第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「調和と誠実の精神をもって、社会のニーズに沿った新たな付加価値とより高い品質を日々創造、提供し、お客様をはじめとする社会の信頼に応え、社業の発展を期するとともに、バンドーグループの従業員たることに誇りを持ち、社会に貢献することを期する」ことを経営理念としております。

この理念のもとに、当社グループは、ゴム・プラスチック製品メーカーのパイオニアとして、お客様のニーズに応えるべく、新技術や新製品を開発し、これらを社会に提供することにより、当社グループの企業価値を高め、お客様をはじめとして、株主、取引先、従業員および社会の期待に応えるとともに、企業倫理を遵守し、環境保全に配慮した事業経営をすすめることにより、企業としての社会的責任を全うしてまいりたいと考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、2023年度から2026年度までを中長期経営計画“Creating New Value for the Future”の第1ステージ(CV-1)と位置づけ、次のとおり経営目標を設定し、全社一丸となって、この目標の達成を目指してまいります。

 

売上収益(連結)……………120,000百万円

コア営業利益(連結)………12,000百万円

ROE(連結) …………………12.0%

※コア営業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

(3)経営環境および会社の優先的に対処すべき課題(CV-1の基本戦略)

今後の見通しにつきましては、米国をはじめとする各国施策の影響によっては、世界経済にとって不確実性の高い状況の継続が予想されます。

当社グループの主要な市場である自動車分野におきましては、電動化のさらなる進展が見込まれており、持続的成長を図るためには事業構造改革が不可欠となっております。

このような認識のもと、当社グループは、中長期経営計画“Creating New Value for the Future”の3つの指針に沿って、経営目標の達成を目指してまいります。

 

指針1.価値創造

既存事業と新規事業の拡大をグローバルで推進し、グループ内外との連携にスピード感をもって取り組み、持続的成長につながる事業ポートフォリオを目指してまいります。

具体的には、新規事業においては、電子資材事業、医療機器・ヘルスケア機器事業を新たな事業の柱とすべく取り組んでまいります。このうち、電子資材事業においては、光学用透明粘着剤シート「Free Crystal®(フリークリスタル)」や高熱伝導シート「HEATEX®(ヒートエクス)」などで具体的な引き合いが増加しており、さらなる事業拡大に向けて活動を継続してまいります。医療機器・ヘルスケア機器事業においては、嚥下運動モニタ「B4S™(ビーフォーエス)」など、伸縮性ひずみセンサ「C-STRETCH®(シーストレッチ)」を活用した製品や吸収性骨再生用材料「e=Bone®(イーボーン)」の拡販活動を継続してまいります。また、これらの領域以外にも当社独自の撥水技術を活用したコンクリート型枠用撥水・透水シート「ウィルティア® シート」のような新規領域の探索も併せて実施してまいります。

また、既存事業においては、成長領域での深化、キャッシュ創出力の最大化を図ってまいります。自動車部品事業においては、電動化対応製品、環境規制対応製品の拡充やグローバルアフターマーケットへの拡販、パーソナルモビリティ市場への事業拡大を図ってまいります。産業資材事業においては、顧客ニーズに沿った新製品の投入により、農機用ベルト、軽搬送用ベルトおよびシンクロベルトの重点市場での拡販や成長市場への参入とシェア拡大を図ってまいります。高機能エラストマー製品事業においては、ウレタンベルトの拡販とともに、環境対応や意匠性などに優れるフイルム製品の拡販により、事業の拡大を図ってまいります。

さらに、inaho株式会社への出資やInmotive Inc.との戦略的パートナーシップ契約など、スタートアップ企業との共創を通して、コア事業の深化に加え、新規事業の進化を加速させてまいります。

このように、事業ポートフォリオ転換に向けたコア事業でのキャッシュ創出の最大化と新規事業へのリソース投入に取り組むとともに、将来を見据えた投資も積極的に進めてまいります。

 

指針2.スマートものづくり創造

今後は少子高齢化による労働力人口の減少をはじめとする様々な環境変化が見込まれます。それらを踏まえ、これまで築き上げてきた現場力と最新のデジタル技術を組み合わせることにより、ものづくりの技術と体制を進化させ、収益力の向上を進めてまいります。

具体的には、連結売上原価率70%未満の定着を図るため、主要製品の製造ラインについて、生産性・採算を重視した改善活動とそれを支える現場人材の強化を通じて、高い品質と併せて稼ぐ力のさらなる向上を図ってまいります。また、バンドー夢工場への実現に向けて、AIやIoT技術を駆使したスマート製法の開発とこれを推進するデジタル人材を育成するとともに、従業員が安全に安心して働ける環境づくりと地球環境に優しいものづくりに引き続き取り組んでまいります。

 

指針3.未来に向けた組織能力の進化

当社グループを取り巻く環境がグローバルで劇的に変化していくなか、事業ポートフォリオの継続的な転換を含め、環境変化にしなやかに対応していく必要があることから、組織能力を進化させてまいります。

具体的には、重点課題への選択と集中を行い、グローバルでやり遂げる組織体制や仕組みの確立を図ってまいります。また、従業員にとって働きがいのある魅力的な組織を目指すため、エンゲージメントサーベイで明らかになった様々な課題に対して、各種制度の見直しや労働環境の改善を行い、多様な一人ひとりが個性、能力を発揮し、自律していきいきと働くことにより、個人と組織が互いの進化に寄与し合える環境を目指してまいります。さらに、脱炭素社会に貢献する製品や省エネを実現する製品の開発と拡販などを推進してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)気候変動

    気候変動は、自然環境や生態系のみならず、経済・社会にも甚大な影響を与える世界的な課題です。当社グループは、気候変動への対応を重要課題の1つとして認識し、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の情報開示の枠組みを活用し、リスクと機会の抽出、評価を行い、サステナブルでレジリエントな事業展開をめざしています。

 

   ①ガバナンス

    当社グループでは、気候変動に係る重要事項について、執行役員で構成される「経営課題審議会」で審議しております。また、「サステナビリティ委員会」において、「経営課題審議会」で審議された気候変動課題への対応方針等を共有し、気候変動課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行っています。

    取締役会は、「サステナビリティ委員会」で討議・決議された内容の報告を受け、当社グループの気候変動課題への対応方針および実行計画について討議・監督を行っています。

 

    取締役社長は、「経営課題審議会」の議長であると同時に「リスク管理委員会」、「サステナビリティ委員会」の委員長を務め、当社グループの気候変動課題に係る経営判断の責任を負っています。

 

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   ②戦略

    気候変動関連の1.5℃シナリオおよび4℃シナリオにおける事業リスクと機会のシナリオ分析を実施しました。当社グループの事業においては、気候変動対策として進む自動車のEV化にともなう新車向け補機駆動用伝動ベルトの売上減少を最大のリスクと位置付けています。当該リスクに対応するため、当社グループの強みを深掘りし、その強みを軸とした新たな価値を創造し提供することによって、新事業・現事業の進化に取り組みます。

    新事業においては、「医療機器・ヘルスケア機器」と「電子資材」に注力し、新たな事業基盤を確立する取り組みを進めています。そのなかで、「医療機器・ヘルスケア機器」では、2019年に株式会社Aimedic MMTの株式を取得することで、当社が独自開発した製品を活用した医療機器を同社から販売するとともに、当社においてもヘルスケア機器の販売を開始しています。「電子資材」では、当社のコア技術を活用した製品を開発し、販売しています。現事業においては、2030年頃まで需要が続く見込みの内燃機関を使用した自動車補修市場向け補機駆動用伝動ベルトのシェアを拡大するとともに、EV向け製品を開発・提供することで、事業成長を図ります。

    また、気候変動対応に貢献する製品開発にも積極的に取り組み、当社グループのネットワークを通じて、幅広い業界に提供します。

    当社グループでは、事業活動にともなうCO2排出量を削減するため、2022年5月、2050年カーボンニュートラル実現を目指す目標を設定し、2023年度からスタートした中長期経営計画は、シナリオ分析の結果を経営戦略に組み込んで策定しました。

 

    シナリオの選定

    TCFDが推奨する分類に沿って、当社グループが直面する気候変動リスクをリストアップし、発生可能性の高い項目を評価対象として選定した上、国際エネルギー機関(IEA)と気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が提示する気温上昇1.5℃と4℃に相当するシナリオおよび社内外の情報に基づき、「リスクの最小化が求められる課題」と「リスクを機会に変えられる課題」に区分して、財務影響度を「大」「中」「小」の3段階で評価し、それぞれの項目で重点施策を洗い出しました。

 

    使用シナリオ

 1.5℃:IEA World Energy Outlook(NZE、SDS)、Global EV Outlook(NZE)、IPCC(SSP2.6、SSP1.9)等

 4℃:IPCC(SSP8.5)等

 

    ■評価の範囲と期間

     シナリオ分析にあたって、次のとおり範囲と期間を設定して評価を行いました。低炭素社会への移行リスクと機会については規制の影響などを受ける1.5℃シナリオ(2030年)、また気候変動による物理リスクについては、気温上昇の影響が大きくなる4℃シナリオ(2050年)で分析を行いました。2022年は全事業、バンドー化学と国内グループの生産拠点を対象に、2023年は海外グループの生産拠点を対象に分析を行いました。

 

リスク・機会

対象期間

シナリオ

範囲

リスク(移行)

~2030年

1.5℃

全事業

リスク(物理)

~2050年

4℃

バンドー化学、国内グループ、海外グループ(いずれも生産拠点)

機会

~2030年

1.5℃

全事業

 

    ■シナリオ分析に基づく評価結果

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影響度:大 売上3%以上、中 売上0.5%以上~3%未満、小 売上0.5%未満

影響時期:短期 ~2026年 中期 ~2030年 長期 ~2050年

 

 

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   ③リスク管理

    当社グループは、リスクを「企業存続と事業目標の達成を阻害する事象が発生する可能性」と定義しています。事業経営に重大な影響を与える重要リスクについては、「リスク管理委員会」でその発生可能性や影響度を分析・評価して特定し、対応について討議・決定しています。特に気候変動に係る課題は重要リスクと位置づけ、実行計画を策定し、「サステナビリティ委員会」と連携して進捗のモニタリングを行い、取締役会に報告しています。

    気候変動に係る個別のリスクと機会については、網羅的に抽出した上で、当社グループにとっての影響度と発生可能性から、その重要性を評価しています。特に重要と評価されたリスクと機会については、当社グループの戦略に反映し、対応しています。

 

   ④指標と目標

    2022年5月当社グループは、2050年までに当社グループのCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラル実現に向けて、2030年までに燃料使用および電力に由来するCO2排出量を2013年度比38%削減する目標(当社単体)を設定しました。目標達成に向け、新製法への転換や太陽光発電の積極的な導入をはじめとする活動実行計画を策定し、取り組みを推進しています。

    また、CO2排出量削減や省エネルギーに貢献する製品を環境対応製品として位置づけ、2026年度上市新製品の50%以上とすることを目標に掲げ、進捗を確認しています。

  実績

指標

範囲

2023年度実績

目標

SCOPE1+2

総排出量削減率

バンドー化学

10.9%削減

2030年38%削減(2013年度比)

2050年カーボンニュートラル

上市新製品のうち

環境対応製品の比率

バンドー化学

66%

2026年度 50%以上

 

 

  (2)人的資本・多様性

   ①人材育成の方針

「専門性と創造性と主体性を持った人材の育成」を目指す姿として、(1)自己啓発の促進と働きがいの向上 (2)業務を通しての育成と多様性の確保 (3)資質を活かした育成と一体感の醸成 の3つを人材育成の基本方針としています。

 

   ②社内環境整備方針

上司と部下の対話と支援をベースとした働きがい改革を行い、人材を惹きつけられる魅力的な組織を目指して、諸施策の整備を進めます。

 

   ③人材育成・社内環境整備の考え方及び主な取り組み

事業ポートフォリオの転換に向けて、新規事業の進化とコア事業の深化を加速させるために継続的なイノベーションの実現が不可欠と認識しています。そのためには特に多様性の確保が重要であり、また多様な個が活躍し、組織として力を発揮するためには、一人ひとりが働きがいを持っていきいきと働くことができる環境づくりが大切であるとの認識から、2023年度からはエンゲージメントの向上を目標に掲げて人材関連施策を立案・推進しております。

なお、当社グループでは、「人材育成の方針および社内環境整備方針」に基づいて取り組みを行っているものの、全ての連結グループに属する会社において、各項目の指標や実績データ等について把握が困難であるため、以下の目標および実績は提出会社のみ記載しております。

 

   (ⅰ)研修と教育

      当社は、従業員一人ひとりが能力を高め、仕事に意欲的に取り組み、チームワークに徹することを期待しています。また社会の一員として心の豊かな人・心にゆとりのある人・社会に役立つ人を育成するために、教育制度の充実に力を入れています。教育体系は階層別教育と機能別教育の2つに分け、階層別教育では部門を横断し階層ごとの役割認識や対人力の向上を目指し、機能別教育は職務遂行上必要な専門知識の習得を目的として実施しています。

従業員(正社員)一人当たりの年間平均研修時間および受講人数(2024年度)

研修時間:37.1時間  受講人数:752名

 

   (ⅱ)従業員エンゲージメントの向上

      企業の持続的成長には、多様な人材が個々の強みや能力をいかんなく発揮し、活力ある組織であることが大前提であるという認識のもと、雇用形態のあり方、賃金制度や評価制度、個別待遇など様々な切り口から総合的な処遇改善に努めるとともに、多様な一人ひとりが働きがいを持っていきいきと働くことができる組織風土の構築に尽力しています。

      従業員エンゲージメントを測定するために、2023年度から全従業員を対象としたエンゲージメントサーベイを実施しており、このエンゲージメントサーベイスコアをKPIとし、2026年度までに70.0点以上を達成することを目標として、既に職場ごとに組織改善の取り組みを進めています。また、マネジャーやリーダーの行動変容と対話を促すための新しい取り組みとして、2024年度から360度フィードバックを導入しております。

項目

定量目標(単体)

実績(2024年度)(単体)

エンゲージメントサーベイ

スコア

70.0以上

2026年度

64.7

 

   (ⅲ)ワークライフバランスの支援・向上

      一人ひとりがやりがいを感じながら働きやすい環境を整えるため、フレックスタイム制、年次有給休暇の時間単位取得等の制度を導入しております。2019年10月には、従業員の子育て支援を積極的に推進している子育てサポート企業として「くるみん認定」を取得しました。さらに、これまで育児・介護等に携わる一部の従業員を対象としていた在宅勤務制度の対象範囲を2021年4月から全従業員に拡大し、現在もこれを継続しています。

 

   (ⅳ)多様な人材の活躍推進

      多様な人材の能力を結集し、新たな価値を創造し続けるために、多様性を活かす組織・風土づくり、公正な雇用機会と評価、ワークライフバランスの推進、自律的な人材・管理者の育成等に取り組んでいます。数値目標を意識した採用活動・雇用のほか、教育訓練の対象者の選定や、昇格・任用の場面では、性別や年齢、国籍等にかかわらず、能力や専門性、識見・人格等を軸として評価・運用しています。

 

項目

定量目標(単体)

実績(2024年度)(単体)

大卒(高専・短大・院卒含む)の

新規採用者に占める女性比率

20以上

17.2

外国籍社員の採用

1以上

2

障がい者雇用率

2.5以上

2.35

 

 

   (ⅴ)健康経営への取り組み

      2017年に健康担当役員を任命し、「バンドーグループ健康宣言」を制定して以降、従業員自身が策定する「健康ビジョン」の実現を支援するとともに、各事業所に設置された「健康いきいき職場づくりチーム」を中心に、職場改善活動を展開しています。さらに、2028年4月からの敷地内全面禁煙に向けたロードマップも新たに策定し、より良い職場環境の実現と、従業員の心身の健康保持・増進に取り組んでいます。

 

    〈バンドーグループ健康宣言〉

 

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    〈健康経営推進体制〉

 

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    このように会社と従業員が“がっちり”一体となった取り組みが評価され、2018年以降、健康経営銘柄に4度、健康経営優良法人(ホワイト500)に2度選定されました。また、2023年度からは、健康投資から施策の効果までのつながりを明らかにした「健康経営戦略マップ」を策定し、運用しています。今後も従業員一人ひとりの心身の健康を基盤とした組織づくりを推進していきます。

 

    〈健康経営戦略マップ〉

 

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(*)基本的に「健康投資」と「健康投資施策の取組状況に関する指標」は1対1で対応する。しかし、中には複数の「健康投資施策の取組状況に関する指標」に対応する「健康投資」も存在するため、そのような「健康投資」を「様々な効果に関連する健康投資」とする。

 

    〈健康経営戦略マップに掲げる主要指標の実績〉

 

項目

定量目標

(単体)

実績(単体)

2023年度

2024年度

エンゲージメントサーベイ

スコア(再掲)

70.0点以上

※2026年度

65.0点

64.7点

プレゼンティーズム

35.0以下

2026年度

35.7%

35.2

アブセンティーズム

0.40以下

0.64%

0.73

 

    ※指標についての注釈

     プレゼンティーズム:WHO-HPQを軸に、ストレスチェック結果と掛け合わせて算出。(外部業者指標)

     アブセンティーズム:何らかの疾病により、7日以上休業となった従業員の休業日数から算出(休業日数率)

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項については、次のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)海外取引拡大に伴うリスク

 現在、相当程度の外貨建金銭債権について為替予約等のリスクヘッジを行っており、今後とも適切なリスクヘッジ対策を実施してまいりますが、為替変動が業績に影響を与える可能性があります。
 また、当社グループは、海外の生産、販売体制の強化を進めておりますが、各地に係る経済状況等の変化は、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)リコール発生に伴うリスク

 当社は、部品メーカーであり、自動車メーカー、OA機器メーカーおよび消費生活用製品メーカー等に当社の製品を納入しております。
 また、当社の子会社および持分法適用会社は、主としてこれら製品の製造、加工、販売を行っております。当社グループにおきましては、製品の品質を、現在の事業を維持、発展させるためのもっとも重要なものの1つであると考え、各種の施策、対策を実施し、製品の品質確保に最大限の注力を行っております。しかしながら、これらの製品(部品)を組み込んだ自動車等の不具合の原因が当社グループの供給した製品にある場合、リコール等の処置がなされる場合が考えられます。
 このような事態が発生した場合、契約上も、法律上もリコール等の処置にかかわる費用を負担しなければならない場合が考えられます。この場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

(3)原材料の市況変動および調達に伴うリスク

 当社グループでは、随時市況価格および需給状況を注視しながら取引業者との納期交渉や価格交渉にあたっておりますが、原油価格の上昇により原材料価格が上昇する可能性があります。需給の安定化のために代替材料の検討を進め、原材料の上昇に対しては製品価格の是正や値上げおよび総原価の低減の取り組みを強化しておりますが、需給の滞りや想定以上に材料、燃料等の値上げが続く場合、業績に影響を与える可能性があります。

 

(4)自然災害や感染症等の発生に伴うリスク

 東海地震、東南海・南海地震や台風等の自然災害の発生または感染症等の拡大により、事業活動が大きく影響を受ける可能性があります。当社グループは、生産拠点間の相互補完による製品供給体制の確立をはじめとして、事業の継続や早期復旧を図るために必要な対策・手順について計画を立て、影響を最小限に止めるための体制の整備に取り組んでおります。しかしながら、自然災害や感染症等のすべてのリスクを回避することは困難で、当社グループの想定を超える規模での発生も考えられます。このような場合、事業活動が縮小されるなど、業績に影響を与える可能性があります。

 

(5)保有資産の価値変動に伴うリスク

 当社グループは、様々な有形固定資産や無形資産を保有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待通りのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合があり、減損処理した場合、業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 

 

2024年3月期

(百万円)

2025年3月期

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上収益

108,278

115,593

7,314

6.8

 

自動車部品事業

53,282

58,056

4,773

9.0

 

産業資材事業

36,672

38,100

1,427

3.9

 

高機能エラストマー製品事業

13,769

14,216

446

3.2

 

その他

5,352

6,095

743

13.9

 

調整額

△798

△875

△76

コア営業利益(セグメント利益)(△は損失)

7,584

7,743

159

2.1

 

自動車部品事業

4,111

4,897

785

19.1

 

産業資材事業

3,492

2,541

△951

△27.2

 

高機能エラストマー製品事業

△151

△15

136

 

その他

73

296

223

306.2

 

調整額

57

23

△34

△59.9

営業利益

7,772

3,480

△4,292

△55.2

親会社の所有者に帰属する当期利益

6,180

1,496

△4,683

△75.8

 (注)コア営業利益(△は損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

当連結会計年度における世界経済は、地政学的緊張の高まりが長期化するなか、中国における景気回復の遅れや、米国における個人消費の減速感、また製造業における停滞基調が一部地域でみられるなど、全般として景気回復が緩やかにとどまる状況で推移いたしました。

当社グループの主要な市場である自動車分野におきましては、中国市場における電動化の進展や東南アジアの自動車市場の低迷などもあり、日系自動車メーカーの自動車生産台数が総じて前年度を下回る状況で推移いたしました。

このような状況のなか、当社グループは、中長期経営計画“Creating New Value for the Future”の第1ステージの2年目として、「価値創造」、「スマートものづくり創造」、「未来に向けた組織能力の進化」の3つの指針を掲げ、「人と社会を支え、今と未来をつなぐBEST PARTNER」を目指して活動してまいりました。「価値創造」では、AIを活用した農業自動収穫ロボットを中心に生産者向けサービスを提供するinaho株式会社への出資や電動二輪車/三輪車向け二段変速機の開発を行うInmotive Inc.との戦略的パートナーシップ契約の締結など、スタートアップ企業との共創による新しい価値創造を進めてまいりました。さらに、装飾表示用フイルムの新製品など、既存製品に新たな価値を加えた新製品を開発いたしました。また、「スマートものづくり創造」では、「バンドー夢工場」の実現に向けて、AIを活用した自動検査装置の導入や製造条件の分析に挑戦するとともに、これらを推進するデジタル人材の育成を進めてまいりました。そして、「未来に向けた組織能力の進化」では、従業員のエンゲージメント向上のための取り組みやCO2削減目標に向けた施策の実行など、進化を支える土壌づくりとして人と組織の能力向上を図ってまいりました。

これらの結果、当連結会計年度は、売上収益は115,593百万円(前年同期比6.8%増)、コア営業利益は7,743百万円(前年同期比2.1%増)、営業利益は連結子会社に係る減損損失などを計上したことにより3,480百万円(前年同期比55.2%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,496百万円(前年同期比75.8%減)となりました。

 

《セグメント別の状況》

事業(セグメント)別の状況は、次のとおりであります。

 

[自動車部品事業]

国内においては、自動車生産台数が減少しましたが、当社製品採用車種の増加により、補機駆動用伝動ベルト(リブエース®など)および補機駆動用伝動システム製品(オートテンショナなど)の販売が増加いたしました。海外においては、米国において補修市場向け製品の販売が増加いたしました。中国・アジアにおいては二輪車メーカーの生産が回復し、スクーター用変速ベルトなどの販売が増加いたしました。

これらの結果、当セグメントの売上収益は58,056百万円(前年同期比9.0%増)、セグメント利益は4,897百万円(前年同期比19.1%増)となりました。

 

[産業資材事業]

一般産業用伝動ベルトにつきましては、国内においては、産業機械用伝動ベルトの販売が前年並みに推移いたしました。海外においては、欧米において産業機械用伝動ベルトの販売が増加し、中国・アジアにおいては農業機械用伝動ベルトの販売が増加いたしました。

運搬ベルトにつきましては、国内において樹脂コンベヤベルト(サンライン®ベルト)の販売が増加いたしましたが、コンベヤベルトの販売が減少いたしました。

これらの結果、当セグメントの売上収益は38,100百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント利益は製品構成の変化や原材料価格等のコストの上昇により2,541百万円(前年同期比27.2%減)となりました。

 

[高機能エラストマー製品事業]

機能フイルム製品につきましては、建築資材用および装飾表示用フイルムの販売が増加いたしました。

精密機能部品につきましては、精密ベルトの販売が増加いたしましたが、高機能ローラおよびブレードなどの販売が減少いたしました。

これらの結果、当セグメントの売上収益は14,216百万円(前年同期比3.2%増)、セグメント損失は15百万円(前年同期はセグメント損失151百万円)となりました。

 

[その他事業]

その他の事業といたしましては、ロボット関連デバイス事業、電子資材事業および医療機器事業などを行っており、売上収益は6,095百万円(前年同期比13.9%増)、セグメント利益は296百万円(前年同期比306.2%増)となりました。

 

上記の各セグメント別売上収益およびセグメント利益または損失は、セグメント間取引消去前の金額で記載しております。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4,928百万円減少し、120,693百万円となりました。これは主に、有形固定資産およびのれんが減少したことによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ1,919百万円減少し、38,191百万円となりました。これは主に、営業債務及びその他の債務、借入金および未払法人所得税が減少したことによるものです。

資本は、前連結会計年度末に比べ3,009百万円減少し、82,501百万円となりました。これは主に、自己株式の取得を実施したことに加え、利益剰余金が減少したことによるものです。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の67.8%から68.0%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ219百万円減少し、17,715百万円となりました。各連結キャッシュ・フローの状況とその主な増減要因は、以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ3,297百万円収入が減少し、10,762百万円の収入超過となりました。これは主に、棚卸資産などの運転資本の増加額および法人所得税の支払額が増加したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ550百万円支出が減少し、4,186百万円の支出超過となりました。これは主に、資本性金融商品の売却による収入が増加したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比べ2,051百万円支出が減少し、6,908百万円の支出超過となりました。これは主に、株主総還元額が増加した一方で、有利子負債の削減額が減少したことによるものです。

 

④生産、受注および販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品事業

52,450

108.7

産業資材事業

29,964

106.9

高機能エラストマー製品事業

11,949

104.5

報告セグメント計

94,365

107.6

その他

2,149

109.3

合計

96,514

107.6

 (注)金額は、販売価格によっております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品事業

57,967

106.4

3,253

97.3

産業資材事業

39,326

110.4

7,877

118.5

高機能エラストマー製品事業

14,332

105.0

1,612

107.7

報告セグメント計

111,625

107.6

12,743

111.0

その他

5,247

115.0

122

120.2

合計

116,873

107.9

12,866

111.0

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品事業

58,056

109.0

産業資材事業

38,093

103.9

高機能エラストマー製品事業

14,216

103.3

報告セグメント計

110,366

106.4

その他

5,227

114.6

合計

115,593

106.8

 (注)主な相手先別の販売実績で、総販売実績に対する割合が10%を超えるものはありません。

 

なお、「生産実績」「受注実績」および「販売実績」は、セグメント間取引消去後の金額を記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針および見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、過去の実績および決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 および 4.重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、次のとおりであります。

なお、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

a.売上収益

売上収益は115,593百万円となり、前連結会計年度に比べて6.8%増となりました。これは主に、自動車部品事業および産業資材事業が増収となったことによるものです。

b.コア営業利益

コア営業利益は7,743百万円となり、前連結会計年度に比べて2.1%増となりました。これは主に、売上収益が増収となったことによるものです。

c.営業利益

営業利益は3,480百万円となり、前連結会計年度に比べて55.2%減となりました。これは主に、当連結会計年度に連結子会社に係る減損損失などを計上したことによるものであります。

d.親会社の所有者に帰属する当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益は1,496百万円となり、前連結会計年度に比べて75.8%減となりました。これは主に、営業利益が減益となったことに加え、為替相場の変動により為替差損益が悪化したことによるものです。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

⑤資本の財源および資金の流動性

当連結会計年度末においては、現金及び現金同等物は17,715百万円(前連結会計年度末比1.2%減)、有利子負債(借入金)は7,137百万円(前連結会計年度末比5.9%減)となりました。

これは主に、営業活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度と比べ減少したものの、資金効率の改善を目的として、有利子負債の削減を進めたことによるものです。

 

⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度は、中長期経営計画“Creating New Value for the Future”の第1ステージの2年目であり、その達成・進捗状況は、次のとおりであります。

指標

当連結会計年度(実績)

2026年度(目標)

目標との乖離

売上収益

115,593百万円

120,000百万円

4,406百万円減

(3.7%減)

コア営業利益

7,743百万円

12,000百万円

4,256百万円減

(35.5%減)

ROE

1.8%

12.0%

10.2ポイント減

 

5【重要な契約等】

 (1)当社の技術導入契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

Litens Automotive

Partnership

カナダ

オートテンショナ

特許およびノウハウの実施許諾

1990年4月1日から2025年3月31日まで

 (注)上記については、ロイヤルティとして純売上収益の一定率を支払っております。また、提出日現在において、2030年3月31日まで契約期間を延長しております。

 

 (2)当社の技術供与契約

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

Sanwu Bando Inc.

台湾

伝動ベルト製品など

特許およびノウハウの実施許諾

2017年4月1日から3年間 その後3か年毎に更新

Philippine Belt

Manufacturing Corp.

フィリピン

伝動ベルト製品など

特許およびノウハウの実施許諾

1978年10月1日から5年間 その後5か年毎に更新

Kee Fatt Industries

Sdn. Bhd.

マレーシア

伝動ベルト製品など

特許およびノウハウの実施許諾

1978年12月11日から5年間 その後5か年毎に更新

PT. Bando Indonesia

インドネシア

伝動ベルト製品・運搬ベルトなど

特許およびノウハウの実施許諾

1988年1月1日から5年間 その後4か年毎に更新

 (注)上記については、ロイヤルティとして売上収益の一定率を受け取っております。

 

    なお、上記の他、当社は次の連結子会社との間でベルト、工業用品等に関わる特許、またはノウハウの実施許諾に関わる契約を締結しており、ロイヤルティとして売上収益に対する一定率の支払を受けております。

・Bando USA, Inc.

・Bando Korea Co., Ltd.

・Bando Belt (Tianjin) Co., Ltd.

・Bando Manufacturing (Dongguan) Co., Ltd.

・Bando Siix Limited

・Bando Manufacturing (Vietnam) Company Limited

・Bando Manufacturing (Thailand) Ltd.

・Bando (India) Private Limited

・Bando Belt Manufacturing (Turkey), Inc.

 

 

6【研究開発活動】

 2024年度の当社グループは、中長期経営計画“Creating New Value for the Future”の第1ステージの2年目として、「価値創造」、「スマートものづくり創造」、「未来に向けた組織能力の進化」の3つの指針を掲げ、「人と社会を支え、今と未来をつなぐBEST PARTNER」であり続けるために活動してまいりました。

 

 指針1の「価値創造」では、「共創」を軸に前中長期経営計画で推進した新規事業の進化とコア事業の深化を加速させた両輪の取り組みによって、人の暮らしや地球環境にやさしい、社会課題を解決する製品やサービスを提供することで、新たな価値創造に当社グループ一丸となって取り組んでいます。

 この指針に基づき、研究開発は、新事業推進センター、ものづくりセンター、基盤技術研究所および伝動技術研究所(当連結会計年度末人員246名)を中心に取り組んでおり、当連結会計年度における全体の改良開発を含む開発・研究に4,259百万円(無形資産に計上された開発費は該当がありません)を投入いたしました。

 

 セグメント別の研究開発活動とその成果は次のとおりであります。なお、自動車部品事業および産業資材事業での研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、両事業部を合わせて記載しております。

 

  [自動車部品事業・産業資材事業]

    当事業では、基盤技術研究所・伝動技術研究所を中心として、伝動ベルトおよび伝動ベルトシステム製品、搬送ベルトおよび搬送周辺製品や農業・工業用ゴム製品、補修市場におけるサービタイゼーションの創出に関する研究開発に取り組んでおります。自動車部品事業においては、大型スクーター等に使用される変速ベルトの新たなラインアップとして、セルロースナノファイバー(CNF)複合化ゴムを適用した、高負荷条件で使用可能なダブルコグベルトの販売を2024年4月に開始しました。また、電動パワーステアリング(EPS)向けベルトなど、電動化市場への参入・拡販を狙った製品開発を進めております。産業資材事業においては、大型農業機械用伝動ベルトとして、伝動能力に優れ高負荷にも対応した「AGRIDRIVE®シリーズ(高負荷ローエッジ変速ベルト、高性能スクラムVベルト)」をラインアップしました。

 

  [高機能エラストマー製品事業]

    当事業では、電子写真プロセス用のクリーニングブレード、現像ローラなどの高機能樹脂製品や装飾表示用フイルムなどの改良開発を行っております。新製品としては、施工後の寸法安定性能をさらに高めたインクジェット印刷用メディア「バンドー グランメッセ®GM-NSG、GM-LUG」と、メディアの耐候性を大幅に向上させるラミネートフイルム「バンドー グランメッセ®GM-SSG、GM-SSM」の販売を2024年12月に開始しました。

 

  [その他事業]

    医療機器・ヘルスケア機器事業では、当社グループが有する基盤技術を活かし、医療機関や学術機関とも連携しながら、医療安全の向上に貢献できる製品などの研究に取り組みました。

    電子資材事業では、精密研磨材「TOPX®(トップエックス)」は、量産中のディスプレイ(ガラス基板)分野のシェア拡大を進めるとともに、ストレージ分野など新たな需要の開拓に積極的に取り組みました。既存熱伝導性フィラーを垂直配向した高い熱伝導率を有する放熱シート「HEATEX®(ヒートエクス)」は、発熱部品(CPU、LEDバックライト、パワーチップ)から発生する熱を効率的に冷却部材(ヒートシンク等)へ伝達するためのインターフェイスとして多くのお客様と評価を進めてまいりました。

 

    なお、改良開発を中心とした開発・研究として、自動車部品事業・産業資材事業に2,063百万円、高機能エラストマー製品事業に728百万円、その他事業に411百万円を投資した他、新規新製品の研究開発として1,056百万円(無形資産に計上された開発費は該当がありません)を投入しております。