第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 

 

当社グループは、多様なステークホルダーとの適切、かつ継続的な協力関係の下で、豊かな社会の実現に向けて貢献していくことを経営理念、事業理念の中に謳い、当社グループの経済的及び社会的な企業価値を中長期にわたって安定的に向上させることをめざし、企業価値の安定的、かつ着実な成長を示す指標として、売上高営業利益率(連結)10%以上、自己資本比率(連結)60%以上、ROE(連結)10%以上を掲げて、中長期的な経営戦略を推進しております。 

そして、事業等のリスクの発現による経営戦略に対する悪影響を最小限に留めるため、当社グループでは、次のような課題に取り組んでおります。

① 事業の多様化 

収益の源泉である事業を多様化し、収益構造を強化するため、当社は、次に掲げるような対応をより一層加速して進めてまいります。

イ 海外現地法人の生産能力を拡充し、拡大する海外マーケットにおける事業活動のさらなる強化を進める。

ロ 新事業の確立、新製品のタイムリーな投入によって、当社グループ及び事業の収益力をより向上させ、収益基盤を確固たるものとする。

ハ 技術改善や生産方式の見直しに積極的に取り組み、高い品質基準の日本企業との永年の取引の中で培ってきた品質水準を維持しながら、生産効率を高め、世界的な市場の中での収益力を強化する。

② 急速な技術革新への対応

当社グループは、これまで顧客の要望に十分応えられる技術力を培ってまいりましたが、今後もこの技術面での優位を保って当社製品の収益力を拡大・向上に努めるとともに、新たな事業の強固な技術面の基盤を構築するべく、技術開発に積極的に投資してまいります。

③ 為替動向への対応

海外子会社貸付を外貨建てとする等為替管理を強化するとともに購買・生産・販売体制の見直し等により、為替の負の影響を緩和してまいります。

④ 資源価格の変動への対応

資源価格の変動により、当社グループの営業利益が低下する局面では、状況を見極めながら必要に応じて、購買及び生産体制の効率化によるコストダウン、売価への反映等の措置を講じ、変動の影響を緩和してまいります。

⑤ 事業継続体制の強化

当社グループは、危機発生時にも事業活動を継続できる体制を構築し、さらなる危機対応能力の向上を図ってまいります。

⑥ 環境・労働安全衛生への配慮

環境については、環境負荷物質を使用しない製品の開発と供給を進めているほか、当社全事業所においてISO14001を取得しております。また、労働安全衛生についても労働安全マネジメントシステム(OHSAS18001)を当社全事業所において取得しております。これにより組織をとりまく脅威等のリスクを特定し管理することで組織の健全性を図り、さらなる円滑な会社運営をしてまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 

① 特定の産業への依存について

当社グループは、自動車部品メーカーに対する売上が多く、自動車産業に大きく依存した状況にあります。したがって、自動車産業の生産動向によって売上高に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。

② 為替変動リスクについて

当社は、海外子会社に対して貸付金を有しているため、期末での換算差額が為替差損益として発生し、経常利益に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。

また、製・商品の輸出入において、為替の影響により、販売価格及び仕入れ価格が変動し、当社グループの事業セグメントの収益に影響を及ぼす可能性を有しております。

③ 資源価格変動リスクについて

当社グループにおいては、原材料のうちゴム・樹脂・繊維等原油価格変動の影響を受ける資材が全仕入の60%程度あるため、原油価格の変動により材料費が変動し、営業利益に重要な影響を及ぼす可能性を有しております。

④ 海外事業リスクについて

当社グループは、中国を始めとして米国、ベトナム等海外に製造拠点を有し、積極的に海外への事業拡大を行っておりますが、進出した当該国の固有の事情や体制、法律の変化等により事業計画に影響を及ぼす可能性を有しております。

また、当該国での自然災害、伝染病、テロ、ストライキ等の影響も考えられ、これらにより製品等の購入、生産、販売に支障をきたす可能性があります。

⑤ 自然災害要因に対するリスクについて

当社は、国内において、さいたま市岩槻区、埼玉県加須市及び福島県南相馬市に工場を有し、生産に関わる国内子会社もそれらに隣接して事業所を有しております。当該地域において巨大な災害(地震、竜巻等)が発生した場合、最悪の場合には同時に複数の工場の稼動が停止することにより、売上高に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。

⑥ 製品の欠陥による製造物責任について

当社グループは、世界的に認められている品質管理基準に厳格に従って様々な製品を製造しております。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来的に品質クレームが発生しないという保証はありません。PL賠償については保険に加入しておりますが、賠償額全てをカバーできるという保証はありません。重大な製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、また、当社各営業部の売上減少と当社グループの財務状況に重大な影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善が続き、設備投資の増加、雇用環境や個人消費についても回復基調が見られました。

当社グループでは、当期を初年度とする新中期3ヶ年計画を策定し、積極的な設備投資、営業活動や新製品の開発などに注力しております。その中で、平成29年9月の取締役会において、連結子会社安吉藤倉橡膠有限公司(中国・浙江省)の第三工場を増設することを決議いたしました。

このような状況のもと、当連結会計年度の売上高は339億5千8百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益は21億6千9百万円(前年同期比11.6%増)、経常利益は22億3千3百万円(前年同期比26.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億9千1百万円(前年同期比32.9%増)となりました。

 

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

<産業用資材>

売上高は218億1千1百万円(前年同期比9.8%増)、営業利益は13億7千4百万円(前年同期比7.2%減)となりました。

<引布加工品>

売上高は50億1千2百万円(前年同期比3.7%減)、営業利益は2億4千7百万円(前年同期比15.7%増)となりました。

<スポーツ用品>

売上高は67億6千9百万円(前年同期比8.4%増)、営業利益は9億8千9百万円(前年同期比41.2%増)となりました。

<その他>

売上高は3億6千4百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益は7千5百万円(前年同期比14.2%増)となりました。

 

 当期の財政状況は、当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ32億9千2百万円増加の361億1千7百万円となりました。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ18億7千万円増加の116億4百万円となりました。純資産につきましては、245億1千2百万円となり、これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.3%から67.9%に低下いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ15億1千6百万円増加し(前年同期比37.1%増)、56億1百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 

営業活動の結果得られた資金は26億7千5百万円となりました。これは主に「税金等調整前当期純利益」を21億1千1百万円計上したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 

投資活動の結果使用した資金は22億6千1百万円となりました。これは主に「有形固定資産の取得による支出」19億8千7百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は10億6千8百万円となりました。これは主に「長期借入金による収入」を18億円計上したことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 (単位 : 千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

産業用資材

21,902,684

111.5

引布加工品

5,250,354

98.8

スポーツ用品

3,432,689

102.4

合計

30,585,727

108.0

 

(注) 1 金額は販売価額によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 (単位 : 千円)

セグメントの名称

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

産業用資材

20,581,305

97.8

2,030,943

62.3

引布加工品

5,197,325

102.7

708,193

135.2

スポーツ用品

6,671,408

107.4

376,367

79.4

その他

364,536

103.6

合計

32,814,574

100.4

3,115,503

73.1

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 (単位 : 千円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成29年4月1日

至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

産業用資材

21,811,974

109.8

引布加工品

5,012,842

96.3

スポーツ用品

6,769,334

109.2

その他

364,536

103.6

合計

33,958,689

107.4

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、以下の科目について、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる方法により見積り計算を行っております。

a. 繰延税金資産

b. 繰延税金負債

c. 貸倒引当金

d. 賞与引当金

e. 退職給付に係る負債

f. 環境対策引当金

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等につきまして、売上高は339億5千8百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益は21億6千9百万円(前年同期比11.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億9千1百万円(前年同期比32.9%増)となりました。また、当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ32億9千2百万円増加の361億1千7百万円、純資産は、前連結会計年度末に比べ14億2千1百万円増加の245億1千2百万円となりました。

この結果、当社グループが企業価値の安定的、かつ着実な成長を示す指標(以下、「目標数値」という)と比べると、売上高営業利益率は6.4%(目標数値10%以上)、自己資本比率は67.9%(目標数値60%以上)、ROEは6.7%(目標数値10%以上)となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「2 事業等のリスク」に掲げたリスクに対して、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に掲げた取り組みを進めています。当連結会計年度の経営成績は、新中期3ヶ年計画(2017年度スタート)の進捗状況を達成できていて、リスクに対する取り組みが進んでいると評価しています。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきまして、当連結会計年度は、経常的な資金調達が中心となりました。当連結会計年度末における現金及び現金同等物56億1百万円の手許流動性を確保しております。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

<産業用資材>

工業用品部門は、国内市場が自動車、住宅機器、設備投資関連など総じて好調に推移しました。特に、住宅用LPガス機器の切換え期を迎え増産となったことにより、増収となりました。また、海外においても中国・ASEAN地区で高機能製品や安全、環境に配慮した製品のシェアが拡大しており、当社グループ製品の需要が増加しております。制御機器部門は、液晶・半導体関連部品が好調に推移したこと、さらに医療機器関連や産業機器向けについても好調を維持し、増収となりました。電気材料部門は、公共事業の停滞の影響を受け減収となりました。

この結果、売上高は218億1千1百万円(前年同期比9.8%増)、営業利益は13億7千4百万円(前年同期比7.2%減)となりました。

<引布加工品>

引布部門は、自動車用製品及び特殊素材の薄膜シートが好調に推移し、増収となりました。印刷材料部門は、海外市場において新製品の発売が遅れましたが、国内市場においては高機能製品の拡販活動が奏功し増収となりました。加工品部門は、舶用品を中心に拡販活動を継続しておりますが、国内外ともに大型案件が減少したため減収となりました。

この結果、売上高は50億1千2百万円(前年同期比3.7%減)、営業利益は2億4千7百万円(前年同期比15.7%増)となりました。

<スポーツ用品>

ゴルフ用カーボンシャフト部門は、昨年9月に発売した「Speeder Evolution Ⅳ」が国内外のプロゴルファーに使用され、さらにゴルフクラブメーカーの主要製品に多数採用されたこともあり、増収となりました。アウトドア用品部門は、全体の需要は停滞気味ですが、キャラバンシューズやJack Wolfskinなどの主力商品が下支えとなり前期並みの売上を維持しました。

この結果、売上高は67億6千9百万円(前年同期比8.4%増)、営業利益は9億8千9百万円(前年同期比41.2%増)となりました。

<その他>

物流部門は、荷主の業績好調に後押しされ好調を維持しました。

この結果、売上高は3億6千4百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益は7千5百万円(前年同期比14.2%増)となりました。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、岩槻工場内のエンジニアリングセンターに技術者を集約し各事業部門間の垣根を取り払い、お客様のニーズを的確に捉えた新たな複合化技術の開発に取り組んでいます。また製品と技術の機能評価のため、化学分析やコンピュータシミュレーションなどの基盤技術にも力を入れて製品開発を進めています。

当連結会計年度の研究開発費の総額は13億9千9百万円であります。

 

当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発活動は次のとおりであります。

(1) 産業用資材

工業用品部門では、特殊ゴム材料の開発をはじめ、当社の特徴である複合化技術により、ゴム、繊維、樹脂、金属など各種材料を最適設計し接着技術を組み合わせ、新たな高機能製品の開発を行っています。また特殊表面処理技術の開発により新しい機能を付加させることにも成功しています。国内外の自動車をはじめ多くの産業分野のお客様からのニーズに応えるべく、生産技術の開発にも力を入れ製品の開発を行っています。新しい評価技術として、高圧ガス燃料中を可視化できる材料暴露試験機を開発し、実際の使用条件での製品評価に生かしています。現在、電気自動車、ハイブリッド車用電池周辺機器用ゴム製品や、ガス燃料自動車、燃料電池自動車用途のゴム製品も多数量産化しています。さらなる高機能化を目指し開発を進めています。

制御機器部門では、医療、半導体分野向けを中心にさらなる高機能を付加した製品を継続的に開発しています。特に小型の減圧弁やエアベアリングシリンダ等の開発に注力しており、さらにはエアベアリングシリンダを用いた荷重制御ユニット等の装置開発も行っております。

電気材料部門では、情報通信及び電力市場向けに、超低硬度材料や導電~絶縁材料などを用いた高機能複合品の開発を行っています。また燃料電池分野、風力発電用ブレード関連分野に向けた製品の開発を進めています。

その他として、スチール製に比べて軽量化したCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製ドライブシャフトをはじめとする各種CFRP製品については、自動車用機能部品及び各種産業分野への展開を進めています。また2016年9月に販売を開始したマグネシウム空気電池「WattSatt」の技術を利用した電池関連製品や、ゴム材料を応用展開した新しいセンサ製品の開発も進めています。

当セグメントにかかる研究開発費は10億7百万円であります。

 

(2) 引布加工品

引布部門では、当社の基盤技術である高機能ゴムシート及びゴムと布などを複合化した高機能ゴムシートの開発を行っています。特に厚さ0.1~0.3mmの極薄ゴムシートはさまざまな分野にて、いろいろな形状に加工され使用されています。配合、加工技術をベースにした新しい高機能ゴムシートの検討も進んでいます。

印刷機材部門では、市場を全世界に広げ、顧客志向に合わせた対応をさらに充実させるために、従来のFITシリーズをベースとして、世界規模で導入実績の目覚ましいUV枚葉印刷向け製品、省エネ・省電力対応の新聞輪転機向け製品を主体に、開発及び改良し提案をしています。さらにプリンテッドエレクトロニクス分野では、ブランケット基盤技術から生まれたシリコーン製ブランケットを開発し、高い評価を受けています。

加工品部門では、基盤技術であるゴム引布加工技術により、世界市場に向けて救命いかだをはじめとする救命関連製品の開発を行っています。産業資材関連分野では発電所関連、流通分野向けに新しい用途のゴム布加工製品の開発が進んでいます。

当セグメントにかかる研究開発費は2億1千2百万円であります。

 

(3) スポーツ用品

ゴルフ用カーボンシャフト部門では、金属複合化特許技術に高機能ゴムシートを複合し、今までにない打感を達成した『MC Putter』を発売し、市場で高く評価されています。また『SPEEDER』のコンセプトを継承し、最新の材料技術を複合した『Speeder EVOLUTION Ⅳ』は好評を得ており、男女プロツアーの現場から開発した『Speeder TR』は多くの使用実績を上げております。さらなるゴルフシャフト性能を追求するため、ゴルファーのスイングを3次元で評価するシステムを導入し、ゴルファーのニーズより先を行く製品開発を進めています。

当セグメントにかかる研究開発費は1億7千9百万円であります。

 

(4) その他

該当事項はありません。