第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、企業の良好な収益環境から株価も含め堅調に推移しましたが、年末以降、中国経済の不透明感が増し、新興国経済が減速する中で足踏み感が強くなってきています。
 国内石油製品需要は、揮発油等輸送用燃料は前年度並みとなりましたが、歴史的な暖冬の影響による灯油などの中間留分、電力向け重油の需要減少により、石油製品全体では前年度を下回りました。

 ドバイ原油価格は、春頃は上昇傾向にありましたが、人民元切り下げを契機とする中国の景気先行き懸念とOPEC生産量の減少が見られないことなどにより夏以降は下落に転じました。12月上旬のOPEC総会で減産による需給調整が見送られると下落ペースが加速し、一時30ドル/バレルを下回る水準となりました。この結果、年度平均価格は前年度対比で37.9ドル/バレル下落の45.5ドル/バレルとなりました。
 石油化学製品需要は、ほぼ前年度並みに推移しましたが、円安を背景とした輸入数量の減少に伴い国内生産は堅調に推移しました。石油化学原料であるナフサ価格は、前年度対比では332ドル/トン下落の486ドル/トンとなりました。

 円の対ドルレートは、日銀による金融緩和の継続や米国の利上げ観測などを背景に円安が進行し、年度平均レートは前年度対比10.2円/ドル下落して121.1円/ドルとなりました。

 

(2) 業績

 このような環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、原油価格が下落したことなどにより3兆5,702億円(前年同期比△22.9%)となりました。
 営業損益は、原油価格の下落による在庫評価影響や石油製品マージンの縮小などで△196億円となりましたが、原油価格下落に伴うコスト減などの影響により前年同期比では+852億円となりました。
 営業外損益は、持分法による投資利益の増加などにより前年同期比6億円損失減の23億円の損失となり、経常損益は△219億円(前年同期比+857億円)となりました。
 特別損益は、資源事業での減損損失の減少などにより前年同期比364億円損失減の331億円の損失となりました。
 また、法人税等は△186億円、非支配株主に帰属する当期純損益は△4億円となりました。
 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は△360億円(前年同期比+1,020億円)となりました。

 

(3) 事業の経過及び成果

 セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。

 

①石油製品セグメント

 石油製品セグメントにおいては、国内の供給・販売体制の競争力強化及び海外市場への事業拡大を基本戦略として、次のような取り組みを行いました。

(燃料油事業)

 供給においては、需給環境や販売状況を踏まえた原油処理を行い、供給コスト削減と安定供給に努めました。国内需要の漸減傾向を踏まえ、平成27年4月に千葉製油所の常圧蒸留装置の処理能力を20千バレル/日削減するとともに、北海道の製品輸入能力の増強により、国内需給バランス変化に対する機動力を向上させました。

 販売においては、SSの新設・改造及び既存店の活性化を通して、SSネットワークの強化を図るとともに、楽天ポイントカードへのSS店頭でのポイント付与、利用を開始しました。また、新たにKDDI㈱が提供する「au WALLET」のポイントアップ店として加盟するなど、全国ネットワークの強みを活かした顧客利便性の向上に努めました。

 海外においては、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスについて平成29年度の商業生産開始を目指し建設工事を推進しました。

 

 また、シンガポール現地法人 出光アジア(IDEMITSU INTERNATIONAL(ASIA) PTE. LTD.)の体制拡充を進め、需要が拡大しているアジア圏での事業拡大に取り組みました。

(潤滑油事業)

 平成27年度は国内・海外合計で110万KLを超える販売数量となり、過去最高を更新しました。また、更なるグローバル展開を進めるために、6拠点を有する中国において天津の潤滑油工場の生産能力を増強し、中国国内での高性能潤滑油の販売増への対応を実施しました。

 

 以上の結果、石油製品セグメントの売上高は、原油価格の下落などにより2兆7,527億円(前年同期比△25.5%)となりました。営業損益は、在庫評価影響などにより△674億円となりましたが、製品マージン縮小などの減益要因を原油価格下落に伴うコスト減などの増益要因が上回り、前年同期比では+443億円となりました。なお、営業損益に含まれる在庫評価損益は△1,186億円です。

 

②石油化学製品セグメント

 石油化学製品セグメントにおいては、基礎化学品事業の供給体制再構築による競争力強化と、機能材料事業の構造改革による収益力向上を基本戦略として、次のような取り組みを行いました。

(基礎化学品事業)

 基礎化学品事業においては、原料ナフサの輸入ロット大型化、オープンスペックナフサの受入開始等により競争力強化に努めるとともに、エチレン装置、芳香族装置等の主要装置の安定稼動を維持することにより、コンビナート各社、自社誘導品へのオレフィン・芳香族の安定供給を実施しました。

(機能材料事業)

 エンジニアリングプラスチック事業においては、ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン®)の生産について平成25年以降段階的に当社ライセンス先である台湾FCFC社(Formosa Chemicals & Fibre Corporation)への集約を進めてきましたが、当年度に特殊グレードの集約を完了させ、平成27年12月に千葉工場の製造装置の運転を停止しました。これにより、競争力を更に高めた安定供給体制が整いました。また、自動車電装部品、モバイル機器などで優れた耐熱性などの特性を発揮するシンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック®)については、新たな用途開発が進んでおり、千葉工場の生産能力を従来の7,000トン/年から9,000トン/年へ増強することを決定しました。

 粘接着基材事業においては、ホットメルト接着材の粘着付与剤として需要が伸びている水添石油樹脂(商品名:アイマーブ®)について、顧客の更なる供給ニーズに応えるべく、台湾FCFC社と共同で新プラント建設の検討を進めています。また、従来の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く軟質特性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュ®)については、従来からの衛生材の接着剤や不織布の改質材などに加え新たな用途開拓を行いながら国内外で市場開拓に取り組みました。

 

 以上の結果、石油化学製品セグメントの売上高は、ナフサ価格が下落したことなどにより5,208億円(前年同期比△18.5%)となりました。営業損益は、原油・ナフサ価格下落によるコスト減に加え、堅調な海外市況にも支えられ423億円(前年同期比+494億円)となりました。なお、営業損益に含まれる在庫評価損益は△35億円です。

 

③資源セグメント

 資源セグメントにおいては、コスト削減・投資の厳選を行いながら探鉱活動を通じた原油・ガスの埋蔵量確保と安定生産の継続、コスト削減等による既存鉱山の競争力強化と保有資産の入替えによる石炭事業の再構築を基本戦略として、次のような取り組みを行いました。

(石油開発事業)

 新規油田開発においては、ノルウェー領北海において平成27年3月にクナル(Knarr)油田で商業生産を開始しました。

 

 探鉱活動においては、ノルウェー領バレンツ海及びベトナム沖において、平成26年に発見した油・ガスの集積の広がりの確認等を行い、将来の開発に向けた検討を進めました。また、ベトナム南西海上の2鉱区の権益を取得し、将来の埋蔵量確保の礎としました。

 新規生産開始となった油田も含め、ノルウェー領北海、英領北海、ベトナムにおいて原油換算で日量3.6万バレル(前年同期比+0.7万バレル)の原油・ガスを生産しました。

 石油開発事業の売上高は、原油価格が大幅に下落したことなどにより743億円(前年同期比△27.2%)となりました。営業損益は、資源国通貨安による増益要因がありましたが、原油価格下落による減益要因が上回り△29億円(前年同期比△163億円)となりました。

(石炭事業・その他事業)

 石炭事業においては、石炭価格が低迷する中、豪州鉱山の競争力強化に努めました。中核となるボガブライ鉱山での選炭設備の設置及び生産規模の拡大工事が完了し、市場ニーズに合致した高品位炭を安定的に生産できる体制が整いました。また、豪州・インドネシアの全鉱山で生産性向上とコスト削減に取り組みました。

 ウラン事業においては、カナダ シガーレイク鉱山において生産したウラン精鉱の販売を開始しました。

 地熱事業においては、大分県滝上地区で順調な操業を継続するとともに、バイナリー発電所の建設を開始しました。また、事業拡大に向けて調査を進めている北海道阿女鱒岳地域では調査井の掘削と仮噴気試験を実施し、秋田県小安地域で調査井の掘削を進めています。福島県磐梯地域においても地表調査を進めています。

 石炭事業・その他事業の売上高は、石炭価格の下落はありましたが、国内販売における数量増などにより1,523億円(前年同期比+9.5%)となりました。営業損益は、資源国通貨安やコスト削減などの増益要因が石炭販売価格下落などの減益要因を上回り23億円(前年同期比+26億円)となりました。

 

 以上の結果、資源セグメント合計の売上高は2,265億円(前年同期比△6.0%)、営業損益は△6億円(前年同期比△137億円)となりました。

 

④その他セグメント

 その他セグメントのうち、電子材料事業、アグリバイオ事業、ガス事業、再生可能エネルギー事業においては、次のような取り組みを行いました。
(電子材料事業)

 有機EL材料分野においては、有機ELの製造コスト低減と競争力の向上とともに、新しい有機EL材料の創出を目指して韓国Doosan Corporationと有機EL材料関連分野における両社の特許の相互活用と製造についての協力に関する覚書を締結しました。

 また、有機ELディスプレイの製造地域として今後の成長が期待される中国上海に事務所を開設し、需要家密着型の取り組み強化による顧客サービスの向上と有機ELのグローバルメーカーとしての事業強化により、拡大するディスプレイ向け需要の積極的な捕捉に努めました。

(アグリバイオ事業)

 農業緑化資材においては、土壌に水分を素早く均一に浸透させ芝草の根に適度な水分を供給することができる「イデサーフ®」の全国販売を開始しました。

 飼料添加物においては、これまで牛用の商品としてラインナップしてきた「ルミナップ®」シリーズの技術を鶏用に応用し、腸内環境を正常に保つ「クロストップ®(鶏用)」を開発し販売を開始しました。

(ガス事業)

 兵庫製油所跡地(兵庫県姫路市)において、天然ガス発電事業の検討及び準備を進めるために、大阪ガス㈱との共同出資により姫路天然ガス発電㈱を平成28年4月に設立することを決定しました。
 カナダのアルタガス社(AltaGas Ltd.)と共同出資で設立したAltaGas Idemitsu Joint Venture Limited Partnershipによる北米のLNG(液化天然ガス)のアジア向け輸出の事業化については当面実施を見合わせることとなりました。一方、同Partnershipを通じて株式を保有するペトロガスエナジー社(Petrogas Energy Corp.)では、米国西海岸にあるファンデール基地(ワシントン州)から日本向けのLPG(液化石油ガス)の輸出強化・増量に取り組みました。

(再生可能エネルギー事業)

 遊休地を活用した再生可能エネルギーへの取り組みとして、福岡県北九州市、兵庫県姫路市、福島県いわき市において太陽光発電所(メガソーラー)を運転しています。平成27年8月には門司(福岡県北九州市)の発電設備増設を行いました。

 バイオマス発電においては、土佐グリーンパワー㈱土佐発電所(とさでん交通㈱・高知県森林組合連合会・当社の3社が出資、当社出資比率50%、発電出力6,250kW)を建設し平成27年4月に運転を開始しました。また、出資先である㈱福井グリーンパワーが平成28年4月より運転を開始します。

 

 以上の結果、その他セグメントの売上高は702億円(前年同期比+25.9%)、営業損益は88億円(前年同期比+167.8%)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,188億円となり、前期末に比べ、76億円増加しました。その主な要因は次のとおりです。

営業活動におけるキャッシュ・フローは、2,164億円の収入となりました。税金等調整前当期純損益は大幅な損失となったものの、減価償却費や原油価格下落に伴う在庫影響、減損損失等の現金支出を伴わない費用・損失が大半であったこと、及び売上債権の減少などの資金増加要因によります。

投資活動におけるキャッシュ・フローは、981億円の支出となりました。これは、主として製油所設備の維持更新投資や石油開発・石炭事業への投資、関係会社への増資・貸付などによります。

財務活動におけるキャッシュ・フローは、1,056億円の支出となりました。これは、長期借入金の返済額が借入額を上回ったことなどによります。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油製品

1,508,067

68.9

石油化学製品

459,813

82.5

資源

180,561

90.9

その他

20,992

163.8

 (注)1.上記の金額は、製造会社は製品生産額、資源部門のうち石炭事業については、販売金額によって記載をしています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 受注状況

当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油製品

2,752,675

74.5

石油化学製品

520,790

81.5

資源

226,533

94.0

その他

70,203

125.9

合計

3,570,202

77.1

 (注)1.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3.各部門の販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。

 

3【対処すべき課題】

(1) 環境認識

 国内の経済情勢は緩やかな回復が継続していますが、景況感の悪化や成長戦略の行方への不透明感が強まっています。また、海外では米国経済が雇用情勢を中心に回復基調にある一方で、中国をはじめとする新興国・資源国経済の減速懸念が根強く、先行きは楽観できる状況にはありません。

 エネルギー需要においては、日本では継続的な燃料油需要の減少が避けられませんが、海外においては、アジアの新興国を中心に拡大が見込まれます。

 

(2) 対処すべき課題

石油製品セグメント

 燃料油事業では、北海道・千葉・愛知の3製油所体制での効率的な生産・供給体制と、国内での販売ネットワークを強化します。また、ベトナム・ニソン製油所の建設やシンガポールを中心拠点とした燃料油販売事業の展開により、需要の拡大するアジア圏における事業拡大を図ります。

 潤滑油事業では、環境対応型商品や技術革新に対応した高機能商品の開発を進めるとともに、海外での生産拠点の拡大によりグローバル展開を加速します。

 

石油化学製品セグメント

 基礎化学品事業では、誘導品を含めたオレフィン系サプライチェーンの最適化を進めます。また、製油所とのインテグレーション、原料多様化等を進め、一層の競争力強化に取り組みます。

 機能材料事業では、シンジオタクチックポリスチレン樹脂・ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラスチック分野、及び水添石油樹脂や機能性軟質ポリプロピレン等の粘接着基材事業分野をコア事業とし、経営資源を集中して育成を図ります。

 

資源セグメント

 石油開発事業では、コスト削減・投資の厳選を行いながら探鉱活動を通じた埋蔵量拡大と安定生産の継続に取り組みます。

 石炭事業では、自社鉱山操業・調達・物流・販売のバリューチェーン全体で競争力強化を図ります。

 ウラン事業では、カナダ シガーレイク鉱山における安定生産・販売を目指します。

 

④その他セグメント

 電子材料事業では、有機EL材料の高性能・低コスト化の技術開発を継続し、ディスプレイ向けを中心に拡大する需要を捉えて販売を伸ばし、事業を成長軌道に乗せる取り組みを進めていきます。
 アグリバイオ事業では、生物農薬・化学農薬や牛用混合飼料「ルミナップ®」、鶏用混合飼料「クロストップ®」などの自社商品の開発・生産を通じて、「安全・安心な食」「増大する食糧需要」に貢献するニーズ対応型の事業を展開します。また、需要の拡大する新興国を含め、グローバルに事業を拡大していきます。
 ガス事業では、供給ソースの多様化、供給安定性の確保、輸送距離の短さによる経済的優位性等、日本のエネルギーセキュリティへの貢献を目指し、北米のLPG(液化石油ガス)のアジア向け輸出・販売事業の更なる拡大に取り組みます。また、引き続き姫路天然ガス発電(株)の事業化検討を進めます。

 再生可能エネルギー事業では、風力・バイオマス・太陽光・地熱(バイナリーを含む)等の電源開発検討を行うとともに、再生可能エネルギー電源を積極的に活用した電力小売事業を拡大していきます。

 

 以上のような諸課題に全力で取り組むとともに、昭和シェル石油㈱との経営統合により、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」及び「日本発の新しいエネルギー企業」として飛躍を遂げるべく、昭和シェル石油㈱の株式取得とその後の経営統合の実現に向けて着実に準備を進めていきます。

 

 なお、前述のうち将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づくものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、目標と相違する場合があります。

 

(3) 会社の支配に関する基本方針

 当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。

 したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。

4【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(セグメント上のリスク)

石油製品セグメント

(1) 原油価格の変動について

当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、アジアにおける原油需要の増加、中東やアフリカの産油国の政情不安、南米産油国における資源の国有化の動き、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も変動することが懸念されます。
 また原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けます。
 当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。
 なお当社グループは、たな卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価なたな卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価なたな卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。

 

 (2) 市場の競争について

当社グループの石油製品事業は、複数の石油会社と競合しており、これらの中には当社グループよりも事業規模や市場シェアの大きい会社があります。また日本の石油市場は精製設備やSS数の過剰により激しい競争状態にあります。当社グループがこのような競争下において効率的な事業運営ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。

 

(3) 原油輸入先について

当社グループは、原油輸入のほぼ全量を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。

 

 (4) 石油製品の需要について

日本の石油市場は成熟しており、石油製品需要は徐々に減少すると見込まれています。更に、原油価格の高騰や、京都議定書に基づく地球温暖化に関する政府の対策等が、将来の石油製品の需要動向に影響を与える可能性があります。これらの要因により石油製品需要が減少した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

石油化学製品セグメント

(1) 原料コストの変動について

当社グループは、石油化学製品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、中国等において計画されている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。ナフサ価格の変動を市場における激しい競争等の要因により石油化学製品の価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(2) 需要の変動について

日本を含むアジアの石油化学市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。当社グループが石油化学事業を行うに際しては、日本やアジアの市場において、より事業規模が大きく経営基盤の確立した、あるいはより競争力を有する企業との競合にさらされます。また、最近において中国を始めとするアジアの国々における石油化学製品の需要は増加してきましたが、これらの国々における経済の低迷や他の要因により今後の需要は減少する可能性もあります。このような市場における競争の激化や需要の低迷により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

資源セグメント

(1) 石油開発事業について

 ①資源確保について

当社グループは、商業生産につながる資源の権益の取得、発見に努めています。しかし、当社グループによる権益の取得や探鉱が成功しない場合や確認済みの資源を予定どおり効率的に開発することができない場合、将来の原油生産は減少することになります。更に、当社グループが保有する確認済みの資源はノルウェーに集中しており、探鉱活動についてはノルウェー、英国、ベトナムの3地域で行っています。これらの地域における政治経済情勢等により当社グループの探鉱開発が中断され、確認済みの資源の開発や追加的な資源の発見ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

 ②原油価格について

石油開発事業の近年の営業利益は、主に原油価格に支えられていますが、原油価格は過去においても変動しており、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(2) 石炭事業について

当社グループはオーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売しており、これら地域における今後の石炭需要の伸びに対応して、生産能力を拡大しています。しかしながら、他のエネルギーへの需要の移動、環境及びその他の規制等により、需要が伸びない可能性があります。また、需要が増加した場合でも当社グループよりも事業規模が大きく、経営基盤が確立している他の企業との競争にさらされる可能性もあります。更に、当社グループの石炭鉱山は気候の変動、事故やその他の不確定要因の影響を受けるかもしれません。石炭需要の期待された伸びが実現しない場合や他の企業との競争等により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

その他セグメント

    電子材料、アグリバイオ事業について

当社グループは将来の成長に向けて、電子材料分野やアグリバイオ分野において、付加価値の高い製品の開発を行っています。しかしながら、これらの製品の開発や生産あるいは市場の開拓で成果を挙げられるとは限りません。もし、当社グループが採算のとれる規模でこれらの製品の販売ができない場合、当社グループは開発コストを回収し、利益を確保することができない可能性があります。

 

(その他のリスク)

(1) 投資について

当社グループは事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の事業活動に多額の投資を必要とします。当社グループは当連結会計年度には、576億円の投資を行いました。今後も石油、石油化学を始めとする既存事業の競争力強化や石油開発・石炭事業の収益確保、新規事業育成のための投資を継続する予定ですが、投資に必要なキャッシュ・フローを生み出すことができない場合や外部調達ができない場合、予定した投資ができず期待された収益機会を失う可能性があります。更に経済情勢や市場環境の変化等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない可能性もあります。このような場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(2) 有利子負債について

当社グループは、これまで有利子負債の削減を図ってきましたが、依然として多額の負債を負っています。当連結会計年度末における有利子負債残高は9,096億円で、当連結会計年度の支払利息は114億円です。
 当社グループは、今後も有利子負債の削減に取り組んでいきますが、事業の継続、拡大に向けた投資を行うため追加的な資金調達が必要となるかもしれません。しかしながら、金融情勢の変化等により、資金調達に制約が生じた場合や金利上昇により金利負担が増加する場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

(3) 事業提携について

当社グループは競争力強化の一環として、他社との事業提携を進めてきました。このような提携は当社の事業遂行において重要な役割を果たしています。しかしながら、戦略的な提携においては当社グループが出資先の経営、事業、資産に対して、十分なコントロールができない可能性があります。また、提携先企業の事情等によっても影響を受ける可能性があります。このような場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。

 

(4) ニソン製油所プロジェクトについて

 当社グループはアジア市場における石油及び石油化学事業の展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム、三井化学㈱(以下当社を含め「スポンサー」という)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを建設します。

     このプロジェクトは平成25年夏に建設着工しており、平成29年に営業運転を開始する予定です。

 プロジェクトの総事業費は約90億米ドルと見込まれ、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクトファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達します。

 当社グループはプロジェクトファイナンスによる調達額のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%について銀行団に対し建設完工までの債務保証を行っており、計画どおりに建設工事が完了しない場合、または建設工事の完了後に設備が一定の条件で稼働することができない場合、保証の実行により当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループはスポンサーによる出資及び貸付の35.1%を負担しますが、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 当社グループはプロジェクトで想定される損失に対し(独)日本貿易保険の海外投資保険を付保していますが、このような保険が損失を填補するために必ずしも十分ではない可能性があります。

 

(5) 事故、災害について

当社グループの事業は、自然災害や事故、これらに起因する操業停止等のリスクを有しています。自然災害には地震、津波、台風に加えて、日本という地震の多い地域に立地する製油所・工場における火災や爆発のリスクを含みます。当社グループの設備は人的、機械的なエラーによる事故の影響を受けることもあります。当社グループが保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突等の危険にさらされています。また、当社グループは労働紛争によるリスクにもさらされます。このようなリスクの発生により当社グループの事業は、長期間にわたって中断される可能性があります。
 当社グループは事故や災害で想定される損失に対し、損害保険等を付保していますが、このような保険が損失を填補するために必ずしも十分ではない可能性があります。

 

(6) 環境に関する規制について

当社グループの事業は、当社グループが事業を行い、あるいは権益を有する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行ったり、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。地球温暖化問題への取り組みに関連して、日本や他の国が温室効果ガスの排出の制限や新たな炭素課税を導入することにより、当社グループは多額の費用負担や投資が必要となる可能性があります。このような環境やその他の規制の遵守に伴う債務や義務の負担により、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。

 

 

(7) 知的財産権について

当社グループは、事業の遂行のために知的財産権やライセンスを活用しており、特に石油精製技術や潤滑油、機能性樹脂、機能化学品、電子材料、アグリバイオ等の付加価値の高い製品分野において特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループはブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産権を保護するために十分であるとは限りません。
 また、当社グループの企業秘密が従業員、取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。
 当社グループが、第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性や、第三者から知的財産権の侵害についてクレームを受けて、その技術を利用できなくなる可能性があります。
 当社グループが事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(8) 為替相場の変動について

当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。

また、為替相場の変動は、海外の連結子会社及び持分法適用会社の収益や財務諸表を円貨換算する場合にも影響を与えることになります。

 

(9) 資産価格の下落について

当社グループは、当期に固定資産の減損損失356億円を計上しました。今後も当社グループが保有する資産の価値が経済情勢等の変化により下落した場合には評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(10) 個人情報の管理について

当社グループは、石油製品販売やクレジットカード事業等に関して顧客の個人情報や資産データを直接、間接に取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底やそれによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。更に、顧客の個人情報が不適切に取り扱われ、あるいは管理上の問題が発生した場合、当社グループがその情報を直接管理していたかどうかにかかわらず、当社グループへの信頼の低下、クレーム、訴訟等につながり、当社の事業、経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

  (11) 株主との取引について

当社は、日章興産㈱、公益財団法人出光文化福祉財団と不動産賃貸借取引を行っており、取引条件は、近隣の相場をもとに決定しています。また、公益財団法人出光美術館に寄付を行っていますが、寄付金は当該公益財団法人の運営費及び当社の事業規模、宣伝効果などを勘案して決定しています。

5【経営上の重要な契約等】

(1) 昭和シェル石油株式会社の株式譲渡契約

  当社は、平成27年7月30日開催の取締役会において、昭和シェル石油株式会社(以下「昭和シェル」)の株式を取得することを決議し、同日付で昭和シェルの株主であるロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシーの子会社との間で、昭和シェルの株式(議決権33.3%)について株式譲渡契約を締結しました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 追加情報」に記載のとおりです。

 

(2) 経営統合に関する基本合意書

  当社は、平成27年11月12日付で、昭和シェルとの対等の精神に基づく両社の経営統合に関する基本合意書(以下「本基本合意書」といいます。)を締結しました。

 なお、本基本合意書は法的拘束力を有するものではなく、今後、両社で協議をした上、取締役会決議その他必要な手続を経て、別途法的拘束力のある正式契約を締結する予定です。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 追加情報」に記載のとおりです。

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、石油製品、石油化学製品、資源、電子材料及びアグリバイオの各事業、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。

なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費27億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比7億円減少の126億円です。

 

 (当社グループの研究開発体制)

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当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。

 

(1) 石油製品セグメント

石油製品セグメントでは、環境に配慮した石油製品、潤滑油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は30億円です。

①燃料油事業では、重質油処理技術の高度化、製品の高付加価値化、プロセス技術を活かした事業競争力の強化、製油所・工場・事業所の高効率化、省エネルギー化及び環境調和型社会への貢献を目指した技術開発を行っています。

②潤滑油事業では、省燃費・省エネルギーや環境に配慮した商品をグローバル規模で開発・展開し、国内及び海外市場への安定供給実現に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・自動車用潤滑油においては、省燃費特性と耐久性を両立させた超低粘度エンジンオイル、駆動系オイルを開発し、商品ラインアップを拡充しました。

・工業用潤滑油においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒用冷凍機油、消費電力削減に繋がる省エネルギー型機械設備用潤滑油、更に、油の寿命を延長することで廃液量の削減を実現した環境負荷低減型水溶性加工油の開発を推進し、商品ラインアップを拡充しました。

(2) 石油化学製品セグメント

石油化学製品セグメントでは、機能材料事業において、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は27億円です。

①機能材料分野では、新機能を有した粘接着基材の開発及びエンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・通常の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く、軟質特性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュ®)は、従来から展開してきた衛生材料用接着剤原料や不織布改質剤及びフィルム改質剤として採用が拡大するとともに、木工用接着剤原料としての用途開発を進め、販売拡大に繋げました。

・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン®)では、液晶ディスプレイ部品向けに優れた色調と良好な流動性を持つ新しいグレードを開発して販売を開始し、市場で好評を得ています。また、平成27年12月に千葉工場の製造装置を停止しましたが、これに先立ち、特殊グレードを含む全てのグレードの生産を台湾Formosaグループの中核企業であるFCFC社へ集約すべく技術検討を重ね、平成28年度からのFCFC社での生産開始に目途を得ました。

・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック®)では、成型サイクルや成形時の発生ガスを低減したグレードを開発し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電気特性が評価され車間距離レーダー部品に採用されました。

②シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・包装材料では、顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、バッグインボックス向けフィルムグレードや帯電防止フィルムグレードの改良(商品名ユニクレストTM)、易開口性に優れた自動充填包装機用のジッパーテープグレードの開発(商品名プラロックTM)等により商品のラインアップの拡充を行いました。

・加飾分野では、自動二輪外装用途のシート改良を推進し、大手バイクメーカーへの採用を拡大するとともに、新たに開発したグレードにより自動車分野や住設分野への用途開発を推進しました。

(3) 資源セグメント

石炭事業では、鉱山で生産される製品炭の品質を向上させるとともに、石炭を効率よくクリーンに利用して環境負荷を低減する技術の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は1億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・豪州自社鉱山(ボガブライ)の拡張工事に併せて、製品炭ラインナップごとの品質設計を実施するとともに、燃焼試験や実ボイラの運転データ解析により、鉱山での品質管理方法を検討しました。また、顧客ニーズに基づいたブレンド炭の商品設計を実施するための評価方法を構築しました。

・石炭の自然発熱挙動のシミュレーション技術やインドネシア鉱山でのフィールド試験を通じて、貯炭場やサイロでの石炭の自然発熱防止対策を確立しました。

・低品位炭の利用促進のため、電力会社と共同で混焼時の技術課題を抽出し、対策の検討とコスト評価を実施しました。また、低品位炭の改質に関する技術評価及び用途探索を実施しました。

・石炭の高効率・クリーン燃焼に関する技術開発を推進し、国内外の石炭需要家に対する技術サポート及びソリューション事業を展開しました。

 

(4) その他セグメント

上記以外に、電子材料事業、アグリバイオ事業で研究開発を行っています。当セグメントに係る研究開発費は41億円です。

①電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・平成28年4月にLG電子より発表された最新有機ELテレビに当社有機EL材料が採用されました。

②アグリバイオ事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・農業緑化資材では、土壌に水分を素早く均一に浸透させ芝草の根に適度な水分を供給することができる「イデサーフ®」の全国販売を開始しました。

・飼料添加物では、これまで牛用の商品としてラインナップしてきた「ルミナップ®」シリーズの技術を鶏用に応用し、腸内環境を正常に保つ「クロストップ®(鶏用)」を開発し販売を開始しました。

・連結子会社の㈱エス・ディー・エス バイオテックでは、日本において新規農薬2剤の農薬登録を取得しました。

(5) 全社共通(コーポレート研究)

コーポレート研究としては、事業部研究所が実施した開発品について高度な分析機器と解析技術によるサポートを実施することと、社会や技術のトレンドを掴み自社との適社性を加味しながら新規事業の創出に向け、畜産分野における動物用ワクチンの開発や、電動車輛など電気エネルギーの有効活用に向けた次世代蓄電池用材料の開発を実施しています。

 

 

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

①売上高

売上高は、原油価格が下落したことなどにより3兆5,702億円(前年同期比△22.9%)となりました。セグメント別には、石油製品セグメントが2兆7,527億円(前年同期比△25.5%)となり、石油化学製品セグメントは、ナフサ価格が下落したことなどにより5,208億円(前年同期比△18.5%)となりました。資源セグメントは、原油価格の下落などにより2,265億円(前年同期比△6.0%)となりました。また、その他セグメントは702億円(前年同期比+25.9%)となりました。

 

②売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、原油及びナフサ価格の下落などにより3兆3,092億円(前年同期比△25.3%)となりました。なお、たな卸資産の簿価切り下げの影響を含めた在庫評価により、売上原価は1,222億円増加しました。

販売費及び一般管理費は、2,807億円(前年同期比△7.5%)となりました。

 

③営業損益

上記の結果を受け、営業損益は△196億円(前年同期比+852億円)となりました。セグメント別の分析は次のとおりです。

 

セグメント別営業損益

セグメント

売上高

営業損益

当期

前年同期比

当期

前年同期比

石油製品

27,527

億円

△25.5

△674

億円

 

(在庫評価影響除き)

 

 

(513

億円)

+184.8

石油化学製品

5,208

億円

△18.5

423

億円

 

(在庫評価影響除き)

 

 

(458

億円)

 

資源

2,265

億円

△6.0

△6

億円

 

その他

702

億円

+25.9

88

億円

+167.8

調整額

 

 

△27

億円

 

35,702

億円

△22.9

△196

億円

 

(在庫評価影響除き)

 

 

(1,025

億円)

+259.9

 

 石油製品セグメントでは、在庫評価影響などにより△674億円となりましたが、製品マージン縮小などの減益要因を原油価格下落に伴うコスト減などの増益要因が上回り、前年同期比では+443億円となりました。なお、営業損益に含まれる在庫評価損益は△1,186億円です。

石油化学製品セグメントでは、原油・ナフサ価格下落によるコスト減に加え、堅調な海外市況にも支えられ423億円(前年同期比+494億円)となりました。なお、営業損益に含まれる在庫評価損益は△35億円です。

資源セグメントでは、石炭事業における資源国通貨安やコスト削減などの増益要因はありましたが、石油開発事業における原油価格の大幅な下落の影響により△6億円(前年同期比△137億円)となりました。

その他セグメントは88億円(前年同期比+167.8%)となりました。

 

④営業外損益及び経常損益

営業外収益223億円から営業外費用246億円を差引いた営業外損益は、前年同期比6億円損失減の23億円の損失となりました。これは、持分法による投資利益の増加などによるものです。

以上の結果、経常損益は△219億円(前年同期比+857億円)となりました。

 

⑤特別損益及び税金等調整前当期純損益

特別利益96億円から特別損失426億円を差引いた特別損益は、前年同期比364億円損失減の331億円の損失となりました。これは、資源事業での減損損失の減少などによるものです。

以上の結果、税金等調整前当期純損益は△550億円(前年同期比+1,221億円)となりました。

 

 

⑥法人税等、非支配株主に帰属する当期純損益及び親会社株主に帰属する当期純損益

法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、合計で△186億円となり、税金等調整前当期純損益に対する負担率は33.8%となりました。

非支配株主に帰属する当期純損益は△4億円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は△360億円(前年同期比+1,020億円)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

①資産の部

当期末における資産合計は、原油価格の下落によるたな卸資産や売掛債権の減少などにより2兆4,021億円(前期末対比△3,289億円)となりました。

 

②負債の部

負債合計は、有利子負債(9,096億円)の減少や原油価格の下落による買掛債務の減少などにより、1兆8,645億円(前期末対比△2,362億円)となりました。

 

③純資産の部

当期末の純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上や資源国通貨安による為替換算調整勘定の減少などにより5,377億円(前期末対比△927億円)となりました

 

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の21.5%から20.8%となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フローの分析

 当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,188億円となり、前期末に比べ、76億円増加しました。その主な要因は次のとおりです。

営業活動におけるキャッシュ・フローは、2,164億円の収入となりました。税金等調整前当期純損益は大幅な損失となったものの、減価償却費や原油価格下落に伴う在庫影響、減損損失等の現金支出を伴わない費用・損失が大半であったこと、及び売上債権の減少などの資金増加要因によります。

投資活動におけるキャッシュ・フローは、981億円の支出となりました。これは、主として製油所設備の維持更新投資や石油開発・石炭事業への投資、関係会社への増資・貸付などによります。

財務活動におけるキャッシュ・フローは、1,056億円の支出となりました。これは、長期借入金の返済額が借入額を上回ったことなどによります。

 

なお、当社グループの財務状況に関する主要な指標のトレンドは次のとおりです。

 

平成24年

3月期

平成25年

3月期

平成26年

3月期

平成27年

3月期

平成28年

3月期

自己資本比率(%)

21.9

24.0

23.5

21.5

20.8

時価ベースの自己資本比率(%)

12.3

11.9

11.3

12.3

13.4

ネットD/Eレシオ(倍)

1.3

1.2

1.3

1.5

1.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

11.2

3.9

4.5

17.2

18.8

投下資本営業利益率(%)

9.3

7.1

4.7

△6.3

△0.7

営業活動によるキャッシュ・フロー(億円)

1,597

508

501

1,729

2,164

 (注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。

自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

投下資本営業利益率:(営業損益+持分法投資損益)/(純資産+有利子負債)

2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しています。

 

②資金需要

当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払い等によるものです。営業費用の主なものは、人件費、物流費、作業費、研究開発費等です。

設備資金については、各事業分野別に以下の資金需要があります。

ア.燃料油事業・基礎化学品事業・再生可能エネルギー事業については、販売・供給体制の再構築と競争力強化を目的とした投資や海外成長市場への進出による事業拡大のための投資

イ.石油開発事業・石炭事業・ウラン事業については、保有鉱区の開発による生産規模の拡大と探鉱開発の強化による埋蔵量確保に向けた投資

ウ.潤滑油事業・機能材料事業・電子材料事業・アグリバイオ事業については、環境配慮型商品の開発強化やグローバル展開による事業拡大に向けた投資

 

③財務政策

当社グループは、運転資金及び設備投資資金については、主に自己資金、借入、コマーシャル・ペーパー及び社債の発行などにより調達しています。当期末の短期借入金の残高は1,850億円、長期借入金(1年以内返済分を含む)の残高は6,596億円、社債(1年以内償還分を含む)の残高は650億円となりました。

国内子会社は、当社が一括して資金調達し子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。海外子会社の運転資金及び設備投資資金については、各々の子会社が使用する現地通貨にて調達しています。

当社グループは、中長期的な成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資資金を、財務体質とのバランスを勘案しつつ、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入、コマーシャル・ペーパーや社債の発行及び特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の活用、更に資本増強等を効果的に組み合わせて調達していきます。

なお、昭和シェル石油株式会社の株式取得資金の一部として、劣後特約付シンジケートローン(以下「劣後ローン」)による1,000億円の資金調達契約を平成28年3月31日に締結しています。本劣後ローンは、格付け機関により、格付上、資金調達額の75%に対して資本性の認定を受けています。本劣後ローンの実行は株式取得時を予定しています。

 

(債務)

 当連結会計年度末の債務の概要は次のとおりです。

 

返済期限

 

合計

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

短期借入金(億円)

1,850

1,850

長期借入金(億円)

6,596

1,090

694

463

412

858

3,080

社債(億円)

650

100

250

100

200

 

(特定融資枠契約)

当社グループは、運転資金の効率的な調達及び十分な流動性確保のため、取引先銀行6行で作られるシンジケート団と、平成29年3月までの契約期間において短期借入を実行できる長期の特定融資枠契約(長期コミットメントライン契約)を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。なお、当連結会計年度末において同契約にかかる借入残高はありません。
       特定融資枠契約の極度額 1,000億円