第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における経済環境は、米国では良好な雇用・所得環境を背景に個人消費が堅調に推移し、景気の拡大が持続しました。欧州でも輸出の増加などを下支えとして、景気は緩やかに回復しました。わが国では、企業収益の改善や個人消費の持ち直しなどにより、景気の回復基調が継続しました。
 このような状況のもと、当社グループは2017年を起点とする4ヵ年の中期経営計画「中計'17」の目標達成に向けて、北米市場の商品力強化と増販に向けた体制強化、商品ミックスの最適化、開発力・技術力の進化、ブランド力の向上と効率的な供給体制の構築などに取り組みました。

その結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は4,049億99百万円(前年度比233億64百万円増、6.1%増)となりましたが、原材料価格上昇の影響等により、営業利益は453億8百万円(前年度比40億6百万円減、8.1%減)、経常利益は401億67百万円(前年度比39億34百万円減、8.9%減)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、製品補償対策費、製品補償引当金繰入額及び独禁法関連損失を特別損失として計上したことにより、154億76百万円(前年度は122億60百万円の損失)となりました。

 

セグメントごとの業績は、次のとおりであります。

① タイヤ事業

北米市場における市販用タイヤにおいては、当社が強みとする大口径ライトトラック用タイヤの販売が好調に推移して商品ミックスの良化がさらに進んだこと、またトラック・バス用タイヤの販売が拡大したことにより、販売量、売上高ともに前年度を上回りました。欧州市場における市販用タイヤについては、ロシアやイギリスを中心に販売が伸長したことに加えて、為替の影響もあり、販売量、売上高ともに前年度を大きく上回りました。
 新車用タイヤにおいては、海外市場では新規車種の獲得がありましたが、国内市場では当社品装着車種の販売が低調だったため、販売量、売上高ともに前年度並みとなりました。
 国内市販用タイヤにおいては、値上げ前の駆け込み需要の影響もあり、販売量、売上高ともに前年度を上回りました。

その結果、タイヤ事業の売上高は3,270億97百万円(前年度比232億19百万円増、7.6%増)、営業利益は460億47百万円(前年度比6億42百万円増、1.4%増)となりました。

 

② ダイバーテック事業

自動車用部品においては、防振ゴム、シートクッションの売上高は前年度並みとなりました。その他の製品については、農畜舎向け断熱資材の販売が好調でしたが、防水資材の売上が減少しました。

その結果、ダイバーテック事業の売上高は778億60百万円(前年度比3億56百万円増、0.5%増)となりましたが、米国子会社における新製品立ち上げに伴う一時的な生産性低下などにより、営業損失は8億51百万円(前年度は37億79百万円の利益)となりました。

 

③ 当社免震ゴム問題に係る製品補償対策費及び製品補償引当金繰入額の状況

平成27年12月期において、出荷していた製品の一部が国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していないとの事実及び建築用免震積層ゴムの国土交通大臣認定取得に際し、その一部に技術的根拠のない申請があった事実が判明しました。
 当第4四半期決算において、状況が進捗し算定可能となったことにより、交換用の免震製品代金や改修工事費用117億16百万円、補償費用等12億円、諸費用13億33百万円(主として、免震ゴムの交換用設備に係る費用等 約9億円、免震ゴム対策本部人件費等 約4億円)を計上した結果、186億37百万円(製品補償対策費49億45百万円、製品補償引当金繰入額136億91百万円)を特別損失として計上しております。

現時点で合理的に金額を見積もることが困難なもので、今後発生する費用(主として、営業補償や遅延損害金等の賠償金、追加で判明する改修工事費用の金額が既引当額を超過する場合の費用等)がある場合には、翌年度以降の対処進行状況等によって、追加で製品補償引当金を計上する可能性があります。

 

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動による収入が134億30百万円となり、投資活動による支出が106億33百万円となったため、純現金収支(フリー・キャッシュ・フロー)は27億97百万円のプラスとなりました。財務活動においては135億13百万円の支出となりました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、これら収支に為替換算差額の増加額を合わせ278億87百万円となり、前年度末と比べて97億52百万円減少しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、製品補償関連の支払や独禁法関連の支払等の減少要因があったものの、減価償却費や税金等調整前当期純利益等の増加要因により、134億30百万円の収入(前年度比254億34百万円減、65.4%減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による収入等があったものの、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出等があり、106億33百万円の支出(前年度比31億51百万円減、22.9%減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や社債の償還等があり、135億13百万円の支出(前年度比178億4百万円減、56.9%減)となりました。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産金額(百万円)

前年度比(%)

タイヤ事業

347,123

13.3

ダイバーテック事業

60,372

3.9

合計

407,495

11.8

 

(注) 1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注状況

当社グループは製品の性質上、原則として需要見込生産方式を採っております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売金額(百万円)

前年度比(%)

タイヤ事業

327,092

7.6

ダイバーテック事業

77,837

0.4

その他

70

△74.0

合計

404,999

6.1

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

①会社の経営の基本方針

当社グループは平成29年1月1日付で「社是」「私たちの使命」「私たちのありたい姿」「私たちの持つべき価値観」を新たに理念体系として整備し、全役員・全従業員がこれらの理念を実践、体現することを基本的な経営姿勢としております。

当社グループは、理念に掲げた使命を果たし、ありたい姿を実現していくために、経営基盤の強化、よき企業風土の醸成、また、企業価値を高める事業戦略を打ち立て、その確かな遂行に努めていくことを経営の基本方針としております。

 

②目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、今後予想される事業環境の動向を前提に2020年の先を見据え、持続的な成長を実現するために、その礎となる中期的なシナリオとして、2017年を起点に取り組む4ヵ年の中期経営計画「中計’17」を策定しました。モビリティ分野をビジネスの中核として、2020年度に売上高4,800億円、営業利益600億円、営業利益率12.5%の達成を経営目標に掲げています。

グループ全社がワンチームとなって独自ポートフォリオの強みを発揮することにより、お客様の期待や満足を超える感動や驚きを生み出し、豊かな社会づくりに貢献できる企業を目指してまいります。

 

(2) 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当社は、当社の株式の大量取得を目的とする買付者(以下、買付者という。)としては、当社の企業価値及び株主共同の利益に資する者が望ましいと考えております。また、買付者の提案を許容するか否かは、最終的には株主の皆様の判断に委ねられるべきものと考えております。しかしながら、株式の買付や提案の中には、企業価値及び株主共同の利益に資さないものが存在する可能性もあり、そのような買付や提案は不適切なものであると考えております。

現在のところ、買付者が出現した場合の具体的な取り組みをあらかじめ定めるものではありませんが、このような場合には直ちに当社として最も適切と考えられる措置をとり得る体制を整えております。

具体的には、社外の専門家を含めて株式の買付や提案の検討・評価や買付者との交渉を行い、当該買付や提案及び買付者が当社の企業価値及び株主共同の利益に資するか否かを慎重に判断し、これに資さない場合には最も適切と考えられる措置を講じてまいります。

 

(3) その他

免震ゴム問題への対応

平成27年12月期において、当社又は当社の子会社である東洋ゴム化工品株式会社が製造・販売していた製品(建築用免震積層ゴム)の一部が国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していない事実及び国土交通大臣認定取得に際し、その一部に技術的根拠のない申請があった事実が判明しました。既に公表しておりますとおり、対象物件154棟全ての建築物については、震度6強から震度7程度の地震に対して倒壊するおそれはないことを確認しておりますが、当社グループは、本件問題の対策を経営の最優先課題と位置づけ、免震ゴム対策統括本部を設置し、不適合製品が用いられた建築物の改修工事を進めるとともに、ご迷惑をお掛けした関係者の方々への対応を進めております。

なお、対象物件1棟に関する不正競争防止法違反により、東洋ゴム化工品株式会社が、平成29年12月12日、枚方簡易裁判所から罰金1,000万円の有罪判決を受けました。同社が、控訴を申し立てなかったため判決は確定し、同社による罰金の納付も完了しております。判決文では、免震ゴム問題が当社グループの社会的責任や企業倫理に関わる問題であることも指摘されております。当社グループは、この度の判決内容を厳粛かつ真摯に受け止め、二度と同じ過ちを繰り返さないために、「品質保証改善並びにコンプライアンス啓発強化」と「コーポレート基盤の継続的改善・充実」を柱とする再発防止策に取り組んでまいります。

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項は、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経済環境及び需要動向の影響について

当社グループの売上高は、タイヤ及び自動車部品などの自動車関連事業で全体の90%以上を占めており、世界的な景気減速による自動車販売の落ち込みは、連結業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループはグローバルな事業展開を進めており、特に北米・欧州・アジアなどの主要市場の経済状況は連結業績に影響を及ぼす可能性があります。国内需要については、景気の動向や暖冬による冬用タイヤ需要の減少に左右され、連結業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 海外投資等に関わる影響について

当社グループは、グローバルな需要に対応する柔軟な供給体制確立のため、海外生産拠点への投資を行っております。適正な投資運用を行っておりますが、世界的な景気の変動などにより、計画とは異なる成果となることで、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 外国為替変動の影響について

当社グループの海外売上高比率は、平成26年12月期 64.1%、平成27年12月期 67.1%、平成28年12月期 65.1%、平成29年12月期 67.2%となっており、海外売上高が連結売上高の半分以上を占めております。このため為替予約などによるリスクヘッジを行っておりますが、為替変動が、連結業績に影響を与える可能性があります。

 

(4) 主要原材料価格変動の影響について

当社製品の主要原材料は天然ゴム、合成ゴム及びその他石油化学品であります。これらの仕入価格は、原油、ナフサ及び天然ゴムの国際市況によって大きく影響を受けます。また、天然ゴムをはじめとし輸入品も多く為替変動の影響も受けます。これらが連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 株価変動の影響について

当社グループは市場性のある株式を保有しております。このため全般的かつ大幅な株価下落が続いた場合、保有有価証券に減損又は評価損が発生し、連結業績に影響を与える可能性があります。

 

(6) 金利変動の影響について

当社グループは、キャッシュ・プーリング・システムの導入等により子会社の資金調達並びに資金管理の一元化を図るなど金融収支を改善するとともに、資金調達手段の多様化や長期借入金比率を高めることにより金利変動リスクのヘッジを行っております。これら取り組みを行っておりますが、金融環境が急速に悪化した場合や金利が中長期的に上昇した場合には資金調達コストが上昇し、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)災害等の影響等について

当社グループは、災害等(地震・火災・風水害・疾病・戦争・テロ等)による影響を最小限にするため、設備の定期的点検の実施、有事の際の対応策の設定・訓練などの取り組みを行っております。しかしながら、大規模な災害等の発生や生産拠点及び原材料の仕入先並びに製品の納入先で災害等が発生した場合、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 製品の品質による影響について

当社グループは、品質管理を経営の最重要課題とし、品質管理体制に万全を期しておりますが、製品の欠陥や不良が発生しない保証はありません。大規模なリコールや欠陥に起因する多額の損害賠償が起きた場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 知的財産権について

当社グループは、技術ノウハウの蓄積と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者の知的財産権の侵害を効果的に防止できないことがあります。また、当社グループの製品又は技術が、第三者から知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、それが認められた場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 法律・規制について

当社グループは、経営の基本としてコンプライアンス体制の強化、内部統制機能の充実に努めております。それにもかかわらず、法律・規制を遵守できなかった場合、活動の制限やコストの増加につながり、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、国内外の事業活動に関連して、訴訟や各国当局による捜査・調査の対象となる可能性があり、重要な訴訟が提起された場合や、各国当局による捜査・調査が開始された場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 退職給付債務について

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて計算を行っております。このため、実際の金利水準の変動や年金資産の運用利回りが悪化した場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 財務制限条項による影響について

当社グループが締結している借入金契約には、財務制限条項が付されているものがあり、この条項に抵触し、一括返済を求められた場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 免震積層ゴムの大臣認定不適合等の影響について

当社グループは、本件対応を経営の最優先課題と位置づけ、迅速かつ誠意をもってこの対策を進めております。平成27年3月13日に発表した国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していない製品等については、所有者様、使用者様、施主様、建築会社様等の関係者様のご意向に反しない限り、原則として、当該免震ゴム全基(納入物件数55物件、全2,052基)について、当初の設計段階において求められた性能評価基準に適合する製品へと取り替える方針です。また、平成27年3月13日に公表した以外の製品においても、国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していなかった製品の存在が判明し、調査結果として平成27年4月21日に発表した、国土交通大臣認定の不適合が判明した建築物(納入物件数90物件、全678基)及び国土交通大臣認定への適合性が判断できない建築物(納入物件数9物件、全177基)についても、構造安全性の検証を踏まえたうえで、必要なものについては、本来求められていた性能評価基準を満たした製品への交換・改修を進める方針です。これらに関連して発生する当該製品の交換及び交換に付随する費用、訴訟による損害賠償金の負担、信用低下による他製品の売上減少などが、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 現在、当社が締結している合弁事業契約の主なものは、次のとおりであります。

 

契約締結日

相手先

契約の内容

昭和61年12月24日

正新橡膠工業股份有限公司
        (中華民国)
 

中華民国における自動車用防振ゴム製造会社として、洋新工業股份有限公司を合弁にて設立し運営する旨の契約であります。
なお、洋新工業股份有限公司に対する出資比率は以下のとおりであります。

当社                          50 %
正新橡膠工業股份有限公司               50 %

 

 

 

(2) 現在、当社が締結している業務提携契約の主なものは、次のとおりであります。

 

契約締結日

相手先

契約の内容

平成20年5月16日

株式会社ブリヂストン

世界のタイヤ・ゴム産業における需要構造、競争構造、収益構造その他の経営環境の変化に対応して更なる企業価値の向上を図るため、それぞれの事業運営の独立性を維持しつつ、業務及び資本について緩やかな提携を図るものであります。
本合意書の締結後、業務提携の分野を選定し、その個々の分野における業務提携について協議及び検討を開始いたします。資本提携は、平成20年10月16日を払い込み期日とする第三者割当により、株式会社ブリヂストンは、当社の新株20百万株(平成20年5月16日現在)を引き受け、当社は株式会社ブリヂストンの自己株3.9百万株を引き受けるものであります。

 

 

 

(3) 当連結会計年度における経営上の重要な契約等の決定又は締結等は、次のとおりであります。

 

① 業務提携の解消

 

契約締結日

相手先

契約の内容

平成11年9月29日

鬼怒川ゴム工業株式会社

自動車用防振ゴム製品について、開発・販売部門を当社へ統合するほか、生産・調達・物流分野において広範な業務提携を実施するものであります。

 

 

当社は、鬼怒川ゴム工業株式会社との上記業務提携を平成29年7月1日付で解消いたしました。

 

② 株式譲渡契約の締結

 

契約締結日

相手先

契約の内容

平成29年7月28日

ニッタ株式会社

当社は、平成29年7月28日開催の取締役会において、当社ダイバーテック事業セグメントの化工品事業(建築用免震ゴム事業を除く、以下「当該事業」)をニッタ株式会社に譲渡することを決定し、また、同日付でニッタ株式会社と株式譲渡契約を締結しました。
当社の連結子会社である東洋ゴム化工品株式会社を分割会社とする承継会社を新設し、当該事業を再編・集約したうえで、平成29年12月27日に同社の全株式の譲渡を行いました。

 

平成29年7月28日

積水化学工業株式会社

当社は、平成29年7月28日開催の取締役会において、当社ダイバーテック事業セグメントの硬質ウレタン事業(以下「当該事業」)を積水化学工業株式会社に譲渡することを決定し、また、同日付で積水化学工業株式会社と株式譲渡契約を締結しました。
当社の連結子会社である株式会社ソフランウイズにおいて当該事業を再編・集約したうえで、平成29年12月27日に同社の全株式の譲渡を行いました。

 

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、2017年から2020年に向けて新中期経営計画「中計'17」に沿って進めております。
 技術統括部門方針として、『技術革新と差別化技術により、顧客に「感動や驚き」のある商品を提供する』を掲げ、顧客感動に繋がる技術をスピーディーに具現化すべく取り組んでおります。
 基盤技術センターでは、事業部門と連携し、事業の成長戦略に繋がるテーマの選択と集中による研究資源の有効活用と開発のスピードアップをはかり、開発領域をモビリティー分野に定め、未来のニーズとそれに合致する新技術・新商品を確立、提供すべく先端的研究や基盤技術力の強化を行ってきました。これまで、中央研究所とタイヤ事業部門が連携し、空気充填を不要としながらもタイヤの基本性能を担保するという新しい概念をテーマとして、エアレスタイヤの研究に取り組んできたことにより、コンセプトタイヤとして「noair(ノアイア)」を開発いたしました。引き続き、実用化を展望した研究と技術開発の進化に取り組んでおります。
 また、「スピード感あふれる研究所」へ変革のため、技術人材育成計画を改訂いたしました。中堅・若手のスキル向上を目的として、研究開発に重要な資質「論理的思考・技術専門性・伝える力」や「技術シーズ先行型から顧客ニーズ思考型へ」を備えた人材を育成すべく教育を展開しております。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は109億43百万円であります。うち、基盤技術センターで行っている各事業部門に配分できない基礎研究の費用は10億73百万円であります。

 

セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。

(1) タイヤ事業

国内市販用タイヤにおいては、NITTOブランドタイヤとして、ハイエンドカー向けのUHP(ウルトラ・ハイ・パフォ-マンス)タイヤ「NT555 G2(エヌティーゴウゴウゴウジーツー)」と優れた低燃費性能を持つSUV(多目的スポーツ車)用タイヤ「NT421Q(エヌティーヨンニイイチキュー)」の新商品2種を発売いたしました。「NT555 G2」は操縦安定性や優れたドライグリップ性能を継承し、UHPタイヤでありながら転がり抵抗性能とウェットグリップ性能を高い次元で両立した低燃費性能を備えております。また、「NT421Q」はウェットグリップ性能と転がり抵抗性能を高次元で両立するとともに、ユニークでスタイリッシュな非対称トレッドパターンを採用し、街乗りでも快適な静粛性と乗り心地を実現しております。TOYOブランドタイヤとして、SUV用タイヤの新商品「OPEN COUNTRY A/T plus(オープンカントリーエーティープラス)」とUHPタイヤの当社グローバル・フラッグシップブランド「PROXES(プロクセス)」シリーズより、プレミアムスポーツタイヤ「PROXES Sport(スポーツ)」を発売いたしました。「OPEN COUNTRY A/T plus」は、オフロード走行における優れたトラクション性能を有しつつ、オンロード走行時での静粛性を確保した「All Terrain(A/T:オール・テレイン、全天候型)タイプ」のタイヤであります。リブパターン基調を採用することで、国際基準ECE R117-2(国連欧州経済委員会(UN/ECE)がタイヤ騒音の低減対策として策定した国際基準)をクリアした高い静粛性とトラクション性能も高い次元で両立させております。新配合のトレッドコンパウンドによってウェットグリップ及び転がり抵抗性能の低減とロングライフを実現し、高剛性構造を採用することで高速操縦安定性を向上させております。また、「PROXES Sport」は、国内タイヤラベリング制度におけるウェットグリップ性能において、最高グレードの「a」を満たしたプレミアムスポーツタイヤであります。「Nano Balance Technology(ナノバランステクノロジー)」によって実用化した新配合ゴムを採用し、転がり抵抗性能と高いレベルでのウェットグリップ性能という相反する性能の両立を実現いたしました。さらに、タイヤの路面接地面積にかかる圧力(接地圧)を解析し、その圧力を均一に分散することによって、ウェットブレーキ性能を向上、また、ドライ操縦安定性やウェット操縦安定性能、ウェットグリップ性能、乗り心地、摩耗ライフ、転がり抵抗性能など、8つの性能をそれぞれ向上し、高い次元でバランスさせております。また、ハイト系SUV・ミニバン車両用スタッドレスタイヤ「Winter TRANPATH TX(ウィンタートランパスティーエックス)」を発売いたしました。「NEO吸着ナノゲルゴム」「3Dダブルウェーブグリップサイプ」「鬼クルミ」などの採用により、アイスブレーキ性能を向上、「高剛性・スーパーハイターンアップ構造」「トリプルトレッド構造」の採用により、コーナリングやレーンチェンジ時のふらつきを極小化し、アイス性能がさらに進化いたしました。
 海外市販用タイヤにおいては、ピックアップトラック/SUV/CUV用タイヤ「PROXES S/TⅢ(エスティースリー)」を全米で発売いたしました。アグレッシブでスポーティーな方向性パターンを採用し、パターン中央部の先鋭な矢じりデザイン(Arrowhead Taper)は操縦安定性を確保し、稲妻模様の縦溝(Lightning Grooves)がウェットパフォーマンスの向上に寄与し、ウェットグリップ性能が従来品(「PROXES S/TⅡ(エスティーツー)」)比で向上するなど、デザイン性と走行性能の両立を高い次元で実現しております。

 

トラック・バス用タイヤ新商品に関し、日本市場において、低燃費タイヤブランド「NANOENERGY(ナノエナジー)」シリーズのトラック・バス用タイヤのスタッドレス新商品「NANOENERGY M966(エムキュウロクロク)」を発売いたしました。環境意識が高まる中、装着されるタイヤにもより高い燃費性能や摩耗性能が求められております。「NANOENERGY M966」は、独自のトラック・バス用タイヤ基盤技術「e-balance(イーバランス)」と材料設計基盤技術「Nano Balance Technology」を駆使し、低燃費・低メンテナンス型を追及したトラック・バス用スタッドレスタイヤで、さらなる低燃費化を実現した高付加価値商品であります。
 また、定評ある耐摩耗性を維持しながら優れたトラクション性能を高次元で両立したダンプ用ラグタイヤ「M520P(エムゴウニイマルピー)」を発売いたしました。「M520P」は、摩耗末期まで縦溝横溝をできるだけ残すことによりトラクション性を追求し、さらにワイドトレッドと新プロファイルの採用により優れたトラクション性能と摩耗性能の両立を実現いたしました。
 また、除雪トラック用スノーラジアルタイヤ「M925(エムキュウニイゴウ)」を発売いたしました。ホイールローダー、グレーダーなど除雪用大型建機では、バイアスタイヤが主流でありますが、高速道路・幹線道路の除雪には高速化が求められるようになり、大型建機に代わり除雪トラックが主流となりつつあります。「M925」は独自のワンウェイパターンの採用により、雪路・凍結路でのトラクション効果及び牽引力のアップとともに横すべり抵抗が増大し、優れた機動性を確保いたしました。
 北米市場においては、ヘビーマッド路のオフロード走行性と一般走行性能を両立した深溝ブロックパターン新商品「M588(エムゴウハチハチ)」を発売いたしました。シェールガスオイル掘削の需要に伴い、ヘビーマッドやスノーのオフロード走行における優れたトラクション性能と一般走行性能の両立が求められております。「M588」は、深溝新パターンにより摩耗末期まで溝を残し、優れたトラクション性能を、耐悪路配合採用により優れた耐カット性と摩耗性能を実現し、オフロード走行性と一般走行性能の高次元での両立を実現いたしました。また、独自の新サイドプロテクター採用によりチェーンによるダメージも向上いたしました。

 

当事業に係る研究開発費は73億9百万円であります。

 

(2) ダイバーテック事業

自動車用防振ゴム部品については、グローバルでの自動車販売先の多様化に対応すべく、従来の耐熱性を重視した製品に加え、耐寒性、高耐久性を兼ね備えた製品の開発、上市を行っております。また、カーメーカーのコモンモジュール化に対して、最適化検討を行い、多くの部品を受注し、開発を行っております。
 先行技術開発においては、高性能化、軽量化を軸に開発を進め、次世代車両への適用を目指しております。
 解析技術においては、実車性能と設備評価との相関を求めるなど、解析精度を高めることにより、最適設計(軽量化、コストダウン)に取り組んでおり、高機能部品の受注増と確実な開発を図っております。
 トラック・バス用部品については、自動車用防振ゴムの技術を流用し、一部の鋼製部品の樹脂化により、コストダウン、軽量化を図り、競争力向上を目指しております。
 シートクッションの分野においては、低燃費化(軽量化)、車室空間の確保(シートの薄肉化)、環境負荷物質の低減化、低コスト化の高いニーズがある中で、お客様との共同開発・評価も精力的に行い、お客様に喜んでいただける材料・製品開発を行っております。
 また、乗り心地性能向上の観点でも材料・製品開発を行い、より良い自動車作りの役に立てるよう、提案活動を行っております。

 

当事業に係る研究開発費は25億60百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

① 総資産及び純資産

当連結会計年度末の総資産は4,738億76百万円となり、前年度末に比べ172億12百万円減少しました。これは、主として、株価上昇により投資有価証券が増加した一方、有形固定資産や現金預金等が減少したことによります。
 また、負債は3,100億61百万円となり、前年度末に比べ354億5百万円減少しました。これは、主として、免震問題に係る対応の進捗により製品補償引当金が減少したことや借入金、社債等が減少したことによります。なお、有利子負債は1,199億63百万円となり、前年度末に比べ129億67百万円減少しました。
 当連結会計年度末の純資産は1,638億15百万円となり、前年度末に比べ181億93百万円増加しました。これは、主として、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加したことや株価上昇によりその他有価証券評価差額金が増加したことによります。
 この結果、自己資本比率は33.6%となりました。

 

② キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」の項に記載しております。

 

(2) 経営成績の分析

経営成績の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (1) 業績」の項に記載しております。