【連結財務諸表注記】
1.報告企業
JX金属株式会社(以下、「当社」という。)は、日本に所在する企業です。当社の連結財務諸表は、当社及び子会社(以下、「当社グループ」という。)並びに関連会社及び共同支配企業に対する持分により構成されています。当社グループの主な事業内容は、注記7.「セグメント情報」に記載しています。
当連結財務諸表は、2025年6月25日に代表取締役社長 林 陽一によって承認されています。
2.作成の基礎
(1) IFRSに準拠している旨
当社の連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しています。当社は連結財務諸表規則第1条の2第1号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同規則第312条の規定を適用しています。
(2) 機能通貨及び表示通貨
連結財務諸表の表示通貨は、当社の機能通貨である日本円であり、特段の記載がない限り、百万円未満を四捨五入しています。
(3) 新基準書の早期適用
該当事項はありません。
(4) 表示方法の変更
(連結キャッシュ・フロー計算書)
前連結会計年度において、独立掲記していた「投資活動によるキャッシュ・フロー」の「投資有価証券の取得による支出」は、金額的重要性が乏しいため、当連結会計年度においては「その他」に含めて表示しています。これらの表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書の組替えを行っています。
この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「投資活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に表示していた△2,987百万円、「投資有価証券の取得による支出」△440百万円は、「その他」△3,427百万円として組替えています。
3.重要性がある会計方針
(1) 連結の基礎
子会社とは、当社が支配している企業をいいます。当社は、企業への関与により生じる変動リターンに対するエクスポージャー又は権利を有し、かつ、企業に対するパワー(関連性のある活動を指図する現在の能力を与える現在の権利)により当該リターンに影響を及ぼす能力を有している場合に、企業を支配していると判断しています。
関連会社とは、当社がその経営及び財務の方針に関する経営管理上の意思決定に対して、重要な影響力を有するが、支配又は共同支配を有していない企業をいいます。重要な影響力とは、企業の財務及び営業の方針決定に参加するパワーのことを指します。
共同支配企業とは、契約上の取決めにより、関連性のある活動に係る意思決定について、支配を共有している当社を含む当事者の全員一致の合意を必要とする企業で、各当事者が当該企業の純資産に対する権利を有している場合の企業をいいます。
関連会社・共同支配企業に対する持分の投資は、持分法により会計処理しています。持分法では、持分の投資は当初取得原価で認識され、関連会社・共同支配企業の経営成績に対する当社の持分は、当社の会計方針と整合するように修正され、連結損益計算書において持分法による投資損益として認識しています。
(2) 企業結合
当社グループは、企業結合の会計処理として取得法を適用しています。企業結合において取得した識別可能資産及び引き受けた識別可能負債と偶発負債は、当初取得日における公正価値で測定します。取得に関連して発生した費用は、発生時に費用として認識します。当社は、非支配持分を公正価値若しくは被取得企業の識別可能純資産に対する非支配持分の比例持分で測定するかについて取引ごとに決定します。
のれんは、移転された企業結合の対価、被取得企業の非支配持分の金額及び取得企業が以前に保有していた被取得企業の資本持分の公正価値の合計額が、取得日における識別可能資産及び負債の正味価額を上回る場合にその超過額として測定します。
割安購入により、当該合計金額が取得した識別可能資産及び負債の正味価額を下回る場合、差額は直ちに連結損益計算書に純損益として認識されます。
(3) 外貨換算
① 機能通貨及び表示通貨
当社グループ各社は、営業活動を行う主たる経済環境の通貨である機能通貨を判定し、当該機能通貨により個別財務諸表を作成しています。当社の連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示しています。
② 外貨建取引及び残高
外貨建取引は、取引日における為替レートで当社グループ各社の機能通貨に換算します。期末日における外貨建の貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算し、また公正価値で測定する外貨建の非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に換算します。この結果生じる為替換算差額は原則として純損益に認識します。ただし、その他の包括利益を通じて測定する金融資産として指定した資本性金融商品及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる為替換算差額については、その他の包括利益に認識します。取得原価で測定する外貨建の非貨幣性資産及び負債は、取引日の為替レートで換算します。
③ 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債は期末日の為替レート、収益及び費用は報告期間中の為替レートが著しく変動していない限り、その期間の平均為替レートを用いて日本円に換算します。
在外営業活動体の財務諸表の換算から生じる為替換算差額は、「在外営業活動体の為替換算差額」としてその他の包括利益に認識します。在外営業活動体の処分等に伴い、当該累積換算差額は、処分損益の一部として純損益に振り替えます。
なお、支配の喪失を伴わない子会社に対する親会社持分の変動取引については、当該子会社の為替換算差額を親会社の所有者に帰属する持分と非支配持分との間で、資本を通じて再配分しています。
(4) 現金及び現金同等物
連結財務諸表における現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から概ね3か月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。
(5) 金融商品
① 金融資産
(ア)当初認識及び測定
当社グループは金融資産を、金融商品の契約上の当事者になった時点で当初認識しています。ただし、通常の方法による金融資産の購入については、取引日に当初認識しています。
金融資産は、当初認識時に、償却原価で測定する金融資産、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類します。純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については公正価値で測定し、それ以外の金融資産は、公正価値に、取得に直接起因する取引費用を加算した金額で測定します。金融資産は以下の条件に従い、分類、事後測定をしています。
償却原価で測定する金融資産
金融資産は、以下の条件がともに満たされる場合には、償却原価で測定する金融資産に分類します。
・契約上のキャッシュ・フローを回収するために資産を保有することを目的とする事業モデルに基づいて、金融資産が保有されている。
・金融資産の契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローが特定の日に生じる。
当初認識後は実効金利法を用いた償却原価で測定し、また、減損の評価を行っています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産は公正価値により測定します。そのうち、売買目的以外で保有する資本性金融商品については、当初認識時にその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定するか否かを、個々の資本性金融商品ごとに決定しています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定した金融資産は、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益に認識しています。
その他の包括利益に認識した金額は、事後的に純損益に振り替えることはできないものの、資本の中で振り替えることができます。関連する金融資産の認識を中止した場合、あるいは公正価値が著しく下落した場合には、その他の包括利益に認識した当該金額を利益剰余金に振り替えています。
支配の喪失を伴わない子会社に対する親会社持分の変動取引については、当該子会社のその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の累計額を、親会社の所有者に帰属する持分と非支配持分との間で、資本を通じて再配分しています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産
償却原価で測定する金融資産以外の金融資産のうち、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産として指定しなかった金融資産は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に分類します。
当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動を純損益に認識します。
(イ)認識の中止
金融資産は、金融資産からのキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合、又は、金融資産のキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値のほとんど全てが移転した場合に認識を中止します。
(ウ)金融資産の減損
当社グループは報告期間の末日ごとに、金融資産の信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているか否かを、外部信用格付け、期日経過の情報等に基づき評価します。
金融資産の信用リスクが、当初認識以降に著しく増大したと判断した場合、金融資産の予想残存期間の全期間に係る予想信用損失と等しい金額で損失評価引当金を測定します。金融資産の信用リスクが、当初認識以降に著しく増大していないと判断した場合、報告期間の末日後12か月以内に生じる予想信用損失と等しい金額で損失評価引当金を測定します。ただし、営業債権については、延滞日数別の過去の債務不履行の実績に将来の経済状況等の予測を加味して調整した実績率に基づき、常に全期間の予想信用損失と等しい金額で損失評価引当金を測定します。
なお、債務者の財務状況の著しい悪化、債務者による支払不履行又は延滞等の契約違反等、金融資産が信用減損している証拠がある場合、算定した損失評価引当金を控除後の償却原価に対して、実効金利法を適用します。
予想信用損失の金額は、契約にしたがって支払われる金融資産のキャッシュ・フローの総額と、金融資産の受取見積将来キャッシュ・フローとの差額を、当初の実効金利で割り引いた現在価値を発生確率で加重平均して個別に見積ります。損失評価引当金の変動は、純損益に認識します。
② 金融負債
(ア)当初認識及び測定
当社グループは金融負債を、金融商品の契約上の当事者になった時点で当初認識しています。金融負債は、当初認識時に、純損益を通じて公正価値で測定する金融負債を除き、償却原価で測定する金融負債に分類します。
金融負債は以下の分類ごとに、それぞれ事後測定をしています。
償却原価で測定する金融負債
当初認識後は実効金利法を用いた償却原価で測定します。
純損益を通じて公正価値で測定する金融負債
当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動を純損益に認識します。
(イ)認識の中止
金融負債は、契約上の義務が免責、取消又は失効となった場合に認識を中止します。
③ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは、為替変動リスク、金利変動リスク及び商品価格変動リスクをヘッジするために、先物為替予約、金利スワップ、商品先渡契約等のデリバティブ取引を行っています。取引開始時に、ヘッジ手段とヘッジ対象との関係並びに種々のヘッジ取引の実施についてのリスク管理目的及び戦略について文書化します。また、ヘッジ手段に指定したデリバティブがヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動を相殺するに際しヘッジ会計の要件を満たすかどうかについて、ヘッジ開始時及びその後も継続的に評価しています。
デリバティブは公正価値で当初認識しています。ヘッジ会計の要件を満たさない一部のデリバティブは、公正価値の事後的な変動を純損益に認識しています。ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブは、その公正価値の変動を以下のように会計処理します。
(ア)公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジとして指定され、かつその要件を満たすデリバティブの公正価値の変動は、ヘッジされたリスクに対応するヘッジ対象資産又は負債の公正価値の変動とともに、純損益に認識します。
(イ)キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定され、かつその要件を満たすデリバティブの公正価値の変動は、その他の包括利益に認識します。ただし、デリバティブの公正価値の変動のうち、ヘッジの非有効部分は純損益に認識します。
その他の包括利益に累積された金額は、ヘッジ対象が純損益に影響を与える期に、純損益に組み替えます。しかしながら、ヘッジ対象である予定取引が非金融資産若しくは負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益に累積された金額は、当該資産若しくは負債の測定額に含めます。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で計上します。正味実現可能価額は、通常の事業の過程における予想販売価額から完成までに要する見積原価及び見積販売コストを控除した額です。取得原価は主として先入先出法を用いて算定します。
(7) 有形固定資産(使用権資産を除く)
有形固定資産の認識後の測定には原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示します。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、解体、撤去及び原状回復費用並びに長期プロジェクトのための借入コストで資産計上の要件を満たすものが含まれます。
大規模な保守や修繕に係る支出には、再取得資産や資産の一部の取替えに係る費用、調査費用及びオーバーホール(詳細検査)の費用が含まれます。当該支出のうち、有形固定資産の認識基準が満たされるものについては資産計上され、次の調査までの期間にわたり減価償却されます。
土地以外の有形固定資産の減価償却は、取得原価から残存価額を控除した償却可能価額について、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、主として定額法に基づいて行います。
主な有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・建物及び構築物 2年~50年
・機械装置及び運搬具 2年~20年
有形固定資産の減価償却方法、見積耐用年数及び残存価額は、連結会計年度の末日ごとに見直しを行います。
(8) のれん及び無形資産
のれんは償却を行わず、取得原価から減損損失累計額を控除した価額で表示しています。のれんは企業結合のシナジーからの便益を得ることが期待される個々の資金生成単位又は資金生成単位グループに配分し、毎期又は減損の兆候が存在する場合にはその都度、減損テストを実施しています。のれんの減損損失は連結損益計算書において純損益として認識され、その後の戻入れは行っていません。
なお、当初認識時におけるのれんの測定は、注記3.「重要性がある会計方針(2)企業結合」に記載しています。
無形資産の認識後の測定には原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した額で表示します。
無形資産は、資産の取得原価から残存価額を控除した額について、見積耐用年数にわたり、主として定額法で償却します。主な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりです。
・ソフトウエア 5年
・顧客関連資産 10年~25年
(9) リース
リース負債は、リース開始日現在の残存リース料をリースの計算利子率を用いて割り引いた現在価値で当初認識します。認識時に実務上容易にリースの計算利子率を算定できない場合は、当社グループの追加借入利子率を用いています。
使用権資産は、リース負債の測定額に、当初直接コストや前払リース料等を調整し、リース契約に基づき要求される原状回復義務の費用を加算した金額で認識しており、リース期間にわたり規則的に減価償却を行います。また使用権資産は連結財政状態計算書において「有形固定資産」に含めて表示しています。
(10) 非金融資産の減損
当社グループは各報告期間において、各資産についての減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候が存在する場合、又は、耐用年数を確定できない無形資産等毎年減損テストが要求されている場合には、その資産の回収可能価額を見積ります。個々の資産の回収可能価額を見積ることができない場合には、その資産の属する資金生成単位ごとに回収可能価額を見積ります。
回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値とその使用価値のうちいずれか高い方の金額で算定します。処分コスト控除後の公正価値の算定に当たっては、利用可能な公正価値指標及び取引に裏付けられた適切な評価モデルを使用します。また、使用価値の評価における見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値に関する現在の市場評価及び当該資産に固有のリスク等を反映した税引前割引率を使用して、現在価値まで割り引きます。
資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超える場合は、その資産について減損損失を認識し、回収可能価額まで評価減します。
のれん以外の資産に関しては、過去の報告期間に認識された減損損失について、損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が存在しているかどうかの評価を行います。そのような兆候が存在する場合は、当該資産又は資金生成単位の回収可能価額の見積りを行い、その回収可能価額が、資産又は資金生成単位の帳簿価額を超える場合、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として、減損損失を戻し入れます。
(11) 売却目的で保有する非流動資産又は処分グループ及び非継続事業
非流動資産又は処分グループについては、継続的な使用ではなく、主として売却取引により回収が見込まれるものであり、1年以内に売却する可能性が非常に高く、かつ、現在の状態で即時に売却可能で、経営者が売却を確約している場合には、売却目的で保有する非流動資産又は処分グループとして分類します。
売却目的で保有する非流動資産又は処分グループは、減価償却又は償却は行わず、帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のうち、いずれか低い方の金額で測定します。
既に処分された又は売却目的で保有する非流動資産又は処分グループが、独立の主要な事業分野又は営業地域を示す場合、独立の主要な事業分野又は営業地域を処分する統一された計画の一部である場合、転売のみを目的に取得した子会社である場合のいずれかに該当した場合、非継続事業として認識します。
(12) 退職後給付
当社グループでは確定給付制度と確定拠出制度を採用しています。確定給付制度に関連して連結財政状態計算書で認識される負債は、報告期間の末日現在の確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を差し引いた額です。確定給付制度債務は、予測単位積増方式を用いて毎年算定します。割引率は、将来の毎年度の給付支払見込日までの期間を基に割引期間を設定し、割引期間に対応した期末日時点の優良社債の市場利回りに基づき算定します。
退職給付費用のうち、勤務費用、確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額については純損益で認識し、見積りと実績との差異及び数理計算上の仮定の変更から生じた数理計算上の差異を含む再測定は、発生した期間にその他の包括利益として認識します。当該金額は、純損益へ振り替えることはできないものの、資本の中での振り替えが認められていることから、直ちにその他の資本の構成要素から利益剰余金に振り替えます。過去勤務費用は、発生した期間に純損益で認識します。
確定拠出制度に係る退職給付費用は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識し、未払拠出額を債務として認識しています。
(13) 引当金及び偶発負債
引当金は、過去の事象の結果として現在の債務(法的又は推定的義務)を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、その金額を信頼性をもって見積ることができる場合に認識します。
引当金は、債務の決済に必要とされると見込まれる支出に、貨幣の時間価値の現在の市場評価と当該債務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、現在価値で測定します。時間の経過による引当金の増加は利息費用として認識します。
資産除去債務については、施設若しくは設備を解体、撤去し、その場所を原状に復帰させる義務を負う場合で、なおかつその債務の金額を合理的に見積ることができる場合に認識します。
報告期間の末日現在において発生可能性のある債務を有しているが、それが報告期間の末日現在の債務であるか否か確認ができないもの、又は引当金の認識基準を満たさないものについては、注記30.「偶発負債」に記載します。
(14) 収益認識
当社グループは、IFRS第9号「金融商品」(以下、「IFRS第9号」という。)に基づく利息及び配当収益等を除き、次の5つのステップを適用することにより収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する
ステップ2:契約における履行義務を識別する
ステップ3:取引価格を算定する
ステップ4:取引価格を契約における履行義務に配分する
ステップ5:履行義務が充足されたときに(又は充足するにつれて)収益を認識する
当社グループでは、半導体用スパッタリングターゲット、圧延銅箔、貴金属、リサイクル原料等の販売を行っています。これらの販売は、製品の支配が顧客に移転したとき、すなわち製品を顧客へ引き渡した時点で、製品の法的所有権、物的占有権、製品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値が移転し、顧客から製品の対価を受ける権利を得るため、その時点で収益を認識します。また収益は、顧客との契約による取引価格に基づき認識しており、取引の対価は製品の引き渡し後概ね3か月以内に受け取るため、重大な金融要素を含んでいません。
販売契約の一部には仮価格条項が含まれており、詳細は注記23.「売上収益」に記載しています。
(15) 法人所得税費用
法人所得税費用は当期税金及び繰延税金から構成されます。
これらは、企業結合に関連するもの及び直接資本又はその他の包括利益で認識される項目を除き、純損益として認識しています。
当期法人所得税は、期末日時点において施行又は実質的に施行される税率を乗じて算定する当期の課税所得又は損失に係る納税見込額あるいは還付見込額の見積りに、前年までの納税見込額あるいは還付見込額の調整額を加えて算定しています。
繰延税金資産及び負債は、会計上の資産及び負債の帳簿価額と税務基準額との一時差異、報告期間の末日時点における税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除に基づいて算定しています。
なお、次にかかる一時差異に対しては繰延税金資産又は負債を認識しません。
・のれんの当初認識により将来加算一時差異が生じる場合
・企業結合以外の取引で、取引時に会計上の利益と税務上の課税所得のどちらにも影響を与えず、かつ、取引時に同額の将来加算一時差異と将来減算一時差異を生じさせていない取引から発生する資産及び負債の当初認識により生じる場合
・子会社、関連会社及び共同支配の取決めに対する持分にかかる将来加算一時差異について、解消時期をコントロールでき、かつ予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合、及び将来減算一時差異について、予測可能な将来にその差異が解消されない可能性が高い場合
繰延税金資産及び負債の算定には、報告期間の末日までに施行又は実質的に施行されており、関連する繰延税金資産が実現する期又は繰延税金負債が決済される期において適用されると予想される税率を使用します。
繰延税金資産は、税務上の繰越欠損金、繰越税額控除及び将来減算一時差異のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しています。また、繰延税金資産は、毎期末日に見直し、税務便益が実現する可能性が高くなくなった部分について減額しています。
4.重要な会計上の見積り及び判断
当社の連結財務諸表は、経営者の見積り及び判断を含みます。これらの見積り及び判断は過去の実績及び報告期間の末日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の見積りに基づきますが、将来に生じる結果は、これらの見積り及び判断とは異なる可能性があります。
当社の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある、主な見積り及び判断は以下のとおりです。
(1) 非金融資産の減損
当社グループでは有形固定資産、のれん及び無形資産について、注記3.「重要性がある会計方針」にしたがって、減損テストを実施します。減損テストにおける回収可能価額を算定するに当たり、将来キャッシュ・フローの見積りや割引率等を決定します。将来キャッシュ・フローは経営者が承認した事業計画を基礎として、経営者の最善の見積りと判断により決定しますが、将来キャッシュ・フローに含まれる販売数量や商品価格、外国為替相場等の不確実な要素の変動によって影響を受けるため、これらの見積りや回収可能価額の見直しが必要となった場合に、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当項目は、注記13.「非金融資産の減損」、及び注記26.「その他の収益及び費用」に関連します。
(2) 法人所得税
当社グループは、複数の租税区域の法人所得税の影響を受けます。世界各地における法人所得税の見積額を決定する際には、重要な判断が必要です。
当連結会計年度、法人所得税費用として計上した金額は26,089百万円です。
取引及び計算方法によっては、最終的な税額に不確実性を含むものも多くあります。追加徴収が求められるかどうかの見積りに基づいて、予想される税務調査上の問題について負債を認識します。これらの問題に係る最終税額が当初に認識した金額と異なる場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
また、繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で金額を算定します。将来の課税所得の生じる時期及び金額は、販売数量や商品価格、外国為替相場等の仮定を含めた、経営者が承認した事業計画に基づいて見積ります。
これにより、当連結会計年度末、繰延税金資産として計上した金額は26,730百万円です。
課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済状況の変化によって影響を受けることから、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合は、それに伴い利用可能な繰延税金資産の金額も変動し、その結果、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当項目は、注記19.「法人所得税」に関連します。
(3) 棚卸資産の評価
棚卸資産は、取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い額で計上します。報告期間末日において正味実現可能価額が取得原価より下落している場合には、棚卸資産を当該正味実現可能価額で測定し、取得原価との差額(評価減)を売上原価に計上します。
これにより、当連結会計年度末、棚卸資産として計上した金額は273,187百万円です。
将来、市場環境が大きく変化し、正味実現可能価額が著しく下落した場合には、売上原価に多額の差額(評価減)が発生し、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当項目は、注記9.「棚卸資産」に関連します。
(4) 退職後給付
当社グループは確定給付制度を含む退職給付制度を有しています。確定給付制度債務の現在価値及び関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定されます。数理計算上の仮定には、割引率等、様々な変数についての見積り及び判断が求められます。
これにより、当連結会計年度末、退職給付に係る負債として計上した金額は27,261百万円です。
様々な変数を含む数理計算上の仮定の適切性について、経営者の最善の見積りと判断により決定しますが、将来の不確実な経済状況の変化によって影響を受けることから、見直しが必要となった場合、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
当項目は、注記18.「退職後給付」に関連します。
(5) 引当金及び偶発負債
当社グループは資産除去債務等、種々の引当金を連結財政状態計算書に計上しています。これらの引当金は、報告期間の末日における債務に関するリスク及び不確実性を考慮に入れた、債務の決済に要する支出の最善の見積りに基づき割引率を加味して計上されます。
これにより、当連結会計年度末、引当金として計上した金額は30,792百万円です。
債務の決済に要する支出額は、将来の起こりうる結果を総合的に勘案して算定しますが、予想しえない事象の発生や状況の変化によって影響を受ける可能性があり、実際の支払額が見積りと異なった場合、翌報告期間以降の連結財務諸表において認識する金額に重要な影響を与える可能性があります。
また、偶発負債については、報告期間の末日における全ての利用可能な証拠を勘案し、その発生可能性及び金額的影響を考慮したうえで、将来の事業に重要な影響を及ぼしうる項目を開示します。
当項目は、注記17.「引当金」、注記30.「偶発負債」に関連します。
5.未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに、主に以下の基準書及び解釈指針の新設又は改訂が公表されていますが、2025年3月期以前に強制適用されるものではなく、当社グループでは早期適用しておりません。新しいIFRS適用による当社グループへの影響は検討中であり、現時点で見積もることはできません。
6.企業結合
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
重要な企業結合がないため、記載を省略しています。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(タツタ電線株式会社の追加取得に伴う子会社化)
当社は、情報通信材料セグメントに属する持分法適用会社であったタツタ電線株式会社(以下、「タツタ電線」という。)を当社の完全子会社化するための取引の一環として、タツタ電線に対する公開買付を実施し、2024年8月26日に議決権の50.61%を取得した結果、既保有持分と合わせて議決権の87.64%を保有することとなり、タツタ電線及びその子会社は当社の子会社となりました。その後、タツタ電線を当社の完全子会社化するための手続により、同社は2024年11月11日に当社の完全子会社となりました。
(1) 企業結合の概要
① 被取得企業の名称及び事業の内容
② 企業結合を行った主な理由
当社が掲げる「2040年 JX金属グループ長期ビジョン」を達成するためには、「フォーカス事業」の成長と「ベース事業」の安定化が不可欠であるところ、タツタ電線の有する電子材料事業及びケーブル事業の両方が大きな力になると考えています。
当社は、タツタ電線を経営資源の相互活用に制約を排除し一体とすることができる完全子会社とすることで、(a)両社の経営資源の効率的活用、(b)重要技術における更なる連携、(c)電子材料事業における事業競争力の更なる強化、(d)タツタ電線 電線・ケーブル事業及び当社金属事業の事業基盤の強化、のようなシナジーを享受し、両社の企業価値の更なる向上を図ることを目的としています。
③ 取得日 2024年8月26日
④ 被取得企業の支配の獲得方法 現金を対価とする企業結合
⑤ 取得した議決権付資本持分の比率
(2) 取得対価及びその内訳
(3) 取得関連費用
企業結合に係る取得関連費用として累計して498百万円を認識しており、うち259百万円が当連結会計年度における連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に計上されています。
(4) 取得資産及び引受負債の公正価値、非支配持分及びのれん
非支配持分は、被取得企業の識別可能な純資産の認識金額に対する非支配株主の持分割合で測定しています。取得した資産の公正価値測定に当たり、主に有形固定資産における土地の評価益を認識したことを理由として、取得した純資産の公正価値が取得対価を上回ったため、負ののれん発生益を認識しており、連結損益計算書の「その他の収益」に計上しています。
(5) 段階取得に係る差損
当社グループが取得日以前に保有していたタツタ電線の資本持分を取得日の公正価値で再測定した結果、企業結合による段階取得に係る差損44百万円を連結損益計算書の「その他の費用」に計上しています。
(6) 当社グループの業績に与える影響
取得日以降に生じた損益情報、及び企業結合が期首に実施されたと仮定した場合の損益情報(プロフォーマ情報)は、連結財務諸表に与える影響額に重要性がないため開示しておりません。なお、当該プロフォーマ情報は監査を受けておりません。
7.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要
当社グループの事業セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、当社の取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象です。
当社グループでは、当社において設置された製品・サービス別の事業セグメントが、取り扱う製品・サービスについて国内及び海外の包括的な戦略を立案し、事業活動を展開しています。
したがって、当社グループは、製品・サービス別の事業セグメントから構成されていますが、製品・サービスの特性及び販売市場の類似性に基づき、複数の事業セグメントを集約したうえで、「半導体材料」、「情報通信材料」及び「基礎材料」の3つを報告セグメントとし、他の事業セグメントを「その他」としています。
各報告セグメント区分の主な製品・サービス又は事業内容は、次のとおりです。
(2) 報告セグメントごとの売上高、損益、資産及びその他の項目
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1.報告セグメントの会計方針は、連結財務諸表作成における会計方針と同一です。
2.外部顧客への売上高には、顧客との契約から生じた収益及びその他の源泉から生じた収益が含まれています。詳細については、注記23.「売上収益」に記載しています。
3.報告セグメント間の内部売上高又は振替高は市場実勢価格に基づいています。
4.セグメント利益又は損失は、連結損益計算書における営業利益で表示しています。
5.資本的支出には、使用権資産の新規取得を含めています。
6.調整額は以下のとおりです。
① セグメント利益又は損失の調整額△16,035百万円には、各報告セグメント及び「その他」の区分に配分していない全社収益・全社費用の純額△17,335百万円が含まれています。
② セグメント資産の調整額130,844百万円には、セグメント間の債権の相殺消去額△15,510百万円、各報告セグメント及び「その他」の区分に配分していない全社資産146,354百万円が含まれています。
7.各報告セグメントの非金融資産の減損損失の金額及び内容については、注記13.「非金融資産の減損」に記載しています。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1.報告セグメントの会計方針は、連結財務諸表作成における会計方針と同一です。
2.外部顧客への売上高には、顧客との契約から生じた収益及びその他の源泉から生じた収益が含まれています。詳細については、注記23.「売上収益」に記載しています。
3.報告セグメント間の内部売上高又は振替高は市場実勢価格に基づいています。
4.セグメント利益又は損失は、連結損益計算書における営業利益で表示しています。
5.資本的支出には、使用権資産の新規取得を含めています。
6.調整額は以下のとおりです。
① セグメント利益又は損失の調整額△12,208百万円には、各報告セグメント及び「その他」の区分に配分していない全社収益・全社費用の純額△11,357百万円が含まれています。
② セグメント資産の調整額73,758百万円には、セグメント間の債権の相殺消去額△75,912百万円、各報告セグメント及び「その他」の区分に配分していない全社資産149,670百万円が含まれています。
7.基礎材料セグメントにおける外部顧客への売上高の前連結会計年度からの主な減少要因は、電気銅等を販売していた子会社のPPCが、前連結会計年度に、持分法適用会社となったことによるものです。
8.各報告セグメントの非金融資産の減損損失の金額及び内容については、注記13.「非金融資産の減損」に記載しています。
(3) 製品及びサービスに関する情報
「(1) 報告セグメントの概要」における事業セグメントごとの製品及びサービスについて、「(2) 報告セグメントごとの売上高、損益、資産及びその他の項目」に同様の情報を開示しているため、記載を省略しています。
(4) 地域別に関する情報
① 売上高
売上高の地域別内訳については、注記23.「売上収益」に記載しています。
② 非流動資産
非流動資産の地域別内訳については、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1.非流動資産は金融商品、繰延税金資産及び退職給付に係る資産等を含んでいません。
2.前連結会計年度において独立掲記していた「チリ」は、金額の重要性が乏しくなったため、当連結会計年度より「その他」に集約して記載しています。この変更に伴い、前連結会計年度の非流動資産は当連結会計年度区分に合わせ、修正再表示しています。
(5) 主要な顧客に関する情報
連結売上高の10%以上を占める顧客の売上高は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
8.営業債権及びその他の債権
営業債権及びその他の債権の内訳は、以下のとおりです。
9.棚卸資産
棚卸資産の内訳は、以下のとおりです。
期中に費用として認識された棚卸資産の金額は注記24.「費用の性質別内訳」に記載しています。前連結会計年度及び当連結会計年度における棚卸資産の評価減の金額(△は戻入金額)はそれぞれ、△495百万円及び209百万円です。なお、前連結会計年度における戻入は、主に金属価格の上昇により正味実現可能価額が増加したことによるものです。
10.有形固定資産
有形固定資産の取得原価、減価償却累計額及び減損損失累計額の増減は、以下のとおりです。
(注) 1.取得には使用権資産の増加を含めています。また、処分にはリース解約に伴う使用権資産の減少を含めています。
2.売却目的保有資産の詳細は、注記14.「売却目的で保有する非流動資産又は処分グループ」に記載しています。
3.企業結合による取得の詳細は、注記6.「企業結合」に記載しています。
(注) 売却目的保有資産の詳細は、注記14.「売却目的で保有する非流動資産又は処分グループ」に記載しています。
有形固定資産の帳簿価額は、以下のとおりです。
11.のれん及び無形資産
(1)増減表
のれん及び無形資産の取得原価、償却累計額及び減損損失累計額の増減は、以下のとおりです。
(注) 企業結合による取得の詳細は、注記6.「企業結合」に記載しています。
(注) 無形資産の償却費は、連結損益計算書の「売上原価」及び「販売費及び一般管理費」に含めて表示しています。また耐用年数は、注記3.「重要性がある会計方針(8)のれん及び無形資産」に記載しています。
のれん及び無形資産の帳簿価額は、以下のとおりです。
12.リース
当社グループでは、借手として、工場・事業所用の定期借地(土地)、製造に関連する設備等(機械装置及び運搬具)、オフィス(建物及び構築物)等をリースしています。
前連結会計年度及び当連結会計年度における、リースに関連する費用は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
使用権資産の減価償却費、短期リース費用、少額資産リース費用は、連結損益計算書上の「売上原価」又は「販売費及び一般管理費」、「その他の費用」に含めています。リース負債に係る金利費用は「金融費用(支払利息)」に含めています。
使用権資産の帳簿価額は、以下のとおりです。
使用権資産の増加額は以下のとおりです。
前連結会計年度及び当連結会計年度におけるリースに係るキャッシュ・アウトフローの合計額は、それぞれ7,199百万円及び4,414百万円です。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末におけるリース負債の満期分析は、注記20.「金融商品」に記載のとおりです。
13.非金融資産の減損
(1) 減損損失
各報告セグメント及びその他の減損損失の金額は、以下のとおりです。
減損損失は、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれています。
半導体材料
前連結会計年度において、重要な減損損失は認識しておりません。当連結会計年度において、のれんの減損テストを行った結果、TANIOBIS GmbH(以下、「TANIOBIS」という。)の資金生成単位グループにおいて回収可能価額帳簿価額を下回ったことから、減損損失4,712百万円を計上しました。
情報通信材料
前第2四半期において、JX金属プレシジョンテクノロジー株式会社の資産及び負債の全額を売却目的保有の処分グループとして分類しました。当該分類時に、売却コスト控除後の公正価値(2,822百万円)で測定した結果、減損損失5,315百万円を計上しています。公正価値ヒエラルキーはレベル3に分類されます。なお、当連結会計年度において、重要な減損損失は認識しておりません。
基礎材料
前連結会計年度期首において、MLCCの資産及び負債の全額を売却目的保有の処分グループに分類していました。当該処分グループを売却コスト控除後の公正価値(前連結会計年度231,053百万円)で再測定したことにより、減損損失を前連結会計年度に11,819百万円を計上しています。公正価値ヒエラルキーはレベル3に分類されます。
前第3四半期において、パンパシフィック・カッパー株式会社の資産及び負債の全額を売却目的保有の処分グループとして分類しました。当該分類時に、売却コスト控除後の公正価値(49,159百万円)で測定した結果、減損損失14,865百万円を計上しています。公正価値ヒエラルキーはレベル3に分類されます。
株式の譲渡に関する詳細は注記14.「売却目的で保有する非流動資産又は処分グループ」に記載しています。
(2) のれんの減損テスト
当社グループにおける主なのれんの帳簿価額は以下のとおりです。
減損テストにおいては、原則として各社を資金生成単位としています。
資金生成単位の回収可能価額は使用価値に基づいており、使用価値は、経営者が承認した事業計画(5年)及び継続価値算定のため一定の成長率に基づいた将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算定しています。将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りに当たっては、過去の経験及び外部からの情報を反映し、成長率及び割引率といった主要な仮定を用いています。前連結会計年度末日、及び当連結会計年度末日において、回収可能額の算定に利用している重要な仮定は以下のとおりです。
当連結会計年度の減損テストにおいて、TANIOBISののれんについて、主に収益性の低下により回収可能価額(63,313百万円)がのれんを含む資金生成単位の帳簿価額を下回ったため、減損損失4,712百万円を計上しました。
前連結会計年度の減損テストにおいて、資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を上回っている金額及び将来キャッシュ・フローの金額(割引前)が変化しないと仮定した場合に、合理的に考え得る変動により、各資金生成単位の回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る割引率の変動値(%)は以下のとおりです。
eCycle Solutions Inc.ののれんについては、回収可能価額が帳簿価額を十分に上回っており、減損テストに用いた主要な仮定が合理的な範囲で変更されたとしても、当該資金生成単位において重要な減損が発生する可能性は低いと判断しています。
14.売却目的で保有する非流動資産又は処分グループ
SCM Minera Lumina Copper Chile
当社は、先端素材を中心とする成長分野へ経営資源をさらに集中していくとともに、資源事業におけるボラティリティの抑制と長期的な収益基盤の強化を図ることを目的として、当社グループが100%を保有していたSCM Minera Lumina Copper Chile(以下、「MLCC」という。)の株式の51%について、Lundin Mining Corporation(以下、「Lundin社」という。)に売却することを、2023年3月24日の当社取締役会において決定しました。これに伴い、当社とLundin社で売却に関する契約を締結したことに基づき、前連結会計年度期首において、売却対象のMLCCの資産及び負債の全額を売却目的保有の処分グループに分類していましたが、前第2四半期において、当該株式の売却が完了したことから、関連資産及び負債の認識を中止するとともに、MLCCは連結子会社から除外され、持分法適用会社となりました。なお、売却コスト控除後の公正価値で測定したことによる減損損失11,819百万円、売却完了時に関係会社株式売却損2,157百万円を、それぞれ連結損益計算書の「その他の費用」に計上しています。また、当該売却による受取対価は、連結キャッシュ・フロー計算書の「連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入」に含まれています。
また、当第1四半期において、当社は、上述の事業構造変革を加速するため、当社グループが引き続き保有していたMLCC株式の19%について、Lundin社の完全子会社であるLMC Caserones SpAへと追加売却することを2024年6月6日の当社取締役会において決定しました。これに伴い、当社とLundin社で追加売却に関する契約を締結したことに基づき、当第1四半期において、売却対象のMLCC株式を持分法で会計処理されている投資から売却目的保有の処分グループに分類していましたが、当第2四半期において、当該株式の売却が完了したことから、当該株式の認識を中止しています。なお、当社は売却後もMLCC株式の30%を保有しており、これらは継続して持分法で会計処理されている投資に区分しています。また、売却完了時に関係会社株式売却益7,136百万円を連結損益計算書の「その他の収益」に計上しています。また、当該売却による受取対価は、連結キャッシュ・フロー計算書の「持分法で会計処理されている投資の売却による収入」に含まれています。
なお、MLCC株式の51%を売却する際に締結した当社とLundin社との契約では、将来、当社が保有するMLCC株式の19%をLundin社又は第三者へ譲渡することとしており、これに関連して、当社は、Lundin社へ付与した売建コール・オプション及びLundin社に対して有する買建プット・オプションを認識していましたが、MLCC株式の追加売却に当たってLundin社が売建コール・オプションを早期行使したことに伴い、売建コール・オプション及び買建プット・オプションの認識を中止しています。当該オプションについては、注記20.「金融商品 (3)金融商品の分類」をご参照ください。
JX金属プレシジョンテクノロジー
前第2四半期において、当社が100%を保有していた、情報通信材料セグメントに属する子会社であるJXPTの株式の過半について、株式会社マーキュリアインベストメント(以下、「MIC社」という。)が無限責任組合員を務めるマーキュリア日本産業成長支援2号投資事業有限責任組合に売却することを、2023年9月25日の当社取締役会において決定しました。これに伴い、当社とMIC社で売却に関する契約を締結したことに基づき、売却対象のJXPTの資産及び負債の全額を売却目的保有の処分グループとして分類していましたが、前第4四半期において、当該株式の売却が完了したことから、関連資産及び負債の認識を中止するとともに、JXPTは連結子会社から除外され、持分法適用会社となりました。なお、売却目的保有の処分グループへの分類時に、売却コスト控除後の公正価値で測定したことによる減損損失5,315百万円、売却完了時に関係会社株式売却益188百万円を、それぞれ連結損益計算書の「その他の費用」「その他の収益」に計上しています。
パンパシフィック・カッパー
前第3四半期において、当社は、ベース事業の競争力強化を目的として、2023年12月22日に当社が67.8%を保有していた、基礎材料セグメントに属する子会社であるPPCの株式の20%について、丸紅株式会社と売却に関する契約を締結しました。これに伴い売却対象のPPCの資産及び負債の全額を売却目的保有の処分グループとして分類していましたが、前第4四半期において、当該株式の売却が完了したことから、関連資産及び負債の認識を中止するとともに、PPCは連結子会社から除外され、持分法適用会社となりました。なお、売却目的保有の処分グループへの分類時に、売却コスト控除後の公正価値で測定したことによる減損損失14,865百万円、売却完了時に関係会社株式売却益1,437百万円を、それぞれ連結損益計算書の「その他の費用」「その他の収益」に計上しています。
15.営業債務及びその他の債務、その他の流動負債
営業債務及びその他の債務の内訳は、以下のとおりです。
その他の流動負債
その他の流動負債には、未払消費税等及び預り金が含まれています。
16.借入金
(1) 借入金の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1.平均利率は、当連結会計年度末の残高に対する加重平均利率を記載しています。
2.返済期限は、当連結会計年度末の残高に係る返済期限を記載しています。
(2) 担保に供している資産は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1.主に関税法・消費税法に基づき、輸入取引に係る関税・消費税の納期限延長制度を利用する際の担保です。また、上記の他に取引保証を行っており、前連結会計年度末及び当連結会計年度末の取引保証残高はそれぞれ1,002百万円及び1,087百万円になります。
2.前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、根抵当権(極度額はそれぞれ8,701百万円及び10,225百万円)を設定していますが、対応する債務はありません。
17.引当金
引当金の増減は、以下のとおりです。
(1) 資産除去債務
資産除去債務は、当社グループが使用する工場設備・敷地等に対する原状回復義務等に対するものです。当該債務を履行するまでの見積期間は、工場設備・敷地等の使用見込み期間です。なお、計算に用いた割引率は0.7%から3.1%です。
(2) 環境対策引当金
環境対策引当金は、環境法令等に基づく、水質、土壌等の改善義務に対するものです。当該引当金には、米国子会社グールド・エレクトロニクス社(以下、グールド社)の過去の事業及び当社グループが管理する休廃止鉱山に係る環境対策費用が含まれており、将来支払うと見込まれる金額を環境対策引当金として認識しています。これらの費用は主に1年以上経過した後に支払われることが見込まれています。
グールド社においては、同社の前身会社が事業を展開していた一部の米国内指定サイトに関して、米国のスーパーファンド法及びその他の環境法規制の下で、修復及びその他のコストを求める複数の訴訟の対象となっています。加えて、過去にグールド社が販売した製品が原因でアスベスト等による健康被害を被ったとして個人から賠償を求められている訴訟にも継続的に対応しています。
グールド社は、修復作業が進行している米国内の複数のサイトのうち、責任があるものについて修復作業に関連するコストの一部を継続的に負担しており、その将来の負担額について環境対策引当金を計上しています。環境法規制における責任の有無につき係属中の訴訟に関しては不確実性を伴うことからその帰結を合理的に予測することは困難であり、また責任が認められた場合の将来の負担額についてはサイト指定の原因となった物質の量と性質、他の潜在的に責任のある当事者の総数、責任の配分と当事者の財政状態、環境是正作業の方法と技術、関連する環境法及び規則の修正を含む多くの要因に左右されるため、これらの訴訟の結果によっては当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは長年の事業活動の結果、全国各地に休廃止鉱山を所有しています。鉱山保安法に基づき、それらの休廃止鉱山の坑廃水処理などの活動を実施しており、その将来の負担額について環境対策引当金を計上しています。関連法令の改正や自然災害等が発生した場合には、休廃止鉱山の管理に要する費用が変更となる可能性があります。
(3) 株式譲渡補償引当金
株式譲渡補償引当金は、MLCCの株式の持分譲渡契約に基づき、チリ共和国における新鉱業ロイヤルティの導入、及び税制改正等による損失について、一定の範囲で持分の譲渡先に補償を行うものです。これらの損失補償は、主に1年以上経過した後に支払われることが見込まれていますが、金額や支払時期の見積りは、チリ共和国の税制改正、及びMLCCの事業計画等により変動する可能性があります。
18.退職後給付
(1) 採用している退職給付制度の概要
当社及び国内子会社は、確定給付制度として確定給付企業年金制度、退職一時金制度、社内年金制度を設けているほか、確定拠出制度としてDC企業型年金制度を設けています。確定給付企業年金制度では、主としてポイント制を採用しています。さらに、従業員の退職等に際して割増退職金を支払う場合があります。一部の海外子会社においても、確定給付制度及び確定拠出制度を設けています。
(2) 確定給付制度
当社グループでは、確定給付型の退職給付制度を設けています。給付額は勤続年数、職能・職務等級、役職などの評価要素に基づき決定されます。
① 確定給付制度に関するリスク
確定給付制度は様々なリスクにさらされており、主なリスクは以下のとおりです。なお、制度資産に関して重大な集中リスクにはさらされていません。
制度資産の変動:資本性金融商品への投資は、価格変動リスクにさらされています。
社債利率の変動:市場の社債利回りの低下は、確定給付制度債務を増加させます。
② 連結財政状態計算書上の認識額
確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値は、以下のとおりです。
退職給付に係る負債及び資産の連結財政状態計算書上の認識額は、以下のとおりです。
(注) 退職給付に係る資産は、連結財政状態計算書上「その他の非流動資産」に含まれています。
③ 確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の調整
確定給付制度債務の現在価値及び制度資産の公正価値の調整表は、以下のとおりです。
④ 制度資産の内訳
制度資産の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) その他には現金同等物及び不動産投資信託等が含まれています。
⑤ 数理計算上の仮定
数理計算のために使用した主要な仮定は、以下のとおりです。
⑥ 感応度分析
数理計算上の仮定が変動した場合の確定給付制度債務への影響は、以下のとおりです。
なお、本分析においては、その他全ての仮定は一定であることを前提としていますが、実際には他の数理計算上の仮定の変化が感応度分析に影響する可能性があります。
⑦ 将来キャッシュ・フローに関連する情報
前連結会計年度及び当連結会計年度における確定給付制度への翌年度の予想拠出額はそれぞれ268百万円及び651百万円です。また、前連結会計年度及び当連結会計年度における確定給付制度債務の加重平均残存期間はそれぞれ12年及び12年です。
(3) 確定拠出制度
確定拠出制度に係る退職給付費用は、従業員がサービスを提供した期間に費用として認識し、未払拠出額を債務として認識しています。
確定拠出制度に係る退職給付費用は、以下のとおりです。
19.法人所得税
(1) 法人所得税費用
法人所得税費用の主要な内訳は、以下のとおりです。
当社グループは、経済開発協力機構(OECD)が公表した第2の柱モデルルールを導入するために制定又は実質的に制定された税制により生じる法人所得税に対するエクスポージャーの評価を実施しています。ただし、当連結会計年度において、当社グループは、ENEOSホールディングスの傘下にあったことから、第2の柱モデルルールの法人所得税の被課税主体では基本的にありません。エクスポージャーの有無はENEOSホールディングスに当該法人所得税の当社グループに帰属する金額を精算する意思があるかどうかに依拠していますが、ENEOSホールディングスに請求の意思があると仮定した場合も、当社グループの連結財務諸表へ与える影響は軽微であると想定しています。
グローバル・ミニマム課税制度から生じる法人所得税については、IAS第12号で定められる例外措置を適用しており、これに関する繰延税金資産及び負債は認識しておりません。
(2) 法定実効税率と実際負担税率の調整表
法定実効税率と実際負担税率との調整は、以下のとおりです。
当社グループは、主に法人税、住民税及び損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した前連結会計年度及び当連結会計年度の法定実効税率は30.6%となっています。ただし、海外子会社についてはその所在地における法人税等が課されています。
(表示方法の変更)
前連結会計年度において、独立掲記していた「子会社の適用税率との差異」及び「税額控除」は、重要性が乏しくなったため、当連結会計年度においては「その他」に含めて表示しています。これらの表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の注記の組替えを行っています。
この結果、前連結会計年度において、「子会社の適用税率との差異」に表示していた0.3%及び「税額控除」△0.6%は「その他」に組替えています。
(3) 繰延税金資産及び負債の変動内訳
繰延税金資産及び繰延税金負債の変動の内訳は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 1.主たる減少要因は、基礎材料セグメントに属する子会社であったMLCC Finance Netherlands B.V.の株式評価損等に係る繰延税金資産40,146百万円が同社の清算に伴い取り崩されたことによるものです。
2.主たる減少要因は、基礎材料セグメントのカセロネス銅鉱山の権益取得に伴う債務消滅益に関連するものです。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
前連結会計年度又は当連結会計年度に損失が生じている納税主体について、各納税主体における繰越欠損金の失効期限等を勘案し、将来課税所得の発生可能性に基づき回収可能性を検討した結果、繰延税金資産をそれぞれ744百万円及び2,151百万円認識しています。
なお、前連結会計年度において、当社及び国内の100%出資子会社は、ENEOSホールディングスを通算親法人とするグループ通算制度を適用していました。グループ通算全体については、グループ通算制度に加入している各社の将来事業計画等により金額及びその発生時期を見積っていました。
当連結会計年度において、2025年3月19日付の当社株式の上場に伴い、当社及び国内の100%出資子会社は、ENEOSホールディングスを通算親法人とするグループ通算制度から離脱しています。
(4) 繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金
繰延税金資産を認識していない将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の金額は以下のとおりです。
繰延税金資産を認識していない税務上の繰越欠損金の繰越期限は以下のとおりです。
(5) 未収法人所得税
前連結会計年度及び当連結会計年度において、連結財政状態計算書上の「その他の流動資産」に含まれている未収法人所得税は、それぞれ14,381百万円及び919百万円です。
20.金融商品
(1) 資本管理
当社グループは、中長期のグループ戦略及び企業価値の最大化を達成するために、最適な資本構成の実現・維持に努めています。当社が資本管理で重視する指標は、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)(※)です。当該指標は、継続的に経営者に報告され、モニタリングされています。
(※)ネットD/Eレシオ=(有利子負債-現金及び現金同等物)/資本合計(親会社の所有者に帰属する持分合計)
なお、有利子負債にはリース負債を含めていません。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末におけるネットD/Eレシオは、それぞれ、0.52倍及び0.39倍となっています。
なお、当社が適用を受ける重要な資本規制(会社法等の一般的な規定を除く)はありません。
(2) 財務リスク管理
当社グループは、信用リスク、流動性リスク、市場リスク(為替リスク、金利リスク、商品価格変動リスク及び株価変動リスク)などの様々なリスクにさらされていますが、以下のとおりリスク管理を実施しています。
① 信用リスク
当社グループは、保有する金融資産の相手先の債務が不履行になることにより、金融資産が回収不能になるリスク、すなわち信用リスクにさらされています。当該リスクに対応するために、与信管理規程等に基づき取引先ごとに与信限度額を設けたうえで、取引先の財務状況等について定期的にモニタリングし、債権の期日及び残高を取引先ごとに適切に管理することにより、回収懸念の早期把握を図っています。さらに、必要に応じて担保設定・ファクタリング等を利用することによって保全措置を図っています。
また、商品相場や為替相場の変動に係るリスクを軽減するために、金融機関等とデリバティブ金融商品の取引を行っていますが、デリバティブ金融商品の取引については、信用力の高い金融機関を相手方として行うことが基本となっており、信用リスクに及ぼす影響は限定的です。
保有している債権は、広範囲の産業や地域に広がる多数の取引先に対する債権であり、特定の取引先について重要な信用リスクのエクスポージャーはなく、特段の管理を要する信用リスクの過度の集中はありません。
返済期日を大幅に超過している場合など債務不履行と認識される場合には、信用減損金融資産と判断しています。当社グループは、営業債権の全部又は一部が回収不能と評価され、信用調査の結果、償却することが適切であると判断した場合、当該営業債権の帳簿価額を直接償却しています。
保証及び連結財務諸表に表示されている金融資産の減損後の帳簿価額は、獲得した担保の評価額を考慮に入れない、当社の金融資産の信用リスクに対するエクスポージャーの最大値です。
(ア) 損失評価引当金の増減分析
営業債権については、延滞日数別の過去の債務不履行の実績に将来の経済状況等の予測を加味して調整した実績率に基づき、金融資産の予想残存期間の全期間の予想信用損失と等しい金額で損失評価引当金を測定しています。
一般債権については、報告期間の末日後12か月以内に生じる予想信用損失と等しい金額で、また、滞留債権については、予想残存期間の全期間の予想信用損失と等しい金額で、損失評価引当金をそれぞれ測定しています。
設定対象ごとの、前連結会計年度及び当連結会計年度における損失評価引当金の残高の推移は以下のとおりです。
営業債権以外の債権に係る損失評価引当金は主に、当初認識時以降、重要な信用リスクの増加が生じていないその他の債権に対して測定されています。
損失評価引当金は、連結財政状態計算書上、流動資産及び非流動資産に含まれています。
(イ) 信用度別の金融資産の総額
前連結会計年度及び当連結会計年度における、営業債権(売掛金及び受取手形)の延滞日数別の帳簿価額の総額及び貸付金等の社内管理区分ごとの帳簿価額の総額はそれぞれ以下のとおりです。
営業債権(売掛金及び受取手形)
営業債権以外の債権
② 流動性リスク
当社はENEOSグループ金融制度に基づいてENEOSファイナンス株式会社等からの借入れを行っていましたが、2024年9月までに外部金融機関への借換えを完了することによってこれを離脱し、当社独自のグループ金融制度に移行しています。
当該制度の下、当社グループでは、運転資金及び設備投資等の資金需要に対して、自己資金や必要に応じ金融機関からの借入等で資金調達を行っていますが、これらの債務の履行が困難となるリスク、すなわち流動性リスクにさらされています。
また、子会社の資金調達については、グループ資金の効率性確保の観点から原則として当社が実施し、当社から当社グループ子会社に貸付を実施しています。当社グループでは、グループ資金を当社が集中して管理し、グループ全体としての資金の効率的な調達・運用を実現しています。
また、グループ各社の資金需要を適宜把握したうえで、資金計画を作成し、キャッシュ・フローの実績と比較する方法でモニタリングを行い、流動性リスクを管理しています。
非デリバティブ金融負債及びデリバティブ金融負債の残存契約満期期間ごとの金額は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2024年3月31日)
(注) 契約上、相手方が権利行使可能な最も早い日に行使されると仮定しています。
当連結会計年度(2025年3月31日)
(注) 契約上、相手方が権利行使可能な最も早い日に行使されると仮定しています。
③ 市場リスク
当社グループは、市場リスクをヘッジするために、先物為替予約、金利スワップ、商品先渡取引等のデリバティブ金融商品を利用しています。デリバティブ取引の執行・管理については、取引権限を定めた社内規程にしたがっており、デリバティブ金融商品を利用した投機的な取引は行わない方針です。
(ア) 為替リスク
当社グループはグローバルに事業展開を行っており、一部の原材料の調達及び製品の販売を外貨建取引で実施していることから、当該取引より発生する外貨建の債権債務について、為替リスクにさらされています。為替リスクは主に米ドルの為替変動により発生しています。当社グループは、将来発生が予定される取引や外貨建の債権債務について、それらから発生する為替リスクが将来的に相殺されることも考慮のうえ、先物為替予約等を付すことにより、当該為替リスクをヘッジしています。
当社グループは、為替予約の重要な契約条件をヘッジ対象の条件と整合させる方針を有しています。その結果、ヘッジ比率は1:1となっています。
当社グループは、ヘッジ手段とヘッジ対象の経済的関係性を、関連するキャッシュ・フローの通貨、金額及び発生時期に基づいて判断しています。当社グループは、それぞれのヘッジ関係において指定したデリバティブがヘッジ対象のキャッシュ・フローの変動を有効に相殺し、今後も有効に相殺する見通しか否かを、定量的に評価しています。
これらのヘッジ関係におけるヘッジ非有効部分の主な発生原因は、以下のとおりです。
‒ ヘッジされた取引の発生のタイミングの変化
‒ 為替予約の直先差額の変動
前連結会計年度末及び当連結会計年度末における主な為替リスクエクスポージャー(純額)は、以下のとおりです。(△:債務)
期末に保有している外貨建の金融商品に関して、為替が1%円高又は円安に変動した場合に連結損益計算書の税引前利益に与える影響は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ96百万円及び113百万円です。なお、本分析では、その他全ての変数は一定のものと仮定しています。
(イ) 金利リスク
当社グループは、事業活動を進めるうえで、運転資金及び設備投資等に必要となる資金を調達することに伴い発生する利息を支払っていますが、変動金利での借入を行っている場合には、利息の金額は市場金利の変動に影響を受けることから、利息の将来キャッシュ・フローが変動する金利リスクにさらされています。資金使途を設備投資等の目的としている長期借入金のうち、変動金利の借入については、金利の上昇による利息の支払額の増加を抑えるために、必要に応じて利息の受取額を変動金利、利息の支払額を固定金利としてその差額を授受する金利スワップ契約を金融機関と締結しています。その結果、長期の借入金の利率を実質的に固定化することによって、利息の将来キャッシュ・フローの安定化が図られ、金利リスクをヘッジすることが可能となっています。
(ウ) 商品価格変動リスク
当社グループは、金属製品等の販売及びそれらの原料となる銅鉱石等の鉱物の購入を行っていますが、これらの販売価格及び購入価格は商品市場価格の変動によって影響を受けることから、商品価格変動リスクにさらされています。売買数量の調節・売買時期のマッチングや商品先渡契約等のデリバティブ取引を行うことにより、商品価格リスクをヘッジしています。
商品先渡契約等のデリバティブ取引は、商品価格の変動によるリスクを有していますが、対象となる現物に係る商品価格の変動によるリスクと相殺されるため、前連結会計年度及び当連結会計年度において、連結損益計算書の税引前利益に与える影響は限定的です。
当社グループは、商品デリバティブの重要な契約条件をヘッジ対象の条件と整合させる方針を有しています。
これらのヘッジ関係におけるヘッジ非有効部分の主な発生原因は、以下のとおりです。
‒ ヘッジ手段が参照する商品価格と、ヘッジ対象となる商品の相違による価格差
‒ ヘッジされた取引の発生のタイミングの変化
‒ 現物価格と先物価格の差の変動リスク
(エ) 株価変動リスク
当社グループは、事業活動の円滑な推進を目的として業務上の関係を有する会社の株式を保有しているため、株価変動リスクにさらされていますが、定期的に公正価値や取引先企業の財務状況等を把握し、取引先企業との関係を勘案して保有状況を継続的に見直しています。
なお、これらの株式は全てその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に指定しており、株価の変動が純損益へ与える影響はありません。
(3) 金融商品の分類
(注) 1.非支配株主に対して有する買建コール・オプションが、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ979百万円及び648百万円含まれています。また、前連結会計年度において、持分法適用会社であるMLCCの支配株主に対して有する買建プット・オプションが、12,411百万円含まれています。
2.子会社であるTANIOBIS GmbHの非支配株主へ付与した売建プット・オプションが前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ15,764百万円及び12,044百万円含まれています。
3.前連結会計年度において、持分法適用会社であるMLCCの支配株主に付与した売建コール・オプションが、12,629百万円含まれています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
当社グループは、投資先との取引関係の維持、強化による収益基盤の拡大を目的として保有している株式について、その保有目的に鑑み、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産に指定しています。
主な銘柄の公正価値は以下のとおりです。
また、当社以外の子会社において個別に保有する主な銘柄の公正価値は、以下のとおりです。
活発な市場における公表価格がないその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の前連結会計年度及び当連結会計年度における帳簿価額は、それぞれ1,079百万円及び1,844百万円です。
期中に処分したその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産は、以下のとおりです。
これらは主に、取引関係の見直しにより売却したものです。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、その他の資本の構成要素から利益剰余金へ振り替えた累積利得(税引後)は、それぞれ△239百万円、△574百万円です。
(4) 金融商品の公正価値
① 償却原価で測定する金融商品の帳簿価額及び公正価値
公正価値の算定方法は以下のとおりです。
現金及び現金同等物、営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務
これらは満期又は決済までの期間が短期であるため、帳簿価額と公正価値はほぼ同額です。
借入金
当社グループの借入金の公正価値は、類似した負債を当社グループが新たに借入れる場合に適用される利率を用いて、将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引くことにより見積っています。当該見積りは観測可能なインプットの利用により、レベル2に分類しています。
非支配株主に付与した売建プット・オプション
売建プット・オプションは償還金額の現在価値で計上しています。償還金額は、引き換えに受領する株式の公正価値に基づき算定しており、帳簿価額とほぼ同額です。
② 公正価値で測定される金融商品
当社グループは、公正価値の測定に使用されるインプットの市場における観察可能性に応じて、公正価値のヒエラルキーを以下の3つのレベルに区分しています。
レベル1:活発な市場における同一資産又は同一負債の無調整の公表価格
レベル2:レベル1に属さない、直接的又は間接的に観察可能なインプット
レベル3:観察不能なインプット
経常的に公正価値で測定している資産及び負債は以下のとおりです。
前連結会計年度(2024年3月31日)
当連結会計年度(2025年3月31日)
当社グループは、振替の原因となった事象又は状況の変化が認められた時点で、公正価値ヒエラルキーのレベル間振替を行っています。なお、前連結会計年度及び当連結会計年度において、レベル1、2間の重要な振替はありません。
公正価値の算定方法は以下のとおりです。
営業債権及びその他の債権
組込デリバティブを一体として処理している営業債権及びその他の債権については、将来の一定期間のLME銅価格に基づき公正価値を算定しており、これらはレベル2に区分しています。
その他の金融資産(デリバティブ)、その他の金融負債(デリバティブ)
デリバティブのうち、為替予約については、期末日の先物為替相場に基づき公正価値を算定しています。金利スワップについては、将来キャッシュ・フローを満期日までの期間及び期末日の利率により割り引いた現在価値により算定しています。商品デリバティブは、一般に公表されている期末指標価格等に基づき公正価値を算定しています。これらのデリバティブは全てレベル2に区分しています。
非支配株主に対して有する買建コール・オプションの公正価値、持分法適用会社の支配株主に対して有する買建プット・オプションの公正価値と持分法適用会社の支配株主へ付与した売建コール・オプションの公正価値については、対象となる株式の公正価値や満期までの期間、ボラティリティ等のインプットを用いて、二項モデルに基づき算定しており、レベル3に区分しています。
その他の金融資産(株式)
上場株式は、期末日の市場の終値に基づく無調整の相場価格を用いて評価しており、レベル1に区分しています。非上場株式については、割引将来キャッシュ・フローに基づく評価技法等、適切な評価技法を用いて公正価値を算定しており、レベル3に区分しています。
③ レベル3に分類された金融商品
レベル3に分類されたその他の金融資産(デリバティブ)の増減は、以下のとおりです。
(注) 持分法適用会社であるMLCCの支配株主に対して有する買建プット・オプションです。前連結会計年度において、当該金額は、同株主へ付与した売建コール・オプションから生じた純損益に含まれる利得及び損失との正味の金額で、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれています。当連結会計年度において、当該持分法適用会社の支配株主が売建コール・オプションを行使したことに伴い、買建プット・オプションの認識を中止しています。認識を中止した買建プット・オプションの金額は、同株主へ付与した売建コール・オプションから生じた純損益に含まれる利得及び損失との正味の金額で、連結損益計算書の「その他の収益」に含まれています。
レベル3に分類されたその他の金融資産(株式)の増減は、以下のとおりです。
その他の包括利益に含まれている利得及び損失は、連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に含まれています。
レベル3に分類されたその他の金融負債(デリバティブ)の増減は、以下のとおりです。
(注) 持分法適用会社であるMLCCの支配株主に付与した売建コール・オプションです。前連結会計年度において、当該金額は、同株主の有する買建プット・オプションから生じた純損益に含まれる利得及び損失との正味の金額で、連結損益計算書の「その他の費用」に含まれています。当連結会計年度において、持分法適用会社の支配株主が売建コール・オプションを行使したことに伴い、売建コール・オプションの認識を中止しています。認識を中止した売建コール・オプションの金額は、同株主に対して有する買建プット・オプションから生じた純損益に含まれる利得及び損失との正味の金額で、連結損益計算書の「その他の収益」に含まれています。
当社の方針に基づき、レベル3に区分した非上場株式の公正価値は、当該株式を直接保有するグループ各社において測定しています。公正価値の算定に当たっては、当社が策定し更新した評価方針、評価モデルに基づき、個々の評価対象先の事業内容等を定期的にモニタリングすることにより、その妥当性を継続的に検証しています。
(5) デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループは為替、金利及び商品価格の変動による将来キャッシュ・フローの変動リスクを回避するために、先物為替予約、金利スワップ、商品先渡取引等のデリバティブ金融商品を利用しています。
ヘッジ会計が適用されているデリバティブ金融商品による、その他の包括利益の増減は以下のとおりです。純損益へ振替えた金額は、連結損益計算書の「売上原価」、「その他の収益」及び「その他の費用」に含まれています。
上表の残高は、ヘッジ会計の適用が継続しているデリバティブ金融商品です。
通貨デリバティブは主に米ドルの為替変動リスクをヘッジするため、為替予約を行っています。
商品デリバティブは主に銅鉱石の価格リスクをヘッジするため、銅先物販売契約を行っています。
ヘッジ会計が適用されているデリバティブ及びヘッジ会計が適用されていないデリバティブの公正価値及び想定元本は、以下のとおりです。なお、連結財政状態計算書上、デリバティブ金融商品はその他の金融資産又はその他の金融負債に含めて表示しています。
ヘッジ会計が適用されているデリバティブ
商品デリバティブの想定元本は、契約上の数量と価格の積を示しています。
為替予約取引は主として1年以内の契約であり、前連結会計年度及び当連結会計年度における為替予約取引の平均レートは、それぞれ145.13円/米ドル、及び147.02円/米ドルです。
商品先渡取引は主として1年以内の契約であり、前連結会計年度及び当連結会計年度における商品先渡取引の平均価格は、金についてはそれぞれ、302千円/toz及び424千円/tozであり、銅についてはそれぞれ1,269千円/T及び1,413千円/Tです。
ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ
商品デリバティブの想定元本は、契約上の数量と価格の積を示しています。
21.資本及びその他の資本項目
(1) 資本金及び自己株式
授権株式数、発行済株式数及び自己株式数の増減は、以下のとおりです。
(注) 1.当社の発行する株式は、無額面普通株式です。
2.発行済株式は、全額払込済です。
3.発行済株式は、1株当たり1つの配当請求権及び1単元株式当たり1つの議決権を有しています。
4.自己株式には、株式給付信託(J-ESOP-RS)が保有する当社株式が含まれます。
(2) 資本剰余金及び利益剰余金
資本剰余金は、資本準備金及びその他資本剰余金から構成されています。また、利益剰余金は利益準備金及びその他利益剰余金から構成されています。会社法の規定上、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで、資本準備金又は利益準備金として積み立てることとされています。
(3) 非支配株主との資本取引等
前連結会計年度において、非支配株主との資本取引等によって生じた資本剰余金16,673百万円のうち、主なものは、関連会社Minera Los Pelambresの25%の持分を保有する子会社Nippon LP Resources B.V.の株式の13.06%を丸紅株式会社に譲渡した際に生じたものです。なお、上記の株式譲渡取引は連結範囲の変更を伴わない子会社に対する所有持分の変動が生じる資本取引であるため、当該取引に伴いその他の資本の構成要素を親会社の所有者に帰属する持分と非支配持分の間で、資本を通じて再配分した結果、在外営業活動体の為替換算差額が5,169百万円減少しました。
当連結会計年度において、非支配株主との資本取引等によって生じた資本剰余金△1,560百万円のうち、主なものは、当社の連結子会社であるTANIOBIS GmbHへの増資により生じたものです。なお、非支配株主との資本取引等は連結範囲の変更を伴わない子会社に対する所有持分の変動が生じる資本取引であるため、当該取引に伴いその他の資本の構成要素を親会社の所有者に帰属する持分と非支配持分の間で、資本を通じて再配分した結果、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値変動が240百万円、キャッシュ・フロー・ヘッジの公正価値変動が261百万円、在外営業活動体の為替換算差額が62百万円増加しました。
(4) 非支配株主へ付与した売建プット・オプション
当社グループでは非支配株主へ付与した売建プット・オプションの償還金額の現在価値を金融負債として認識するとともに、プット・オプションの対象である非支配持分の認識を中止し、それらの差額を資本剰余金に含めています。前連結会計年度及び当連結会計年度において資本剰余金に含めた金額は、それぞれ△3,486百万円及び2,618百万円です。
(5) その他の資本の構成要素
① その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の公正価値の評価差額です。
② キャッシュ・フロー・ヘッジ
当社グループは将来キャッシュ・フローの変動リスクを回避するためのヘッジを行っており、キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定されたデリバティブ取引の公正価値の変動額のうち有効と認められる部分です。
③ 在外営業活動体の為替換算差額
外貨建で作成された在外営業活動体の財務諸表を連結する際に発生した換算差額です。
④ 確定給付制度の再測定
確定給付制度に関する、期首における数理計算上の仮定と実際の結果との差異による影響額及び数理計算上の仮定の変更による影響額です。
22.配当金
(1) 配当金の支払額
各年度における配当金支払額は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(2) 配当の効力発生日が翌連結会計年度となるもの
基準日が当連結会計年度に属する配当のうち、配当の効力発生日が翌年度となるものは、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 配当金の総額には、従業員向け株式給付信託(J-ESOP-RS)が保有する当社株式に対する配当金22百万円が含まれています。
23.売上収益
(1) 収益の分解
当社グループは売上高を顧客の所在地を基礎とした地域別に分解しています。分解した地域別の売上高と報告セグメントとの関係は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) 1.グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
2.基礎材料セグメントにおける外部顧客への売上高の前連結会計年度からの主な減少要因は、電気銅等を販売していた子会社のPPCが、前連結会計年度に、持分法適用会社となったことによるものです。
① 半導体材料
半導体材料セグメントにおいては、半導体用スパッタリングターゲットや化合物半導体・結晶材料等の半導体材料の販売を行っています。これらの販売は、製品の支配が顧客に移転したとき、すなわち製品を顧客へ引き渡した時点で、製品の法的所有権、物的占有権、製品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値が移転し、顧客から製品の対価を受け取る権利を得るために、その時点で収益を認識します。また収益は、顧客との契約による取引価格に基づき認識しており、取引の対価は製品の引き渡し後概ね3か月以内に受け取るため、重大な金融要素を含んでいません。
② 情報通信材料
情報通信材料セグメントにおいては、圧延銅箔、チタン銅、超微粉ニッケル、電磁波シールドフィルム、電線等の情報通信材料の販売を行っています。これらの販売は、製品の支配が顧客に移転したとき、すなわち製品を顧客へ引き渡した時点で、製品の法的所有権、物的占有権、製品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値が移転し、顧客から製品の対価を受け取る権利を得るために、その時点で収益を認識します。また収益は、顧客との契約による取引価格に基づき認識しており、取引の対価は製品の引き渡し後概ね3か月以内に受け取るため、重大な金融要素を含んでいません。
③ 基礎材料
基礎材料セグメントにおいては、リサイクル原料、貴金属等の販売、電気銅、貴金属等の受託製錬を行っています。リサイクル原料、貴金属等の販売は、製品の支配が顧客に移転したとき、すなわち製品を顧客へ引き渡した時点で、製品の法的所有権、物的占有権、製品の所有に伴う重要なリスク及び経済価値が移転し、顧客から製品の対価を受け取る権利を得るため、履行義務が充足されると判断し、その時点で収益を認識します。また、電気銅、貴金属等の受託製錬は、当該受託業務が完了し顧客に受け入れられた時点で、顧客から対価を受け取る権利を得るため、履行義務が充足されると判断し、その時点で収益を認識します。これらの販売及び受託製錬における収益は、顧客との契約による取引価格に基づき認識しており、取引の対価は履行義務の充足後概ね3か月以内に受け取るため、重大な金融要素を含んでいません。
なお、リサイクル原料の販売契約の一部には出荷時の仮価格条項が含まれており、最終的な価格は将来の一定期間のロンドン金属取引所(LME)の銅価格の月平均市場価格に基づき決定されます。このような仮価格販売は、価格決定月を限月とした商品先渡の性質を有する販売契約と考えられ、主契約をリサイクル原料の販売とする組込デリバティブを含んでいます。出荷後の価格精算過程に関連した当該組込デリバティブは、主契約の対象が金融資産のため、IFRS第9号に従い、主契約から分離することなく、一体のものとして会計処理します。仮価格販売に係る収益は、受取対価の公正価値を出荷時の市場価格に基づき見積ったうえで認識し、報告期間の末日において再見積りを行います。出荷時点と報告期間の末日における公正価値の差額は収益の調整額として認識し、当該リサイクル原料の収益は、顧客により支払われる金属の市場価値から加工料を控除した金額で認識します。
(2) 顧客との契約から生じた債権及び契約負債
顧客との契約により生じた債権及び契約負債の内訳は以下のとおりです。
なお、連結財政状態計算書において、営業債権は営業債権及びその他の債権に、契約負債はその他の流動負債にそれぞれ含まれています。
契約負債は契約に基づく履行に先だち受領した対価であり、当社が契約に基づき履行するにつれて(若しくは履行した時点で)収益に振り替えられます。
前連結会計年度及び当連結会計年度の期首現在の契約負債残高は、概ね当該会計年度中の収益として認識しており、繰り越された金額に重要性はありません。また、前連結会計年度及び当連結会計年度において、過去の期間に充足した履行義務から認識した収益の額についても重要性はありません。
(3) 残存履行義務に配分した取引価格
残存履行義務に配分した取引価格及び収益の認識が見込まれる期間は、以下のとおりです。
(注) スポンジチタンの長期販売契約によるものです。
(4) 契約コスト
当連結会計年度において、顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産の額に重要性はありません。また、実務上の便法を適用し、償却期間が1年以内である場合には、契約コストを発生時に費用として認識しています。
24.費用の性質別内訳
売上原価、販売費及び一般管理費の内訳は、以下のとおりです。
(注) 子会社であったPPCが前連結会計年度末に持分法適用会社となったことを主因として、減少しています。
25.金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用の内訳は以下のとおりです。
26.その他の収益及び費用
(1) その他の収益
その他の収益の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1.関係会社株式売却益の詳細は、注記.14「売却目的で保有する非流動資産又は処分グループ」に記載しています。
2.負ののれん発生益の詳細は、注記.6「企業結合」に記載しています。
(2) その他の費用
その他の費用の内訳は、以下のとおりです。
(注) 1.減損損失の詳細は、注記.13「非金融資産の減損」に記載しています。
2.関係会社株式売却損の詳細は、注記.14「売却目的で保有する非流動資産又は処分グループ」に記載しています。
3.関係会社清算損については、当社子会社Caserones Finance Netherlands B.V.及びMLCC Finance Netherlands B.V.を清算したことに伴う損失が含まれています。
4.株式譲渡補償引当金の詳細は、注記.17「引当金」に記載しています。
27.その他の包括利益
その他の包括利益に係る組替調整額及び税効果額は、以下のとおりです。
28.1株当たり当期利益
親会社の所有者に帰属する1株当たり当期利益は次の情報に基づき計算しています。
(注) 前連結会計年度の希薄化後1株当たり当期利益については、潜在株式が存在しないため、基本的1株当たり当期利益と同額としています。当連結会計年度は株式給付信託(J-ESOP-RS)が保有する当社株式を自己株式として処理していることから、1株当たり当期利益の算定において、期中平均普通株式数から当該株式数を控除しています。
29.キャッシュ・フロー情報
(1) 財務活動に係る負債の変動
財務活動に係る負債の変動は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(注) 基礎材料セグメントのPPCの株式譲渡に伴い、連結子会社から除外し、持分法適用会社としたことによる減少額が主なものです。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(注) その他には、長短振替による増減を含んでいます。
(2) 支配の喪失
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(SCM Minera Lumina Copper Chileの株式譲渡)
① 取引の概要
当社は、当社グループが株式の100%を保有していたカセロネス銅鉱山の運営会社であるMLCC株式の51%を2023年7月にLundin社へ譲渡したことにより、同社に対する支配を喪失しました。同社の支配喪失時の資産及び負債の内訳並びに受取対価と売却による収支の関係は以下のとおりです。
② 支配の喪失を伴う資産及び負債
③ 支配の喪失を伴うキャッシュ・フロー
(パンパシフィック・カッパー株式会社の株式譲渡)
① 取引の概要
当社は、当社グループが株式の67.8%を保有していた銅製錬事業の原料調達・販売機能を担うPPC株式の20%を2024年3月に丸紅株式会社へ譲渡したことにより、同社に対する支配を喪失しました。同社の支配喪失時の資産及び負債の内訳並びに受取対価と売却による収支の関係は以下のとおりです。
② 支配の喪失を伴う資産及び負債
③ 支配の喪失を伴うキャッシュ・フロー
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
該当事項はありません。
(3) キャッシュプーリング
資金効率を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のノーショナルプーリングシステムを特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預け入れ総額を上限に参加会社は借入を行っています。当連結会計年度における参加会社の借入額は10,713百万円です。
30.偶発負債
保証債務
子会社以外の会社の金融機関からの借入等に対し、債務保証を行っています。前連結会計年度末及び当連結会計年度末の保証債務等の残高はそれぞれ58,501百万円、52,475百万円になります。
31.コミットメント
期末日時点において契約済みで、連結財政状態計算書上に認識していない、有形固定資産の購入に係る契約債務額は以下のとおりです。なお購入には、使用権資産の新規取得に係る契約も含みます。
32.関連当事者との取引
(1) 関連当事者との取引
当社グループと関連当事者との間で行われた重要な取引の内容は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) ENEOSファイナンス株式会社及びJX Nippon Finance Netherlands B.V.との資金の借入及び貸付の取引金額については、短期借入金及び短期貸付金の平均残高を記載しています。利率については、市場金利を勘案して合理的に決定しています。担保・保証取引はなく、また、債権には損失評価引当金は設定していません。
当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1.2025年3月19日付の当社株式の東京証券取引所プライム市場への上場に伴い、ENEOSホールディングス株式会社が100%保有していた当社発行済株式の一部売出しが行われたことにより、同社は当社の親会社から重要な影響力を有する企業に変更となりました。これにより、ENEOSファイナンス株式会社及びJX Nippon Finance Netherlands B.V.は、当社の同一の親会社を持つ会社から重要な影響力を有する企業の子会社に変更となりました。なお、ENEOSホールディングス株式会社が親会社であった期間の取引金額を記載しています。
2.ENEOSファイナンス株式会社及びJX Nippon Finance Netherlands B.V.との資金の借入及び貸付の取引金額については、短期借入金及び短期貸付金の平均残高を記載しています。なお、当社はENEOSグループ金融制度に基づいてENEOSファイナンス株式会社等からの借入れを行っていましたが、2024年9月までに外部金融機関への借換えを完了することによってこれを離脱しており、期末残高はありません。利率については、市場金利を勘案して合理的に決定しています。担保・保証取引はなく、また、債権には損失評価引当金は設定していません。
(2) 主要な経営幹部に対する報酬
当社の経営幹部に対する報酬は、以下のとおりです。
(注) 前連結会計年度の株式報酬は親会社であったENEOSホールディングス株式会社の制度を使用しています。
33.主要な子会社
当連結会計年度末における主要な子会社の状況は、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりです。
34.持分法で会計処理する投資
(1) 当連結会計年度末における主要な持分法適用会社の状況は、「第1 企業の概況 4 関係会社の状況」に記載のとおりです。
(2) 持分法適用会社に対する投資、持分法による投資損益及び持分法によるその他の包括利益
持分法で会計処理する投資の帳簿価額の内訳は、以下のとおりです。
持分法による投資損益の内訳は、以下のとおりです。
持分法適用会社におけるその他の包括利益に対する持分相当額の内訳は、以下のとおりです。
持分法で会計処理する投資の包括利益に対する持分相当額の内訳は、以下のとおりです。
(3) 重要な関連会社
当社グループにとって重要性のある関連会社は、以下のとおりです。
当該関連会社の要約財務諸表と、当該関連会社に対する当社グループの関与の帳簿価額との調整表は以下のとおりです。なお、当該要約財務諸表は、当社グループの会計方針に基づき、当該関連会社の財務諸表にIFRSで要求される調整を加え、作成しています。
(Minera Los Pelambres)
(SCM Minera Lumina Copper Chile)
(注) 前連結会計年度の金額は、MLCCの持分51%を売却したことにより、関連会社となった2023年7月13日以降の金額を記載しています。
(パンパシフィック・カッパー株式会社)
(注) PPCの持分20%を売却したことにより、前連結会計年度末に関連会社となったため、売上高等の開示を省略しています。
(4) 重要な共同支配企業
当社グループにとって重要性のある共同支配企業はございません。
35.後発事象
(国内無担保普通社債の発行)
当社は、2025年6月10日開催の取締役会において、国内無担保普通社債の発行について以下のとおり包括決議しました。