第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社は創業以来70有余年、「共々の道」という理念を掲げ、事業に取り組んでおります。これは、企業は社会と共に、お客様と共に、さらには社員と共に歩んでこそ株主に繋がる皆様のためになり、企業価値向上に繋がるという考えであります。

 この不易の理念を踏まえ、当社は次の三つの経営理念を定めております。

①お客様に最良の商品とサービスを提供する。

②事業の発展を通じ、企業価値の永続的な向上を図る。

③社員が思う存分にその能力を発揮できる活力ある職場を作る。

 

 (2) 経営戦略と対処すべき課題

①事業環境と当社グループの対応

当社の主要顧客が属する自動車産業の国内市場は、高齢化及び若年層の自動車離れや生産拠点の海外移転も進み、頭打ちの状態が続いております。一方、海外市場は拡大基調にあり、当社グループは、2014年度より取り組んできました第17次中期経営計画の初年度に、インド及びメキシコで工場を立ち上げ、また2年目の2015年度に日本シー・ビー・ケミカル社を当社グループに加えるなど事業の強化・拡大を図ってきました。
 2017年4月からの第18次中期経営計画では、持続的成長を実現するため、市場が拡大する地域へ積極的な経営資源の投入を継続し、一昨年8月には米国QualiChem社の全株式を購入する等グローバルでの販売力・技術力強化及び戦略的投資により当社グループの総合力強化を図っております。

 

②基本方針

(a)グローバルでの販売力強化
拡大する海外市場に対応するための人員強化や国内及び海外拠点での販売網を構築することで販売力強化につなげ、事業拡大を加速させます。

(b)コア事業での競争力強化
金属加工分野での技術提案力をより強化し、顧客満足度の向上及び付加価値向上を図り、利益ある事業拡大につなげます。また、戦略的投資により事業強化を行います。

(c)グループ間シナジーを最大限に発揮できる体制構築
当社グループが持つ情報を積極的に活用し、経営の効率化とスピードアップによりグループ間のシナジーがより発揮できる体制を構築します。

 

③基本戦略

(a)海外事業戦略
(イ)営業人員増強及び販売店・代理店網の整備による販売力強化
(ロ)国内を含む会社間での情報の積極的活用による業務の効率化
(ハ)アメリカ、中国、東南アジアを中心に販売拠点を拡充

(b)国内事業戦略
(イ)販売チャネルの強化
(ロ)素形材加工油剤分野の拡販
(ハ)コスト競争力強化を目的としたグローバル製造ラインの構築
(ニ)工具メーカー・機械メーカーとの連携及び大学と共同研究推進

(c)戦略的投資
(イ)日本及び北米を中心にアライアンス、M&Aによる事業強化・拡大の実施

(d)新規事業戦略
(イ)自己修復性ポリマーゲルの事業化

 

④優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが利益ある持続的な成長を実現するためには、南北アメリカ、中国、東南アジア/インドの成長地域での業績拡大及び国内事業の収益性の向上、さらに事業領域の拡大が必要と考えており、以下の課題に取り組む必要があると考えております。

(a)グローバルでの販売力強化 (海外拠点での人員強化、販売網の整備及び強化)

(b)コア事業での競争力強化 (技術提案力の強化、顧客満足度・付加価値の向上)

(c)グループ間の連携の強化

(d)戦略的投資 (M&A、アライアンス等)機会の追求

(e)次世代事業の創出

 

⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営指標として、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を重視しております。2019年11月7日に公表した業績予想に対する実績値の状況は以下のとおりであります。売上高は、日系自動車メーカーへのシェア拡大を進めましたが、自動車生産台数の減少が響き、計画を上回ることができませんでした。利益は、価格改定を進めたこと、費用の削減等が寄与し、業績予想を上回りました。

指標

2020年3月期

業績予想

2020年3月期

実績値

達成度

売上高

38,000百万円

37,274百万円

98.1%

営業利益

2,200百万円

2,213百万円

100.6%

経常利益

2,700百万円

2,718百万円

100.7%

親会社株主に帰属する当期純利益

1,800百万円

1,913百万円

106.3%

 

 

⑥新型コロナウイルス感染症の影響について 

新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴い、合理的な将来予測が困難であることにより、2021年3月期の業績予想を現時点で未定、新中期経営計画の公表についても延期しております。同感染症については、世界規模での感染拡大が進行しており、本有価証券報告書提出日現在、同感染症拡大の収束見込みは立っておらず、感染者数の更なる拡大、経済活動停滞の長期化が懸念されます。特に当社グループは、主要顧客である自動車関連業界の動向に影響を受けるため、感染拡大により各自動車メーカーにおいて生産停止や稼働調整等を行った場合、今後の当社グループの業績に影響を受ける可能性があります。業績予想等については、同感染症による当社グループ事業及び業績への影響を精査し、合理的な予想が可能となり次第、速やかに公表いたします。

このような環境下、当社グループは従業員及び従業員の家族の安全を第一に考え、刻々と変化する状況に対し適切に対応し、従前より掲げる上記④優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に、引き続き取り組んでまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。これらのリスクを認識したうえで、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載する方法などにより、リスクの最小化と対処に努める所存であります。

    なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 市場及び事業に関するリスク

①景気動向について

 当社グループは国内外にて事業展開を行っておりますが、主要顧客である自動車関連業界は、それぞれの国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、南米、中国及び東南アジア・インドを含む主要市場における景気後退や需要減少により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②特定の業界への販売依存について

    当社グループは、日本、北米、南米、中国及び東南アジア・インド地域における日系自動車メーカー、自動車部品メーカー等の自動車関連業界への販売依存度が高く、自動車関連業界への売上が当社グループ売上高全体の半数以上を占めております。従って、これら地域の自動車関連業界の動向により、当社グループの売上高をはじめとした経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社の主力製品である金属加工油剤は、主に自動車エンジン・トランスミッション・足回り部品の製造過程において使用されます。一方、近年注目されているEV(電気自動車)等の次世代自動車はエンジンを搭載しておらず、自動車1台当たりに使用される金属加工油剤の使用量はエンジン搭載車と比較すると少量となります。将来的には、世界の自動車生産台数に占めるEV等の割合は増加すると予測されており、これが当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性はあります。もっとも、当社としては将来訪れるであろうEV等の普及に備えるため、自動車関連業界への販売依存率を下げる方針であり、2018年に買収した米国QualiChem社が強みを持つ航空機・医療機器分野への販売拡大に努め、また自己修復性ポリマーゲル等の新規事業の更なる推進に努める方針であります。

 

③競合メーカーについて

 当社グループの主力製品である金属加工油剤の分野には、グローバルに事業展開を行う海外メーカーや国際石油資本を親会社に持つメーカー、さらには多数の国内競合メーカーが存在しております。従って、これら競合メーカーによる新製品の開発、販売促進活動、価格施策等によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④原料の調達と確保について

 当社製品の製造原料の大半は、石油化学品及び天然油脂化学品であります。主要な石油化学品である原油やナフサの価格は今後とも国内外の需要動向等により大きく変動する可能性があり、また、天然油脂化学品の原料である動植物油脂の大半は国外からの輸入に依存していることから地政学的リスクや為替変動リスクを抱えており、これら原料価格の変動が当社の製品原価に影響を及ぼす可能性があります。特に、中国等新興国の需要増加による世界的な化学品の供給不安の影響、自然災害や事故等による供給停止、供給者側の事業・製品の統廃合または法令の改正等による特定の原料の使用制限等により、当社の原料調達が不安定になる可能性があります。

 当社は、原料の価格変動の影響については製品販売価格への転嫁を進めるとともに、原料調達方法等の見直しによりコスト削減に努めております。また、グローバルをベースとした所要原料の調達先の確保に努め、リスクの低減を図ってまいりますが、やむを得ず原料の調達に何らかの支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 海外展開に関するリスク

①海外展開による影響について

   当社グループは、北米、南米、中国及び東南アジア・インド地域を含めグローバルな事業展開を行っており、連結売上高に占める海外売上高比率は2019年3月期48.9%、2020年3月期54.2%となっております。海外関係会社においては、対象国それぞれに政治・経済・法律等のカントリーリスク又は予期せぬ訴訟が発生するリスクがあり、当社は当社グループ全体のリスク管理体制やコンプライアンス体制の維持強化に努めております。しかしながら、これらの管理体制が十分に機能しなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社と海外関係会社間において発生するロイヤリティの支払い及び製品等の輸出入取引においては独立した第三者との間で通常行われる取引の価格等に準じて当社と海外関係会社間の取引価格等を決定しておりますが、対象国の税務当局と移転価格等の見解に相違が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②為替相場の変動による影響について

  為替相場の変動は、連結決算における海外子会社の損益の円換算額に影響を与えるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 資産の減損・評価損に関するリスク

①企業買収等について

    当社が事業拡大のために実施した企業買収等の対象会社の営業活動による業績が買収等実施時の想定を下回った場合や買収等後に効率的に対象会社の経営資源の活用を行うことができなかった場合、のれんの減損等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  ②保有資産価値の下落について

   当社は金属加工油剤の製造及び販売等を行うために、生産設備の固定資産を保有しております。従って、生産設備の収益性の低下等が生じた場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。また、当社は、取引先との取引関係強化等のために投資有価証券を保有しておりますが、株式市場の動向により評価損が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 自然災害・事故・法規制・法的手続等に関するリスク

①製品品質について

   当社は「ISO 9001」の認証に基づく品質マネジメントシステムはもとより、安全性確保や環境負荷軽減に向けた取り組みを徹底しております。しかしながら、予期せぬ製品の品質不良等が生じた場合、損害賠償の発生や社会的評価の毀損等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②自然災害、事故等について

 当社は「事業継続計画(BCP)」に基づき、災害・事故に備え対策を実施しております。しかしながら、突発的かつ大規模な地震、台風等の自然災害や火災、重大な事故により当社グループの生産設備が被害を受けた場合や電力、燃料、水の供給に問題が発生した場合、事業活動の制約または停止が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、事態が長期化又は更なる感染拡大が進行した場合、自動車関連業界等の各メーカーにおいて生産数が減少することにより、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、コストの削減や不急の投資の先送り等キャッシュアウトの抑制に努めるとともに、感染拡大を防止するため、衛生管理の徹底や在宅勤務及び時差出勤を行う等の対応を実施しております。

 

③環境規制について

 当社は環境関連法規の遵守に努めておりますが、水質汚濁防止法や廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正等により当社工場からの廃棄物等の処理に関する規制が強化されかつ廃棄物処理に関し追加の設備投資が必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④知的財産権について

 当社は将来の事業展開に有益である特許権・商標権等の知的財産権の取得に努めており、また、第三者の知的財産権を侵害することを予防するため、または第三者による侵害から当社の知的財産権を保護するための防衛等の措置を実施しております。しかしながら、当社グループにおいて第三者の知的財産権に関わる予期せぬ訴訟等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、米中貿易摩擦による中国経済の減速そして英国のEU離脱等による影響で不透明感が増している中、新型コロナウイルスの影響が中国から北米、欧州、アジアなどへ拡がったことにより、減速に転じていきました。また日本経済は、消費増税や台風等の影響から2020年の年明け以降回復が期待されておりましたが、米中貿易摩擦、新型コロナウイルスの影響も加わり一段と落ち込みました。
 このような環境下、一昨年8月から当社グループの一員となった米国QualiChem社の影響もあり売上高は前期比6.0%増の37,274百万円となりました。また、営業利益は前期比6.6%増の2,213百万円、経常利益は前期比3.2%増の2,718百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比10.9%増の1,913百万円となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

(a) 日本

国内の自動車生産台数は非常に厳しい状態が続いており、また米国及び中国向けの自動車部品の輸出についても減少しております。その結果セグメント売上高は前期比4.9%減の17,078百万円となりました。

セグメント利益は前期比8.7%減の759百万円となりました。

 

(b) 南北アメリカ

既存のアメリカ・ユシロは日系自動車メーカーの生産減の影響で前期の売上高を下回りました。また、ブラジル・ユシロは製品の価格改定及び国内の自動車生産台数が堅調に推移している影響で現地通貨ベースでは増収も換算為替の影響で円貨ベースでは減収となりました。しかし、メキシコ・ユシロは自動車生産台数が減少しているものの既存顧客のシェア拡大により増収、また一昨年8月から当社グループの一員となった QualiChem社の実績によりセグメント売上高は前期比49.7%増の11,280百万円と前期を大きく上回りました。

セグメント利益もQualiChem社の利益貢献及び昨年赤字であったブラジル・ユシロの黒字化により前期比148.8%増の985百万円となりました。

 

(c) 中国

米中貿易摩擦の影響等により自動車生産台数が減少しており、その結果セグメント売上高は前期比11.1%減の4,340百万円となりました。

セグメント利益は、原材料価格の高騰及び人件費の上昇が続いている影響により前期比34.9%減の287百万円となりました。

 

(d) 東南アジア/インド

米中貿易摩擦による自動車生産台数の減少及び自動車部品の輸出が低迷している影響もありタイ・ユシロ及びマレーシア・ユシロは減収となりました。またインド・ユシロも新型コロナウイルスの影響等により減収となりましたが、インドネシア・ユシロは、国内の自動車生産台数は減少しましたが既存顧客のシェア拡大により増収となりました。その結果、セグメント売上高は前期比4.4%減の4,575百万円となりました。

セグメント利益は、減収による影響はありましたがタイ・ユシロでの費用削減等により前期比10.9%増の593百万円となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における、現金及び現金同等物の残高は、7,150百万円となり、前連結会計年度末に比べ202百万円増加しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動により2,829百万円の収入超過となりました。これは、仕入債務の減少額658百万円、法人税等の支払額508百万円、持分法による投資利益382百万円等がありましたが、税金等調整前当期純利益2,734百万円、減価償却費997百万円、売上債権の減少額521百万円等の収入によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動により1,111百万円の支出超過となりました。これは、定期預金の払戻による収入236百万円等がありましたが、有形固定資産の取得による支出814百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動により1,508百万円の支出超過となりました。これは、長期借入金の返済による支出876百万円、配当金の支払額610百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

16,920

95.3

南北アメリカ

11,142

144.5

中国

5,670

95.7

東南アジア/インド

4,549

93.5

38,282

105.6

 

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しておりません。

2 金額は販売価格によります。

3 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(b) 受注状況

当グループの生産は全量見込生産を行っております。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

17,078

95.1

南北アメリカ

11,280

149.7

中国

4,340

88.9

東南アジア/インド

4,575

95.6

合計

37,274

106.0

 

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しているとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計基準の範囲内で一定の見積りがなされ、引当金の計上等の数値に反映されております。これらの見積りについては、必要に応じて見直しを行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果が見積りと異なる場合があります。

なお、新型コロナウィルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 追加情報(新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについて)」に記載しているとおりであります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a) 財政状態の分析
(資産)
  流動資産は、前期末に比べ3.5%減少し、18,603百万円となりました。主な要因として、受取手形及び売掛金が560百万円、原材料及び貯蔵品が132百万円減少したことが挙げられます。
 固定資産は、前期末に比べ3.2%減少し、28,717百万円となりました。主な要因として、保険積立金が184百万円、繰延税金資産が138百万円、機械装置及び運搬具が126百万円増加し、一方、投資有価証券が1,152百万円、無形固定資産が448百万円減少したことが挙げられます。
 この結果、総資産は、前期末に比べて3.3%減少し、47,320百万円となりました。

(負債)
 流動負債は、前期末に比べ6.6%減少し、8,893百万円となりました。主な要因として、支払手形及び買掛金が645百万円減少したことが挙げられます。
 固定負債は、前期末に比べ14.2%減少し、6,559百万円となりました。主な要因として、長期借入金が775百万円、繰延税金負債が321百万円減少したことが挙げられます。

 この結果、負債合計は、前期末に比べて10.0%減少し、15,453百万円となりました。

(純資産)
 純資産合計は前期末に比べ0.2%増加し、31,867百万円となりました。主な要因として、その他有価証券評価差額金が929百万円減少し、為替換算調整勘定が380百万円変動、一方、利益剰余金が1,302百万円増加したことが挙げられます。

 

 

(b) 経営成績の分析

当連結会計年度における経営成績の概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減は、次のとおりであります。

(イ)売上高

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して2,103百万円増加し、37,274百万円(前期比6.0%増)となりました。  

(ロ)営業利益

当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度と比較して137百万円増加し、2,213百万円(前期比6.6%増)となりました。  

(ハ)経常利益

当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度と比較して83百万円増加し、2,718百万円(前期比3.2%増)となりました。  

(ニ)親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して188百万円増加し、1,913百万円(前期比10.9%増)となりました。 

 

(c) キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

資金需要の主なものは、新製品開発や製品改良への投資、生産設備、研究開発機能の充実・強化です。次世代事業の創出、開発等による資金需要が見込まれるため、資金調達を実行する可能性があります。

資本の財源及び資金の流動性については、利益の確保、在庫の圧縮等によりキャッシュ・フローの安定的な確保に努めております。また、当社グループを取り巻く環境や金融情勢等を総合的に勘案し、それぞれの時点において最も有利で最適と考えられる資金調達を行っております。

また、当社は新型コロナウイルス感染症影響の長期化リスクに備え、資金計画や市場動向等を勘案し、複数の国内金融機関とコミットメントライン契約を締結し、機動的な財務施策により継続的に十分な流動性の確保に努めております。

 

(d) 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営に影響を与える要因は、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

新型コロナウイルス感染症の世界的拡大により、経済活動が制限される状況が続いております。当社グループの主要顧客である自動車関連業界においても生産停止や稼働調整等を行うなど厳しい事業環境が続いており、今後の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。影響額については、現時点において合理的に算定することが困難であります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】 

2019年度は、第18次中期3ヵ年計画の最終年度であり、研究開発部門では、現有分野においては、海外の市場を考慮した新製品の開発に取り組んでいます。また、2015年度から「新分野への挑戦」を進めています。その研究成果の1つとして切断傷を修復可能な“自己修復性ポリマーゲル「ウィザードゲル」”という商標を掲げ、2018年6月より3剤(主剤、乾燥防止剤、重合開始剤)を混合することでウィザードゲルを作製できるキット「ウィザードパック」を上市しました。以後、弊社の既存分野を超えた多岐に渡る分野の顧客にて用途開発が進められており、2020年1月には「医療研修用臓器モデル」の用途で採用されました。これを皮切りに、今後益々の実用化に向けた研究体制ならびに顧客フォローの強化を図って参ります。新たなトピックとして、ウィザードゲルとは異なり、水などの溶媒(液体)を一切含有せず、ゴムのような伸縮性を有する“自己修復性エラストマー”の開発に成功しました。ウィザードゲルでは適用が困難であった「水を含有しない素材」が求められる分野(電子、電池など)への応用が期待されています。2020年1月末に開催された国際展示会nano tech 2020では、「ウィザードエラストマー」というブランド名で初披露を果たし、ウィザードゲルを評価中の顧客に加え、新規顧客に対する効果的なPRの機会となりました。さらに、2020年2月より、新製品として「ウィザードモノマー」の販売を開始しました。この「ウィザードモノマー」には、紫外線を照射すると固化する特徴を有するものがあり、ウィザードエラストマーを作製可能な1液タイプの製品です。今後もウィザードブランドの醸成と独創的な機能性ポリマーの開発を進めて参ります。

当連結会計年度において、国内で研究開発に携わるスタッフは87名であり、当社国内従業員の29%に当たります。アメリカ、メキシコ、ブラジル、中国、タイ等の海外グループ各社との連携を密にするため、研究開発部門から10名を出向者として各社へ派遣しております。現在保有する特許は、国内58件、海外22件であり、当期の特許登録数は、国内3件、海外2件を数え、知的財産権の確保及び活用に注力いたしました。当連結会計年度における研究開発費(海外を含む)の総額は、1,878百万円であります。

 

(1) 日本

当社は、「カスタマーインティマシー戦略(個々の顧客ニーズを的確に捉え、要望に合致した仕様に調整した製品を提供する戦略)」で成果を挙げています。例えば、顧客が難削材やCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの新規材料を採用した場合、それぞれの材料特性に合わせた高性能新規加工油剤を開発し、市場展開を行っております。ビルメンテナンス関連製品も、他社製品との差別化を意識した新製品開発を行っています。

当連結会計年度における研究開発費の金額は、1,157百万円であります。

 

(2) 南北アメリカ、中国、東南アジア/インド

タイにあるアセアンテクニカルセンターが、東南アジア及びインド等、現地生産拠点のニーズを的確に把握した戦略的製品開発をしております。米国市場では、2018年に当社グループの一員となった「QualiChem社」と新規製品を開発中です。

当連結会計年度における研究開発費の金額は721百万円であります。