第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1) 一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な米国経済と円安の進展並びに中国の景気動向の持ち直し等を背景に製造業を中心に景況感は上向き、個人消費や雇用情勢の改善の中、緩やかな回復基調が継続しました。
 国内石油製品需要は、ガソリンについては前年度の夏季好天による需要増の反動により若干の需要減となり、灯油などの中間留分は前年度比での気温低下を受けて若干の需要増となりました。石油化学原料は需要が増加したことからエチレン装置が高稼働となる一方で、電力向けの重油は電源の多様化等の影響を受けて需要が減少しました。この結果、石油製品全体ではほぼ前年度並みの需要となりました。

 ドバイ原油価格は、春頃は上昇基調にありましたが、供給過剰感が拡がる中、夏へ向けて下落しました。OPECが9月下旬に減産に合意し、更に12月に非OPECとの協調減産も合意したことなどから上昇基調に転じ50ドル/バレルを上回りましたが、3月は米国における原油在庫増加影響などから下落基調となりました。この結果、年度平均価格では前年同期比1.4ドル/バレル上昇の46.9ドル/バレルとなりました。
 石油化学製品需要は前年度比増加し、円安を背景に輸入数量が減少する中、国内生産は堅調に推移しました。石油化学原料であるナフサの年度平均価格は、前年度対比48ドル/トン下落の438ドル/トンとなりました。

 円の対ドルレートは、英国国民投票のEU離脱派勝利の影響などから年央までは円高基調で推移しましたが、その後は米国大統領選でのトランプ候補勝利による景気刺激策期待などから円安基調となりました。年度平均レートは前年度対比11.7円/ドル円高の109.4円/ドルとなりました。

 

(2) 業績

 このような環境下、当社グループの当連結会計年度の売上高は、円高の影響で円建て原油価格が下落したことにより3兆1,903億円(前年同期比△10.6%)となりました。
 営業利益は、石油製品マージンの改善や資源事業での増益、前連結会計年度では大幅な損失となっていた在庫評価影響が利益に転じたことなどにより1,352億円(前年同期比+1,549億円)となりました。営業外損益は、為替評価損減少などにより前年同期比70億円損失減の47億円の利益となり、経常利益は1,400億円(前年同期比+1,619億円)となりました。
 特別損益は、資源事業での減損損失の減少などにより前年同期比161億円損失減の170億円の損失となりました。
 また、法人税等は325億円、非支配株主に帰属する当期純利益は24億円となりました。
 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は882億円(前年同期比+1,242億円)となりました。

 

(3) 事業の経過及び成果

 セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。

 

①石油製品セグメント

 石油製品セグメントにおいては、国内の供給・販売体制の競争力強化及び海外市場への事業拡大を基本戦略として、次のような取り組みを行いました。

(燃料油事業)

 供給においては、需給環境や販売状況を踏まえた原油処理を行い、供給コスト削減と安定供給に努めました。エネルギー供給構造高度化法二次告示に従い、平成29年3月末に北海道製油所で10千バレル/日、千葉製油所で10千バレル/日、愛知製油所で15千バレル/日、それぞれ常圧蒸留装置の処理能力を削減させ、需要が漸減傾向にある国内需給バランス変化への対応を実施するとともに、競争力ある生産体制の構築に向けて千葉製油所・工場の平成29年度の統合を決定しました。

販売においては、引き続きSSの新設・改造及び既存店の活性化を通して、SSネットワークの強化を図るとともに、他社に先んじたPOSシステムの対応によりソフトバンクカード(プリペイドカード)の取扱いを開始し、全国ネットワークの強みを活かした顧客利便性の向上に努めました。

海外においては、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの建設工事が平成29年4月末に完了し、平成29年度の商業生産開始を目指しています。また、同国での燃料油卸売・小売事業の展開のため、クウェート国際石油とともにIdemitsu Q8 Petroleum LLC社を設立しました。

 中東カタールでは出資するラファンリファイナリー2㈱の建設するラファン第2製油所が完成し、生産を開始しました。このような環太平洋地域や中東等の海外成長市場での事業拡大のため、シンガポール現地法人 出光アジア(IDEMITSU INTERNATIONAL(ASIA) PTE. LTD.)を中心に海外店の体制拡充を進めました。

(潤滑油事業)

潤滑油販売数量は国内・海外合計で120万KLに迫り、過去最高を更新しました。また、グローバルマーケットでの強固な販売・供給体制の構築と高機能商品の開発・展開に向けて、タイで新工場を稼働させるとともに、米国のR&D機能の強化を進めました。

 

 以上の結果、石油製品セグメントの売上高は、円建て原油価格の下落などにより2兆4,382億円(前年同期比△11.4%)となりました。営業利益は、製品マージンの改善や前連結会計年度では大幅な損失となっていた在庫影響が利益に転じたことなどにより前年同期比+1,444億円の770億円となりました。なお、営業利益に含まれる在庫評価益は310億円です。

 

②石油化学製品セグメント

 石油化学製品セグメントにおいては、基礎化学品事業の供給体制再構築による競争力強化と、機能材料事業の構造改革による収益力向上を基本戦略として、次のような取り組みを行いました。

(基礎化学品事業)

 基礎化学品事業においては、原料多様化による競争力強化に向けて三井化学㈱と共同運営している千葉ケミカル製造有限責任事業組合のエチレン装置の改修を行うことを決定しました。また、良好な市場環境下でエチレン装置、芳香族装置等の主要装置の安定稼働を維持することにより、コンビナート各社、自社誘導品へのオレフィン・芳香族の安定供給を実施しました。

(機能材料事業)

 エンジニアリングプラスチック事業においては、ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン®)の生産を平成25年以降段階的に当社ライセンス先である台湾FCFC社(Formosa Chemicals & Fibre Corporation)への集約を進めてきました。平成28年度に特殊グレードの集約を完了させ、情報機器筐体、自動車用光学部品などの高付加価値用途への供給を開始し、競争力を更に高めた安定供給体制が整いました。自動車電装部品、モバイル機器などで優れた耐熱性、電気絶縁性、耐薬品性などの特性を発揮するシンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック®)については、新たな用途開発が進んでいることに伴い、平成28年4月に千葉工場の生産能力を従来の7,000トン/年から9,000トン/年へ増強しました。
 粘接着基材事業においては、ホットメルト接着材の粘着付与剤として需要が伸びている水添石油樹脂(商品名:アイマーブ®)について、顧客の更なる供給ニーズに応えるべく、台湾FPCC社(Formosa Petrochemical Corporation)と共同で新プラント建設を開始しました。また、従来の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く軟質特性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュ®)については、従来からの衛生材の接着剤や不織布の改質材などに加え新たな用途開拓を行いながら国内外で市場開拓に取り組みました。

 

 以上の結果、石油化学製品セグメントの売上高は、ナフサ価格が下落したことなどにより4,612億円(前年同期比△11.4%)となりました。営業利益は、スチレンモノマー等の製品マージンの拡大などの増益要因を円高による為替影響などの減益要因が上回り400億円(前年同期比△5.5%)となりました。なお、営業利益に含まれる在庫評価益は21億円です。

 

③資源セグメント

 資源セグメントは、安定生産の継続、徹底したコスト削減と生産性向上による保有資産の価値向上と資産ポートフォリオ見直しを基本方針として、次のような取り組みを行いました。

 

(石油開発事業)

 探鉱活動においては、ノルウェー領北海において平成28年9月にカラ(Cara)構造での油・ガスの集積を発見しました。また、ベトナム沖において、平成26年に発見した油・ガス田について将来の開発に向けた検討を進めました。
 既存油田の安定操業・生産とともに操業改善活動を行った結果、ノルウェー領北海、英領北海、ベトナムにおいて原油換算で日量4.3万バレルの原油・ガスを生産しました。

 石油開発事業の売上高は、生産数量増加があったものの原油価格が下落したことなどにより736億円(前年同期比△1.4%)となりました。営業利益は、原油価格は下落しましたが資源国通貨安などの増益要因があり85億円(前年同期比+114億円)となりました。

(石炭事業・その他事業)

 石炭事業においては、中国の政策動向等により石炭価格が大きく変動する中で、インドネシアを含む全鉱山の生産性改善と集中購買等によるコスト削減を通した競争力強化に努めました。その結果、豪州・インドネシアの自社炭合計で過去最大の約13百万トンを生産しました。また、当社、郵船商事㈱、日本郵船㈱の3社は郵船商事㈱が所有する石炭ボイラ制御最適化システム「ULTY」の共同販売、及び当社が保有する石炭高効率燃焼技術を取り入れた新型ULTYの共同開発に合意しました。
 ウラン事業においては、カナダ シガーレイク鉱山において生産したウラン精鉱の販売をしています。
 地熱事業においては、大分県滝上地区で順調な操業を継続するとともに、平成29年3月より同地区においてバイナリー発電所(出力5,050kW)の商業運転を開始しました。また、事業拡大に向けて北海道阿女鱒岳地域、秋田県小安地域及び福島県磐梯地域での調査活動を進めています。

 石炭事業・その他事業の売上高は、石炭価格の上昇などがあったものの対円での資源国通貨安などの影響により1,537億円(前年同期比△0.3%)となりました。営業利益は、資源国通貨安やコスト削減などの影響により81億円(前年同期比+59億円)となりました。

 

 以上の結果、資源セグメント合計の売上高は2,273億円(前年同期比△0.7%)、営業利益は166億円(前年同期比+172億円)となりました。

 

④その他セグメント

 その他セグメントのうち、電子材料事業、アグリバイオ事業、ガス事業、再生可能エネルギー事業においては、次のような取り組みを行いました。
(電子材料事業)

 有機EL材料分野においては、今後の有機ELディスプレイ普及拡大による有機EL材料需要の増大に対応するため、韓国坡州市での製造能力増強と評価装置増設を行いました。また、高性能な有機EL材料の開発促進のため、独Merck社と有機EL材料関連分野における特許の相互利用に関する提携契約を締結するとともに、技術交流してきたBASFスイス社より開発体制を引き継ぎスイス連邦バーゼルシュタット州に有機EL材料開発会社を設立しました。

(アグリバイオ事業)

 農業緑化資材においては、販売会社である出光アグリ㈱を通じ先進的生産団体への微生物防除剤(殺菌剤)の拡販活動に取り組んでいます。
 飼料添加物においては、牛、鳥の腸内環境を正常に保つ効果がある「ルミナップ®」「クロストップ®」について、国内での大型農場を中心とした採用拡大、海外の販路拡大に向けた取り組みを進めました。

(ガス事業)

 兵庫製油所跡地(兵庫県姫路市)において、天然ガス発電事業の検討及び準備を進めるために、大阪ガス㈱との共同出資により姫路天然ガス発電㈱を平成28年4月に設立し、事業化検討を実施しています。
 カナダのアルタガス社(AltaGas Ltd.)と共同出資で設立したAltaGas Idemitsu Joint Venture Limited Partnershipを通じて株式を保有するペトロガスエナジー社(Petrogas Energy Corp.)では、米国西海岸にあるファンデール基地(ワシントン州)から日本・アジア向けのLPG(液化石油ガス)の輸出強化に取り組みました。

(再生可能エネルギー事業)

 遊休地を活用した再生可能エネルギーへの取り組みとして、北九州市門司区、兵庫県姫路市、福島県いわき市において太陽光発電所(メガソーラー)を運転しています。バイオマス発電においては、土佐グリーンパワー㈱(当社出資比率50%、発電出力6,250kW)及び㈱福井グリーンパワー(当社出資比率10%、発電出力7,000kW)が稼働中です。

 

 以上の結果、その他セグメントの売上高は636億円(前年同期比△8.6%)、営業利益は51億円(前年同期比△37億円)となりました。

 

(4) キャッシュ・フローの状況

当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、901億円となり、前期末に比べ、287億円減少しました。その主な要因は次のとおりです。

営業活動におけるキャッシュ・フローは、535億円の収入となりました。これは原油代上昇による売掛債権・たな卸資産の増加などの資金減少要因を、税金等調整前当期純利益や減価償却費などの資金増加要因が上回ったためです。

投資活動におけるキャッシュ・フローは、2,148億円の支出となりました。これは、主として昭和シェル石油㈱の株式取得や製油所設備の維持更新投資の増加などによります。

財務活動におけるキャッシュ・フローは、1,361億円の収入となりました。これは、短期借入金・コマーシャル・ペーパーによる資金調達が増加したことなどによります。

 

 

2【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油製品

1,305,245

86.6

石油化学製品

374,276

81.4

資源

163,553

90.6

その他

16,049

76.5

 (注)1.上記の金額は、製造会社は製品生産額、資源部門のうち石炭事業については、販売金額によって記載をしています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 受注状況

当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

石油製品

2,438,225

88.6

石油化学製品

461,212

88.6

資源

227,303

99.3

その他

63,605

91.4

合計

3,190,347

89.4

 (注)1.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。

2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。

3.各部門の販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。

 

3【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

 出光は、創業以来経営理念である「人間尊重」を事業を通じて実践し、広く社会で期待され信頼される企業となることを目指しています。
 この考え方を踏まえ、以下のとおりステークホルダーの皆様への5つの約束を、当社グループの経営方針としています。「人」が中心の経営を更に深化・発展させていくことで、あらゆるステークホルダーの方々から信頼される企業を目指していきます。

 

◆新しい価値の創出と提供→「お客さま」
    お客さまに安心・活力・満足を感じていただける商品・技術・サービスを提案、提供します。

    そして、新しい価値の創出に努めます。


◆社会への貢献→「社会・環境」

    安全を基盤とし、自然環境の維持・向上に努めます。
    そして、地域・文化・社会に貢献します。


◆確かな成果の還元→「株主」
    企業としての社会的責任を果たし、健全で持続的な成長を図ります。
    そして、株主に確かな成果の還元に努めます。


◆パートナーとの協働→「パートナー」
    販売店はじめ、共に事業に携わっている方々とお互いに協力し、お客さまの安心・活力・満足を実現します。

    そして、成果と成功の共有を目指します。


◆自己成長・自己実現の追求→「社員」

    社員一人ひとりが、自己成長と自己実現を追求することができる環境をつくります。
    そして、各人が尊重される人間となるべく努力します。

 

 

(2) 対処すべき課題

① 環境認識

 国内経済は個人消費、雇用の面で緩やかな回復基調が継続しています。一方、海外は、米国やアジア圏を中心に全体的に底堅く推移すると予想されるものの、一部先進国での保護主義的政策の動きや、北朝鮮やシリア問題等の地政学リスクの高まり等により、先行きが不透明な環境にあります。

 国内市場では、電気自動車、プラグインハイブリッド車(PHV)の普及や省エネルギーの進展に伴い、中長期的な石油製品需要の減少が避けられませんが、海外ではアジアの新興国を中心に堅調な需要の伸長が見込まれています。

 

② 昭和シェル石油㈱との経営統合の検討に関して

当社は、平成27年7月30日にロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシーの子会社(以下RDS社)から昭和シェル石油㈱の株式を取得する旨の株式譲渡契約を締結し、以降昭和シェル石油㈱と平成27年11月から経営統合に向けた協議を進めています。

平成28年12月19日に公正取引委員会より、当社及び昭和シェル石油㈱が申し出た問題解消措置の実施を前提に、「排除措置命令を行わない旨の通知書」を受領するとともに、RDS社から昭和シェル石油株式117,761,200株(議決権比率31.3%)の取得を完了しました。

 また平成29年5月9日に、昭和シェル石油㈱と企業グループを形成して協働事業を強化・推進することに関し、趣意書を締結しました。

 当趣意書の骨子は以下のとおりです。

ア. 目的

両社は対等なパートナーとしてアライアンスを組み、本統合に向けた各種プロセスを再開又は加速しながら、広範囲にわたって協業を深化させ、本統合が実現するまでの時間も最大限有効に活用し、両社の企業価値をさらに向上させるべく、シナジー効果の先取りを図ります。

イ. アライアンス名 「Brighter Energy Alliance(ブライターエナジーアライアンス)」

ウ. アライアンスの内容

(ア)国内石油事業における統合シナジーの追求

・原油の調達と輸送の最適化、生産計画の最適化

・生産最適化のための製品・半製品の相互融通(両社製油所の定期修繕期間を含む)

・物流分野における配送効率化(陸上、海上)

・精製コストの削減

・省エネ、精製マージン改善施策のベストプラクティスの展開

・製造部門の共同調達の推進による調達コストの削減

(イ)シナジー目標

2017年4月から3年以内に年間250億円以上のシナジー創出を目指します。

なお、シナジー取組み項目は以下のとおりです。

  分  野

           項      目

  期待効果

 原油調達

①原油共同調達

②原油タンカー共同配船/傭船コスト削減

10億円

 供給

①最適生産計画システム一体化による収益改善

 ・重油基材の最適化による分解装置最大活用

 ・各製油所への最適原油選択

②石油製品・半製品の相互融通(グループ内)

 ・プラント定期修繕時の協力

 ・輸出入の最適化

 ・重油転送コスト削減。

120億円

 製造・調達

①精製マージン改善施策のベストプラクティスの展開

 ・精製コスト削減等

②共同調達

 ・副資材(触媒、薬品等)

 ・工事、工事資材

70億円

 物流・販売

①出荷基地の相互利用

②共同配送(陸上、海上)

40億円

 間接部門

共同調達(ITシステム、コーポレート費用等)

10億円

 計

250億円以上

※上記に記載されている将来の見通しに関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的

 であると判断する一定の前提に基づいており、実際のシナジー効果等は様々な要因により大きく

 異なる可能性があります。

(ウ)重複分野における事業戦略のすり合わせ

(エ)アライアンスグループ及び統合新社の戦略検討

(オ)人的融和の推進

(カ)お客様視点での新たなサービス開発

(キ)社会貢献活動の一層の推進

(ク)低炭素社会実現への取り組み推進

以上のとおり、「屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニー」及び「日本発の新しいエネルギー企業」として飛躍を遂げるべく、昭和シェル石油㈱と協働事業の取り組みを加速させると同時に、引き続き経営統合に向けた協議を進めていきます。

 

③ 中長期的な会社の経営戦略

当社は、2013~2015年度までの第4次中期経営計画において、「エネルギーの確保と有効利用並びに高機能材のグローバル展開を通じて経済と環境の調和のある社会の発展に貢献する」を経営方針とし、持続的成長を実現するための事業構造改革を推進し、積極的な戦略投資を実施してきました。

 今後、2017年度から2020年度頃までを、第4次中期経営計画の成果の刈り取りと更なる成長領域へ展開するフェーズと位置付け、経営課題に取り組んでいきます。

 セグメント別の具体的な課題は以下のとおりです。

 

ア.石油製品セグメント

 国内燃料油事業では、昭和シェル石油㈱との協働事業の強化・推進によりシナジーの早期創出を目指します。

海外では、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの商業運転開始やシンガポールを中心拠点とした燃料油販売事業の展開により、需要の拡大するアジア圏における事業拡大を図ります。

潤滑油事業では、環境対応型商品や技術革新に対応した高機能商品の開発を進めるとともに、海外での生産拠点の拡大によりグローバル展開を加速します。

 

イ.石油化学製品セグメント

 基礎化学品事業では、誘導品を含めたサプライチェーンの最適化を進めます。製油所とのインテグレーション、原料多様化等を進め、一層の競争力強化に取り組みます。その一環として平成29年10月に千葉製油所と千葉工場を統合し、千葉事業所を発足します。また、ベトナムのニソン製油所・石油化学コンプレックスの商業運転開始に伴い、パラキシレン、ベンゼンの販売を拡大します。
 機能材料事業では、シンジオタクチックポリスチレン樹脂・ポリカーボネート樹脂等のエンジニアリングプラスチック分野、及び水添石油樹脂や機能性軟質ポリプロピレン等の粘接着基材事業分野をコア事業とし、事業拡大を加速するため、経営資源を集中して育成を図ります。

 なお、水添石油樹脂においては平成28年9月に台塑石化股份有限公司(FPCC社)と、台湾にて年産2万5千トンの製造装置を建設することを決定し、同社と合弁会社「台塑出光特用化学品股份有限公司」を設立しています。

 

ウ.資源セグメント

 資源事業の共通課題は、第4次中期経営計画期間に実施した生産能力の拡大投資(クナル油田、ボガブライ鉱山等)とポートフォリオの見直し・コスト削減等の一連の施策の成果を着実に刈り取ることです。

 石油開発事業では、コスト・投資の削減を進めつつ、既存油田の安定生産と厳選した探鉱活動を通じた埋蔵量確保に取り組みます。

 石炭事業では、自社鉱山操業・調達・物流・販売のバリューチェーン全体で更なる競争力強化を図ります。また、低炭素社会への対応として、石炭・環境研究所による燃焼技術支援、バイオマス混焼の推進等に取り組みます。

 ウラン事業では、カナダ シガーレイク鉱山における安定生産・販売を目指します。

 

エ.その他セグメント

 電子材料事業では、平成29年1月に有機EL材料の研究拠点としてスイスにIdemitsu OLED Materials Europe AGを設立し、研究体制を強化しました。有機EL材料の高性能・低コスト化の技術開発を継続し、拡大する需要を着実に捉えて販売を拡大し、事業を成長軌道に乗せる取り組みを加速していきます。
 アグリバイオ事業では、既存生物農薬・化学農薬や牛用混合飼料「ルミナップ®」、鶏用混合飼料「クロストップ®」の普及拡大、海外展開の強化により、「安全・安心な食」「増大する食糧需要」に貢献するニーズ対応型の事業を展開します。
 ガス事業では、姫路天然ガス発電㈱の事業化検討を進めます。また、北米のLPG(液化石油ガス)のアジア向け輸出・販売事業の更なる拡大に取り組みます。

 再生可能エネルギー事業では、風力・バイオマス・太陽光・地熱・水力等の電源開発検討を行うとともに、再生可能エネルギー電源を積極的に活用した電力小売事業を拡大していきます。

 当社グループ全体としての重点課題は以下の3点です。

・国内基盤事業(燃料油・基礎化学品)の構造改革継続

・海外事業展開の継続

・高機能材事業の拡大(潤滑油・機能材料・電子材料)

 当社は、安定した収益基盤の確立、持続的な成長戦略の構築を通じて企業価値の向上に取り組んでいきます。

 

 なお、前述のうち将来に関する記述は、現時点で入手可能な情報に基づくものであり、実際の業績は今後の様々な要因によって、目標と相違する場合があります。

 

(3) 会社の支配に関する基本方針

 当社は、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上のため、安定的かつ持続的成長の実現に努めています。

 したがって、当社株式を大量に取得しようとする者の出現等により、当社グループの企業価値・株主共同の利益が毀損されるおそれがある場合には、法令・定款で許容される範囲内において適切な措置を講じることを基本方針とします。

4【事業等のリスク】

当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(セグメント上のリスク)

石油製品セグメント

(1) 原油価格の変動について

当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、アジアにおける原油需要の増加、中東やアフリカの産油国の政情不安、南米産油国における資源の国有化の動き、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も変動することが懸念されます。
 また原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けます。
 当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。
 なお当社グループは、たな卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価なたな卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価なたな卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。

 

 (2) 市場の競争について

当社グループの石油製品事業は、複数の石油会社と競合しており、これらの中には当社グループよりも事業規模や市場シェアの大きい会社があります。また日本の石油市場は精製設備やSS数の過剰により激しい競争状態にあります。当社グループがこのような競争下において効率的な事業運営ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。

 

(3) 原油輸入先について

当社グループは、原油輸入のほぼ全量を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。

 

 (4) 石油製品の需要について

日本の石油市場は成熟しており、石油製品需要は徐々に減少すると見込まれています。更に、原油価格の高騰や、パリ協定に基づく地球温暖化に関する政府の対策等が、将来の石油製品の需要動向に影響を与える可能性があります。これらの要因により石油製品需要が減少した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(5) ニソン製油所プロジェクトについて

 当社グループはアジア市場における石油及び石油化学事業の展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学㈱(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下、「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスの建設を進めてきました。

 このプロジェクトの建設工事は平成29年4月末に完了し、平成29年度中の商業生産開始を目指しています。

 プロジェクトの総事業費は約90億米ドルと見込まれ、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクトファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達します。

 当社グループはプロジェクトファイナンスによる調達額のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%について銀行団に対し債務保証を行っており、建設工事の完了後に設備が一定の条件で稼働することができない場合、保証の実行により当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 また、当社グループはスポンサーによる出資及び貸付の35.1%を負担しますが、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 当社グループはプロジェクトで想定される損失に対し㈱日本貿易保険の海外投資保険を付保していますが、このような保険が損失を填補するために必ずしも十分ではない可能性があります。

 

石油化学製品セグメント

(1) 原料コストの変動について

当社グループは、石油化学製品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、中国等において計画されている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。ナフサ価格の変動を市場における激しい競争等の要因により石油化学製品の価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(2) 需要の変動について

日本を含むアジアの石油化学市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。当社グループが石油化学事業を行うに際しては、日本やアジアの市場において、より事業規模が大きく経営基盤の確立した、あるいはより競争力を有する企業や米国産シェールガスによる基礎化学品等との競合にさらされます。また、最近において中国を始めとするアジアの国々における石油化学製品の需要は増加してきましたが、これらの国々における経済の低迷や他の要因により今後の需要は減少する可能性もあります。このような市場における競争の激化や需要の低迷により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

資源セグメント

(1) 石油開発事業について

 ①資源確保について

当社グループは、商業生産につながる資源の権益の取得、発見に努めています。しかし、当社グループによる権益の取得や探鉱が成功しない場合や確認済みの資源を予定どおり効率的に開発することができない場合、将来の原油生産は減少することになります。更に、当社グループが保有する確認済みの資源はノルウェーに集中しており、探鉱活動についてはノルウェー、英国、ベトナムの3地域で行っています。これらの地域における政治経済情勢等により当社グループの探鉱開発が中断され、確認済みの資源の開発や追加的な資源の発見ができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

 ②原油価格について

石油開発事業の近年の営業利益は、主に原油価格に支えられていますが、原油価格は過去においても変動しており、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(2) 石炭事業について

当社グループはオーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売しており、これら地域における今後の石炭需要の伸びに対応して、生産能力を拡大しています。しかしながら、他のエネルギーへの需要の移動、環境及びその他の規制等により、需要が伸びない可能性があります。また、需要が増加した場合でも当社グループよりも事業規模が大きく、経営基盤が確立している他の企業との競争にさらされる可能性もあります。更に、当社グループによる石炭鉱山事業は気候の変動、事故、政治経済情勢、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けるかもしれません。石炭需要の期待された伸びが実現しない場合や石炭価格の変動、他の企業との競争等により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

その他セグメント

    電子材料、アグリバイオ事業について

当社グループは将来の成長に向けて、電子材料分野やアグリバイオ分野において、付加価値の高い製品の開発を行っています。しかしながら、市場拡大の遅れや新素材を含む他社との開発競争等により、これらの製品の開発や生産あるいは市場の開拓で成果を挙げられるとは限りません。もし、当社グループが採算のとれる規模でこれらの製品の販売ができない場合、当社グループは開発コストを回収し、利益を確保することができない可能性があります。

 

 

 

(その他のリスク)

(1) 投資について

当社グループは事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。当社グループは当連結会計年度には、461億円の投資を行いました。今後も石油、石油化学を始めとする既存事業の競争力強化や石油開発・石炭事業の収益確保、新規事業育成のための投資を継続する予定ですが、投資に必要なキャッシュ・フローを生み出すことができない場合や外部調達ができない場合、予定した投資ができず期待された収益機会を失う可能性があります。更に経済情勢や市場環境の変化等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない可能性もあります。このような場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(2) 有利子負債について

当社グループは、これまで有利子負債の削減を図ってきましたが、依然として多額の負債を負っています。当連結会計年度末における有利子負債残高は1兆523億円で、当連結会計年度の支払利息は93億円です。
 当社グループは、今後も有利子負債の削減に取り組んでいきますが、事業の継続、拡大に向けた投資を行うため追加的な資金調達が必要となるかもしれません。しかしながら、金融情勢の変化等により、資金調達に制約が生じた場合や金利上昇により金利負担が増加する場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。また、一部の有利子負債については、一般的な財務制限条項が付されており、今後、財務体質が大きく変動した場合には、当社グループの資金調達が影響を受ける可能性があります。

 

(3) 事業提携及び経営統合について

当社グループは競争力強化の一環として、他社との事業提携を進めてきました。このような提携は当社の事業遂行において重要な役割を果たしています。また、燃料油事業等の強化を目的として経営統合の検討も進めています。しかしながら、戦略的な提携や経営統合の検討においては、当社グループが出資先の経営、事業、資産に対して、十分なコントロールができない可能性があります。また、相手先企業の事情や当社グループの置かれた環境等によって事業提携及び経営統合が影響を受ける可能性や、当初期待した成果やシナジー効果等を十分に得られない可能性があります。このような場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。

 

(4) 事故、災害について

当社グループの事業は、自然災害や事故、これらに起因する操業停止等のリスクを有しています。自然災害には地震、津波、台風に加えて、日本という地震の多い地域に立地する製油所・工場における火災や爆発のリスクを含みます。当社グループの設備は人的、機械的なエラーによる事故の影響を受けることもあります。当社グループが保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突等の危険にさらされています。また、当社グループは労働紛争によるリスクにもさらされます。このようなリスクの発生により当社グループの事業は、長期間にわたって中断される可能性があります。
 当社グループは事故や災害で想定される損失に対し、損害保険等を付保していますが、このような保険が損失を填補するために必ずしも十分ではない可能性があります。

 

(5) 環境に関する規制について

当社グループの事業は、当社グループが事業を行い、あるいは権益を有する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行ったり、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。地球温暖化問題への取り組みに関連して、日本や他の国が温室効果ガスの排出の制限や新たな炭素課税を導入することにより、当社グループは多額の費用負担や投資が必要となる可能性があります。このような環境やその他の規制の遵守に伴う債務や義務の負担により、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。

 

 

(6) 知的財産権について

当社グループは、事業の遂行のために知的財産権やライセンスを活用しており、特に石油精製技術や潤滑油、機能性樹脂、機能化学品、電子材料、アグリバイオ等の付加価値の高い製品分野において特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループはブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産権を保護するために十分であるとは限りません。
 また、当社グループの企業秘密が従業員、取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。
 当社グループが、第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性や、第三者から知的財産権の侵害についてクレームを受けて、その技術を利用できなくなる可能性があります。
 当社グループが事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(7) 為替相場の変動について

当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。

また、為替相場の変動は、海外の連結子会社及び持分法適用会社の収益や財務諸表を円貨換算する場合にも影響を与えることになります。

 

(8) 資産価格の下落について

当社グループは、当期に固定資産の減損損失109億円を計上しました。今後も当社グループが保有する資産の価値が経済情勢等の変化により下落した場合には評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

(9) 個人情報の管理について

当社グループは、石油製品販売やクレジットカード事業等に関して顧客の個人情報や資産データを直接、間接に取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底やそれによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。更に、顧客の個人情報が不適切に取り扱われ、あるいは管理上の問題が発生した場合、当社グループがその情報を直接管理していたかどうかにかかわらず、当社グループへの信頼の低下、クレーム、訴訟等につながり、当社の事業、経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

  (10) 株主との取引について

当社は、日章興産㈱、公益財団法人出光文化福祉財団と不動産賃貸借取引を行っており、取引条件は、近隣の相場をもとに決定しています。また、公益財団法人出光美術館に寄付を行っていますが、寄付金は当該公益財団法人の運営費及び当社の事業規模、宣伝効果などを勘案して決定しています。

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、平成27年7月30日開催の取締役会において、昭和シェル石油株式会社(以下「昭和シェル」)の株式を取得することを決議し、同日付で昭和シェルの株主であるロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシーの子会社(以下RDS社)との間で、昭和シェルの株式(議決権比率33.3%)について株式譲渡契約を締結しました。また、当社は、平成28年12月19日開催の取締役会において、上記株式譲渡契約の変更契約の締結について決議するとともに、同日、RDS社との間で同変更契約を締結し、昭和シェルの株式(議決権比率31.3%)の取得を完了しました。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 追加情報」に記載のとおりです。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、石油製品、石油化学製品、資源、電子材料及びアグリバイオの各事業、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。

なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費27億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比6億円増加の131億円です。

 

 (当社グループの研究開発体制)

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当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。

 

(1) 石油製品セグメント

石油製品セグメントでは、環境に配慮した石油製品、潤滑油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は32億円です。

①燃料油事業では、重質油処理装置の全体最適処理技術の開発及び、劣質原油処理時の腐食機構の解明と対策検討、石油製品の高付加価値化を目的としたペトロリオミクス技術の開発、プロセス技術を活かした事業競争力の強化、製油所・工場・事業所の高効率化、省エネルギー化及び環境調和型社会への貢献を目指した技術開発を行っています。

②潤滑油事業では、省燃費・省エネルギーや環境に配慮して開発した商品をグローバルに展開し、国内及び海外市場への安定供給実現に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・自動車用潤滑油においては、API GF-5規格の品質を向上させた次世代エンジンオイルを開発し、商品ラインアップを拡充しました。

・工業用潤滑油においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、地球温暖化係数(GWP)の低い冷媒用冷凍機油、消費電力削減に繋がる省エネルギー型機械設備用潤滑油、更に、油の寿命を延長することで廃液量の削減を実現した環境負荷低減型水溶性加工油の開発を推進し、商品ラインアップを拡充しました。

 

 (2) 石油化学製品セグメント

石油化学製品セグメントでは、機能材料事業において、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は27億円です。

①機能材料分野では、新機能を有した粘接着基材の開発及びエンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・通常の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く、軟質特性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュ®)は、従来から展開してきた衛生材料用接着剤原料、不織布改質剤、フィルム改質剤、及び木工用接着剤原料としての用途開発を展開し、拡販に繋げました。

・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロン®)では、透明性や流動性に優れた新しいグレードを開発し、液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ています。平成27年12月に千葉工場のポリカーボネート製造装置を停止し、平成28年度より特殊グレードを含む全てのグレードの生産を、台湾Formosaグループの中核企業であるFCFC社へ集約し、市場での競争力をさらに向上させました。

・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレック®)では、成型サイクルや成形時の発生ガスを低減したグレードを展開し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電波透過性、電気特性が評価され車間距離レーダー部品、電気自動車部品への採用を拡大しました。

②シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・包装材料では、顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、コンビニエンスストアで使用される惣菜容器向けのシートグレードの改良(商品名:マルチレイTM)や、直線カット性を有するジッパーテープグレードの改良(商品名:プラロックTM)等により、商品ラインアップの拡充を行いました。

・加飾分野では、自動二輪外装用途のシート改良を推進し、大手バイクメーカーへの採用を拡大するとともに、新たに開発したグレードにより自動車・住設・家電の各分野への用途開発を推進しました。

(3) 資源セグメント

石炭事業では、鉱山で生産される製品炭の品質を向上させるとともに、石炭を効率よくクリーンに利用して環境負荷を低減する技術の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は2億円です。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりで、特にパリ協定発効を踏まえ、環境と調和した石炭利用技術の開発を強化しました。

石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマスの市場開発に着手し、評価技術を確立しました。これを用いて、石炭との混焼に最適な木質ペレットの選定及び需要家へのコンサルティングセールスを行っています。

郵船商事株式会社が保有するボイラ制御最適化システム(商品名:ULTY)の拡販を日本郵船グループと共同で開始するとともに、出光の石炭高効率燃焼技術を融合させることで機能向上を図った新型ULTYの開発に着手し、需要家の石炭ボイラから排出するCO2の削減に貢献しています。

海外の国家プロジェクトで出光の石炭評価システムが複数採用されるとともに、石炭品質によるトラブルを回避するための発電所運転に関する技術コンサルを受注しました。

低品位炭の利用促進を目的に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でインドネシア褐炭を用いた研究開発を実施しました。瀝青炭とのブレンドによる自然発熱性抑制や水熱反応による改質炭・合成油同時合成などの成果を得ました。

 

(4) その他セグメント

上記以外に、電子材料事業、アグリバイオ事業で研究開発を行っています。当セグメントに係る研究開発費は43億円です。

①電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・平成28年11月に、ドイツ・メルク社と有機EL 材料関連分野における特許の相互利用に関する提携契約を締結しました。

・平成29年1月に、ファインケミカル分野において世界的な先進地域であるスイス連邦にて有機EL材料開発会社を設立しました。

②アグリバイオ事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。

・連結子会社の㈱エス・ディー・エス バイオテックでは、日本において新規農薬1剤の農薬登録を取得しまし

た。

 

 (5) 全社共通(コーポレート研究)

コーポレート研究としては、事業部研究所が実施した開発品について高度な分析機器と解析技術によるサポートを実施することと、社会や技術のトレンドを掴み自社との適社性を加味しながら新規事業の創出に向け、畜産分野における動物用ワクチンの開発や、電動車輛など電気エネルギーの有効活用に向けた次世代蓄電池用材料の開発を実施しています。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

①売上高

売上高は、円建て原油価格が下落したことなどにより3兆1,903億円(前年同期比△10.6%)となりました。セグメント別には、石油製品セグメントが2兆4,382億円(前年同期比△11.4%)となり、石油化学製品セグメントは、ナフサ価格が下落したことなどにより4,612億円(前年同期比△11.4%)となりました。資源セグメントは、資源国通貨安の影響などにより2,273億円(前年同期比△0.7%)となりました。また、その他セグメントは636億円(前年同期比△8.6%)となりました。

 

②売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、円建て原油価格及びナフサ価格の下落などにより2兆7,709億円(前年同期比△16.3%)となりました。なお、たな卸資産の簿価切り下げの影響を含めた在庫評価により、在庫影響額は1,553億円改善しました。

販売費及び一般管理費は、2,843億円(前年同期比+1.3%)となりました。

 

③営業利益

上記の結果を受け、営業利益は1,352億円(前年同期比+1,549億円)となりました。セグメント別の分析は次のとおりです。

 

セグメント別売上高及び営業利益

セグメント

売上高

営業利益

当期

前年同期比

当期

前年同期比

石油製品

24,382

億円

△11.4

770

億円

 

(在庫評価影響除き)

 

 

(460

億円)

△10.3

石油化学製品

4,612

億円

△11.4

400

億円

△5.5

(在庫評価影響除き)

 

 

(379

億円)

△17.4

資源

2,273

億円

△0.7

166

億円

 

その他

636

億円

△8.6

51

億円

△42.3

調整額

 

 

△34

億円

 

31,903

億円

△10.6

1,352

億円

 

(在庫評価影響除き)

 

 

(1,021

億円)

△0.4

 

 石油製品セグメントでは、製品マージン改善や前連結会計年度では大幅な損失となっていた在庫影響が利益に転じたことなどにより770億円となり、前年同期比では+1,444億円となりました。なお、営業利益に含まれる在庫評価益は310億円です。

石油化学製品セグメントでは、円高による為替影響などにより400億円(前年同期比△23億円)となりました。なお、営業利益に含まれる在庫評価益は21億円です。

資源セグメントでは、石炭事業における資源国通貨安の影響やコスト削減などにより166億円(前年同期比+172億円)となりました。

その他セグメントは51億円(前年同期比△42.3%)となりました。

 

④営業外損益及び経常利益

営業外収益191億円から営業外費用144億円を差引いた営業外損益は、海外子会社の外貨建借入金に係る為替評価損減少などにより前年同期比70億円損失減の47億円の利益となりました。

以上の結果、経常利益は1,400億円(前年同期比+1,619億円)となりました。

 

⑤特別損益及び税金等調整前当期純利益

特別利益29億円から特別損失198億円を差引いた特別損益は、前年同期比161億円損失減の170億円の損失となりました。これは、資源事業での減損損失の減少などによるものです。

以上の結果、税金等調整前当期純利益は1,230億円(前年同期比+1,780億円)となりました。

 

⑥法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益

法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、合計で325億円となり、税金等調整前当期純利益に対する負担率は26.4%となりました。

非支配株主に帰属する当期純利益は24億円となりました。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は882億円(前年同期比+1,242億円)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

①資産の部

当期末における資産合計は、昭和シェル石油㈱の株式取得や原油価格の上昇による売掛債権・たな卸資産の増加などの影響により2兆6,416億円(前期末対比+2,395億円)となりました。

 

②負債の部

負債合計は、有利子負債(1兆523億円)の増加や原油価格の上昇による買掛債務の増加などにより、2兆217億円(前期末対比+1,572億円)となりました。

 

③純資産の部

当期末の純資産合計は、882億円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどにより6,199億円(前期末対比+823億円)となりました

 

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の20.8%から22.1%と1.3%改善しました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①キャッシュ・フローの分析

 当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、901億円となり、前期末に比べ、287億円減少しました。その主な要因は次のとおりです。

営業活動におけるキャッシュ・フローは、535億円の収入となりました。これは、原油代上昇による売掛債権・たな卸資産の増加などの資金減少要因を、税金等調整前当期純利益や減価償却費などの資金増加要因が上回ったためです。

投資活動におけるキャッシュ・フローは、2,148億円の支出となりました。これは、主として昭和シェル石油㈱の株式取得や製油所設備の維持更新投資の増加などによります。

財務活動におけるキャッシュ・フローは、1,361億円の収入となりました。これは、短期借入金・コマーシャル・ペーパーによる資金調達が増加したことなどによります。

 

なお、当社グループの財務状況に関する主要な指標のトレンドは次のとおりです。

 

平成25年

3月期

平成26年

3月期

平成27年

3月期

平成28年

3月期

平成29年

3月期

自己資本比率(%)

24.0

23.5

21.5

20.8

22.1

時価ベースの自己資本比率(%)

11.9

11.3

12.3

13.4

23.4

ネットD/Eレシオ(倍)

1.2

1.3

1.5

1.6

1.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

3.9

4.5

17.2

18.8

5.7

投下資本営業利益率(%)

7.1

4.7

△6.3

△0.7

8.6

営業活動によるキャッシュ・フロー(億円)

508

501

1,729

2,164

535

 (注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。

自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

投下資本営業利益率:(営業損益+持分法投資損益)/(純資産+有利子負債)

2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を、利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の「利息の支払額」を使用しています。

 

②資金需要

当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払い等によるものです。営業費用の主なものは、人件費、物流費、作業費、研究開発費等です。

設備資金については、各事業分野別に以下の資金需要があります。

ア.燃料油事業・基礎化学品事業については、販売・供給体制の再構築と競争力強化を目的とした投資や海外成長市場への進出による事業拡大のための投資

イ.石油開発事業・石炭事業・ウラン事業については、保有鉱区の安定生産の継続と探鉱開発による埋蔵量確保に向けた投資

ウ.潤滑油事業・機能材料事業・電子材料事業・アグリバイオ事業については、環境配慮型商品の開発強化やグローバル展開による事業拡大に向けた投資

 

③財務政策

当社グループは、運転資金及び設備投資資金については、主に自己資金、借入、コマーシャル・ペーパー及び社債の発行などにより調達しています。当期末の短期借入金の残高は2,871億円、長期借入金(1年以内返済分を含む)の残高は5,946億円、社債(1年以内償還分を含む)の残高は650億円となりました。

国内子会社は、当社が一括して資金調達し子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。海外子会社の運転資金及び設備投資資金については、各々の子会社が使用する現地通貨にて調達しています。

当社グループは、中長期的な成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資資金を、財務体質とのバランスを勘案しつつ、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入、コマーシャル・ペーパーや社債の発行及び特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の活用、更に資本増強等を効果的に組み合わせて調達していきます。

 

(債務)

 当連結会計年度末の債務の概要は次のとおりです。

 

返済期限

 

合計

1年以内

1年超

2年以内

2年超

3年以内

3年超

4年以内

4年超

5年以内

5年超

短期借入金(億円)

2,871

2,871

長期借入金(億円)

5,946

705

473

422

959

479

2,907

社債(億円)

650

100

250

100

-

200

-

 

(特定融資枠契約)

当社グループは、運転資金の効率的な調達及び十分な流動性確保並びに、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行6行で作られるシンジケート団と、平成30年3月までの契約期間において短期借入を実行できる長期の特定融資枠契約(災害型コミットメントライン契約)を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。なお、当連結会計年度末において同契約にかかる借入残高はありません。
       特定融資枠契約の極度額 1,000億円