価値向上の観点から、全体最適な経営判断がなされる持株会社体制の下で事業推進することにより、より効果的かつ効率的に成長することが可能と考えております。また、エネルギー事業及びリサイクル事業において、M&Aを通じて新たにグループ会社となる事業会社との量的、質的なシナジーの創出により、お客様への提供価値の向上に取り組んで参ります。

 

② M&Aによる戦略的かつ機動的な変化に対応できる組織体制の構築

社会の変化に適応した新たな事業への挑戦にあたって、持株会社体制に移行することにより、より戦略的かつ機動的なM&Aおよび事業提携/資本提携を実行することが可能と考えております。

 

③ 事業推進における意思決定の迅速化

富士興産株式会社は、2024年度~2026年度までの3ヵ年を対象とする中期経営計画において、分野別の重点施策を掲げております。持株会社体制へ移行することにより、各重点施策をよりフレキシブルかつ迅速に実現することが可能と考えております。

 

④ 次世代を担う経営者人材の育成

国内における人材不足、AIの成長等による将来の人材育成環境の変化において、事業経営における人的資本である社員の成長支援をこれまで以上に戦略的に実行していきます。従来の各事業会社の人材投資に加え、次世代を担う経営者人材に、持株会社傘下の事業会社での経営経験の場を提供することにより、当社グループ全体の持続的な成長を牽引していく経営者人材を戦略的に育成していきます。

 

2.持株会社体制への移行手順

当社は次に示す方法により、持株会社体制への移行を実施する予定です。

(1)ステップ1:単独株式移転による持株会社の設立

2025年10月1日を効力発生日とする本株式移転により持株会社を設立することで、当社は持株会社の完全子会社になります。

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(2)ステップ2:持株会社の設立後のグループ会社の再編

本株式移転の効力発生後、持株会社体制への移行を完了するため、当社の子会社を持株会社が直接保有する子会社として再編する予定です。なお、かかる再編の具体的な内容及び時期につきましては、決定次第お知らせいたします。

0102010_009.png

 

なお、株式移転による持株会社体制への移行を選択いたしましたのは、事業会社である富士興産株式会社の各種許認可等を継続させること等、事業活動に関する様々な影響を最小限にするためです。

 

3.本株式移転の要旨

(1)本株式移転の日程

定時株主総会基準日

2025年3月31日

株式移転計画承認取締役会

2025年5月15日

株式移転計画承認定時株主総会

2025年6月27日(予定)

当社株式上場廃止日

2025年9月29日(予定)

持株会社設立登記日

2025年10月1日(予定)

持株会社上場日

2025年10月1日(予定)

 

(2)本株式移転の方式

当社を株式移転完全子会社、持株会社を株式移転設立完全親会社とする単独株式移転です。

 

(3)本株式移転に係る割当ての内容(株式移転比率)

会社名

富士ユナイトホールディングス株式会社

(株式移転設立完全親会社)

富士興産株式会社

(株式移転完全子会社)

株式移転比率

 

① 株式移転比率

本株式移転により持株会社が当社の発行済株式の全部を取得する時点の直前時における当社の株主名簿に記載または記録された株主の皆様に対し、その保有する当社の普通株式1株につき設立する持株会社の普通株式1株を割当交付いたします。

② 単元株式数

持株会社は、単元株制度を採用し、1単元の株式数を100株といたします。

③ 株式移転比率の算定根拠

本株式移転は、当社単独による株式移転によって完全親会社1社を設立するものであり、本株式移転時の当社の株主構成と持株会社の株主構成に変化がないことから、株主の皆様に不利益や混乱を与えないことを第一義として、株主の皆様が所有する当社の普通株式1株に対して持株会社の普通株式1株を割り当てることといたします。

④ 第三者算定機関による算定結果、算定方法及び算定根拠

上記③の理由により、第三者算定機関による株式移転比率の算定は行っておりません。

⑤ 本株式移転により交付する新株式数(予定)

普通株式8,743,907株(予定)

上記新株式数は、2024年3月31日時点における、当社の発行済株式総数(8,743,907株)に基づいて記載しており、本株式移転による持株会社の設立までの間に当社の発行済株式総数が変動した場合には、実際に持株会社が交付する新株式数は変動いたします。

なお、本株式移転計画において、持株会社成立日の前日までに開催される当社の取締役会の決議により、当社が保有する自己株式(本株式移転に際して行使される会社法第806条第1項に定める株式買取請求権の行使に係る株式の買取りにより取得する自己株式を含む。)のうち、最大32,000株を除き、実務上消却可能な範囲の株式を本株式移転により持株会社が当社の発行済株式の全部を取得する時点の直前時までに消却することができる旨の規定を設けております。

また、本株式移転により持株会社が設立する時点において当社が自己株式を保有する場合(上記で除外した最大32,000株を含みこれに限られない。)には、当社が保有する自己株式1株に対して、その同数の持株会社の普通株式が割当交付されることとなり、当社は一時的に持株会社の普通株式を保有することになりますが、法令の定めに従い速やかに処分いたします。

 

(4)本株式移転に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い

当社は新株予約権及び新株予約権付社債を発行しておりません。

 

(5)持株会社の上場申請に関する事項

当社は新たに設立する持株会社の株式について、東京証券取引所スタンダード市場への新規上場(テクニカル上場)を申請する予定であり、上場日は2025年10月1日を予定しております。また、当社は本株式移転により持株会社の完全子会社になりますので、持株会社の上場に先立ち、2025年9月29日に東京証券取引所スタンダード市場を上場廃止となる予定であります。

なお、上場廃止日につきましては、東京証券取引所の規則に基づき決定されるため、変更される可能性があります。

 

4.本株式移転により新たに設立する会社(株式移転設立完全親会社・持株会社)の概要(予定)

(1)名称

富士ユナイトホールディングス株式会社

(2)所在地

東京都千代田区神田駿河台4丁目3番地

(3)代表者の役職・氏名

代表取締役社長 川崎 靖弘

(4)事業内容

グループ会社の経営管理及びそれに付帯する業務

(5)資本金

5,500百万円

(6)設立年月日

2025年10月1日

(7)決算期

3月31日

(8)純資産

未定

(9)総資産

未定

 

5.会計処理の概要

本株式移転は、企業会計上の「共通支配下の取引」に該当するため、損益への影響はありません。なお、本株式移転によるのれんは発生しない見込みです。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。