当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間における経済環境は、米国では、個人消費の勢いに陰りが見られ、インフレ対策としての金融引き締め効果発現により労働市場の軟化、インフレ鈍化傾向が続いており、全体としては景気拡大ペースの鈍化が継続しています。欧州では、金融政策引き締め効果発現により、生産、消費活動の低迷が明確となり、ECB(欧州中央銀行)による利下げが行われたものの、内外需ともに経済活動の復調の勢いは乏しい状態が継続しています。わが国では、各種政策の効果や賃上げ効果もあり景気は緩やかな回復が期待されるものの、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクや物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動、米国大統領選挙の動向等を注視する必要があります。
このような状況のもと、当社グループは2021年を起点とする5ヵ年の中期計画「中計'21」を策定し、その中で掲げた各種経営指標を実現するため、これまで培ってきた得意分野や独自性、研鑽してきた機能別組織機能、変革・強化を図ってきたガバナンスやコンプライアンス体制をベースに置きながら、取り巻く変化に迅速、かつ柔軟に適応する力を当社グループ全体で強化することに取り組みました。
この結果、当中間連結会計期間の売上高は273,501百万円(前年同期比8,044百万円増、3.0%増)、営業利益は47,569百万円(前年同期比20,895百万円増、78.3%増)、経常利益は59,770百万円(前年同期比21,009百万円増、54.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は42,005百万円(前年同期比12,882百万円増、44.2%増)となりました。
セグメントの経営成績を示すと、次のとおりであります。
① タイヤ事業
北米市場における市販用タイヤについては、インフレの長期化やアジア品を中心とした安価なタイヤの流入があり、販売量は前年度を下回りました。一方、OPEN COUNTRY A/T Ⅲ(オープンカントリー・エーティースリー)やNITTO RIDGE GRAPPLER(ニットー リッジグラップラー)など重点商品の堅調な需要と円安基調による為替の影響を背景に、売上高は前年度を上回りました。
欧州市場における市販用タイヤについては、採算性を意識した供給戦略の推進に加えて紅海情勢悪化による物流遅延の影響等を受けて、販売量は前年度を大きく下回りました。販売量の減少に伴い売上高も前年度を下回りましたが、値上げや商品ミックスの改善による収益性の改善に努めました。
国内市場における市販用タイヤについては、昨年実施した値上げ前の駆け込み需要に対する反動減と国内需要の減少から販売量は前年度を大きく下回りました。販売量の減少に伴い売上高も前年度を下回りましたが、新商品PROXES CF3(プロクセス・シーエフスリー)や OPEN COUNTRY(オープンカントリー)シリーズなど付加価値商品への販売シフトによる収益性の改善に努めました。
新車用タイヤについては、当社製品装着車種の販売が低調であったことなどにより、販売量及び売上高ともに前年度を下回りました。
その結果、タイヤ事業の売上高は251,291百万円(前年同期比8,768百万円増、3.6%増)、営業利益は46,898百万円(前年同期比19,498百万円増、71.2%増)となりました。
② 自動車部品事業
自動車部品事業については、一部自動車メーカーの生産減影響を受けて、売上高は22,209百万円(前年同期比715百万円減、3.1%減)と前年度を下回るも、受注ミックスの改善などにより営業利益は660百万円(前年同期は728百万円の営業損失)となりました。
(2)財政状態の状況
当中間連結会計期間末の総資産は721,039百万円となり、前連結会計年度末に比べ75,558百万円増加しました。これは、主として、現金及び預金や棚卸資産が増加したことによります。
また、負債は267,570百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,289百万円増加しました。これは、主として、短期借入金が増加したことによります。なお、有利子負債は118,888百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,173百万円増加しました。
当中間連結会計期間末の純資産は453,468百万円となり、前連結会計年度末に比べ58,269百万円増加しました。これは、主として、親会社株主に帰属する中間純利益の計上により利益剰余金、円安の影響により為替換算調整勘定が増加したことによります。
この結果、自己資本比率は62.9%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローは、営業活動による収入が30,920百万円となり、投資活動による支出が13,236百万円となったため、純現金収支(フリーキャッシュ・フロー)は17,683百万円となりました。財務活動においては3,277百万円の支出となりました。以上の結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、これら収支に為替換算差額の増加額を合わせ71,746百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税の支払や棚卸資産の増加等の減少要因があったものの、税金等調整前中間純利益や減価償却費の計上等の増加要因により、30,920百万円の収入(前年同期比3,420百万円増、12.4%増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資に伴う有形固定資産の取得による支出等により、13,236百万円の支出(前年同期比2,174百万円減、14.1%減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金による調達等があったものの、配当金の支払等により、3,277百万円の支出(前年同期比9,972百万円減、75.2%減)となりました。
(4)経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に重要な変更及び新たに定めたものはありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、当中間連結会計期間において、その内容に重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は6,160百万円であります。
当中間連結会計期間における研究開発活動の状況の重要な変更は、次のとおりであります。
〔タイヤ事業〕
国内市販用タイヤについては、グローバル・フラングシップタイヤブランド「PROXES」シリーズにおいて、低燃費コンフォートタイヤ「PROXES CF3(プロクセス シーエフスリー)」を1月より発売しました。「PROXES CF3」は、低燃費性能とウェットグリップ性能を高次元で両立した商品です。非対称のトレッドパターンを採用することによって機能の分担を図り、制動性と操縦安定性を高め、また静粛性を確保し、スムーズで快適な走りに寄与しています。またコンパウンドにはシリカ分散剤を採用し、転がり抵抗の低減、ウェット性能及び耐摩耗性能の向上に効果を発揮するシリカをより均一に分散させることで、これらの性能を高次元で最適化させています。
トラック・バス用タイヤについては、小型EVトラック専用リブタイヤ「NANOENERGY M151EV(ナノエナジーエムイチゴイチイーブイ)」と、小型トラック用リブタイヤ「DELVEX M135(デルベックスエムイチサンゴ)」の2商品を6月より国内市場で発売しました。「NANOENERGY M151EV」は今後増加が予想されるEVの特性に合わせて当社トラック・バス用タイヤでは初めてのEV専用非対称パターンと、新開発の耐摩耗NCPコンパウンドの採用により、トラクション性能と耐摩耗性能を高次元で両立させ、さらにEVにおける低電費性能を追求した商品です。「DELVEX M135」は小口配送が主体の小型トラックに最も重要な耐摩耗性能と、低燃費性能の向上を兼ね備え、ウェット性能を維持した経済性と安全性に配慮した商品です。北米市場では、エネルギー採掘、農業、建設、林業などの用途で悪路走破性と雪路での走行性に優れ好評の「TOYO M655(トーヨーエムロクゴゴ)」を、ホイール径17インチと18インチを装着するピックアップトラック用にサイズ拡充し4月より発売しました。また、大型トラック用として、「TOYO M171+(トーヨーエムイチナナイチプラス)」「TOYO M671A+(トーヨーエムロクナナイチエープラス)」「TOYO M677+(トーヨーエムロクナナナナプラス)」の3商品に新開発の耐摩耗NCPコンパウンドを採用し、従来の低燃費性能は維持しつつ耐摩耗性能を向上させ4月より発売しました。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。