文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、多様なステークホルダーとの適切かつ継続的な協力関係の下で、豊かな社会の実現に向けて貢献していくことを経営理念、事業理念の中に謳い、当社グループの経済的及び社会的な企業価値を中長期にわたって安定的に向上させることをめざし、企業価値の安定的、かつ着実な成長を示す指標として、売上高営業利益率(連結)10%以上、自己資本比率(連結)60%以上、ROE(連結)10%以上を指標とさせていただきます。
そして、事業等のリスクの発現による経営戦略に対する悪影響を最小限に留めるため、当社グループでは、次のような課題に取組んでまいります。
① PBR1倍超の達成
資本コストや株価を意識した経営の推進において、目標であるPBR1倍超を目指し、稼ぐ力の強化・新成長戦略・新株主還元方針・投資家とのコミュニケーション向上の各種施策を実行し、企業価値の最大化に取組んでまいります。
② 事業の多様化
収益の源泉である事業を多様化し、収益構造を強化するため、当社は、次に掲げる対応をより一層加速して進めてまいります。
イ.事業ポートフォリオの最適化を図り、資本コストを意識した経営により、当社グループ及び事業の収益力をより向上させ、収益基盤を確固たるものとします。
ロ.長年培ってきた品質や技術の向上、生産方式の見直し等に積極的に取組み、日本市場だけでなく世界市場での収益力をより強化してまいります。
③ 急速な技術革新への対応
当社は、2024年4月に先進技術戦略室を社長直轄として設置し、新規分野への投資として積極的に資金配分を実施・検討しております。事業ポートフォリオの変革に取組み、将来のシナジー効果創出のためのM&Aや、スタートアップ・大学研究機関との提携などを幅広く検討しており、従来の技術開発機能に加えテーマ発掘、評価選定のための技術企画の機能を確立し、イノベーション創出により社会課題を解決してまいります。
④ 為替動向への対応
海外子会社貸付を外貨建てとする等、為替管理を強化し、為替の影響を緩和しております。
⑤ 原材料費の変動への対応
原料価格やエネルギーコストのみならず、人件費の高騰を加味した原材料費の変動により、当社グループの営業利益が低下する局面では、状況を見極めながら必要に応じて、購買及び生産体制の効率化によるコストダウン、売価への反映等の措置を講じ、変動の影響を緩和してまいります。
⑥ サステナビリティの推進
2024年4月にサステナビリティ統括室を社長直轄といたしました。企業活動が環境や社会に与える影響が益々増大する中、地球規模の環境破壊や温暖化、人権などの社会的問題への対応を強化してまいります。当社は「人々の安心を支え、社会の豊かさに貢献できる企業であり続ける」ことを理念に掲げ、「くらし」「ものづくり」「エネルギー」「いのち」「レジャー」をはじめとする様々な分野で社会を支え、持続可能な社会の実現及び持続的な企業価値の向上を目指すことを「基本方針」とし、サステナビリティの更なる推進を図ってまいります。
イ.気候変動対応
気候変動がもたらす事業への影響・脅威等のリスクを特定し、管理することで、全社リスクマネジメントプロセスにも連携してまいります。
ロ.人的資本
従業員及びその家族が、安心して働ける企業を目指します。その実現のため人材育成施策の刷新、社内環境整備など、健全な事業経営、品質向上、人権尊重及び健康経営を推進します。
⑦ デジタルトランスフォーメーション(DX)への対応
当社グループは働き方改革、生産性向上・業務の変革を目的とした業務改革推進プロジェクトを設置し、デジタルトランスフォーメーション(DX)等への投資を積極的に進めております。
⑧ その他
当社グループは、その他として以下の課題を掲げ取組んでまいります。
イ.グループ全社の内部統制の継続を推進します。
ロ.データヘルス・健康経営を進めるためのコラボヘルスを推進します。
ハ.多様な価値観を有する社員それぞれが、自らの能力を発揮できる企業を目指します。
ニ. 女性がいきいきと働き続けられ、また活躍できる環境及び機会を整備します。
(1) サステナビリティ共通
当社グループは持続可能な社会の実現を目指し、社会的責任を果たすとともに、ESG経営を通じて企業価値向上と持続的な成長に向けて以下のとおりに取組んでまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社では2024年4月にサステナビリティ統括室を社長直轄といたしました。企業活動が環境や社会に与える影響が益々増大する中、地球規模の環境破壊や温暖化、人権などの社会的問題への対応を強化してまいります。当社は「人々の安心を支え、社会の豊かさに貢献する企業であり続ける」ことを理念に掲げ、「くらし」「ものづくり」「エネルギー」「いのち」「レジャー」をはじめとする様々な分野で社会を支え、持続可能な社会の実現及び持続的な企業価値の向上を目指すことを「基本方針」とし、サステナビリティの更なる推進を図ってまいります。
② リスク管理
当社グループでは、各種リスク(事業、災害、品質・環境、安全衛生、不正、サイバーセキュリティ)の種類に応じて設ける管掌部門および専門委員会が、リスクを内包する部門と協力してリスクの継続的な識別、分析、評価、対応策の検討および検証を行うほか、グループ全体にかかる重要なリスクの識別、分析、評価、対応策の検討および検証をリスクマネジメント委員会の管理下において、リスク管理を横断的かつ統合的に行っております。
当社は気候変動関連情報の開示検討に伴い、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に賛同しています。

① ガバナンス
サステナビリティ統括室は、気候関連課題の責任者である担当役員の指導の下、運営しております。当統括室は、経営企画室、管理本部統括、および施設部門、技術開発部門、営業部門の担当者を中心に構成され、室長は取締役会および経営会議に対して、気候関連のリスクおよび機会を評価、管理する項目について説明をする責任を担っています。また、サステナビリティ情報の一元管理と開示、サステナビリティ目標の策定と進捗管理、経営会議および取締役会への報告、そして当統括室の直下に設置されているサステナビリティ戦略委員会への指示等を行なっております。状況については半期に一回の頻度で経営会議への報告、提言、答申を行ない、経営会議の承認後、取締役会へ報告します。取締役会はサステナビリティ統括室における検討事項のモニタリングを実施します。また2024年4月から当統括室は社長直轄とした組織体制となり、サステナビリティ全般に対する一層の強化を図っていきます。
・ガバナンス体制図

② 戦略
当社グループは、TCFD提言で示されたリスク・機会の項目を参考に、気候変動が当社グループの事業に与えるリスク・機会に関して、1.5℃シナリオと4℃シナリオの2つの温度帯の側面から以下の項目を抽出し、対応策を立案しております。
(影響度の定義) 大(会社経営に大きな影響を与える)> 中 > 小(財務報告に影響を与える)
(時間軸の定義) 短期(3年未満で対応)、中期(3年以上10年未満で対応)、長期(10年以上で対応)
③ リスク管理
当社グループにおける気候関連リスクの識別・評価はサステナビリティ統括室において年に一回の頻度で代表取締役社長執行役員を責任者として推進しており、リスク評価については影響度と発生度の二つを用いて実施しております。また、予防策や対応方針は当統括室において審議し、経営会議に報告された後、関連する事業部にて実行されます。全社のリスク管理への統合プロセスとして、今後は気候関連リスクについても全社リスクマネジメントプロセスに適宜連携してまいります。
④ 指標と目標
当社グループは、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づきGHG(温室効果ガス)排出量算定を実施しております。2024年度よりScope3についても算定しました。また、その他の気候変動指標として、廃棄物最終処分率も考慮しており、2024年度の実績値と今後の目標値は次のとおりです。
(注)1 VOC排出削量については、既に目標達成しているため、指標としては除外しております。
2 継続して排出量管理およびVOC排出量の集計は実施しております。
(3) 人的資本
① 戦略
イ 人材育成方針
当社グループは、職位・職能ごとに求められる能力・専門知識の習得を目的とした研修制度だけではなく、従業員一人ひとりが積極的かつ創造的に行動し、自らに期待される成果をあげることができる人材を育成する研修制度を実施しており、従業員のキャリア開発支援を進めてまいります。
(主な取組み)
ロ 社内環境整備方針
(多様な人材が活躍できる環境の整備)
・高齢者や育児・介護等の就労制限がある方へ配慮
・障がい者雇用(特例子会社の活用)
(従業員の健康、働きやすい職場)
・健康経営として従業員の健康活動を推進
・テレワーク勤務への対応
② 指標と目標
当社では、上記「①戦略」において記載した、人材の育成に関する方針、戦略及び社内環境の整備について、次の指標を用いております。なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループにおける記載が困難なため、連結子会社のデータは含まれておりません。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。なお、すでに開示している「女性活躍推進法および次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画」から、よりガバナンスを強化すべく、目標の見直しを行っております。
当社は、当社グループの重要なリスクの評価と対応を横断的かつ統合的に行い、重要リスクを継続的に管理するため、リスクマネジメント委員会を設置しております。今後も、事業や社会環境の変化に併せて重要なリスクの見直しを行うとともに対応状況の確認を行い、リスクの低減に努めてまいります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 特定の産業への依存について
当社グループは、自動車部品メーカーに対する売上が多く、自動車産業に大きく依存した状況にあります。したがって、自動車産業の生産動向によって売上高に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。
② 為替変動リスクについて
当社は、外貨建債権債務を有しているため、期末での換算差額が為替差損益として発生し、経常利益に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。
また、製品・商品の輸出入において、為替の影響により、販売価格及び仕入れ価格が変動し、当社グループの事業セグメントの収益に影響を及ぼす可能性を有しております。
③ 資源価格変動リスクについて
当社グループにおいては、原材料のうちゴム・樹脂・繊維等原油価格変動の影響を受ける資材が全仕入の60%程度あるため、原油価格の変動により材料費が変動し、営業利益に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。
④ 海外事業リスクについて
当社グループは、中国を始めとして米国、ベトナム等海外に生産拠点を有し、積極的に海外への事業拡大を行っておりますが、進出した当該国の固有の事情や体制、法律の変化等により事業計画に影響を及ぼす可能性を有しております。
また、当該国での自然災害、伝染病、テロ、ストライキ等の影響も考えられ、これらにより製品等の購入、生産、販売に支障をきたす可能性があります。
⑤ 自然災害要因に対するリスクについて
当社は、国内において、さいたま市岩槻区、埼玉県加須市及び福島県南相馬市に工場を有し、生産に関わる国内子会社もそれらに隣接して事業所を有しております。当該地域において巨大な災害(地震、竜巻等)が発生した場合、最悪の場合には同時に複数の工場の稼動が停止することにより、業績に重大な影響を及ぼす可能性を有しております。
⑥ 製品の欠陥による製造物責任について
当社グループは、世界的に認められている品質管理基準に厳格に従って様々な製品を製造しております。しかし、全ての製品について欠陥が無く、将来的に品質クレームが発生しないという保証はありません。PL賠償については保険に加入しておりますが、賠償額全てをカバーできるという保証はありません。重大な製品の欠陥は、多額のコストや、当社グループの社会的評価に重大な影響を与え、また、当社の売上減少と当社グループの財務状況に重大な影響を与える可能性があります。
⑦ 情報セキュリティについて
当社グループは、情報セキュリティ基本方針の下、組織的かつ継続的な情報セキュリティの改善・向上に努めております。しかし、コンピューターウィルスの侵入やサイバー攻撃を受けシステムネットワークに対する重大な障害が発生することにより、情報漏洩による補償や業務の一次的な中断による機会損失が発生した場合、当社の売上減少と当社グループの財務状況に重大な影響を与える可能性があります。
⑧ 人材不足について
当社は、人材育成を重要な課題と捉え、人的資本投資を強化しておりますが、少子高齢化に伴う労働人口の不足や専門性の高い特定分野の人材不足など、適時に人材を確保することが年々厳しくなっております。このような人材不足は、技能やノウハウの承継に支障をきたし、特に若手中堅社員が退職することで会社の成長力が低下する可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、中東の戦火などの地政学リスクに加え、各国の関税政策が世界的なサプライチェーンに多大な影響を及ぼすとの警戒感が高まっております。わが国経済においては、インバウンドは好調を継続し、サプライチェーンは正常化しておりますが、物価の高騰、人手不足や賃上げへの対応等、取り巻く環境は依然厳しいものとなっております。
当連結会計年度の売上高は413億2千5百万円(前年同期比9.4%増)、営業利益は48億7百万円(前年同期比32.6%増)、経常利益は50億5千万円(前年同期比29.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は38億8千8百万円(前年同期比19.5%増)となりました。なお、特別利益に投資有価証券売却益等として5億8千7百万円を、特別損失に膨脹式救命いかだの部品または一部製品の交換に伴い今後発生する費用、固定資産廃棄損等として7億9百万円を、それぞれ計上しております。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<産業用資材>
工業用品部門は、自動車関連部品及び住宅設備関連部品の受注回復が進み増収となりましたが、国内は製造コスト上昇に対し価格転嫁が追い付かず、また米国での急激な受注の落ち込みが影響し減益となりました。制御機器部門は、主力の半導体市場は流通在庫調整がほぼ収束し、AI半導体の設備投資が牽引したことにより、国内・海外向け共に堅調に推移しました。液晶市場は引き続き低調ではありますが、海外向けの一部持ち直しにより増収となりました。医療市場での一部新製品の上市遅れ及び中国市場の景気低迷の影響により、全体では増収減益となりました。
この結果、売上高は237億4千万円(前年同期比9.0%増)、営業利益は2億1千9百万円(前年同期比14.9%減)となりました。
<引布加工品>
引布部門は、電気・電子分野向けの部材や一般ゴム引布の受注が好調に推移しましたが、製造コスト等の増加により増収減益となりました。加工品部門は、防衛関連製品の受注増加で増収となりましたが、舶用品関係において救命いかだ不具合事象の対応費用増加により、営業損失となりました。印刷材料部門は2024年3月期をもって事業撤退いたしました。
この結果、売上高は34億2千1百万円(前年同期比30.9%減)、営業損失は1億3千1百万円(前年同期は4千3百万円の損失)となりました。
<スポーツ用品>
ゴルフ用カーボンシャフト部門は、米国モデル『VENTUS』、国内モデル『SPEEDER NX VIOLET』等の主力モデルが米国及び国内の男子・女子ツアーそれぞれで多くのプロゴルファーに使用されたことにより認知度が高まり、加えて積極的な宣伝広告と営業戦略が功を奏しグローバルで好調を継続しました。また2025年2月に五反田本社に併設のフィッティング直営店『フジクラゴルフクラブ相談室五反田店』をオープンしたことで、フジクラシャフトの魅力の訴求とエンドユーザへのPR効果も高まり、増収増益となりました。アウトドア用品部門は、市場全体での冬物商材の在庫消化が遅れたことにより春物商材の投入が進まず、減収減益となりました。
この結果、売上高は138億1千7百万円(前年同期比29.0%増)、営業利益は54億6千万円(前年同期比36.9%増)となりました。
<その他>
運送部門は、産業用資材の輸送が増加しましたが、燃料費の高騰により、増収減益となりました。
この結果、売上高は3億4千5百万円(前年同期比0.2%増)、営業利益は3千6百万円(前年同期比9.9%減)となりました。
当期の財政状況は次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産は前連結会計年度末に比べ37億5千2百万円増加の478億2千7百万円となりました。現金及び預金の増加などにより流動資産が14億5千8百万円増加し、稼ぐ力の強化の一環として小高工場の再稼働に向けた整備が進んだことで建物及び建設仮勘定などが増加したことに伴い、固定資産が22億9千3百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べ58億1千7百万円増加の133億9千4百万円となりました。短期借入金が増加したことなどにより流動負債が25億4千1百万円増加し、長期借入金の増加などにより固定負債が32億7千5百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べ20億6千5百万円減少の344億3千3百万円となりました。自己株式の取得により自己株式が増加したことなどによるものであります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の82.8%から72.0%となりました。
以上の結果、当社グループが企業価値の安定的、かつ着実な成長を示す指標(以下、「目標数値」という)と比べると、売上高営業利益率は11.6%(目標数値10%以上)、自己資本比率は72.0%(目標数値60%以上)、ROEは11.3%(目標数値10%以上)となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「3 事業等のリスク」に掲げたリスクに対して、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に掲げた取組みを進めています。引き続き、リスクに対する取組みを進めてまいります。
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ6億4千8百万円増加し(前年同期比6.3%増)、108億7千7百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は68億8千6百万円となりました。これは主に「税金等調整前当期純利益」を49億2千7百万円計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は31億7千万円となりました。これは主に「有形固定資産の取得による支出」36億6千9百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は34億4千9百万円となりました。これは主に「自己株式の取得による支出」56億4百万円によるものであります。
営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを差し引いた当期のフリー・キャッシュ・フローは、37億1千6百万円で、前連結会計年度末に比べ4億9千8百万円減少いたしました。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要は、原材料費、製造費、人件費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに固定資産等にかかる投資であり、主に自己資金により賄い、必要に応じ銀行借入等により対応しております。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は108億7千7百万円であり、流動性は十分な水準であると考えております。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位 : 千円)
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位 : 千円)
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位 : 千円)
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行なっております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の項目については、連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、中東情勢の影響につきましては、連結財務諸表作成時点で入手可能な情報をもとに将来の見積りに反映させております。
(固定資産の減損処理)
当社グループは固定資産の減損会計の適用に際し、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループ単位で将来キャッシュ・フローを見積り、将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額することとしております。この見積りに変動があった場合、減損損失が発生し、利益に影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループは、「くらし」「ものづくり」「エネルギー」「いのち」「レジャー」の5つをキーテーマとして、基礎技術を発展させ、自然環境の保全、省エネルギーに貢献する製品や心の豊かさに繋がる製品の開発に注力しております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発活動は次のとおりであります。
(1) 産業用資材
工業用品部門の自動車事業では、カーボンニュートラルの動きに呼応して、電気自動車をはじめ、燃料電池自動車やハイブリッド車に搭載される、電池、流体制御機器、軽量化部品、熱マネジメント部品に対応した製品開発に注力しており、車載用リチウムイオンバッテリーの熱暴走対策として、防爆弁と熱膨張耐火断熱材『フレガード(R)』を上市しております。さらに次世代燃料として期待される、水素、アンモニア、e-fuel、バイオ燃料(アルコール燃料含む)等について、その使用環境において耐性のある材料開発も継続しております。また、住宅設備機器事業では、永く安定して機能部品を供給している実績を背景に、環境への負荷が少ないエネルギーに対応した製品の開発、サステナビリティに目を向けた新材料の開発、ゴムと樹脂等の複合品開発を促進し新たな価値創造をしていきます。さらに災害に備える製品にも着目し、火災被害を抑制する熱膨張断熱材料、非常用のマグネシウム空気電池など、くらしに欠かせない製品を上市しております。
制御機器部門では、精密な流体制御を要する半導体製造装置向け機器や医療機器向け製品の拡充に取組んでおります。医療分野では、医療用グレードのシリコーンを用いた各種製品の製造、および製薬業界で需要が高まるシングルユース製品の構成部材開発に注力しております。また、流体制御技術を応用した精密レギュレータの開発においては、医療機器メーカーとの戦略的パートナーシップのもと、ISO13485に準拠した厳格な品質管理体制を構築し、製品化を推進しております。さらに主力製品である低摩擦エアシリンダにおいては、エアベアリングやダイヤフラム方式を軸に新たな精密シリンダについても開発を進めており、これら要素機器にソフト技術を加え、位置や力を精密に制御するユニット製品の標準品開発に取り組んでいます。また医療・分析機器に使用される各種ガス・液体を精密制御する制御機器の開発にも力を入れています。その他、精密な大型金属加工品の内製化促進および大型ユニットへの展開を進めており、お客様の利便性に寄与する製品及びユニット開発を進めていきます。
当セグメントにかかる研究開発費は
(2) 引布加工品
引布部門では、当社の基盤技術で強みである特殊機械設備を駆使した加工技術と、繊維やゴム配合の材料技術、それらを組み合わせた複合化技術を主軸に高機能ゴムシート及びゴム引布の開発を行っております。特に厚さ0.1~0.3mmの極薄ゴムシート、耐熱材料を用いたゴム引布は、医療、自動車、半導体、建築材料分野にて様々な形状に加工され使用されております。配合、加工技術をさらに発展させ、より付加価値の高いゴムシート、ゴム引布の開発も進んでおります。
加工品部門では、引布部門で製造されたゴム布を主材料とし、高度な設計製造技術により高機能加工製品を展開しており、なかでも世界市場でシェアを有する救命いかだを代表とする救命設備関連製品の機能向上に注力しております。国内向けでは、小型船舶等に対する安全設備の義務化に伴い、国が定めた基準に適合する改良型内部収容型救命浮器などを設計開発し、既に多くの受注を頂いており生産と出荷を開始しております。産業資材関連分野では、希少ガスであるヘリウムを再利用するために一時貯蔵するガスバッグや、発電所などのエネルギー関連、物流等、様々な分野における市場要求に呼応した製品の開発に取組んでおります。
当セグメントにかかる研究開発費は
(3) スポーツ用品
ゴルフ用カーボンシャフト部門では、米国モデル『VENTUS』シリーズと日本モデル『SPEEDER NX』シリーズを主軸にグローバルで商品を展開し、男女ツアーでそれぞれ使用率No.1を達成し、多くのゴルファーからご好評を頂いております。『SPEEDER NX』シリーズは、最新の設計テクノロジー『DHX(R)』を複合することにより、ヘッドスピードのアップによって飛距離性能が向上し、多くのゴルファーから高い評価を得ることが出来ました。『VENTUS』シリーズは、ハードヒッターのインパクトロスを最小限とする『VeloCoreテクノロジー』をさらに高い次元の『VeloCore Plusテクノロジー』へと進化させ、アスリートゴルファーからさらに高い評価を得ています。
また、2012年の発売以降シリーズ累計販売本数75万本以上を記録したベストセラーのメタルコンポジットアイアンシャフト『MCI』の次期モデルを開発完了し、モデルチェンジします。当社の事業理念であります『設計技術・複合化技術・加工技術』をさらに高めることにより、高機能シャフトとして開発しました。50g台から100g台まで同じ振り心地で揃える設計技術により、幅広いゴルファーが楽しめる商品ラインナップへの充実を図っております。
それぞれの基盤となるコア技術は、多くの主要サプライヤーから調達可能な各種カーボンプリプレグを使用する設計技術と、金属複合化特許技術とゴム複合化技術を組み合わせることにより特徴的な製品を作り出せる異素材の複合・結合技術であります。さらに、自社開発の『三次元評価システムenso』によりシャフト挙動がスイングに与える影響を理論的に捉え、魅力的な商品作りを進めております。2024年9月に移設した生産拠点にテストフィールドを併設することにより、開発スピードをさらに高めることが可能となりました。
また、ゴルフシャフト技術を応用したCFRP(炭素繊維強化プラスチック)製品の各種産業分野へも展開の幅を広げる中で、鉄に比べて高強度・高剛性と軽量化が可能なCFRP技術と、振動減衰性に優れたゴム配合技術などを融合し、軽量化、防振、熱マネジメントに対応した高機能部品を供給しております。
当セグメントにかかる研究開発費は
(4) その他
該当事項はありません。