第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度の世界経済は、米国では新政権の経済政策による先行き不透明感がある中、堅調な個人消費に支えられ、景気は緩やかに拡大しました。欧州においても、英国のEU離脱決定直後は景気の急速な冷え込みが懸念されましたが、緩やかな回復が続きました。また、中国では経済成長が減速基調であるものの、安定的な成長を続けています。国内経済は、雇用増加や所得改善もありましたが、個人消費は緩やかな回復に留まりました。

このような中、当社グループを取り巻く経営環境のうち、主要取引先である自動車業界においては、米国で原油安などを背景にピックアップトラックや多目的スポーツ車(SUV)など一部車種が需要をけん引し、生産・販売ともに増加しました。欧州では回復基調が続き、さらに中国では小型車の減税措置の効果があったほか、SUVを中心に需要増加が続きました。一方で、南米は経済低迷の長期化により、不振が続きました。国内は、軽自動車は増税などの影響から減少しているものの、新型車効果などにより販売台数は前年を上回りました。

また、一般産業用品部門のうち、建機市場においては、内需が低迷しているものの、中国でのインフラ整備による公共投資の下支えにより、前連結会計年度に比べ回復傾向にあります。一方で、エレクトロニクス分野の主要取引先であるプリンター・複写機などの事務機器市場は、低迷が継続しました。

以上の結果、売上高については、販売量は増加しましたが、海外事業における為替換算の影響が大きく、422,630百万円(前期比0.4%減)とほぼ横ばいとなりました。営業利益は円高によるマイナス影響が大きかったものの、前期に実施した欧州での事業構造改善による影響があったほか、継続的なコスト削減活動(GCI活動)などにより、13,600百万円(前期比5.7%増)となりました。また、税引前当期利益は13,300百万円(前期比11.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は5,195百万円(前期比79.1%増)となりました。

 

セグメントの業績を示すと次のとおりであります。

 

a.自動車用品

国内市場は、自動車メーカーの新型車種の立ち上げや輸出増加に伴う生産台数増加により、生産・販売とも回復傾向にありました。海外市場は、小型車減税により需要が増加した中国をはじめ、需要が継続している北米や景気が回復傾向にある欧州およびアジア地域などで販売が堅調に推移しました。

以上の結果、外部顧客への売上高は、海外における販売は増加したものの、為替換算の影響を受けたことにより、362,367百万円(前期比1.8%減)と減収となりました。一方で、営業利益は、前期に実施した事業構造改善の影響のほか、海外における売上の増加が収益に寄与したこともあり、12,499百万円(前期比7.3%増)と増益となりました。

 

b.一般産業用品

一般産業用品部門において、エレクトロニクス分野では、プリンター・複写機などの事務機器市場が低迷しているものの、インフラ分野では、中国における公共投資の復調から建機市場向けの建設・土木機械用高圧ホースの販売が増加したほか、鉄道車両用防振ゴムの販売も堅調に推移しました。また、住環境事業では、国内市場で地震対策用制震ダンパーの需要増加に伴い、売上が増加しました。

以上の結果、外部顧客への売上高は、60,263百万円(前期比8.9%増)と増収となったものの、営業利益は、プリンター向け機能部品などエレクトロニクス分野での市場低迷や健康介護事業など新規事業の開発コストの負担などが収益を圧迫し、1,101百万円(前期比9.6%減)となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(現金及び現金同等物)

当連結会計年度の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ12,873百万円(41.6%)増加し、当連結会計年度末には43,854百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税引前当期利益13,300百万円と減価償却費及び償却費26,664百万円に、法人所得税の支払額7,184百万円、その他調整項目を加減し、結果として当連結会計年度において営業活動から得た資金は、33,161百万円(前連結会計年度比3,307百万円増)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

設備投資等により有形固定資産及び無形資産の取得による支出が33,315百万円などにより、当連結会計年度における投資活動に使用した資金は、32,534百万円(前連結会計年度比1,456百万円減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入金及び社債の発行による収入などにより、当連結会計年度の財務活動による資金の増加は10,715百万円(前連結会計年度は1,106百万円の支出)となりました。

 

(3) 並行開示情報

IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項

(のれんの償却)

日本基準においては、のれんを規則的に償却しておりましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しております。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が1,113百万円減少しております。

 

(無形資産)

日本基準において費用処理しておりました一部の開発費について、IFRSにおいては資産計上要件を満たすことから、無形資産に計上しております。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、無形資産が9,614百万円増加しております。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注の状況については、「1.業績等の概要」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2016年4月1日
 至 2017年3月31日)

前年同期比(%)

自動車用品(百万円)

362,367

△1.8

一般産業用品(百万円)

60,263

+8.9

合計(百万円)

422,630

△0.4

 

(注) 1.セグメント間の取引14,051百万円については相殺消去しております。

   2.主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
(自 2015年4月1日
  至 2016年3月31日)

当連結会計年度
(自 2016年4月1日
  至 2017年3月31日)

金額

割合

金額

割合

トヨタ自動車㈱

百万円

50,200

11.8

百万円

58,848

13.9

 

3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

当社グループは、2020年度を最終年度とする中期経営ビジョン「2020年 住友理工グループVision(2020V)」に基づき「自動車」「インフラ」「エレクトロニクス」「住環境・健康介護」の4分野に注力し、また、「着実な成長」と「体質強化」を成長戦略のテーマとして、以下の内容を遂行していきます。

<経営戦略と重点実施事項>
 「環境技術強化」
   ① 環境対応製品の開発・上市の推進
   ② 事業活動により排出する環境負荷物質の低減
 「モノづくり革新」
   ① IoTによる生産革新
   ② グロープ経営革新
 「新規顧客開拓」
   ① グローバルマーケットに対する提案力強化
   ② 既存製品の周辺領域の取り込み

 

これらの取り組みにより、「人・社会・地球の安全・安心・快適に貢献する企業」を目指すべき姿として“Global Excellent Manufacturing Company”の実現を追求し続けます。2020年度の財務目標としては、売上高5,300億円、営業利益率6%を掲げています。そして創業100周年となる2029年に、売上高1兆円を目指して、引き続き着実な歩みを続けていきます。

 

(2)経営環境及び対処すべき課題

当社グループを取り巻く経営環境として、世界経済については、英国のEU離脱や米国新政権の経済政策による先行き不透明感があるなか、欧州は緩やかな回復基調の継続、長らく低迷が続いていた南米市場にも回復の兆しが見えつつあります。また、米国、中国での経済成長は引き続き底堅く推移すると予想されます。国内経済については、為替や原材料費の変動などの影響が懸念され、厳しい経営環境が今後も続くものと認識しています。

このような中、当社グループでは以下のような施策を推進してまいります。

 

①事業部門別の施策

・自動車用品部門

自動車分野では、従来取引のある日系自動車メーカー向けの高いシェアを維持しつつ、2013年に買収・子会社化したAnvis Group GmbH(Anvis社、現SumiRiko AVS Holding Germany GmbH)とDytech-Dynamic Fluid Technologies S.p.A.(Dytech社)とのシナジーを加速させ、海外自動車メーカーへの拡販に注力します。

Anvis社については、事業構造改善の効果などによって、2015年度より黒字化し、今後の収益拡大を見込んでいます。一方、Dytech社については、業績回復に向けて事業構造の改善に取り組んでおり、構造改革の一環として、イタリア・トリノ市にあるアイラスカ工場を同市近郊にあるキバッソ工場に統合し、生産効率の改善に注力します。

また、北米などでの需要増加に対応するため、メキシコのS-Riko de Querétaro, S.A.P.I. de C.V.において新たな工場の稼働を開始したほか、国内では、山形県米沢市に設立した住理工山形株式会社が2016年6月に生産を開始しております。これら新拠点の稼働と合わせて、資源や人材の最適な配置、コスト削減の推進により、競争力の高い製品の供給体制の構築を図ります。

さらに、海外自動車メーカーへの販売体制の強化を図るために、ドイツ・フランクフルト市に「第2グローバル自動車営業本部」を新設し、日本との2本部体制を構築し、海外自動車メーカーへの拡販に努めます。

 

2020Vの経営戦略の1つ、「新規顧客開拓」を推進する体制を整え、「防振ゴム」「ホース」「ウレタン製品(制遮音品・内装品)」の既存3分野以外の自動車用新商品を開発・育成していくために、「自動車新商品開発センター」を設置しました。体圧を検知する「スマートラバー(SR)センサ」を自動車のシートに埋め込み、呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能の実用化に向けた開発や、電気自動車(EV)および燃料電池自動車(FCV)向けの環境対応製品の技術開発などを行います。

 

・一般産業用品部門

エレクトロニクス分野では、エレクトロニクス事業本部のなかに、「ファインエラストマー事業部」を設置しました。高機能精密ゴム部品の製造・販売を行う子会社の株式会社住理工ファインエラストマーとの一体運営を進め、自動車の電装化が進むことにより市場の拡大が予想されるシール事業のグローバル展開を推進します。また、フレキソ事業においては、欧州における新たな事業展開として、イタリア・トリノ市に生産拠点を設立し、2018年初めより稼働を始める予定です。

インフラ分野のうち、建設・土木機械向け高圧ホースについては、公共事業の復調により需要が旺盛となった中国で販売代理店会を発足させるなど、事業の拡大を推進しています。さらに、ローカルメーカーを中心とした海外建機メーカーへの販路拡大にも取り組んでいます。また、鉄道車両用防振ゴムにおいては、世界各地で開催されている展示会に積極的に参加し、知名度の向上を図るとともに、欧米の既存拠点を活用した拡販活動を進めています。

住環境・健康介護分野のうち、住環境事業においては、2016年4月の熊本地震以降、繰り返しの地震に強い「制震」による地震対策が注目を集める中、住宅用制震システムのラインアップに、2×4(ツーバイフォー)工法用の新製品を加えたほか、窓用遮熱・断熱フィルムのリフレシャインにおいては窓ガラスの飛散防止機能と住環境改善機能を両立しながら低価格化を実現した新製品を発売するなど、顧客のニーズを捉えた快適な住まいづくりに貢献しています。

健康介護事業においては、胸骨圧迫(心臓マッサージ)の訓練をサポートする胸骨圧迫 訓練評価システム「しんのすけくん」をはじめ、体圧を検知する「スマートラバー(SR)センサ」を応用した製品群の開発・製品化を進めています。2017年3月には九州大学との共同研究を通じて開発された、体格や寝姿勢に応じて体圧を自動分散する床ずれ防止マットレス「SRアクティブマットレス 体圧ブンさん」を上市しました。引き続き医療や介護の現場でリハビリ支援などに活用できる「SRソフトビジョン」シリーズのラインアップを拡充し、「安全・安心・快適」な暮らしづくりを支える製品の開発・拡販に努めます。

 

エレクトロニクス、インフラ、住環境・健康介護分野の新事業開発を事業部門と連携し主導していくために、研究開発本部から新事業開発研究所を独立させ「新事業開発センター」を設置しました。各分野のニーズを把握し、テーマ化・事業化を推進します。

 

②健康経営の推進

当社グループを取り巻く環境は大きく変化しています。まさに今、働き方を見直し、従業員一人ひとりが公私ともに充実し、生きがいを持って仕事に取り組める企業風土を醸成する時であると考えます。ダイバーシティの一層の推進とワークライフバランスの充実を目指し、働き方改革を進めていきます。

また、当社は2016年度に始まった認証制度「健康経営優良法人2017」で、大規模法人部門「ホワイト500」に認定されました。この制度は、経済産業省と日本健康会議が、特に優良な健康経営を実践している企業などの法人を認定するものです。

これを受けて「住友理工グループ健康経営宣言」を定め、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、従業員一人ひとりの健康を重視し、環境整備に取り組んでまいります。

 

③コンプライアンス強化

当社は昨年、社内調査の結果、当社子会社の株式会社住理工ホーステックスおよび住理工ホース販売株式会社が製造または販売した防衛省向けホース製品の検査成績書などについて事実と異なる記載のあることが判明したため、防衛省に報告しました。その結果、当該子会社2社が防衛省から3ヶ月間の指名停止措置を受けました。当社グループは、品質保証管理体制および内部統制監査体制の強化並びにコンプライアンスの徹底を図り、再発防止に努めてまいります。

 

当社グループはモノづくり企業として長年にわたり培ってきたコアコンピタンス「高分子材料技術」「総合評価技術」を軸に、住友事業精神が謳う「信用確実」「不趨浮利」を忠実に守りながら、「安全・環境・コンプライアンス、品質(S.E.C.-Q.)」の取り組みを着実に積み重ねていくことにより、世界中で必要とされる“Global Excellent Manufacturing Company”への飛躍を目指してまいります。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のものがあります。本項における将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(政治経済情勢・需要変動等に係るリスク)

部品メーカーである当社グループの経営成績は、顧客である完成品メーカーの生産動向の影響を受けますが、特に売上高の8割以上を占める顧客である自動車メーカーの国内外での生産動向の影響を大きく受けます。中長期的には自動車メーカーを取り巻く環境の変化が当社製品の需要に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、海外売上高が連結売上高の約6割を占めており、海外の政治経済や社会情勢が経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(法律・規制の変更等によるリスク)

当社グループの事業は、国内外の法律・規制の変更等があった場合、その影響を完全に回避することができないため、経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。これらの要因としては、輸出入規制や関税率の引き上げ、各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更、外貨規制などがあります。 

 

(訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに係るリスク)

当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、訴訟規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループが損害賠償請求を受け、罰金その他の制裁金を賦課され、又は事業の遂行に制約が課される可能性があります。当社グループは、これらの法的リスクを未然に防止し、また顕在化したリスクに適切に対応する体制の整備を進めていますが、かかる対応にもかかわらず、法的リスクが顕在化した場合には経営成績等への影響が及ぶ可能性があります。

また、当社は海外での事業展開や新事業への進出を積極的に進めており、一方、消費者等の権利意識の高まりや国内外における競争政策、贈賄防止、移転価格、消費者保護等の分野での規制当局の法執行が積極化していることから、国内外における集団訴訟や当局の調査に対し適切に対応するために要する費用により財務負担が増加する可能性があります。

 

(災害等のリスク)

当社グループは、地震、火災、落雷、破裂・爆発、風・雪・水災、航空機の墜落、伝染病の流行、テロその他の犯罪、内戦等により被災することにより直接・間接の損失を被る可能性があります。特に、当社グループの主要な生産・営業拠点が、東海及び東南海・南海地震の防災対策強化地域や首都直下型地震の地域に所在しているため、地震発生も想定した事業継続計画を策定するなどの対策を進めていますが、顧客、原材料等の供給元の被災、電力・情報通信・物流網等の復旧の状況等により、影響が長期化する可能性があります。

 

(金利の変動によるリスク)

当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を行っています。当社グループの資金調達は、設備投資を目的とした長期固定金利の社債発行や長期借入による調達を中心としています。そのため、金利の短期的な変動による影響は比較的受けにくいものの、金利が中長期的に上昇した場合は、社債等による資金調達コストを上昇させ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの借入金に係る金融機関との契約には、財務制限条項が付されているものがあります。当該財務制限条項に抵触した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(為替レートの変動によるリスク)

当社グループは、在外連結子会社及び在外持分法適用関連会社の個別財務諸表を主に現地通貨ベースで作成し、連結財務諸表の作成時に円換算しています。従って、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、円換算時の米国ドル、ユーロ等の為替レート変動が経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、中長期にわたる大幅な為替変動は、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(原材料等の調達に係るリスク)

当社グループの製品は、天然ゴム、合成ゴムや鋼材等を原材料として使用しています。これら原材料や副資材、燃料等の市況価格の急激な上昇等があった場合は、製品価格に適切に反映させることができず、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、原材料等の供給元の倒産や罹災により、必要量の調達が困難になる可能性があります。

 

(知的財産に係るリスク)

当社グループは、特許権、意匠権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図るとともに、他社の知的財産権に対しても注意を払っています。

しかしながら、新事業分野における製品開発の増加や海外での事業活動の拡大に伴う流通経路の複雑化等により、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合に、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があり、その場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(情報の流出によるリスク)

当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しています。これらの情報の秘密保持については必要な対策を講じていますが、不測の事態により、情報が漏洩する可能性があります。このような事態が生じた場合、事業戦略の遂行に支障が生じたり、損害拡大防止費用や損害賠償責任の負担が生じたりすることにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(製品の欠陥によるリスク)

当社グループは、全社的な品質管理の体制を構築・運用することにより、製品の品質保持に万全の注意を払っていますが、予期せぬ事態により、大規模な市場改修や製造物責任による賠償費用等の負担が生じる可能性があります。

また、顧客との間での品質問題に関する交渉等のために要する費用の負担により、経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(新事業展開によるリスク)

当社グループは、2020Vに基づき、「自動車」「インフラ」「エレクトロニクス」「住環境・健康介護」の4つの成長分野において既存事業の強化と新規事業の展開を進めており、新規事業には既存事業と異なる事業リスクが存在するため、事業化の検討の各段階において必要に応じ外部専門家の意見も取り入れ、十分な調査に基づく慎重な判断を行うものとしています。

しかしながら、当社グループは新規事業分野での十分な事業経験を有していないことから、事業化の遅延やマーケティング手法の不備などの原因で投資回収の遅延や不能が生じ、経営成績等に影響を与える可能性があります。また、同様の理由から、既存事業と比べ、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに係るリスクが高まる可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、事業を取り巻く環境がダイナミックに変化する中、将来に向けて持続的に成長・発展するために新事業の創出が不可欠であることから、当社グループのコア技術である高分子材料技術と総合評価技術をベースに外部技術との融合・協業を促進し、スピーディーな新技術の創出とタイムリーな商品開発を目指しています。

研究開発にあたっては、当社グループの既存事業のコア技術を進化させる材料技術研究所と、中期経営ビジョン「2020年 住友理工グループVision(2020V)」の重点商品開発領域のコア技術を集約するために新設した、先行技術研究所で、技術開発を進めています。また、2016年4月には福岡県糸島市および九州大学との3者協定に基づき、「九州大学ヘルスケアシステムLABO糸島」(愛称:ふれあいラボ)を開所しました。医療・介護・日常生活をつなぐ新たな製品やシステム、サービスの創出を目指し、実証研究と実用化促進に取り組んでいます。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は14,614百万円であります。

 

セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

① 自動車用品

自動車用品分野においては、2020Vの経営戦略の1つ、「新規顧客開拓」を推進する体制を整え、「防振ゴム」「ホース」「ウレタン製品(制遮音品・内装品)」の既存3分野以外の自動車用新商品を開発・育成していくために、「自動車新商品開発センター」を設置しました。体圧を検知する「スマートラバー(SR)センサ」を自動車のシートに埋め込み、呼吸や心拍などのバイタル情報によってドライバーの異変を検知、危険を回避する乗員状態検知機能の実用化に向けた開発や、電気自動車(EV)および燃料電池自動車(FCV)向けの環境対応製品の技術開発などに取り組んでおります。

当連結会計年度における自動車用品に係る研究開発費は、11,812百万円であります。

 

② 一般産業用品

エレクトロニクス分野においては水現像フレキソ版材や、高機能、高精度部品の材料開発を積極的に進めております。インフラ分野および住環境・健康介護事業分野では、鉄道車両用防振ゴム・高圧ホース等のコア技術の強化・再構築を図ると共に、住宅市場といった新たな分野での展開を行い、事業体質の強化・新規事業の創出を図っております。また、飛散防止機能と住環境改善機能のある窓用フィルム、体圧検知センサなどの開発にも取り組んでおり、2017年3月には九州大学との共同研究を通じて開発された、体格や寝姿勢に応じて体圧を自動分散する床ずれ防止マットレス「SRアクティブマットレス 体圧ブンさん」を上市しました。

また、エレクトロニクス、インフラ、住環境・健康介護分野の新事業開発を事業部門と連携し主導していくために、研究開発本部より新事業開発研究所を独立させ「新事業開発センター」を設置しました。各分野のニーズを把握し、テーマ化・事業化を推進します。

当連結会計年度における一般産業用品に係る研究開発費は、2,802百万円であります。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しております。

当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

(1) 財政状態の分析

<資産>

資産合計は、404,799百万円(前連結会計年度末比19,428百万円増)となりました。

この内、流動資産は現金及び現金同等物の増加などにより193,717百万円(前連結会計年度末比16,955百万円増)となり、非流動資産は有形固定資産の増加などにより211,082百万円(前連結会計年度末比2,473百万円増)となりました。

 

<負債>

負債合計は、225,010百万円(前連結会計年度末比18,133百万円増)となりました。

これは、社債及び借入金が増加したことなどによるものです。

 

<資本>

資本合計は、179,789百万円(前連結会計年度末比1,295百万円増)となり、親会社所有者帰属持分比率は39.8%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの分析

「1 業績等の概要」にて、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況を参照ください。

 

(3) 経営成績の分析

「1 業績等の概要」にて、当連結会計年度の業績、セグメントの業績を参照ください。