第2 【事業の状況】

 

1【業績等の概要】

(1)業績

当期における世界経済は、米国では所得改善等により堅調に推移し、欧州も緩やかな回復基調にありましたが、中国では景気減速が続きました。

わが国経済は、消費活動で一部弱い動きが見られたものの、総じて緩やかな回復基調となりました。

タイヤ業界においては、原材料安、為替相場の円安の進展などの好材料もありましたが、自動車生産台数の減少、価格競争の激化など厳しい環境が続きました。

こうした経営環境の中、当社グループは、販売力の強化、業務の効率化、コスト削減などに取り組んだ結果、当期の連結売上高は過去最高の6,298億56百万円(前期比0.7%増)となりました。利益面では、連結営業利益が545億36百万円(前期比7.7%減)、連結経常利益が493億34百万円(前期比11.6%減)、連結当期純利益が363億7百万円(前期比10.4%減))となりました。

 

当期における各事業の連結決算の状況は、次のとおりであります。

 なお、前連結会計年度までのセグメントは「タイヤ事業」「工業品事業」「その他」に区分しておりましたが、
当連結会計年度より、従来「工業品」としておりました工業品事業と「その他」に含まれていた航空部品事業を併せMB事業(MB:マルチプル・ビジネスの略)へと変更しているため、前連結会計年度との比較は、変更後の区分により作成した情報に基づいて記載しております。
 

① タイヤ事業

売上高は5,006億23百万円(前期比0.6%増)で、総売上高の79.5%を占めております。

営業利益は430億37百万円(前期比11.4%減)となり、営業利益全体の78.9%を占めております。

国内新車用タイヤは、自動車生産台数の減少を受け、販売量、売上高共に前期を下回りました。こうした環境の中、当社グループは低燃費タイヤの新車装着活動を強化した結果、プレミアムカーやエコカー向けタイヤの新車装着を数多くの車種で獲得することができました。

国内市販用タイヤの販売は、価格競争の激化や暖冬による冬用タイヤの販売が低調に推移したことなどから販売量、売上高共に前期を下回りました。

こうした状況の中、新商品投入による販売拡大を狙い、夏用タイヤとしては、ミニバン専用低燃費タイヤ「BluEarth RV-02(ブルーアース・アールブイ・ゼロツー)」、SUV用タイヤ「GEOLANDAR H/T G056(ジオランダー・エイチティ・ジーゼロゴーロク)」を発売しました。

また、冬用タイヤでは、乗用車用スタッドレスタイヤice GUARD(アイスガード)史上最高の氷上性能を実現した「ice GUARD 5 PLUS (アイスガード ファイブ プラス)」を発売しました。

海外市販用タイヤは、価格競争が激化する厳しい環境の中、北米が昨年に続き堅調に推移し、中国も販売が好調で、売上高は前期を上回りました。

また、平成27年10月から米国ミシシッピ州のトラック・バス用タイヤ工場が操業を開始しました。

 

② MB事業(MB:マルチプル・ビジネスの略)

売上高は1,217億6百万円(前期比1.2%増)で、総売上高の19.3%を占めております。

営業利益は105億34百万円(前期比2.9%増)となり、営業利益全体の19.3%を占めております。

ホース配管事業は、世界的な資源開発の鈍化や中国における景気減速を受け、売上高は前期を下回りました。

工業資材事業は、海外向けマリンホースに加え、国内向けゴム支承など土木関連製品が好調だったことから、売上高は前期を上回りました。

ハマタイト・電材事業は、国内向け建築用シーリング材は低調に推移しましたが、海外向け自動車用接着剤が好調だったことから、売上高は前期を上回りました。

航空部品事業は、民間航空機向けの需要が増加したことから好調に推移し、売上高は前期を上回りました。
 

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて33億69百万円減少し、410億84百万円となりました。
 
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動による資金の増加は、575億44百万円(前連結会計年度比14億49百万円の収入減少)となりました。
 増加要因は、税金等調整前当期純利益542億54百万円の計上等であります。
 
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動による資金の減少は、550億77百万円(前連結会計年度比13億36百万円の支出増加)となりました。
 これは主として、国内、海外の生産設備増強に伴う有形固定資産の取得による支出484億80百万円等であります。
 
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動による資金の減少は、63億95百万円(前連結会計年度は72百万円の資金の減少)となりました。
 増加要因は社債発行による収入120億円等、減少要因は短期借入金の純増減額181億43百万円等であります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの変更をしております。詳細は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)1 報告セグメントの概要(報告セグメントの変更等に関する事項)」をご覧ください。

 

セグメントの名称

生産金額(百万円)

 前年同期比(%)

タイヤ事業

350,255

△1.0

MB事業

102,098

1.0

そ の 他

348

△4.6

合  計

452,702

△0.6

 

(注) 1 金額は、販売価格を基礎として算出しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 当連結会計年度より、セグメントの変更を行っており、「前年同期比(%)」は前連結会計年度の生産実績を変更後のセグメント区分に組替えて算出しております。

 

(2) 受注状況

当社は、ごく一部を除いてすべて見込生産であります。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの変更をしております。詳細は、「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)1 報告セグメントの概要(報告セグメントの変更等に関する事項)」をご覧ください。 

 

セグメントの名称

販売金額(百万円)

 前年同期比(%)

タイヤ事業

500,623

0.6

MB事業

121,706

1.2

そ の 他

7,525

0.8

合  計

629,856

0.7

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 当連結会計年度より、セグメントの変更を行っており、「前年同期比(%)」は前連結会計年度の販売実績を変更後のセグメント区分に組替えて算出しております。

 

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは2006年度から中期経営計画「グランドデザイン100(以下「GD100」という。)」に基づき成長を目指しております。
 GD100は、「創業100周年にあたる2017年に企業価値・市場地位において、独自の存在感を持つグローバルカンパニーを目指す」というビジョンを掲げ、財務目標として、2017年に「売上高1兆円」、「営業利益1,000億円」、「営業利益率10%」を目指してスタートしました。3年を1フェーズに区切り、フェーズごとに戦略を策定して取り組んでおり、2014年までに3フェーズが終了しました。これまで着実な成長を続けておりますが、この間の経済・社会情勢の変化で当初の売上高1兆円などの財務目標達成は2020年以降になるものと見込んでおります。
 現在は、GD100フェーズⅣ(2015年~2017年)に取り組んでいます。フェーズⅣはGD100の集大成であり、次の100年における飛躍に向けた布石を打つフェーズとなります。そのため、これまでに積み残された課題を払拭するフェーズと位置付けています。
 そこで、フェーズⅣでは、「成長力の結集 ~YOKOHAMAの可能性を結集して、次の100年を切り拓く~」をテーマとして掲げ、過去の各フェーズで取り組んできたグループ全体の成長力、個々の成長力を結集させる考えです。
こうした活動を通じ、2017年において売上高7,700億円、営業利益800億円、営業利益率10.4%の財務目標達成を目指しています。
 フェーズⅣの基本的な考え方は、「次の100年も、お客様に必要とされるタイヤ・ゴム製品メーカーで在り続けるために、顧客価値を高め、グローバルに規模を拡大する」ことです。
 そのために ①全社一丸で、あらゆる行動をお客様満足度向上に繋げていきます。 ②横浜ゴムらしい存在感のある商品をお届けしていきます。 ③健全な財務体質を生かした積極的な投資を進めていきます。

具体的には、タイヤ、MB事業などで下記のような様々な戦略を策定しています。
 

1)タイヤ事業戦略

「ヨコハマタイヤ」の最大の強み・特色は、高性能を生み出す「高い技術力」です。低燃費性能はもとより「走りのヨコハマ」の基本となる高速走行性能、グリップ力、ウェット性能など、様々な面で高い技術を保有しています。そこから生み出されたのがフラッグシップブランド「ADVAN(アドバン)」に代表されるハイパフォーマンスタイヤやハイインチタイヤです。その高い技術や性能を実証しているのが、世界有数の自動車メーカーへのOEタイヤ納入実績とモータースポーツ活動です。

こうした当社の強みを鮮明に打ち出すことで、新興タイヤメーカーが得意とする廉価の「コモディティ商品(日用品タイヤ)」との差別化を図り、価格競争に巻き込まれることなく、大需要市場、得意市場、中でも北米市場の強化を図っていきます。

以下にご紹介する事業戦略は、こうした考え方に基づき実施中のものです。
 

①グローバルOE(新車装着)市場への注力

当社の海外OE事業は拡大を続けており、納入比率は、2014年に35%だったものを2017年に55%、さらに2020年には70%と、2014年比で倍増を狙います。
 OE納入は、自動車メーカーから高い性能や品質が求められ、それに対応できる技術を持ったわずかなタイヤメーカーしか納入できません。当社の強みである低燃費性能などの高い技術力への信頼性は高く、2015年もメルセデスベンツGLCクラス、ポルシェ911カレラなど最新の車両に納入することができました。今後は中国、北米市場の開拓を強化し、海外OE納入の拡大を図っていきます。
 

②大需要・得意市場でプレゼンス向上

北米、欧州、中国などの大需要市場、日本やロシアなどの得意市場をはじめ、グローバルにヨコハマブランドの認知度を高める強力な施策のひとつが、2015年に締結したイングランドプレミアリーグ「チェルシーFC」とのスポンサー契約です。世界に5億人以上のファンを持つと言われるチェルシーとのパートナーシップを最大限に活用し、グローバルにヨコハマの認知度向上と販売拡大を図る考えです。

 

また、当社はこれまでもマカオGP、WTCCなど数多くのレースやラリーにタイヤ供給を行ってきましたが、2016年からは新たにアジア最高峰と言われる全日本スーパーフォーミュラ選手権に供給します。これまで以上に積極的にモータースポーツ活動を推進し、市場で「走りのヨコハマ」のイメージを確立し、販売強化を図っていきます。
 

③生産財タイヤ事業の拡大

2015年10月から米国ミシシッピ州の新タイヤ工場でトラック・バス用タイヤの生産が始まっており、2016年以降「地産地消」体制をより一層推進していきます。同工場は自動化が進んだ最新鋭工場であり、年間生産能力は100万本を計画しております。今後北米市場におけるトラック・バス用タイヤの一大供給拠点として活用していく計画です。同工場は東京ドーム約43個分に当る約200ヘクタールという広大な敷地の一画に建設されており、将来的な工場新設・拡張に対し十分な余地を残しています。今後の需要動向を見極めながら、機動的に事業展開を図る計画です。

 

2)MB事業戦略

①自動車部品ビジネスのグローバル展開

現在当社グループは、自動車用部品のビジネスとして、ホース・配管の生産拠点を6ヵ国に、自動車窓枠用接着材の生産拠点を4カ国に設置し、グローバルに事業を展開しています。新製品の開発も意欲的に進め、地球温暖化への影響が少ない次世代冷媒に対応したカーエアコンホースの開発に成功し、欧州向け車両に同ホースを採用したエアコンが搭載されるようになっています。なお、ホース・配管事業においてはさらなる事業強化を図るため、2拠点ある長野工場を2016年末までに統合する計画です。
 

②得意の海洋商品でNo.1カテゴリーの拡大

海洋商品のマリンホースや空気式防舷材は、現在、世界シェア1、2位を競う有力商品です。現在インドネシアの海洋商品工場が本格操業に向けた準備を進めており、同工場が操業を開始するとマリンホースが世界3拠点、空気式防舷材が2拠点体制となり、さらなる事業拡大が見込まれます。
 

③グローバルでの建機・鉱山ビジネス強化

長期的に拡大が見込まれる世界の資源開発に対応し、建設機械用高圧ホースやコンベヤベルトの拡販を強化します。2015年には、北極圏など極寒地での使用に耐える耐寒・耐衝撃性ベルト、北米でニーズの高い金具接合方式の「高温耐熱MJ(メタルジャンクション)帆布ベルト」などを開発しました。
 

④独自技術を応用した新規事業の拡大

2015年から燃料電池自動車向け水素ステーション用ホースの本格販売を開始しました。また、パソコンやスマートフォンのディスプレイやLED照明から発せられ、疲れ目の原因となるブルーライトをカットするコート材の開発などを強化し、積極的に新分野に展開しています。
 

3)技術戦略

①YOKOHAMA技術は新たなステージへ

環境にやさしいYOKOHAMA独自の新素材・新技術の開発を中心に、技術開発を新たなステージに引き上げてまいります。2015年はタイヤ外側のサイドウォールにフィン型突起を配し、空気の流れを制御する新しいエアロダイナミクス技術を開発しました。10月に開催された東京モーターショーに展示し、車両の空気抵抗や浮き上がりを抑える技術として注目を集めました。
 

 

②お客様に満足いただくYOKOHAMA品質

世界中のお客さまに満足いただけるよう、最新性能・最高品質の製品開発を進めます。その一環として、2015年12月、北海道旭川市に新に冬用タイヤテストコースを設立しました。敷地面積は東京ドームの約19倍にあたる90ヘクタールで、従来の冬用タイヤテストコースに比べて4倍の広さです。乗用車で時速100キロを超える走行ができるほか、トラックやバスについても登坂など様々な路面状況で制動・発進・加速テストができるようになっています。
 

③次世代技術基盤の構築

先端的研究機関や大学と連携し、次世代技術基盤の開発スピードを高めてまいります。2015年、生物資源であるバイオマスを原料とした合成ゴム生成技術2種の開発に成功しました。ひとつは東京工業大学との共同によるブタジエンゴム、もうひとつは理化学研究所、日本ゼオン株式会社との共同によるポリイソプレンゴムの生成技術です。いずれも2020年代前半の実用化を目指しています。
 

4)全社共通戦略

2006年からスタートした「ムダ取り活動」をフェーズⅣでも引き続き展開しています。
 重要課題を定めたプロジェクト、製造原価に焦点を当てたプロジェクトなどにより、フェーズⅣの3年間で300億円規模の総コスト低減を目指しています。
 

5)CSRへの取り組み

当社グループは、組織の社会的責任に関する国際規格である「ISO26000」に則り、2012年から独自に7つの重点課題を定めてCSRに取り組んでいます。

重点課題のひとつ「環境」では、生物多様性保全活動も国内外で意欲的に取り組んでいます。タイのタイヤ工場では、工場周辺での生物観察を進めると共に、現在所内に生物生息空間である「ビオトープ」作りを進めています。2015年10月、工業団地内所在企業のCSR担当者、メディアなどを招き情報公開イベントを開催しました。一方、平塚製造所では11月に工場と地域との交流イベント「Think Eco ひらつか2015」の開催に合わせ、所内で生物多様性パネルディスカッションを開催しました。
 また、その他の重点課題のひとつ「コミュニティへの参画及びコミュニティの発展」では「森の防潮堤」作りに取り組んでいます。
 当社グループは、東日本大震災が発生した翌2012年から、岩手県大槌町で「命を守る森の防潮堤」作りの支援活動を行っており、2015年5月には第4回「平成の杜」植樹会を開催しました。また全国各地で進む「森の防潮堤」作りへの支援を続けており、静岡県掛川市、福島県相馬市で行われた植樹会に苗木提供や従業員ボランティアによる植樹指導などを行いました。
 

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは下記のようなものがあります。なお文中における将来等に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経済状況
 当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車用タイヤの需要は当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジアなどの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の減少は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、競業他社との販売競争激化による市場シェアダウン及び価格競争の熾烈化による販売価格の下落も、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替レートの影響
 当社グループは主として円建で一般商取引、投融資活動等を行っておりますが、米ドルその他の外国通貨建でもこれらの活動を行っております。今後一層の事業のグローバル化の進行に伴い、海外事業のウエイトが高まることが予想されます。したがって、従来以上に外国通貨建の一般商取引、投融資活動等が増加し、外国為替の変動により当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける度合いが大きくなります。為替予約の実施等、為替レートの変動によるリスクを最小限にとどめる努力を行っておりますが、当該リスクを完全に回避することはきわめて困難であります。

(3) 季節変動の影響
 当社グループの業績は上半期と下半期を比較した場合、下半期の業績がよくなる傾向にあります。特に、寒冷地域で冬場の降雪時に使用する自動車用タイヤ(スタッドレスタイヤ)の販売が下半期に集中することが主な理由であります。従って、降雪時期の遅れや降雪量の減少等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 原材料価格の影響
 当社グループの製品の主要な原材料は、天然ゴム及び石油化学製品であります。従って、天然ゴム相場の大幅な上昇及び国際的な原油価格の高騰があった場合、当社製品の製造コストが影響を受ける可能性があります。これらの影響を最小限にとどめるべく各種対策を実施しておりますが、吸収できる範囲を超えた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 資金調達力及びコストの影響
 当社グループは資金調達の安定性及び流動性の保持を重視した財務運営を行っておりますが、日本を含めた世界の主要な金融市場で混乱が発生した場合、計画通りに資金調達を行うことができない可能性があります。また、格付会社より当社グループの信用格付けが大幅に下げられた場合、資金調達が制約されるとともに調達コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 有利子負債の影響
 当社グループの総資産に占める有利子負債の割合は、約26.9%(平成27 年12 月31 日現在)であります。グループファイナンスの実施によりグループ資金の効率化を行うことで財務体質の改善に取り組んでおりますが、今後の金利動向によっては当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 保有有価証券の影響
 当社グループが保有する市場性のある有価証券のうち日本株式への投資が大きな割合を占めております。従って、日本の株式市場の変動及び低迷等による有価証券評価損の計上等で、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 投資等に係る影響
 当社グループは世界的な自動車用タイヤの需要に対応すべく、アジアを中心に生産拠点の拡大及び生産能力の増強のための投資を行っております。この投資により製品の品質向上を図るとともに需要増にも対応でき、当社グループの信頼を高め、シェアアップが期待できます。しかしながら、現地の法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態が生じた場合、期待した成果を得ることができなくなるため、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 退職給付債務
 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は割引率、年金資産の期待運用収益率等の一定の前提条件に基づいて数理計算を行っております。実際の割引率、運用収益率等が前提条件と異なる場合、つまり、金利低下、年金資産の時価の下落、運用利回りの低下等があった場合や退職金制度、年金制度を変更した場合、将来の退職給付債務の増加により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 災害等の影響
 当社グループは地震等の自然災害に備え、各種対応策を検討し、計画的に実施しておりますが、生産拠点及び原材料の主要な仕入先などに予想外の災害が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11) 知的財産権の影響
 当社グループは技術ノウハウの蓄積と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者の知的財産権の侵害を効果的に防止できないことがあります。また、当社グループの製品または技術が、第三者から知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、それが認められた場合には、グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(12) 製品の品質による影響
 当社グループは、品質管理を経営の最重要課題とし、品質管理体制の万全を期しておりますが、製品の欠陥や不良を皆無にすることは困難であります。大規模なリコールや欠陥に起因する多額の損害賠償が起きた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13) 法律・規制・訴訟の影響
 当社グループは、事業活動を行っている各国において、投資、貿易、為替管理、独占禁止、環境保護など、当社グループが、展開している様々な事業に関連する法律や規制の適用を受けております。
 将来において、新たな法律や規制により、事業活動の制約やコストの上昇など当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 また、国内外における予期せぬ法律や規制の変更などにより、当社グループの事業活動に制約を受け、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 これらの他、当社グループは国内外の事業活動に関連して、訴訟や各国当局による捜査・調査の対象となる可能性があります。重要な訴訟が提起された場合や、各国当局による捜査・調査が開始された場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当する事項はありません。
 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ事業、MB事業及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足いただくべく努力を重ねています。

当連結会計年度における研究開発費の総額は、142億21百万円であります。

 

当社研究本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。
 研究開発費の金額は、12億50百万円であります。

・バイオマスを原料とした合成ゴム(ブタジエンゴム及びポリイソプレンゴム)の新技術開発

当社研究本部と馬場教授(東京工業大学大学院総合理工学研究科)との共同研究により、バイオマス(生物資源)であるセルロース(植物繊維の主成分である糖)から直接ブタジエンを合成する触媒の開発に成功しました。ブタジエンは、自動車タイヤなどの原料となる合成ゴム(ブタジエンゴム)の原料として使用され、現在は石油精製の副産物として工業的に生産されております。

また、国立研究開発法人理化学研究所と日本ゼオン株式会社の共同研究により、バイオマス(生物資源)からイソプレンを合成することに成功しました。イソプレンは自動車タイヤなどの原料として使われる合成ゴム(ポリイソプレンゴム)の原料として使用され、現在はナフサ熱分解の副生成物として工業的に生産されております。

これらの新技術の開発によって、今後は石油への依存度が低減でき、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素削減に貢献することができます。

 

・タイヤのエアロダイナミクス技術をさらに進化

当社研究本部は、走行時のタイヤ周辺の空気の流れをコントロールするタイヤのエアロダイナミクス技術を進化させ、車の空気抵抗低減に加え、走行時に発生する車両のリフト(浮き上がり)抑制に貢献する技術を開発しました。同技術を実用化することで、車の低燃費性能を高めるとともに車体の安定性を向上するタイヤの開発を期待することができます。
 なお、本技術を搭載した新形状のエアロダイナミクスタイヤについては、平成27年10月に開催された「第44回東京モーターショー2015」に参考出品しました。

 

・革新的なゴム材料設計を可能とする多目的設計探査シミュレーション技術を開発

当社研究本部とフランスの高等教育機関に属する研究所(MINES ParisTech/Centre de Morphologie Mathematique(CMM))のDominique Jeulin(ドミニク・ジュラン)教授らとの共同研究により、ゴム材料の多目的設計探査シミュレーション技術を開発しました。本技術は、ゴム材料設計において従来にない革新的な発想を得るために開発したもので、例えば、低燃費性能と安全性能、超軽量と高剛性など背反性能を高次元で両立した高性能タイヤを今までにないアプローチの仕方で開発することを目指しております。

本技術の確立にあたっては、仮想的な微細構造を有したゴム材料に関する新しいモデリング技術と、大規模粘弾性シミュレーションのための新しい計算手法を開発し、従来の有限要素法では計算できなかった約10億要素からなる超大規模計算をわずか75分で終了可能(東京工業大学のスーパーコンピュータ「TSUBAME2.5」による性能評価)にしました。

 

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(1)タイヤ事業

当社は、平成27年1月から中期経営計画「GD100」のPhase(フェーズ)Ⅳに取り組んでいます。
 タイヤ事業においては、グローバル市場における独自の存在感の確立及び高付加価値商品のグローバル展開を目標とし、以下のような新商品を発売しました。

研究開発費の金額は、99億96百万円であります。

 

1)「BluEarth E51」が新型「アルファード」及び新型「ヴェルファイア」に新車装着

平成27年1月からトヨタ自動車株式会社の新型「アルファード」及び新型「ヴェルファイア」の新車装着用(OE)として、「BluEarth E51(ブルーアース・イー・ゴーイチ)」の納入を開始しました。「BluEarth E51」は、「環境性能のさらなる向上+人に、社会にやさしい」をテーマとした横浜ゴムのグローバルタイヤブランド「BluEarth」の基盤設計や材料技術を投入し、低燃費性能を高めながら高級ミニバンに相応しい走行性能や安全性能、快適性能の確保を実現させています。

 

2)「BluEarth AE-01」がダイハツ「ミラ イース」と「タント」、スズキ「ソリオ」と「ソリオ バンディット」に新車装着

平成27年4月からダイハツ工業株式会社が一部改良して発売した軽自動車「ミラ イース」及び「タント」への新車装着(OE)用タイヤとして、また平成27年8月からスズキ株式会社が全面改良して発売した新型「ソリオ」及び「ソリオバンディット」への新車装着(OE)用タイヤとして「BluEarth AE-01(ブルーアース・エーイーゼロワン)」の納入を開始しました。

「BluEarth AE-01」は、優れた低燃費性能を発揮するとともに、静粛性や快適性、乗り心地、ロングライフなどの基本性能を高次元で実現させています。
 当社は、YOKOHAMAの先進タイヤ技術「BluEarth」テクノロジーを投入したタイヤ開発を積極的に進めており、最新のエコカーやハイブリッドカーを中心に新車装着されています。

 

3)「ADVAN」が新型「ホンダ S660」、新型「マツダ ロードスター」、「三菱自動車 ランサーエボリューション ファイナルエディション」及び「ダイハツ キャストスポーツ」に新車装着

本田技研工業株式会社の新型2シーター・オープンスポーツモデル「S660」の新車装着用(OE)として、ストリートスポーツタイヤ「ADVAN NEOVA AD08R(アドバン・ネオバ・エイディー・ゼロハチ・アール)」の納入を開始しました。

今回、「ホンダ S660」向けに納入されたサイズは、同車のパフォーマンスを最大限に引き出せるよう本田技研工業株式会社と共同で専用設計したものです。
 ベースとなった「ADVAN NEOVA AD08R」は限りなくモータースポーツタイヤに近い「ADVAN」最強のストリートタイヤであり、長年のモータースポーツタイヤ開発やFIA世界ツーリングカー選手権(WTCC)などへのタイヤ供給で培った最新技術を惜しみなく搭載し、ドライ・ウェットグリップ、コントロール性能、耐摩耗性能など“走り”に求められる全ての性能の確保を高次元で実現させています。
 

マツダ株式会社の2シーターのライトウェイトオープンスポーツカーである新型「マツダ ロードスター」の新車装着用(OE)として、「ADVAN Sport V105(アドバン・スポーツ・ブイイチマルゴ)」の納入を開始しました。

当社のタイヤは、初代ロードスターより純正装着用として継続的に採用されていますが、「ADVAN Sport V105」は、ハイパフォーマンス性を象徴するグローバル・フラッグシップタイヤで、高いドライビングパフォーマンスを発揮するとともに、優れた快適性や安全性を高次元で実現させています。
 

 

三菱自動車工業株式会社が平成27年8月に発売した高性能4WDセダン「ランサーエボリューションⅩ」の特別仕様車「ランサーエボリューション ファイナルエディション」への新車装着(OE)用タイヤとして「ADVAN A13(アドバン・エイイチサン)」の納入を開始しました。

「ADVAN A13」は、優れたドライ・ウェット性能や耐摩耗性能に加え、初期グリップ力やコントロール性を高めたスポーツタイヤで「ランサーエボリューション ファイナルエディション」の高いドライビングパフォーマンスを十分に引き出す性能を有しています。「ADVAN」と「ランサーエボリューション」の組み合わせは様々なモータースポーツにおいて活躍しており、2015シーズンは、全日本ダートトライアル選手権と全日本ジムカーナ選手権でチャンピオンを獲得しています。
 

ダイハツ工業株式会社が平成27年10月に発売した新型軽乗用車「キャスト スポーツ」への新車装着用(OE)として「ADVAN A10(アドバン・エイ・テン)」の納入を開始しました。

「ADVAN A10」は「ADVAN」ブランドに相応しいハイレベルな走行性能を発揮するとともに、優れた快適性能や安全性能を両立しています。

 

4)4×4/SUV用ハイウェイテレーンタイヤ「GEOLANDAR H/T G056」を発売

平成27年7月からSUV用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」のハイウェイテレーンタイヤ「GEOLANDAR H/T G056(ジオランダー・エイチティ・ジーゼロゴーロク)」を発売しました。
 「GEOLANDAR H/T G056」は、中・大型4×4/SUVユーザーが求める耐摩耗性・耐久性、静粛性・快適性、ハンドリング性能などを追求して開発しました。
 従来品(GEOLANDAR H/T-S)に比べ、耐摩耗性を21%向上、パターンノイズを13%低減(騒音エネルギー低減率での比較)するとともに、車線変更時の操縦安定性も改善しています。

 

5)「YOKOHAMA dB E70」が新型「トヨタ シエンタ」に新車装着

トヨタ自動車株式会社が平成27年7月に発売した新型ミニバン「シエンタ」への新車装着(OE)用タイヤとして「YOKOHAMA dB E70(ヨコハマ・デシベル・イーナナマル)」の納入を開始しました。
 「YOKOHAMA dB E70」は、高い静粛性に加え、優れた走行安定性や高い剛性、快適な乗心地、低燃費性能を実現しています。

 

6)「GEOLANDAR」が新型「三菱自動車 アウトランダーPHEV」に新車装着

三菱自動車工業株式会社が平成27年7月に発売した新型「アウトランダーPHEV」への新車装着(OE)用タイヤとして「GEOLANDAR G033(ジオランダー・ジー・ゼロサンサン)」の納入を開始しました。
 今般装着された「GEOLANDAR G033」には「環境性能のさらなる向上+人に、社会にやさしい」をテーマとした低燃費タイヤブランド「BluEarth」の基盤設計や材料技術を投入し、低燃費性能を高めながら、SUV に相応しい走行性や安全性に加え快適性も実現しています。

 

7)「AVID S34」が新型「マツダ CX-3 北米向けモデル」に新車装着

マツダ株式会社の新型コンパクトクロスオーバーSUV「CX-3」の北米向けモデルへの新車装着用(OE)タイヤとして「AVID S34(エイビッド・エスサンヨン)」の納入を開始しました。
 「AVID S34」は、北米市場で販売している乗用車用オールシーズンタイヤである「AVID」に「環境性能のさらなる向上+人に、社会にやさしい」をテーマとした横浜ゴムのグローバルタイヤブランド「BluEarth」の基盤設計や材料技術を投入し、優れた走行性能と安全性能を実現しながら低燃費性能も高めています。

 

 

8)小型トラック・バス用リトレッドタイヤのリブタイヤ「LT151R」及びスタッドレスタイヤ「iceGUARD iG91」を新発売

平成27年10月から小型トラック・バス用リトレッドタイヤとして耐摩耗性重視型リブタイヤ「LT151R(エルティー・イチゴーイチアール)」と氷雪上性能重視型スタッドレスタイヤ「iceGUARD iG91(アイスガード・アイジーキュウイチ)」を発売開始しました。
 「LT151R」及び「iceGUARD iG91」のトレッドパターンは、昨年の新商品発売以来好評を博している新品タイヤのオリジナルパターンが採用されています。

リトレッドタイヤは、使用済みタイヤのトレッド部分を新しいトレッドに張り替えて再利用するタイヤであり、3R(Reduce:省資源、Reuse:資源循環、Recycle:資源再生)の観点から、高い環境保全効果を期待することができます。
 また、運輸・輸送業界においては、燃料費などコストの削減と地球温暖化防止など環境経営の向上が大きな課題となっている中で、リトレッドタイヤの需要が高まってきています。

トラック・バス用タイヤ事業では、環境負荷低減活動の一環として、リトレッドタイヤに最適な開発を進めるとともに、トータルパッケージプラン「eco method(エコ・メソッド)」を展開しており、新品タイヤとリトレッドタイヤの組み合わせによるコスト削減提案に加え、タイヤ空気圧モニタリングシステム「HiTES(ハイテス)」とタイヤの定期点検で最適なタイヤ運用を実現する「TMS(タイヤ・マネージメント・システム)」、緊急なタイヤトラブルに対応する「YNS(ヨコハマタイヤ・ネット・サービス)」をパッケージすることで、運輸・輸送業界の環境対応や安全運行、タイヤ管理の省力化を強力にサポートしています。

 

9)チェルシーFCロゴ入りのパートナーシップ記念タイヤを発売

平成27年7月から開始したバークレイズ・プレミアリーグ「チェルシーFC」とのパートナーシップ契約を記念し、タイヤサイドに「チェルシーFC」のロゴを刻印した「BluEarth-A(ブルーアース・エース) CHELSEA FC EDITION」を同年10月より、日本のほか欧州、アジア及び南米などで限定販売を開始しました。
 パートナーシップ記念タイヤ「BluEarth-A CHELSEA FC EDITION」は、ハイパフォーマンス低燃費タイヤ「BluEarth-A」をベースに開発しており、優れた低燃費性能と運動性能を両立しており、国内タイヤラベリング制度では転がり抵抗は「A」、ウェットグリップ性能は最高グレードの「a」を獲得しています。

 

 

(2)MB事業
 MB事業においては、お客様の満足と環境への貢献を念頭に置いて、幅広い産業分野での高機能新商品の開発と、新規事業を目指した技術開発を積極的に行っており、以下のような活動をしました。

研究開発費の金額は、26億66百万円であります。

 

1)ホース配管事業

環境貢献商品の開発における取り組みとして、将来の燃料電池車の普及に備えた70MPa水素ステーション機器用の水素用樹脂ホースを水素ステーションに継続的に納入しており、市場実績の積み上げと共に水素社会の普及に貢献していきます。
 実用化に向けた昇圧仕様の82MPa用についても、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の委託業務を継続しており、70MPa実証試験により判明した課題を克服する仕様への開発を進めております。
 新興国市場をターゲットにしたトヨタ自動車株式会社の世界戦略車プロジェクト「IMV(Innovative International Multi-purpose Vehicle)」では、ディーゼルエンジン用ターボオイル供給用配管として、当社のテフロンホース配管が採用されました。

海外販売向け補修交換用高圧ホース(海外販売専用ブランド「Exceed(エクシード)」)として、使用圧力42MPaのホースを追加し、使用圧力別(7MPa,21MPa,28MPa,35MPa,42MPa)に全5シリーズを量産開始しました。
 補修交換用高圧ホースの世界需要は、今後さらなる拡大が見込まれることから、現地ユーザーのニーズを取り込みながらラインアップの拡充に取り組むなど、より積極的に「Exceed」の開発及び販売活動を促進していきます。

カーエアコンの次世代冷媒として欧州で普及が進んでいるHFO-1234yfに対応するカーエアコン用ホース「AC6B 11」を開発しました。HFO-1234yfは、従来の冷媒に比べ地球温暖化への影響度合い(GWP=地球温暖化係数)が低く、欧州の自動車産業界ではGWP150以上の冷媒使用規制を段階的に進めています。すでにカーエアコンシステムメーカーにこの新ホースを納入しており、主に欧州向け車輌に同ホースを採用したエアコンが搭載されています。
 また、株式会社デンソーエアシステムズ(カーエアコンシステムメーカー)向けにカーエアコン用低圧ホース「ACV17」を開発し、トヨタ自動車株式会社の新型「プリウス」に採用されました。

 

2)工業資材事業

・マリンホースが米国石油協会規格API Spec Q1 の認証を取得

工業資材事業の主力商品の一つであるマリンホース「Seaflex(シーフレックス)」は、その品質と信頼性が市場から高く評価され、55 年以上にわたり原油荷役で主要な役割を担っています。当社では市場でより確固たる地位を確立するため、平成26年12 月、アメリカ石油協会(API)が発行する規格「API Specification Q1 9th Edition」(=API Spec Q1)の認証を取得しました。同規格は歴史が古く、石油業界にける世界的権威となっており、石油、石油化学、天然ガスに関わる産業で事業を行う組織の品質マネジメントシステム(生産現場におけるリスクアセスメントや変更管理など)に関し、厳しく定められているものです。
 当社は、今般の認証取得を契機に積極的な営業活動を展開し、マリンホースのトップメーカーとしてのブランド力強化及びシェア向上を図ります。

 

・道路ジョイント「YHT」シリーズのラインアップを強化

道路橋用伸縮装置(道路ジョイント)「YHT(ワイ・エッチ・ティー)」シリーズをリニューアルし、平成27年1月から「YHT-50-N(ワイ・エッチ・ティー・50・エヌ)」「YHT-70-N(ワイ・エッチ・ティー・70・エヌ)」として販売開始しました。リニューアル品の特徴は、道路ジョイントに求められる止水性と耐久性をさらに向上させたことです。併せて、新商品としてより大きい伸縮量に対応可能な「YHT-90-N(ワイ・エッチ・ティー・90・エヌ)」も発売しました。伸縮の許容量を90mm とする表面鋼製の道路ジョイントの発売は当社初となります。
 道路ジョイントは、橋桁間または橋桁端部の繋ぎ目に止水の目的で設置され、同時に温度変化による橋桁の伸縮や地震発生時などの動きを吸収します。また、道路ジョイント部からの水漏れは橋梁下部にある各種付属物が腐食する一因となることから、道路ジョイント本体の止水構造が必要となります。
 当社の道路ジョイントは、全てのタイプにおいて内部の伸縮止水ゴムと側板を一体化させる加硫接着構造を採用しているため、長期にわたり信頼性の高い止水性能を維持する事ができるのが特徴です。

 

新発売の「YHT-N(ワイ・エッチ・ティー・エヌ)」タイプは、伸縮止水用ゴム部分の厚みをさらに増すことで機械的損傷への耐性を強化するとともに、道路ジョイント装置内部を全てゴムで覆う被覆構造とし、鋼材部の露出を極力なくすことで本体内部の腐食を防ぎ、より長期にわたって性能確保する事が可能となりました(特許出願済)。
 近年では橋梁の長寿命化対策などから、主に補修用として表面が鋼製の道路ジョイントの需要が拡大していることから、従来の表面がゴム製の道路ジョイントを主としたラインアップに加え、鋼製の「YHT」シリーズを拡充し、販売の強化を図ります。

 

・耐寒耐衝撃性コンベヤベルトを本格的に販売開始

世界的な資源開発市場への供給拡大を狙い、極寒冷地仕様のコンベヤベルト「ICEGUARD AR(アイスガード・エーアール)」の販売を本格化します。資源開発は、採掘が難しい北極圏などの寒冷地へ対象が広げられており、厳しい環境でも使用可能なコンベヤベルトのニーズが高まっている状況の中、当社では、カナダのオイルサンド(鉱物油分を含んだ砂岩)採掘現場向けなどを対象に寒冷地仕様のコンベヤベルトの開発を進めてきました。オイルサンドは、加工すると石油が採取できるため石油代替燃料資源として注目を集めています。当社のコンベヤベルトが運用されているカナダ・アルバータ州の採掘現場では、冬の気温がマイナス40℃から50℃まで下がるためゴムの弾性が低下する傾向にあります。このため、運搬物がコンベヤベルト上に落下した際の衝撃で亀裂が生じるなど、製品寿命やメンテナンス周期が短くなることが課題となっていました。こうした課題に対応するため、当社では独自のポリマーブレンド技術を応用して耐寒性、耐衝撃性を高次元で実現したコンベヤベルトの開発に成功し、高く評価されたため、今後は本格的に全世界向けに販売を開始していきます。

 

・JIS難燃耐カット耐摩耗性コンベヤベルトを開発

JIS難燃耐カット耐摩耗性コンベヤベルト「Flame GUARD ROCK(フレイムガード・ロック)」は、主に製鉄所で焼結鉱、鉄鉱石コークス等を高炉へ装入する際に使用することを想定し、従来のJIS難燃性コンベヤベルトに比べて、強い衝撃に対する耐カット性を向上させ、また、ゴム配合の最適化により耐摩耗性も大幅に向上させました。
 合成ゴム製であることから燃え易いコンベヤベルトに自己消火性を持たせる技術により、種火となる高温の運搬物が離れると再燃しないゴム配合設計とし、耐衝撃性性能を高めるために、エネルギー吸収性能も向上させました。
 なお、耐久性を向上させることによりコンベヤベルトの長寿命化を期待することができます。

 

・高温耐熱性コンベヤベルトを開発

「高温耐熱性MJ(メタル・ジョイント)帆布ベルト」は、金具接合に対応した高温耐熱性コンベヤベルトで、接合作業における時間の短縮、少人数化及びコストの削減を期待することができます。これまでも熱加硫接合に対応した高温耐熱性コンベヤベルトを製鉄所やセメント工場などに販売してきましたが、北米を中心とした金具接合のニーズなど、海外のニーズに対応した新商品を開発し、全世界に向けて展開していきます。

 

当社は、石炭や鉱石などの資源開発用コンベヤベルトを北米、中南米、豪州、中国等の山岳や砂漠地帯などの過酷な環境下にある採掘現場向けに販売してきました。これらの採掘現場において長年使用されてきたことにより、世界有数のコンベヤベルトメーカーとしての高い信頼性を確立しており、現在は日本と中国にコンベヤベルト専門の工場を保有しています。

 

3)ハマタイト・電材事業

・ウレタン塗膜防水材「アーバンルーフNX」

ビルやマンションなどの防水用途に使われるウレタン塗膜防水「アーバンルーフ」シリーズの主力商品である2成分形ウレタン塗膜防水材の「アーバンルーフNX」を開発し、平成27年1月に販売開始しました。
 従来の防水性能に加え、当社独自の樹脂中空体の配合技術を採用し、新たに断熱性能を付与したことが特徴で、外気温や直射日光による建物の温度上昇の抑制に貢献します。
 このような断熱効果を持つウレタン塗膜防水材の商品化は業界初であり、当社内の試験では、「アーバンルーフNX」と遮熱効果のあるトップコート「アーバントップHシャネツ」を併用することで、最大約8℃の温度上昇が抑制されることを確認しています。

 

上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品にかかる研究開発費が3億8百万円あります。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

・売上高
 当連結会計年度の売上高は、6,298億56百万円(前期比0.7%増)となりました。詳細につきましては、本報告書「第2 事業の状況 1業績等の概要 (1)業績」に記載しておりますセグメント別の業績をご参照下さい。

 

・営業利益
 当連結会計年度の営業利益は、原材料安、為替相場の円安の進展などの好材料もありましたが、価格競争の激化による影響もあり、545億36百万円(前期比7.7%減)となりました。

 

・経常利益及び当期純利益
 当連結会計年度の経常利益は、493億34百万円(前期比11.6%減)となりました。また、当期純利益は363億7百万円(前期比10.4%減)となりました。

 

(2)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・財政状態
 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて237億94百万円減少し、7,107億16百万円となりました。
 流動資産は売上債権が減少したこと等により、3,245億44百万円(前期比7.9%減)となりました。固定資産は有形固定資産の増加等により、3,861億71百万円(前期比1.1%増)となりました。
 流動負債は仕入債務が減少したことや、コマーシャル・ペーパーや短期借入金の返済等により、2,247億92百万円(前期比23.2%減)となりました。固定負債は社債の発行や長期借入金の増加等により、1,412億35百万円(前期比27.1%増)となりました。
 純資産は当期純利益の計上等により3,446億88百万円(前期比4.2%増)となりました。
 

・キャッシュ・フロー

  キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、本報告書「第2 事業の状況 1業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。