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独立監査人の監査報告書及び内部統制監査報告書 |
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2025年6月19日 |
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出光興産株式会社 |
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取締役会 御中 |
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東京事務所 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
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指定有限責任社員 業務執行社員 |
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公認会計士 |
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<連結財務諸表監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査証明を行うため、「経理の状況」に掲げられている出光興産株式会社の2024年4月1日から2025年3月31日までの連結会計年度の連結財務諸表、すなわち、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結包括利益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、その他の注記及び連結附属明細表について監査を行った。
当監査法人は、上記の連結財務諸表が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して、出光興産株式会社及び連結子会社の2025年3月31日現在の財政状態並びに同日をもって終了する連結会計年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「連結財務諸表監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
監査上の主要な検討事項とは、当連結会計年度の連結財務諸表の監査において、監査人が職業的専門家として特に重要であると判断した事項である。監査上の主要な検討事項は、連結財務諸表全体に対する監査の実施過程及び監査意見の形成において対応した事項であり、当監査法人は、当該事項に対して個別に意見を表明するものではない。
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監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由 |
監査上の対応 |
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出光興産株式会社(以下、会社)はベトナムでニソン製油所を運営するNghi Son Refinery and Petrochemical LLC(以下、NSRP)に対して35.1%の出資と融資を行うとともに、NSRPのプロジェクト・ファイナンスに完工保証(債務保証)を実施している。また、連結子会社のIdemitsu Asia Pacific Pte. Ltd.を通じて融資と資金の立替を行っている。NSRPへの出資には持分法が適用されており、融資・資金の立替については、関連する会計基準に従い公正価値の測定または回収可能価額の測定が実施されている。
また、上記のほか、
会社は出光興産グループがNSRPに対して保有する長期貸付金の公正価値と回収可能価額の測定、未収入金の回収可能価額の測定、及び、債務保証損失引当金の計上要否の検討を実施している。これら会計上の見積りは、NSRPの継続企業の前提を基礎としたうえで、見積将来キャッシュ・フローを現在価値に割り引く、割引キャッシュ・フロー法により行われている。 将来キャッシュ・フローの見積りは、装置稼働率等の仮定が含まれるNSRPの将来事業計画に最新の製品マージンを反映して作成しており、これらの仮定はNSRPの当連結会計年度までの実績や外部環境に対する将来予測(需給動向及び製品マージン、地政学的リスク、気候変動対応等)を踏まえて決定されている。また、割引率は、NSRPへの投融資の固有リスクに加えて、見積将来キャッシュ・フローに反映されていない脱炭素への世界的な取組みや各国の通商政策に起因する不確実性を反映した期待収益率が用いられている。 会社が公正価値及び回収可能価額の測定を実施した結果、当連結会計年度において長期貸付金に対して、貸倒引当金繰入額12,870百万円を計上している。完工保証については、債務保証損失引当金の計上は行われていない。
【監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由】 当監査法人は、上記会計上の見積りのために使用されたNSRPの見積将来キャッシュ・フローに含まれる経営者の仮定を評価した。その結果、「製品マージン」、「装置稼働率」及び「割引率」を最も重要なインプットであると判断し、監査上の主要な検討事項に決定した。これらのインプットに対する割引後将来キャッシュ・フローの感応度は、他のインプットと比較して極めて高く、また、以下の経営者の重要な判断を伴うためである。 ① 「製品マージン」は、長期間にわたる将来のアジア地域における原油及び石油製品の需要予測及び各製油所の生産数量やコストの予測という専門知識を要する将来予測に基づいて決定されており、かつ、脱炭素社会に向けた社会的な取り組みの推進が将来の需要及び供給に与える影響の評価を含むため、不確実性が高い。 ② 「装置稼働率」は、外部機関のデータが存在しない見積りであり、経営者による偏向が特に介在しやすい。装置稼働率の見積りは、稼働の実績を基礎として作成される一方で、長期間にわたる将来のベトナム国内における石油製品の需要予測に加え、製油所の技術的な稼働の安定性などの複数の不確実性が存在する。また、気候変動対応の影響も踏まえた製品需給バランス等の外部環境の変化やNSRPの足元の財政状態が装置稼働率に影響を与えるか否かの評価も求められる。 ③ 「割引率」は、資本資産価格モデル(CAPM)で計算されており、NSRPの足元の財政状態に起因する投融資の固有のリスクに加えて、見積将来キャッシュ・フローに反映されていない脱炭素への世界的な取組みや各国の通商政策に起因する不確実性に起因するリスクプレミアムの見積りに、経営者による偏向が介在しやすい。 |
当監査法人は、会社が行うNSRPに対する投融資の評価に使用される仮定について、必要に応じてNSRPの監査人に指示し、その作業結果を監督・査閲することも含めて、主に以下の監査手続を実施した。
<製品マージン> ・会社責任者への質問及び関連する内部資料の閲覧を実施し、製品マージンの見積りの決定に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を検証した。 ・会社が利用しているものを含めて、将来製品マージンに関する複数の外部機関による予測レポートについて、将来キャッシュ・フロー作成時点でそれぞれ最新のものを入手した。そのうえで、評価専門家の助言に基づき、会社が利用している外部機関による予測レポートについて、市場の長期にわたる需給動向や、脱炭素社会への移行に向けた取り組み等の外部環境の変化を反映できているかを含めた、外部情報としての信頼性を評価した。 ・さらに、会社が見積将来キャッシュ・フローに使用した製品マージンの将来予測数値と外部機関による将来製品マージンが整合しているかどうかを検証した。
<装置稼働率> ・会社責任者への質問及び関連する内部資料の閲覧を実施し、装置稼働率の見積りの決定に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を検証した。 ・2023年度のNSRPの将来事業計画における2024年度の計画稼働率と実績稼働率の比較により、経営者の見積りの精度を検証した。 ・具体的には、2024年度の実績稼働率が計画と乖離している場合には、その乖離要因を理解した。 ・また、2024年度の将来事業計画における装置稼働率の見積りに反映するべきであった不利な乖離要因があるかどうかを検討した。 ・NSRPの経営者への質問の実施やマーケットに関する外部レポートを閲覧することで、ベトナム国内の需給動向、製油所の技術的な稼働の安定性、及び、気候変動対応の影響も踏まえた製品需給バランスを検討し、将来事業計画に織り込まれた装置稼働率と不整合がないかを検証した。
<割引率> ・会社責任者への質問及び関連する内部資料の閲覧を実施し、割引率の見積りの決定に関連する内部統制の整備・運用状況の有効性を検証した。 ・評価専門家の助言に基づき、CAPMによる評価技法の妥当性や参照している基礎データの合理性を検証した。また、NSRPの足元の財政状態や各国の通商政策による製品マージンへの影響等の重要な不確実性に起因する、見積将来キャッシュ・フローの悪化のリスクが割引率に適切に反映されていることを確認した。
・上記の各インプットの検討に加え、監査人として独自に決定した製品マージンの将来予測や割引率を使用し、監査上の重要性を考慮の上で、監査上の許容範囲を独自に策定し、会社が計算した割引後の見積将来キャッシュ・フローが当該範囲内にあるかどうかを検証した。その際、マージンについては複数の外部機関が公表する製品マージン見通しの分散の程度や将来キャッシュ・フロー作成時点における先物価格の変動性を考慮の上で、複数の外部機関が公表する価格見通しの上限値と下限値のレンジよりも狭い許容範囲を定めた。割引率は、評価専門家の助言に基づき、監査上の重要性、公正価値および回収可能価額に対する感応度を考慮の上で許容範囲を定めた。
・さらに、
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その他の記載内容
その他の記載内容は、有価証券報告書に含まれる情報のうち、連結財務諸表及び財務諸表並びにこれらの監査報告書以外の情報である。経営者の責任は、その他の記載内容を作成し開示することにある。また、監査役及び監査役会の責任は、その他の記載内容の報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
当監査法人の連結財務諸表に対する監査意見の対象にはその他の記載内容は含まれておらず、当監査法人はその他の記載内容に対して意見を表明するものではない。
連結財務諸表監査における当監査法人の責任は、その他の記載内容を通読し、通読の過程において、その他の記載内容と連結財務諸表又は当監査法人が監査の過程で得た知識との間に重要な相違があるかどうか検討すること、また、そのような重要な相違以外にその他の記載内容に重要な誤りの兆候があるかどうか注意を払うことにある。
当監査法人は、実施した作業に基づき、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合には、その事実を報告することが求められている。
その他の記載内容に関して、当監査法人が報告すべき事項はない。
連結財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して連結財務諸表を作成し適正に表示することにある。これには、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用することが含まれる。
連結財務諸表を作成するに当たり、経営者は、継続企業の前提に基づき連結財務諸表を作成することが適切であるかどうかを評価し、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて継続企業に関する事項を開示する必要がある場合には当該事項を開示する責任がある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告プロセスの整備及び運用における取締役の職務の執行を監視することにある。
連結財務諸表監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した監査に基づいて、全体としての連結財務諸表に不正又は誤謬による重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、監査報告書において独立の立場から連結財務諸表に対する意見を表明することにある。虚偽表示は、不正又は誤謬により発生する可能性があり、個別に又は集計すると、連結財務諸表の利用者の意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる場合に、重要性があると判断される。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 不正又は誤謬による重要な虚偽表示リスクを識別し、評価する。また、重要な虚偽表示リスクに対応した監査手続を立案し、実施する。監査手続の選択及び適用は監査人の判断による。さらに、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手する。
・ 連結財務諸表監査の目的は、内部統制の有効性について意見表明するためのものではないが、監査人は、リスク評価の実施に際して、状況に応じた適切な監査手続を立案するために、監査に関連する内部統制を検討する。
・ 経営者が採用した会計方針及びその適用方法の適切性、並びに経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する。
・ 経営者が継続企業を前提として連結財務諸表を作成することが適切であるかどうか、また、入手した監査証拠に基づき、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関して重要な不確実性が認められるかどうか結論付ける。継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合は、監査報告書において連結財務諸表の注記事項に注意を喚起すること、又は重要な不確実性に関する連結財務諸表の注記事項が適切でない場合は、連結財務諸表に対して除外事項付意見を表明することが求められている。監査人の結論は、監査報告書日までに入手した監査証拠に基づいているが、将来の事象や状況により、企業は継続企業として存続できなくなる可能性がある。
・ 連結財務諸表の表示及び注記事項が、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠しているかどうかとともに、関連する注記事項を含めた連結財務諸表の表示、構成及び内容、並びに連結財務諸表が基礎となる取引や会計事象を適正に表示しているかどうかを評価する。
・ 連結財務諸表に対する意見表明の基礎となる、会社及び連結子会社の財務情報に関する十分かつ適切な監査証拠を入手する。ために、連結財務諸表の監査を計画し実施する。監査人は、連結財務諸表の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した監査の範囲とその実施時期、監査の実施過程で識別した内部統制の重要な不備を含む監査上の重要な発見事項、及び監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会と協議した事項のうち、当連結会計年度の連結財務諸表の監査で特に重要であると判断した事項を監査上の主要な検討事項と決定し、監査報告書において記載する。ただし、法令等により当該事項の公表が禁止されている場合や、極めて限定的ではあるが、監査報告書において報告することにより生じる不利益が公共の利益を上回ると合理的に見込まれるため、監査人が報告すべきでないと判断した場合は、当該事項を記載しない。
<内部統制監査>
監査意見
当監査法人は、金融商品取引法第193条の2第2項の規定に基づく監査証明を行うため、出光興産株式会社の2025年3月31日現在の内部統制報告書について監査を行った。
当監査法人は、出光興産株式会社が2025年3月31日現在の財務報告に係る内部統制は有効であると表示した上記の内部統制報告書が、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して、財務報告に係る内部統制の評価結果について、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
監査意見の根拠
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に準拠して内部統制監査を行った。財務報告に係る内部統制の監査の基準における当監査法人の責任は、「内部統制監査における監査人の責任」に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社及び連結子会社から独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
内部統制報告書に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
経営者の責任は、財務報告に係る内部統制を整備及び運用し、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠して内部統制報告書を作成し適正に表示することにある。
監査役及び監査役会の責任は、財務報告に係る内部統制の整備及び運用状況を監視、検証することにある。
なお、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。
内部統制監査における監査人の責任
監査人の責任は、監査人が実施した内部統制監査に基づいて、内部統制報告書に重要な虚偽表示がないかどうかについて合理的な保証を得て、内部統制監査報告書において独立の立場から内部統制報告書に対する意見を表明することにある。
監査人は、我が国において一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の監査の基準に従って、監査の過程を通じて、職業的専門家としての判断を行い、職業的懐疑心を保持して以下を実施する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果について監査証拠を入手するための監査手続を実施する。内部統制監査の監査手続は、監査人の判断により、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性に基づいて選択及び適用される。
・ 財務報告に係る内部統制の評価範囲、評価手続及び評価結果について経営者が行った記載を含め、全体としての内部統制報告書の表示を検討する。
・ 内部統制報告書における財務報告に係る内部統制の評価結果に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために、内部統制の監査を計画し実施する。監査人は、内部統制報告書の監査に関する指揮、監督及び査閲に関して責任がある。監査人は、単独で監査意見に対して責任を負う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、計画した内部統制監査の範囲とその実施時期、内部統制監査の実施結果、識別した内部統制の開示すべき重要な不備、その是正結果、及び内部統制の監査の基準で求められているその他の事項について報告を行う。
監査人は、監査役及び監査役会に対して、独立性についての我が国における職業倫理に関する規定を遵守したこと、並びに監査人の独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項、及び阻害要因を除去するための対応策を講じている場合又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するためのセーフガードを適用している場合はその内容について報告を行う。
<報酬関連情報>
当監査法人及び当監査法人と同一のネットワークに属する者に対する、会社及び子会社の監査証明業務に基づく報酬及び非監査業務に基づく報酬の額は、「提出会社の状況」に含まれる4【コーポレート・ガバナンスの状況等】(3)【監査の状況】に記載されている。
利害関係
会社及び連結子会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。
以 上
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(注)1.上記の監査報告書の原本は当社(有価証券報告書提出会社)が別途保管しています。 2.XBRLデータは監査の対象には含まれていません。 |