第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 会社の経営の基本方針

 当社グループは2017年1月1日付で「社是」「私たちの使命」「私たちのありたい姿」「私たちの持つべき価値観」を新たに理念体系として整備し、全役員・全従業員がこれらの理念を実践、体現することを基本的な経営姿勢としております。

 当社グループは、理念に掲げた使命を果たし、ありたい姿を実現していくために、経営基盤の強化、よき企業風土の醸成、また、企業価値を高める事業戦略を打ち立て、その確かな遂行に努めていくことを経営の基本方針としております。

 

 社 是

昨日より今日はより良くより安く、

需要者の為に各自の職場で最善を

 

 

 私たちの使命

 (ミッション)

お客さまの期待や満足を超える感動や驚きを生み出し、

豊かな社会づくりに貢献します。

 

 

 私たちの

 ありたい姿

 (めざす企業像)

一.  私たちは、たゆまぬ技術革新によって、一歩先の未来を創る企業をめざします。

一.  私たちは、挑戦心と独創的な発想にあふれた闊達な風土を持つ企業をめざします。

一.  私たちは、企業活動に関わるすべての人びとと喜びを分かち合う企業をめざします。

 

 

 私たちの

 持つべき価値観

 (TOYO WAY)

公正さ 社会に正しく役立つことを旨として、私心のない公明正大な行動をとる。

誇  り 会社と仕事、自分自身に高い誇りを持ち、最後まであきらめない。

主体性 何事にも、自らが主体となって受け止め、自らが主体となって取り組む。

感 謝 人と社会に思いやりと感謝の心を持ち、誠意を込めて力を尽くす。

結束力 仲間とともに知恵と力を結集し、常に創意工夫と改良改善を続ける。

 

② 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、大きな変革期にある業界環境の中においても事業の持続的な成長を実現するため、2021年を起点とし、2025年を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画「中計’21」を策定しました。

 タイヤと自動車部品を事業の中核に据え、これまで培ってきた得意分野や独自性、研鑽してきた機能別組織機能、変革・強化を図ってきたガバナンスやコンプライアンス体制をベースに置きながら、取り巻く変化に迅速、かつ柔軟に適応する力を当社グループ全体で強化することで、企業ステージのさらなる向上と、下表に掲げた経営指標の実現をめざしてまいります。

経営指標

目標数値

達成時期等

連結営業利益率

14%超

2025年度

重点商品販売構成比率

55%超

2025年度

連結営業利益

600億円

2025年度

ROE

12%以上

中計’21期間中

設備投資

1,940億円

中計’21期間(5ヵ年)累計

株主還元

配当性向30%以上

中計’21期間中

 

 中計’21の詳細につきましては、当社ホームページIR情報(https://www.toyotires.co.jp/ir/)に掲載の『中期経営計画「中計’21」』をご参照ください。

 

(2)その他

 免震ゴムの交換・改修工事の遂行

 当社及び当社子会社(東洋ゴム化工品株式会社)が製造・販売していた建築用免震積層ゴムの一部が国土交通大臣認定の性能評価基準に適合しておらず、また、国土交通大臣認定取得に際して一部に技術的根拠のない申請が行われていた問題が2015年に判明しました。

 以後、当該製品の交換改修対応を経営の最優先課題と位置づけ、グループを挙げて取り組んでいます。2020年12月末時点において、対象物件全154棟のうち147棟の工事に着手し、このうち145棟で交換改修を完了しています。引き続き、工事の安全確保を最優先に全ての対象建築物で交換改修を遂行してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項は、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経済環境及び需要動向の影響について

 当社グループの売上高は、タイヤ事業及び自動車部品事業により構成されており、世界的な景気減速による自動車販売の落ち込みなどの自動車産業の景況は、連結業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループはグローバルな事業展開を進めており、特に北米・欧州・アジアなどの主要市場の経済状況は連結業績に影響を及ぼす可能性があります。国内需要については、景気の動向や暖冬による冬用タイヤ需要の減少に左右され、連結業績にも影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)海外投資等に関わる影響について

 当社グループは、グローバルな需要に対応する柔軟な供給体制確立のため、海外生産拠点への投資を行っております。適正な投資運用を行っておりますが、世界的な景気の変動などにより、計画とは異なる成果となることで、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)外国為替変動の影響について

 当社グループの海外売上高比率は、2017年12月期67.2%、2018年12月期71.5%、2019年12月期72.3%、2020年12月期72.9%となっており、海外売上高が連結売上高の半分以上を占めております。このため為替予約などによるリスクヘッジを行っておりますが、為替変動が、連結業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)主要原材料価格変動の影響について

 当社製品の主要原材料は天然ゴム、合成ゴム及びその他石油化学品であります。これらの仕入価格は、原油、ナフサ及び天然ゴムの国際市況によって大きく影響を受けます。また、天然ゴムをはじめとし輸入品も多く為替変動の影響も受けます。これらが連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)株価変動の影響について

 当社グループは市場性のある株式を保有しております。このため全般的かつ大幅な株価下落が続いた場合、保有有価証券に減損又は評価損が発生し、連結業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)金利変動の影響について

 当社グループは、キャッシュ・プーリング・システムの導入等により子会社の資金調達並びに資金管理の一元化を図るなど金融収支を改善するとともに、資金調達手段の多様化や長期借入金比率を高めることにより金利変動リスクのヘッジを行っております。これらの取り組みを行っておりますが、金融環境が急速に悪化した場合や金利が中長期的に上昇した場合には資金調達コストが上昇し、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)災害等の影響等について

 当社グループは、災害等(地震・火災・風水害・疾病・戦争・テロ等)による影響を最小限にするため、設備の定期的点検の実施、有事の際の対応策の設定・訓練などの取り組みを行っております。しかしながら、大規模な災害等の発生や生産拠点及び原材料の仕入先並びに製品の納入先で災害等が発生した場合、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)製品の品質による影響について

 当社グループは、品質管理を経営の最重要課題とし、品質管理体制に万全を期しておりますが、製品の欠陥や不良が発生しない保証はありません。大規模なリコールや欠陥に起因する多額の損害賠償が起きた場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産権について

 当社グループは、技術ノウハウの蓄積と知的財産権の保護に努めておりますが、第三者による当社知的財産権の侵害を効果的に防止できないことがあります。また、第三者から、当社グループの製品又は技術が第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を受け、それが認められた場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)法律・規制について

 当社グループは、経営の基本としてコンプライアンス体制の強化、内部統制機能の充実に努めております。それにもかかわらず、法律・規制を遵守できなかった場合、活動の制限やコストの増加につながり、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、国内外の事業活動に関連して、訴訟や各国当局による捜査・調査の対象となる可能性があり、重要な訴訟が提起された場合や、各国当局による捜査・調査が開始された場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)退職給付債務について

 当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の期待運用収益率に基づいて計算を行っております。このため、実際の金利水準の変動や年金資産の運用利回りが悪化した場合には、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)免震積層ゴムの大臣認定不適合等の影響について

 当社グループは、本件対応を経営の最優先課題と位置づけ、迅速かつ誠意をもってこの対策を進めております。国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していない製品等については、当該免震ゴム(納入物件数154物件)について、本来求められた性能評価基準に適合する製品への交換を進めています。2020年12月31日現在で、計154物件中、147物件について着工し、このうち145物件について交換が完了しています。

 2021年度以降についても、現時点で合理的に金額を見積もることが困難なもので、今後発生する費用がある場合は、追加的に費用計上がされる可能性があるほか、これらに関連して発生する当該製品の交換及び交換に付随する費用、訴訟による損害賠償金の負担、信用低下による他製品の売上減少などが、連結業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響

①経営成績への影響

 新型コロナウイルス感染症の長期化、それに伴う各国政府の規制の継続等により、消費者の購入や企業の経済活動が停滞する状況が続くことが予想され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 引き続き今後の動向に注視してまいります。

②従業員・取引先への感染拡大防止への対策措置

 当社グループは、従業員及び取引先関係者の健康と安全の確保を最優先事項と位置づけ、感染拡大の防止に向けた各種対策措置を講じております。社内に設置した緊急対策本部が常に社内外の情報収集に努め、政府並びに各自治体のガイドラインを参照しながらタイムリーに必要な対策の検討と決定を行い、適時社内へ通達、対処徹底を図っております。

 ・情勢に応じた在宅勤務(出社制限)の徹底

 ・利用交通機関の混雑回避のための時差出勤の奨励、不要不急の出張自粛

 ・集合型各種行事・会議の制限、各種オンラインツールの積極活用とデジタル就業環境の整備

 ・出社時の施設内での対策徹底(マスク着用、手洗い・消毒・うがい、三密防止対策)等

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度(2020年1月1日から2020年12月31日まで)における経済環境は、米国では新型コロナウイルス感染症対策による行動制限措置が取られたことで景気の下押し圧力が強まりましたが、経済活動の再開に伴い回復基調にあります。欧州では新型コロナウイルス感染症対策で、各国で移動制限や店舗の営業禁止措置が取られ、それに伴う個人消費の急激な悪化により景気は大きく下押ししており、依然として厳しい状況が続くと予想されます。わが国では、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にありますが、持ち直しの動きがみられました。

 このような状況のもと、当社グループは、2017年を起点とする4ヵ年の中期経営計画「中計'17」の目標達成に向けて、北米市場の商品力強化と増販に向けた体制強化、商品ミックスの最適化、開発力・技術力の進化、ブランド力の向上と効率的な供給体制の構築などに取り組みました。

 その結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は343,764百万円(前年度比33,692百万円減、8.9%減)となり、営業利益は36,328百万円(前年度比2,119百万円減、5.5%減)、経常利益は30,887百万円(前年度比5,757百万円減、15.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は11,682百万円(前年度比12,800百万円減、52.3%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(イ)タイヤ事業

 北米市場における市販用タイヤについては、新商品OPEN COUNTRY A/TⅢ(オープンカントリー・エーティー・スリー)や発売以来好評のNITTO Ridge Grappler(ニットー リッジグラップラー)など当社が強みとしている大口径ライトトラック用タイヤやSUV用タイヤに加え、オールシーズンタイヤCELSIUS(セルシアス)の販売が好調につき、販売量、売上高とも前年並みとなりました。

 欧州市場における市販用タイヤについては、新型コロナウイルス感染症拡大による需要減少を受け、販売量が前年度を下回るとともに、一部市場では為替及び供給絞り込みの影響もあり、売上高は前年度を大きく下回りました。

 新車用タイヤについては、新型コロナウイルス感染症拡大による完成車メーカーの生産調整の影響を受け、販売量、売上高ともに前年度を大きく下回りました。

 国内市販用タイヤについては、当社の強みであるSUV用タイヤを中心とした付加価値商品の販売に注力したことにより、OPEN COUNTRY R/T(オープンカントリー・アールティー)などの販売が好調となり、また新商品OBSERVE GIZ2(オブザーブ ギズ ツー)の投入及び降雪の影響によりスタッドレスタイヤの販売量が増加しましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による需要減少が影響し、販売量、売上高ともに前年度を下回りました。

 その結果、タイヤ事業の売上高は306,609百万円(前年度比26,229百万円減、7.9%減)、営業利益は38,342百万円(前年度比3,050百万円減、7.4%減)となりました。

 

(ロ)自動車部品事業

 自動車用部品において防振ゴムの売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大による完成車メーカーの生産調整の影響を受け、自動車部品事業の売上高は37,110百万円(前年度比7,441百万円減、16.7%減)、営業損失は2,020百万円(前年度は2,919百万円の損失)となりました。

 

(ハ)当社免震ゴム問題に係る製品補償対策費及び製品補償引当金繰入額の状況

 2015年12月期において、出荷していた製品の一部が国土交通大臣認定の性能評価基準に適合していない等の事実が判明いたしました。

 2020年12月期第4四半期決算において、状況が進捗し算定可能となったことにより、交換用の免震製品代金や改修工事費用2,266百万円、補償費用等809百万円、諸費用1,858百万円(主として、免震ゴム製品交換工事に係る保険料、免震ゴム対策統括本部人件費等)を計上した結果、当連結会計年度において、7,178百万円(製品補償対策費2,942百万円、製品補償引当金繰入額4,235百万円)を特別損失として計上しております。

 現時点で合理的に金額を見積もることが困難なもので、今後発生する費用(主として、営業補償や遅延損害金等の賠償金、追加で判明する改修工事費用の金額が既引当額を超過する場合の費用等)がある場合には、翌年度以降の対処進行状況等によって、追加で製品補償引当金を計上する可能性があります。

② 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は445,579百万円となり、前年度末に比べ23,167百万円減少しました。これは、主として、現金及び預金が増加した一方、たな卸資産や株価下落、売却により投資有価証券が減少したことによります。

 また、負債は222,885百万円となり、前年度末に比べ21,352百万円減少しました。これは、主として、免震問題に係る対応の進捗により製品補償引当金が減少したことに加え、買掛金等の仕入債務や短期借入金等の借入れが減少したことによります。なお、有利子負債は110,578百万円となり、前年度末に比べ7,966百万円減少しました。

 当連結会計年度末の純資産は222,694百万円となり、前年度末に比べ1,814百万円減少しました。これは、主として、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が増加した一方、株価下落や投資有価証券の売却によりその他有価証券評価差額金、円高の影響により為替換算調整勘定が減少したことによります。

 この結果、自己資本比率は49.5%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動による収入が53,796百万円となり、投資活動による支出が27,856百万円となったため、純現金収支(フリー・キャッシュ・フロー)は25,939百万円のプラスとなりました。財務活動においては12,638百万円の支出となりました。以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、これら収支に為替換算差額の減少額を合わせ36,303百万円となり、前年度末と比べて12,223百万円増加しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、製品補償関連の支払や仕入債務の減少等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益や減価償却費、たな卸資産の減少等の増加要因により、53,796百万円の収入(前年度比42,566百万円増、379.0%増)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入等があったものの、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出等があり、27,856百万円の支出(前年度比10,414百万円減、27.2%減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの発行等があったものの、配当金の支払や借入金の返済等により、12,638百万円の支出(前年度は20,732百万円の収入)となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

(イ)生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産金額(百万円)

前年度比(%)

タイヤ事業

258,055

△18.4

自動車部品事業

31,861

△15.2

合計

289,917

△18.1

(注)1 金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(ロ)受注状況

 当社グループは製品の性質上、原則として需要見込生産方式を採っております。

 

(ハ)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売金額(百万円)

前年度比(%)

タイヤ事業

306,608

△7.9

自動車部品事業

37,110

△16.7

その他

45

△33.4

合計

343,764

△8.9

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する当該販売実績の割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

American Tire Distributors, Inc.

38,053

10.1

38,733

11.3

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。なお製品補償引当金及び新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りの仮定につきましては、それぞれ「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係) 3 偶発債務」、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

繰延税金資産

 当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。

 なお、当社グループの経営に影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(イ)売上高

 タイヤ事業においては、北米市場において新商品投入及び当社が強みとしている大口径ライトトラック用タイヤやSUV用タイヤなどの販売が好調につき販売量、売上高ともに前年並みでしたが、その他の市場においては新型コロナウルス感染症拡大による需要減少により、また自動車部品事業においては、新型コロナウイルスの感染拡大による完成車メーカーの生産調整の影響を受けたことにより、売上高は343,764百万円(前年度比33,692百万円減、8.9%減)となりました。

 

(ロ)営業利益

 タイヤ事業、自動車部品事業とも、原材料価格の影響等の増益要因があったものの、新型コロナウイルスの感染拡大による需要減少やUSドルを中心とした円高影響により、営業利益は36,328百万円(前年度比2,119百万円減、5.5%減)となりました。一方で、タイヤ事業の北米市場においては商品力強化等により、営業利益率は、10.6%(前年度比0.4ポイント増)となりました。

 

(ハ)経常利益

 主にUSドルを中心とした円高影響の為替差損の発生により、経常利益は30,887百万円(前年度比5,757百万円減、15.7%減)となりました。

 

(ニ)親会社株主に帰属する当期純利益

 特別損失として、製品補償対策費、製品補償引当金繰入額、固定資産の減損損失、関係会社整理損及び新型コロナウイルス感染症による損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は11,682百万円(前年度比12,800百万円減、52.3%減)となりました。

 

 当連結会計年度の財政状態の分析、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、持続的な成長を実現するために、事業機能・経営基盤の強化に一層注力し、重点ターゲット領域での着実な成長を目指しております。具体的には、Toyo Tire North America Manufacturing Inc.やToyo Tyre Malaysia Sdn Bhdをはじめとする工場の生産設備増強や、驚きのある商品を提供する開発力・技術力の進化のため研究開発活動に取り組んでおり、当連結会計年度は、生産設備増強や合理化及び品質向上を中心に25,997百万円、基礎研究技術の強化を中心に969百万円の設備投資を実施しました。これらの投資を含む事業活動に必要な資金は第三者割当増資による増資資金を含めた自己資金及び借入金により賄いました。また、キャッシュ・プーリング・システムの導入等により子会社の資金調達並びに資金管理の一元化を図るなど金融収支を改善するとともに、資金調達手段の多様化や長期借入金比率を高めることにより金利変動リスクのヘッジを行っております。

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、翌連結会計年度の設備投資金額は総額51,327百万円を計画しており、これらの所要資金については自己資金、借入金及び社債の発行により賄う予定です。設備投資計画の主な内容・目的につきましては、「第3 設備の状況3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期経営計画「中計’17」のもと、モビリティ分野をビジネスの中核として、「中計’17」の最終年度となる2020年度に売上高480,000百万円、営業利益60,000百万円、営業利益率12.5%の達成を目指しておりました。当連結会計年度は、事業譲渡及び新型コロナウイルス感染症拡大による影響等もあり、売上高343,764百万円、営業利益36,328百万円、営業利益率10.6%となりました。

 また、設備投資については、「中計’17」において2017年度から2020年度までの4ヵ年累計で128,000百万円を計画しており、4年目である当連結会計年度末までの4ヵ年累計で121,704百万円を実施しました。

 当社グループは、今後、2021年を起点とし、2025年を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画「中計'21」の目標達成に向けて取り組んでまいります。

 なお、中期経営計画「中計'21」につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 経営方針 ② 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおりであります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(1)現在、当社が締結している合弁事業契約の主なものは、次のとおりであります。

契約締結日

相手先

契約の内容

1986年12月24日

 

 

 

正新橡膠工業股份有限公司

(中華民国)

 

 

中華民国における自動車用防振ゴム製造会社として、洋新工業股份有限公司を合弁にて設立し運営する旨の契約であります。

なお、洋新工業股份有限公司に対する出資比率は以下のとおりであります。

当社                         50%

正新橡膠工業股份有限公司               50%

 

(2)現在、当社が締結している業務提携契約の主なものは、次のとおりであります。

契約締結日

相手先

契約の内容

2008年5月16日

 

 

 

 

 

 

 

株式会社ブリヂストン

 

 

 

 

 

 

 

世界のタイヤ・ゴム産業における需要構造、競争構造、収益構造その他の経営環境の変化に対応して更なる企業価値の向上を図るため、それぞれの事業運営の独立性を維持しつつ、業務及び資本について緩やかな提携を図るものであります。

本合意書の締結後、業務提携の分野を選定し、その個々の分野における業務提携について協議及び検討を開始いたします。資本提携は、2008年10月16日を払い込み期日とする第三者割当により、株式会社ブリヂストンは、当社の新株20百万株(2008年5月16日現在)を引き受け、当社は株式会社ブリヂストンの自己株3.9百万株を引き受けるものであります。

2018年11月1日

 

 

 

 

 

 

 

三菱商事株式会社

 

 

 

 

 

 

 

将来の成長に向けて事業と経営の基盤を更にステージアップさせるために、三菱商事株式会社と業務及び資本について提携を図るものです。業務提携は、当社と三菱商事株式会社が「販売力強化」、「技術力強化」、「リソース強化」の各テーマで協働し、協力体制を強化してシナジー効果の最大化に取り組んでいくものです。また、資本提携は、両者間のより安定的な資本関係を構築し、かかる資本関係を基礎として、両者の得意分野や経営資源の有効活用を促進することでシナジーを実現し、それぞれの企業価値を向上させることを目的としております。2019年2月12日を払い込み期日とする第三者割当により、三菱商事株式会社が当社の新株26,931,956株を引き受けました。

 

5 【研究開発活動】

 当社は、魅力的な商品を提供することはもちろん、最新の技術を駆使することにより、未来のモビリティ社会の創造にも取り組み、自動車産業の振興や発展、豊かなクルマ文化の活性につながるべく、研究、開発を推進しております。

 Nano Balance Technologyの一環として、新たにマテリアルズ・インフォマティックス(MI技術)を利用したゴム材料の特性予測技術や材料構造の最適化技術を開発しました。今後、MI技術を駆使した新素材の実現を進め、「高性能な製品開発」と「開発時間短縮・コスト低減」の両立を図ってまいります。

 また、トラックやバスなど、運輸車両の個別運行状況に応じ、AIを駆使し、タイヤの使用(摩耗)状態を推定するモデルを構築しました。今後、各種デジタル情報を有機的に連関し、顧客使用状況から素材開発へのフィードバック、タイヤ設計への適用、最適生産へ展開といった「付加価値のループ」を図ってまいります。

 2012年からオンプレミスで利用開始した仮想デスクトップ環境のクラウドへの移行、回線接続の整備などをおこない、社内外から同一環境での業務遂行が可能となりました。これにより、二度の緊急事態宣言下においても、在宅勤務が可能となりました。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は10,437百万円であります。うち、各事業部門に配分できない基礎研究の費用は1,145百万円であります。

 

 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1)タイヤ事業

 当社は、データ分析やAI技術を活用し、タイヤに取り付けられたセンサー情報から走行中のタイヤグリップ力とその限界(タイヤ力)をリアルタイムに検知し、可視化する「タイヤセンシング技術」を開発しました。より安全で安心な移動を支援するだけでなく、路面と唯一接するタイヤをセンサーとして扱うことで、外部のさまざまな知見や技術との共創(オープンイノベーション)により、次世代のモビリティ社会に向けてタイヤに新しい付加価値を生んでまいります。現在、種々の条件におけるデータを収集し、公道実証に向けた仕組み作りに取り組んでおります。

 またCAEとAIを融合した自動車用タイヤ開発プロセス「T-MODE」を活用したリアルタイムシミュレーション技術のプレスリリースを行いました。設計仕様と解析データを一元管理するデータマネージメントシステム(SPDM)を活用し、設計仕様をインプットすれば機械学習を用いてタイヤ性能の予測値を瞬時に導き出すリアルタイムシミュレーションが可能となりました。このことによって、タイヤ開発のリードタイムの削減が期待できます。さらに、SPDMの解析自動化技術開発を進め、設計者が解析作業時にパラメータスタディを容易に実施できる環境を構築しました。このことによって、機械学習に用いる解析データを効率的に蓄積することが可能になりました。

 国内市販用タイヤについては、国内市場に投入しているSUV用タイヤ「OPEN COUNTRY R/T(オープンカントリーアールティー)」において、2020年4月下旬より、新サイズを加え、サイズラインアップを拡充し続けております。「OPEN COUNTRY R/T」はマッドテレインとオールテレインの特徴を兼ね備えた新カテゴリのタイヤとして、国内では軽自動車からSUVまで、充実のラインアップを取り揃えております。加えて、乗用車用スタッドレスタイヤ「OBSERVE GIZ2(オブザーブ・ギズツー)」を新商品として8月1日より国内市場で発売しました。OBSERVE GIZ2は地球温暖化時代の日本の降雪期に求められる性能を追求し、ウェット性能を高めて冬道での路面変化に対応するとともに、ゴムの経年変化による氷上での摩擦力低下を抑制、アイス路面での性能が長持ちするようにも配慮しました。また、SUV用タイヤとして販売している全天候型のタイヤ「CELSIUS(セルシアス)」の適用対象車種を広げ、2020年11月より順次、サイズラインアップを拡充しております。さらにSUV専用の新商品として「PROXES CL1 SUV(プロクセス・シーエルワン・エスユーブイ)」を2021年1月14日より国内市場で発売します。前述の「OBSERVE GIZ2(オブザーブ・ギズツー)」及び「CELSIUS(セルシアス)」につきましては、2020年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を同時受賞しました。

 トラック・バス用タイヤについては、国内市場向けにオールウェザータイヤ「M646(エムロクヨンロク)」を新商品として、2020年3月より発売しております。「M646」は昨今の運輸業界において、メンテナンスや輸送体制の効率化に向けた取り組みが加速する中、環境変化に伴うニーズを踏まえて、耐摩耗性能とウェット駆動力を高次元で両立した商品であります。独自のプロセス技術により、ゴムコンパウンドのエネルギ-ロスを約20%低減できるポリマー「Nano Composite Polymer(ナノコンポジットポリマー)」を採用した新商品を、国内市場向けには「NANOENERGY M176(ナノエナジーエムイチナナロク)」を2020年1月より、北米市場向けには「NANOENERGY M671(ナノエナジーエムロクナナイチ)」を2020年4月より、「NANOENERGY M171(ナノエナジー・エムイチナナイチ)」を2020年7月より発売しております。求められる低燃費性と摩耗性を高次元で達成しております。また国内市場では小型トラック用スタッドレスタイヤ「DELVEX M935(デルベックス エムキュウサンゴ)」を2020年8月より発売しております。刻々と変化する冬の路面での小型トラックの使用環境を踏まえて、アイス性能と耐摩耗性能を高次元で両立することを追求した商品です。

 

 当事業に係る研究開発費は8,068百万円であります。

 

(2)自動車部品事業

 自動車部品では、既存部品の設計技術の標準化や効率化による競争力向上とともに、次世代電気自動車向けとして従来の耐熱性、耐寒性、高耐久性に加え、静粛性ニーズに対応する高トルク負荷時や高周波数領域でも低い動バネ定数を持つモーターマウントの開発を行っております。また、先行技術開発においては、軽量化を軸に新製品の開発を進め、ゴムや金属の代替として樹脂の適用技術も含めた更なる技術向上の取り組みも進めております。

 その他、タイヤ事業の解析技術や評価技術との独自技術を融合させたモデルベース開発の技術構築も進めており、これにより自社の強みを生かしたサスペンションモジュールに関連する自動車部品の最適化提案ができるように取り組んでまいります。

 

 当事業に係る研究開発費は1,222百万円であります。