文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は創業以来、「共々の道」という理念を掲げ、事業に取り組んでおります。これは、企業は社会と共に、お客様と共に、さらには社員と共に歩んでこそ株主に繋がる皆様のためになり、企業価値向上に繋がるという考えであります。
この不易の理念を踏まえ、当社は次の三つの経営理念を定めております。
①お客様に最良の商品とサービスを提供する。
②事業の発展を通じ、企業価値の永続的な向上を図る。
③社員が思う存分にその能力を発揮できる活力ある職場を作る。
(2) 経営環境と対処すべき課題
2025年度は米国新政権の関税政策の大幅な変化、それに伴うインフレ進行の懸念、為替レートの急激な変動など世界の経済状況は大きな変化が予想されます。そのため主要顧客である自動車会社及び自動車部品メーカーでは生産拠点のシフトなど様々な変化、日本においてもインフレの進行・人件費の上昇などのコストアップ要因の継続が想定されます。
このような状況下、昨年度より進行中の第20次中期経営計画「EXPLORER PLUS」の2年目として、EV化・顧客のESG志向の進行を見据えた新製品の投入・拡販、実績化が進んでいるヒカリアクション・自己修復性素材の事業化、また内部体制についてもサステナビリティ施策の推進などを着実に進め、以下の課題に取り組むことで、中期計画での目標水準の達成に尽力します。
① 原材料価格変動に対する対応
- 新たなコスト上昇に対する顧客との交渉による適正な価格転嫁の実施
- サステナブルな原材料調達(海外拠点を含めた原材料調達の効率化、内製化)
② 金属加工油剤の販売拡大
- 自動車業界隣接分野(EV含む)及び他市場への参入・販売拡大
- 航空機、医療、半導体などの非自動車分野に向けた高付加価値製品の販売拡大
③ 市場開拓
- シクロデキストリン誘導体の機能性添加剤としての販売先拡大と量産体制確立
- ヒカリアクション機能を付与した防コケ・防カビ剤、機械冷却液用添加剤など特色ある製品の販売拡大
- 鉄道車両洗浄及び床用ガラスコーティング剤の販売拡大
④ ESG戦略の推進
- サステナビリティ推進委員会の取り組みによる全社サステナビリティ活動の推進
- ESG推進項目のKPI化と目標設定
金属加工油剤の国内トップシェア企業として積み重ねてきた技術力、徹底した顧客ファーストの姿勢、そしてグローバル展開を活かし、グループ一丸となって上記課題に取り組み企業価値向上を図ってまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、経営指標として、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益、ROEを重視しております。上記の目標として、下記のとおり定めております。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが利益ある持続的な成長を実現するためには、南北アメリカ、中国、東南アジア/インドの成長地域での業績拡大及び国内事業の収益性の向上、さらに事業領域の拡大が必要と考えており、対処すべき課題に掲げた課題に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(ユシログループのサステナビリティ基本方針)
ユシログループ創業以来の企業理念「共々の道」。
それは、ユシロとお客様・お取引先様・地域社会・株主様・社員とその家族と共生し、深い信頼関係を築いていこうとするものです。
この理念で事業を通じて持続可能な社会への貢献と自社の中長期的な企業価値の向上を両立します。
(環境とともに)
・カーボンニュートラルへの貢献
・心地よく、安心できる空間の創造
(社会とともに、人とともに)
・安全・安心で持続可能な製品・サービスの提供
・ものづくりを通じた社会貢献
・多様な社員の多様な働き方を推進
・持続可能なサプライチェーンの構築
当社は、「企業理念『共々の道』に基づいた信頼される商品とサービスを顧客に提供して、企業として収益力を高め、株主の利益を最大にすることを目的とする」との基本認識とコンプライアンスの徹底をコーポレートガバナンスの基本的な考えとして、株主の権利を重視し、また、社会的信頼に応える経営に取り組んでいます。
当社グループは、上記の企業理念とサステナビリティ基本方針のもと、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会を設置しており、サステナビリティ関連課題が事業に及ぼす影響を認識し、適切に対応できる体制を整え、事業を通じ持続可能な社会への貢献と、中長期的な企業価値の向上を両立してまいります。
当社は、サステナビリティ基本方針を策定し、この方針の下、環境、労働安全、調達、人権・ダイバーシティ、贈収賄・腐敗行為防止、化学物質管理及び品質についての個別方針を策定し、各個別方針に基づくKPIを定め、グループとして取り組むべきサステナビリティ活動の定量的指標を取りまとめております。今後も継続的に、これらの方針及びKPIに基づき、ユシログループ全体としてサステナビリティ活動に取り組んでまいります。
当社は、事業を取り巻く様々なリスクを洗い出し、リスク管理体制を継続して整備してまいります。
なお、当社が現在認識している事業上等のリスクに関する詳細は、
(2)戦略に記載した個別方針に基づくKPIは下表のとおり設定しており、今後、モニタリングを実施するとともに、経営陣による評価を実行する予定です。
KPIの設定状況
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。これらのリスクを認識したうえで、前述の「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載する方法などにより、リスクの最小化と対処に努める所存であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①景気動向について
当社グループは国内外にて事業展開を行っておりますが、主要顧客である自動車関連業界は、それぞれの国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、南米、中国及び東南アジア・インドを含む主要市場における景気後退や需要減少により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②特定の業界への販売依存について
当社グループは、日本、北米、南米、中国及び東南アジア・インド地域における日系自動車メーカー、自動車部品メーカー等の自動車関連業界への販売依存度が高く、自動車関連業界への売上が当社グループ売上高全体の半数以上を占めております。従って、これら地域の自動車関連業界の動向により、当社グループの売上高をはじめとした経営成績が影響を受ける可能性があります。また、当社の主力製品である金属加工油剤は、主に自動車エンジン・トランスミッション・足回り部品の製造過程において使用されます。一方、近年注目されているEV(電気自動車)等の次世代自動車はエンジンを搭載しておらず、自動車1台当たりに使用される金属加工油剤の使用量はエンジン搭載車と比較すると少量となります。将来的には、世界の自動車生産台数に占めるEV等の割合は増加すると予測されており、これが当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性はあります。もっとも、当社としては将来訪れるであろうEV等の普及に備えるため、自動車関連業界への販売依存率を下げる方針であり、2018年に買収した米国クオリケムInc.が強みを持つ航空機・医療機器分野への販売拡大に努め、またヒカリアクション・自己修復性素材等の新規事業やB to B to C市場への参入の更なる推進に努める方針であります。
③競合メーカーについて
当社グループの主力製品である金属加工油剤の分野には、グローバルに事業展開を行う海外メーカーや国際石油資本を親会社に持つメーカー、さらには多数の国内競合メーカーが存在しております。従って、これら競合メーカーによる新製品の開発、販売促進活動、価格施策等によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社製品の製造原料の大半は、石油化学品及び天然油脂化学品であります。主要な石油化学品である原油やナフサの価格は今後とも国内外の需要動向等により大きく変動する可能性があり、また、天然油脂化学品の原料である動植物油脂の大半は国外からの輸入に依存していることから地政学的リスクや為替変動リスクを抱えており、これら原料価格の変動が当社の製品原価に影響を及ぼす可能性があります。特に、中国等新興国の需要増加による世界的な化学品の供給不安の影響、自然災害や事故等による供給停止、供給者側の事業・製品の統廃合または法令の改正等による特定の原料の使用制限等により、当社の原料調達が不安定になる可能性があります。
当社は、原料の価格変動の影響については製品販売価格への転嫁を進めるとともに、原料調達方法等の見直しによりコスト削減に努めております。また、グローバルをベースとした所要原料の調達先の確保に努め、リスクの低減を図ってまいりますが、やむを得ず原料の調達に何らかの支障が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
①海外展開による影響について
当社グループは、北米、南米、中国及び東南アジア・インド地域を含めグローバルな事業展開を行っており、連結売上高に占める海外売上高比率は2024年3月期63.0%、2025年3月期65.0%となっております。海外関係会社においては、対象国それぞれに政治・経済・法律等のカントリーリスクまたは予期せぬ訴訟が発生するリスクがあり、当社は当社グループ全体のリスク管理体制やコンプライアンス体制の維持強化に努めております。しかしながら、これらの管理体制が十分に機能しなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社と海外関係会社間において発生するロイヤリティの支払い及び製品等の輸出入取引においては独立した第三者との間で通常行われる取引の価格等に準じて当社と海外関係会社間の取引価格等を決定しておりますが、対象国の税務当局と移転価格等の見解に相違が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
為替相場の変動は、連結決算における海外子会社の損益の円換算額に影響を与えるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
①企業買収等について
当社が事業拡大のために実施した企業買収等の対象会社の営業活動による業績が買収等実施時の想定を下回った場合や買収等後に効率的に対象会社の経営資源の活用を行うことができなかった場合、のれんの減損等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②保有資産価値の下落について
当社は金属加工油剤の製造及び販売等を行うために、生産設備の固定資産を保有しております。従って、生産設備の収益性の低下等が生じた場合には、多額の減損損失を計上する可能性があります。また、当社は、取引先との取引関係強化等のために投資有価証券を保有しておりますが、株式市場の動向により評価損が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
①製品品質について
当社は「ISO 9001」の認証に基づく品質マネジメントシステムはもとより、安全性確保や環境負荷軽減に向けた取り組みを徹底しております。しかしながら、予期せぬ製品の品質不良等が生じた場合、損害賠償の発生や社会的評価の毀損等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は「事業継続計画(BCP)」に基づき、災害・事故に備え対策を実施しております。しかしながら、突発的かつ大規模な地震、台風等の自然災害や火災、重大な事故により当社グループの生産設備が被害を受けた場合や電力、燃料、水の供給に問題が発生した場合、事業活動の制約または停止が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は環境関連法規の遵守に努めておりますが、水質汚濁防止法や廃棄物の処理及び清掃に関する法律の改正等により当社工場からの廃棄物等の処理に関する規制が強化されかつ廃棄物処理に関し追加の設備投資が必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は将来の事業展開に有益である特許権・商標権等の知的財産権の取得に努めており、また、第三者の知的財産権を侵害することを予防するため、または第三者による侵害から当社の知的財産権を保護するための防衛等の措置を実施しております。しかしながら、当社グループにおいて第三者の知的財産権に関わる予期せぬ訴訟等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、米国新政権の関税政策による影響、中国経済の低迷、長期化する海外の紛争など先行きが不透明な状況が続いております。また日本経済においては、米国の政策動向や海外景気の下振れリスクが我が国の実体経済に与える影響に十分注意していく必要があります。
このような状況下、当社においては、今年度よりスタートさせた中期経営計画『EXPLORER PLUS』のもと、安定成長と収益性の向上に取り組んでおります。主要顧客である自動車メーカー・自動車部品メーカー向け製品につきましては、様々なコスト上昇要因に対する採算の確保に取り組むとともに、EV化・顧客のESG志向の進行を見据えた新製品の拡販・投入を推進しております。非自動車分野につきましては、需要増が見込まれる航空機分野の拡大や、新商材であるヒカリアクション・自己修復性素材の事業化といった長期テーマにも取り組んでおります。
当連結会計年度における売上高は、日本国内における販売は伸び悩みましたが、南北アメリカが堅調だったことなどにより、前期比4.8%増の55,512百万円となりました。営業利益は、特に海外において原材料を始めとした製造コストが抑えられたことや、為替換算の影響もあって前期比40.1%増の5,068百万円となりました。経常利益は、為替差益の計上がなくなりましたが、持分法投資利益が増加したこと等により前期比31.7%増の6,096百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、関係会社株式売却益を計上したこと等により前期比43.4%増の4,315百万円となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりです。なお、セグメント利益は営業利益ベースの数値です。
(a)セグメント別売上高
(b)セグメント別営業利益
(c)セグメント別概況
(日本)
品質問題に端を発する自動車メーカーの生産減から回復が遅れたことなどによりわずかに減収となりましたが、価格改定や原価低減に努めた結果、増益となりました。
(南北アメリカ)
堅調なアメリカ経済に支えられ、北米、メキシコでの販売が堅調に推移したことなどにより増収となり、さらに原価低減活動などにより原材料費が抑えられたことや、為替換算の影響もあって、増益となりました。
(中国)
EⅤ化の進行による日系自動車メーカーの生産台数減の影響は続いていますが、昨年上期の底を脱してからは回復傾向にあり、固定費削減も進んだことから、増収・増益となりました。
(東南アジア/インド)
一部の地域において、ローン金利上昇等による自動車販売の低迷の影響は続いていますが、新規拡販や輸出の増加、原価低減の効果もあって、増収・増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における、現金及び現金同等物の残高は、10,499百万円となり、前連結会計年度末に比べ482百万円減少しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により4,805百万円の収入超過となりました。主な要因は、法人税等の支払額1,497百万円、持分法による投資損益729百万円があったものの、税金等調整前当期純利益6,186百万円、減価償却費1,148百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により1,139百万円の支出超過となりました。主な要因は、定期預金の払戻による収入1,594百万円があったものの、定期預金の預入による支出2,093百万円、有形固定資産の取得による支出766百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により2,411百万円の支出超過となりました。主な要因は、配当金の支払額1,088百万円、長期借入金の返済による支出939百万円、自己株式の取得による支出205百万円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しておりません。
2 金額は販売価格によります。
(b) 受注状況
当グループの生産は全量見込生産を行っております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
流動資産は、前期末に比べ5.1%増加し、31,694百万円となりました。主な要因は、その他の流動資産が567百万円、原材料及び貯蔵品が538百万円、商品及び製品が500百万円増加したことによるものです。
固定資産は、前期末に比べ1.0%減少し、31,709百万円となりました。主な要因は、関係会社出資金が1,553百万円増加したものの、関係会社株式が1,735百万円減少したことによるものです。
この結果、総資産は、前期末に比べて2.0%増加し、63,404百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前期末に比べ2.9%減少し、13,478百万円となりました。主な要因は、その他の流動負債が301百万円、支払手形及び買掛金が240百万円減少したことによるものです。
固定負債は、前期末に比べ12.3%減少し、4,955百万円となりました。主な要因は、長期借入金が874百万円減少したことによるものです。
この結果、負債合計は、前期末に比べて5.6%減少し、18,433百万円となりました。
(純資産)
純資産合計は前期末に比べ5.5%増加し、44,970百万円となりました。主な要因は、利益剰余金が2,343百万円増加、為替換算調整勘定が1,414百万円変動したことによるものです。
(b) 経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績の概況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減は、次のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度と比較して2,527百万円増加し、55,512百万円(前期比4.8%増)となりました。
当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度と比較して1,449百万円増加し、5,068百万円(前期比40.1%増)となりました。
当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度と比較して1,468百万円増加し、6,096百万円(前期比31.7%増)となりました。
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して1,304百万円増加し、4,315百万円(前期比43.4%増)となりました。
資本の財源及び資金の流動性については、利益の確保、在庫の圧縮等によりキャッシュ・フローの安定的な確保に努めております。また、当社グループを取り巻く環境や金融情勢等を総合的に勘案し、それぞれの時点において最も有利で最適と考えられる資金調達を行っております。
また、当社は資金計画や市場動向等を勘案し、複数の国内金融機関とコミットメントライン契約を締結し、機動的な財務施策により継続的に十分な流動性の確保に努めております。
(d) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しており、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(e) 経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、既存事業の着実な深化と新規事業領域の確実な拡大につながる製品や技術の開発を行っています。既存事業においては、省エネルギー対応、難加工材の対応、作業環境の改善、変化する加工技術への対応を実施しております。新規事業領域においては、キーマテリアル分野の拡大が挙げられます。特に分子内にホストゲスト基を持つことで切断傷が修復可能となる“自己修復性”や”しなやかさと強靭さ”を持ち合わせることが可能となるポリマーの研究開発を行い、今般、「ウィザードゲル」(ハイドロゲル)、「ウィザードエラストマー」(ゴムのような伸縮性のある素材)、ホストモノマーやゲストモノマーである「ウィザードモノマー」を製品化しております。現在、樹脂特性の変性を目的に大学、公的機関、企業の研究機関を中心に実用化検討に用いられています。また、ビタミンB2を活用した光触媒「ジェンタミン」の研究をしており、除菌、消臭や水の浄化といった用途に向けた開発を進めています。この技術を応用した製品である「ぴきゃみん」において市場展開を行っています。
当連結会計年度において、国内で研究開発に携わるスタッフは93名であり、当社国内従業員の27%に当たります。アメリカ、中国、タイ等の海外グループ各社との連携を密にするため、研究開発部門から6を出向者として各社へ派遣しております。現在保有する特許は、国内53件、海外26件であり、当期の特許登録は、国内1件、海外2件を数え、知的財産権の確保及び活用に注力いたしました。当連結会計年度における研究開発費(海外を含む)の総額は、
当社は、「カスタマーインティマシー戦略(個々の顧客ニーズを的確に捉え、要望に合致した仕様に調整した製品を提供する戦略)」や既存製品の付加価値向上を目的とした製品開発により成果を挙げています。切削分野では、作業環境改善で市場での評価が高い低ミスト型水溶性切削油剤「ユシローケンREVOSシリーズ」、塑性加工分野では、SUS等の難加工材用向けに「ユシロンフォーマーEW660」、洗浄分野では今までよりも低い温度領域での使用を可能とすることで省エネルギーを実現した「ユシロクリーナーPCW562」の開発や展開などにつなげております。また、作業者の皮膚刺激性軽減を目的に開発した中性タイプの高性能ソリューションタイプの切削油剤、離型剤関連分野では、付着させた離型剤成分の見える化を実現し、顧客での使用方法の適正化の提示や廃液の削減や金型寿命の延長が実現可能な製品開発を行っています。また、次世代材料として注目されているCFRP(炭素繊維強化プラスチック)やマグネシウム合金の離型剤ラインアップを拡充し、市場展開を図っています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
各地に生産拠点および製品開発拠点を持つ強みを活かし、アセアンテクニカルセンター、ユシロアメリカ、QualiChem、日本などが協力し、迅速かつ積極的に「カスタマーインティマシー戦略」を実践し、業績・収益の向上に努めています。
当連結会計年度における研究開発費の金額は1,105百万円であります。