第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

当社グループでは、以下を経営方針とし、基本理念である「心と技術をこめたモノづくりにより幸せと豊かさに貢献します」の実現を目指しております。

・技術の先端に挑戦し、新しい価値を創り出す
 ・独自の領域を切り拓き、事業の広がりを追及する
 ・人を大切にし、人を磨き、人が活躍する場をつくる
 ・社会に対する公正さと、環境との調和を大切にする

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、2020年度に売上収益7,000億円、営業利益700億円、営業利益率10.0%の達成に向けて取り組んでまいります

 

(3) 経営環境及び経営戦略・対処すべき課題 

 当社グループは、2018年から2020年までの3カ年計画として、新中期経営計画 GD2020(ジーディー ニイゼロニイゼロ)の取り組みを2018年度より開始しました。

 当社グループの強みを再定義し、独自路線を強めた各事業の成長戦略を通じて経営基盤を強化し、2020年代のさらなる飛躍に備えることを GD2020 の位置づけとしています。

 

 各分野の戦略と取り組み内容は、次のとおりです。

■タイヤ消費財事業

 拡大の見込まれるプレミアムタイヤ市場をターゲットに、横浜ゴムの存在感をさらに向上すべく4つの戦略を推進していきます。

①プレミアムカー戦略

 技術と品質で選ばれるタイヤメーカーを目指していきます。2018年度は、BMW、メルセデスAMGなど数多くのプレミアムカーへの装着を推進しました。

②ウィンタータイヤ戦略

 国内、欧州、ロシア・北欧向けウィンタータイヤで性能 No.1 を目指してレベルアップを図っていきます。2018年度は乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD 6」およびSUV用スタッドレスタイヤ「iceGUARD SUV G075」のサイズ拡大に加え、「iceGUARD 6」のランフラットモデルを発売するなど商品ラインアップを拡充しました。海外では、成長している欧州オールシーズンタイヤ市場に「BluEarth-4S AW21」を投入し、販売も好調に推移しました。

③ホビータイヤ戦略

 レースやクラシックカーなどあらゆる自動車ユーザーの趣味に対応する商品ラインアップの拡充を図っていきます。2018年度は、SUV・ピックアップトラック向けマッドテレーンタイヤ「GEOLANDAR X-MT」を北米、日本で発売、また、「ADVAN A053」、「ADVAN A08B」、「ADVAN A052」などスポーツタイヤのサイズ拡大や、ヒストリックカー向け「ADVAN HF Type D」の復刻モデルの発売を実施しました。

④お客様とのコミュニケーション活性化

 「クルマのある生活をもっと楽しく!」を体現するタイヤメーカーを目指していきます。様々なユーザー参加型イベントを積極的に実施するなど実績を重ねており、今後もSNSの活用やイベントを通しユーザーとのコミュニケーション強化を図って参ります。

 

■タイヤ生産財事業

 オフハイウェイタイヤを成長ドライバーとした事業拡大と北米事業基盤を生かしたトラック・バス用タイヤの拡大に取り組みます。

①オフハイウェイタイヤ

・ATGの農業機械用・林業機械用タイヤ、愛知タイヤ工業株式会社の産業車両用タイヤ及び横浜ゴムの建設車両用タイヤを最大限に活用し、事業ポートフォリオのさらなる拡充を図ります。

・インドを拠点としたATGの持つ圧倒的なコスト競争力を強みに拡販します。

・競争優位な特殊用途タイヤをさらに強化します。

 2018年度は、ATGの売上収益が、買収した2016年度の25%増、愛知タイヤ工業は過去最高の売上収益を達成するなど、ともに好調な業績となり、旺盛な建機向けタイヤの販売と相まって、オフハイウェイタイヤの拡販に寄与しました。また、好調な販売を背景に、ATGインド工場の生産能力拡張も決定しました。

②トラック・バス用タイヤ

・米国ミシシッピ州に建設した最新鋭の設備を持つトラック・バス用タイヤ工場の高い品質と柔軟な供給体制を強みに、世界最大級の北米市場での拡販を図ります。

・独自技術 SpiraLoop® (スパイラループ)を採用した超偏平シングルタイヤを積極的に展開していきます。

 2018年度は、超偏平シングルタイヤ「902L」の拡販を狙い、日本と北米で新サイズを発売いたしました。また、三重工場での超偏平シングルタイヤ生産能力の倍増も決定し、現在段階的に増強しております。

 

■MB事業

 得意分野への資源集中をテーマに掲げ、自動車部品ビジネスの拡大と海洋事業での確固たる世界 No.1 を目指していきます。

①自動車部品ビジネス

・自動車用ホース配管や接着剤などのグローバル展開をさらに加速します。

・次世代技術・商品の開発を推進します。

 2018年度は、バッテリー冷却配管の納入を拡大しました。また、高強度・高弾性ウレタン系接着剤の基礎技術を確立しました。今後増加が見込まれるマルチマテリアル自動車構造用の接着剤開発に活用していきます。

②海洋事業

・日本、インドネシア、イタリアの3拠点生産体制を最大限に活用し、世界的に高評価を得ているマリンホースや空気式防舷材などを拡販します。

・独自技術による商品開発をさらに推進します。

 2018年度は、マリンホースの国際認証を取得したインドネシアの子会社がフル生産を開始し、国内外への納入を拡大しました。

 

■技術戦略

 強みである独自の特性コントロール技術とグローバル開発体制により、卓越した性能と品質の商品を作り出し、GD2020 の事業戦略を支えます。また、先行技術開発として重要なモータースポーツ活動を今後も積極的に進め、最高レベルの技術を追求していきます。

 2018年度は、ウィンタータイヤ戦略と関連する開発技術を強化し、冬用タイヤの吸水効果を高精度で評価できる新技術を確立いたしました。

 

■ブランド戦略

 2015 年より開始した英国プレミアリーグ「チェルシーFC」とのパートナー契約を今後も最大限活用し、グローバルでのブランド強化を図ります。

 2018年度はチェルシーと共催で日本を含む世界6カ国でファンイベントを開催し、ファンとの交流を深めると共に、当社の活動を周知しました。

 

■経営基盤強化

 「CSR」、「人事施策」、「コーポレート・ガバナンス」、「リスクマネジメント」、「財務戦略」に取り組んでまいります。中でも「財務戦略」では、成長戦略の着実な推進によって創出されたキャッシュフローとグループ資金の有効活用により、有利子負債削減等の財務基盤の強化と適正な株主還元の両立を目指します。

 2018年度は、キャッシュフローの良化と有利子負債の削減に取り組み、12月末でのD/Eレシオを前年の0.831倍から0.696倍まで改善することが出来ました。

 CSR活動においては、2018年下期に持続可能な天然ゴムの調達方針を策定しました。サプライチェーン全体でこの方針を共有し、天然ゴムの持続可能性の実現を目指していきます。

 

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは下記のようなものがあります。なお文中における将来等に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経済状況
 当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車用タイヤの需要は当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジアなどの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の減少は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、競業他社との販売競争激化による市場シェアダウン及び価格競争の熾烈化による販売価格の下落も、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 為替レートの影響
 当社グループは主として円建で一般商取引、投融資活動等を行っておりますが、米ドルその他の外国通貨建でもこれらの活動を行っております。今後一層の事業のグローバル化の進行に伴い、海外事業のウエイトが高まることが予想されます。したがって、従来以上に外国通貨建の一般商取引、投融資活動等が増加し、外国為替の変動により当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける度合いが大きくなります。為替予約の実施等、為替レートの変動によるリスクを最小限にとどめる努力を行っておりますが、当該リスクを完全に回避することはきわめて困難であります。

(3) 季節変動の影響
 当社グループの業績は上半期と下半期を比較した場合、下半期の業績がよくなる傾向にあります。特に、寒冷地域で冬場の降雪時に使用する自動車用タイヤ(スタッドレスタイヤ)の販売が下半期に集中することが主な理由であります。従って、降雪時期の遅れや降雪量の減少等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 原材料価格の影響
 当社グループの製品の主要な原材料は、天然ゴム及び石油化学製品であります。従って、天然ゴム相場の大幅な上昇及び国際的な原油価格の高騰があった場合、当社製品の製造コストが影響を受ける可能性があります。これらの影響を最小限にとどめるべく各種対策を実施しておりますが、吸収できる範囲を超えた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 資金調達力及びコストの影響
 当社グループは資金調達の安定性及び流動性の保持を重視した財務運営を行っておりますが、日本を含めた世界の主要な金融市場で混乱が発生した場合、計画通りに資金調達を行うことができない可能性があります。また、格付会社より当社グループの信用格付けが大幅に下げられた場合、資金調達が制約されるとともに調達コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 有利子負債の影響
 当社グループの総資産に占める有利子負債の割合は、約30.4%(2018年12月31日現在)であります。グループファイナンスの実施によりグループ資金の効率化を行うことで財務体質の改善に取り組んでおりますが、今後の金利動向によっては当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの一部の借入契約には財務制限条項が付されております。

(7) 保有有価証券の影響
 当社グループが保有する市場性のある有価証券のうち日本株式への投資が大きな割合を占めております。従って、日本の株式市場の変動及び低迷等による有価証券評価損の計上等で、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 投資等に係る影響
 当社グループは世界的な自動車用タイヤの需要に対応すべく、アジアを中心に生産拠点の拡大及び生産能力の増強のための投資を行っております。この投資により製品の品質向上を図るとともに需要増にも対応でき、当社グループの信頼を高め、シェアアップが期待できます。しかしながら、現地の法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態が生じた場合、期待した成果を得ることができなくなるため、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) M&A、資本・業務提携による影響
 当社グループは、さらなる成長の実現に向けた競争力強化のため、他社の買収や他社との資本・業務提携を行うことがあります。万一対象会社の業績が買収時の想定を下回る場合、または事業環境の変化や競合状況等により期待する成果が得られないと判断された場合にはのれん等の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 退職給付債務
 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は割引率、年金資産の期待運用収益率等の一定の前提条件に基づいて数理計算を行っております。実際の割引率、運用収益率等が前提条件と異なる場合、つまり、金利低下、年金資産の時価の下落、運用利回りの低下等があった場合や退職金制度、年金制度を変更した場合、将来の退職給付債務の増加により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(11) 災害等の影響
 当社グループは地震等の自然災害に備え、各種対応策を検討し、計画的に実施しておりますが、生産拠点及び原材料の主要な仕入先などに予想外の災害が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(12) 知的財産権の影響
 当社グループは技術ノウハウの蓄積と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者の知的財産権の侵害を効果的に防止できないことがあります。また、当社グループの製品または技術が、第三者から知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、それが認められた場合には、グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(13) 製品の品質による影響
 当社グループは、品質管理を経営の最重要課題とし、品質管理体制の万全を期しておりますが、製品の欠陥や不良を皆無にすることは困難であります。大規模なリコールや欠陥に起因する多額の損害賠償が起きた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(14) 法律・規制・訴訟の影響
 当社グループは、事業活動を行っている各国において、投資、貿易、為替管理、独占禁止、環境保護など、当社グループが、展開している様々な事業に関連する法律や規制の適用を受けております。
 将来において、新たな法律や規制により、事業活動の制約やコストの上昇など当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 また、国内外における予期せぬ法律や規制の変更などにより、当社グループの事業活動に制約を受け、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 これらの他、当社グループは国内外の事業活動に関連して、訴訟や各国当局による捜査・調査の対象となる可能性があります。重要な訴訟が提起された場合や、各国当局による捜査・調査が開始された場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

 

百万円

百万円

売上収益

646,272

650,239

0.6

 

タイヤ

459,949

454,801

△1.1

 

MB

114,099

117,782

3.2

 

ATG

63,433

68,689

8.3

 

その他

8,792

8,966

2.0

事業利益

58,265

59,257

1.7

 

タイヤ

41,889

42,292

1.0

 

MB

7,757

7,404

△4.6

 

ATG

7,568

8,460

11.8

 

その他

1,171

1,073

△8.4

 

調整額

△120

29

営業利益

54,224

53,478

△1.4

税引前利益

54,891

49,941

△9.0

親会社の所有者に

帰属する当期利益

39,975

35,623

△10.9

 

(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

当期における当社グループをとり巻く環境は、国内では、雇用・所得環境および個人消費の改善が継続しており、景気は回復基調が続きました。

海外においては、米国では良好な雇用・所得環境等を背景に景気回復が継続しており、欧州も順調に回復してきましたが、中国では、国内総生産(GDP)の成長率に低下が見られるなど景気は減速傾向となりました。

また、今後の世界経済においては、米中貿易摩擦の動向や英国の欧州連合(EU)離脱等、依然として懸念材料が多く、先行き不透明な状態が続いています。

一方、国内のタイヤ業界においては、新車用タイヤ、市販用タイヤとも販売本数は、前期を若干下回りました。

こうした中、当社グループは、中期経営計画GD2020(ジーディーニイゼロニイゼロ)に基づいた成長戦略と経営基盤強化に取り組んだ結果、当期の連結売上収益は6,502億39百万円(前期比0.6%増)、利益面では、連結事業利益が592億57百万円(前期比1.7%増)と共に過去最高となりましたが、米国タイヤ生産子会社ヨコハマタイヤマニュファクチャリングミシシッピ,LLCにおいて減損損失を計上したこともあり、連結営業利益は534億78百万円(前期比1.4%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は356億23百万円(前期比10.9%減)となりました。

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

 

①タイヤ

売上収益は4,548億1百万円(前期比1.1%減)で、当社グループの連結売上収益の69.9%を占めております。

新車用タイヤは、国内、海外ともにプレミアムカーへの新車装着などは順調に拡大しましたが、国内では納入車種の切り替えや自然災害による自動車の生産調整の影響等により販売が低調だったほか、海外においては、中国で自動車販売不振に伴う生産調整等が続いており、国内、海外ともに売上収益は前期を下回りました。

市販用タイヤは、国内では、ヨコハマスタッドレス史上最高性能を実現した乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD 6(アイスガード シックス)」をはじめとする冬用タイヤの販売が順調だったほか、グローバル・フラッグシップブランド「ADVAN(アドバン)」シリーズや低燃費タイヤブランド「BluEarth(ブルーアース)」シリーズ等の高付加価値商品の拡販に努めた結果、売上収益は前期を上回りました。

一方、海外においては、天候要因や一部新興国における通貨不安、および米中貿易摩擦の影響による販売減少等により、売上収益は前期を下回りました。

 

②MB(MB:マルチプル・ビジネスの略)

売上収益は1,177億82百万円(前期比3.2%増)で、当社グループの連結売上収益の18.1%を占めております。

ホース配管事業は、国内外の建機、工作機械需要が引き続き旺盛だったことに加え、自動車用ホース配管も海外を中心に好調を維持したことで、売上収益は前期を上回りました。

工業資材事業では、国内外でコンベヤベルトの販売が好調だったことから、売上収益は前期を上回りました。

一方、ハマタイト・電材事業および航空部品事業の売上収益は前期を下回りました。

 

③ATG

売上収益は686億89百万円(前期比8.3%増)で、当社グループの連結売上収益の10.6%を占めております。

農業機械用・産業車両用タイヤをはじめとするオフハイウェイタイヤは、豪州・欧州を中心とした世界的な天候不良、異常気象により一部地域で市販用タイヤの販売が振るわなかったものの、農業機械の需要が引き続き回復傾向にあることから、新車用タイヤの販売が好調に推移し売上収益は前期を上回りました。

 

(2)財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて649億64百万円減少し8,558億12百万円となりました。

流動資産は現預金が減少したこと等により、3,355億6百万円(前期比7.4%減)となりました。非流動資産は投資有価証券の時価評価による減少等により、5,203億6百万円(前期比6.8%減)となりました。

流動負債は長期借入金のうち1年内返済予定額を短期へ振り替えたことによる増加等により、2,380億44百万円(前期比15.1%増)となりました。非流動負債は長期借入金の返済等により、2,353億68百万円(前期比27.8%減)となりました。

資本合計はその他の資本の構成要素が減少したこと等により3,824億1百万円(前期比1.4%減)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて265億60百万円減少し、317億45百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、828億21百万円(前連結会計年度比223億54百万円の収入増加)となりました。

これは主として、税引前利益499億41百万円の計上等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、431億34百万円(前連結会計年度比133億88百万円の支出増加)となりました。

これは主として、有形固定資産の取得による支出453億58百万円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、648億72百万円(前連結会計年度は280億91百万円の資金の減少)となりました。

これは主として、長期借入金の返済による支出497億47百万円等であります。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

(4)生産、受注及び販売の状況

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産金額(百万円)

前年同期比(%)

タイヤ

338,167

0.0

M B

95,797

4.3

ATG

60,276

19.2

そ の 他

357

△3.3

合  計

494,598

2.9

 

(注)1.金額は、販売価格を基礎として算出しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

②受注状況

当社は、ごく一部を除いてすべて見込生産であります。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売金額(百万円)

前年同期比(%)

タイヤ

454,801

△1.1

M B

117,782

3.2

ATG

68,689

8.3

そ の 他

8,966

2.0

合  計

650,239

0.6

 

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(5)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下のとおりであります。

(のれんの償却停止)

日本基準では、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で均等償却を行っておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降、償却せず毎期減損テストを行っております。

この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、「販売費及び一般管理費」が4,306百万円減少しております。

 

(表示組替)

日本基準において、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」、「特別損失」として表示していた項目を、IFRSでは財務関連損益については「金融収益」及び「金融費用」として表示し、それ以外の項目については、「その他の収益」、「その他の費用」として表示しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当する事項はありません。 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB、ATG及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様にご満足いただくべく努力を重ねています。

当連結会計年度における研究開発費の総額は、151億69百万円であります。

 

当社研究本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。

研究本部の研究開発費の金額は、10億85百万円であります。

 

・バイオマス(生物資源)からイソプレンを生成する世界初の新技術を開発

 2018年7月、国立研究開発法人理化学研究所(以下、理研)、日本ゼオン(株)との共同研究により、バイオマス(生物資源)から効率的にイソプレンを生成できる世界初の新技術を開発したことを公表いたしました。

 この新技術は、世界初となる新しい人工経路の構築と高活性酵素の作成により、優れたイソプレン生成能を持つ細胞を創製し、この細胞内(in vivo)で出発原料であるバイオマス(糖)からイソプレン生成までを一貫して行い、さらに生成したイソプレンを重合してポリイソプレンゴムを合成することを実現したものです。

 イソプレンは自動車タイヤなどの原料として使われる合成ゴム(ポリイソプレンゴム)の原料として使用されており、現在は、ナフサ熱分解の副生成物として工業的に生産されています。

 今回開発したイソプレン生成技術を確立することにより、石油への依存度が低減でき、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素削減に貢献することができます。

 なお、研究にあたっては理研・環境資源科学研究センター(CSRS)が保有する細胞設計技術、植物科学技術を活用しています。

・高強度・高弾性ウレタン系接着剤の基礎技術を確立

 過酷なヒートサイクルにさらされる電子機器をはじめとした工業用接着剤や、構造用接着剤の開発などに応用可能な、高い強度と優れた弾性を両立した2液型ウレタン系接着剤の基礎技術を確立しました。

 特に近年、100年に一度の大変革時代と言われる自動車業界では、軽量化を目的に鉄鋼、アルミ、炭素繊維強化樹脂(CFRP)などの軽量材料を組み合わせるマルチマテリアル構造が欧州を中心に急速に実用化され、構造用接着剤のニーズが高まっています。

 こうした中、当社は、エポキシ系に匹敵する20MPa~40MPaの最大引張り強度とウレタン系ならではの最大伸び率200%~500%の優れた弾性を両立させることに成功しました。

 これは、一般的に達成困難な技術領域を定める技術的上限曲線(通称バナナカーブ)を越える数値であり、また温度特性においては、-30℃~180℃の広い領域で安定した物性を保持します。

 さらに、動的な耐久性にも優れることに加え、2液の混合比率の変動が最大±20%以内であれば強度、伸びともに変わらない品質の安定性を保てる一方、逆に積極的に混合比を変えることで物性を任意に調整し、異種材料間あるいは接着部位に適した物性に調整することを可能とする技術です。

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(1)タイヤ

グローバル市場における独自の存在感の確立及び高付加価値商品のグローバル展開を目標とし、以下のような活動をしました。

当連結会計年度における研究開発費の金額は、110億25百万円であります。

 

1)JAF指定のレーシングカート用タイヤ「ADVAN SLJ」を発売

 2018年1月から、JAF(日本自動車連盟)指定タイヤ規則に適合したレーシングカート用タイヤ「ADVANSLJ(アドバン・エスエルジェイ)(名称:ADJ)」を発売しました。「ADJ」はカデットクラス向けドライタイヤで、従来品の「ADVAN SLJ(名称:AAJ)」をベースに寸法の見直しなどを行い、2017年に施行された新たなJAF指定タイヤ規則の摩耗基準をクリアする耐久性と優れた操縦安定性を実現しました。

 

 

 

2)世界トップクラスのプレミアムカーメーカーの技術承認を取得

 グローバル・フラッグシップタイヤ「ADVAN Sport V105(アドバン・スポーツ・ブイイチマルゴ)」が独・BMW社の新型「X3」に新車装着されました。「ADVAN Sport V105」は世界有数のハイパフォーマンスカーに数多く新車装着されておりますが、当社がBMW社へ新車向けタイヤを納入するのは今回が初めてとなります。

 「ADVAN Sport V105」は、横浜ゴムのハイパワー・プレミアムカー向け高性能タイヤで、高いドライビングパフォーマンスを発揮するとともに、優れた快適性や安全性を高次元でバランスさせており、今回新車装着されたタイヤはBMW社と共同開発したもので、タイヤサイドには同社の承認を示す★印(スターマーク)が刻印されています。

 なお「ADVAN Sport V105(アドバン・スポーツ・ブイイチマルゴ)」は、独・BMW社が2018年3月より全世界で発売開始した新型「M5」、 2018年7月より発売開始した新型「X4」にも新車装着されました。

 また、世界トップレベルのレースへ参戦するBMW社に対し、高性能レーシングタイヤを供給しておりますが、世界ツーリングカー選手権の初代チャンピオン(1987年)、欧州ツーリングカー選手権チャンピオン(1988年)のほか、世界的耐久レースであるニュルブルクリンク24時間とスパ・フランコルシャン24時間において計5回の優勝を獲得するなどの輝かしい戦績を残しています。

 国内では、全日本ツーリングカー選手権クラス3の初代チャンピオン(1985年)、2011年のSUPER GTのGT300クラスにおいてシリーズチャンピオンを獲得しています。

 

3)耐摩耗性能重視型トラック・バス用オールシーズンタイヤ「710R」新発売

 2018年3月、耐摩耗性能重視型トラック・バス用オールシーズンタイヤの新商品「710R(ナナイチマル・アール)」を発売しました。「710R」は、耐摩耗性能と耐偏摩耗性能を大幅に向上させることによって、輸送業経営者の求める経済性を追求しつつ、多くのドライバーが不安を抱える空荷時の安全性の改善を目指して開発されました。新開発の専用パターンを採用したワイドトレッドデザインにより耐摩耗性能を向上し、互い違いにブロックを配置した千鳥ブロックレイアウトや「Z」型のブロックを交差配置したセンター「Z」ブロックが偏摩耗を抑制します。さらに、ワイドセンターブロックとワイドセンターグルーブが空荷時のグリップ力と排水性の向上に貢献します。

 また、コンパウンドには耐摩耗性能に優れるポリマーとウェット性能に貢献するシリカを配合し、さらに新C’ROLL製法(C’ROLLはCOLD&ROLLの略。従来、高温下で行われていたゴムのミキシングを、低温でさらにロールを使用して丹念に練ることで、ゴムの分子切断を抑制し、補強剤であるカーボンをより均一に分散できる製法)を採用することにより従来品の「ZEN 701ZE(ゼン・ナナマルイチ・ゼットイー)」)に比べ耐摩耗性能を20%以上(※1)向上、空荷時ウェット発進スリップ性能を57%(※2)改善したほか、ウェット制動性能や雪上性能も従来品同等レベル以上を確保しています。

※1、2:性能データについてはタイヤ公正取引協議会に届け出てあります。

 

4)ラリー・ダートトライアル用ラジアルタイヤ「ADVAN A053」に新サイズを追加

 2018年3月、ラリー・ダートトライアル用ラジアルタイヤ「ADVAN A053(アドバン・エイ・ゼロゴーサン)」に新サイズを追加し、全4サイズとなりました。

 同商品は左輪用と右輪用で異なるパターンを採用しており、硬く締まった路面から柔らかい土質まで様々に変化するグラベルステージに対応すると共に、ハイスピードな道はもちろん、低中速コーナーでも高いトラクション性能を発揮します。同商品は日本のラリー、ダートトライアルの最高峰である全日本ラリー選手権のグラベル路面や、全日本ダートトライアル選手権でも使用されており、2016年の全日本ラリー選手権ではJN5とJN2でシリーズチャンピオンに、2017年にはJN2クラスで2連覇を達成したほか、全日本ダートトライアル選手権では2016年に4クラス、2017年に3クラスでシリーズチャンピオンを獲得しております。

 

5)「ADVAN Sport V105」にランフラットサイズを追加

 2018年4月、グローバル・フラッグシップタイヤ「ADVAN Sport V105(アドバン・スポーツ・ブイイチマルゴ)」に新たにランフラットサイズ全8サイズを追加し発売しました。

 今回発売する新サイズのサイドウォールにはランフラット構造タイヤ(※)であることを示す「Z・P・S」マークが打刻されています。

 空気が抜けた状態(ゼロプレッシャー状態)でもタイヤが車両を支えられるようタイヤのサイドウォール(タイヤ側面)を強化したほか、新開発の「小型化ビードフィラー」と適切に組み合わせ配置した「2nd フィラー」の採用および、ビードフィラーゴムの低発熱化を実現することでランフラット構造タイヤに求められる耐久性を向上させました。

 さらに、この効果によってサイドウォールを強化する部材の軽量化が可能となり、タイヤの軽量化も同時に実現しました。(サイズにより採用技術が異なります。)

 ※パンクなどで空気が抜けた状態でも一定速度で、一定距離を走行できるタイヤ

 

6)SUV用スタッドレイヤiceGUARD SUV G075」新サイズを拡充

 2018年9月、乗用車用スタッドレスタイヤブランド「iceGUARD(アイスガード)」のSUV向け商品「iceGUARD SUV G075(アイスガード エスユーヴィ ジーゼロナナゴ)」に新サイズを追加し、全42サイズから全66サイズにラインアップを拡大します。

 同製品では「SUVに、飛躍の氷上性能を」をテーマに、「iceGUARD(アイスガード)」シリーズで培った独自技術を惜しみなく搭載し、SUVユーザーからのニーズが最も高い氷上性能を向上させたほか、氷上性能の持続性、省燃費性、更に近年人気の都市型SUVに対応するための静粛性を追求しました。

 

7)冬用タイヤの吸水効果を評価する新技術を開発

 金沢大学理工研究域岩井研究室との共同研究により、氷上路面と摩擦中のゴム(走行中のタイヤをイメージ)の接地状態を可視化する評価技術を開発しました。

 本技術は、高速度カメラを搭載した特殊試験機の開発により接地状態を可視化し、真実接触部を識別、さらに、接触画像を数値化する解析技術の確立により、ゴムの吸水性や排水性を数値的に評価することに成功したものです。
 本特殊試験機では氷あるいは氷を再現した透明で平滑な円盤とゴムサンプルを最大時速50kmで摩擦させ、その接地面のミクロレベルの画像を高速度カメラで1秒間に100万枚撮影し、試験中の摩擦力を同時に測定することができます。 

 本技術を活用することで吸水性に優れた新たな配合剤の発見や排水性の高いトレッドパターンの開発をより高精度に行うことが可能となり、氷上性能を飛躍的に高めた冬用タイヤの開発が期待できます。

 

8)ヨコハマ・スタッドレス史上最高傑作「アイスガード シックス」のランフラットモデルを新発売

 2018年10月、乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD 6(アイスガード シックス)※1」のランフラットモデルとして「iceGUARD 6 Z・P・S(アイスガード シックス ゼット ピー エス)※2」を発売しました。

 「iceGUARD 6 Z・P・S」は2017年9月に発売したヨコハマ・スタッドレスタイヤの最高傑作「iceGUARD 6」をベースに開発したランフラット・スタッドレスタイヤで、当社のグローバル・フラッグシップタイヤ「ADVAN Sport V105」のランフラットサイズにも搭載されている「Z・P・S ビードフィラー」を採用しており、サイドウォールにはランフラット構造タイヤであることを示す「Z・P・S」(※3)マークが打刻されています。

 「Z・P・S ビードフィラー」はビードフィラー小型化と2nd フィラーの組み合わせにより、ランフラット耐久に寄与し、さらに専用のプロファイル、構造を開発することで氷上性能、ウェット性能をはじめとするiceGUARD 6」の優れた性能と空気が抜けた状態(ゼロプレッシャー)での耐久性を高次元でバランスさせました。

※1:愛称;「アイスガード シックス」 製品名;「アイスガード アイジー ロクジュウ」

※2:愛称;「アイスガード シックス ゼット ピー エス」 製品名;「アイスガード アイジー ロクジュウ ゼット ピー エス」

※3:Zero Pressure System の略

 

9)ストリートスポーツタイヤ「ADVANA052」のサイズ追加

 2018年10月、12月、グローバル・フラッグシップブランド「ADVAN」のストリートスポーツタイヤ「ADVAN A052(アドバン・エイ・ゼロゴーニ)」に新サイズを追加し、全34サイズとなりました。

 「ADVANA052」は「ADVAN」最強のストリートスポーツタイヤ「ADVANNEOVA AD08R」を凌ぐグリップ力とハンドリング性能を発揮しつつ、騒音や燃費も配慮した次世代のストリートスポーツラジアルタイヤとして2016年8月より発売しました。

 先進のレーシングテクノロジーから生まれた構造技術「マトリックス・ボディ・プライ」を採用するとともに専用プロファイルを開発し、コーナリングフォースの最大化を図り、また新規開発した専用コンパウンドはドライグリップとウェットグリップを高次元で両立させ、素直で扱いやすいハンドリング特性を実現、これらによりサーキットで速いラップタイムを安定して刻むことができ、さらに周回を重ねてからのタイムの落ちを抑制することが可能となりました。

 さらに、ウェットグリップ性能、騒音、転がり抵抗に係る規制を定めた国際基準「UN/ECE Regulation No.117 02 Series(R117-02)」をクリアしており、走りだけでなく環境や人に優しいタイヤとなっています。

 当社では、2018年からスタートした3カ年の中期経営計画「グランドデザイン2020(GD2020)」のタイヤ消費財戦略において「ホビータイヤ戦略」を掲げ、レースやクラシックカーなどあらゆる自動車趣味に対応する新商品の開発を加速するとともに既存商品のサイズラインアップ拡充を進めています。

 

10)タイヤ3商品で2018年度グッドデザイン賞受賞

 2018年10月、プレミアムコンフォートタイヤ「ADVAN dB V552(アドバン・デシベル・ブイゴーゴーニ)」、ヒストリックカー向けタイヤ「ADVAN HF Type D(アドバン・エイチエフ・タイプディー)」、SUV・ピックアップトラック向けマッドテレーンタイヤ「GEOLANDAR X-MT(ジオランダー・エックスエムティー)」の3商品が2018年度グッドデザイン賞を受賞しました。

 「ADVANdB V552」はヨコハマ史上最高の静粛性を提供するプレミアムコンフォートタイヤで、優れた静粛性に加え、ウェットグリップ性能と低燃費性能を高次元でバランスしました。

 「ADVANHF Type D」は1981年に発売した歴史的ヒット商品の復刻モデルで、オリジナル商品の特徴であった非対称パターンを継承しつつ、現代の基準に適合した走行性能や安全性能を実現しています。

 また「GEOLANDARX-MT」はオフロード走行、ロックトレイルを楽しむユーザー向けに開発したSUV・ピックアップトラック向けマッドテレーンタイヤで、自然界の岩をイメージしたオフロード感溢れる「ロックコンセプトトレッド」を採用し、性能面ではあらゆる路面でのオフロード性能を追求しつつ、パターンノイズの抑制にも配慮しており、各商品ともターゲットユーザーの目線に立った特徴的なデザインや優れた性能が評価されました。

 なお「グッドデザイン賞」は公益財団法人日本デザイン振興会が主催する総合的なデザイン推奨制度で、国内外の多くの企業や団体が参加しており、グッドデザイン賞受賞作品には優れたデザイン性を象徴する「Gマーク」の使用が認められます。

 

 

 

 

 

(2)MB

 お客様の満足と環境への貢献を念頭に置いて、幅広い産業分野での高機能新商品の開発と、新規事業を目指した技術開発を積極的に行っており、以下のような活動をしました。

当連結会計年度における研究開発費の金額は、24億63百万円であります。

 

1)ホース配管事業

・バリアタイプホース

 バリアタイプホースは自動車用エアコンシステムで冷媒を輸送するための配管に用いられるゴム製ホースの一種で、カーエアコンの次世代冷媒として普及が進んでいるHFO-1234yfに対応した製品となっております。今回開発したのは高圧用および低圧用のホースで、すでに現行型「Jeep® Wrangler」及び「Jeep®Compass」に採用されています。

 現在、カーエアコンの冷媒として広く使用されているHFC-134aはGWP(地球温暖化係数)が1,430と高いため、地球温暖化防止を目的として、同係数が低いHFO-1234yf(GWP=4)への切り替えが進みつつあります。しかし、HFO-1234yfは長期使用により徐々に分解が進み、酸を発生させる性質があるため、最内面に樹脂層を持つホースでは樹脂が腐食してしまうという問題がありました。この対策として樹脂層の内面にゴム層を有するホース構造を採用し、樹脂との接着性を改善した内面ゴムを開発することで冷媒と樹脂との直接の接触を防ぎ、樹脂の腐食・冷媒の漏えいを防ぐカーエアコン用ホースを開発しました。なお、今回開発したホースの内面ゴム材料は日本で特許を出願しています。

 今後は自動車部品ビジネスのグローバル展開を推進するため、ラインアップをさらに充実させ、海外販売を強化していきます。

 

・IHX (Internal Heat Exchanger)

 IHXは、自動車用エアコンシステムで冷媒を輸送するための配管の一部で、従来は別々に構成されていた2本の冷媒配管の一部を一体化して2重管として構成したものであり、高温冷媒と低温冷媒の温度差を利用して内部熱交換することでエアコンシステム全体の冷却効率が向上させることができる製品となっております。

 現在、カーエアコンの冷媒として広く使用されているHFC-134aはGWP(地球温暖化係数)が1,430と高いため、地球温暖化防止を目的として、同係数が低いHFO-1234yf(GWP=4)への切り替えが進みつつあります。一方、HFO-1234yfはHFC-134aと比較して冷却効率が低下してしまいますが、今回開発した2重管型内部熱交換器によって、この冷却効率低下をカバーすることができます。

 なお、カーエアコンシステムはエンジンルーム内の狭い空間に配管されていることからそのエンジンルーム内のレイアウトに応じて配管設計を行う必要がありますが、今回開発したIHXは曲げても冷媒の流路が潰れないため、従来のエアコンシステム配管と同様に自由に配管設計を行うことが可能です。

 今回開発した2重管型内部熱交換器は、すでに現行型「Jeep® Wrangler」及び「Jeep®Compass」に採用されています。今後も北米を中心に販売を強化していくと共に、採用拡大に向けて高性能仕様の開発を行っていきます。

 

2)工業資材事業

・超大型防舷材

 空気式防舷材は、船舶の接岸または接舷時における船体及び岸壁の損傷防止を目的として、船と船、船と岸壁の間に浮かせて使用する空気を内包したゴム製の緩衝材で、1958年に世界で初めて生産販売を開始した空気式防舷材は、洋上で原油やLPGなどを移送する2船体間荷役において欠かせない製品となっております。

 2017年12月世界最大となる直径6mの超大型防舷材を開発いたしました。同商品は洋上にてLNG(液化天然ガス)の液化・貯蔵・出荷を行うLNG-FPSO(Floating Production, Storage and Off-loading system:浮体式生産貯蔵積出設備)からLNGタンカーへの荷役の際に使用され、LNG-FPSOは、近年のLNG需要の高まりを受けて増加が見込まれております。LNG-FPSOでは約-160℃のLNGをLNGタンカーへ安全かつ効率的に荷役しなければならず、今回開発した超大型防舷材は、従来の防舷材に比べLNG荷役中にLNG-FPSO とLNGタンカーの距離を広く保つことができるため、より安全な荷役を実現できます。また、大型海洋構造物など海洋工事分野での活用も期待されております。

 

・縦型空気式防舷材新型口金具

 空気式防舷材は、船舶の接岸または接舷時における船体及び岸壁の損傷防止を目的として、船と船、船と岸壁の間に浮かせて使用する空気を内包したゴム製の緩衝材で、縦型空気式防舷材は、海中に船体やその一部が深く沈み込んでいる艦船で使用されます。2018年1月縦型空気式防舷材に取り付けたままの状態で安全弁の検査が行える新型口金具を開発、販売を開始いたしました。

 空気式防舷材には、過剰に圧縮された際に内圧の上昇による破裂を防ぐため内部の空気を放出する安全弁が取り付けられております。従来、安全弁の検査は空気式防舷材をクレーンなどで陸揚げし、空気を抜くなどした後、口金具ごと安全弁を取り外して行う必要があり、多大なコストがかかる問題を有していました。これに対し、新開発の口金具は、安全弁検査用の圧力容器を口金具背面に設置し、手動バルブを閉じることで防舷材本体と口金具の間の空気の通り道を遮断し、防舷材本体を密閉状態にできる構造といたしました。これにより防舷材を陸揚げすることなく安全弁の検査が可能となり、メンテナンスコストの大幅削減につなげることができます。

 

・インドネシアの海洋商品生産販売子会社がマリンホースの国際型式認証を取得

 海洋商品の生産を行う当社の子会社、横浜工業品製造インドネシア(PT Yokohama Industrial Products Manufacturing Indonesia)は、原油・石油製品の海上移送に使用する「Seaflex(シーフレックス)」ブランドのマリンホースに関し、石油会社国際海事評議会(OCIMF)が制定する「GMPHOM2009」の型式認証を2018年8月、全モデルで取得いたしました。マリンホースの「GMPHOM2009」の型式認証は、すでに日本の平塚製造所、イタリアのヨコハマ工業品イタリア(Yokohama Industrial Products Italy S.r.l.)で取得しており、今回、横浜工業品製造インドネシアが認証を取得したことで、横浜ゴム海洋商品の全生産拠点で国際型式認証を取得したことになります。

 

・省電力コンベヤベルト「ECOTEX」

 省電力コンベヤベルト「ECOTEX(エコテックス)」は、その省電力性能と高い耐久性が評価され、日本最長のコンベヤラインである秩父太平洋セメント(株)のKLTライン※へ2015年から2017年にかけて納入されました。

 この「ECOTEX」の省電力性能も評価され、同社は、2018年5月に行われた第77回石灰石鉱業大会にて「石灰石鉱業協会賞 最優秀功績賞」を受賞しました。

 「ECOTEX」は優れた耐久性に加え、ローラーと接する下面カバーゴムの粘弾性を最適化し、ローラーの乗り越え抵抗を小さくすることでコンベヤの消費電力削減に貢献します。今回納入したKLTラインでは同商品納入後の消費電力測定において、当社従来品と比べて50%以上の大幅な消費電力削減(当社調べ)を実現しました。

 当社は耐摩耗性、耐熱性、難燃性、省電力性など使用用途に応じた多様なコンベヤベルトを生産販売しており、世界トップクラスの性能を実現しております。当社商品は世界的にも高い信頼を得ており、日本国内だけではなく、これまでに海外でも数多く採用されております。

※KLTラインは、14キロメートルと9キロメートルのコンベヤを使用して群馬県多野郡神流町の叶山鉱山から埼玉県秩父市までを結び、今回納入したコンベヤベルトは、日本最長となる約14キロメートルのコンベヤ向けとなります。

 

3)ハマタイト・電材事業

・土間目地用2成分形ポリサルファイド系シーリング材「Hamatite SC-DM2」

 「Hamatite SC-DM2」は、従来の2成分形ポリサルファイド系シーリング材よりも硬化が速く、工期の短縮を可能にするとともに、歩行者の安全性に配慮し、ハイヒールなどが目地に刺さることがないよう硬度を高めたほか、当社独自の配合技術を用いることで耐候性や耐油・耐薬品性にも優れた商品です。また、ホルムアルデヒド放散等級の最高等級であるF☆☆☆☆認定を取得し、安全と環境にも配慮しています。さらに、シーリング材を着色するカラーマスターを「Hamatite SC-MS2NB/SUPERⅡ」、「Hamatite SC-PS2」と共通化することにより、製品在庫管理を容易にするとともに、主剤の包装容器にテーパー缶を採用し、使用後に積み重ねることで省スペース化を考慮した仕様にしました。今回新たに土間目地用商品をラインアップしたことでさらなる販売強化を図ります。

 

・第2回「接着・接合EXPO」に出展

 12月5日から7日、幕張メッセ(千葉県千葉市)で開催された国内最大の接着・接合・溶接の専門展「接着・接合EXPO」に出展し、接着剤やコーティング材をメインに開発中、販売中の商品を多数紹介し、当社の高い技術開発力をアピールしました。

 接着剤分野では異種材料間での接着・接合が急速に求められている自動車やエレクトロニクス分野での応用が期待される高強度・高弾性を両立した「2液高弾性ウレタン接着剤」の開発品を展示、また販売中の商品では、音(振動)特性に優れる速硬化型接着剤や絶縁性に優れる熱伝導接着剤、シール部材の解体・リサイクルが期待できる易剥離性のホットメルト型接着剤などを展示しました。

更にコーティング材では、開発中の耐水・耐熱性に優れる「1液型防曇コート材」と経時で傷を修復する機能を持つ「自己修復コート材」に加え、ブルーライトなど特定の波長光を選択的に反射する「UV硬化型コート材」を紹介しました。

 そのほか、床目地(土間目地)に使用する高硬度・速硬化の建築用シーリング材や各種構造材の補強材として新規開発中の高強度発泡フォームなども展示しました。

 

(3)ATG
 革新、技術、低コスト生産により、商品のライフサイクルを通じて最も安いコストで最高の価値をお客様に提供するべく以下のような活動をしました。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は、2億60百万円であります。

 

1)各種農機具展示会への出展

 2018年1月から3月にかけては、世界最大級の屋外農業機械展示イベントであるWorld Ag Expo(ワールド アグ エクスポ)や南欧における主要な農業機械展示イベントであるFIMA(フィマ)などの展示会へ出展しました。

 2018年4月から6月にかけては、世界最大級のタイヤ国際見本市であるTHE TIRE COLOGNE(ザ タイヤ ケルン)、世界三大国際土木建設機械関連見本市であるINTERMAT PARIS(インターマット パリ)、中近東最大の国際自動車アフターマーケット展示会であるAUTOMECHANIKA DUBAI(オートメカニカ ドバイ)、南米最大の農業関連展示会であるAGRISHOW(アグリショー)などの展示会へ出展しました。

 2018年7月から9月にかけては、北米最大級の屋外農機展FARM PROGRESS SHOW 2018(ファーム プログレス ショー 2018)、アメリカ中西部における主要農機展HUSKER HARVEST DAYS 2018(ハスカー ハーベスト デイズ 2018)、ドイツで開催される国際林業機械展INTERFORST 2018(インターフォルスト 2018)などの展示会へ出展しました。

 2018年10月から12月にかけては、世界最大規模の自動車パーツ見本市SEMA SHOW(セマ ショー)、欧州3大農機展の一つであるEIMA International 2018(イーアイエムエー インターナショナル)、インド最大級の建機展bauma CONEXPO INDIA(バウマ コネクスポ インディア)などの展示会へ出展しました。

 

2)新商品の発売

多くの商品を市場に投入し、販売拡大に努めております。
 当連結会計年度において発売した商品は、主に次のものとなります。

[ALLIANCEブランド]

・Super Soft 802(スーパー ソフト 802):

 様々な農業機械や産業車両において優れたパフォーマンスを提供し、特に牽引タイプのインプルメントに最適なバイアスタイヤ (2018年2月発売)です。

・Trailer 448(トレイラー 448):

 非方向性パターン、広い接地面積、耐磨耗性コンパウンドにより優れた操作性、安定性ならびに抜群の耐久性を発揮すると同時に、転がり抵抗を低減しつつ高いトラクション性を実現することによって全世界のユーザーの生産性改善に寄与するトレイラー用バイアスタイヤ(2018年2月発売)です。

・381 AGRIFLEX +(381 アグリフレックス プラス):

 リブパターンを基調とし、接地面を拡げることで土壌接地圧を最小化しつつ、ショルダー部のラグ溝によりタイヤスリップを抑制するなど、土壌や作物の保護が特に求められる特殊な用途での使用を想定して開発されたスチールベルトラジアルフロテーションタイヤ(2018年6月発売)です。

・344 FORESTAR ELIT(344 フォレスター イーエルアイティー):

 ケーシングの改良を重ね、標準的な製品に対して荷重は維持したままで空気圧を半減することに成功し、低圧での走行が可能となったことにより、接地面の拡大、高いトラクション性能、燃費の改善を実現する革新的林業機械用タイヤ(2018年5月発売)です。

・551 MULTIUSE PROFESSIONAL(551 マルチユース プロフェッショナル):

 独自開発コンパウンド、トレッドパターンを採用し、グリップ性能を向上させることで雪上・氷上でのオペレーションの安定化に貢献。また、高剛性スチールベルト構造によって、年間通して高い耐久性を発揮するトラクター・ローダー向けラジアルタイヤ(2018年11月発売)です。

・643 FORESTAR Ⅲ、644 FORESTAR Ⅲ(643 フォレスター スリー、644 フォレスター スリー):

 強化ケーシング、最適化されたモダンなトレッドデザイン等を採用、導入。様々な厳しい使用環境に対応する新たな林業機械用タイヤ(2018年11月発売)です。

 

[Galaxyブランド]

・YM SDS(ワイエム エスディーエス):

 特別に開発した構造やコンパウンドによって、倉庫や店舗の厳しい使用条件における耐久性を向上させたソリッド(プレスオンバンド)タイヤ(2018年1月発売)で、当商品の発売により、ATGのフォークリフト用タイヤのフルラインナップ化が完了しました。

※プレスオンバンドタイヤ:ソリッドタイヤは金属製のベースバンドに、ゴムないしはウレタンを加硫接着したタイヤで、主としてリーチ式フォークリフトに装着されます。

・Flotation(フローテーション):

 特殊な構造により高負荷かつ過酷な使用条件に耐え、低い空気圧によってオン&オフ問わず土壌接地圧および転がり抵抗を低減し、独自のトレッドパターンでセルフクリーニング性にも優れたバイアスフローテーションタイヤ(2018年1月発売)です。

・LDSR 300(エルディーエスアール 300):

 剛性の高い内部構造とサイド部のプロテクターにより、耐久性を高め、また特別なトレッドコンパウンドによって優れた耐ダメージ性を発揮し、厳しい使用環境における機械のダウンタイム削減に寄与するホイールローダー用ラジアルタイヤ(2018年6月発売)です。

・MGSR 200(エムジーエスアール 200):

 剛性の高い内部構造とサイド部のプロテクターにより、耐久性を高め、また特別なトレッドコンパウンドによって優れた耐ダメージ性を発揮し、ユニークなトレッドパターンによって不整地でのトラクション性にも優れ、機械のダウンタイム削減に貢献するグレーダー用ラジアルタイヤ(2018年6月発売)です。

・LHD 500(エルエイチディー 500):

 溝深さを超深溝とし、トレッド部へのダメージを低減する耐カット性コンパウンドを採用することによってタイヤライフの長期化を実現し、オペレーションにおけるダウンタイム削減に寄与するホイールローダー/ロードホールダンプ向けバイアスタイヤ(2018年9月発売)です。

・YARDMASTER RADIAL(ヤードマスター ラジアル):

 ラジアル構造の採用、トレッドパターンの最適化等により、優れた操作性、安定性、乗り心地、燃費を発揮するとともに高速での長時間走行を可能とする重作業用フォークリフト向けラジアルタイヤ(2018年9月発売)です。

 

 

 上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品にかかる研究開発費が 3億36百万円あります。