(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用や所得環境の改善など緩やかな回復基調が続きました。しかし、中国をはじめとする新興国の景気減速、米国大統領選挙後の金融市場の大幅な変動など、世界経済の不確実性が強まり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループでは、中期3ヵ年計画の最終年度として、積極的な営業活動、各事業・各市場のニーズに対応した新製品の開発、原価低減等についてより一層注力してまいりました。また、産業用資材の生産拠点である連結子会社安吉藤倉橡膠有限公司(中国・浙江省)において第二工場が竣工いたしました。
このような状況のもと、当連結会計年度の売上高は316億6千7百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益は19億4千4百万円(前年同期比26.3%増)、経常利益は17億5千9百万円(前年同期比29.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は11億9千7百万円(前年同期比37.8%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
① 産業用資材
工業用品部門は、海外では北米地区において一部の顧客で在庫調整があり減収となったものの、中国・ASEAN地域では受注が拡大いたしました。一方、国内においてはOA機器部品で品種切替えによる減産がありましたが、主力の自動車・住宅関連部品とも堅調に推移いたしました。制御機器部門は、国内外において液晶・半導体などの精密製造装置に使用される製品の販売が好調に推移いたしました。電気材料部門は、拡販に注力いたしましたが、電力・インフラ工事用部材の受注が減少いたしました。
この結果、売上高は198億6千7百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は14億8千1百万円(前年同期比13.3%増)となりました。
② 引布加工品
引布部門は、一部の自動車関連製品において顧客の製造が海外に移管されたことにより受注が低迷いたしましたが、コスト低減を行い利益は前年並みとなりました。印刷材料部門は、国内において売上は前年並みとなりましたが、海外での為替の影響を受け利益が低迷いたしました。加工品部門は、海外において拡販に注力したことにより、舶用品の受注が増加いたしました。
この結果、売上高は52億3百万円(前年同期比1.0%増)、営業利益は2億1千3百万円(前年同期比21.8%増)となりました。
③ スポーツ用品
ゴルフ用カーボンシャフト部門は、2016年10月に発売した『Speeder EVOLUTION Ⅲ』がプロツアーで人気を集め販売が好調に推移し、加えてSpeederブランドの認知度が向上したことによりOEM市場での売上も増加しました。アウトドア用品部門は、広告宣伝活動に注力いたしましたが、登山靴等の売上が低迷いたしました。
この結果、売上高は62億4千3百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益は7億円(前年同期比42.4%増)となりました。
④ その他
物流部門は、一部不採算取引を見直し、売上は減少したものの、利益は前年並みとなりました。
この結果、売上高は3億5千1百万円(前年同期比32.4%減)、営業利益は6千5百万円(前年同期比4.5%減)となりました。
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ10億6千4百万円減少し(前年同期比20.7%減)、40億8千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は20億2千9百万円となりました。これは主に「税金等調整前当期純利益」を16億7千5百万円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は24億5千6百万円となりました。これは主に「有形固定資産の取得による支出」23億9千5百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4億1千5百万円となりました。これは主に「配当金の支払額」を2億8千万円計上したことによるものであります。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位 : 千円)
(注) 1 金額は販売価額によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位 : 千円)
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位 : 千円)
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、多様なステークホルダーとの適切、かつ継続的な協力関係の下で、豊かな社会の実現に向けて貢献していくことを経営理念、事業理念の中に謳い、当社グループの経済的及び社会的な企業価値を中長期にわたって安定的に向上させることをめざし、企業価値の安定的、かつ着実な成長を示す指標として、売上高営業利益率(連結)10%以上、自己資本比率(連結)60%以上、ROE(連結)10%以上を掲げて、中長期的な経営戦略を推進しております。
そして、事業等のリスクの発現による経営戦略に対する悪影響を最小限に留めるため、当社グループでは、次のような課題に取り組んでおります。
① 事業の多様化
収益の源泉である事業を多様化し、収益構造を強化するため、当社は、次に掲げるような対応をより一層加速して進めてまいります。
イ 海外現地法人の生産能力を拡充し、拡大する海外マーケットにおける事業活動のさらなる強化を進める。
ロ 新事業の確立、新製品のタイムリーな投入によって、当社グループ及び事業の収益力をより向上させ、収益基盤を確固たるものとする。
ハ 技術改善や生産方式の見直しに積極的に取り組み、高い品質基準の日本企業との永年の取引の中で培ってきた品質水準を維持しながら、生産効率を高め、世界的な市場の中での収益力を強化する。
② 急速な技術革新への対応
当社グループは、これまで顧客の要望に十分応えられる技術力を培ってまいりましたが、今後もこの技術面での優位を保って当社製品の収益力を拡大・向上に努めるとともに、新たな事業の強固な技術面の基盤を構築するべく、技術開発に積極的に投資してまいります。
③ 為替動向への対応
海外子会社貸付を外貨建てとする等為替管理を強化するとともに購買・生産・販売体制の見直し等により、為替の負の影響を緩和してまいります。
④ 資源価格の変動への対応
資源価格の変動により、当社グループの営業利益が低下する局面では、状況を見極めながら必要に応じて、購買及び生産体制の効率化によるコストダウン、売価への反映等の措置を講じ、変動の影響を緩和してまいります。
⑤ 事業継続体制の強化
当社グループは、東日本大震災の経験を踏まえ、危機発生時にも事業活動を継続できる体制を構築し、さらなる危機対応能力の向上を図ってまいります。
⑥ 環境・労働安全衛生への配慮
環境については、環境負荷物質を使用しない製品の開発と供給を進めているほか、当社全事業所においてISO14001を取得しております。また、労働安全衛生についても労働安全マネジメントシステム(OHSAS18001)を当社全事業所において取得しております。これにより組織をとりまく脅威等のリスクを特定し管理することで組織の健全性を図り、さらなる円滑な会社運営をしてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 特定の産業への依存について
当社グループは、自動車部品メーカーに対する売上が多く、自動車産業に大きく依存した状況にあります。したがって、自動車産業の生産動向によって売上高に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。
② 為替変動リスクについて
当社は、海外子会社に対して貸付金を有しているため、期末での換算差額が為替差損益として発生し、経常利益に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。
また、製・商品の輸出入において、為替の影響により、販売価格及び仕入れ価格が変動し、当社グループの事業セグメントの収益に影響を及ぼす可能性を有しております。
③ 資源価格変動リスクについて
当社グループにおいては、原材料のうちゴム・樹脂・繊維等原油価格変動の影響を受ける資材が全仕入の60%程度あるため、原油価格の変動により材料費が変動し、営業利益に重要な影響を及ぼす可能性を有しております。
④ 海外事業リスクについて
当社グループは、中国を始めとして米国、ベトナム等海外に製造拠点を有し、積極的に海外への事業拡大を行っておりますが、進出した当該国の固有の事情や体制、法律の変化等により事業計画に影響を及ぼす可能性を有しております。
また、当該国での自然災害、伝染病、テロ、ストライキ等の影響も考えられ、これらにより製品等の購入、生産、販売に支障をきたす可能性があります。
⑤ 自然災害要因に対するリスクについて
当社は、国内において、さいたま市岩槻区、埼玉県加須市及び福島県南相馬市に工場を有し、生産に関わる国内子会社もそれらに隣接して事業所を有しております。当該地域において巨大な災害(地震、竜巻等)が発生した場合、最悪の場合には同時に複数の工場の稼動が停止することにより、売上高に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。
⑥ 製品の欠陥による製造物責任について
当社グループは、世界的に認められている品質管理基準に厳格に従って様々な製品を製造しております。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来的に品質クレームが発生しないという保証はありません。PL賠償については保険に加入しておりますが、賠償額全てをカバーできるという保証はありません。重大な製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、また、当社各営業部の売上減少と当社グループの財務状況に重大な影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、岩槻工場内のエンジニアリングセンターに技術者を集約し各事業部門間の垣根を取り払い、お客様のニーズを的確に捉えた新たな複合化技術の開発に取り組んでいます。また製品と技術の機能評価のため、化学分析やコンピュータシミュレーションなどの基盤技術にも力を入れて製品開発を進めています。
当連結会計年度の研究開発費の総額は13億3千7百万円であります。
当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発活動は次のとおりであります。
(1) 産業用資材
工業用品部門では、特殊ゴム材料の開発をはじめ、当社の特徴である複合化技術により、ゴム、繊維、樹脂、金属など各種材料を最適設計し接着技術を組み合わせ、新たな高機能製品の開発を行っています。また特殊表面処理技術の開発により新しい機能を付加させることにも成功しています。国内外の自動車をはじめ多くの産業分野のお客様からのニーズに応えるべく、生産技術の開発にも力を入れ製品の開発を行っています。新しい評価技術として、高圧ガス燃料中を可視化できる材料暴露試験機を開発し、材料挙動の解析を開始しました。現在、電気自動車、ハイブリッド車用電池周辺機器用ゴム製品や、ガス燃料自動車、燃料電池自動車用途のゴム製品も多数量産化しています。さらなる高機能化を目指し開発を進めています。
制御機器部門では、市場の要望するモジュール化に注力し、医療分野、半導体分野向けを中心に新たな機能を付加した製品を継続的に開発しています。また新たに自動車分野にも検討が進んでいます。
電気材料部門では、情報通信及び電力市場向けに、超低硬度材料や導電~絶縁材料などを用いた高機能複合品の開発を行っています。また燃料電池分野、風力発電用ブレード関連分野に向けた製品の開発を進めています。
その他として、スチール製に比べて軽量化したCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製ドライブシャフトをはじめとする各種CFRP製品については、自動車用機能部品及び各種産業分野への展開を進めています。また2016年9月に販売を開始したマグネシウム空気電池「WattSatt」の技術を利用した電池関連製品や、ゴム材料を応用展開した新しいセンサ製品の開発も進めています。
当セグメントにかかる研究開発費は9億2千3百万円であります。
(2) 引布加工品
引布部門では、当社の基盤技術である高機能ゴムシート及びゴムと布などを複合化した高機能ゴムシートの開発を行っています。特に厚さ0.1~0.3mmの極薄ゴムシートはさまざまな分野にて、いろいろな形状に加工され使用されています。配合、加工技術をベースにした新しい高機能ゴムシートの検討も進んでいます。
印刷機材部門では、市場を全世界に広げ、顧客志向に合わせた対応をさらに充実させるために、従来のFITシリーズをベースとして、世界規模で導入実績の目覚ましいUV枚葉印刷向け製品、省エネ・省電力タイプの新聞輪転機向け製品を主体に、開発及び改良し提案をしています。さらにプリンタブルエレクトロニクス分野では、ブランケット基盤技術から生まれたシリコーン製ブランケットを開発し高い評価を受けています。
加工品部門では、基盤技術であるゴム引布加工技術により、世界市場に向けて救命いかだをはじめとする救命関連製品の開発を行っています。産業資材関連分野では発電所関連、流通分野向けに新しい用途のゴム布加工製品の開発が進んでいます。
当セグメントにかかる研究開発費は2億2千3百万円であります。
(3) スポーツ用品
ゴルフ用カーボンシャフト部門では、金属複合化特許技術を応用した『MCI BLACK』を発売し市場で高く評価されています。この金属複合化特許技術に当社の高機能ゴムシートを複合し、今までにない打感を達成した『MC Putter』の開発にも成功し発売に至りました。また『SPEEDER』のコンセプトを継承し、最新の材料技術を複合した『Speeder EVOLUTIONⅢ』は好評を得ており、男女プロツアーでも多くの使用実績を上げています。更なるゴルフシャフト性能を追求するため、ゴルファーのスイングを3次元で評価するシステムを導入し、ゴルファーのニーズより先を行く製品開発を進めています。
当セグメントにかかる研究開発費は1億9千万円であります。
(4) その他
該当事項はありません。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、以下の科目について、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる方法により見積り計算を行っております。
① 繰延税金資産
② 繰延税金負債
③ 貸倒引当金
④ 賞与引当金
⑤ 退職給付に係る負債
⑥ 環境対策引当金
(2) 経営成績の分析
① 売上高及び営業利益について
当連結会計年度の売上高は、316億6千7百万円(前年同期比3.5%増)となりました。このうち、海外売上高は109億9千2百万円(前年同期比5.8%増)で売上全体の34.7%を占めております。
当連結会計年度の営業利益は、増収により売上総利益が増益となったため、19億4千4百万円(前年同期比26.3%増)となりました。
② 経常利益について
当連結会計年度の経常利益は、営業利益の増益に加えて、補助金収入が増加したため、17億5千9百万円(前年同期比29.8%増)となりました。
③ 親会社株主に帰属する当期純利益について
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の増益に加えて、特別損失が減少したため、11億9千7百万円(前年同期比37.8%増)となりました。
(3) 財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ12億1千3百万円増加の328億2千4百万円となりました。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ4億3千2百万円増加の97億3千4百万円となりました。純資産につきましては、230億9千万円となり、これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.6%から70.3%に低下いたしました。
(4) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ10億6千4百万円減少し(前年同期比20.7%減)、40億8千5百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は20億2千9百万円となりました。これは主に「税金等調整前当期純利益」を16億7千5百万円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は24億5千6百万円となりました。これは主に「有形固定資産の取得による支出」23億9千5百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4億1千5百万円となりました。これは主に「配当金の支払額」を2億8千万円計上したことによるものであります。