文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
今後の世界経済は、アメリカによる関税措置の影響やロシア、ウクライナ紛争も続いており、インフレに大きな影響を与え得る可能性があり、先行き不透明な状況で推移すると予測しております。我が国経済のみならず世界経済への長期的な影響が懸念されております。この影響に関しては、当社グループが事業を行っております各国政府の方針、事業別の環境等により異なります。そのため、それぞれのセグメントの記載の中に記載しておりますので、ご参照ください。
このような状況の下、各事業については以下のように見通しと取り組みを進めてまいります。
食品事業におきましては、当社連結子会社である明日香食品㈱グループが営んでおります。数年間継続している食料品等の価格上昇と高止まり、特に米、野菜などの高騰から、同事業が扱う嗜好品への消費者の支出が減少する傾向が見られます。またマクロ経済から見ても、民間消費支出は低調であり、消費者の購買意欲が減退していることが当事業の環境を悪化させております。
一方で、当社グループの株式会社ウェッジホールディングスと協力して進めておりますSNSを活用した当社商品のブランディングに注力してまいりましたことも影響し、戦略商品の拡販が進んでおります。『「わらび餅」の明日香野』、『こし自慢明日香野』『桜餅(道明寺)の明日香野』が定着しつつあり、今後のさらなる拡販につながるものと期待をしております。SNSから波及して今年もマスメディアでも継続的に取り上げられております。これらにより、中期経営計画「深耕と進化」の基本方針である「もちのプロ 開発力・製造力強化、ブランディングを確立する」を果たし、業績の拡大を図ってまいります。
また、商品の「お得感」や「味」については妥協しない一方、数年間継続している原料・資材の価格高騰に対応し利益を確保するためには、徹底的なコスト削減、商品企画の見直し、生産効率の良い商品への集中、人材育成による能力の向上、SNSを活用したブランディング、などのこれまで積み上げてまいりました施策が有効であり、成果が出ております。しかしながらミッション遂行とさらなる業績向上を目指し、上記の方策だけではなく、新たなKPIを設定しこれに取り組んでまいります。加えて、同事業においては、今後「リクルート力こそが事業の競争力の源泉である」と考えており、外国人やスポーツ人材の採用など新しいカタチの採用活動を進めております。さらに働きやすい職場づくりにも力を入れており有給取得率や残業時間の改善を積極的に進めてきました。今後も柔軟に新たな働き方の導入などに取り組み、採用活動の強みとし優秀な人材を確保してまいります。同時に既存の従業員が安心して働き続けられる環境をつくり従業員一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えることで、組織全体の力を高め、さらなる事業成長につなげてまいります。
スポーツ事業におきましては、昨今の物価高騰の影響を大きく受けており、特に中高生の部活動がコロナ禍以前の活気を取り戻すことができておりません。しかし中期経営計画に掲げましたように、マルチスポーツ化の拡大、ソーシャルメディアの活用、アスリート採用の強化などの取り組みをグループ企業と一体になり進めてまいります。
ソフトテニス事業は、当社の前身が135年前に日本で初めて作りました軟式庭球のボール「アカエム」がルーツになっており、今後とも自らが業界の活性化に積極的に関わることで主力製品であるソフトテニスボール、ウェアの販売につなげて行きます。本年においてはソフトテニスユーザーを支援するためソフトテニスボールの大幅な値下げを行っており、足元の出荷数が大幅に増加しております。また全社が一体となって、販売施策を積極的に打ち出し収益性の向上につなげてまいります。さらに、SNSを活用した情報発信も積極的に行い、業界の中での発信力を高めることで業界全体の活性化にも寄与できるように活動してまいります。加えてソフトテニス世界選手権大会応援ツアーを旅行事業から得たノウハウで実施するなど他社では打ち出せない施策を実施することで多くのファンを獲得してまいります。
テニスクラブ再生事業では、資源の再分配を計画しており、より集中して人的資源等を投入することで利益増を目指してまいります。加えてソフトテニスクラスの増加、ランニングスクール事業など既存の営業活動ともリンクさせ事業全体の最適化を測ってまいります。また所属コーチが日本リーグやビジネスパル、各トーナメントで選手として活躍しており、レベルの高い選手が質の高いコーチングを提供することで顧客満足は増加していると考えており、会員の増加につなげてまいります。
新規事業として一昨年から開始した旅行事業は順調に拡大しており、コスト構造の見直しと為替レート変動を考慮した価格設定を行うことで収益性をアップするとともに、大規模ツアーの集客・広告宣伝に資源投下・注力することで売上・利益両面での改善を図ってまいります。
昨今の物価高騰など社会情勢の影響は依然大きく残っておりますが、競技活動への支援や情報発信などを積極的に行い顧客との接点を増やしたことで市場の信頼は得ており、今後ソフトテニスボールを中心に売上を増加してまいります。テニスクラブでの会員数の増加、旅行事業の拡大施策も定まっており、今後売上は回復に向かうと考えております。
ゴム事業におきましては、競合耐食材メーカーの撤退により売上げ増が見込まれるなか国内での生産強化を図るとともに、海外事業会社との連携を高めることで、各国地域における長期的かつ緊密な相互互恵関係を築きつつあり、これらのアジア事業が今後同事業の中期的な発展を支えていくものと期待しております。
今後このかつての競合売上の取込み、並びにゴム事業の選択と集中を進めることで大幅に売上高と利益を増加させることができると考えており、これについても今後の推移に注意しつつ積極的かつ計画的に事業構造をさらに改革してまいります。
過去の4回にわたる中期経営計画アクセルプランにおいて継続的にライニング事業における「残存者利益」の確保を目指してまいりましたが、これが成果となって現れております。その中で既に進めておりました、ゴム事業の集中と選択を進めることや、製造体制の見直しを加速し進めております。これにより売上高と利益を増加させることができると考えており、これについても今後の推移に注意しつつ積極的に事業展開をしてまいります。
その一方では、アメリカによる関税措置で円高傾向となり、製造業の設備投資の鈍化が懸念され、先行きが不透明な状況となっております。また、コスト高や人手不足などにより、投資の延期や見送りも懸念されます。
コンテンツ事業におきましては、日本国内において売上高が増加を続けております。一方数年来の構造改革の結果、支出適正化がなされており利益増加に貢献しており、今後これらのコンテンツにも期待をしております。海外展開に関しましては、ベトナム並びにインドネシアが明確に売上高を増加させる段階に至っており、また海外からの印税なども増加傾向にあり、今後の利益増加への貢献を期待しております。
現在の好調には中期経営計画アクセルプランに基づき、獲得してきたコンテンツが貢献するとともに、数年来の取り組みによる固定費の削減が進んでおりますことが寄与しております。現在においては上記実績による受注が好調であり、また、筋肉質な体質にもなっておりますので、利益も確保できると考えております。
また、この間には中長期的な戦略的投資としてベトナム・インドネシア・タイなどでのコンテンツ事業をグループ会社の協力のもと行ってまいりました。これに加え、中期経営計画に基づいた新規事業も開始しており、数年単位でこれを育成して、将来の収益増加につなげてまいります。
当事業は持分法適用関連会社の行う事業であり、セグメントではありませんが、連結財務諸表へは持分法による投資損益として当社の業績へ大きく影響を与えることから記載しております。
Digital Finance事業におきましては、これまで約10年にわたり、創業国であるタイ以外の国での展開を進めてまいりました。すでにカンボジア、ラオス、ミャンマー、スリランカでのファイナンス事業を展開しております。非都市部に集中し、高い競争力を持った、他にない事業を形成しております。
同事業は特定の相手先との国際的な裁判費用やその影響による業績不振に加えて、コロナ禍、ミャンマーにおける内戦、などにより実質的に営業停止状態の期間も長く、厳しい6年間を経験しました。これらのことを考慮し前期には損失の引当処理を実行済みであり、今後は環境が改善すると考えられるとともに、財務体質も筋肉質になり、より利益貢献がしやすい状態になったと考えております。
過去6年間、コロナ禍並びに同事業を行うGroup Lease PCL.が大型の裁判を行っていたこと、などから全営業国において保守的なリスクマネジメントのために新規貸付を抑制し、回収に注力してきました。この結果、営業貸付金が減少し、現金預金が増加して、売上高・セグメント利益ともに減少してきていました。2024年以降においては、上記国別商品別の状況に応じて、新たな再成長を開始する一方、各国とも世界的な物価高による悪影響も受けており、慎重に情勢を見極めつつ、事業成長を目指してまいります。
当社の連結子会社である株式会社ウェッジホールディングスは、リゾート事業を営んでいる持分法適用関連会社の株式を譲渡することとなり、2026年3月期の期首(2025年4月1日)から持分法適用関連会社より除外する予定であります。
当社は、中期経営計画 2024~2028「再成長」を実現するにあたり、当社グループの主要事業それぞれに事業戦略(ビジョン)を設定しております。当該事業戦略(ビジョン)につきましては、単なる利益追求を目的で設定されたものではなく、当社の持続的な成長を行うため、当社グループが事業を通じて直面している社会的課題(主に環境への負荷や、人々の心身の健康の増進等)を解決していくことがその基本となっております。
国際情勢や社会環境の大きな変化により、当社グループを取り巻く経営環境もますます険しくなっております。当社グループといたしましては、このような急速な経営環境の変化に即応し、持続的な成長を実現する為、過半数が社外取締役から構成される多様性を持った取締役会と、当社執行役員(当社代表取締役2名も含まれます。)と主要事業セグメントの事業責任者からなる執行役員会を構成し、これらの会議体で事業の推進と課題の解決を行っております。
長期的な社会・環境の変化に伴うサステナビリティに関する取り組みについても、課題を考慮した経営を行うため、当社執行役員会の中で、当社執行役員及び各事業セグメントの事業責任者からの活動報告を通じて、課題の抽出や解決といった対応につなげております。また、重要な課題については、取締役会に上程し対応策を講じていくこととしております。
当社は、持続的な成長と企業価値の向上を実現させるために、多様な視点や価値観を尊重することが重要と考え、経験・技能・キャリアが異なる人材を積極的に採用しつつ、これらの人材がその能力を発揮できる社内環境の整備に努め、新卒・中途採用の区別なくスキル・経験等を総合的に判断し、職員及び管理職への登用を行っております。
また、当社グループの多様性確保の観点から、女性・外国人(海外事情の明るい人材を含む)・中途採用者の管理職登用を積極的に進めております。女性の管理職への登用につきましては、性別に関係なく管理職としての能力で諮られるべきであることから女性管理職の具体的な目標数は定めておりませんが、既に海外子会社の社長や国内主要事業の営業部長職への登用等、その能力やキャリアを十分発揮できる登用を推進しており、今後も各事業に見合った人材をジェンダーレスに中核人材として登用していく方針です。また、当社グループは、持分法適用関連会社を含めますと役・職員の過半以上が外国人により構成されており、既に同様の比率で外国人及び、海外のビジネス環境を熟知した日本人の中核人材の管理職登用は進んでおります。当社グループは、既に役・職員の過半以上が外国人であることから、外国人の採用や管理職の登用に具体的な目標は定めておりませんが、今後の当社の事業方針でも、東南アジアを中心とした各事業の海外展開は重要な事業戦略となっておりますので、現状を維持し人材の多様性確保は引き続き積極的に進めて参ります。また、中途採用者につきましても当社グループでは通年採用制度を採っており、大部分が中途採用の従業員で締められ今後もこの方針を継続しする方針の為、中途採用者の人数等の個別の目標は定めておりません。
当社グループは、比較的規模大きくなく多様な事業セグメントから構成されるため、サステナビリティに係るリスク機会について各事業セグメントの事業責任者が認識し当社執行役員会で報告する体制を構築することでグループのリスク管理を行っております。
当社グループの経営成績、株価及び財務内容等に影響を及ぼす可能性がある事項には、次のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
当社グループの製品の主要原材料は、合成ゴム、天然ゴム、配合薬品等であり商品市況の高騰や急激な円安により購入価格の上昇や量的調達に支障が生じた場合は、製造コスト、生産量、そして業績および財務状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業について、市場情勢や販売先の経営方針が変動した場合は、受注高が減少して業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
① ゴム事業は、製品市場の設備投資の動向、材質の変更、輸入品との競合による市場縮小の影響並びに販売先の購買方針の変更等により影響を受けます。また、一部製品が食品衛生法、薬事法の規制を受けており、生産設備の維持管理、製品のトレーサビリティ等安全性の確保に万全の体制を築いております。しかしながら、万一製品に事故が発生した場合、社会的責任を問われる可能性があります。
② ソフトテニスボール等のスポーツ事業は、競技人口の動向、消費者ニーズの変化、販売先の購買方針の変更等により影響を受けます。
③ コンテンツ事業は、コンテンツ愛好者人口の動向、消費者ニーズの変化、販売先の購買方針の変更等により影響を受けます。
④ Digital Finance事業は、タイ王国並びにカンボジア王国の景気動向、消費者ニーズの変化などにより影響を受けます。
⑤ 食品事業は、主力製品である和菓子等の主要販売先は、食品卸業及び小売業(スーパーマーケット等)であり、当社グループも大手数社に対して販売しておりますが、販売先の事業方針、営業施策等に変更があった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの全事業について、競合他社との価格競争が激化した場合には、受注高及び製品損益が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、品質管理、コスト低減等の生産管理について万全の体制を敷いておりますが、製品の不具合やクレームの発生を全くゼロにすることは不可能であり、万が一これらの事態が生じた場合は、当企業集団の社会的信用や業績等が大きな影響を受ける可能性があります。
当社グループは、「中期経営計画」を策定しておりますので、本計画に基づき業績改善に努めてまいりますが、経営計画の進捗状況によっては、業績、財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループは、安全衛生管理に対しては万全を期しておりますが、自然災害、人為的災害等に起因する操業の中断、これに伴う生産設備の復旧等により業績、財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、全事業についてそれぞれ法務、会計、税務に関する法令、規則等の規制を受けておりますので、将来において予期せぬ法令、規則の変更が生じた場合には業績、財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、タイ王国及びシンガポール共和国等東南アジアを中心に事業を展開しております。海外売上高比率が高く、利益の大半を海外関連会社に依存しております。このため、為替レートの変動による円換算後の連結財務諸表に影響を与えます。
日本国ならびに海外拠点国の政治活動の激変、テロ、社会的混乱等および法改正等が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのDigital Finance事業におきましては、タイ王国をはじめとする東南アジアにおいて、オートバイ、農機具のファイナンス等を展開しております。当該融資については、新規契約時の取引審査を厳格に行うとともに、その後の与信管理にも万全を期しております。しかしながら、リース期間は平均32ヶ月と比較的短期ながら、この間に景気変動やその他の事由により延滞・貸倒れ等不測の事態を蒙ることもあります。
延滞については事態発生時に速やかに対応し、債権保全・回収に全力を挙げております。また、貸倒れが発生した場合には原則としてリース契約の解除手続を行い、リース物件の売却を図ります。また、自社での中古車オークションの開催等回収の極大化に努めております。
貸倒引当金については、貸付先の状況及びリース資産の担保価値等を見積り、個別に回収可能性を検討するほか、貸倒実績率等を考慮して計上しておりますが、予期できない貸倒れが発生した場合には貸倒引当金の積み増しをせざるを得ないこともあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの各事業におきましては、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに一部依存しております。自然災害や事故などによって、通信ネットワークが切断された場合に営業・販売活動が困難な状況になります。また、アクセス増等一時的な過負荷によってサーバーが動作不能に陥ったり、購入者、参加者もしくはその他のシステム利用者のハードウェアまたはソフトウェアの欠陥等により、正常な売買等が行われなかったり、システムが停止する可能性があります。さらには、コンピュータウィルス、外部からの不正な手段によるコンピュータ内への侵入等の犯罪や役職員の過誤等によって、ホームページが書き換えられたり、重要なデータを消去または不正に入手されたりする可能性もあります。これらの障害が発生した場合には、当社グループの各事業に直接的損害が生じるほか、当社グループ自体の信頼を低下させる上、事業にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのDigital Finance事業におきましては、オートバイローンの申込時に、また、一部のコンテンツ事業におきましては、ECサイト利用時に、住所・氏名・電話番号・クレジット番号等のユーザー個人を特定できる情報を取得できる環境にあります。これらの情報の管理において当社グループは、プライバシー及び個人情報の保護について最大限の注意を払い、各サービスにおける個人情報のセキュリティについても留意しております。しかしながら、これらの情報の外部流出や悪用等を理由に法的紛争に巻き込まれた場合等は、当社グループの信用が低下する可能性があると同時に業績にも影響が生じる可能性があります。
当社グループでは、取引先や社員の健康・安全を第一に考え、また更なる感染拡大リスクを防ぐために、出張制限、Web会議の活用、イベント実施に関する規制強化、可能な範囲内での時差出勤、テレワーク、在宅勤務の実施を行う等の安全対策を実施しております。しかしながら、今後、事態の長期化又は感染拡大が発生した場合、景気の更なる悪化を招き、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(14)Group Lease Holdings PTE.LTD.が保有していたタイSEC指摘GLH融資取引に関する悪影響について
当社持分法適用関連会社であるGroup Lease PCL.(以下「GL」という。)の子会社であったGroup Lease Holdings PTE.LTD.(清算手続中)が保有していた貸付債権等(以下「GLH融資取引」という。)に関連して、GLは、2017年10月16日及び同月19日に、タイ証券取引委員会(以下「タイSEC」という。)からGL元役員の不正行為や利息収入の過大計上などの指摘を受けました。当該タイSEC指摘GLH融資取引については、この問題の発覚時の2018年3月期決算において、全額損失処理済ですが、タイ法務省特別捜査局(以下「タイDSI」という。)による調査が継続しております。現在も未解決事項となっており、当社グループは、タイSECの指摘の根拠を特定することはできておりません。また、後述の(追加情報)に関する注記(JTRUST ASIA PTE.LTD.等との係争について)に記載のとおり、当該タイSEC指摘GLH融資取引に関連し、JTRUST ASIA PTE.LTD.からタイ王国及びシンガポール共和国等で、各種の訴訟が提起され係争中となっております。
当社グループといたしましては、引き続き、タイSECやタイDSIに対し、当社グループの正当性を主張しつつ、タイDSIの捜査に全面的に協力してまいります。
なお、捜査の動向次第では、当社グループの経営等に影響を及ぼす可能性があります。
当社持分法適用関連会社であるGLが発行した総額1億80百万米ドルの転換社債保有者であったJTRUST ASIA PTE.LTD.(以下「JTA」という。)は、GLがタイSECから2017年10月16日及び同月19日にGL元役員の不正行為や利息収入の過大計上、関連する決算の訂正などについて指摘を受けたことに起因し、タイ王国及びシンガポール共和国において当社グループに対して各種の訴訟が提起されており、一部終結に至ったものの、現在も係争中となっております。
JTAが行っている主な訴訟の概要につきましては、以下のとおりです。これらの訴訟の動向次第では、当社グループの経営等に影響を及ぼす可能性があります。
(1) JTAが行っている主要な訴訟の概要
イ) (GL)損害賠償請求訴訟
ロ) (EHA)暫定的資産凍結命令訴訟
ハ) (EHA)損害賠償請求訴訟
ニ) (当社他)損害賠償請求訴訟
※実質的に当社の株式を保有しているか確認中です。
ホ) (GLH他)損害賠償請求訴訟
ヘ) (GLH)会社清算申立
ト) (GL)会社更生手続申立訴訟
当社持分法適用関連会社GLの子会社であったGL Finance PLC.(以下、GLF)は、2024年9月12日付でカンボジア国立銀行より、ファイナンスリーシングライセンスの取り消しと会社清算についての通知を受け、GLFでは、清算人を選定し、清算手続きに入っております。
当社の連結業績に与える影響につきましては、今後、清算手続きの中で、持分法による投資損失が発生する可能性がありますが、情報収集・検討が必要な状況であり、現時点では確定した数値を算出できる状態ではありません。
今後、その影響等が判明した場合には、適時適切に公表してまいる所存です。
当連結会計年度において上記(14)、(15)、(16)の事象が発生しておりますが、これらについて、以下の対応策を実行していることから、当該事象の解消が実現できるものと考えており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
「(14)Group Lease Holdings PTE.LTD.が保有していたタイSEC指摘GLH融資取引に関する悪影響について」に記載した事項に関しましては、当社グループといたしましては、引き続き、タイSECやタイDSIに対し、当社グループの正当性を主張しつつ、タイDSIの捜査に全面的に協力してまいります。
「(15)JTRUST ASIA PTE.LTD.等との係争について」に記載した事項に関しましては、当社グループでは、法律専門家の意見等も踏まえ、GLがJトラストアジアとの契約に違反したことや、契約上も転換社債を即時返済する義務はないものと認識しており、当該請求は法的に無効と考えております。
GL及び当社といたしましては、法律顧問と相談し検討を進めており、上記一連の訴訟についてはいずれも事実に基づかない不当なものであると考えており、GL及び当社といたしましては、当社グループの正当性を主張すべく粛々と法的対応を進めてまいる所存であり、JTAに対し必要且つ適切な法的処置を取ってまいります。
また、当社といたしましては、グループ会社の裁判に対する支援を最大限行い、当社グループの資産の保全及び、損害を回復すべく最善の手段を講じてまいります。
「(16)GL Finance PLC.のファイナンスリーシングライセンス取消と会社清算について」に記載した事項につきましては、当社の連結業績に与える影響につきまして、今後、清算手続きの中で、持分法による投資損失が発生する可能性がありますが、情報収集・検討が必要な状況であり、現時点では確定した数値を算出できる状態ではありません。
今後、その影響等が判明した場合には、適時適切に公表してまいる所存です。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当社グループは当連結会計年度においては、累計で減収増益となりました。
売上高は8,619,822千円(前年同期比2.8%減)、営業利益は25,837千円(前年同期比521.4%増)、経常損失268,419千円(前年同期は経常損失781,150千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は203,709千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失531,547千円)となりました。
当社事業は、主に連結子会社の行う食品事業、ゴム事業、スポーツ事業、コンテンツ事業の4事業に加え、重要な持分法適用関連会社の行うDigital Finance事業、リゾート事業からなっております。
営業利益につきましては製造業である食品事業、ゴム事業やスポーツ事業は、電気代金、燃料費、原料高などの影響を大きく受けました。その中で、コンテンツ事業ならびに食品事業が利益貢献を大幅に伸ばしました。スポーツ事業では、コロナ禍以降の市場回復の遅れ、長期的な少子化の影響を受けており低調に推移いたしました。経常損失については、持分法適用関連会社が営むDigital Finance事業とリゾート事業の損益を取り込んだ結果、持分法による投資損失が減少したことにより、赤字幅が減少したものであります。これらの結果、最終損益の親会社株主に帰属する当期純損失も前年同期よりも改善いたしました。
当社といたしましては、短期的な景気判断や収益について一つ一つ適切に対処しつつも、中長期的視点で経済成長する地域に適切に投資し、当社の成長を目指しております。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(食品事業)
当事業の当連結会計年度における業績は、増収増益となりました。
当連結会計年度における売上高は4,446,504千円(前年同期比0.2%増)となり、セグメント利益は238,413千円(前年同期比9.6%増)となりました。
当事業は、明日香食品株式会社並びに同子会社グループが営む、和菓子等、とりわけあんこ餅(大福)、わらび餅、桜餅(道明寺)等の餅類、団子類、などの開発製造に独自性を持つ事業であります。
売上面では、数年間継続している食料品等の価格上昇と高止まり、特に米、野菜などの高騰から、当社が扱う嗜好品への消費者の支出が減少する傾向が見られます。またマクロ経済から見ても、民間消費支出は低調であり、消費者の購買意欲が減退していることが当事業の環境を悪化させておりましたが、できる限りお得感を保つ施策を堅持したこと、1~3月に「黒糖本わらび餅」が好調であったことなどにより当連結会計年度における売上高につきましては増加しました。
利益面に関しても増益となっております。この結果は「ちょっと食べる喜びを毎日お届けする」ミッション遂行のためにお得感を重視し、利益の従業員還元を行う一方で、徹底したコスト管理や商品開発によってバランスを取った結果であり、当事業の目指す姿を体現できているものと評価しております。
前下半期から続く砂糖、米などの主要原材料国際市場の高止まりに加えて円安が継続しており、原材料資材等のコストを高止まりさせております。一方、好調が続く同事業においては、従業員等への利益還元を積極的に進めており、待遇改善のためのベースアップ等賃上げを行ったことなどから人件費が増加しました。さらに毎日食べていただくための「お得感」を重視する自社ミッションを果たすために、その製造コスト上昇を販売価格に完全には転嫁をせず、ミッションの遂行を優先しております。
最近では、当社グループの株式会社ウェッジホールディングスと協力して進めておりますSNSを活用した当社商品のブランディングに注力してまいりましたことも影響し、戦略商品の拡販が進んでおります。『「わらび餅」の明日香野』、『こし自慢明日香野』『桜餅(道明寺)の明日香野』が定着しつつあり、今後のさらなる拡販につながるものと期待をしております。SNSから波及して今年もマスメディアでも継続的に取り上げられております。これらにより、中期経営計画「深耕と進化」の基本方針である「もちのプロ 開発力・製造力強化、ブランディングを確立する」を果たし、業績の拡大を図ってまいります。
(スポーツ事業)
当事業の当連結会計年度における業績は、減収減益となりました。
当連結会計年度における売上高は1,160,348千円(前年同期比0.9%減)となり、セグメント損失は30,473千円(前年同期はセグメント利益28,390千円)となりました。
当事業は、創業事業でありますアカエムソフトテニスボールを中心とした、ソフトテニス関連事業とテニスクラブ再生事業を柱としております。一方、昨年より開始した旅行事業(ランニングに関わるスポーツツーリズム事業)を、当社グループの株式会社ウェッジホールディングスと協力して進めておりますが、当事業が順調に拡大して売上高、利益ともに貢献しており成長しております。
ソフトテニス事業におきましては、中高の部活動がコロナ禍以前の活気を取り戻すことができていない状況が続いております。そのためソフトテニスボールの使用頻度が増えず、販売も低調に推移しました。第2四半期までは、ユーザーキャンペーンを行い需要の喚起をし、第3四半期から当期末にかけては、問屋・小売店との協力体制を強化することで売上の増加を目指しました。しかしながら十分な効果を上げるには至りませんでした。また、テニスウェアを中心とするルーセントブランドの商品では、アクセサリー関係の販売が好調で前年実績は越えたものの、チームウェアの受注が伸びず苦戦を強いられました。
テニスクラブ再生事業では、昨今の物価高騰や国内消費低迷を受け、新規獲得による会員数の増加は鈍い状態となっております。しかし退会者が極めて低い率で推移していることで会員数は横ばいを確保しております。今後は、ソフトテニスレッスン、ランニングスクールを増やすなど、マルチスポーツ化を進めることで会員数の増加に積極的に取り組んでいきます。
一方、新規事業として一昨年から開始した旅行事業は順調に拡大しております。しかしながら円安の影響により、当社の顧客向け価格が上昇して売上を増加させる一方、海外での経費が増加して利益を圧迫しております。
今後とも、中期経営計画に掲げましたように、マルチスポーツ化を拡大する一方、市場を自ら活発にする活動に注力し、ソフトテニスボールの販売強化、テニススクールでの新規ユーザーの獲得を進めるとともに、新規事業である旅行事業を拡大して業績の成長を図ってまいります。
(ゴム事業)
当事業の当連結会計年度における業績は、減収減益となりました。
当連結会計年度における売上高は2,225,821千円(前年同期比10.9%減)となり、セグメント利益は146,304千円(前年同期比10.6%減)となりました。
当事業は、当社グループの創業以来の事業で、ゴムの配合・加工技術に独自性をもつ事業です。40年に及ぶ長年の不振を払拭し、過去10年以上かけて戦略的に事業を選択集中させるとともに海外事業を含めて新規事業に取り組み、営業拡大を図り、同時に生産性の改善、コストの適正化を図ってまいりました。その結果、現在、東日本では事業上唯一のリーディングカンパニーとして事業を展開しております。
当事業の当連結会計年度における業績につきましては、日本の民間設備投資が減速していることから、第4四半期の売上げが低調であったこと、中国EV関連の顧客からの受注が停滞したことから、売上高、利益ともに減少いたしました。特に主原料であるゴムなどの輸入原料の高騰が利益を圧迫しております。このような条件はあるものの、当社の製品の値上げも取引先に受け入れていただけており、利益面での改善が進んでおります。
ゴムライニング防食施工は東日本における大手施工会社としての地位が確立され、ゴム事業の中で収益性と競争力の高い事業です。ゴム事業内におけるゴムライニング防食施工への選択と集中を進めることで売上高と利益を増加させられると考えております。プレス関連商材につきましても、値上げ等が順調に進んでおり、輸入原材料の価格高騰により苦戦しておりますが、今後さらに利益率が改善すると考えております。
当該事業は国内民間設備投資に強く連動する事業であり、特に円安の追い風を受けた製造業の各顧客の設備投資が活況となっており、受注は順調な予測となっております。当事業は景気悪化に対して半年程度遅行して影響が出る業種であり、今後も注意してまいります。
(コンテンツ事業)
当事業の当連結会計年度における業績は、増収増益となりました。
当連結会計年度における売上高は767,471千円(前年同期比4.0%増)となり、セグメント利益は245,615千円(前年同期比7.7%増)となりました。
当事業は、主にゲームの企画開発や漫画やアニメ、ゲーム等のエンターテインメント関連の書籍及び電子書籍の企画編集、様々なコンテンツを商品・イベント化する企画開発など、コンテンツ商品の企画開発分野で独自性を持って展開しております。
現在、当社の祖業でありますコンテンツ事業においては長年の不振を払拭し、過去10年以上かけて戦略的に事業を選択集中させるとともに海外事業を含めて新規事業に取り組み、営業拡大を図り、同時に生産性の改善、コストの適正化を図ってまいりました成果が実を結んでいる結果、長期的に利益改善が進んでおります。
当事業の当連結会計年度における業績につきましては、ゲーム企画開発、書籍編集、その他コンテンツ関連企画開発等の受注が堅調に推移し、ロイヤリティ収入が過去最高となったことで、利益貢献を果たしております。それと同時に、今後のさらなる成長に向け、人的資源を新規事業並びに海外展開に適切に投資的経費を投下し続けており、長期的にはこれらも利益化して利益貢献するものと考えております。
今後は、中期経営計画でお知らせいたしておりますように、国内の新規事業展開と海外展開を積極的に進めることで、本格的な事業拡大につなげる方針を継続してまいります。
(Digital Finance事業)
当事業は連結セグメントではなく、持分法適用関連会社の事業になっておりますが、当社グループの重要な資産を保有しているため解説をしております。
当事業の当連結会計年度における業績は、減収増益となりました。
当連結会計年度における売上高は2,771,155千円(前年同期比33.2%減)、投資損失は406,672千円(前年同期は投資損失906,511千円)となりました。(注)連結損益として取り込んだ持分法投資損失。
これは前連結会計年度において持分法適用関連会社からの取込損益を精査する過程において、主にGroup Lease PCL.の子会社の業績に加えて、当該事業の進出地域での経営環境を勘案し、貸倒引当金を見直したこと、為替差損が発生したことなどで持分法による投資損失(906,511千円)を計上しましたが、当連結会計年度では貸倒引当金の追加繰り入れが減少したことによるものです。
当連結会計年度におきましては、各国において、政治経済の状況を踏まえ、事業継続を行っております。過去6年間、コロナ禍並びに同事業を行うGroup Lease PCL.やその子会社がJ Trustグループとの係争が継続している状況を踏まえて大型の裁判を行っていること、などから全営業国において保守的なリスクマネジメントのために新規貸付を抑制し、回収に注力してきました。この結果、営業貸付金が減少し、現金預金が増加して、売上高・セグメント利益ともに減少してきていました。今後は、上記国別商品別の状況に応じて、新たな再成長を目指しております。
(リゾート事業)
当事業は連結セグメントではなく、持分法適用関連会社の事業になっておりますが、当社グループの重要な資産を保有しているため解説をしております。なお、当社はリゾート事業を営んでいる持分法適用関連会社の株式を譲渡することとなり、2026年3月期の期首(2025年4月1日)から持分法適用関連会社より除外する予定であります。
当事業の当連結会計年度における業績は増収減益となりました。
当連結会計年度における売上高は902,857千円(前年同期比11.6%増)、投資利益は94,397千円(前年同期比41.8%減)となりました。(注)連結損益として取り込んだ持分法投資利益。
当事業はタイ王国ピピ島においてリゾートホテルであるZeavola Resortを運営しております。欧米の富裕層を中心にした顧客層から支持を受ける環境に配慮した循環型のサステイナブルリゾートとして多くの表彰を受賞するファイブスターリゾートとして、高単価の宿泊・サービス収入を得ております。
当事業については3ヶ月遅れでの連結財務諸表への反映がなされており、当連結会計年度へは2024年1月から2024年12月までの12ヶ月間の業績が反映されております。
当連結会計年度の、第3四半期連結会計期間(2024年7月から2024年9月)においては、いわゆる閑散期にあたり、年間収益の底にあたります。コロナ禍前においては毎年損失を計上しておりましたが、前年同第3四半期連結期間は極めて業績が良く、利益計上となっておりました。第3四半期連結会計期間の閑散期を利用し、ホテルの一部を閉鎖し、今後の長期にわたる稼働を高めるための設備投資修繕等を行いながら、営業いたしました。これにより修繕費等の経費が増大し、前連結会計年度よりも減益となりました。
当連結会計年度末における資産残高は、6,525,342千円(前連結会計年度末比308,300千円減)となり、流動資産は、3,052,471千円(前連結会計年度末比496,430千円減)、固定資産は、3,472,870千円(前連結会計年度末比188,129千円増)となりました。
流動資産減少の主な原因は、主にスポーツ事業、ゴム事業及びコンテンツ事業における商品及び製品の増加(前連結会計年度末比36,025千円増)、売掛債権及び短期貸付金の減少並びに為替の影響等による貸倒懸念債権等の減少による貸倒引当金の減少(前連結会計年度末比272,365千円減)といった増加要因、主に仕入債務の支払、未払法人税等並びに未払消費税等の納付及び借入金の返済等による現金及び預金の減少(前連結会計年度末比409,546千円減)、主に食品事業、ゴム事業及びコンテンツ事業における受取手形及び売掛金の減少(前連結会計年度末比120,314千円減)、未収入金の減少(前連結会計年度末比68,653千円減)、回収及び為替の影響等による短期貸付金の減少(前連結会計年度末比186,893千円減)といった減少要因によるものです。
固定資産増加の主な原因は、主に食品事業における取得等による機械装置及び運搬具の増加(前連結会計年度末比22,127千円増)、為替の影響等による関係会社株式の増加(前連結会計年度末比170,933千円増)といった増加要因、償却によるのれんの減少(前連結会計年度末比35,884千円減)の減少要因によるものです。
当連結会計年度末における負債残高は、3,418,887千円(前連結会計年度末比504,038千円減)となり、流動負債は、2,030,375千円(前連結会計年度末比459,096千円減)、固定負債は、1,388,512千円(前連結会計年度末比44,941千円減)となりました。
流動負債減少の主な原因は、主に食品事業及びゴム事業における支払手形及び買掛金の減少(前連結会計年度末比248,983千円減)、返済等による短期借入金の減少(前連結会計年度末比91,077千円減)、納付等による未払法人税等の減少(前連結会計年度末比39,549千円減)及び未払消費税等の減少(前連結会計年度末比29,003千円減)、支払等による未払費用の減少(前連結会計年度末比34,451千円減)といった減少要因によるものです。
固定負債減少の主な原因は、借入等による長期借入金の増加(前連結会計年度末比53,440千円増)の増加要因、支払及び金利の上昇等に伴うによる退職給付に係る負債の減少(前連結会計年度末比70,333千円減)、振替等による固定負債その他の減少(前連結会計年度末比44,931千円減)といった減少要因によるものです。
当連結会計年度末における純資産残高は、3,106,454千円(前連結会計年度末比195,737千円増)となりました。
純資産増加の主な原因は、為替換算調整勘定の増加(前連結会計年度末比255,821千円増)、新株予約権の増加(前連結会計年度末比33,628千円増)、非支配株主持分の増加(前連結会計年度末比106,730千円増)といった増加要因、親会社株主に帰属する当期純損失計上による利益剰余金の減少(前連結会計年度末比203,709千円減)の減少要因によるものです。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ415,003千円減少し、613,122千円(前年同期比415,003千円減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は、324,465千円(前年同期は75,079千円の減少)となりました。これは、主として非資金勘定として計上された減価償却費45,745千円(前年同期は42,907千円)、のれん償却費35,884千円(前年同期は35,884千円)、持分法による投資損失317,073千円(前年同期は持分法による投資損失741,839千円)、売上債権の減少124,436千円(前年同期は93,720千円の増加)といった増加要因、貸倒引当金の減少38,868千円(前年同期は54,180千円の増加)、退職給付に係る負債の減少70,333千円(前年同期は19,412千円の減少)、主としてスポーツ事業、ゴム事業及びコンテンツ事業における棚卸資産の増加23,311千円(前年同期は15,466千円の減少)、主として食品事業及びゴム事業における仕入債務の減少332,657千円(前年同期は118,256千円の増加)、法人税等の支払90,911千円(前年同期は49,950千円)といった減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、58,245千円(前年同期は180,800千円の減少)となりました。これは、主として定期預金の払戻による資金の増加6,460千円(前年同期は4,800千円)、投資有価証券の売却による資金の増加3,095千円(前年同期は204千円)といった増加要因、定期預金の預入による資金の減少11,800千円(前年同期は9,600千円)、有形固定資産の取得による資金の減少47,111千円(前年同期は124,911千円)、貸付による資金の減少5,638千円(前年同期は46,506千円)といった減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、32,859千円(前年同期は784,597千円の増加)となりました。これは、長期借入金の借入による資金の増加100,000千円(前年同期は156,000千円)の増加要因、短期借入の返済等による資金の減少72,961千円(前年同期は46,993千円)、長期借入金の返済による資金の減少57,094千円(前年同期は27,342千円)といった減少要因によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 金額には仕入実績を含んでおります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 食品事業における製品は特に鮮度が重要視されますので、取引先から日々の注文により生産しておりますが、納入時間の関係上受注締切以前に見込数で生産を開始し、最終的に生産数量の調整を行う受注方式であり、翌日繰越受注残は無いため記載を省略しております。
2 スポーツ事業については、見込み生産を行っているため記載を省略しております。
3 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、ゴム事業における受注残高の増加につきましては、主にゴムライニング関連及び工業用品型物関連の増加によるものであります。また、コンテンツ事業における受注残高の減少につきましては、同事業が企画開発した各種コンテンツ商品及び書籍編集関連の減少によるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 当連結会計年度において、ゴム事業におきまして販売高に著しい変動がありました。これは、日本の民間設備投資が減速していること、中国EV関連の顧客からの受注が停滞したことによるものであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択、決算日における資産・負債の報告数値、偶発債務の開示、各連結会計年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、営業貸付金に係る予想信用損失の評価については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
a.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は8,619,822千円(前年同期比2.8%減)となりました。主な減少要因は、食品事業においては、数年間継続している食料品等の価格上昇と高止まりにより、当社が扱う嗜好品への消費者の購買意欲が減退しておりますが、できる限りお得感を保つ施策を堅持したこと、1~3月に「黒糖本わらび餅」が好調であったことなどにより増加しました。スポーツ事業においては、新規事業として一昨年から開始した旅行事業が順調に拡大しているものの、ソフトテニス事業において中高の部活動がコロナ禍以前の活気を取り戻すことができていない状況が続いており減少しました。ゴム事業においては、日本の民間設備投資が減速していること、中国EV関連の顧客からの受注が停滞したことにより減少しました。コンテンツ事業においては、ゲーム企画開発、書籍編集、その他コンテンツ関連企画開発等の受注が堅調に推移し、ロイヤリティ収入が過去最高となったことにより増加しました。これらの結果、増収となりました。セグメント別の売上高については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における売上原価は6,221,571千円(前年同期比3.8%減)となり、売上高に対する割合は72.2%(前年同期は72.9%)となりました。主な減少要因は、特に製造業である食品事業、ゴム事業、スポーツ事業において、企業間取引物価上昇により、電気代金高、燃料費高、原材料高などの影響を大きく受けておりますが生産性の改善、徹底したコスト管理によりコストの適正化を図ったことによるものであります。販売費及び一般管理費につきましては2,372,413千円(前年同期比1.1%減)となりました。主な減少要因は、各事業において電気代高、企業間取引物価上昇などによる増加要因がございますが、経費構造の見直しなどによる減少要因によるものであります。
(営業外収益及び営業外費用)
当連結会計年度における営業外収益は81,917千円(前年同期比19.8%減)となりました。減少の主な要因は、受取利息21,947千円(前年同期比0.8%増)、受取配当金2,974千円(前年同期比10.6%増)といった増加要因がございましたが、為替差益17,214千円(前年同期比59.5%減)の計上による減少要因によるものであります。営業外費用は376,175千円(前年同期比57.6%減)となりました。減少の主な要因は、支払利息13,436千円(前年同期比15.7%増)の増加要因がございましたが、連結子会社による新株発行に伴う株式交付費―千円(前年同期は34,328千円)、訴訟関連費用28,023千円(前年同期比59.4%減)、持分法による投資損失317,073千円(前年同期比57.3%減)といった減少要因によるものであります。
(特別利益及び特別損失)
当連結会計年度における特別利益は1,293千円(前年同期は―千円)となりました。これは、連結子会社によるその他有価証券の売却によるものであります。特別損失は1,150千円(前年同期比95.1%減)となりました。減少の主な要因は、スポーツ事業において収益性の低下による固定資産の減損損失1,150千円(前年同期比23.6%減)、連結子会社による債権等に係る引当金計上による貸倒引当金繰入額―千円(前年同期は21,654千円)といった減少要因によるものであります。
上記の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高8,619,822千円(前年同期比2.8%減)、営業利益25,837千円(前年同期比521.4%増)、経常損失268,419千円(前年同期は経常損失781,105千円)、親会社株主に帰属する当期純損失203,709千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失531,547千円)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、当連結会計年度に計上した親会社株主に帰属する当期純損失は、保守的な観点で資産評価を厳格に見直し、現金収支を伴わない損失計上を行ったことが主な原因であり、今後の事業の収益力に影響ないものと判断しております。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資のための資金のほか、M&Aによる事業拡大を行うことを決定した場合等に発生するものでありますが、現時点ではM&A等の投資活動につきましては、より慎重に検討し抑制的に進めております。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は自己資金及び金融機関からの借入や社債等により調達し、投資活動資金につきましては、より長期的な資金活用となることを想定し、社債並びに転換社債等により調達することを基本としております。また、当社グループの事業運営・成長に伴う安定的な資金の流動性並びに投資資金の獲得のため、適切な規模でのエクイティ・ファイナンスにつきましても適宜検討を進めてまいります。
なお、当連結会計年度において総額62,860千円の設備投資を行っておりますが、その資金の調達源は主に自己資金及び金融機関からの借入金によっております。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
業務提携基本契約
当連結会計年度における研究開発活動は、ライニング用ゴムの改良、工業用関連の環境・安全に配慮したゴム製品のゴム開発を進めてまいりました。当連結会計年度における研究開発費の総額は
以下、事業のセグメントごとの活動内容は次のとおりです。
(ゴム事業)
当事業におきましては、ゴムライニングの現地施工用ゴムの改良、工業用ゴム製品のゴム配合の改良に注力してまいりました。当事業に係わる研究開発費は
(スポーツ事業)
当事業におきましては、ソフトテニスボールの改良等を進めてまいりました。当事業に係わる研究開発費は
(食品事業)
当事業におきましては、付加価値を高めた健康志向の製品の開発、他社との提携製品の開発、季節製品の開発、既存製品のマイナーチェンジに注力してまいりました。当事業に係る研究開発費は
以上、今後も各事業周辺分野の新製品開発に鋭意努力してまいります。