第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

当社グループは、「道」創りを通して社会に貢献するため、

◇ 優れた機能とコストを満足する道路舗装材料ならびに工法の提供
 ◇ 国民の共有資産である「道」をいつも見守る高度なコンサルティング
 ◇ 顧客から信頼される施工技術

これらを完全に一体化し、株主をはじめ幅広い顧客の皆様から信頼される「道」創りになくてはならない収益性に優れた企業グループであり続けるとともに、社員一人ひとりが能力を発揮でき、働きがいのあるグループであることを経営理念としております。この理念を遂行するために、法令を遵守するとともに環境保全、安全に十分配慮することを基本といたします。

当社グループの企業文化そのものとなっている『種を播き、水をやり、花を咲かせて実らせる』、たゆみない努力の積み重ねによって絶えず新しい仕事を創造していく「種播き精神」と経営理念をあわせて“企業理念”と位置づけております。

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、国や地方自治体の予算動向を見ますと、防災・減災、国土強靭化対策等の施策継続により、2025年度以降も引き続き公共事業が高い水準で推移することが期待されます。一方、原油や資材の価格動向、為替相場の動向等は、大きな経営リスクとして、引き続き注視を要するものと考えております。こうした事業環境の中、しっかりとした原価管理と、原価の変動に合わせた柔軟な営業戦略を着実に実行していくことが当社グループの最重要課題であると考えております。

このような事業環境の中、当社グループは中期経営計画『しなやか2025』を強力に推進し、迅速かつ的確な意思決定のもと、直面する様々な変化にしなやかに対応していくことで、高い成長性とESG重視を兼ね備えた持続可能な企業グループを目指してまいります。

本計画の概要は以下のとおりであります。

中期経営計画『しなやか2025』の概要

(1)計画期間

2021年度~2025年度[5か年]

(2)経営環境

当社グループを取り巻く経営環境として以下の点があげられます。

①公共投資、政府の施策動向(防災・減災、国土強靭化対策等)による影響

②自然災害、感染症等による経済への影響

③原材料価格の変動および供給動向

④自動運転社会やDXがもたらす新しい社会への対応

⑤脱炭素社会など環境変化への対応

⑥企業の社会的責任(ESG・SDGs等)の増大

⑦新たな働き方、労働力人口の減少、高齢化等への対応

 

(3)基本方針

『しなやか2025』~組織レジリエンスの高い企業へ~

大規模かつ速い速度で進行していくことが想定される様々な環境変化に対して、迅速かつ的確な意思決定のもと、組織が一丸となってしなやかな対応を図り、持続可能な企業グループへと成長していきます。

(4)重点施策

重点施策を以下に示します。

①市場の拡大と深耕、そして市場への定着

・『しなやか2025』においても市場の拡大と深耕を継続的に行い、顧客と市場に対して、自社開発・製造の製品・工法をしっかり定着させていきます。

・長寿命、リサイクル、CO2削減、安全などの性能・機能を有する環境に優しい自社開発・製造の製品・工法の販売を推進していきます。

②研究開発力の強化と生産性の向上

・様々な環境変化に対応するため、他分野における新技術およびデジタル技術を積極的に取り込み、自社技術を発展させることで、革新的な製品・工法の開発に取り組んでいきます。

・人やモノの有機的なつながりを強化し、グループ全体の生産性を向上させていきます。また、サプライチェーン・マネジメントの考え方を取り入れた物流ネットワークの整備構築を図っていきます。

③グループ経営基盤の強化

・企業の社会的責任を果たし、いかなる環境下でも企業価値の継続的な向上を実現できるよう強靭な財務・経営基盤を構築していきます。

・更なる成長に向けて、持続的な成長を支える人材の開発と育成を推進していきます。

・ICTの整備・拡充とDXを推進し、職場環境の改善と業務効率化を図っていきます。

④脱炭素社会実現への環境投資促進

・将来への布石として、茨城県つくばみらい市に環境に配慮した先進的な生産物流基地を建設することで、脱炭素社会への移行に向けた取り組みを加速させていきます。

・グループ保有車両のハイブリッド車への更新、既存建物や設備の改修によるエネルギー消費量の減少に努めていきます。 

(5)本計画の経営数値目標

本計画の最終年度の数値目標を以下に示します。

連結売上高      80,000百万円

連結営業利益      7,000百万円

連結経常利益      7,300百万円

ROIC(投下資本利益率)  5.2程度

ROA(総資産当期純利益率) 4.3程度

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) ガバナンス

当社グループでは、気候変動問題を含む環境問題全般についての基本方針等の重要事項は、取締役会で審議のうえ決議されることとしています。特に、グループ横断的な環境問題への対応につきましては、代表取締役社長を委員長とし、企画・管理・事業・技術開発の各本部長を委員とする「環境経営委員会」で審議・検討され、最終的に取締役会に上程される体制としています。環境経営の進捗状況や環境課題に係る事業のリスクと成長機会は、毎年取締役会に報告、レビューされます。


 

(2) 戦略

(気候変動)

当社グループでは、短期および中長期の双方の視点で、気候変動関連のリスクと機会を特定するとともに、パリ協定の目標が達成されることを前提としたシナリオ(いわゆる2℃シナリオ)と、追加的な政策対応がないシナリオ(いわゆる4℃シナリオ)でのシナリオ分析を行い、事業への影響度の評価と、その対策についての検討を実施しています。今後、対応策のレジリエンスを継続的に評価し、必要に応じて新たな対応策の検討を行っていきます。


 

(人材育成及び社内環境整備に関する方針、取組)

当社グループは、多様性を認め合い、社員がいきいきと活躍し、最大限に力を発揮しながら安心して働くことができる職場づくりを目指しています。

そのため、2022年から新しい人事制度を運用し、定年年齢を65歳まで引き上げ、長期にわたり社員一人ひとりが能力を発揮できる仕組みとし、シニア人材も活躍できる環境を整備しています。

具体的な取り組みとして、「ワーク・ライフ・バランス」の向上を目的にICTを活用したクラウドの勤怠システムを導入し、社員一人ひとりの始業・終業時刻や時間外労働、有給休暇といった勤怠情報の正確な把握や適切な管理を行っています。さらに、社員が安心して子育てができるよう、男女に関係なく育児休業の取得を推進し、「育児休業制度」や「育児短時間勤務」など、様々な制度を整備・運用しています。

一方、人材の育成としては、役割を重視した処遇を導入し、適材適所の人員配置の実現に向けた取り組みを開始しています。その一つとして、専門職(技術的なプロフェッショナル職)を設置し、技術に特化した処遇を導入したほか、社員の社会人博士号の取得に向けた支援の充実化を図っております。

 

(3) リスク管理

当社グループでは、上記「環境経営委員会」において、定期的に気候変動関連のリスクのモニタリングを行い、グループ横断的なリスクマネジメントを行う体制としています。また、テールリスク(発生確率は低いものの、発生すると非常に大きな損失を被ることになるリスク)にも十分対応できるよう、今後、シナリオ分析と評価を充実させるなど、ニチレキの経営に重大な影響を与える可能性のある重要リスクを適切に抽出し検討する手法の高度化に取り組んでいきます。

 

(4) 指標及び目標

当社グループは、「2050年までにバリューチェーン全体の温室効果ガス排出量ネットゼロ」を目標に設定しました。また、政府が決定した2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すとの目標を十分踏まえ、「2030年度までに、温室効果ガス排出量を2013年度からScope1+2で50%削減」を目標として設定しました。

今後、この目標水準の達成に向け、製造方法等の改革、グリーン電力の購入や太陽光パネルの設置を促進するとともに、中長期的には、低炭素燃料・脱炭素燃料や、水素・電気を利用した自動車・建設機材も積極的に活用していきます。また、長寿命化・中温化舗装用改質アスファルト等の環境配慮型製品の販売拡大、さらには低炭素型の常温舗装材料および施工技術の開発促進に取り組んでいきます。

当社グループでは、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(2024年度)

年間残業時間

2025年度 640時間以下

640時間以下 97.3%

有給休暇年間取得日数

2025年度 付与日数の5以上

付与日数の5割以上 78.0%

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性が考えられる主な事業リスクは、次のようなものがあります。

(1) 原材料価格の変動および供給動向

アスファルト応用加工製品事業では製品の主原材料であるストレートアスファルトおよび副資材は原油を原料としているため、原油価格に大きく依存しております。原油価格が高騰し、諸原材料の値上がり相当分を製品販売価格に転嫁できない場合、あるいは諸原材料が安定的に供給されない事態が生じた場合には、業績に影響を及ぼすことが考えられます。

当社グループでは、生産企画部において、原材料の調達リスクについて随時モニタリングを行い、また、原材料の調達動向を、毎月、業務執行取締役により構成される経営戦略会議に報告し方針を決定する等、購買対策の推進や製品販売価格への転嫁等を早期に推進することができる体制を整備し、影響を最小限に留めるよう努めております。

(2) 公共事業の動向

道路舗装事業では公共事業の占める割合が高いため、国および地方公共団体の財政状態による公共事業予算の削減ならびにコスト縮減や予算執行状況等によっては、業績に影響を及ぼすことが考えられます。

当社グループでは、財政事情による影響を小さくするために、国や各地方公共団体が抱えるインフラ整備の課題の詳細分析に努め、「長寿命化・高性能化」、「環境負荷低減」などに資する製品・工法の設計・受注活動を推進し、主力である道路に加えて、空港・港湾・鉄道・公園等の分野でも需要を掘り起こし、市場の拡大を進めております。

(3) 価格競争の激化

市場の価格競争がさらに激化し製品販売価格、工事受注価格が下落した場合には、業績に影響を及ぼすことが考えられます。

当社グループでは、高付加価値製品および工法の開発により価格競争による影響の緩和に努めるとともに、製造や施工に係るコスト削減に取り組み、価格低下による業績への影響を最小限に留めるよう努めております。

(4) 信用リスク

急激な事業環境の変化等により、取引先に信用不安が発生した場合には、業績に影響を及ぼすことが考えられます。

当社グループでは、信用調査専門会社の活用や信用モニタリング会議の開催等を通して、取引に際して与信・債権管理を徹底し、信用リスクの軽減に努めております。

(5) カントリーリスク

海外事業を進めているため、その国の政治・経済情勢の変化、予期せぬ法律・規制の変化が業績に影響を及ぼすことが考えられます。

当社グループでは、海外企画部と法務・コンプライアンス部が協議して個別案件ごとに適切なリスク回避策を講じるとともに、海外事業の進捗状況やトラブルの有無、進出国の社会情勢や法律・規制の改定等を情報共有し、必要な対策を講じております。

 

(6) 情報セキュリティ

当社グループは、様々な情報システムを使用して事業活動を行っており、その重要性が高まっています。そのため、ウイルス感染等による大量のデータ逸失、情報漏えい、システム障害等が発生した場合には、業績に影響を及ぼすことが考えられます

当社グループでは、情報漏えい防止対策として、機密データのアクセス制限、持ち出し可能媒体の使用制限及び従業員への情報セキュリティ教育を徹底しております。また、情報セキュリティ上の被害が発生した場合に備え、事業リスク管理委員会を中心として迅速に復旧にするための体制を構築するとともに、グループ全体を対象としたサイバー保険に加入しております。

(7) 自然災害、感染症等のリスク

大規模な自然災害や感染症等が発生した場合、当社グループの事業活動が縮小されるなど、業績に影響を及ぼすことが考えられます。

当社グループでは、地震・台風等の自然災害や感染症発生に備え、BCP管理規程(事業継続計画管理規程)および防災対策規程といったグループ内規程を整備しております。また、従業員に対する自然災害時の安否確認システムを導入しております。災害等が発生した際には、事業リスク管理委員会に情報を集約した上で、状況によっては、代表取締役社長を長とする災害対策本部を設置して対応に当たることにしております。

(8) 法的規制等によるリスク

建設業法、独占禁止法、労働安全衛生法等の関連法令による法的規制を受けており、法的規制による行政処分等が生じた場合には、業績に影響を及ぼすことが考えられます。

当社グループでは、法務・コンプライアンス部と安全品質環境部がコンプライアンスや安全衛生関係の教育をする機会を作り、グループ役職員への周知徹底を行う等、法的規制による行政処分等の発生リスク軽減に努めております。

 

なお、上記のリスクは、当連結会計年度末現在において判断したものであり、当社グループのすべてのリスクを表したものではございません。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、個人消費の一部に物価上昇の影響が見られましたが、企業の業況感や収益状況の改善が続いたこと、DX関連の投資や人手不足に対応するための設備投資の増加基調が持続したこと等から、緩やかな回復基調をたどりました。先行きにつきましては、雇用情勢や所得環境の改善が続いていること、インバウンド需要が増加基調で推移していること、企業のデジタル関連、人的資本、省力化等への投資意欲が引き続き強いと見られること等から、緩やかな回復が続くことが期待されていますが、米国の関税政策等に伴う混乱、物価上昇の影響等の懸念も高まっている状況にあります。

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、防災・減災、国土強靭化対策等の建設需要の高まりを背景に、名目ベースでの公共事業予算は相当額が確保されましたが、工事単価上昇に伴う実質ベースでの伸び悩み、人手不足や2024年問題への対応等による工事進捗への影響、原油価格の高止まりや円安等を背景とする原材料高等、当社グループの事業にとっては業績下押し要因となるものも多く、総じて厳しい状況で推移しました。

このような事業環境の中、当社グループは、迅速かつ的確な意思決定のもと、組織一丸となって持続可能な企業グループとして成長していくことを目指し、中期経営計画『しなやか2025』に掲げた各施策に取り組んでまいりました。基本理念である「種播き精神」のもと、つくばビッグシッププロジェクト(新たな営業・物流拠点、工場の建設計画)の推進、インド合弁会社の設立など、将来を見据えた投資も行っております。

また、当社は、2024年10月1日付で、会社分割(吸収分割)の方式により持株会社体制に移行し、商号をニチレキグループ株式会社に変更いたしました。その際、同日付でアスファルト応用加工製品事業と道路舗装事業をニチレキ株式会社(同日付でニチレキ分割準備株式会社より商号変更)に承継しました。

当連結会計年度の業績につきましては、長寿命の高付加価値製品の設計・受注活動、ICT技術活用などを推し進めてきた結果、売上高は75,745百万円前期比2.6%増)、営業利益は6,268百万円前期比4.1%増)、経常利益は7,047百万円前期比10.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,848百万円前期比8.0%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(アスファルト応用加工製品事業)

アスファルト応用加工製品事業につきましては、「長寿命化・高性能化」や「環境負荷低減」を図る高付加価値製品の設計・受注活動の推進により、販売拡大と利益確保に努めてまいりました。原材料価格は高値圏での推移が続きましたが、製品価格の見直しを進めたこともあり、売上高は25,826百万円前期比0.4%減)となり、セグメント利益(営業利益)は4,884百万円前期比5.0%減)となりました。なお、持株会社体制移行に伴い、アスファルト応用加工製品事業が負担することとなった経営指導料等の影響額を消去したセグメント利益は5,430百万円(前期比 5.6%増)となります。

(道路舗装事業)

道路舗装事業につきましては、一部の地域で工事の発注遅れがありましたが、防災・減災、国土強靭化対策に係る工法提案からの受注活動、工事の着実な執行、資材等の価格高騰への対応、原価管理等に努めてまいりました。売上高は49,602百万円前期比4.2%増)となり、セグメント利益(営業利益)は4,232百万円前期比2.9%減)となりました。なお、道路舗装事業が負担することとなった経営指導料等の影響額を消去したセグメント利益は4,897百万円(前期比 12.3%増)となります。

(その他)

その他につきましては、不動産賃貸収入などにより、売上高は316百万円前期比0.6%増)となり、セグメント利益(営業利益)は241百万円前期比4.9%増)となりました。

 

 

 

区 分

前連結会計年度

当連結会計年度

比較増減

金 額

(百万円)

構成比

(%)

金 額

(百万円)

構成比

(%)

金 額

(百万円)

伸率

(%)

流動資産

49,564

52.1

56,076

49.9

6,511

13.1

固定資産

45,529

47.9

56,292

50.1

10,762

23.6

流動負債

17,865

18.8

16,160

14.4

△1,704

△9.5

固定負債

2,392

2.5

18,887

16.8

16,494

689.4

純資産額

74,836

78.7

77,320

68.8

2,483

3.3

総資産額

95,094

100.0

112,368

100.0

17,273

18.2

 

当連結会計年度末の総資産額は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて17,273百万円増加し、112,368百万円となりました。

(流動資産)

流動資産は、前期末に比べて6,511百万円増加して56,076百万円となりました。これは、現金及び預金が5,875百万円増加した一方、受取手形、売掛金及び契約資産が1,761百万円減少したことなどによるものです。

(固定資産)

固定資産は、前期末に比べて10,762百万円増加して56,292百万円となりました。これは、建設仮勘定が9,896百万円退職給付に係る資産が689百万円関係会社出資金が520百万円増加したことなどによるものです。

(流動負債)

流動負債は、前期末に比べて1,704百万円減少して16,160百万円となりました。これは、1年内返済予定の長期借入金が1,812百万円未払法人税等が533百万円増加した一方、支払手形及び買掛金が3,853百万円減少したことなどによるものです。

(固定負債)

固定負債は、前期末に比べて16,494百万円増加して18,887百万円となりました。これは、長期借入金が16,150百万円増加したことなどによるものです。

(純資産額)

純資産は、前期末に比べて2,483百万円増加して77,320百万円となりました。これは利益剰余金が2,790百万円増加したことなどによるものです。

 

この結果、自己資本比率は前期末の78.7%から68.8%となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

区 分

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

比較増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

7,388

4,895

△2,493

投資活動によるキャッシュ・フロー

△3,853

△12,465

△8,612

財務活動によるキャッシュ・フロー

△2,824

13,732

16,557

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

736

6,165

5,429

現金及び現金同等物の期首残高

24,709

25,445

736

現金及び現金同等物の期末残高

25,445

31,611

6,165

 

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前期末に比べて、6,165百万円増加し、31,611百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローで増加した資金は4,895百万円前期比33.7%減)となりました。これは、税金等調整前当期純利益7,079百万円仕入債務の減少5,933百万円などによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローで支出した資金は12,465百万円前期比223.5%増)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出12,155百万円などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローで収入となった資金は13,732百万円前期2,824百万円の支出)となりました。これは、長期借入れによる収入18,000百万円配当金の支払い2,021百万円自己株式取得のための預託金の増加2,405百万円などによるものです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

 a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前期比(%)

アスファルト応用加工製品事業

23,222

2.7

合計

23,222

2.7

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 道路舗装事業、その他については、生産実績を定義することが困難であるため記載しておりません。

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

商品仕入高(百万円)

前期比(%)

アスファルト応用加工製品事業

3,209

13.4

合計

3,209

13.4

 

(注) 1 金額は仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 道路舗装事業、その他には、商品仕入実績はないため記載しておりません。

 

c.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

アスファルト応用加工製品事業

25,475

△3.5

693

△11.0

道路舗装事業

51,472

10.8

8,871

28.5

合計

76,948

5.6

9,564

24.5

 

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 その他には、受注実績がないため記載しておりません。

 

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

アスファルト応用加工製品事業

25,826

△0.4

道路舗装事業

49,602

4.2

その他

316

0.6

合計

75,745

2.6

 

(注)  金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に業界動向に留意しつつ、優秀な人材を確保し顧客のニーズに合った製品・工法を提供していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、「第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループは、従来から製品売上・工事売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び債務の返済などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入等を活用し資金調達を図っております。当社は、国内金融機関からの借入について相対での借入枠を確保しており、コミットメントラインを設定し、長期・短期のバランスを考慮して安定的に資金調達しております。当社グループは連結経営強化のため、財務機能の一元化による資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。

事業活動にかかる運転資金は、営業活動で獲得した資金を主な財源としておりますが、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図っております。今後の投資については茨城県つくばみらい市における先進的で環境配慮型の生産・物流基地及び工事・調査センター機能を有する新規拠点の建設並びに既存拠点の整備・拡充、ICT関連とDXの推進等を進める方針であります。これら投資資金については自己資金及び金融機関からの借入により調達する予定であります。

今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を実現し、財務体質の向上に努めていく所存であります。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

 

5 【重要な契約等】

当社は、2024年5月17日開催の取締役会において、当社の100%子会社であるニチレキ分割準備株式会社(2024年10月1日付で商号を「ニチレキ株式会社」に変更しております。)に対して当社のアスファルト応用加工製品事業及び道路舗装事業を承継させ、持株会社体制に移行することを決議し、同日付けで吸収分割契約を締結しております。

あわせて、当社は、2024年10月1日付で、定款を変更し、ニチレキグループ株式会社に商号を変更するとともに、その事業目的を持株会社体制移行後の事業に合わせて変更いたしました。

詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(企業結合関係)」に記載のとおりであります。

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発活動は、「創造性と独自性に富んだ製品・工法の開発」を基本とし、ESGおよびSDGsの観点から、特に社会的要請が高い、「国土強靭化」、「長寿命化・高性能化」、「防災・安全」、「コスト縮減と道路資産の効率的保全」、「環境負荷低減」をキーワードに製品・工法の開発を進めております。

当連結会計年度において当社グループが支出した研究開発費の総額は700百万円でありますが、当社における研究開発は各事業に共通するものであり、セグメント別に区分することが困難であります。

各事業分野の研究開発活動は次のとおりであります。

(1) アスファルト応用加工製品事業

アスファルト応用加工製品事業では、高性能、安全および予防保全等を念頭に製品開発を行っております。昨今では、老朽化が進行し、メンテナンスが必要とされる膨大な舗装ストックに対して長寿命化に貢献できる「高性能」な改質アスファルトや、従来よりも耐久性・低騒音性・低燃費性に優れたポーラスアスファルト舗装用の改質アスファルトを開発し販売を始めました。また、舗装に大きな損傷が現れる前に、予防保全として舗装表面を封かん・保護する常温型の表面処理材料と専用の施工機械を開発しました。

鉄道軌道においても、開発した特殊改質アスファルト乳剤を用いた工法が適用され始めています。

(2) 道路舗装事業

道路舗装事業では、ICT等を活用した現場での施工および管理の生産性向上の取り組みなど、小規模から大規模補修にわたる様々な工法を整備し、環境負荷低減など幅広く顧客のニーズに応えられるよう研究開発を行っております。

また、限られた予算の中でいかに効率よく、経済的に道路を保全していくかが重要なテーマとなっている昨今、道路を資産として捉えた管理手法が求められる中、ライフサイクルコストの縮減に寄与する、改質アスファルト乳剤を用いた新たな舗装延命化工法、環境負荷低減を目指した常温舗装工法やリサイクル工法、「橋梁の長寿命化」に寄与する高耐久型の床版防水工法、施工の安全性と効率性を改善する施工機械などの開発を行っています。

また、当社グループは、「調査・診断、設計、施工および管理」の道路に関する行為を一連の流れとして捉え、システム化と運用効果の最大化に取り組んでおります。