当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
(1) 経営成績
当中間連結会計期間(2025年4月1日~2025年9月30日)においては、世界経済は、米国の関税政策や中東地域における地政学的リスクの高まりにより、先行きの不透明感が一層強まりました。これに伴い、世界経済の成長率は鈍化傾向が続き、景気の下振れリスクが高まる状況となりました。国内経済は、所得環境の改善を背景に個人消費が堅調に推移し、緩やかな回復基調を維持しましたが、世界経済の減速や米国関税政策の不透明感が企業収益、輸出、設備投資に影響を及ぼし、成長ペースは鈍化しました。
円の対米ドル相場は、米国関税政策による不透明感等を背景に一時140円台まで円高が進行しましたが、その後、日米通商交渉の停滞や米国経済の堅調さを受けた日米金利差の維持等により、円安基調に転じました。FRB(連邦準備制度理事会)による9月の利下げも一時的な円高要因となりましたが、影響は限定的であり、当中間連結会計期間末には149円、期平均では前年同期比7円高の146円となりました。
銅の国際価格(LME〔ロンドン金属取引所〕価格)は、期初は1ポンド当たり438セントから始まり、米国による銅への関税賦課懸念やインドネシア・Grasberg鉱山で発生した大規模な土砂崩れ事故による供給不安、さらに米国の利下げ観測も重なり、価格は上昇基調となりました。当中間連結会計期間末には467セント、期平均では前年同期比8セント高の438セントとなりました。
このような経営環境のなか、当社グループを取り巻く事業環境は、米国関税政策をはじめとした市場全体の不確実性が依然として高い状況です。一方で、半導体や情報通信材料市場ではAI関連が成長の牽引役となり、特に、生成AIの学習や推論に用いられる高性能AIサーバ向けの需要が旺盛に推移しています。その他のエレクトロニクス市場においても、スマートフォンやパソコン・タブレット分野では、Windows 11への移行や老朽化による買換え需要が継続しており、分野ごとに濃淡はあるものの、全体としては安定的な成長を維持しています。
当中間連結会計期間の連結売上高は、円高に伴う減収要因はあるものの、半導体用スパッタリングターゲットや圧延銅箔等の主力製品の増販等を主因として、前年同期比17.6%増の3,964億円となりました。営業利益は、前年同期比19億円増の700億円となりました。金融収益と金融費用の純額22億円を差し引いた結果、税引前中間利益は、前年同期比19億円増の679億円となり、法人所得税費用164億円を差し引いた中間利益は、前年同期比73億円増の515億円となりました。なお、中間利益の内訳は、親会社の所有者に帰属する中間利益が429億円、非支配持分に帰属する中間利益が85億円となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりです。
[半導体材料セグメント]
円高による減益要因はあるものの、AI関連需要の拡大は継続、データ生成量の増加に対応する大容量データ保存、データ通信高速化等のニーズが高まり、先端ロジック半導体やメモリ需要は高い水準で推移いたしました。これにより、半導体用スパッタリングターゲットをはじめとする主要製品の増販を主因に、前年同期比増益となりました。
こうした状況のもと、半導体材料セグメントの当中間連結会計期間における売上高は、前年同期比12.9%増の831億円となりました。営業利益は前年同期比33億円増の190億円となりました。
[情報通信材料セグメント]
円高及び2024年8月に実施したタツタ電線株式会社の連結子会社化に伴う負ののれん発生益の剥落等による減益要因はあるものの、スマートフォンの需要回復を受けた圧延銅箔の増販及びAIサーバ用途における当社高機能銅合金の採用拡大により、前年同期比増益となりました。これに加えて、収益性向上、生産性改善等を目的に推進した収益構造改革の推進も増益に寄与しています。
こうした状況のもと、情報通信材料セグメントの当中間連結会計期間における売上高は、前年同期比41.1%増の1,557億円となりました。営業利益は前年同期比7億円増の153億円となりました。
[基礎材料セグメント]
貴金属価格上昇による増益要因はあるものの、円高及び2024年7月に実施したSCM Minera Lumina Copper Chile株式の一部譲渡による譲渡益の剥落及び持分法投資利益の一部剥落を主因に前年同期比減益となりました。また、金属・リサイクル事業においては、足許の銅精鉱買鉱条件が著しく悪化していることから、当社グループが運営する製錬所において減産措置を実施する方向で検討を進めています。
こうした状況のもと、基礎材料セグメントの当中間連結会計期間における売上高は、前年同期比4.2%増の1,610億円となりました。営業利益は前年同期比23億円減の404億円となりました。
(2) 財政状態
なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比0.1ポイント減少し47.8%、1株当たり親会社の所有者帰属持分は前連結会計年度末比16.76円増加の680.34円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.03ポイント上昇し、0.43倍となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は502億円となり、期首に比べ82億円減少しました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果、資金は380億円増加しました(前年同期は1,307億円の増加)。これは、営業債権及びその他の債権、棚卸資産の増加等の資金減少要因があったものの、税引前中間利益の計上、配当金の受取等の資金増加要因が上回ったことによるものです。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果、資金は426億円減少しました(前年同期は39億円の増加)。これは、主に有形固定資産の取得による資金減少が要因です。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果、資金は31億円減少しました(前年同期は1,053億円の減少)。これは、コマーシャル・ペーパーの増加等の資金増加要因があったものの、借入金の返済、配当金の支払等の資金減少要因が上回ったことによるものです。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発費は、10,091百万円です。
当中間連結会計期間において、重要な契約等の決定又は締結等はありません。