第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

当社グループでは、以下を経営方針とし、基本理念である「心と技術をこめたモノづくりにより幸せと豊かさに貢献します」の実現を目指しております。

・技術の先端に挑戦し、新しい価値を創り出す
 ・独自の領域を切り拓き、事業の広がりを追求する
 ・人を大切にし、人を磨き、人が活躍する場をつくる
 ・社会に対する公正さと、環境との調和を大切にする

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループでは、2023年度までの中期経営計画において以下の財務目標の達成に向けて取り組んで参ります。 

 

売上収益

7,000

億円

 事業利益

700

億円

事業利益率

10

D/Eレシオ

0.4

ROE

10

ROIC

営業キャッシュフロー(2021年~2023年 累計)

2,500

億円

 

 

(3) 経営環境及び経営戦略・対処すべき課題

当社グループは、2021年から2023年までの3カ年計画として、中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」の取り組みを2021年度より開始しております。

既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを、Yokohama Transformation 2023の位置づけとしております。

 

各分野での戦略と取り組み内容は、次の通りです。

 

■タイヤ消費財事業

高付加価値商品の主力であるグローバルフラッグシップタイヤブランド「ADVAN(アドバン)」、SUV・ピックアップトラック用タイヤブランド「GEOLANDAR(ジオランダー)」、そして「ウィンタータイヤ」の販売比率の最大化をテーマに掲げ、①ADVANと GEOLANDARの新車装着の拡大、②補修市場でのリターン販売強化とウィンタータイヤを含む商品のサイズラインアップ拡充、③各地域の市場動向に沿った商品の販売を強化する「商品・地域事業戦略」に取り組んでおります。

2021年度は、ADVANがメルセデスAMG、BMWといったプレステージカーに採用、GEOLANDARがトヨタランドクルーザー海外仕様車に装着され、さらに、BluEarthが「Lexus NX」や三菱自動車のエクリプスクロスPHEVに装着されました。また、補修市場においては、2021年度を「ヨコハマ冬の陣」と位置付け、乗用車用、VAN用、トラック・バス用のウィンタータイヤを、国内・欧州を中心に投入し、ADVAN、GEOLANDAR、ウィンタータイヤの販売比率を引き上げました。

 

 

■タイヤ生産財事業

CASE、MaaSなど大きな市場変化の取り込みとして新たな提供価値を「探索」し、4つのテーマに取り組んでいます。またOHT(オフハイウェイタイヤ)事業、TBR(トラック・バス用タイヤ)事業の強化に取り組んでいます。

①コスト:

市場の変化に伴うコスト低減への要求の高まりを見越し、インドの乗用車用タイヤ工場を「横浜ゴムグループで最も安くタイヤを作る工場」と位置づけ低コストモデルの確立を目指します。また、タイのTBR工場においても低コストモデルでの増産を検討します。

②サービス:

車両保有の法人化の進展を見越し、タイヤ単体ではなくサービスのセット提供を推進するため、全国の販売・物流ネットワークを活用しサービスカーの導入を拡大することによりサービス体制の強化を進めております。

③DX:

先進タイヤセンサー開発を加速化し、機能の追加に従い段階的にサービスや顧客を拡大していくことで、新たな付加価値サービスを創出するため、かねてよりT.M.S(タイヤマネジメントシステム)による輸送ビジネスのサポートと、乗用車向けTPRSの実証実験によるビジネスモデルの検証を進めてまいりました。

④商品ラインアップ:

運輸・物流業界では車両の電動化・無人運転に伴い、運行距離や使用状況に応じて多様な品種のタイヤが求められることが予想されます。この物流の変革に向け、当社の強みである幅広い商品ラインアップをさらに拡充し、市場での優位性を確立します。

 

OHT事業:「さらなる成長ドライバー」として強化

横浜ゴム、ATG、愛知タイヤ工業を合わせたマルチブランドによる市場展開と顧客対応力を強みに事業の強化を進めるため、2021年度は、横浜ゴムのOHT事業部、ATG、愛知タイヤ工業は「Yokohama Off-Highway Tires」の名のもと、グローバルでの事業統合を行いました。また、インド・ヴィシャカパトナム新工場の生産能力増強を進めております。

 

TBR事業:成長に向けた事業基盤の強化

引き続き米国ミシシッピ工場の安定供給の確保に努めるとともに、旺盛な需要に応えるために増産投資を計画し生産体制を強化していきます。

 

■MB事業

MB事業では「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、強みであるホース配管事業と工業資材事業にリソースを集中してMB事業の成長を牽引し、安定収益を確保できる体制を構築すべく、ホース配管事業では、中国工場の生産能力を増強する設備投資を進め、工業資材事業では、マリンホースの生産拠点を神奈川県平塚市・インドネシアに集約し、リソース集中による強化・拡大を図りました。一方、ハマタイト事業については、11月にSika AGへ事業譲渡し、事業の再構築も着実に進めました。

 

■経営基盤

「人事戦略」は人事制度の変革による経営・管理職層のレベル強化や環境変化に迅速に対応できる強い組織作り、従業員の働き方改革などを推進しております。「ESG経営」はCSRスローガン「未来への思いやり」の下、今後も環境に配慮した製品の提供に努めるとともに、カーボンニュートラルを達成する取り組みや地域社会に根差した支援活動を推進します。カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、更にはこれらを下支えする自然との共生を活動の3本柱とし、カーボンニュートラルについては、2030年に対2013年度比38%削減、2050年にはネットゼロとすること、サーキュラーエコノミーについては、2030年に再生可能/リサイクル原料使用率30%以上を目標として設定いたしました。

また、引き続きコーポレートガバナンスのさらなる強化と安心・安全で働きやすい職場作りを目指します。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは下記のようなものがあります。なお、文中における将来等に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経済状況
 当社グループの全世界における営業収入のうち、重要な部分を占める自動車用タイヤの需要は当社グループが製品を販売している国または地域の経済状況の影響を受けます。従って、日本、北米、欧州、アジアなどの主要市場における景気後退及びそれに伴う需要の減少は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、競業他社との販売競争激化による市場シェアダウン及び価格競争の熾烈化による販売価格の下落も、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 為替レートの影響
 当社グループは主として円建で一般商取引、投融資活動等を行っておりますが、米ドルその他の外国通貨建でもこれらの活動を行っております。今後一層の事業のグローバル化の進行に伴い、海外事業のウエイトが高まることが予想されます。したがって、従来以上に外国通貨建の一般商取引、投融資活動等が増加し、外国為替の変動により当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける度合いが大きくなります。為替予約の実施等、為替レートの変動によるリスクを最小限にとどめる努力を行っておりますが、当該リスクを完全に回避することはきわめて困難であります。

 

(3) 季節変動の影響
 当社グループの業績は上半期と下半期を比較した場合、下半期の業績がよくなる傾向にあります。特に、寒冷地域で冬場の降雪時に使用する自動車用タイヤ(スタッドレスタイヤ)の販売が下半期に集中することが主な理由であります。従って、降雪時期の遅れや降雪量の減少等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 原材料価格の影響
 当社グループの製品の主要な原材料は、天然ゴム及び石油化学製品であります。従って、天然ゴム相場の大幅な上昇及び国際的な原油価格の高騰があった場合、当社製品の製造コストが影響を受ける可能性があります。これらの影響を最小限にとどめるべく各種対策を実施しておりますが、吸収できる範囲を超えた場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 資金調達力及びコストの影響
 当社グループは資金調達の安定性及び流動性の保持を重視した財務運営を行っておりますが、日本を含めた世界の主要な金融市場で混乱が発生した場合、計画通りに資金調達を行うことができない可能性があります。また、格付会社より当社グループの信用格付けが大幅に下げられた場合、資金調達が制約されるとともに調達コストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 有利子負債の影響
 当社グループの総資産に占める有利子負債の割合は、18.0%(2021年12月31日現在)であります。グループファイナンスの実施によりグループ資金の効率化を行うことで財務体質の改善に取り組んでおりますが、今後の金利動向によっては当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループの一部の借入契約には財務制限条項が付されております。

 

(7) 保有有価証券の影響
 当社グループが保有する市場性のある有価証券のうち日本株式への投資が大きな割合を占めております。従って、日本の株式市場の変動及び低迷等による有価証券評価損の計上等で、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 投資等に係る影響
 当社グループは世界的な自動車用タイヤの需要に対応すべく、アジアを中心に生産拠点の拡大及び生産能力の増強のための投資を行っております。この投資により製品の品質向上を図るとともに需要増にも対応でき、当社グループの信頼を高め、シェアアップが期待できます。しかしながら、現地の法的規制や慣習等に起因する予測不能な事態が生じた場合、期待した成果を得ることができなくなるため、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) M&A、資本・業務提携による影響
 当社グループは、さらなる成長の実現に向けた競争力強化のため、他社の買収や他社との資本・業務提携を行うことがあります。万一対象会社の業績が買収時の想定を下回る場合、または事業環境の変化や競合状況等により期待する成果が得られないと判断された場合にはのれん等の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 退職給付債務
 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は割引率、年金資産の期待運用収益率等の一定の前提条件に基づいて数理計算を行っております。実際の割引率、運用収益率等が前提条件と異なる場合、つまり、金利低下、年金資産の時価の下落、運用利回りの低下等があった場合や退職金制度、年金制度を変更した場合、将来の退職給付債務の増加により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 災害等の影響
 当社グループは地震等の自然災害、疾病、戦争、テロに直接又は間接的に影響を受ける可能性があるため、各種対応策を検討し、計画的に実施しております。しかしながら、生産拠点及び原材料の主要な仕入先が所在する地域でこれら事象が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11-2)  感染症の大流行

  当社グループは新型コロナウイルスなどの全世界的な感染症の流行に備え、従業員の安全と社内外への感染拡大抑止を第一に対策を講じておりますが、感染症の拡大や長期化の状況によっては、当社グループが事業を展開している国・地域における活動規制や企業活動の停滞等により、当社グループ全体の事業活動、業績、及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 

(12) 知的財産権の影響
 当社グループは技術ノウハウの蓄積と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者の知的財産権の侵害を効果的に防止できないことがあります。また、当社グループの製品または技術が、第三者から知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、それが認められた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 製品の品質による影響
 当社グループは、品質管理を経営の最重要課題とし、品質管理体制の万全を期しておりますが、製品の欠陥や不良を皆無にすることは困難であります。大規模なリコールや欠陥に起因する多額の損害賠償が起きた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 法律・規制・訴訟の影響
 当社グループは、事業活動を行っている各国において、投資、貿易、為替管理、輸出管理、独占禁止、個人情報保護、環境保護など、当社グループが、展開している様々な事業に関連する法律や規制の適用を受けております。
 将来において、国内外における新たな法律や規制の施行又は予期せぬ法律や規則の変更などにより、事業活動の制約やコストの上昇など当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
 これらの他、当社グループは国内外の事業活動に関連して、訴訟や各国当局による捜査・調査の対象となる可能性があります。重大な訴訟が提起された場合や、各国当局による捜査・調査が開始された場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減率

 

百万円

百万円

売上収益

551,090

670,809

21.7

 

タイヤ

399,202

470,203

17.8

 

MB

79,042

84,438

6.8

 

ATG

65,096

107,284

64.8

 

その他

7,750

8,884

14.6

事業利益

35,875

62,162

73.3

 

タイヤ

23,985

42,686

78.0

 

MB

2,898

3,781

30.5

 

ATG

8,812

14,714

67.0

 

その他

78

1,096

1,313.1

 

調整額

103

△115

営業利益

35,989

83,636

132.4

税引前利益

33,492

85,199

154.4

親会社の所有者に

帰属する当期利益

26,312

65,500

148.9

 

(注)1.事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

  2.当連結会計年度より、ハマタイト事業を非継続事業に分類しております。これに伴い、当連結会計年度

   並びに前連結会計年度の売上収益、事業利益、営業利益、税引前利益に関しましては、非継続事業を除い

   た継続事業の金額を表示しております。

 

当期における当社グループをとり巻く環境は、国内では、資源価格の大幅な上昇に直面するなかでも、海外需要の強さや電子部品およびデバイスの供給制約緩和が景況感を下支えし、生産と消費が持ち直すなか、企業の景況感は改善傾向にあり、需要拡大を背景に、輸出は増加基調が続いています。9月末には緊急事態宣言が解除されたことで、外食や旅行など個人消費が持ち直しました。しかしながら、足元では原材料価格の高騰と供給不足は完全には解消されておりません。

一方、海外においては、米国は自動車・自動車部品および航空機・その他輸送機器の生産がコロナ前の水準まで回復しており、中国は夏場のペースダウンから持ち直し、外需が好調を維持しているほか、個人消費が底堅く推移し、景気は回復に向かっております。欧州でも景気回復が一段と進展し、サービス業を中心に経済活動も回復傾向にありますが、オミクロン株の影響が懸念されています。

こうした状況の中、当社グループは、既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを位置づけた中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」に取り組んでおり、当期の連結売上収益は、ハマタイト事業を除いた継続事業ベースで6,708億9百万円(前期比21.7%増)、利益面では、連結事業利益は621億62百万円(前期比73.3%増)、本社ビルの譲渡益計上などにより、連結営業利益は836億36百万円(前期比132.4%増)、また、親会社の所有者に帰属する当期利益は655億円(前期比148.9%増)となり、いずれも過去最高となりました。主力のタイヤ事業において原材料価格や物流費の高騰、国際物流網の混乱、新型コロナウイルス感染症などの影響を受けましたが、北米を中心とした値上げの浸透および為替が円安に推移したことにより、売上げと利益を伸ばしました。

なお、2021年4月28日にスイスに本社を置くSika AGとの間で、ハマタイト事業の譲渡に係る契約を締結したことに伴い、ハマタイト事業を「非継続事業」に分類し、前期につきましても遡及して組替を行っております。ハマタイト事業の譲渡は、上記契約に基づいて11月1日に完了しております。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

 

①タイヤ

売上収益は4,702億3百万円(前期比17.8%増)で、当社グループの連結売上収益の70.1%を占めており、事業利益は426億86百万円同78.0%増)となりました。

新車用タイヤは、世界的な半導体不足などの影響があり生産調整の影響を受けたものの、全体では前期を上回りました。

市販用タイヤは、国内で乗用車用スタッドレスタイヤ「iceGUARD 7」を発売するなど、国内外において高付加価値商品の拡販や、旺盛な需要への生産対応に努めたことに加え、国際物流におけるコンテナ不足や輸送遅延に対して必要な対策を迅速に講じた結果、北米、欧州での販売を伸ばしました。また、インドなどアジア地域での販売も伸ばし、売上収益は前期を上回りました。

 

②MB(MB:マルチプル・ビジネスの略)

売上収益は844億38百万円(前期比6.8%増)で、当社グループの連結売上収益の12.6%を占めており、事業利益は37億81百万円同30.5%増)となりました。なお、非継続事業のハマタイト事業の売上収益は161億93百万円、事業利益は5億9百万円となりました。

ホース配管事業は、市況の回復により建機向けを中心とした油圧ホース販売が好調で、売上収益は前期を上回りました。

工業資材事業は、コンベヤベルトの国内販売が好調であったものの、海洋商品での大型補用品プロジェクトの延期などにより売上収益は前期並みとなりました。

航空部品事業では、民間航空機向けの需要減退の影響が大きく、売上収益は前期を下回りました。

 

③ATG

売上収益は1,072億84百万円前期比64.8%増)で、当社グループの連結売上収益の16.0%を占めており、事業利益は147億14百万円同67.0%増)となりました。

農業機械用・産業車両用タイヤをはじめとするオフハイウェイタイヤはともに好調で、売上収益、事業利益は前期を上回り、過去最高となりました。

 

 

(2)財政状態の状況

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,246億16百万円増加し9,849億88百万円となりました。

流動資産は棚卸資産の増加等により、3,835億60百万円(前期比24.0%増)となりました。非流動資産は投資有価証券の増加等により、6,014億28百万円(前期比9.1%増)となりました。

流動負債は仕入債務の増加等により、2,425億2百万円(前期比6.6%増)となりました。非流動負債は長期借入金の返済等により、2,095億28百万円(前期比0.3%減)となりました。

資本合計は親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により5,329億58百万円(前期比26.0%増)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて117億64百万円増加し、425億23百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、683億3百万円(前連結会計年度比99億91百万円の収入減少)となりました。

これは主として、税引前利益851億99百万円、減価償却費455億60百万円、棚卸資産の増加額331億7百万円、法人税等の支払額129億51百万円の計上等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、44億79百万円(前連結会計年度比233億86百万円の支出減少)となりました。

これは主として、有形固定資産の取得による支出359億30百万円、有形固定資産の売却による収入217億66百万円、非継続事業の売却による収入118億46百万円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、551億95百万円(前連結会計年度は465億53百万円の資金の減少)となりました。

これは主として、長期借入金の返済による支出318億14百万円、社債の償還による支出100億円、配当金の支払額102億77百万円等であります。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

(4)生産、受注及び販売の状況

①生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産金額(百万円)

前年同期比(%)

タイヤ

361,276

23.0

M B

76,447

△4.0

ATG

93,132

58.1

そ の 他

278

△3.4

合  計

531,132

22.8

 

(注)1.金額は、販売価格を基礎として算出しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

②受注状況

当社は、ごく一部を除いてすべて見込生産であります。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売金額(百万円)

前年同期比(%)

タイヤ

470,203

17.8

M B

84,438

6.8

ATG

107,284

64.8

そ の 他

8,884

14.6

合  計

670,809

21.7

 

(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(5)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下のとおりであります。

 

(のれんの償却停止)

日本基準では、のれんの償却については償却年数を見積り、その年数で均等償却を行っておりましたが、IFRSではIFRS移行日以降、償却せず毎期減損テストを行っております。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、「販売費及び一般管理費」が4,285百万円減少しております。

 

(表示組替) 

日本基準において、「営業外収益」、「営業外費用」、「特別利益」、「特別損失」として表示していた項目を、IFRSでは財務関連損益については「金融収益」及び「金融費用」として表示し、それ以外の項目については、「その他の収益」、「その他の費用」として表示しております。

 

 (6)重要な会計方針並びに重要な会計上の見積り及び仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の判断、見積り及び仮定は、「第5.経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当する事項はありません。 

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発は、会社の基盤技術に関する研究開発活動を研究先行開発本部が、直接商品に係る研究開発活動をタイヤ、MB、ATG及びその他の技術部門が担当となり、世界的な技術の先端に挑戦し、世界初の商品を市場に提供することで、お客様に満足いただくべく努力を重ねています。

当連結会計年度における研究開発費の総額は、15,297百万円であります。

 

当社研究先行開発本部においては、環境貢献企業における研究部門として、精緻でかつ高度な分析・解析技術をベースに物質構造や反応機構等の解明による新素材開発やシミュレーション技術の開発を行い、環境にやさしいタイヤ材料の開発や電子材料用素材・省エネルギー関連への適用技術の開発などを中心に技術の先端に挑戦しています。

  研究先行開発本部の研究開発費の金額は、891百万円であります。

 

AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを独自開発

2020年12月、AIを活用したゴムの配合物性値予測システムを独自に開発し、タイヤ用ゴムの配合設計において実用を開始しました。この予測システムにより、膨大な仮想実験が可能となるため、開発のスピードアップやコスト削減、高性能な商品の開発に加え、経験の浅い技術者による配合設計が容易になることが期待できます。

今回のシステムは当社のAI利活用構想「HAICoLab※(ハイコラボ)」に基づいて開発しました。人がゴムの配合設計パラメーターを入力するとAIが予測される配合物性値を出力します。さらに人が予測された結果を判断しやすくするために予測値の確からしさを表示する機能や、目標とする配合物性値に近しい配合を探索する機能を付加しました。また、人とAIが協奏しながら新たな知見が得られるシステムを設計しました。今後はタイヤのみならずホースやコンベヤベルトなど多岐にわたるゴム商品開発での利用を開始します。

※Humans and AI collaborate for digital innovation をもとにした造語で、人とAI との共同研究所という意味合いも込めました。

 

バイオマスからブタジエンを生成する新技術を開発

2021年4月、国立研究開発法人理化学研究所、日本ゼオン㈱と共同で設置している「バイオモノマー生産研究チーム」により、バイオマス(生物資源)から効率的にブタジエンを生成できる新技術を開発したことを発表しました。

ブタジエンは、自動車用タイヤなどの原料として使われる合成ゴムの主原料として使用されており、現在はナフサ熱分解の副生成物として工業的に生産されています。バイオマスからのブタジエン生成技術を確立することにより、石油への依存度を低減することができ、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素削減に貢献することが可能となります。

今回、同チームはバイオマスからの優れたブタジエン生成方法の創製に成功しており、これまで開発してきた知見も取り入れることで、ブタジエンの発酵生産でのコストを大幅に削減することができると期待されています。また、本技術によって世界初の発酵生産により生成したブタジエンを用いてブタジエンゴムを得ることにも成功しました。

 

・NEDOおよび産総研、ADMATとの共同研究によりバイオマス由来のブタジエンゴムでタイヤを試作

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研)、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)との共同研究により、バイオエタノールからブタジエンを大量合成し、従来と同等の性能を持つ自動車用タイヤの試作および一連のプロセスの実証に成功しました。

NEDOの「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト(超超PJ)」の委託事業として、超超PJが推進する「計算科学技術」「プロセス技術」「先端計測技術」の三位一体での開発により、バイオエタノールからブタジエンを高速かつ効率的に合成する技術開発に取り組んでいます。2019年、当時では世界最高のブタジエンの収率を持つ触媒システムを開発し、また2020年にはより最適な触媒を検討し、2019年と比べて1.5倍のブタジエン収率を持つ世界最高の触媒システムの開発に成功しました。

今回の成果はこれをさらに進化させたもので、バイオエタノール処理量を約500倍にした大型触媒反応装置を設計・製作してバイオエタノールからのブタジエン大量合成を検討。反応条件の最適化や生成したブタジエンの捕集方法の改良により、約20kgのブタジエンの製造に成功しました。さらに、このブタジエンを蒸留精製により高純度化した後、重合反応によって得られたブタジエンゴムを原料にして自動車用タイヤの試作に成功しました。

試作タイヤはグランドツーリングタイヤ「BluEarth-GT AE51」の185/60R15サイズです。このタイヤのキャップトレッドとサイドウォールを全てバイオエタノール由来のブタジエンゴムと天然ゴムに変更したため、両部分のゴムは持続可能なゴム材料のみで構成されています。また、試作タイヤは従来の石油由来のゴムを使用した時と同等の材料性能を有しています。

 

・AIを活用したタイヤ特性値予測システムを独自開発

2021年12月、AIを活用したタイヤの特性値予測システムを独自に開発し、タイヤ設計において実用を開始しました。これにより、膨大な仮想実験が可能となるため、開発のスピードアップやコスト削減、より高性能な商品の開発に加え、経験の浅い技術者によるタイヤ設計が容易になることが期待できます。

今回のシステムは当社が2020年10月に策定したAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)」に基づいて開発。人がタイヤの設計パラメーターである構造や形状に関する仕様データ、コンパウンドなどの物性値に関する材料データ、評価条件を入力すると予測されるタイヤ特性値をAIが出力します。また、本システムではタイヤ設計で起こりがちなAIの予測精度の低下を抑制しています。内部構造が異なるタイヤでは設計パラメーターの種類や数が異なるため、AIの学習に利用する全データを構造特徴に合わせて細分化して使い分ける必要がありますが、学習データの細分化によってAIの予測精度が低くなることが少なくありません。そこで関連する他の領域で学習したAIの予測能力を移植(転移学習)することによって予測精度を向上させています。

2020年12月にAIを活用したタイヤ用ゴムの配合物性値予測システムを実用化しています。今後は今回のタイヤ特性値予測システムと組み合わせることで、多岐にわたるタイヤ商品開発に利用していきます。

 

 

セグメントごとの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

(1)タイヤ

既存既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し「YX2023」の次世代の成長に向けた「変革」を図ることを目標とし以下のような活動をしました。

当連結会計年度における研究開発費の金額は、11,854百万円であります。

 

1)タイヤ空気圧モニタリングシステム「HiTES4」がUDトラックス㈱の大型トラックに採用

2021年1月、トラック・バス用タイヤ空気圧モニタリングシステム(TPMS)「HiTES4(ハイテスフォー)」が純正オプションとしてUDトラックス㈱のフラッグシップ大型トラック「クオン(Quon)」に採用されました。対象は4軸車CG、3軸車CD、2軸トラクターヘッドGKの3モデルの国内向け車両です。

「HiTES」はタイヤ内部の空気圧と温度をリアルタイムで確認することが可能で、管理値から外れた際には警報を発するモニタリングシステムです。今回採用された「HiTES4」は2020年9月より販売している第4世代モデルで、異常が検知された際に音と色点滅で伝えるインジケーターやスマートフォン・タブレットでタイヤ状態を確認できる機能により空気圧の見える化を図りました。また、IoTを活用してタイヤ点検情報などを管理する当社のタイヤマネジメントシステム「T.M.S(ティーエムエス)」と連携させることで、車両から離れた場所からでもタイヤ内部の空気圧と温度や車両の位置をモニターすることができます。

 

2)乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン 「SensorTire Technology Vision」を発表

2021年2月、乗用車用タイヤセンサーの中長期的な技術開発ビジョン「SensorTire Technology Vision」を発表しました。

「SensorTire Technology Vision」とは、センシング機能を搭載したSensorTire(IoTタイヤ)から得られる情報をドライバーや外部の様々な事業者に提供することで、新たなモビリティ需要の変化に対応しつつ、人々の移動を足元から支え、安心・安全に持続的に貢献することを目指すものです。

具体的にはセンシング機能とリアルタイム性を指標として提供するサービスを分類して、それぞれに適したセンシング機能やデータ分析・予測技術を段階的に構築し、センシング機能の利活用範囲の拡大を行います。

まずは個人向けや車両運行管理会社を対象とした空気圧通知サービスの実証実験から開始し、2023年までに摩耗検知機能を追加します。これにより、タイヤローテーション時期のお知らせやフリート(複数の車両を所有する企業や官公庁など)向けの効率的なタイヤ点検計画などの提案が可能となります。

さらに将来的には、地図情報や様々なプローブ交通情報(渋滞情報、天候情報)などとタイヤデータを関連付けて分析することで、安全な運行ルートの提案といった新たな付加価値情報を提供し、自動運転車両やMaaS※に関連したサービスを提供する会社などの安心・安全な車両運行管理をサポートすることも目指します。

※Mobility as a Serviceの頭文字。地域住民や旅行者の移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス

 

3)タイヤ・路面検知システムの実証実験を開始

2021年2月、当社はアルプスアルパイン㈱、㈱ゼンリンと路面検知システムを搭載した「IoTタイヤ」で得たデータを地図情報と紐付ける実証実験を行い、新たなタイヤビジネスの検討を開始したことを発表しました。

本実証実験では、当社とアルプスアルパイン㈱が共同開発する先進タイヤセンサーを実験用車両に装着して路面検知を行います。タイヤセンサーが有する路面検知情報とゼンリンが有する豊富な地図情報との紐付けを行うことで、様々な路面のデータの分析・蓄積とシステム構築を加速させ、新たな付加価値を提案するタイヤビジネスの実現を目指します。

本実証実験によるデータ分析を通じて、将来のソリューション提供を目標としています。例えば、摩耗状態や空気圧不足を検知し、急勾配・急カーブ道路を避けるナビゲーションや路面凍結・陥没道路などの情報提供による安全運転支援、自動運転車両の制御など様々なソリューションを検討・提案します。

 

4)国内農機メーカーへのOE納入を開始

2021年5月、ヤンマーアグリ㈱の農耕用トラクター「YT4A」シリーズの「YT460A」「YT465A」の新車装着(OE)用タイヤとして、「ALLIANCE AGRISTAR Ⅱ(アライアンス・アグリスター・ツー)」の納入を開始しました。当社が国内農機メーカーへOE納入するのは約50年ぶりとなります。

当社は中期経営計画「Yokohama Transformation 2023(YX2023)」のタイヤ生産財事業において、農業機械用・林業機械用・産業車両用・建設車両用などを扱うオフハイウェイタイヤ(OHT)事業をさらなる成長ドライバーと位置づけております。従来の「YOKOHAMA」の他、今回OE納入を開始したOHT事業の「ALLIANCE」「GALAXY」「PRIMEX」、愛知タイヤ工業の「AICHI」といったマルチブランド戦略によりに事業拡大を進めています。

 

5)オリックス自動車とタイヤソリューションサービスの実証実験を開始

2021年08月、オリックス自動車㈱の協力を得て、新たなタイヤソリューションサービスとして当社が開発したタイヤ空気圧の遠隔監視システム(Tire air Pressure Remote access System=TPRS)の実証実験を開始しました。実証実験はオリックス自動車のカーシェアリング事業であるオリックスカーシェアの車両に「TPRS」を導入し、東京都と神奈川県の首都圏の一部で実施します。

今回の実証実験はCASE※1、MaaS※2など自動車業界の変革に対し、当社の「TPRS」の効果を検証するものです。タイヤメンテナンスの省力化や精度の高いタイヤ管理、効率的なメンテナンス計画など車両保有者にとっての有効性を探るとともに、安定的な安心・安全運行や燃費向上など車両利用者にとってのメリットを検証し、車両保有者と利用者双方の安全性や経済性の向上に貢献するビジネスモデルの確立を目指します。

※1:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電動化)の頭文字をとった造語

※2:Mobility as a Serviceの頭文字。地域住民や旅行者の移動ニーズに対応して複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済などを一括で行うサービス。

 

6)乗用車用スタッドレスタイヤ「アイスガード セブン」新発売

2021年9月、乗用車用スタッドレスタイヤブランド「iceGUARD(アイスガード)」の新商品「iceGUARD 7(アイスガード セブン)」を発売しました。「アイスガード セブン」は「YOKOHAMAスタッドレスタイヤ」の第7世代の新商品です。「アイスガード」が一貫して追求してきた「氷に効く=氷上性能」をさらに向上させました。また「雪に効く=雪上性能」もレベルアップし、従来品「アイスガード シックス」で定評のあった「永く効く=性能持続性」も兼ね備えています。

トレッドパターンは当社の新たな開発アプローチである「接地とエッジの両立技術」によって、YOKOHAMAスタッドレスタイヤ史上最大の接地面積と溝エッジ量を実現した専用パターンを開発しました。「マルチベルトブロックEX」「コレクティブビッグブロックEX」などが接地面積の拡大とブロック剛性の向上に寄与して氷上性能をレベルアップ。また、「マルチダイアゴナルグルーブ」「トリプルライトニンググルーブ」が溝エッジ量を増大させ、優れた雪上性能を発揮します。そのほか、50%摩耗時にサイプが太くなる新形状の「クワトロピラミッド グロウンサイプ」の採用により、使用後期まで氷上性能をキープします。加えて、新開発の「ダブルエッジマイクログルーブ」により装着初期の氷上性能も高めています。

 

7)ゼンリンとタイヤ内面貼り付け型タイヤセンサーを使った実証実験を開始

2021年10月、㈱ゼンリンの協力を得て当社が開発中のタイヤ内面貼り付け型タイヤセンサーの実証実験を開始いたしました。実証実験用の車両を用意し、日本全国で実施いたします。

本実証実験は、当社が開発中のタイヤセンサーとアルプスアルパイン㈱が開発した車載器を、ゼンリンの協力のもと実証実験用車両に取り付け、タイヤ内面貼り付け型センサーの市場耐久性の確認及び、車両に搭載する車載器によるタイヤ空気圧の遠隔監視システム(Tire air Pressure Remote access System=TPRS)の検証・構築を行います。また、空気圧情報とGPS情報による位置情報をゼンリンが有する豊富な地図情報との連携により、新たな付加価値を提案するタイヤビジネスの実現を目指します。

当社の「TPRS」は、CASE、MaaSなど自動車業界の変革に対し、タイヤメンテナンスの省力化や精度の高いタイヤ管理、効率的なメンテナンス計画など車両管理者にとっての有効性を探るとともに、安定的な安心・安全運行や燃費向上など車両保有者にとってのメリットを検証し、ドライバーの安全性や経済性の向上に貢献するビジネスモデルの確立を目指します。

 

(2)MB

「成長性・安定性の高いポートフォリオへの変革」をテーマに掲げ、安定収益の確保を目指した技術開発を積極的に行いました。

当連結会計年度における研究開発費の金額は、1,985百万円であります。

 

1)ゴム・樹脂ポリマーアロイを用いて自動車用エアコンホースの大幅な軽量化に成功

このほど、自動車用エアコンホースの大幅な軽量化に成功しました。現在、実用化に向けて開発を加速しており、2024年からの本格的な事業展開を目指します。

今回、軽量化に成功したホースは、当社の独自技術を駆使して開発したゴム・樹脂ポリマーアロイ※1を用いることで柔軟性、耐熱性といったゴムの特性を活かしながら、樹脂の高いガスバリア性によって従来比50%の大幅な軽量化を実現しています。また、ホースを製造する際、多量の熱を使う加硫が不要のため、カーボンニュートラル達成に貢献します。当社はホースと配管を一体化した設計・評価を強みとしており、様々な顧客要求、配管レイアウトに対応することが可能です。配管についてはオール樹脂化を進め、ホースと配管の組み合わせでも大幅な軽量化を実現します。今後は実用化に向けた開発を継続しながら、他の自動車配管への参入も目指します。

※1:海相が樹脂で構成され、島相がゴムで構成される海島構造体。

 

2)難燃高温耐熱性コンベヤベルト「Flame GUARD Super 100」を発売

高温耐熱性と難燃性を兼ね備えた難燃高温耐熱性ベルト「Flame GUARD Super 100(フレイムガード・スーパーヒャク)」を発売しました。近年、焼結鉱※1やコークス※2など高温の物質を運搬するコンベヤベルトラインでは、安全性をより高めるため、熱によるベルトの劣化を防ぐ高温耐熱性に加えて、ベルトの燃焼を防ぐ難燃性(自己消火性)を有する商品のニーズが高まっています。横浜ゴムはこうしたニーズに応えるため、様々な耐熱性ベルトや難燃性ベルトを生み出してきたゴム配合技術を駆使し、両性能を併せ持つ「Flame GUARD Super 100」を開発しました。「Flame GUARD Super 100」は、国内外で高温耐熱性が高く評価されている耐熱性コンベヤベルト「Hamaheat Super 100」をベースに開発した商品です。耐熱性能は「Hamaheat Super 100」と同様の運搬物温度100~400℃、ベルト表面温度60~200℃を確保しながら、日本産業規格(JIS)のJIS K6324:2013 難燃性コンベヤゴムベルト 3等級の難燃性を実現しています。

※1:粉上にした鉄鉱石に粉コークスと石灰石を混ぜ一定の大きさに焼き固めた物

※2:石炭を高温で蒸し焼きにして抽出した物

 

(3)ATG
 革新、技術、低コスト生産により、商品のライフサイクルを通じて最も安いコストで最高の価値をお客様に提供するべく以下のような活動をしました。

 当連結会計年度における研究開発費の総額は、291百万円であります。

 

1)各種展示会への出展

2021年1月から6月にかけては、世界的な新型コロナウイルス感染拡大を受け、展示会への参加は見送りましたが、各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。

2021年7月から9月にかけては、北米最大級の屋外農機展FARM PROGRESS SHOW 2021(ファーム プログレス ショー 2021)への出展や各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。

2021年10月から12月にかけては、中南米最大級の屋外農機展Expo AgroAlimentaria Guanajuato 2021(エキスポアグロアリメンタリアグアナフアト 2021)への出展や各種プレスイベントの企画、開催等を通じて、製品およびサービスを理解していただく場を設けました。

 

2)新商品の発売

多くの商品を市場に投入し、販売拡大に努めております。当期において発売した商品は、主に次のものとなります。

[ALLIANCEブランド]

AGRI STAR Ⅱ(アグリ スター Ⅱ)

優れたトラクション、走行安定性、耐磨耗性を発揮するトラクター用フラッグシップラジアルタイヤ。新サイズおよび90扁平シリーズを上市。 (2021年7~9月新サイズ発売)、95,70,65扁平シリーズの新サイズを上市。 (2021年11~12月新サイズ発売)

・585

多方向性の深溝ブロックパターンにより、タイヤライフの長期化を実現。作業効率、生産性向上に貢献する建設車両用ラジアルタイヤ。新サイズを上市。(2021年7月新サイズ発売)

・699

対角線上に配置されたラグパターンにより、優れたトラクションと耐久性を発揮。作業効率、生産性向上に貢献する建設車両用バイアスタイヤ。(2021年11月-12月新サイズ発売)

・400S

硬くて粗いコンテナヤードで長時間使用されるリーチスタッカー向けに耐久性に特化したパターンデザインのバイアスタイヤ。(2021年10月新サイズ発売)

・775

高荷重で長時間、粗いコンテナヤードで多段積み作業をする重フォークリフトと空コンテナハンドラー向けに設計されたバイアスタイヤ。(2021年11月新サイズ発売)

・Agriflex+ 881(アグリフレックスプラス 881)

40%低い空気圧でスタンダードタイプと同じ荷重能力のあるVF規格を採用し、土壌圧縮を抑制し、牽引力・トラクション性能、乗り心地を向上したラジアルタイヤ。19.5インチシリーズを上市。(2021年10月-11月新サイズ発売)

・590

方向性のないパターンと優れた耐カット・チッピング性を備えた頑丈なスチールベルト構造のフローテーションラジアルタイヤ。26.5インチ,30.5インチシリーズを上市。(2021年11月-12月新サイズ発売)

 

[GALAXYブランド]

EarthPRO RC(アースプロ アールシー)

65km/hまでの高速走行が可能な上、トラクション性能を高める深溝パターンを採用しており、作業効率向上に貢献。セルフクリーニング性にも優れたスプレーヤー、作業機向けロークロップラジアルタイヤ。

・LHD 510 SDS(エルエイチディー 510 エスディーエス)

耐チッピング・チャンキング性と耐熱性を両立するコンパウンド、超深溝パターンの採用によりタイヤライフの長期化を実現。サイドまで溝を配した独自設計パターンによりトラクション性やクッション性にも優れ、オペレーターの作業効率、快適性向上に貢献するホイールローダー用超深溝クッションタイヤ。

・MGSR 210(エムジーエスアール 210)

オールスチール構造で耐久性に優れ、独自のスノーパターン設計によって雪上やぬかるんだ路面で高いグリップを発揮。セルフクリーニング性も優れたラジアルタイヤ。

・YARDMASTER SDS(ヤードマスター エスディーエス)

幅広のタイヤプロファイル、接地面積により荷重負荷能力、走行安定性、タイヤ寿命、トラクションに優れるフォークリフト用クッションタイヤ。新サイズを上市。(2021年9月新サイズ発売)

・CTM 101

小型のホイールローダーやバックホー、テレハンドラー向けに耐カット、耐衝撃性に優れた特別なゴムを使用した万能バイアスタイヤ.(2021年10月新サイズ発売)

・LDSR 510

厳しい作業環境での長寿命を実現するための特別なコンパウンドを採用したホイールローダー、ドーザー向けオールスチールラジアルタイヤ。(2021年11月新サイズ発売)

・Mighty Mow - TS(マイティモウティーエス)

ブロックトレッドデザインと独自のショルダーラグデザインは、ステアリング安定性と横方向のトラクションを発揮するだけでなく、芝へのステアリングによるダメージが大幅に軽減される。芝刈り機用バイアスタイヤ。7つの新サイズを上市。(2021年10月-12月新サイズ発売)

 

[PRIMEXブランド]

・Mine Star(マイン スター)、Mine Blastar(マイン ブラスター)

主に地下鉱山での使用を想定し、耐チッピング・チャンキング性や耐熱性に優れたトレッドコンパウンドを採用。タイヤライフの長期化により、ダウンタイムやコストの削減に貢献するホイールローダー用超深溝タイヤ。(2021年6月発売)

 

 

 上記のほか、ゴルフクラブ等のスポーツ用品に係る研究開発費が 276百万円あります。