第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループを取り巻く事業環境は、国際関係・政治・経済・環境問題・技術革新といったあらゆる面で、大転換期にあります。特に2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で猛威を振るい、生活や経済に大きな影響を与えました。また、地球温暖化対策への注目も高まりました。そして、100年に一度の大変革期といわれるモビリティ業界におけるMaaSやCASEの動きは、当社ビジネスにも大きなインパクトをもたらします。タイヤ業界は、全体として利益額が減少傾向にあります。変化に対応し、強くなければ生き残れません。一方、当社グループの近年の業績を振り返ると、営業利益低下の要因として、高コスト・高経費体質や価格マネジメントにおける課題などが見えてまいりました。

こうした中、当社グループは、2020年からを「第三の創業」(Bridgestone3.0)と位置付け、2050年にもサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供するために、中長期事業戦略を策定し、これに沿って経営を進めております。実行に向けて設定した中期事業計画(2021-2023)では、2023年には筋肉質で環境変化に対応できる、強いブリヂストンへ進化することを目指しております。中期事業計画の経営指標として、2023年に、売上収益33,000億円レベル、調整後営業利益4,500億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE12%レベルを計画しております。その後も、環境変化に対応しながら着実に成長し、よりレジリアントな高収益体質を目指します。2020年は、COVID-19の影響や兆候を慎重に見極めながら、危機管理を徹底し、キャッシュオリエンテッド経営を推進してまいりました。2021年も引き続き危機管理を行いながら、2020年から着手している、主にコア事業における生産拠点再編・事業再編をはじめとする経費・コスト構造改革や、オペレーションエクセレンスによる、「稼ぐ力の再構築」を推進してまいります。またそれにより創出されるリソースを、プレミアムビジネス戦略強化や、ソリューション事業拡大など、収益性の確かな事業に厳選して、戦略リソースとして集中投下する「戦略的成長投資」を実施してまいります。実行を支える体制として、財務戦略基盤強化や、ブリヂストン流のHRX(Human Resource Transformation)も、中長期事業戦略の一環として引き続き推進してまいります。

経営の中核に据えたサステナビリティについては、当社グループのサステナビリティビジネス構想を、2020年12月に発表しました。タイヤ・ゴム事業、ソリューション事業に、新たに探索事業としてリサイクル事業を加え、当社のバリューチェーン全体で、資源循環やCO2削減に貢献し、社会・お客様・当社がWin-Win-Winとなる、当社独自のサステナビリティビジネスモデルの構築を目指しております。特に環境面では、これまで、2050年を見据えた環境長期目標を2012年に策定し、これを達成するために、2020年を目標とした環境中期目標「マイルストン2020」を定めて、取り組みを進めてまいりました。グローバルで活動を推進した結果、2019年に目標を前倒しで達成することができました。2005年対比、グローバルでの取水量を原単位で40%削減、資源生産性(原材料使用量当たりの売上収益)を33%向上、CO2排出量の原単位で34%削減しております。そして、新たに環境中期目標「マイルストン2030」を設定しました。CO2排出量削減について、2030年に2011年対比50%削減、2050年に向けてカーボンニュートラルへ、という明確なターゲットを掲げております。また、サーキュラーエコノミーへの貢献を促進していくために、使用する原材料に占める再生資源又は再生可能資源の割合を、2030年までに40%に向上することを目指してまいります。サステナビリティを経営の中核に据え、社会価値と顧客価値の創造を両立させ、競争優位を獲得することで、社会・お客様と共に持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、当該リスク発生の回避、及び発生した場合の対応に努めております。

ただし、記載された事項以外にも予見することが困難なリスクが存在し、当社グループの事業、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

なお、文中に含まれる将来に関する記載は、有価証券報告書提出日(2021年3月26日)現在で判断したものであります。

 

(1) 事業を取り巻く経済環境、及び需要動向に関するリスク

当社グループは、開発・生産・流通・販売・調達などの事業活動をグローバルに展開しており、当社グループの業績及び財政状態は、事業活動を行っているそれぞれの国や地域における金利、為替、株式相場の変動などの経済環境や需要動向の変化により、さまざまな形で影響を受けております。当期の当社グループの地域ごとの売上収益比率は、米州が46%、欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカが21%、日本が19%、中国・アジア・大洋州が14%の構成となっており、これらの地域の経済環境が悪化した場合には、当社グループの業績及び財政状態に特に大きな悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループのビジネスは自動車産業と密接に関連していることから、当社グループの業績及び財政状態は、グローバルな自動車産業の景況による影響を受けております。自動車産業の動向以外にも、タイヤ市販用市場では各国の消費動向や自動車燃料価格の変動などによる影響を受けており、これらの要因によりタイヤ需要が減少する、あるいは予想している需要増加が減速する場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの鉱山・産業・建機ソリューション事業の核である建設・鉱山車両用大型・超大型ラジアルタイヤやコンベヤベルト等一部の商品につきましては、資源産業及び土木・建築産業の景況による影響を受けており、これらの要因により需要が減少する、あるいは予想している需要増加が減速する場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社グループは、日本、欧州、北米などさまざまな地域で冬用タイヤを販売しておりますが、これらの地域における降雪が少なく需要が減少する場合には、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(2) 法律・規制・訴訟に関するリスク

当社グループは、事業活動を行っている各国において、投資、貿易、為替管理、移転価格を含む税制、独占禁止、環境保護、個人情報保護など、関連する法律や規制の適用を受けております。当社グループの事業活動に影響を及ぼすものとして、例えば、国内外においてタイヤ性能に関する表示制度・規制や化学物質規制などが制定・導入されております。したがって、将来においても、新たな法律や規制により、事業活動の制約やコストの上昇など当社グループの業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。

これらの他、当社グループは、国内外の事業活動に関連して、訴訟や各国当局による捜査・調査の対象となる可能性があります。重要な訴訟が提起された場合や、各国当局による捜査・調査が開始された場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 事業活動中断のリスク

・災害、戦争・テロ・暴動、社会的・政治的混乱など

当社グループは、開発・生産・流通・販売・調達などの事業活動をグローバルに展開しており、さまざまな国や地域における大規模な地震や風水害などの自然災害や、戦争・テロ・暴動、ボイコット、感染症、エネルギー供給障害、交通機能障害を含む社会的・政治的混乱などのリスクにさらされております。さらに、国内外における政治的・経済的条件の急激かつ大幅な変動などの要因により、当社グループの事業活動の継続に支障をきたす可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの事業活動の中核として重要な拠点が多数所在している日本における地震災害リスクに対しては、当社グループは耐震診断の結果に基づき優先順位をつけて耐震補強工事を計画的に進めております。さらに、地震災害が発生した場合の迅速な初期対応の推進及び業務を早期に復旧継続させることを目的とした事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を策定し、その運用を振り返ることで内容を継続的に改善しております。また、新型インフルエンザや新型コロナウイルスなどの未知なる病原体が引き起こす感染症の拡大に対しても、従業員・家族・関係者の生命と安全の確保を最優先しながら事業損失の最小化を図るための事業継続計画を策定し、その運用を通じて内容を拡充しております。しかしながら、実際に発生した場合には、操業の中断・縮小、施設等の損害、多額の復旧費用などにより、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの特定商品や特定原材料を集中的に生産している拠点で事業活動の継続に支障をきたすような事態が生じた場合は、供給義務を果たせないことによる顧客からの信頼の喪失や賠償責任の追及につながる可能性もあり、その場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・情報システム障害

当社グループの事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、セキュリティの高度化などシステムやデータの保護に努めておりますが、それにもかかわらず、災害やサイバー攻撃など外的要因や人為的要因などにより情報システムに障害が生じた場合、重要な業務やサービスの停止、機密情報・データや個人情報の盗取や漏洩などのインシデントを引き起こし、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。その結果、当社グループのブランドイメージや社会的信用の低下、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

・ストライキ

当社グループは、円滑な労使関係の構築に努めておりますが、労使間の交渉が不調に終わり、長期間に及ぶストライキなどが発生した場合、事業活動の継続に支障をきたす可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

(4) 気候変動に関するリスク

気候変動への対応に世界的な関心が高まり、パリ協定に代表される低炭素社会への動きが加速する中で、当社グループは気候変動によるリスク及び機会を認識し、事業戦略への反映を進めております。そのリスクには、台風の大型化、洪水や渇水の発生頻度の増加による事業活動中断のリスク、降雨パターンの変化に伴う天然ゴムの収穫不良による原材料調達に関するリスク、降雪量の減少により冬タイヤの需要が減少するリスクがあります。また、気候変動のために、国内外において、炭素税やCO2排出削減義務・排出量取引制度、タイヤの低燃費性能等に関する制度・規制などの導入が進む際に、社会や顧客の急速なニーズ変化に対して研究開発費を十分な事業成果に結びつけることができない場合は、事業活動の制約やコストの上昇など当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

気候変動に関するリスク及び機会への認識を踏まえ、当社は、2050年を見据えた長期目標「カーボンニュートラル化」、2030年目標「①2030年までに私たちが排出するCO2の総量(Scope1※、2※)を50%削減する(2011年比)、②2030年までにソリューションの提供により、商品・サービスのライフサイクル、バリューチェーン全体(Scope3※)を通じて、私たちの生産活動により排出するCO2排出量(Scope1※、2※)の5倍以上のCO2削減に貢献していく(2020年比)」を設定し、CO2削減に貢献する新技術の開発、当社グループの生産拠点におけるCO2排出量の削減、低燃費タイヤの開発・販売など目標の達成へ向けた活動を進めております。

※Scope1は企業が直接排出するCO2(自社工場のボイラーなどからの排出)

※Scope2はエネルギー起源間接排出(電力など他社から供給され、自社で消費したエネルギーに伴うCO2排出)

※Scope3はライフサイクルにおける原材料調達、流通、顧客の使用と廃棄・リサイクル段階のCO2排出量等

 

(5) 企業イメージに関するリスク

当社グループは、事業活動を通じて企業イメージ・ブランドイメージの維持向上に努める一方、法令遵守や企業倫理に基づく事業活動、及び火災や労働災害などの企業災害の防止・対策活動に努めておりますが、それにもかかわらず、社会的な信用を失墜させるような企業不祥事や企業災害が発生した場合には、顧客からの信頼喪失や株価の下落を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 為替変動に関するリスク

当社グループは、開発・生産・流通・販売・調達などの事業活動をグローバルに展開しており、原材料の調達や販売活動などにおいて、多種の通貨による取引を行っております。外貨建ての営業債権債務に対しては為替予約取引など、また、外貨建ての貸付金及び借入金に対しては通貨スワップ取引などを行うことにより、短期的な為替相場の変動影響を最小限にする努力をしておりますが、世界各地で国際間取引を行っていることから、為替相場の変動は、当社グループの業績に影響を及ぼすことになります。また、海外での売上収益、費用、資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されることから、為替相場の変動による影響を受けることになります。一般に、他国通貨に対する円高は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円安は当社グループの業績に好影響をもたらします。

 

(7) 競争激化に関するリスク

当社グループは、それぞれの市場で多数の企業と競合しているため、価格競争が発生しております。また、企業向け取引では、顧客から価格低減の要請を受けることがあります。このような事業環境に対し、当社グループは、原価の低減や効率性の追求、顧客や市場への新しい商品価値の提案などによる内部努力を継続しておりますが、それらの努力で価格低下を吸収できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、製造業者として技術力を核とした戦略を重視しており、新技術を搭載した製品の市場投入を積極的に進めております。これらの技術開発のための投資や費用は、最終的に高い商品価値を顧客に認めていただくために投入しているものですが、競合他社との激しい競争において、事業として十分な成果に結びつけることができない場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 製品の欠陥に関するリスク

当社グループは、製造業者として販売する製品の品質に万全を期すことに努めております。特に、タイヤなど人命にかかわる商品を主に扱っているという認識に立ち、製品品質の確保、市場情報の収集や品質に関する早期警報システムの構築など、品質保証体制の充実に努めておりますが、予測できない原因により製品に欠陥が生じた場合や、顧客の安全・安心を最優先に確保するという観点から大規模なリコールなどを実施する可能性は皆無ではありません。そのような事態が発生した場合には、回収費用、社会的な信用の毀損、顧客への補償や訴訟費用・賠償費用などにより、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に米国の製造物賠償責任訴訟や集団訴訟は、より重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 原材料調達に関するリスク

当社グループは、タイヤなどゴム製品の原材料として天然ゴムを使用しておりますが、天然ゴムの主要生産地である東南アジア諸国における災害、戦争・テロ・暴動、社会的・政治的混乱、ストライキ、あるいは収穫不良などにより、天然ゴムの安定供給に支障が生じた場合、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難になり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、天然ゴム以外の主要原材料調達においても、原料需給の逼迫や供給能力の制約により、当社グループの生産に必要な量を確保することが困難になる場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社グループは、いくつかの主要原材料の調達について、グループ内の原材料生産拠点、又は一部のグループ外供給元に依存しております。このため、特定の原材料供給元の操業が停止するなどにより、必要な原材料の調達ができない状況が発生した場合は、当該原材料に依存している当社又はグループ会社の生産に著しい悪影響を及ぼし、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

加えて、需給の逼迫や投機目的の売買などにより、当社グループが調達している原材料の価格が高騰し、生産性向上などの内部努力や価格への転嫁などにより吸収できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 退職給付費用及び債務に関するリスク

当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上の割引率などの前提条件に基づいて算出しております。しかしながら、年金資産等の制度資産の公正価値、金利の変動等により、これらの前提条件に大きな変動があった場合、あるいは前提条件の変更が必要になった場合には、退職給付費用や債務が増加し、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 知的財産侵害に関するリスク

当社グループでは、知的財産を企業の競争力を高めるための重要な経営資源と位置づけ、第三者の知的財産権に対する侵害の予防、及び保有している多数の知的財産権の保護に努めております。それにもかかわらず、当社グループの認識又は見解との相違から、第三者から知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、当社グループとして製造販売中止、あるいは損害賠償などが必要になった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、第三者による知的財産権侵害を当社グループが主張したにもかかわらず、侵害があったと認められない場合には、当社グループの製品差別化や競争優位性が確保されず、結果として当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは、当連結会計年度よりIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値もIFRSに組み替えて比較分析を行っております。

(1) 経営成績等の状況の概要

 当期における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 第1四半期連結会計期間から、セグメント区分を変更しております。また、前期の数値について新たなセグメント区分に組み替えたうえで、前期比の数値を計算しております。

 

a.業績全般

 

当期

前期

増減

金額

比率

 

億円

億円

億円

売上収益

29,945

35,072

△5,127

△15

調整後営業利益

2,229

3,431

△1,202

△35

営業利益

641

3,493

△2,852

△82

税引前当期利益

293

3,355

△3,062

△91

親会社の所有者に帰属する当期利益

又は損失(△)

△233

2,401

△2,634

 

 当社グループは、2020年を「第三の創業」(Bridgestone3.0)の初年度として位置付け、「2050年にもサステナブルなソリューションカンパニーとして社会価値・顧客価値を持続的に提供している会社へ」という新たなビジョンを掲げました。ビジョンの実現に向け、「中長期事業戦略」を策定し、着実に取り組みを進めてまいりました。

 当期の当社グループを取り巻く環境は、第1~2四半期におけるCOVID-19の影響によるグローバルでのタイヤ需要低迷後、第3四半期に入りヒト・モノの移動制限緩和、経済活動再開などの動きに伴う需要回復が見られました。第4四半期には乗用車用タイヤにおいてCOVID-19第2波拡大による需要減の影響を受けましたが、トラック・バス用タイヤの需要は堅調に推移し、回復基調が継続しました。

 年間を通しては、対前年で大幅なタイヤ需要減となり、当社グループの当期の売上収益は29,945億円(前期比15%減)、調整後営業利益は2,229億円(前期比35%減)、営業利益は641億円(前期比82%減)、税引前当期利益は293億円(前期比91%減)、親会社の所有者に帰属する当期損益は233億円の損失(前期は2,401億円の利益)となりました。

 このような状況の下、当社はグループを挙げて従業員・お客様・関係者の生命と安全を最優先とした組織対応を継続しながら、各地域でのタイヤ需要回復を捉えるべく生産・販売活動を本格的に再開し、第2四半期に一時休業を実施した工場についても全拠点で既に操業再開の上、稼働率を段階的に引き上げております。加えて、財務面では、徹底した経費・コストコントロールを継続しております。

 また、当社グループは、この危機を中長期視点での改革の機会と捉えつつ、新たな経営体制での本質的競争力強化に着手しております。「稼ぐ力の再構築」に向けた経費・コスト構造改革を強力に推進し、2020年11月に南アフリカ・ポートエリザベス工場を閉鎖、さらに、フランス・ベチューン工場の閉鎖計画が2021年3月に当局に承認され、4月末に閉鎖される予定です。また、2021年1月には米国・建築資材事業の売却を発表しており、2021年上期中の完了を見込んでおります。さらに、中長期事業戦略を支える人事・組織戦略として、2021年初より、経営執行体制と人事制度を刷新しました。

 

b.セグメント別業績

 

 

当期

前期

増減

金額

比率

 

日本

 

億円

億円

億円

売上収益

7,626

9,181

△1,555

△17

調整後営業利益

646

1,088

△442

△41

米州

売上収益

14,079

16,617

△2,537

△15

調整後営業利益

1,399

1,843

△444

△24

欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ

売上収益

5,643

6,401

△758

△12

調整後営業利益又は

損失(△)

△176

150

△326

中国・アジア・大洋州

売上収益

3,946

4,628

△682

△15

調整後営業利益

246

362

△116

△32

その他

売上収益

1,211

1,730

△519

△30

調整後営業利益

14

38

△24

△64

連結 合計

売上収益

29,945

35,072

△5,127

△15

調整後営業利益

2,229

3,431

△1,202

△35

 

 当期の各セグメントにおける業績は、第1~2四半期におけるCOVID-19の影響によるグローバルでのタイヤ需要低迷後、第3~4四半期にかけて一定の需要回復が見られましたが、年間を通しては対前年で大幅に需要が減少した結果、以下のとおりとなりました。

[日本]

 乗用車及び小型トラック用タイヤ並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に下回りました。この結果、売上収益は7,626億円(前期比17%減)となり、調整後営業利益は646億円(前期比41%減)となりました。

[米州]

 北米タイヤ事業において、乗用車及び小型トラック用タイヤ、並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に下回りました。この結果、売上収益は14,079億円(前期比15%減)となり、調整後営業利益は1,399億円(前期比24%減)となりました。

[欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ]

 欧州では、乗用車及び小型トラック用タイヤ、並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に下回りました。この結果、売上収益は5,643億円(前期比12%減)となり、調整後営業損益は176億円の損失(前期は150億円の利益)となりました。

[中国・アジア・大洋州]

 乗用車及び小型トラック用タイヤ、並びにトラック・バス用タイヤの販売本数は前年を大幅に下回りました。この結果、売上収益は3,946億円(前期比15%減)となり、調整後営業利益は246億円(前期比32%減)となりました。

 

(注) セグメント別の金額はセグメント間の取引を含んでおり、連結合計の金額はそれらを消去した後の数値であります。

 

c.財政状態

(流動資産)

 流動資産は、営業債権及びその他の債権が876億円、棚卸資産が1,389億円減少したものの、現金及び現金同等物が3,776億円増加したことなどから、前期末比1,361億円増加(同7%増)し、20,545億円となりました。

(非流動資産)

 非流動資産は、減損損失等の計上により有形固定資産が1,630億円減少したことなどから、前期末比2,238億円減少(同9%減)し、21,348億円となりました。

(流動負債)

 流動負債は、営業債務及びその他の債務が329億円減少したものの、社債及び借入金が1,585億円増加したことなどから、前期末比1,464億円増加(同16%増)し、10,417億円となりました。

(非流動負債)

 非流動負債は、社債及び借入金が65億円増加したものの、退職給付に係る負債が199億円、繰延税金負債が158億円減少したことなどから、前期末比269億円減少(同3%減)し、9,523億円となりました。

 なお、流動負債及び非流動負債に計上された有利子負債(注)の合計は、前期末比1,617億円増加(同19%増)し、10,062億円となりました。

(注) 有利子負債には社債及び借入金、リース負債を含んでおります。

(資本)

 資本合計は、親会社の所有者に帰属する当期損失の計上233億円、配当金(親会社の所有者)により915億円減少したことなどから、前期末比2,072億円減少(同9%減)し、21,953億円となりました。

 

 これらの結果、当期末の資産合計は、前期末に比べて877億円減少(同2%減)し、41,893億円となりました。また、当期の親会社所有者帰属持分比率は51.3%となり、前期末比3.6ポイントの低下となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 

当期

前期

増減

金額

 

億円

億円

億円

営業活動によるキャッシュ・フロー

5,269

5,050

+219

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,554

△2,619

+1,065

財務活動によるキャッシュ・フロー

181

△2,405

+2,585

現金及び現金同等物に係る換算差額

△120

△13

△107

現金及び現金同等物の増減額

3,776

14

+3,762

現金及び現金同等物の期首残高

4,329

4,339

△10

売却目的で保有する資産に含まれる現金及び現金同等物

△24

+24

現金及び現金同等物の期末残高

8,105

4,329

+3,776

 

 当期における当社グループの現金及び現金同等物(以下「資金」)は、全体で3,776億円増加(前期は10億円の減少)し、当期末には8,105億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金収支は、5,269億円の収入(前期比219億円の収入増)となりました。これは、法人所得税の支払額717億円(前期は796億円)などがあったものの、税引前当期利益293億円(前期は3,355億円)や、減価償却費及び償却費2,675億円(前期は2,697億円)、減損損失896億円(前期は105億円)、営業債権及びその他の債権の減少額569億円(前期は219億円)、棚卸資産の減少額1,288億円(前期は73億円)などがあったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金収支は、1,554億円の支出(前期比1,065億円の支出減)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出2,007億円(前期は2,705億円)などによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金収支は、181億円の収入(前期は2,405億円の支出)となりました。これは、短期借入金の返済による支出2,484億円(前期は2,577億円)や、リース負債の返済による支出571億円(前期は550億円)、配当金の支払額(親会社の所有者)915億円(前期は1,177億円)、配当金の支払額(非支配持分)75億円(前期は100億円)などがあったものの、短期借入れによる収入3,094億円(前期は2,929億円)や、長期借入れによる収入1,166億円(前期は30百万円)などによるものです。

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

527,809

△13.2

米州

1,059,707

△19.3

欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ

439,337

△22.3

中国・アジア・大洋州

298,904

△20.2

その他

74,822

△19.5

合計

2,400,579

△18.8

  (注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 金額には、消費税等は含まれておりません。

 

b.受注実績

 当社グループは、少数の特殊製品(特殊ホース等)について受注生産を行うほかは、すべて見込生産であります。

 

c.販売実績

 当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

608,103

△15.4

米州

1,402,147

△15.2

欧州・ロシア・中近東・インド・アフリカ

556,843

△11.7

中国・アジア・大洋州

345,664

△14.2

その他

81,735

△20.3

全社又は消去

32

△22.5

合計

2,994,524

△14.6

  (注) 金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2021年3月26日)現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下、「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

② 当期の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当期の経営成績等は、次のとおりであります。

 なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因や当該事項への対応については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 (売上収益、調整後営業利益及び営業利益)

 売上収益は、COVID-19の影響によるグローバルでのタイヤ需要減の影響などで前期比5,127億円減少(同15%減)し、29,945億円となりました。

 調整後営業利益は、COVID-19の影響によるグローバルでのタイヤ需要減の影響などで前期比1,202億円減少(同35%減)し、2,229億円となりました。また、営業利益は、上記に加え減損損失954億円の計上(内、58億円は事業・工場再編費用へ計上)などにより前期比2,852億円減少(同82%減)し、641億円となりました。

 この結果、調整後営業利益率は7.4%となり、前期比2.3ポイントの低下となりました。

 なお、セグメント別の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 (親会社の所有者に帰属する当期損益)

 親会社の所有者に帰属する当期損益は、233億円の損失(前期は2,401億円の利益)となりました。これは、営業利益が2,852億円の減益となったことや持分法株式に係る減損損失182億円の計上などによるものです。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 現金及び現金同等物は、前期末比3,776億円増加し、8,105億円となりました。なお、活動区分毎のキャッシュ・フローについては、「(1) 経営成績の状況の概要」に記載のとおりであります。

 資金調達にあたっては、金融機関からの借入れに加え、引き続き、国内普通社債やコマーシャル・ペーパーなどの直接金融手段や、売上債権の証券化、リースの活用など、リスク分散や金利コストの抑制に向けその多様化を図ってまいります。

 資金使途につきましては、主にコア事業における稼ぐ力の再構築、成長事業であるソリューション事業拡大のための戦略的成長投資、探索事業への戦略的成長投資などに活用しつつ、適正な財務体質の維持と株主還元に活用してまいります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、中期事業計画の経営指標として、2023年に、売上収益33,000億円レベル、調整後営業利益4,500億円レベル、調整後営業利益率13%レベル、ROIC10%レベル、ROE12%レベルを計画しております。

 当期においては、売上収益29,945億円(前期比5,127億円減少)、調整後営業利益2,229億円(前期比1,202億円減少)、調整後営業利益率7.4%(前期比2.3ポイント低下)、ROIC5.5%(前期比1.9ポイント低下)、ROE1.0%(前期は10.0%)でした。

 

(3) 並行開示情報

 連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は、以下のとおりであります。

 なお、日本基準により作成した当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。

 

① 要約連結貸借対照表(日本基準)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2019年12月31日)

当連結会計年度

(2020年12月31日)

資産の部

 

 

流動資産

1,871,066

2,029,799

固定資産

2,075,438

1,846,471

資産合計

3,946,505

3,876,270

 

 

 

負債の部

 

 

流動負債

838,312

1,000,123

固定負債

763,902

756,429

負債合計

1,602,215

1,756,552

 

 

 

純資産の部

 

 

株主資本

2,551,742

2,449,928

その他の包括利益累計額

△263,303

△377,975

新株予約権

3,275

3,125

非支配株主持分

52,576

44,640

純資産合計

2,344,290

2,119,718

負債純資産合計

3,946,505

3,876,270

 

② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書(日本基準)

要約連結損益計算書

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

当連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

売上高

3,525,600

2,999,018

営業利益

326,098

196,297

経常利益

316,823

173,802

税金等調整前当期純利益

407,251

55,556

当期純利益

298,947

1,384

非支配株主に帰属する当期純利益

6,349

3,401

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

292,598

△2,016

 

要約連結包括利益計算書

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

当連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当期純利益

298,947

1,384

その他の包括利益

△61,317

△100,463

包括利益

237,629

△99,079

(内訳)

 

 

親会社株主に係る包括利益

229,223

△97,814

非支配株主に係る包括利益

8,406

△1,265

 

③ 要約連結株主資本等変動計算書(日本基準)

前連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)

(単位:百万円)

 

 

株主資本

その他の包括利益

累計額

新株予約権

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

2,576,671

△199,928

3,452

54,198

2,434,393

当期変動額

△24,929

△63,375

△177

△1,621

△90,103

当期末残高

2,551,742

△263,303

3,275

52,576

2,344,290

 

当連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)

(単位:百万円)

 

 

株主資本

その他の包括利益

累計額

新株予約権

非支配株主持分

純資産合計

当期首残高

2,551,742

△263,303

3,275

52,576

2,344,290

当期変動額

△101,814

△114,672

△150

△7,936

△224,572

当期末残高

2,449,928

△377,975

3,125

44,640

2,119,718

 

④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書(日本基準)

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2019年1月1日

至 2019年12月31日)

当連結会計年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

464,457

483,938

投資活動によるキャッシュ・フロー

△266,910

△157,772

財務活動によるキャッシュ・フロー

△198,601

61,086

現金及び現金同等物に係る換算差額

2,456

△12,025

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

1,402

375,227

現金及び現金同等物の期首残高

433,916

435,319

現金及び現金同等物の期末残高

435,319

810,546

 

⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更(日本基準)

前連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)

 (ASU第2014-09号「顧客との契約から生じる収益」の適用)

 米国会計基準を適用する在外連結子会社において、ASU第2014-09号「顧客との契約から生じる収益」(2014年5月28日。以下「ASU第2014-09号」という。)を、当連結会計年度より適用しております。

 ASU第2014-09号の適用により、約束した財又はサービスが顧客に移転された時点で、当該財又はサービスと交換に権利を得ると見込む対価を反映した金額で、収益を認識することが求められており、適用にあたっては遡及修正による累積的影響額を適用開始日時点で認識する方法に従っております。

 この結果、当連結会計年度の期首の流動負債の「その他」が17,210百万円増加、「未払費用」が19,980百万円減少、固定負債の「その他」が25,759百万円増加、「製品保証引当金」が25,759百万円減少、「利益剰余金」が229百万円増加しております。また、当連結会計年度の営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益に与える影響は軽微であります。

 なお、当連結会計年度の1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益に与える影響は軽微であります。

 

 (IFRS第16号「リース」の適用)

 IFRSを適用する在外連結子会社において、IFRS第16号「リース」(2016年1月13日。以下、「IFRS第16号」という。)を、当連結会計年度より適用しております。

 IFRS第16号はリースの借手に、原則としてすべてのリースについて資産及び負債を認識すること等を要求しており、適用にあたっては遡及修正による累積的影響額を適用開始日時点で認識する方法に従っております。

 この結果、当連結会計年度の期首の資産が49,606百万円増加、負債が51,605百万円増加、利益剰余金が1,998百万円減少しております。資産の増加は主として有形固定資産、負債の増加は主としてリース債務の増加によるものです。また、当連結会計年度の営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益に与える影響は軽微であります。

 なお、当連結会計年度の1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益に与える影響は軽微であります。

 

 (未適用の会計基準等)

 重要性が乏しいため、記載を省略しております。

 なお、2020年度第1四半期連結会計期間からIFRSを任意適用するため、未適用の日本基準及び米国会計基準の記載を省略しております。

 

 (表示方法の変更)

 (「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」の適用に伴う変更)

 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用し、繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示する方法に変更しております。

 この結果、前連結会計年度の連結貸借対照表において、「流動資産」の「繰延税金資産」が55,973百万円減少し、「投資その他の資産」の「繰延税金資産」が32,544百万円増加しております。また、「流動負債」の「繰延税金負債」が3,886百万円減少し、「固定負債」の「繰延税金負債」が19,542百万円減少しております。

 なお、同一納税主体の繰延税金資産と繰延税金負債を相殺して表示しており、変更前と比べて総資産が23,429百万円減少しております。

 

当連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)

 該当事項はありません。

 

(4) 経営成績の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。

 

前連結会計年度(自 2019年1月1日 至 2019年12月31日)

 「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 39.初度適用」に記載のとおりであります。

 

当連結会計年度(自 2020年1月1日 至 2020年12月31日)

 (IFRS第16号「リース」の適用)

 日本基準では借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりましたが、IFRSでは原則としてすべての借手のリースについての使用権資産及びリース負債を計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて使用権資産及びリース負債がそれぞれ217,439百万円及び228,218百万円増加しております。

 

 (のれんの償却)

 日本基準ではのれんを一定期間にわたり償却しておりましたが、IFRSではのれんの償却は行われず、毎期減損テストを実施することが要求されます。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が8,494百万円減少しております。

 

 (資本性金融商品に係る会計処理)

 日本基準では投資有価証券売却損益・投資有価証券評価損を純損益として認識しておりましたが、IFRSでは資本性金融商品をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に指定し、その売却損益・評価損を純損益として認識しておりません。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて、税引前当期利益が16,270百万円減少し、その他の包括利益が11,094百万円増加しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは新たに掲げたビジョンの実現に向けて、コア事業であるタイヤ・ゴム事業を更に強化しながら、その強みを活かし、成長事業であるソリューション事業を拡大させてまいります。この事業の進化を支えていくのが、技術イノベーションです。技術イノベーションを軸に、研究開発活動に取り組み、当社グループが現物現場で長年培ってきた強い「リアル」に「デジタル」を組み合わせて、イノベーションを加速させ、断トツ商品や断トツソリューションの開発につなげてまいります。

コアとなるタイヤ・ゴム事業では、軽量化と運動性能を高次元で両立するタイヤ技術「ENLITEN(エンライトン)」を開発しました。省資源・低燃費化によるCO2排出量削減と、高い運動性能による安心・安全の向上を両立し、社会とお客様への貢献を目指しております。「ENLITEN」を搭載したタイヤは、電気自動車をはじめとする国内・海外メーカーの新車への装着も開始しております。建設・鉱山車両用タイヤについては、お客様ごとに異なる鉱山の現場やオペレーションの計画に合わせて「カスタマイズ」することで、最適な性能を提供することが可能な断トツ商品「Bridgestone MASTERCORE(ブリヂストン マスターコア)」を開発しました。内製スチールコードをはじめとした素材、構造、製造技術を含む当社独自の新技術を結集、他の性能を犠牲にすることなく強靭な耐久性能を実現しております。

成長事業であるソリューション事業においては、航空機ソリューションにおいて、日本航空株式会社と協働し、新たな価値の共創を開始しております。タイヤ摩耗予測技術を活用することにより、精度の高い計画的なタイヤ交換が可能となり、ホイール・タイヤ在庫の削減及び航空機整備作業を効率化することができるようになります。より安全なクルマ社会の実現に向けては、Microsoft Corporationと協働で、外傷によるタイヤトラブルを、走行中にリアルタイムで検出できる世界初のモニタリングシステムを開発しました。更にトラック・バス事業者様向けには、タイヤの内圧を遠隔モニタリングするデジタルソリューションツール、「Tirematics(タイヤマティクス)」を国内でも提供開始しております。

研究開発体制については、技術開発拠点である小平地区を再構築し、グローバルなイノベーション拠点として「Bridgestone Innovation Park(ブリヂストン イノベーション パーク)」を開設します。ここでは、社会・お客様・パートナーの皆様に共感いただくことから始め、共議・共研・共創へと関係を深めてまいります。これにより技術・ビジネスモデル・デザインのイノベーションを加速し、新たな社会価値と顧客価値を生み出していくことを目指しております。2020年11月にはその最初の施設として、ブリヂストンの歴史や企業活動を紹介するギャラリー「Bridgestone Innovation Gallery(ブリヂストン イノベーション ギャラリー)」を一般オープンしました。また、イタリア・ローマや米国・オハイオ州アクロンにもイノベーション拠点を有しており、それぞれが強みを活かしてCoE(Center of Excellence)として機能し、イノベーションやソリューションの取り組みをリードしながら、グローバルに連携しております。

さらに、当社グループは、モビリティの進化を支え、持続可能な社会の実現に貢献するために、社内外の多様なステークホルダーの皆様との価値の共創を推進しております。新たなモビリティでは、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、トヨタ自動車株式会社と共に、国際宇宙探査ミッションへ参画し、月面での有人探査活動に必要なモビリティのタイヤ研究を開始しております。また、東京大学大学院新領域創成科学研究科、株式会社デンソー、日本精工株式会社、ローム株式会社と共同で、「SDGsを実現するモビリティ技術のオープンイノベーション」社会連携講座を設置しました。モビリティの電動化を支える技術の研究開発や、電動モビリティを省資源でより持続可能にする技術の研究開発、オープンイノベーションとして成果の一部を開放する仕組みの試行を目的としております。当講座において、電気自動車の走行中のインホイールモータへのワイヤレス給電実用化に向けて、「ワイヤレス給電対応タイヤ」の研究を推進しております。タイヤ原材料となる天然ゴム資源の持続的な安定供給に向けては、株式会社電通国際情報サービスと共同で、AI画像診断を用いたパラゴムノキの高精度病害診断技術を開発し、ゴム農園の生産性向上に貢献しております。今後も当社独自のゴムに関する知見とデジタルを融合させ、様々なパートナーと連携しながら技術イノベーションを加速し、価値を共創してまいります。

なお、当期におけるグループ全体の研究開発費は952億円であります。

 

(注) 当社グループの研究開発活動には、特定のセグメントに紐づかないものがあり、またその成果はセグメント横断的に効果があるため、セグメント別の状況及び金額の記載を省略しております。