第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

今後の世界経済は、不安定な中東情勢やロシア、ウクライナ紛争も続いており、インフレに大きな影響を与え得る可能性があり、先行き不透明な状況で推移すると予測しております。我が国経済のみならず世界経済への長期的な影響が懸念されております。この影響に関しては、当社グループが事業を行っております各国政府の方針、事業別の環境等により異なります。

 このような状況の下、各事業については以下のように見通しと取り組みを進めてまいります。

(食品事業)

食品事業におきましては、当社連結子会社である明日香食品㈱グループが営んでおります。主要顧客であるスーパーで、インフレによる消費者の購買行動の減退と円安や世界的な農産物価格上昇による大幅なコスト高により、昨年と対比して市場環境としては厳しい状況となっております。

一方で、これまでに取り組んできた、SNSを活用した当社商品のブランディングが功を奏している現状を踏まえ、さらに戦略商品の拡販を進めてまいります。現状は『「わらび餅」の明日香野』、『こし自慢明日香野』『桜餅(道明寺)の明日香野』が定着しつつあり、今後のさらなる拡販につながるものと期待をしております。SNSから波及して今年もマスメディアでも継続的に取り上げられております。これらにより、中期経営計画「深耕と進化」の基本方針である「もちのプロ 開発力・製造力強化、ブランディングを確立する」を果たし、業績の拡大を図ってまいります。

また、「お得感」のある商品の「味」については妥協いたしませんが、先般からの急激な原料・資材・エネルギーの価格高騰に対応し利益を確保するためには、徹底的なコスト削減、商品企画の見直し、生産効率の良い商品への集中、人材育成による能力の向上、SNSを活用したブランディング、などのこれまで積み上げてまいりました施策が有効であると考えており、成果が出ております。

より長期的視点からは少子高齢化が進む日本国内事業が大半であることから、今後とも主力国内事業の利益体質を堅持するとともに、中国で既に始めております当事業を、さらに東南アジアに拡大することを企図しており、守りの国内と攻めの海外とメリハリをつけて進めてまいります。

(スポーツ事業)

スポーツ事業におきましては、コロナ禍対応政策の影響は依然大きく残っており、特に中高生の部活動がコロナ禍以前の活気を取り戻すことができておりません。しかし中期経営計画に掲げましたように、マルチスポーツ化の拡大、ソーシャルメディアの活用、アスリート採用の強化などの取り組みをグループ企業と一体になり進めてまいります。

ソフトテニス事業は、当社の前身が130年以上前に日本で初めて作りました軟式庭球のボール「赤M」がルーツになっており、今後とも自らが業界の活性化に積極的に関わることで主力製品であるソフトテニスボール、ウェアの販売につなげて行きます。特にソフトテニスボールでは販売施策を積極的に打ち出し収益性の向上につなげてまいります。また、SNSを活用した情報発信も積極的に行い、業界の中での発信力を高めることで業界全体の活性化にも寄与できるように活動して行きます。

テニスクラブ再生事業では、テニスクラブ数の増加を目指しております。加えてソフトテニスクラスの増加、ランニングスクール事業など既存の営業活動ともリンクさせ事業全体の最適化を測ってまいります。また所属コーチが日本リーグやビジネスパル、各トーナメントで選手として活躍しており、レベルの高い選手が質の高いコーチングを提供することで顧客満足は増加していると考えており、会員の増加につなげてまいります。

さらに、新規事業として昨年から開始した旅行事業は順調に拡大しておりツアー数の増加を進め当社の事業の柱となるように育ててまいります。

コロナ禍対応政策の影響は依然大きく残っておりますが、競技活動への支援や情報発信などを積極的に行い顧客との接点を増やしたことで市場の信頼は得ており、今後売上につなげてまいります。テニスクラブ・会員数の増加、旅行事業の拡大施策も定まっており、今後売上は回復に向かうと考えております。

(ゴム事業)

ゴム事業におきましては、競合耐食材メーカーの撤退により売上げ増が見込まれるなか国内での生産強化を図るとともに、海外事業会社との連携を高めることで、各国地域における長期的かつ緊密な相互互恵関係を築きつつあり、これらのアジア事業が今後同事業の中期的な発展を支えていくものと期待しております。

今後このかつての競合売上の取込み、並びにゴム事業の選択と集中を進めることで大幅に売上高と利益を増加させることができると考えており、これについても今後の推移に注意しつつ積極的かつ計画的に事業構造を更に改革してまいります。

過去の4回にわたる中期経営計画アクセルプランにおいて継続的にライニング事業における「残存者利益」の確保を目指してまいりましたが、これが成果となって現れております。その中で既に進めておりました、ゴム事業の集中と選択を進めることや、製造体制の見直しを加速し進めております。これにより売上高と利益を増加させることができると考えており、これについても今後の推移に注意しつつ積極的に事業展開をしてまいります。

(コンテンツ事業)

コンテンツ事業におきましては、日本国内において売上高が増加を続けております。一方数年来の構造改革の結果、支出適正化がなされており利益増加に貢献しており、今後これらのコンテンツにも期待をしております。海外展開に関しましては、ベトナム並びにインドネシアが明確に売上高を増加させる段階に至っており、コロナ禍の中でも当社商品の販売店数が増加しておりますので、今後の利益増加への貢献を期待しております。

現在の好調には中期経営計画アクセルプランに基づき、獲得してきたコンテンツが貢献するとともに、数年来の取り組みによる固定費の削減が進んでおりますことが寄与しております。現在においては上記実績による受注が好調であり、また、筋肉質な体質にもなっておりますので、利益も確保できると考えております。

また、この間には中長期的な戦略的投資としてベトナム・インドネシア・タイなどでのコンテンツ事業をグループ会社の協力のもと行ってまいりました。これに加え、中期経営計画に基づいた新規事業も開始しており、数年単位でこれを育成して、将来の収益増加につなげてまいります。

(Digital Finance事業)

当事業は持分法適用関連会社の行う事業であり、セグメントではありませんが、連結財務諸表へは持分法による投資損益として当社の業績へ大きく影響を与えることから記載しております。

Digital Finance事業におきましては、これまで約10年にわたり、創業国であるタイ以外の国での展開を進めてまいりました。すでにカンボジア、ラオス、ミャンマー、スリランカでのファイナンス事業を展開しております。非都市部に集中し、高い競争力を持った、他にない事業を形成しております。

同事業は特定の相手先との国際的な裁判費用やその影響による業績不振に加えて、コロナ禍、ミャンマーにおける内戦、などにより実質的に営業停止状態の期間も長く、厳しい5年間を経験しました。これらのことを考慮し前期には損失の引当処理を実行済みであり、今後は環境が改善すると考えられるとともに、財務体質も筋肉質になり、より利益貢献がしやすい状態になったと考えております。

過去5年間、コロナ禍並びに同事業を行うGroup Lease PCL.が大型の裁判を行っていたこと、などから全営業国において保守的なリスクマネジメントのために新規貸付を抑制し、回収に注力してきました。この結果、営業貸付金が減少し、現金預金が増加して、売上高・セグメント利益ともに減少してきていました。2024年以降においては、上記国別商品別の状況に応じて、新たな再成長を開始する一方、各国とも世界的な物価高による悪影響も受けており、慎重に情勢を見極めつつ、事業成長を目指してまいります。

(リゾート事業)

当事業は持分法適用関連会社の行う事業であり、セグメントではありませんが、連結財務諸表へは持分法による投資損益として当社の業績へ大きく影響を与えることから記載しております。

リゾート事業はタイ国クラビ県の離島ピピ島にある5つ星ホテルZeavola Resortを経営する事業です。当該ピピ島は自然の豊かな特別なリゾート島であり、タイでも有数の多種多様なダイビングスポットを有しております。その中で160mのプライベートビーチを有し、ホスピタリティに溢れたスタッフを有し、「最もロマンチック」「最もサステイナブル」などの部門で数々の世界的なホテル賞を獲得してきた同ホテルは周辺のホテルの中でも特別なホテルとなっており、収益性においても抜きん出るホテルとなっております。2023年においてもWORLD LUXURY HOTEL AWARDSでLuxury Boutique Resort 2023(アジア地域)を受賞いたしました。

今後については、客室稼働率が9割を大幅に超えるなど力強い回復を見せており、同ホテルのターゲット顧客である富裕層が益々旅行をする環境が整っておりますので、今後も力強い回復を見込んでおります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、中期経営計画“アクセルプランⅢ「再発進」2018-2023”を実現するにあたり、当社グループの主要事業それぞれに事業戦略(ビジョン)を設定しております。当該事業戦略(ビジョン)につきましては、単なる利益追求を目的で設定されたものではなく、当社の持続的な成長を行うため、当社グループが事業を通じて直面している社会的課題(主に環境への負荷や、人々の心身の健康の増進等)を解決していくことがその基本となっております。なお、2023年は前述の中期経営計画の終期となっており、当該中期経営計画の更新を行う予定です

ガバナンス

国際情勢や社会環境の大きな変化により、当社グループを取り巻く経営環境もますます険しくなっております。当社グループといたしましては、このような急速な経営環境の変化に即応し、持続的な成長を実現する為、過半数が社外取締役から構成される多様性を持った取締役会と、当社執行役員(当社代表取締役2名も含まれます。)と主要事業セグメントの事業責任者からなる執行役員会を構成し、これらの会議体で事業の推進と課題の解決を行っております。

長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みについても、課題を考慮した経営を行うため、当社執行役員会の中で、当社執行役員及び各事業セグメントの事業責任者からの活動報告を通じて、課題の抽出や解決といった対応につなげております。また、重要な課題については、取締役会に上程し対応策を講じていくこととしております。

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社は、持続的な成長と企業価値の向上を実現させるために、多様な視点や価値観を尊重することが重要と考え、経験・技能・キャリアが異なる人材を積極的に採用しつつ、これらの人材がその能力を発揮できる社内環境の整備に努め、新卒・中途採用の区別なくスキル・経験等を総合的に判断し、職員及び管理職への登用を行っております。
 また、当社グループの多様性確保の観点から、女性・外国人(海外事情の明るい人材を含む)・中途採用者の管理職登用を積極的に進めております。女性の管理職への登用につきましては、性別に関係なく管理職としての能力で諮られるべきであることから女性管理職の具体的な目標数は定めておりませんが、既に海外子会社の社長や国内主要事業の営業部長職への登用等、その能力やキャリアを十分発揮できる登用を推進しており、今後も各事業に見合った人材をジェンダーレスに中核人材として登用していく方針です。また、当社グループは、持分法適用関連会社を含めますと役・職員の過半以上が外国人により構成されており、既に同様の比率で外国人及び、海外のビジネス環境を熟知した日本人の中核人材の管理職登用は進んでおります。当社グループは、既に役・職員の過半以上が外国人であることから、外国人の採用や管理職の登用に具体的な目標は定めておりませんが、今後の当社の事業方針でも、東南アジアを中心とした各事業の海外展開は重要な事業戦略となっておりますので、現状を維持し人材の多様性確保は引き続き積極的に進めて参ります。また、中途採用者につきましても当社グループでは通年採用制度を採っており、大部分が中途採用の従業員で締められ今後もこの方針を継続しする方針の為、中途採用者の人数等の個別の目標は定めておりません。

リスク管理

当社グループは、比較的規模大きくなく多様な事業セグメントから構成されるため、サステナビリティに係るリスク機会について各事業セグメントの事業責任者が認識し当社執行役員会で報告する体制を構築することでグループのリスク管理を行っております。

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、株価及び財務内容等に影響を及ぼす可能性がある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。

(1) 原材料の調達

当社グループの製品の主要原材料は、合成ゴム、天然ゴム、配合薬品等であり商品市況の高騰や急激な円安により購入価格の上昇や量的調達に支障が生じた場合は、製造コスト、生産量、そして業績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 需要動向

当社グループの各事業について、市場情勢や販売先の経営方針が変動した場合は、受注高が減少して業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

① ゴム事業は、製品市場の設備投資の動向、材質の変更、輸入品との競合による市場縮小の影響並びに販売先の購買方針の変更等により影響を受けます。また、一部製品が食品衛生法、薬事法の規制を受けており、生産設備の維持管理、製品のトレーサビリティ等安全性の確保に万全の体制を築いております。しかしながら、万一製品に事故が発生した場合、社会的責任を問われる可能性があります。

② ソフトテニスボール等のスポーツ事業は、競技人口の動向、消費者ニーズの変化、販売先の購買方針の変更等により影響を受けます。

③ コンテンツ事業は、コンテンツ愛好者人口の動向、消費者ニーズの変化、販売先の購買方針の変更等により影響を受けます。

④ Digital Finance事業は、タイ王国並びにカンボジア王国の景気動向、消費者ニーズの変化などにより影響を受けます。

⑤ 食品事業は、主力製品である和菓子等の主要販売先は、食品卸業及び小売業(スーパーマーケット等)であり、当社グループも大手数社に対して販売しておりますが、販売先の事業方針、営業施策等に変更があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 価格競争

当社グループの全事業について、競合他社との価格競争が激化した場合には、受注高及び製品損益が影響を受ける可能性があります。

(4) 製品品質

当社グループは、品質管理、コスト低減等の生産管理について万全の体制を敷いておりますが、製品の不具合やクレームの発生を全くゼロにすることは不可能であり、万が一これらの事態が生じた場合は、当企業集団の社会的信用や業績等が大きな影響を受ける可能性があります。

(5) 財務内容

当社グループは、「中期経営計画」を策定しておりますので、本計画に基づき業績改善に努めてまいりますが、経営計画の進捗状況によっては、業績、財務状況に影響が及ぶ可能性があります。

(6) 災害発生

当社グループは、安全衛生管理に対しては万全を期しておりますが、自然災害、人為的災害等に起因する操業の中断、これに伴う生産設備の復旧等により業績、財務状況が影響を受ける可能性があります。

(7) 法的規制

当社グループは、全事業についてそれぞれ法務、会計、税務に関する法令、規則等の規制を受けておりますので、将来において予期せぬ法令、規則の変更が生じた場合には業績、財務状況が影響を受ける可能性があります。

(8)為替等のリスク

当社グループは、タイ王国及びシンガポール共和国等東南アジアを中心に事業を展開しております。海外売上高比率が高く、利益の大半を海外関連会社に依存しております。このため、為替レートの変動による円換算後の連結財務諸表に影響を与えます。

(9)政治等のリスク

日本国ならびに海外拠点国の政治活動の激変、テロ、社会的混乱等および法改正等が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)貸し倒れ等のリスク

当社グループのDigital Finance事業におきましては、タイ王国をはじめとする東南アジアにおいて、オートバイ、農機具のファイナンス等を展開しております。当該融資については、新規契約時の取引審査を厳格に行うとともに、その後の与信管理にも万全を期しております。しかしながら、リース期間は平均32ヶ月と比較的短期ながら、この間に景気変動やその他の事由により延滞・貸倒れ等不測の事態を蒙ることもあります。

延滞については事態発生時に速やかに対応し、債権保全・回収に全力を挙げております。また、貸倒れが発生した場合には原則としてリース契約の解除手続を行い、リース物件の売却を図ります。また、自社での中古車オークションの開催等回収の極大化に努めております。

貸倒引当金については、貸付先の状況及びリース資産の担保価値等を見積り、個別に回収可能性を検討するほか、貸倒実績率等を考慮して計上しておりますが、予期できない貸倒れが発生した場合には貸倒引当金の積み増しをせざるを得ないこともあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)システムリスクについて

当社グループの各事業におきましては、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに一部依存しております。自然災害や事故などによって、通信ネットワークが切断された場合に営業・販売活動が困難な状況になります。また、アクセス増等一時的な過負荷によってサーバーが動作不能に陥ったり、購入者、参加者もしくはその他のシステム利用者のハードウェアまたはソフトウェアの欠陥等により、正常な売買等が行われなかったり、システムが停止する可能性があります。さらには、コンピュータウィルス、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入等の犯罪や役職員の過誤等によって、ホームページが書き換えられたり、重要なデータを消去または不正に入手されたりする可能性もあります。これらの障害が発生した場合には、当社グループの各事業に直接的損害が生じるほか、当社グループ自体の信頼を低下させる上、事業にも重大な影響を及ぼす可能性があります。

(12)個人情報の取扱について

当社グループのDigital Finance事業におきましては、オートバイローンの申込時に、また、一部のコンテンツ事業におきましては、ECサイト利用時に、住所・氏名・電話番号・クレジット番号等のユーザー個人を特定できる情報を取得できる環境にあります。これらの情報の管理において当社グループは、プライバシー及び個人情報の保護について最大限の注意を払い、各サービスにおける個人情報のセキュリティについても留意しております。しかしながら、これらの情報の外部流出や悪用等を理由に法的紛争に巻き込まれた場合等は、当社グループの信用が低下する可能性があると同時に業績にも影響が生じる可能性があります。

(13)新型コロナウイルス感染症に関するリスクについて

当社グループでは、取引先や社員の健康・安全を第一に考え、また更なる感染拡大リスクを防ぐために、出張制限、Web会議の活用、イベント実施に関する規制強化、可能な範囲内での時差出勤、テレワーク、在宅勤務の実施を行う等の安全対策を実施しております。しかしながら、今後、事態の長期化又は感染拡大が発生した場合、景気の更なる悪化を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

(14)Group Lease Holdings PTE.LTD.が保有していたタイSEC指摘GLH融資取引に関する悪影響について

当社持分法適用関連会社であるGroup Lease PCL.(以下「GL」という。)の子会社であったGroup Lease Holdings PTE.LTD.(清算手続中)が保有していた貸付債権等(以下「GLH融資取引」という。)に関連して、GLは、2017年10月16日及び同月19日に、タイ証券取引委員会(以下「タイSEC」という。)からGL元役員の不正行為や利息収入の過大計上などの指摘を受けました。当該タイSEC指摘GLH融資取引については、この問題の発覚時の2018年3月期決算において、全額損失処理済ですが、タイ法務省特別捜査局(以下「タイDSI」という。)による調査が継続しております。現在も未解決事項となっており、当社グループは、タイSECの指摘の根拠を特定することはできておりません。また、後述の(追加情報)に関する注記(JTRUST ASIA PTE.LTD.等との係争について)に記載のとおり、当該タイSEC指摘GLH融資取引に関連し、JTRUST ASIA PTE.LTD.からタイ王国及びシンガポール共和国等で、各種の訴訟が提起され係争中となっております。

当社グループといたしましては、引き続き、タイSECやタイDSIに対し、当社グループの正当性を主張しつつ、タイDSIの捜査に全面的に協力してまいります。

なお、捜査の動向次第では、当社グループの経営等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)JTRUST ASIA PTE.LTD.等との係争について

当社持分法適用関連会社であるGLが発行した総額1億80百万米ドルの転換社債保有者であったJTRUST ASIA PTE.LTD.(以下「JTA」という。)は、GLがタイSECから2017年10月16日及び同月19日にGL元役員の不正行為や利息収入の過大計上、関連する決算の訂正などについて指摘を受けたことに起因し、タイ王国及びシンガポール共和国において当社グループに対して各種の訴訟が提起されており、一部終結に至ったものの、現在も係争中となっております。

JTAが行っている主な訴訟の概要につきましては、以下のとおりです。これらの訴訟の動向次第では、当社グループの経営等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(1) JTAが行っている主要な訴訟の概要

イ) (GL)損害賠償請求訴訟

1.訴訟提起日

2018年1月9日

2.訴訟の原因及び提起されるに至った経緯

Jトラスト株式会社の子会社であるJTAは、当社持分法適用関連会社GLの転換社債(合計2億1千万米ドル)を引き受ける投資契約を締結し、当該転換社債を保有しておりましたが、JTAはGLに対し当該投資契約解除及び未転換の転換社債(1億8千万米ドル相当)の全額一括返済を要求しておりました。GLといたしましては、当該投資契約解除要件に抵触した事実は何一つなく、転換社債の期限前償還に応じなければならない条件は何ら整っていなかったことから、これらの要求にはお断りしつつも、円満解決に向け誠実に対応してまいりました。しかしながら、交渉は妥結に至ることはなく、JTAは、GL及びGLH等が、投資家に対し1億8千万米ドル以上の投資を促すために、同社グループの財務諸表を改ざんし、GLが健全な財政状況であると誤解させ、投資家等に損害を与えたということを理由として、GL及びGLHに対し損害賠償請求を求めるべく、これら一連の訴訟を提起したものです。

3.訴訟と提起した者の概要

(商号)

JTRUST ASIA PTE.LTD.

(所在地)

シンガポール共和国

(代表者の役職・氏名)

代表取締役 藤澤信義

4.訴訟の内容

JTAは、タイにおいて、GL、GL取締役3名、並びに此下益司氏に対し、JTAの投資額(最低2億1千万米ドル)の損害賠償を求め訴訟を提起しております。

5.訴訟の進展

係争中です。

 

 

ロ) (EHA)暫定的資産凍結命令訴訟

1.訴訟提起日

2020年10月21日

2.訴訟の原因及び提起されるに至った経緯

(EHA)損害賠償請求訴訟に伴い、2020年10月21日にEHAに対し、1億95百万米ドルまでの通常の業務で生じる以外の資産取引の禁止、及びシンガポール共和国外への資産の移転・処分を禁止する命令(暫定的資産凍結命令)が下されております。

3.訴訟と提起した者の概要

(商号)

JTRUST ASIA PTE.LTD.

(所在地)

シンガポール共和国

(代表者の役職・氏名)

代表取締役 藤澤信義

4.訴訟の内容

シンガポール共和国において、1億95百万米ドルまでの通常の資産取引の禁止、及びシンガポール共和国外への資産の移転・処分を禁止する命令(暫定的資産凍結命令)となります。

5.訴訟の進展

暫定的資産凍結命令が発令されており、現在も継続しております。

 

 

 

ハ) (EHA)損害賠償請求訴訟

1.訴訟提起日

2020年11月16日

2.訴訟の原因及び提起されるに至った経緯

JTAは、当社連結子会社のEngine Holdings Asia PTE.LTD.(以下「EHA」という。)他1社を被告とし、2020年11月16日にシンガポール共和国の裁判所にて訴訟手続きを開始しました。主な訴訟申立ての理由としては、JTAがGLに対して実施した投資(転換社債合計2億1千万米ドル及びGL株式の購入他5億27百万タイバーツ)について、GLHが他の被告と共謀し、JTAに投資を促すために、GLの財務諸表を改ざんし投資家等に損害を与え、その行為にEHAも参画しているという主張からEHA他1社に対し損害賠償請求を求めております。

3.訴訟と提起した者の概要

(商号)

JTRUST ASIA PTE.LTD.

(所在地)

シンガポール共和国

(代表者の役職・氏名)

代表取締役 藤澤信義

4.訴訟の内容

JTAは、シンガポール共和国において、GLH、此下益司氏、並びに当社グループ会社ではないその他5社に対し、JTAの投資額(最低2億1千万米ドル)の損害賠償を求め訴訟を提起しております。

5.訴訟の進展

係争中です。

 

 

ニ) (当社他)損害賠償請求訴訟

1.訴訟提起日

2021年6月21日

2.訴訟の原因及び提起されるに至った経緯

JTAが当社及び当社連結子会社株式会社ウェッジホールディングス並びに当社親会社筆頭株主であるA.P.F.Group Co.,Ltd.※に対して、此下益司氏及びGLの詐欺行為との共同不法行為責任に基づく損害として、24百万米ドルの支払を求める損害賠償請求訴訟を東京地方裁判所に提起しました。

3.訴訟と提起した者の概要

(商号)

JTRUST ASIA PTE.LTD.

(所在地)

シンガポール共和国

(代表者の役職・氏名)

代表取締役 藤澤信義

4.訴訟の内容

JTAが24百万米ドルの損害賠償の支払いを当社及び当社連結子会社株式会社ウェッジホールディングス並びに当社親会社筆頭株主A.P.F.Group Co.,Ltd.※に求める訴訟であります。

5.訴訟の進展

係争中です。

 

※実質的に当社の株式を保有しているか確認中です。

 

 

ホ) (GLH他)損害賠償請求訴訟

1.訴訟提起日

2021年8月3日

2.訴訟の原因及び提起されるに至った経緯

JTAがシンガポール共和国高等法院にて、GLH他此下益司氏及び他4社に対し、2020年10月の判決に含まれていなかった投資金額1億24百万米ドルに係る損害の回復を求める訴訟を提起し、同高等法院は、2021年8月4日、JTAの求めに応じて、1億30百万米ドルの資産凍結命令を発令しております。

3.訴訟と提起した者の概要

(商号)

JTRUST ASIA PTE.LTD.

(所在地)

シンガポール共和国

(代表者の役職・氏名)

代表取締役 藤澤信義

4.訴訟の内容

シンガポール共和国において、JTAは、GLH他此下益司氏及び他4社に対し、JTAが行った投資(1億24百万米ドル)に関する損害賠償を求める訴訟を提起しており、GLHに対し、1億3千万米ドルまでの通常の事業活動で生じる以外の資産取引の禁止、及びシンガポール共和国外への資産の移転・処分を禁止する命令(暫定的資産凍結命令)が下されております。

5.訴訟の進展

GLH他此下益司氏及び他4社に対し、1億24百万米ドル及びこれに対する2021年8月1日からの利息(年利5.33%)並びに訴訟費用30,000SGドルの支払いを命じました。別途、GLH及び此下益司氏に対しては、当該損害賠償請求棄却の申立てを行っていたことから、9,000SGドルの支払いが命じられております。なお、GLH及び此下益司氏に対する暫定的資産凍結命令は維持されます。当該判決を不服として、GLHは2023年4月19日に控訴を行いましたが、2023年11月22日に当該控訴の申立てが棄却され、第一審判決が維持されました。その後最終審となる控訴裁判所に対して上訴の許可を求める申立てを2023年12月6日に行っておりましたが、2024年1月11日付で当該申立てが棄却されました。この確定判決を受け、今後、当社グループの経営等にも悪影響を及ぼす可能性があります。当社及びGLとしましては、当該損害賠償請求金額相当金額が、当社持分法適用関連会社GLの連結財務諸表において負債として計上されており、財務的な影響は限定的であると考えておりますが、今後の対応、支払い等の詳細につきましては弁護士とも相談し、慎重に対応してまいります。

 

 

ヘ) (GLH)会社清算申立

1.訴訟提起日

2023年4月12日

2.訴訟の原因及び提起されるに至った経緯

JTAは、上記のホ)(GLH他)損害賠償請求訴訟での1億24百万米ドル及びこれに対する2021年8月1日からの利息(年利5.33%)並びに訴訟費用30,000SGドルの支払判決を受け、シンガポール共和国高等裁判所にて、2023年4月12日に、GLHに対する会社清算の申立てを行いました。

3.訴訟と提起した者の概要

(商号)

JTRUST ASIA PTE.LTD.

(所在地)

シンガポール共和国

(代表者の役職・氏名)

代表取締役 藤澤信義

4.訴訟の内容

JTAは、上記のホ)(GLH他)損害賠償請求訴訟での1億24百万米ドル及びこれに対する2021年8月1日からの利息(年利5.33%)並びに訴訟費用30,000SGドルの支払判決を受け、シンガポール共和国高等裁判所にて、2023年4月12日に、GLHに対する会社清算の申立てを行いました。

5.訴訟の進展

2023年9月6日、シンガポール共和国高等裁判所が暫定的な資産保全人Provisional Liquidatorの選任を決定いたしました。また、2024年3月4日には、同裁判所がGLHの清算を命じたことを受け、Liquidatorにより、GLHの清算手続きが進められております。これに対して、GLは、GLHの債権者として、同手続きに異議を申し立てると共に、GLHの被担保債権者として、その担保権を実現するための措置を進めてまいります。

 

 

 

ト) (GL)会社更生手続申立訴訟

1.訴訟提起日

2023年6月30日

2.訴訟の原因及び提起されるに至った経緯

JTAは2023年6月30日にタイ中央破産裁判所に対してGLの会社更生手続きを申立て、係争となっております。

3.訴訟と提起した者の概要

(商号)

JTRUST ASIA PTE.LTD.

(所在地)

シンガポール共和国

(代表者の役職・氏名)

代表取締役 藤澤信義

4.訴訟の内容

JTAは2023年6月30日にタイ中央破産裁判所に対してGLの会社更生手続きを申立て、係争となっております。

5.訴訟の進展

2024年3月27日、タイ中央破産裁判所は、JTAによる会社更生の申立てを棄却しました。JTAによる会社更生法の訴えは3度に渡るもので、JTAが根拠のない訴訟を繰り返していることがさらに明らかになったと考えております。今後GLが被った損害に対して補償を追加して、追求していくことを当社としても積極的に支援し、当社自信が被っている様々な損害についても追求をしてまいります。

 

 

(16)継続企業の前提に関する重要事象等

当連結会計年度において上記(14)、(15)の事象が発生しておりますが、これらについて、以下の対応策を実行していることから、当該事象の解消が実現できるものと考えており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

「(14)Group Lease Holdings PTE.LTD.が保有していたタイSEC指摘GLH融資取引に関する悪影響について」に記載した事項に関しましては、当社グループといたしましては、引き続き、タイSECやタイDSIに対し、当社グループの正当性を主張しつつ、タイDSIの捜査に全面的に協力してまいります。

「(15)JTRUST ASIA PTE.LTD.等との係争について」に記載した事項に関しましては、当社グループでは、法律専門家の意見等も踏まえ、GLがJトラストアジアとの契約に違反したことや、契約上も転換社債を即時返済する義務はないものと認識しており、当該請求は法的に無効と考えております。

GL及び当社といたしましては、法律顧問と相談し検討を進めており、上記一連の訴訟についてはいずれも事実に基づかない不当なものであると考えており、GL及び当社といたしましては、当社グループの正当性を主張すべく粛々と法的対応を進めてまいる所存であり、JTAに対し必要且つ適切な法的処置を取ってまいります。

また、当社といたしましては、グループ会社の裁判に対する支援を最大限行い、当社グループの資産の保全及び、損害を回復すべく最善の手段を講じてまいります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループは当連結会計年度においては、累計で増収減益となりました。

売上高は8,868,876千円(前年同期比17.0%増)、営業利益は4,158千円(前年同期は営業損失8,204千円)、経常損失781,150千円(前年同期は経常利益59,126千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は531,547千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失338,833千円)となりました。

当社事業は、主に連結子会社の行う食品事業、ゴム事業、スポーツ事業、コンテンツ事業の4事業に加え、重要な持分法適用関連会社の行うDigital Finance事業、リゾート事業からなっております。

営業利益につきましては製造業である食品事業、ゴム事業やスポーツ事業は、電気代金、燃料費、原料高などの影響を大きく受けました。その中で、食品事業が利益貢献を伸ばしました。また、ゴム事業も新しい連結子会社の売上高や利益を取り込んで利益貢献を大幅に増加させました。コロナ禍からの市場回復が遅れているスポーツ事業ですが、新規事業が好調であり、セグメント利益化を果たしました。また、コンテンツ事業も好調に推移しておりますが、前期一時的要因で極めて高い利益水準であった反動で下振れ要因となりました。

経常損失につきましては、持分法による投資損失(741,839千円)が大きく影響いたしました。

当社といたしましては、短期的な景気判断や収益について一つ一つ適切に対処しつつも、中長期的視点で経済成長する地域に適切に投資し、当社の成長を目指しております。

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

(食品事業)

当事業の当連結会計年度における業績は、増収増益となりました。

当連結会計年度における売上高は4,438,872千円(前年同期比7.3%増)となり、セグメント利益は217,476千円(前年同期比36.4%増)となりました。

当事業は、明日香食品株式会社並びに同子会社グループが営む、和菓子等、とりわけあんこ餅(大福)、わらび餅、桜餅(道明寺)等の餅類、団子類、などの開発製造に独自性を持つ事業であります。

売上面では、主要顧客であるスーパーで、インフレによる消費者の購買行動の減退により、昨年と対比して市場環境としては厳しい状況となっております。その中で新シリーズ「大人の団子」が年間を通してヒットしたこと、SNS運用からマスメディアでの取り扱いが増加しております「元祖透明わらび餅」が好調であったこと、夏向けの「わらび大福」が好調であったことなどにより当連結会計年度における業績につきましては売上高が増加しました。

利益面に関しても増益となっておりますが、上半期と下半期では状況が大きく変わっております。上半期に関してはここ数年来の生産効率の改善が大きく貢献し、セグメント利益は前年同期比86.5%増の大幅な増益となっておりましたが、下半期に関しては世界的に砂糖、米などの主要原材料市場の高騰、仕入先の為替予約等が期限切れなどで円安の影響が大きく、原料価格が急激に高騰して利益を圧迫いたしました。日本の食品業界においても値上げが話題となっておりますが、日配和菓子は市場規模に比して競争が激しく、また毎日食べていただくための「お得感」を重視する自社ミッションを果たすためにも、その製造コスト上昇を販売価格に完全に転嫁をせず、ミッションの遂行を優先しております。このようなことから下半期において利益の伸びが抑えられ、最終的には通期で36.4%の増益となりました。

最近では、当社グループの株式会社ウェッジホールディングスと協力して進めておりますSNSを活用した当社商品のブランディングに注力してまいりましたことも影響し、戦略商品の拡販が進んでおります。『「わらび餅」の明日香野』、『こし自慢明日香野』『桜餅(道明寺)の明日香野』が定着しつつあり、今後のさらなる拡販につながるものと期待をしております。SNSから波及して今年もマスメディアでも継続的に取り上げられております。これらにより、中期経営計画「深耕と進化」の基本方針である「もちのプロ 開発力・製造力強化、ブランディングを確立する」を果たし、業績の拡大を図ってまいります。

(スポーツ事業)

当事業の当連結会計年度における業績は、増収増益となりました。

当連結会計年度における売上高は1,170,944千円(前年同期比9.2%増)となり、セグメント利益は28,390千円(前年同期比152.9%増)となりました。

当該事業は依然新型コロナウイルス感染症規制緩和後の回復が遅れており、第3四半期から引き続き当第4四半期連結累計期間への影響も大きくなっております。

当事業は、創業事業でありますアカエムソフトテニスボールを中心とした、ソフトテニス関連事業とテニスクラブ再生事業を柱としております。一方、昨年より開始した旅行事業(ランニングに関わるスポーツツーリズム事業)を、当社グループの株式会社ウェッジホールディングスと協力して進めておりますが、当事業が順調に拡大して売上高、利益ともに貢献しており成長しております。

ソフトテニスにおきましては、中高生の部活動がコロナ禍以前の活気を取り戻すことができておらずソフトテニスボールの市場全体が低調となっており、当社のソフトテニスボールの販売も低調に推移しました。11月後半から開始したユーザーキャンペーンによって売上は増加しましたが、前半のマイナスを取り戻すには至りませんでした。

テニスクラブ再生事業では、コロナ禍以来、また昨今の物価高騰を受け、新規獲得による会員数の増加は鈍い状態となっております。しかし退会者が極めて低い率で推移していることで会員数は横ばいを確保しております。今後は、ソフトテニスレッスン、ランニングスクールを増やすことで会員数の増加に積極的に取り組んでいきます。

一方、新規事業として昨年から開始した旅行事業は順調に拡大し当第4四半期においても売上高や利益を押し上げる要因となっております。

今後とも、中期経営計画に掲げましたように、マルチスポーツ化を拡大する一方、市場を自ら活発にする活動に注力し、ソフトテニスボールの販売強化、テニススクールでの新規ユーザーの獲得を進めるとともに、新規事業である旅行事業を拡大して業績の成長を図ってまいります。

(ゴム事業)

当事業の当連結会計年度における業績は、増収増益となりました。

当連結会計年度における売上高は2,497,543千円(前年同期比51.6%増)となり、セグメント利益は163,739千円(前年同期比533.0%増)となりました。

当事業は、当社グループの創業以来の事業で、ゴムの配合・加工技術に独自性をもつ事業です。40年に及ぶ長年の不振を払拭し、過去10年以上かけて戦略的に事業を選択集中させるとともに海外事業を含めて新規事業に取り組み、営業拡大を図り、同時に生産性の改善、コストの適正化を図ってまいりました。その結果、現在、東日本では事業上唯一のリーディングカンパニーとして事業を展開しております。

当事業の当連結会計年度における業績につきましては、売上げが好調に推移し、前期との比較では政府の補助金施策もあり光熱費が減少して利益を増加させた一方、特に主原料であるゴムなどの輸入原料の高騰が利益を圧迫しております。このような条件はあるものの、当社の製品の値上げも取引先に受け入れていただけており、ここ数年来の好調を維持しております。また、前連結会計年度末に取り込んだ、連結子会社の損益が取り込まれたことにより、売上高、セグメント利益ともに大幅に増加する結果となっております。

ゴムライニング防食施工は東日本における大手施工会社としての地位が確立され、ゴム事業の中で収益性と競争力の高い事業です。ゴム事業内におけるゴムライニング防食施工への選択と集中を進めることで売上高と利益を増加させられると考えております。プレス関連商材につきましても、値上げ等が順調に進んでおり、輸入原材料の価格高騰により苦戦しておりますが、今後更に利益率が改善すると考えております。

当該事業は国内民間設備投資に強く連動する事業であり、特に円安の追い風を受けた製造業の各顧客の設備投資が活況となっており、受注は順調な予測となっております。当事業は景気悪化に対して半年程度遅行して影響が出る業種であり、今後も注意してまいります。

(コンテンツ事業)

当事業の当連結会計年度における業績は、増収減益となりました。

当連結会計年度における売上高は738,114千円(前年同期比3.6%増)となり、セグメント利益は228,121千円(前年同期比15.0%減)となりました。これは、前期一時的要因で極めて高い利益水準であった反動で下振れしたものです。

当事業は、主にゲームの企画開発や漫画やアニメ、ゲーム等のエンターテインメント関連の書籍及び電子書籍の企画編集、様々なコンテンツを商品・イベント化する企画開発など、コンテンツ商品の企画開発分野で独自性を持って展開しております。

現在、当社の祖業でありますコンテンツ事業においては長年の不振を払拭し、過去10年以上かけて戦略的に事業を選択集中させるとともに海外事業を含めて新規事業に取り組み、営業拡大を図り、同時に生産性の改善、コストの適正化を図ってまいりました成果が実を結んでいる結果、長期的に利益改善が進んでおります。

当事業の当連結会計年度における業績につきましては、ゲーム企画開発、書籍編集、その他コンテンツ関連企画開発等の受注が堅調に推移し、ロイヤリティ収入が過去最高となったことで、利益貢献を果たしております。それと同時に、今後のさらなる成長に向け、人的資源を新規事業並びに海外展開に適切に投資的経費を投下し続けており、長期的にはこれらも利益化して利益貢献するものと考えております。

今後は、中期経営計画でお知らせいたしておりますように、国内の新規事業展開と海外展開を積極的に進めることで、本格的な事業拡大につなげる方針を継続してまいります。

(Digital Finance事業)

当事業は連結セグメントではなく、持分法適用関連会社の事業になっておりますが、当社グループの重要な資産を保有しているため解説をしております。

当事業の当連結会計年度における業績は、増収減益となりました。

当連結会計年度における売上高は4,151,024千円(前年同期比4.7%増)、投資損失は906,511千円(前年同期は投資損失10,361千円)となりました。(注)連結損益として取り込んだ持分法投資損失。

これは当連結会計年度の持分法適用関連会社からの取込損益を精査する過程において、主にGroup Lease PCL.の子会社の業績に加えて、当該事業の進出地域での経営環境を勘案し、貸倒引当金を見直したこと、為替差損が発生したことなどで持分法による投資損失を計上することによるものです。

当連結会計年度におきましては、各国において、政治経済の状況を踏まえ、事業継続を行なっております。過去5年間、コロナ禍並びに同事業を行うGroup Lease PCL.やその子会社がJ Trustグループとの係争が継続している状況を踏まえて大型の裁判を行っていること、などから全営業国において保守的なリスクマネジメントのために新規貸付を抑制し、回収に注力してきました。この結果、営業貸付金が減少し、現金預金が増加して、売上高・セグメント利益ともに減少してきていました。今後は、上記国別商品別の状況に応じて、新たな再成長を目指しております。

(リゾート事業)

当事業は連結セグメントではなく、持分法適用関連会社の事業になっておりますが、当社グループの重要な資産を保有しているため解説をしております。

当事業の当連結会計年度における業績は、増収増益となりました。

当連結会計年度における売上高は809,063千円(前年同期比80.1%増)、投資利益は162,141千円(前年同期比210.1%増)となりました。(注)連結損益として取り込んだ持分法投資利益。

当事業はタイ王国ピピ島においてリゾートホテルであるZeavola Resortを運営しております。欧米の富裕層を中心にした顧客層から支持を受ける環境に配慮した循環型のサステイナブルリゾートとして多くの表彰を受賞するファイブスターリゾートとして、高単価の宿泊・サービス収入を得ております。

当事業については3ヶ月遅れでの連結財務諸表への反映がなされており、当連結会計年度へは2023年1月から2023年12月までの12ヶ月間の業績が反映されております。

新型コロナウイルスの影響により外国人の入国は厳しく制限されていたため、同ホテルは2020年4月から11月まではほぼ営業がなされておりませんでした。その一方で、従業員への給与支払、設備維持費、減価償却費などが重く、損失を計上しておりました。一方でタイ政府の入国規制緩和により、2021年12月に営業を開始しました。当四半期は宿泊客が増加しており、例年以上の稼働率が継続しております。これにより当連結会計年度においては前年同期を上回る売上高増収となりました。

特に同リゾートはこれまでも世界的なホテル賞を受賞してきておりますが、2023年においてもWORLD LUXURY HOTEL AWARDSでLuxury Boutique Resort 2023(アジア地域)及びLuxury Sustainable Resort 2023(全世界)を受賞いたしました。これらにより前年同期よりも売上高・利益ともに増加しております。今後は閑散期において5つ星ステータス保持のための設備投資等を行う予定であり、これによって宿泊単価の情報も見込んでおります。

 

 

当連結会計年度末における資産残高は、6,833,643千円(前連結会計年度末比76,783千円増)となり、流動資産は、3,548,901千円(前連結会計年度末比630,498千円増)、固定資産は、3,284,741千円(前連結会計年度末比553,714千円減)となりました。

流動資産増加の主な原因は、売掛債権等の回収が進んだこと並びに当社連結子会社の株式会社ウェッジホールディングスにおける第三者割当増資等による現金及び預金の増加(前連結会計年度末比541,406千円増)、主に食品事業及びコンテンツ事業における受取手形及び売掛金の増加(前連結会計年度末比96,551千円増)、未収入金の増加(前連結会計年度末比27,359千円増)、貸付並びに為替の影響等による短期貸付金の増加(前連結会計年度末比75,046千円増)といった増加要因、主にゴム事業における商品及び製品の減少(前連結会計年度末比33,140千円減)、売掛債権の増加並びに為替の影響等による貸倒懸念債権の増加による貸倒引当金の増加(前連結会計年度末比67,723千円増)といった減少要因によるものです。

固定資産減少の主な原因は、取得による有形固定資産の増加(前連結会計年度末比77,369千円増)、長期未収入金の増加(前連結会計年度末比14,718千円増)といった増加要因、償却によるのれんの減少(前連結会計年度末比35,884千円減)、主に持分法適用関連会社の評価減等による投資有価証券の減少(前連結会計年度末比616,377千円減)、といった減少要因によるものです。

当連結会計年度末における負債残高は、3,922,925千円(前連結会計年度末比81,016千円増)となり、流動負債は、2,489,471千円(前連結会計年度末比93,587千円減)、固定負債は、1,433,454千円(前連結会計年度末比174,604千円増)となりました。

流動負債減少の主な原因は、主に食品事業、スポーツ事業及びゴム事業において仕入増、材料価格の高騰による影響等による支払手形及び買掛金の増加(前連結会計年度末比97,074千円増)、借入等による1年内返済予定長期借入金の増加(前連結会計年度末比16,899千円増)といった増加要因、返済等による短期借入金の減少(前連結会計年度末比45,398千円減)、支払による未払費用の減少(前連結会計年度末比125,806千円減)といった減少要因によるのです。

固定負債増加の主な原因は、借入等による長期借入金の増加(前連結会計年度末比107,717千円増)の増加要因、支払等による退職給付に係る負債の減少(前連結会計年度末比19,412千円減)の減少要因によるものです。

当連結会計年度末における純資産残高は、2,910,717千円(前連結会計年度末比4,233千円減)となりました。

純資産減少の主な原因は、当社連結子会社の株式会社ウェッジホールディングスにおける第三者割当増資等による当社持分の減少に伴う資本剰余金の増加(前連結会計年度末比95,115千円増)、為替換算調整勘定の増加(前連結会計年度末比46,347千円増)、非支配株主持分の増加(前連結会計年度末比356,351千円増)といった増加要因がございましたが、親会社株主に帰属する当期純損失計上による利益剰余金の減少(前連結会計年度末比531,547千円減)の減少要因によるものです。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ536,567千円増加し、1,028,125千円(前年同期比536,567千円増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、75,079千円(前年同期は9,284千円の増加)となりました。これは、主として仕入増、材料価格の高騰等による仕入債務の増加118,256千円(前年同期は58,690千円の減少)、株式の発行による株式交付費34,328千円(前年同期は―千円)、非資金勘定として計上された減価償却費42,907千円(前年同期は36,582千円)、のれん償却費35,884千円(前年同期は35,884千円)、貸倒引当金の増加54,180千円(前年同期は605千円)、持分法による投資損失741,839千円(前年同期は持分法による投資利益42,739千円)、貸倒引当金繰入額21,654千円(前年同期は12,681千円)といった増加要因、退職給付に係る負債の減少19,412千円(前年同期は12,905千円)、為替差益36,055千円(前年同期は78,095千円)、売上が好調に推移したことによる売上債権の増加93,720千円(前年同期は100,246千円の減少)、法人税等の支払49,950千円(前年同期は51,910千円)といった減少要因によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、180,800千円(前年同期は30,653千円の増加)となりました。これは、主として有形固定資産の取得による資金の減少124,911千円(前年同期は34,517千円)、貸付による資金の減少46,506千円(前年同期は貸付金の回収による73,671千円の増加)といった減少要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、784,597千円(前年同期は111,240千円の減少)となりました。これは、主として当社連結子会社の株式会社ウェッジホールディングスにおける第三者割当増資による株式の発行による資金の増加69,300千円(前年同期は―千円)並びに新株予約権の行使による株式の発行による資金の増加639,800千円(前年同期は―千円)、長期借入金の借入による資金の増加156,000千円(前年同期は―千円)といった増加要因、短期借入の返済による資金の減少46,993千円(前年同期は78,017千円)、長期借入金の返済による資金の減少27,342千円(前年同期は27,059千円)といった減少要因によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

食品事業

4,673,218

 

+7.1

スポーツ事業

529,361

 

+9.4

ゴム事業

2,209,844

 

+42.1

コンテンツ事業

455,088

 

+7.1

その他

 

合計

7,867,512

 

+16.0

 

(注) 1 金額には仕入実績を含んでおります。

2 当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、ゴム事業における生産実績の増加につきましては、前連結会計年度末日において常盤ゴム株式会社を連結の範囲に含めたことによるものであります。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

食品事業

スポーツ事業

ゴム事業

2,423,499

+40.4

91,765

△44.7

コンテンツ事業

668,062

+9.1

42,631

+7.4

その他

合計

3,091,561

+32.2

134,396

△34.6

 

(注) 1 食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先から日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残は無いため記載を省略しております。

2 スポーツ事業については、見込み生産を行っているため記載を省略しております。

3 当連結会計年度において、受注高及び受注残高に著しい変動がありました。これは、ゴム事業における受注高の増加にきましては、前連結会計年度末日において常盤ゴム株式会社を連結の範囲に含めたことによるものであります。また、ゴム事業における受注残高の減少につきましては、主にゴムライニング関連及び工業用品型物関連の減少によるものであります。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

食品事業

4,438,872

+7.3

スポーツ事業

1,170,944

+9.2

ゴム事業

2,497,543

+51.6

コンテンツ事業

738,114

+3.6

その他

23,401

+90.0

合計

8,868,876

+17.0

 

(注) 1 当連結会計年度において、販売高に著しい変動がありました。これは、ゴム事業におきましては、前連結会計年度末日から常盤ゴム株式会社を連結の範囲に含めたことによるものであります。その他におきましては、前連結会計年度の第2四半期連結会計期間末日にBrain Navi(Thailand)Co.,Ltd.を連結の範囲に含めたことによるものであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択、決算日における資産・負債の報告数値、偶発債務の開示、各連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

なお、営業貸付金に係る予想信用損失の評価については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症の今後の影響や収束時期等を含む仮定に関する情報は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は8,868,876千円(前年同期比17.0%増)となりました。主な増加要因は、前連結会計年度末日からゴム事業を営む常盤ゴム株式会社を連結の範囲に含めたことによるものであります。また、食品事業においては、新シリーズ「大人の団子」が年間を通して好調であったこと、SNS運用からマスメディアでの取り扱いが増加しております「元祖透明わらび餅」、夏向けの「わらび大福」が好調であったことなどにより増加しました。スポーツ事業においては、コロナ禍からの市場回復が遅れているものの新規事業として昨年から開始した旅行事業が順調に拡大し増加しました。ゴム事業においては、ゴムライニング関連が好調に推移し、また主に工業用品型物関連商材につきまして値上げ等が順調に進んだことにより増加しました。コンテンツ事業においては、ゲーム企画開発、書籍編集、その他コンテンツ関連企画開発等の受注が堅調に推移し、ロイヤリティ収入が過去最高となったことにより増加しました。これらの結果、増収となりました。セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における売上原価は6,466,775千円(前年同期比16.4%増)となり、売上高に対する割合は72.9%(前年同期は73.3%)となりました。主な増加要因は、前連結会計年度末日からゴム事業を営む常盤ゴム株式会社を連結の範囲に含めたことによるものであります。また、特に製造業である食品事業、ゴム事業、スポーツ事業において、ウクライナ危機、円安の進行や企業間取引物価上昇により、電気代金高、燃料費高、原材料高などの影響を大きく受けております。販売費及び一般管理費につきましては2,397,943千円(前年同期比17.8%増)となりました。主な増加要因は、前連結会計年度末日からゴム事業を営む常盤ゴム株式会社を連結の範囲に含めたことによるものであります。また、各事業において経費構造の見直しにも着手しておりますが、電気代金高、企業間取引物価上昇などによる増加要因がございました。

(営業外収益及び営業外費用)

当連結会計年度における営業外収益は102,090千円(前年同期比48.3%減)となりました。減少の主な要因は、受取利息21,775千円(前年同期比16.1%増)、受取配当金2,689千円(前年同期比47.6%増)の増加要因がございましたが、為替差益42,509千円(前年同期比46.7%減)、当連結会計年度においては持分法による投資損失の計上であったため、持分法による投資利益(前年同期は42,739千円)の計上がなかったことなどの減少要因によるものであります。営業外費用は887,399千円(前年同期比582.6%増)となりました。増加の主な要因は、支払利息11,615千円(前年同期比60.8%減)、訴訟関連費用69,029千円(前年同期比5.4%減)の減少要因がございましたが、連結子会社による新株発行に伴う株式交付費34,328千円(前年同期は―千円)、持分法による投資損失741,839千円(前年同期は持分法による投資利益42,739千円)の増加要因によるものであります。

(特別利益及び特別損失)

当連結会計年度における特別利益につきましては、計上はございませんでした(前年同期も計上はございません)。特別損失は23,585千円(前年同期比92.0%減)となりました。減少の主な要因は、連結子会社による債権等に係る引当金計上による貸倒引当金繰入額21,654千円(前年同期比70.8%増)の増加要因がございましたが、スポーツ事業及び共用資産において収益性の低下による固定資産の減損損失1,506千円(前年同期比99.5%減)の減少要因であります。

上記の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高8,868,876千円(前年同期比17.0%増)、営業利益4,158千円(前年同期は営業損失8,204千円)、経常損失781,150千円(前年同期は経常利益59,126千円)、親会社株主に帰属する当期純損失531,547千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失338,833千円)となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当連結会計年度に計上した親会社株主に帰属する当期純損失は、保守的な観点で資産評価を厳格に見直し、現金収支を伴わない損失計上を行ったことが主な原因であり、今後の事業の収益力に影響ないものと判断しております。

b.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資のための資金のほか、M&Aによる事業拡大を行うことを決定した場合等に発生するものでありますが、現時点ではM&A等の投資活動につきましては、より慎重に検討し抑制的に進めております。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金は自己資金及び金融機関からの借入や社債等により調達し、投資活動資金につきましては、より長期的な資金活用となることを想定し、社債並びに転換社債等により調達することを基本としております。また、当社グループの事業運営・成長に伴う安定的な資金の流動性並びに投資資金の獲得のため、適切な規模でのエクイティ・ファイナンスにつきましても適宜検討を進めてまいります。

なお、当連結会計年度において総額120,923千円の設備投資を行っておりますが、その資金の調達源は主に自己資金及び金融機関からの借入金によっております。

 

 

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

業務提携基本契約

相手方の名称

契約締結日

契約内容

契約期間

東洋ゴム工業㈱

2007年6月15日

 東洋ゴム工業㈱と工業用型物製品の生産提携契約を締結して、継続的な受託生産を開始します。

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における研究開発活動は、ライニング用ゴムの改良、工業用関連の環境・安全に配慮したゴム製品のゴム開発を進めてまいりました。当連結会計年度における研究開発費の総額は26,109千円であります。

以下、事業のセグメントごとの活動内容は次のとおりです。

(ゴム事業)

当事業におきましては、ゴムライニングの現地施工用ゴムの改良、工業用ゴム製品のゴム配合の改良に注力してまいりました。当事業に係わる研究開発費は19,338千円であります。

(スポーツ事業)

当事業におきましては、ソフトテニスボールの改良等を進めてまいりました。当事業に係わる研究開発費は4,424千円であります。

(食品事業)

当事業におきましては、付加価値を高めた健康志向の製品の開発、他社との提携製品の開発、季節製品の開発、既存製品のマイナーチェンジに注力してまいりました。当事業に係る研究開発費は2,346千円であります。

以上、今後も各事業周辺分野の新製品開発に鋭意努力してまいります。