(1)中期経営計画の見直し(2020~2022年度)
当社は、2019年11月に中期経営計画を発表しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって経営環境は大きく変化しました。加えて日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言により脱炭素化の動きが加速しています。中長期戦略の再構築と打ち手のスピードアップを図るため、2019年11月に公表した中期経営計画の見直しを実施しました。概要は以下のとおりです。
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長期事業環境想定 |
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不確実な変数が多く、事業環境は極めて不透明 |
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脱炭素化・高齢化は確実に進展 |
2019年公表の中期経営計画ではシナリオ3『虹』を前提
↓
中期経営計画の見直しでは、よりアジア太平洋地域の石油需要が早期にピークアウトを迎えかつ減少していく、シナリオ4『碧天』の可能性が高まったと認識
企業のレジリエンスを高め、将来の社会課題に着実に取り組むことが必要
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当社のパーパス再確認と2030年ビジョン |
当社の歩みを振り返ると、終始一貫「仕事を通じて人が育ち、無限の可能性を示して社会に貢献する」という価値観を大切にしてまいりました。これを「真に働く」という企業理念として成文化し、従業員一人ひとりの拠り所として、将来の変革に挑戦してまいります。
当社の歩みと大切な価値観
企業理念
2030年ビジョン
エネルギーの安定供給と共に社会課題の解決に貢献することが当社の責務と認識。
私たちは、
責任ある変革者
を2030年ビジョンとして掲げ、
■地球と暮らしを守る責任:カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリアルトランジション
■地域のつながりを支える責任:高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コミュニティ
■技術の力で社会実装する責任:これらの課題解決を可能にする先進マテリアル
3つの責任を事業活動を通じて果たしてまいります。
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2030年に向けた基本方針と経営目標 |
中長期的な経営環境が極めて不透明な中で、いかなる環境変化にも柔軟に対応できるレジリエントな企業を目指すため、「ROIC経営の実践」「ビジネスプラットフォームの進化」「Open・Flat・Agileな企業風土醸成」の3つの方針を掲げます。
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基本方針1 |
ROIC経営の実践 |
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■資本効率性を高め、筋肉質な企業体質を実現することで、リスク許容度を向上
■ポートフォリオマネジメントに加え、成果を的確に測定するパフォーマンスマネジメントの手段としても活用
■投資判断においては、ICP(インターナルカーボンプライシング)を活用
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基本方針2 |
ビジネスプラットフォームの進化 |
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DXの加速 |
■Digital for Idemitsu(業務改革)から for Customer・for Ecosystem(顧客・ネットワーク価値提供)へ ※2021/4/1 DX認定取得(DX-Ready) |
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ガバナンスの 高度化 |
■少数且つ経営課題に即した取締役会メンバー構成、討議中心の運営 ■社外役員が主導する公正透明な指名報酬検討プロセスの更なる充実 ■海外現法含むグループ内部統制成熟度の向上 |
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基本方針3 |
Open・Flat・Agileな企業風土醸成 |
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理念・ビジョン の浸透 |
■インナーブランディング展開、社会課題解決挑戦に対する共感の醸成 ■環境変化に迅速かつ柔軟に対応するための基軸の確立 |
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組織改革 |
■階層簡素化による意思決定の迅速化、間接部門スリム化による生産性向上 ■積極的な権限移譲による成長機会の充実 ■スパンオブコントロールの最適化によるマネジメントの質向上 |
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働き方改革 |
■多様な価値観・ライフスタイルに応じた就労環境の整備、機会均等の実現 ■既存業務改革による知の探索の促進、高付加価値業務へのシフト ■脱100点主義による業務のスピード・質向上、共創促進 |
以上の基本方針を踏まえた事業戦略は次のとおりになります。
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燃料油 基礎化学品 |
■apollostationの「スマートよろずや」化 ■製油所・事業所体制の見直し、コンビナート全体での「CNX※センター」化 ■需要減に先んじた固定費圧縮 ※CNX:Carbon Neutral Transformation ■精製/化学のインテグレーション深化 ■ニソン製油所の収益貢献化 |
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高機能材 |
■リチウム固体電解質の事業化 ■電子材料・機能化学品・潤滑油・グリース・機能舗装材・アグリバイオ等 先進マテリアルの開発加速 |
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電力・再エネ |
■太陽光・風力・バイオマスの再エネ電源開発拡大 ■再エネを核とした分散型エネルギー事業の展開 ■ソーラーフロンティアのシステムインテグレーターへの業態転換 |
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資源 |
■石油開発:東南アジアガス開発へのシフト、開発技術を活用したCCSへの取り組み ■石炭:鉱山生産規模縮小、低炭素ソリューション事業へのシフト(ブラックペレット・アンモニア) ■国内外での地熱事業拡大 |
将来に向けたポートフォリオ転換
基本方針に掲げた3つの方針に取り組むことで、2030年ビジョンを実現し、将来に向けたポートフォリオの転換を目指します。
2050年カーボンニュートラルへの挑戦
当社は、Scope1+2のCO2を可能な限り削減し、ネガティブエミッションの取り組みを進めながら、2050年のカーボンニュートラルの達成を目指します。これを成長機会と捉え、脱炭素化に資する事業を拡大するとともに、お客様のニーズを的確に把握しながらバリューチェーン全体でのCO2排出量削減にも取り組み、SDGsNo.7「エネルギーをみんなに、クリーンに」という難題へ正面から挑戦してまいります。
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■カーボンニュートラルへの挑戦 |
■バリューチェーン全体でのCO2排出量削減 |
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2030年度経営目標
在庫影響を除いた営業+持分利益は2,500億円とし、ポートフォリオマネジメントとパフォーマンスマネジメントを通じてROICを7%に引き上げることで、企業価値の向上を目指します。
また2050年カーボンニュートラルの中間目標として、2017年対比でCO2の400万tの削減を目指してまいります。
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2020年度実績 |
2030年度 |
2020年度比 |
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営業利益+持分 |
928億円※① |
2,500億円 |
+1,572億円 |
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ROIC |
3% |
7% |
+4% |
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GHG削減目標※②③ (Scope1+2) |
―※④ |
▲400万t |
― |
※①:在庫影響除き
※②:2017年度対比 ※③:グループ製油所を含む ※④:2020年度実績は算定中
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中期経営計画(2020~2022年度)の概要 |
経営目標
2020~2022年度の3か年累計(ROEは2022年度)目標は以下の通りです。
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当期利益 (在庫影響除き) |
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営業+持分利益 (在庫影響除き) |
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ROE |
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FCF |
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(3か年累計) 2,200億円 |
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(3か年累計) 4,100億円 |
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(2022年度末) 8% |
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(3か年累計) 2,300億円 |
※2022年度の主要前提:原油60$/BBL、ナフサ560$/t、石炭75$/t、為替105円/$
セグメント別営業利益+持分利益(在庫評価影響除き)
燃料油セグメントにおける統合シナジーの拡大、ニソン製油所の収益改善に加えて、資源価格や基礎化学品市況の改善等を織込み、2022年度には1,750億円の営業利益(持分利益含む)を目指します。
キャッシュバランス
固定費削減や、投資案件の厳選、積極的な資産売却によって、フリーキャッシュフローを2,300億円確保します。フリーキャッシュフローは、株主還元、戦略投資、財務体質強化に配分します。
投資計画
投資計画は3年間累計で5,700億円を見込み、戦略及びM&A財源については、ポートフォリオ転換に向けた投資に配分してまいります。
株主還元
当社は株主還元を重要な経営課題の一つと認識し、株主還元方針を以下の通りとします。
(1)2020~2022年度3か年累計の在庫影響除き当期純利益に対し、総還元性向50%以上の株主還元を実施します。
(2)1株当たり120円の安定配当とします。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
① セグメント毎の課題
当社のセグメント毎の具体的な課題は以下のとおりです。
ア. 燃料油セグメント
(ア)石油精製の最適化
石油精製については、長期的なコスト競争力向上と設備信頼性向上のために、継続的且つ効率的に投資を行っていくことにより、将来に向けた最適な製油所体制を目指します。
(イ)燃料油事業の海外展開
アジア・太平洋地域におけるトレーディング事業、ベトナムにおけるニソン製油所の操業とSSの展開、北米における卸事業、豪州における卸小売事業の展開を通じて、海外での燃料油事業を推進していきます。ニソン製油所については、当年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて厳しい収支が継続しましたが、2021年度以降も安定操業の継続、コスト適正化、マージン回復等により引き続き収益改善に取り組みます。
(ウ)特約店、販売店のネットワーク強化
特約販売店のネットワークは、燃料油、ガス等の、地域で必要となるエネルギー供給の担い手です。特約販売店の経営力の安定化のため、また、地域の抱える課題の解決に貢献するために、今まで培ってきたリテール施策を通じて、コンサルティング、情報処理、商品・サービスの開発・投入を行い、より一層強固な関係を構築していきます。2021年4月より展開を開始したSS新ブランドapollostationを始め、6,300店の両ブランドSSネットワークを最大限活用していただけるよう、価値提供を行います。
また、デジタル技術(ICT)を活用した出荷予測、SS在庫情報、船舶、ローリー運行状況等の情報をリアルタイム且つ双方向に高度に連携することで、物流システムの最適化、サービスの向上を実現しつつ、物流の需要密度低下と現場人材不足に対応していきます。
イ. 基礎化学品セグメント
国内事業の収益基盤の安定・拡大を促進するため、徹底した効率化によるコスト低減を図るととともに、千葉、徳山のコンビナート顧客と連携し、事業環境に応じた安定生産と最適化、原料多様化による競争力強化を図ります。
また、燃料油事業と一体となった「Fuel to Chemical」を推進し、燃料油・化学の装置稼働を最適化し、さらに物流提携による収益力向上を目指します。
さらに、オレフィンとアロマの事業基盤を確保しながら、資源循環やカーボンニュートラルをはじめとした環境に関する社会要請に対しても、個社単独だけでなく、コンビナートや地域、他社との提携も含めた具体策の検討を進めます。
ウ. 高機能材セグメント
(ア)潤滑油事業
自動車用潤滑油の分野では高度なトライボロジー(潤滑工学)を駆使して、お客様のニーズに適ったOEM製品を提供することで、お客様の事業展開をサポートしていきます。自動車メーカーや部品メーカーの海外移転に伴い、市場がアジア等の新興国に移っており、海外拠点の拡充に取り組みます。世界的な潮流となっている脱炭素社会の実現に向け、EV市場をターゲットに、EVの電動ユニットに適合する潤滑油、モーター駆動に伴う高耐熱性化・低騒音化のニーズに対応するグリースの開発に取り組みます。また、産業機械向けの油圧作動油やギヤ油などの工業用潤滑油についても、環境問題への関心の高まりに伴う省エネ、省資源のニーズに合致した、環境対応型高機能商品の開発を行います。
(イ)機能化学品事業
エンジニアリングプラスチック、粘接着基材などの独自技術をベースに、国内外の成長市場や需要拡大が見込まれる用途での販売拡大を進めます。技術革新が速い自動車・電装部品や情報通信機器、アジアを中心として需要が拡大している生活消費財などが主なターゲットとなります。市場のニーズに応えながら安定生産と事業規模拡大を進めるため、水添石油樹脂の海外生産を当年度から開始し、2022年度にはシンジオタクチックポリスチレン樹脂の海外生産を計画しています。
(ウ)電子材料事業
市場拡大期に入った有機EL材料需要への対応のため、更なる性能向上を実現できる研究開発体制を整備し、海外製造拠点を増強することで、ユーザーの期待に応えます。
(エ)機能舗装材事業(高機能アスファルト事業)
国内唯一の総合アスファルトメーカーとして、これまで培ってきた独自の技術力とノウハウを活かし、安全安心かつ環境にやさしい商品を開発、提案してまいります。特に当年度は、政府が打ち出した「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」の初年度であり、発注者ニーズに対応すべく、舗装の長寿命化に資する高機能アスファルトの商品開発を通して、国内のインフラ強靭化に貢献していきます。また海外事業においては、東南アジアに進出し、安心安全かつ環境にやさしい道路舗装を普及します。
(オ)アグリバイオ事業
食の安全と農業の生産性向上を目指し、生物農薬の開発を進め、将来的な環境規制強化に対応し得る新たな農薬市場の開拓に取り組みます。
エ. 電力・再生可能エネルギーセグメント
国内においては競争力ある自社電源を基盤としつつ外部調達を最適化することで、お客様に電力を供給します。 また、当社は、風力、太陽光、バイオマスといった多様な再生可能エネルギー電源を有しており、今後もそのノウハウを活かして地域の特性に応じた電源開発を推進します。海外においては、北米におけるガス火力発電事業の推進、また北米や東南アジアにおける再生可能エネルギー事業に積極的に取り組みます。太陽電池事業においては、従来のパネル販売から電源システム販売を行うシステムインテグレーターへと業態転換を図ることで事業成長を目指します。
オ. 資源セグメント
新型コロナウイルスの世界的感染拡大により、エネルギー需要は世界的に大きく低迷しましたが、引き続き安定供給の観点から、既存の石油、石炭の資源資産価値の維持・向上とアジア圏でのガス田開発に取り組みます。石炭については環境負荷低減を図るため、高効率燃焼技術の提案や石炭への混焼比率を高めることができるバイオマス燃料の製造技術を確立します。また、地熱開発については、大分県での地熱事業の維持・継続とともに、新規事業の調査・実証を進めます。
カ. 研究開発及び新ビジネス開発
(ア)研究開発及び新ビジネス開発
当社は有機化学、無機化学、環境負荷物質の低減における知見、技術的強みを有しており、これらを高めることで新たな素材やプロセスの開発につなげてまいります。社会的課題の解決に向け、コーポレート研究や各事業に属する製品研究で培ってきた技術をクロスファンクショナルにテーマ化し、国内外の大学、研究機関と連携するオープンイノベーションを推進します。同時に、内外にインキュベーション機能を持ち、ベンチャー企業との提携、資本参加の積極的推進により、研究開発を加速するとともに、新たなビジネスを創生していきます。さらに、デジタルトランスフォーメーションを推進し、次世代(Society5.0)のエネルギーインフラ構築や超小型EVを始めとする新たなモビリティを活用したビジネスモデル型事業の開発に取り組みます。
(イ)全固体リチウムイオン電池向け固体電解質
全固体化に伴う電池性能向上により、充電時間の大幅短縮や蓄電能力向上を図ります。また、EVをはじめ、リチウムイオン電池の活用範囲を広げることが可能となる全固体電池向け固体電解質の事業化に向けた研究・開発を加速し、2020年代の上市を目指します。
② サステナビリティへの取り組み
エネルギーや素材の供給を事業の中心とする当社にとって、地球環境・社会との調和につながるESGやSDGs課題は最優先で取り組むべきものと考えています。
以下の項目を重点課題(マテリアリティ)として掲げ、活動を通して持続可能な地球環境と社会を実現しつつ、企業としての持続的成長を目指します。
・事業活動上排出する温室効果ガス(GHG)を削減する。
・人権や労働へ配慮をしつつ、パートナーと協働して持続可能なサプライチェーンを構築する。
・多様な人々が活き活きと仕事に取り組める職場環境を整備する。
・当社グループの持つ事業資産と低炭素化技術を組み合わせ、社会課題の解決につながる新たな事業創出を行う。
③ 財務上の課題
2030年の基本方針の実現に向け中期的に事業構造の改革を着実に推進するため、キャッシュ・フローの配分を適切に実施するとともに財務基盤の維持・改善に努めます。
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態・経営成績及び投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には以下のようなものがあります。当社の業績に特に大きな影響を与える商品分野につきましては、セグメント別に記載しています。文中の将来に関する部分は、当社が有価証券報告書提出日現在において判断したものです。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する事業等のリスクに関しては、別途記載しています。
(1)国際情勢や経済環境等の変化によるリスク
当社グループは日本及び世界各地にビジネスを展開しており、各々の地域の政治動向、景気動向及び経済情勢による影響を受ける可能性があります。特に海外諸国の政治的又は経済的要因に起因する世界景気の減速及び日本国内における人口構成の変化等がもたらすエネルギー資源及び製品需要の変動や価格の乱高下は、当社の業績へ影響を与える可能性があります。
(2)事業を取り巻く外部環境の変化によるリスク
商品市況リスク
(燃料油セグメント)
当社グループは、石油製品の生産に必要な原油の殆どを輸入していますが、原油価格は過去においても大きく変動しており、アジアにおける原油需要の変動、中東やアフリカの産油国の政情不安、米国を始め石油消費国における環境規制・税制の動向、投機的な石油取引等により、今後も変動することが懸念されます。
当社グループは、石油製品価格を国内の市場価格に連動させることによりマージンを確保することに努めていますが、原油価格の変動が大きい場合や国内石油市場の激しい競争等により国内の市場価格が低迷した場合、財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは、たな卸資産を総平均法により評価しています。一般的に総平均法は、原油価格が上昇する局面では、期初の相対的に安価なたな卸資産による売上原価押し下げ影響により損益の改善要因となります。一方、原油価格が下落する局面では、期初の相対的に高価なたな卸資産による売上原価の押し上げ影響により損益の悪化要因となります。
なお、1バレル当たりのドバイ原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間40億円増減する可能性があります。
(基礎化学品セグメント)
① 原料コストの変動について
当社グループは、基礎化学品の原料であるナフサを自社製油所で生産するとともに市場から調達しています。ナフサ価格は、原油価格や、中国等において計画されている石油化学設備の新設による需要増加の影響を受けることがあります。ナフサ価格の変動を市場における激しい競争等の要因により製品価格に適切に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。
② 製品市況の変動について
日本を含むアジアの基礎化学品市場は激しい競争状況にあり、需要の変動や供給の増加の影響を受けます。アジアでは経済成長に伴う需要の増加が見込まれますが、近年で中国を中心とした基礎化学品を製造する大型の新設プラントが急増しており、アジア市場における供給過多や、新興国の経済成長鈍化に伴い、製品市況が低迷する可能性があります。このような製品市況の低迷により、当社グループの財政状態及び営業利益は影響を受ける可能性があります。
(電力・再生可能エネルギーセグメント)
当社グループでは、卸電力取引市場を介した電力の卸売及び調達を行っていますが、この取引価格が燃料価格や電力の需要動向、再生可能エネルギーの稼働状況等の要因によって大きく変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(資源セグメント)
石油開発事業の近年の営業利益は、主に原油価格に支えられていますが、原油価格は過去においても変動しており、政治経済情勢あるいはその他の要因により将来的に原油価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。なお、1バレル当たりのブレント原油価格が1米ドル変動すると、当社の営業利益は年間10億円増減する可能性があります。
石炭事業においてはオーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売していますが、政治経済情勢あるいはその他の要因により石炭価格が下落した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
調達リスク
当社グループは、原油輸入の大宗を中東地域に依存していますが、原油の安定調達を目的として主要な中東産油国と長期の原油輸入契約を締結し、同地域内におけるリスクの分散を図っています。しかしながら、これらの地域における政情不安、原油の生産調整、石油関連施設の事故等により、長期にわたって原油の輸入に制約が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績は重大な影響を受ける可能性があります。
カントリーリスク
(基礎化学品・高機能材セグメント)
当社グループは、主にアジア市場を中心とした基礎化学品の販売及び潤滑油分野における海外展開での事業拡大に努めていますが、経済の低迷や政治等他の要因により市場の成長が鈍化する可能性もあります。このような需要の低迷により、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。
(資源セグメント)
当社グループは、商業生産につながる資源の権益の取得、発見に努めています。現在、当社グループが保有する確認済みの資源や探鉱活動については、ノルウェー、ベトナム等のアジア地域が中心となっており、これらの地域における政治経済情勢等により当社グループの探鉱開発が中断され、確認済みの資源の開発や追加的な資源の発見ができない可能性があります。
また、当社グループは、オーストラリアの自社鉱山等で石炭を生産し、主に日本及びその他のアジア市場で販売しています。石炭鉱山事業につきましても、政治経済情勢、規制方針やその他の不確定要因の影響を受けることがあります。
為替リスク
当社グループは、多額の外貨建取引を行い、また外貨建の資産及び負債を有しています。このため、為替相場の変動は外貨建取引の収益や財務諸表の円貨換算額に影響を与えます。
また、原油輸入を米ドル建てで行っているため、原油の調達コストは円の米ドルに対する為替相場の影響を受けるほか、燃料油セグメントにおける在庫評価も影響を受けます。なお、1米ドル当たり1円変動すると、当社の営業利益は年間30億円増減する可能性があります。
(3)気候変動・環境規制に関するリスク
気候変動への対応に対して世界的に関心が高まる中、パリ協定に見られる低炭素社会への動きが加速し、今後各国における気候変動政策の強化、環境関連法規等の変更・新規導入が実施された場合、多額の費用負担や投資が必要となり、また当社グループの扱う商品の減少スピードが加速する可能性があります。日本では、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討やエネルギー基本計画の見直し議論において、供給力・調整力の観点から今後も火力発電を一定量確保する必要性が認識されているものの、今後、非効率石炭火力のフェードアウトが具体化し石炭需要が減っていく可能性があります。さらに資金調達の観点においても厳しさが増すことが想定され、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。
当社グループは、事業展開する日本やその他の国における広範な環境保全やその他の法的規制の下にあります。例えば、当社グループは、製油所や工場からの汚染物質の排出、廃棄物の処理等について規制を受け、基準を超える環境汚染発生に伴う罰則を受ける可能性もあります。また、日本や他の国の当局が新たな規制を行うこと、あるいは現在や将来の環境規制を遵守することにより多額の支出を伴う可能性があります。
その他にも、地球温暖化等の環境問題に伴うEV普及等の政策対応等が、将来の石油製品の需要動向に影響を与える可能性があります。また、廃棄プラスチック問題への社会的関心の高まり・規制の強化による使い捨てプラスチック削減に伴う汎用プラスチック需要の伸長鈍化が、基礎化学品や機能化学品の需要動向に影響を与える可能性があります。
(4)事業投資に関するリスク
当社グループは、事業資産の規模が大きく、既存の製油所・工場や販売設備等の維持更新、油田の権益取得や探鉱開発等の国内外の事業活動に多額の投資を必要とします。今後も石油、石油化学、資源事業など、既存事業の競争力維持には一定の投資を継続する予定です。一方で、カーボンニュートラル実現に向けて、製油所・工場の機能を低炭素で循環型の事業にシフトするための投資や、潤滑油、機能化学品、電子材料、リチウム固体電解質などの高付加価値製品の開発投資、さらには再生可能エネルギーへの投資など、化石燃料以外の新しい事業拡大へ向けた戦略投資を行っていく計画です。このような成長分野への投資においては、必要なキャッシュ・フローを生み出すまでに一定の時間を要するため、期待された収益機会を失う可能性があります。さらに経済情勢や政治動向、市場拡大の遅れ、新素材を含む他社との開発競争等によりこれらの投資が計画どおりの収益をあげられない場合は固定資産の減損損失を計上する可能性もあります。なお、投資の意思決定プロセスにおいて、投資金額をはじめとするリスクの多寡に応じた投融資委員会審議を設計することで、投資リスク低減と意思決定の迅速化の両立に努めています。
また、当社グループは、アジア市場における石油及び石油化学事業の海外展開の一環として、クウェート国際石油、ペトロベトナム及び三井化学㈱(以下当社を含め、「スポンサー」という。)と共同でニソンリファイナリー・ペトロケミカルリミテッド(以下「NSRP」という。)を設立し、ベトナム社会主義共和国タインホア省ニソン経済区に20万バレル/日の石油精製設備とパラキシレンをはじめとする石油化学品製造設備を有するニソン製油所・石油化学コンプレックスを操業しています。プロジェクトの総事業費は約90億米ドルであり、このうち50億米ドルは国際協力銀行をはじめとする銀行団によるプロジェクトファイナンスにより調達し、約40億米ドルはスポンサーによる出資及び貸付で調達しています。プロジェクトファイナンスによる調達額について銀行団に対し行っている債務保証及びスポンサーによる出資・貸付のうち、NSRPへの当社グループ出資比率相当の35.1%については、ベトナムにおける政治経済情勢、法律や規制及び雇用環境の変化等からプロジェクトが計画どおりに進展しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。
(5)その他経営全般に係るリスク
コンプライアンスに関するリスク
当社グループでは、従来からコンプライアンス規程に基づき、国内外の法令遵守をはじめとした、コンプライアンスの強化に努めています。しかしながら、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス上のリスクが完全に回避できない事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を失い、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。
また、当社グループは厳正な品質管理基準に基づき製品を製造していますが、万が一製品に欠陥が発生した場合に備えて保険に加入しています。しかしながら、予期せぬ事情で大規模なリコールや訴訟が発生した場合には、法的責任を負う可能性がある他、ブランドイメージの低下を招き、当社グループの財政状態及び経営成績は影響を受ける可能性があります。
知的財産に関するリスク
当社グループは、事業の遂行のために知的財産権やライセンスを活用しており、特に石油精製技術や潤滑油、機能化学品、電子材料、アグリバイオ、太陽電池等の付加価値の高い製品分野において特許や企業秘密の位置づけは重要です。また、当社グループは、ブランドを商標登録しています。しかしながら、当社グループが保有する特許、企業秘密、商標が当社の知的財産権を保護するために十分であるとは限りません。
また、当社グループの企業秘密が、従業員や取引先、その他の関係者によって不適切に取り扱われる可能性があります。当社グループが、第三者から供与されている技術ライセンスが更新されない可能性や、第三者から知的財産権の侵害についてクレームを受けて、その技術を利用できなくなる可能性があります。当社グループが、事業遂行に必要な知的財産権を保護できない、あるいは全面的に活用できない場合、当社グループの事業や経営成績は影響を受ける可能性があります。
自然災害・事故等によるリスク
当社グループの事業は、自然災害や事故、これらに起因する操業停止等のリスクを有しています。自然災害には、地震や津波、台風に加えて、日本という地震の多い地域に立地する製油所・工場における火災や爆発のリスクを含みます。当社グループの設備は、人的や機械的なエラーによる事故の影響を受けることもあり、また保有する大型タンカーを含む原油や石油製品の輸送は、海賊や悪天候による転覆、衝突等の危険にさらされています。さらに当社グループは、労働紛争や情報システム障害の発生及びパンデミックによるリスクにもさらされています。このようなリスクの発生により当社グループの事業は、長期間にわたって中断される可能性があります。
これらのリスクに対応するため、当社グループは危機対応に関する最上位の規程として「危機発生時の対応規程」を策定し、対応方針や危機レベルの捉え方、連絡系統、対策本部の設置方法などについてまとめています。事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)については、2006年度に首都直下地震版、2009年度には新型インフルエンザ版、2012年度に南海トラフ巨大地震版を策定しました。さらに2015年度に、内閣府より指定公共機関に指定されたことを受け、「防災業務計画」を作成しました。各種BCPに基づく総合防災訓練を毎年実施し、各拠点との連携や課題を確認し、実践的な対応力の強化に努めるとともに、BCPの改定に反映しています。製油所・事業所・工場などにおいては、各種危機対応規程類に基づき、拠点全体で防災訓練を定期的に実施しています。
当社グループは、事故や災害で想定される損失に対し損害保険等を付保していますが、このような保険が損失を填補するために必ずしも十分ではない可能性があります。
個人情報管理に関するリスク
当社グループは、石油製品販売やクレジットカード事業等に関して顧客の個人情報や資産データを直接的、間接的に取り扱っています。当社グループは、これらの情報の管理不徹底やそれによってもたらされる問題への対処のために、多額の費用を負担する可能性があります。さらに、顧客の個人情報が不適切に取り扱われ、あるいは管理上の問題が発生した場合、当社グループがその情報を直接管理していたかどうかにかかわらず、当社グループへの信頼の低下、クレーム、訴訟等につながり、当社の事業、経営成績は影響を受ける可能性があります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大に関するリスク
2020年度は、世界的なCOVID-19の感染拡大というパンデミックに見舞われ、当社グループの経営及び財政に大きな影響を及ぼしました。未だ国内での収束の見通しは立っておらず、その影響は長期化するリスクがありますが、石油製品需要が再度大幅に下落することは想定しておらず、国内需要は2020年度下期には前年同期に近い水準まで回復し、その後第2波、第3波の際も大幅な下落は見られません。また、石油化学品、潤滑油、電子材料等の分野においても、アジアの需要は順調に回復しているため、ワクチンの普及に伴い徐々に通常の水準に回復すると想定しています。ただし、ジェット燃料については大幅な減便の影響が依然として続いており、特に国際線向けは足下でも前年の半分程度の水準で推移しているため、需要回復までには数年かかるリスクがあります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
ア.一般経済情勢及び当社グループを取り巻く環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により緊急事態宣言が発令されるなど、第1四半期において大きく減速しました。その後は経済活動の再開が進められ、景気は秋まで緩やかに持ち直しが続いていましたが、感染再拡大を受けて年明け以降は停滞しました。
国内石油製品販売量は、航空便の運休・減便によるジェット燃料需要の大幅な減少に加えて、外出自粛の影響などによるガソリンの需要減により、全体で前年度を下回りました。
ドバイ原油価格は、OPECプラスの減産協議決裂に新型コロナウイルス感染拡大の影響が加わり、春先は急落しましたが、主要国の経済活動再開やOPECプラスの協調減産再開により持ち直し基調に転じ、6月以降は概ね40ドル/バレル前後で推移しました。11月以降は新型コロナウイルスワクチンの普及や米国経済回復への期待、OPECプラスの減産合意等を受けて上昇基調で推移しました。この結果、平均価格では前期比15.8ドル/バレル下落の44.5ドル/バレルとなりました。
円の対米ドルレートは、上半期は概ね105円~108円のレンジで推移しましたが、その後は世界的なコロナウイルス感染者数の拡大により一時102円台まで円高が進行しました。2月以降は、米国経済の正常化への期待による長期金利の上昇を背景にドルが堅調に推移し、年度末にかけて一時110円台まで円安が進みました。その結果、平均レートは前期比2.6円/ドル下落し106.1円/ドルとなりました。
イ.業績
当社グループの当期の売上高は、原油価格の下落や販売数量の減少などにより、4兆5,566億円(前期比△24.6%)となりました。
売上原価は、3兆9,976億円(前期比△29.0%)となり、販売費及び一般管理費は、4,190億円(前期比+0.5%)となりました。
営業損益は、在庫評価影響が前年度の893億円の損失から75億円の利益に転じたことに加えて、燃料油セグメントにおける増益などにより、1,401億円(前期比+1,439億円)となりました。
営業外損益は、持分法投資損失の計上などにより、317億円(前期比△216億円)の損失となりました。その結果、経常損益は1,084億円(前期比+1,223億円)となりました。
特別損益は、長期貸付金評価損や資源事業における減損損失の計上などにより、438億円(前期比△405億円)の損失となりました。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合わせた税金費用は、293億円(前期比+258億円)となり、非支配株主に帰属する当期純利益は3億円(前期比△85.2%)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損益は349億円(前期比+579億円)となりました。
ウ.事業の経過及び成果
セグメント別の事業の経過及び成果は以下のとおりです。
当社グループの決算期は、一部を除き、海外子会社が12月、国内子会社が3月であるため、当連結会計年度の業績については、海外子会社は2020年1月~12月期、国内子会社は2020年4月~2021年3月期について記載しています。
セグメント別売上高
(単位:億円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|
|
|
(2020年3月期) |
(2021年3月期) |
増減額 |
増減率 |
|
燃料油 |
48,210 |
35,934 |
△12,276 |
△25.5% |
|
基礎化学品 |
4,592 |
3,290 |
△1,302 |
△28.3% |
|
高機能材 |
3,938 |
3,326 |
△612 |
△15.6% |
|
電力・再生可能エネルギー |
1,277 |
1,237 |
△40 |
△3.1% |
|
資源 |
2,418 |
1,720 |
△698 |
△28.9% |
|
その他・調整額 |
23 |
59 |
+36 |
+154.3% |
|
合計 |
60,459 |
45,566 |
△14,892 |
△24.6% |
セグメント別利益又は損失(△)
(単位:億円)
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|
|
|
(2020年3月期) |
(2021年3月期) |
増減額 |
増減率 |
|
燃料油 (在庫評価影響除き) |
△1,094 (△201) |
1,021 (947) |
+2,115 (1,147) |
― ― |
|
基礎化学品 |
119 |
34 |
△85 |
△71.5% |
|
高機能材 |
284 |
130 |
△154 |
△54.3% |
|
電力・再生可能エネルギー |
△5 |
△173 |
△168 |
― |
|
資源 |
418 |
47 |
△370 |
△88.7% |
|
その他 |
4 |
9 |
+5 |
+125.8% |
|
調整額 |
11 |
△66 |
△77 |
― |
|
合計 (在庫評価影響除き) |
△262 (631) |
1,003 (928) |
+1,265 (+297) |
― (+47.2%) |
(注)セグメント利益又は損失(△)は、セグメント別の営業損益と持分法投資損益の合計額です。
(ア)燃料油セグメント
日本のエネルギーセキュリティを支えるという社会的使命の下、国内サプライチェーンの競争力強化に取り組むとともに、持続的成長の実現に向け海外事業の確立に取り組みました。
国内製造供給においては、製油所・事業所間のネットワーク連携強化によるシナジー創出、設備・オペレーションの最適化、AI・IoTなど先進技術の活用による製油所信頼性の向上、物流の効率化に取り組みました。コロナ禍による激しい需要変動の中、製油所の稼働調整や製品の輸出入等の柔軟な需給対応を実施し、燃料油の安定供給に努めました。
国内販売においては、地域になくてはならないお客さま一人ひとりの暮らしと移動を支えるライフパートナーとしてSSを捉え、アポロSS・シェルSSで展開していた個人向けカーリース商品の良いところを融合した「らく楽リースオートフラット」の販売開始、予約管理システム「PIT in plus/SEIBIS」の拡大展開や、洗濯代行サービス「WASH TERRACE」、EV充電とカフェ併設の施設「Park&Charge」の実証店舗の立ち上げを行ないました。また、次世代モビリティサービスを手掛ける「㈱出光タジマEV」の設立や、介護事業を包括的に連携・サポートする仕組みづくりに取り組むQLCプロデュース㈱の株式を取得するなど新たな取り組みを加速しています。
海外においては、ベトナムのニソン製油所の安定操業に努めました。また、シンガポール現地法人の出光アジア(IDEMITSU INTERNATIONAL(ASIA) PTE. LTD.)を中心に海外拠点の事業拡充を進め、アジア・環太平洋地域等の海外成長市場における販売ネットワーク強化に努めました。
以上の結果、燃料油セグメントの売上高は、原油価格の下落に加えて、新型コロナウイルス感染拡大による上期の販売数量減少などにより3兆5,934億円(前期比△25.5%)となりました。セグメント損益は、前年度に大幅な損失となっていた在庫評価影響の解消や原油価格上昇に伴うタイムラグによる製品マージン改善などの増益要因が、持分法投資損失の増加や販売数量の減少などの減益要因を上回り1,021億円(前期比+2,115億円)となりました。なお、営業利益に含まれる在庫評価益は75億円です。
(イ)基礎化学品セグメント
徳山事業所では、ナフサ分解炉を従来比約30%の省エネルギー効果がある高効率型に更新し、基礎化学品事業の更なる収益基盤の強化に努めました。また全社横断的なワーキンググループを発足し、ケミカルリサイクルをはじめとするサーキュラーエコノミーに向けた検討を開始しています。
以上の結果、基礎化学品セグメントの売上高は、通関ナフサ価格が下落したことなどにより3,290億円(前期比△28.3%)となりました。セグメント損益は、パラキシレンの製品マージン縮小等により34億円(前期比△71.5%)となりました。
(ウ)高機能材セグメント
(潤滑油事業)
グローバルでの販売拡大に向けて、更なる海外展開と省エネ、省資源に貢献できる商品開発の推進に努めました。海外展開においては中国国内2か所目となる製造工場を開所し、商業運転を開始しました。また、新たなエンジンオイル規格(GF-6)に対応した商品や環境対応型高機能商品となる水溶性加工油を新開発しました。
(機能化学品事業)
自社技術を軸に、自動車、情報・通信向けエンジニアリングプラスチック、生活必需品、耐久消費財向け中間体等、高機能材の拡大に努めました。エンジニアリングプラスチック事業においては、マレーシアに第2SPS(シンジオタクチックポリスチレン)製造装置を建設し、当社オンリーワン技術であるSPS樹脂の生産規模を現状の2倍に引き上げることを決定しました。粘接着基材事業では、台湾FPCC社(Formosa Petrochemical Corporation)と共同で建設した水添石油樹脂(商品名:アイマーブ®)の生産装置が完成し、当年度に商業生産を開始しました。
(電子材料事業)
有機EL材料、酸化物半導体を軸に事業を展開するとともに、新規事業開発、新規用途開発に取り組みました。2018年に中国四川省内の成都に建設を開始した有機EL材料製造工場は、商業運転を開始しました。本拠点は日本、韓国に次ぐ当社第三の有機EL材料製造拠点となり、日中韓の3極体制を構築します。本拠点稼働開始後は、3つの工場合計の年間製造能力が22トンとなります。
(機能舗装材事業(高機能アスファルト事業))
コロナ禍の環境ではありましたが、国内のアスファルト需要は堅調に推移し、インフラ整備に対しての安定供給に努めるとともに、発注者ニーズに基づく商品開発や、他部門との共同でカーボンニュートラルの実現に向けた技術開発に取り組みました。また、海外事業においては、東南アジアにおける高機能アスファルト製造販売会社の設立に向け準備を開始しました。
(アグリバイオ事業)
世界の農産畜産物生産の効率化に貢献すべく、天然物由来の生物農薬・畜産資材の開発・販売に取り組みました。生物農薬の新規剤開発においては、㈱エス・ディー・エス バイオテック等と連携しながら取り組みを進め、天敵昆虫を利用した生物防除剤1剤の販売を開始しました。畜産分野では、米国で畜産資材1剤の販売を開始しました。
以上の結果、高機能材セグメントの売上高は、3,326億円(前期比△15.6%)となり、セグメント損益は、潤滑油事業における販売数量の減少やポリカーボネート市況低迷によるマージン低下などにより130億円(前期比△54.3%)となりました。
(エ)電力・再生可能エネルギーセグメント
「基盤事業の維持・拡大」、「国内外での再生可能エネルギー電源開発の促進」、「ソリューション事業の実証と展開」の3点を基本方針として取り組みました。1点目については、当社100%子会社である出光グリーンパワー㈱が、東京都の実施する「とちょう電力プラン」初の供給事業者に選定され、都内卒FIT電力を含む再生可能エネルギー100%の電力を都有施設へ供給するなど、取り組みを進めました。2点目については、米国にて3件の太陽光発電プロジェクトを完工するなど着実に取組みを進めました。また、3点目としては、将来の電気自動車の普及に備え、新たなサービスの開発も進めています。
以上の結果、電力・再生可能エネルギーセグメントの売上高は、1,237億円(前期比△3.1%)となりました。セグメント損益は、電力市況高騰による調達コストの増加及びソーラー事業における販売数量の減少と販売単価の下落などにより△173億円(前期比△168億円)となりました。
(オ)資源セグメント
(石油・天然ガス開発事業・地熱事業)
石油・天然ガス開発事業について、欧州ではノルウェー北部北海地域の既存の生産油田の安定生産、探鉱に成功した北部北海やバレンツ海域での油田開発に取り組みました。スノーレ油田では、追加開発プロジェクトによる生産を開始しました。またノルウェー事業の長期事業戦略および開発コスト低減を考慮し、バレンツ海鉱区権益の一部譲渡を行いました。一方ベトナム南部の海上鉱区プロジェクトでは、当社がオペレーターとなって天然ガス開発に取り組み、2020年11月から生産を開始しました。
地熱事業においては、既存発電所の安全操業に努めるとともに、秋田県湯沢市小安地域など国内での新規地熱事業の開発や海外への展開の検討を進めました。
石油・天然ガス開発事業・地熱事業の売上高は、原油価格下落の影響などにより329億円(前期比△32.6%)となり、セグメント損益は68億円(前期比△62.0%)となりました。
(石炭事業・その他事業)
オーストラリア及びインドネシアに展開する既存鉱山の競争力強化に向け、堅実な経営及び将来の環境変化に向けた遠隔自動採炭などの新技術の導入に向けたトライアル生産を開始しました。またブラックペレット(バイオマス燃料)の開発や石炭ボイラ制御最適化システムの販売を通じて、低炭素ソリューションの提供を進めるとともに、鉱山資産を活用した太陽光発電や揚水型水力発電の事業化検討など、環境負荷軽減・地域貢献に向けた取り組みも進めました。
石炭事業・その他事業の売上高は、1,390億円(前期比△27.9%)となりました。セグメント損益は、石炭価格の下落などにより△20億円(前期比△260億円)となりました。
以上の結果、資源セグメントの売上高は1,720億円(前期比△28.9%)、セグメント損益は47億円(前期比△88.7%)となりました。
(カ)研究開発及び新ビジネス開発
(全固体リチウムイオン電池向け固体電解質)
独自の製造技術を有する硫化リチウムを原料に、次世代電池である全固体リチウムイオン電池のキーマテリアルである固体電解質の研究・開発を行い、事業化に向けた取り組みを進めました。早期の事業化を実現すべく、千葉事業所内に小型量産設備を建設しています。2021年度上期に完工・稼働を開始する予定です。
② 財政状態の状況
要約連結貸借対照表
(単位:億円)
|
|
前連結会計年度 (2020年3月期) |
当連結会計年度 (2021年3月期) |
増減 |
|
流動資産 |
15,503 |
16,655 |
+1,152 |
|
固定資産 |
23,366 |
22,889 |
△477 |
|
資産合計 |
38,869 |
39,544 |
+675 |
|
流動負債 |
16,484 |
16,213 |
△271 |
|
固定負債 |
10,380 |
11,180 |
+801 |
|
負債合計 |
26,864 |
27,393 |
+529 |
|
純資産合計 |
12,006 |
12,151 |
+146 |
|
負債純資産合計 |
38,869 |
39,544 |
+675 |
ア.資産の部
当期末における資産合計は、原油価格の上昇によるたな卸資産の増加等により、3兆9,544億円(前期末比+675億円)となりました。
イ.負債の部
当期末における負債合計は、有利子負債の返済があったものの、原油価格の上昇により買掛債務が増加したこと等により、2兆7,393億円(前期末比+529億円)となりました。
ウ.純資産の部
当期末の純資産合計は、配当金の支払い417億円があった一方、親会社株主に帰属する当期純利益349億円の計上や非支配株主持分137億円の増加などにより、1兆2,151億円(前期末比+146億円)となりました。
以上の結果、自己資本比率は前期末の29.6%から当期末は29.1%(前期末比△0.5ポイント)となりました。また、当期末のネットD/Eレシオは1.0(前期末:1.0)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
要約連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:億円)
|
|
前連結会計年度 (2020年3月期) |
当連結会計年度 (2021年3月期) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
△327 |
1,705 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△1,345 |
△1,099 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
1,579 |
△562 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
△9 |
△32 |
|
現金及び現金同等物の増減額(△は減少) |
△101 |
12 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
907 |
1,293 |
|
連結の範囲の変更に伴う現金及び現金同等物の 増減額(△は減少) |
488 |
5 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
1,293 |
1,310 |
当期末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,310億円となり、前期末に比べ、16億円増加しました。その主な要因は次のとおりです。
ア.営業活動におけるキャッシュ・フロー
原油の輸入価格の上昇に伴い必要運転資金は増加したものの、減価償却費や税金等調整前当期純利益などの資金増加要因により、1,705億円の収入となりました。
イ.投資活動におけるキャッシュ・フロー
主に製油所設備の維持更新投資や米国におけるメガソーラー発電事業への投資などによる有形固定資産の取得(1,211億円)により、1,099億円の支出となりました。
ウ.財務活動におけるキャッシュ・フロー
配当金の支払い(417億円)や有利子負債の返済などにより、562億円の支出となりました。
④ 生産、受注及び販売の実績
ア.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
燃料油 |
1,612,889 |
66.1 |
|
基礎化学品 |
389,396 |
76.2 |
|
高機能材 |
212,737 |
83.0 |
|
電力・再生可能エネルギー |
9,577 |
59.0 |
|
資源 |
120,806 |
71.5 |
|
その他 |
- |
- |
|
合計 |
2,345,408 |
69.1 |
(注)1.上記の金額は、製造会社は製品生産額、資源セグメントは販売金額によって記載をしています。
2.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
イ.受注実績
当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。
ウ.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
燃料油 |
3,593,399 |
74.5 |
|
基礎化学品 |
329,044 |
71.7 |
|
高機能材 |
332,592 |
84.4 |
|
電力・再生可能エネルギー |
123,745 |
96.9 |
|
資源 |
171,977 |
71.1 |
|
その他 |
5,860 |
254.3 |
|
合計 |
4,556,620 |
75.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.「主な相手先別の販売実績」に該当する販売相手先はないため、記載を省略しています。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていません。
4.各セグメントの販売実績は、外部顧客への売上高を記載しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 経営成績の分析
経営成績の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」における「イ.業績」及び「ウ.事業の経過及び成果」に記載しています。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ア.資金需要
当社グループの主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用及び税金の支払いなどによるものです。営業費用の主なものは、人件費、物流費、作業費、研究開発費等です。
設備投資資金については、維持更新投資に加え、販売・供給体制の競争力強化を目的とした投資、成長分野・海外成長市場への進出による事業拡大のための投資、及び石油開発事業等における保有鉱区の安定生産継続と探鉱開発による埋蔵量確保に向けた投資等の需要があります。
イ.財務政策
当社グループは、中長期的な成長を維持するために必要な運転資金及び設備投資資金を、財務体質とのバランスを勘案しつつ、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入、社債やコマーシャル・ペーパーの発行及び特定融資枠契約(コミットメントライン契約)の活用、更に資本増強等を効果的に組み合わせて調達していきます。
当連結会計年度末の短期借入金の残高は2,777億円、長期借入金(1年以内返済分を含む)の残高は6,941億円、社債(1年以内償還分を含む)の残高は1,200億円、コマーシャル・ペーパーの残高は1,880億円となりました。
なお、国内子会社は、当社が一括して資金調達し、子会社に融通するグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。また、海外子会社は、各々の子会社が現地通貨を借入にて調達するほか、子会社間のグループ金融を通じて運転資金及び設備投資資金を調達しています。
また、円滑な資金調達を行うため、当社は格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)の2社から格付けを取得しています。当連結会計年度末において当社の格付けはR&IがA(方向性:安定的)、JCRがA+(見通し:安定的)となっています。
(特定融資枠契約)
当社グループは、運転資金の効率的な調達や十分な流動性確保、また、災害発生時の円滑な資金調達のため、取引先銀行で作られるシンジケート団と2022年3月までの契約期間において短期借入を実行できる特定融資枠契約を締結し、機動的・安定的な資金調達が可能な体制を敷いています。当該契約の極度額は内貨で2,100億円であり、当連結会計年度末において同契約に係る借入残高はありません。また当社は、在外連結子会社3社と共同で、取引金融機関2行と特定融資枠契約を締結しています。当該契約の極度額は外貨で360百万米ドルであり、当連結会計年度末において同契約に係る借入残高はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、レジリエントな事業ポートフォリオの実現を達成するため、自己資本利益率(ROE)、ネットD/Eレシオ、自己資本比率を主要な経営指標と考えています。
前期対比で変動した自己資本利益率(ROE)の主な改善要因は、以下のとおりです。
(ア)前年度に大幅な損失となっていた在庫評価影響の解消
(イ)燃料油セグメントにおける製品マージンの改善
当社グループの主要な経営指標のトレンドは次のとおりです。
|
|
2017年 3月期 |
2018年 3月期 |
2019年 3月期 |
2020年 3月期 |
2021年 3月期 |
|
自己資本利益率(ROE)(%) |
16.3 |
22.3 |
9.5 |
- |
3.0 |
|
ネットD/Eレシオ(倍) |
1.6 |
0.9 |
1.0 |
1.0 |
1.0 |
|
自己資本比率(%) |
22.1 |
29.7 |
29.1 |
29.6 |
29.1 |
(注)1.各指標は、以下の計算式によって計算しています。
自己資本利益率(ROE):親会社株主に帰属する当期純利益/自己資本(期首期末平均)
ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現預金及び短期運用有価証券)/(純資産-非支配株主持分)
自己資本比率:(純資産-非支配株主持分)/総資産
2.有利子負債は、短期借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及び長期借入金として連結貸借対照表に計上されている金額及びリース債務の金額を使用しています。
3.2020年3月期の自己資本利益率(ROE)については、親会社株主に帰属する当期純損失を計上しているため記載していません。
当社が2021年5月に公表した「中期経営計画の見直し(2020~2022年度)」における経営目標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題 (1)中期経営計画の見直し(2020~2022年度)」に記載しています。
(1)当社は、以下のとおり、特定の事業のブランディングに関する商標等のライセンス契約を締結しています。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約の種類 |
契約内容 |
効力発生日 |
|
出光興産 株式会社 |
シェル・ブランズ・インターナショナル・アー・ゲー |
スイス |
商標等 使用契約 |
特定の事業のブランディングに関する商標等のライセンス契約 |
2016年12月19日 |
(2)当社は、2020年8月6日付で、シェル・オーバーシーズ・ホールディングス・リミテッドとの間で、シェルルブリカンツジャパン株式会社の全株式を譲渡する旨の株式譲渡契約を締結し、2020年12月30日付で、当社が保有するシェルルブリカンツジャパン株式会社の全株式の譲渡手続きを完了しました。これにより、以下の契約が当社グループの主要な契約ではなくなりました。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約の種類 |
契約内容 |
効力発生日 |
|
シェルルブリカンツジャパン株式会社 |
シェル・インターナショナル・ペトロリウム・カンパニー・リミテッド |
英国 オランダ |
潤滑油事業 枠組契約 |
潤滑油製品に関する技術交流及び研究開発、OEMとの関係、並びにサービスの相互提供等に関する契約 |
2016年12月19日 |
当社グループは、燃料油、高機能材、資源、更には新規事業創出のための研究開発に取り組んでいます。現在、図に示した研究開発体制の下、互いに密接に連携して研究開発活動を行っています。
なお、研究開発費については、各セグメントに配賦できない全社共通研究費等60億円が含まれており、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は前年同期比10億円増加の
(当社グループの研究開発体制)
当連結会計年度における各セグメントの研究開発内容、研究開発経費及び研究開発成果は次のとおりです。
(1) 燃料油セグメント
燃料油セグメントでは、環境に配慮した石油製品の開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は
①燃料油事業では、重質油処理装置の全体最適処理技術の開発及び石油製品の高付加価値化を目的としたペトロリオミクス関連技術の開発、プロセス技術を活かした事業競争力の強化、製油所・事業所の高効率化を行っています。
②重油接触分解装置を活用した廃プラスチックケミカルリサイクルの技術開発をはじめ、製油所・事業所の省エネルギー化及び環境調和型社会への貢献のための技術開発を推進しています。
(2) 高機能材セグメント
高機能材セグメントでは、環境に配慮した潤滑油製品の開発、機能舗装材(アスファルト)の開発、機能材料及び樹脂加工製品の競争力強化に向けた保有技術の改良や新規材料の開発、電子材料事業、アグリバイオ事業における研究開発を推進しています。当セグメントに係る研究開発費は
①潤滑油事業では、省燃費・省エネルギーや環境に配慮して開発した商品をグローバルに展開し、国内及び海外市場への安定供給実現に努めています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・自動車用潤滑油においては、省燃費性を更に高めたILSAC GF‐6エンジン油と、EV車両用潤滑油を開発し、商品ラインアップを拡充しました。
・工業用潤滑油においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、消費電力削減に繋がる省エネルギー型機械設備用潤滑油や冷凍機油、産業ロボット用グリース、更に、作業環境改善効果の高い水溶性切削油やプレス油の開発を推進し、商品ラインアップを拡充しました。
②機能舗装材(アスファルト)事業では、国内外において、省資源・省エネルギーや環境に配慮した道路舗装材料、建築防水材料に代表されるインフラ資材分野での研究開発を行っています。特に道路舗装材料においては、道路管理者との連携強化や共同研究などを行い、舗装リサイクル材や橋梁舗装材の高性能化・長寿命化、次世代高耐久舗装技術の開発をとおして、安心して利用できる道路舗装の実現に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・高速道路等の幹線道路向け機能舗装材においては、路面の平坦性向上と長寿命化に効果のある商品ラインアップを拡充しました。
・舗装リサイクル向け機能舗装材においては、NEXCO総研殿とリサイクル舗装の性能向上に資する研究成果報告を共同で行いました。
・建築防水材料においては、環境対応型高機能商品の開発を進め、信頼性能向上と作業環境改善効果の高い材料の開発を推進しました。
③機能材料分野では、新機能を有した粘接着基材の開発及びエンジニアリングプラスチックであるポリカーボネート樹脂やシンジオタクチックポリスチレン樹脂の高付加価値商品の開発に取り組んでいます。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・一般の結晶性ポリプロピレン樹脂と比べて大幅に融点が低く、軟質特性、遅延結晶性を有する機能性軟質ポリプロピレン(商品名:エルモーデュTM)は、従来から展開してきたホットメルト接着剤原料、不織布・フィルム等のポリプロピレン改質剤での展開を進め拡販に繋げました。低臭気、低揮発成分、モノマテリアル化への市場要求にこたえ、更なる展開を推進していきます。
・ポリカーボネート樹脂(商品名:タフロンTM)では、透明性や流動性に優れた新しいグレードを開発し、液晶ディスプレイ部品や自動車を含む各種照明部品市場で好評を得ています。特に自動車照明用材料では高透明性及び高導光性が要求されるDRL(Daytime Running Light)部品向けの販売が好調で、ここ数年高い伸び率で拡大を続けています。2015年12月に千葉工場のポリカーボネート製造装置を停止し、2016年度より共重合技術を活用した特殊グレードを含む全ての生産を、台湾Formosaグループの中核企業であるFCFC社へ集約し、市場での競争力をさらに向上させました。
・シンジオタクチックポリスチレン樹脂(商品名:ザレックTM)では、成形サイクルや成形時の流動性を改良したグレードを展開し、自動車電装部品等への販売を拡大しました。また、電波透過性、電気特性が評価され車間距離レーダー部品、電気自動車部品への採用が始まっています。一方、実績分野である家電・日用品分野の増販、高速通信分野向けの材料スペックイン推進押出・フィルム・繊維分野、アロイ分野のマーケティング強化により、自動車分野以外への新規用途開拓も推進していきます。
④シート・フィルム分野では、包装材料のグレード開発及び産業用途の加飾分野の開発を行っています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・昨今の環境問題対応への社会的要求を受け止め、バイオプラスチックを用いたシート・フィルム、ジッパー等の環境対応商品の開発を継続し、ラインアップを増やしました。
・包装材料では、顧客ニーズに基づくグレード開発を推進し、成型容器向けの高防湿シート(商品名:マルチレイシートTM)の開発、ロングライフ食品包材向けに透明シート(商品名:ピュアサーモTM)のバリア化の開発や、レトルト対応ジッパーテープ(商品名:プラロックTM)の改良開発等により、商品ラインアップの拡充を行いました。
・加飾分野では、自動車分野向けに塗装代替のグレード開発を推進しました。
⑤電子材料事業では、有機EL材料、酸化物半導体材料に代表される電子材料分野での新素材の研究開発を行っています。特に有機EL材料においては、顧客との連携強化、大学との共同研究などを通じて商材の更なる高性能化から次世代技術の開発まで、幅広い開発活動を推進しています。当連結会計年度の主な実績は以下のとおりです。
・有機EL材料分野では特に蛍光青色発光材料の開発に注力しており、高青色純度ドーパント開発の加速に繋がる新しい分子設計戦略を見出し、本成果を2020年の国際学会にて発表しました。
⑥アグリバイオ事業では、微生物培養技術や応用技術、天然物活用技術によって、農業や畜産分野の「食の安全・安心」と「増大する食糧需要」に貢献する商品のラインアップを拡充しています。開発した剤は、国内はもとより海外への展開も積極的に行っています。当連結会計年度の主な実績は以下の通りです。
・農業分野では、国内で天敵昆虫を利用した生物防除剤1剤の販売を開始しました。
・連結子会社の㈱エス・ディー・エス バイオテックでは、日本国内での新規農薬の登録件数は5剤、また、15剤の拡大登録を取得しました。
・畜産分野では、米国で畜産資材1剤の販売を開始しました。
(3) 資源セグメント
石炭事業では、顧客ニーズに応える技術サービスと石炭のクリーン利用技術の開発に取り組んでおり、近年では、バイオマス混焼によるCO2排出量の削減や、CO2を化学原料として利用する技術開発を積極的に推進しています。当セグメントに係る研究開発費は
・石炭火力のCO2排出削減に繋がる木質バイオマスの製造・販売の事業化に向け、ベトナムでのプレマーケティングプラントの運転開始、自社コールセンターでの受入・貯蔵、石炭ボイラでの混焼試験を実施し、より実用的な評価技術を確立してきました。試験結果を踏まえ、木質バイオマスの品質向上や需要家へのコンサルティングを行っています。
・郵船商事株式会社が保有するボイラ制御技術に出光が保有する石炭高効率燃焼技術を融合させて機能向上を図ったボイラ制御最適化システム「ULTY-V plus」の販売を通じ、需要家の石炭ボイラから排出されるCO2の削減に貢献しています。本事業は日本郵船グループと共同で実施しています。
・CO2を資源として活用するとともにCO2の排出削減を行うため、廃コンクリート中のカルシウムと発電所や工場から排出されるCO2を作用させ炭酸塩(炭酸カルシウム)を製造するプロセスの研究開発を国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て進めています。
・低品位炭の利用促進を目的に、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同でインドネシア褐炭を用いた炭素材料の研究開発を実施しました。
(4) 全社共通(コーポレート研究)
コーポレート研究としては、社会や技術のトレンドを掴み、適社性を加味したうえで、新規事業創出に向けた機能性素材・デバイスの開発やGHG削減・資源循環に資する研究を実施するとともに、事業部研究所を含め全社で推進している研究開発の加速を図るべく高度な分析・解析技術・計算科学によるサポートを実施しています。
・来るべき電動化社会、高度情報化社会に資する素材として新規スーパーエンプラ・導電性高分子・新規無機材料及びデバイスの開発等に取り組んでいます。また、カーボンニュートラルな社会の実現を目指し、バイオマスや二酸化炭素を原料とする素材、燃料の開発も精力的に進めています。
・これらを進めるにあたっては、自社単独での開発にこだわることなくオープンイノベーションを積極的に活用し、その一環として2020年4月に国立大学法人東京工業大学すずかけ台キャンパス内に「出光興産次世代材料創成協働研究拠点」を開設しました。
・リチウム電池材料室では、次世代電池として早期の商業化が望まれる全固体電池のキーマテリアルである固体電解質を中心に、次世代電池用材料及びその量産化の研究開発を行っています。市場拡大が見込まれる電動車両に必要な安全で高性能な全固体電池の実現に向け、固体電解質の開発・材料提供を通じて貢献していきます。固体電解質の商業生産に向けた小型量産設備を千葉事業所内に建設中です(完工・稼働開始は2021年度上期)。