文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針・経営戦略等
当社グループは、2022年度を最終年度とする中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループVision」に基づき「自動車(モビリティ)」「インフラ・住環境」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」の4分野に注力し、また、「事業環境が大きな変革期を迎える中で、着実な成長と体質強化を目指す」をVisionのテーマとして、以下の内容を遂行していきます。
<経営戦略>
「新事業・新規顧客創出」
① 新事業創出
② グローバル拡販
「モノづくり革新」
① 競争を勝ち抜く強い現場づくり(SRIM 22 Act)
② 技術革新(環境技術)・世界No.1品質
「グローバル経営基盤強化」
① グローバル人材力強化
② グローバルインフラ強化
これらの取り組みにより、「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」を目指すべき姿として“Global Excellent Manufacturing Company”の実現を追求し続けます。
〔成長投資管理と事業採算性管理について〕
当社は、成長投資管理の仕組みとして投資採算基準を設定し、事業戦略との両輪で意思決定しています。投資採算基準には、回収年限法とディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)法を併用しています。割引率には、加重平均資本コスト(WACC)に国別のカントリー・リスクとWACCスプレッドを上乗せしたハードルレートを用いることにより、中長期的にWACCを上回る成果の確保を目指しています。
また、投資意思決定時の計画に対して未達となっている案件については、戦略的に事業構造改革計画を策定しています。事業環境変化による採算悪化リスクを最小限に抑制し、より高い成長を見込める事業に経営資源を再配分することで、グループ全体の投資効率を高めています。成長投資管理と並行して、赤字拠点を中心に事業採算性を定期的にチェックし、将来の事業性を検討しています。
(2) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループを取り巻く環境は、脱炭素・カーボンニュートラルに向けた世界的な潮流や「CASE」といった自動車業界の大変革に加え、足元ではウクライナ情勢や新型コロナウイルス感染症の拡大、原油・原材料価格高騰、サプライチェーンの混乱といった影響により、先行きが依然不透明です。
このような中、当社グループは、中期経営ビジョン「2022年住友理工グループVision」(2022V)のもと、「新事業・新規顧客創出」「モノづくり革新」「グローバル経営基盤強化」を経営戦略の柱として、企業価値向上に取り組んでいます。次期ビジョンの策定を前に、近年の収益力低下を踏まえ、国内外拠点の再編を通じた事業構造の再構築を実施しています。さらに、新製品の開発と市場開拓を急ぐ中で、親会社である住友電気工業株式会社との連携を強化し、これまで以上にシナジーを創出できるように進めていきます。
〔自動車用品部門〕
自動車業界においては、全世界的な部品不足による自動車メーカーの減産、原材料価格や輸送費の高騰が見込まれるなど、先行きが不透明な状況が続いています。
このような中にあっても技術革新の波は進行し、企業はこれらへの迅速な対応にとどまらず、カーボンニュートラルに象徴されるような社会課題解決への積極的な関与が求められています。
当社グループにおいては、創業以来培ってきたコアコンピタンス「高分子材料技術」「総合評価技術」をもとに、これからの自動車(モビリティ)に新たな価値を提供する製品の創出と開発を進めています。
現在、新商品開発センターが主体となって、CASEにおける「A:Autonomous(自動運転)」「E:Electric(電動化)」2領域の新製品開発に注力しています。圧力分布を検知する「スマートラバー(SR)センサ」は、自動車のステアリングやシートに装着することで、体動に基づくバイタルデータを取得することができます。すでに自動運転対応車の安全性向上に貢献する「ステアリングタッチセンサー」として実用化されています。シートに設置するタイプの「モニライフ・モビリティ™」は開発を継続中で、危険回避や安全確保を的確に行うシステム構築をサポートするなど、自動運転時代を勝ち抜くための新たな製品群の準備を進めています。
また、地球環境保全の機運がますます高まる中、各国の環境規制に対応した、ガソリン蒸散の低減に寄与する高性能な燃料ホースは依然好調で、拡販を継続しています。一方で、車の電動化が加速する中、電気自動車(EV)用の電池やモーターをはじめとする部品の熱マネジメントのニーズが高まっており、当社の流体搬送技術を生かした冷却系ホースなどの開発に注力しています。加えて、EVのネックとされる電費・航続距離問題のソリューションとして、熱マネジメントに寄与する薄膜高断熱材「ファインシュライト®」を拡販中で、来たるEV時代における省エネや環境負荷軽減、安全性の向上に貢献すると考えています。また、水素社会の実現に向けては、燃料電池自動車(FCV)向けの基幹部品を供給しており、トヨタ自動車株式会社の新型MIRAIにも当社製品が継続採用されています。
当社グループにおける、米州の業績低迷については、早急に対処すべき経営課題として認識しています。中でも米国拠点では、グローバル競争の激化や人手不足から生産性が低下してきました。ローカル人材の育成や工程改善によるロス低減に継続して取り組みつつ、米国拠点からメキシコへの生産移管なども含め、収益性の改善を目指します。
物流については、事業横断的に見直しを進め、グローバルでのサプライチェーンの強靭化を目指すとともに、原材料価格や物流コストの低減活動を実施中です。
依然として新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない厳しい局面ですが、経費削減を継続するとともに、収束後の需要回復期にも対応できるよう、より一層最適な生産体制の構築に取り組んでまいります。
〔一般産業用品部門・新規事業部門〕
当社グループは、主力事業の「自動車(モビリティ)」分野に加えて、「インフラ・住環境」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」といった、社会環境基盤の構築に不可欠な分野へも事業展開しています。これらはSDGs(持続可能な開発目標)にも掲げられる「住み続けられるまちづくり」に貢献する製品群と認識しています。
一般産業用品部門のうち、インフラ分野では、グローバルでの需要回復を背景に高圧ホースの売上が好調で、需要を見極めながら投資を実施していきます。また、エレクトロニクス分野では、成熟市場の伸び悩みやコロナ禍における働き方の変化による、事務機器の需要減少の影響を最小限にとどめる一方で、規模に応じた生産性を維持するための取り組みを実施します。すでに富士裾野製作所(静岡県裾野市)での事業再構築を図り、防振事業および化成品事業において、グループ全体でより高い収益を生み出すため、設備移管および最適な人員配置へと改善が進んでいます。
新規事業部門では、社会の要請に応えられるよう投資すべき重点事業分野を見極め、事業基盤の強化を図っていきます。
複数の生体情報を同時に計測できる「モニライフ・ウェルネス」は、宿泊施設などを対象に実証実験が進んでいます。睡眠時の睡眠の質や呼吸状態を判定することで、人々の健康のサポートに貢献できると考えています。さらに、「ファインシュライト®」は、その高いレベルでの保温・保冷機能から、食品やコロナワクチンの定温輸送に活用されており、その他用途でも協業先を探していきます。また、「ファインシュライト®」を工場設備に取り付けることで、熱効率が向上し省エネにつながったという実験結果も得られています。カーボンニュートラルを目指す社会に対して、当社製品がより貢献できることが分かってきました。
私たちはこれまで、モノづくり企業として90年以上にわたって培ってきたコアコンピタンスを軸に、住友事業精神が謳う「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」を忠実に守りながら、「安全・環境・コンプライアンス・品質(S.E.C.Q.)」の取り組みを積み重ねてきました。これからも世界中で必要とされる“Global Excellent Manufacturing Company”、すなわち「人・社会・地球の安全・快適・環境に貢献する企業」への成長を目指して、創立100周年に向け、着実な歩みを続けていきます。
当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のものがあります。本項における将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(政治経済情勢・需要変動等に係るリスク)
部品メーカーである当社グループの経営成績は、顧客である完成品メーカーの生産動向の影響を受けますが、特に売上高の8割以上を占める顧客である自動車メーカーの国内外での生産動向の影響を大きく受けます。中長期的には自動車メーカーを取り巻く環境の変化が当社製品の需要に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、顧客ニーズの多様化、製品ライフサイクルの短期化、グローバル化の進展による競争構造の変化等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループでは、海外売上高が連結売上高の約6割を占めており、海外の政治経済や社会情勢が経営成績等に影響を与える可能性があります。
(法律・規制の変更等によるリスク)
当社グループの事業は、国内外の法律・規制の変更等があった場合、その影響を完全に回避することができないため、経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。これらの要因としては、輸出入規制や関税率の引き上げ、各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更、外貨規制などがあります。
(訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに係るリスク)
当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、訴訟規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループが損害賠償請求を受け、罰金その他の制裁金を賦課され、又は事業の遂行に制約が課される可能性があります。当社グループは、これらの法的リスクを未然に防止し、また顕在化したリスクに適切に対応する体制の整備を進めていますが、かかる対応にもかかわらず、法的リスクが顕在化した場合には経営成績等への影響が及ぶ可能性があります。
また、当社は海外での事業展開や新事業への進出を積極的に進めており、一方、消費者等の権利意識の高まりや国内外における競争政策、贈賄防止、移転価格、消費者保護等の分野での規制当局の法執行が積極化していることから、国内外における集団訴訟や当局の調査に対し適切に対応するために要する費用により財務負担が増加する可能性があります。
(災害等のリスク)
当社グループは、地震、火災、落雷、破裂・爆発、風・雪・水災、航空機の墜落、伝染病の流行、テロその他の犯罪、内戦等により被災することにより直接・間接の損失を被る可能性があります。特に、当社グループの主要な生産・営業拠点が、東海及び東南海・南海地震の防災対策強化地域や首都直下型地震の地域に所在しているため、地震発生も想定した事業継続計画を策定するなどの対策を進めていますが、顧客、原材料等の供給元の被災、電力・情報通信・物流網等の復旧の状況等により、影響が長期化する可能性があります。
(新型コロナウイルス感染症拡大に伴うリスク)
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大及びそれに伴う経済活動、消費活動の停滞による市場環境のさらなる悪化、また、当社グループの事業活動に係る生産体制、物流体制、営業活動に支障が生じた場合や、人的被害が拡大した場合には、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループでは、社長を本部長とする対策本部会議を開催し、感染拡大による影響を最小限にするため、各拠点の感染状況や生産状況を把握し、対策を講じております。
(資金調達に係るリスク)
当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を行っています。当社グループの資金調達は、設備投資を目的とした長期固定金利の社債発行や長期借入による調達を中心としています。そのため、金利の短期的な変動による影響は比較的受けにくいものの、金利が中長期的に上昇した場合は、社債等による資金調達コストを上昇させ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループの借入金に係る金融機関との契約には、財務制限条項が付されているものがあります。当該財務制限条項に抵触した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(為替レートの変動によるリスク)
当社グループは、在外連結子会社及び在外持分法適用関連会社の個別財務諸表を主に現地通貨ベースで作成し、連結財務諸表の作成時に円換算しています。従って、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、円換算時の米国ドル、ユーロ等の為替レート変動が経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、中長期にわたる大幅な為替変動は、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(原材料等の調達に係るリスク)
当社グループの製品は、天然ゴム、合成ゴムや鋼材等を原材料として使用しています。これら原材料や副資材、燃料等の市況価格の急激な上昇等があった場合は、製品価格に適切に反映させることができず、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、原材料等の供給元の倒産や罹災により、必要量の調達が困難になる可能性があります。
(知的財産に係るリスク)
当社グループは、特許権、意匠権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図るとともに、他社の知的財産権に対しても注意を払っています。
しかしながら、新事業分野における製品開発の増加や海外での事業活動の拡大に伴う流通経路の複雑化等により、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合に、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があり、その場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(保有資産の価値変動に伴うリスク)
当社グループは、様々な有形固定資産や無形資産を保有しております。こうした資産は、価値の下落や、期待通りのキャッシュフローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合があり、減損処理した場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性に伴うリスク)
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性に疑義が生じた場合、もしくは税率の変更等を含む各国の税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果として、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(情報の流出によるリスク)
当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しています。これらの情報の秘密保持については必要な対策を講じていますが、不測の事態により、情報が漏洩する可能性があります。このような事態が生じた場合、事業戦略の遂行に支障が生じたり、損害拡大防止費用や損害賠償責任の負担が生じたりすることにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(情報システム・セキュリティに係るリスク)
当社グループが事業活動を行う上で、情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であり、構築・運用に当たっては十分なセキュリティの確保に努めていますが、ハッカーやコンピュータウイルスによる攻撃、不正使用やインフラ障害等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(製品の欠陥によるリスク)
当社グループは、全社的な品質管理の体制を構築・運用することにより、製品の品質保持に万全の注意を払っていますが、予期せぬ事態により、大規模な市場回収や製造物責任による賠償費用等の負担が生じる可能性があります。
また、顧客との間での品質問題に関する交渉等のために要する費用の負担により、経営成績等に影響を与える可能性があります。
(人事・労務に係るリスク)
当社グループは、事業領域の拡大やグローバル化に対応するため、人材確保・人材育成に努めていますが、事業領域・規模の拡大や新規事業への投資等に伴いグループの人員が増加していることから、人材不足や人事・労務問題が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(新事業展開によるリスク)
当社グループは、「2022年 住友理工グループVision」に基づき、「自動車(モビリティ)」「インフラ・住環境」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」の4つの分野において既存事業の強化と新規事業の展開を進めており、新規事業には既存事業と異なる事業リスクが存在するため、事業化の検討の各段階において必要に応じ外部専門家の意見も取り入れ、十分な調査に基づく慎重な判断を行うものとしています。
しかしながら、当社グループは新規事業分野での十分な事業経験を有していないことから、事業化の遅延やマーケティング手法の不備などの原因で投資回収の遅延や不能が生じ、経営成績等に影響を与える可能性があります。また、同様の理由から、既存事業と比べ、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに係るリスクが高まる可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、ワクチン接種の普及に伴う経済活動の進展等から、緩やかな景気回復が見られました。一方で、世界経済の先行きは、部品供給制約の長期化や新型コロナウイルス感染症の変異株拡大に加えて、ロシアのウクライナ侵攻による国際情勢の不安定化などにより、不透明な状況にあります。
当社グループに関連する業界については、経済活動の段階的な再開により需要の持ち直しが見られたものの、新型コロナウイルス感染症の拡大やサプライチェーンの混乱による顧客の減産、さらに原材料価格や物流費高騰の影響を受けるなど、厳しい状況が続きました。
このような中、当社グループでは、外部環境の変化に柔軟に対応し、利益を安定的に確保できる筋肉質な経営体質を目指して、引き続き拠点の統廃合・集約などによる生産体制の最適化や、より一層の原価低減活動等を通じた収益力の強化に努めています。
当連結会計年度における連結業績については、売上高は445,985百万円(前期比12.1%増)、事業利益は6,467百万円(前期比17.7%減)、また、事業環境変化に伴う収益性の低下により、海外子会社の固定資産の減損損失などを計上したため、営業利益は1,110百万円(前期比389.2%増)、税引前当期利益は387百万円(前期は608百万円の税引前当期損失)、親会社の所有者に帰属する当期損失は6,357百万円(前期は4,957百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。
※事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を含めて算出しております。
各セグメントの業績は、次のとおりです。
<自動車用品>
外部顧客への売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化やサプライチェーンの混乱による自動車の減産影響がありましたが、多くの地域で前期と比べて主要顧客の生産台数が増加したことや円安の進行による為替換算の影響により、386,843百万円(前期比12.4%増)となりました。
事業利益は、売上が増加したものの、主に北米、中国等で原材料価格や物流費高騰などの影響を受け、2,014百万円(前期比59.5%減)となりました。
<一般産業用品>
外部顧客への売上高は、59,142百万円(前期比10.1%増)となりました。
プリンター向け機能部品は、ペーパーレス化や労働環境の変化などを背景に、一定量の需要減少傾向が見られますが、前年同期と比べて需要が増加したため、増収となりました。
高圧ホースは、各国の経済活動の回復により住宅投資やインフラ投資などが活発となったため、日本は新興国、欧米向けを中心に需要が増加しました。また中国では、中国国内の建機需要の減少により、前期と比べて減収となったものの、事業全体では増収となりました。
事業利益は、主として売上増加により、4,453百万円(前期比54.4%増)となりました。
事業セグメント別実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注の状況については、セグメントの業績に関連付けて示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引17,042百万円については相殺消去しております。
2.主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
<資産>
資産合計は、408,280百万円(前連結会計年度末比28,778百万円増)となりました。
流動資産は、212,457百万円(前連結会計年度末比24,783百万円増)となりました。これは、棚卸資産が20,240百万円増加したことなどによるものです。
非流動資産は、195,823百万円(前連結会計年度末比3,995百万円増)となりました。これは、有形固定資産が1,056百万円増加したことなどによるものです。
<負債>
負債合計は、229,250百万円(前連結会計年度末比21,219百万円増)となりました。これは社債及び借入金が14,830百万円増加したことなどによるものです。
<資本>
資本合計は、179,030百万円(前連結会計年度末比7,559百万円増)となりました。これは円安の進行により、その他の資本の構成要素に含まれる在外営業活動体の為替換算差額が11,457百万円増加したことなどによるものです。親会社所有者帰属持分比率は38.7%(前連結会計年度末は40.2%)となりました。
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物は、営業活動により14,149百万円の増加、投資活動により24,956百万円の減少、財務活動により6,937百万円の増加、現金及び現金同等物に係る換算差額により1,265百万円の増加の結果、当連結会計年度末には28,475百万円となり、前連結会計年度末(31,080百万円)に比べ2,605百万円(8.4%)の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(29,830百万円)に比べ15,681百万円減少し、14,149百万円となりました。これは、棚卸資産の増減額が14,881百万円減少したことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、前連結会計年度(26,126百万円)に比べ1,170百万円減少し、24,956百万円となりました。これは、前連結会計年度において、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が1,833百万円あったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、6,937百万円となりました。(前連結会計年度は6,032百万円の支出)
これは、長期借入金及び社債の発行による収入が14,048百万円増加したことなどによるものです。
② 資本の財源及び資金の流動性
(財務政策)
当社グループは、「2022年 住友理工グループVision」で設定したROA、ROE等の目標達成のため、成長投資管理の強化に加え、運転資金を継続的に効率運用することにより資産回転率の向上を目指します。また、所有者帰属持分比率50%以上を中長期的に維持することを財務規律のガイドラインとしています。これにより、営業キャッシュ・フロー増加のため成長投資を推進する局面でも財務安定性を確保しています。なお、当連結会計年度末において、㈱日本格付研究所より「A(長期)、J-1(短期)」の信用格付を取得しております。
(資金需要)
当社グループの資金需要のうち主なものは、事業運営に必要な設備資金や運転資金です。また、企業価値向上の源泉となる営業活動によるキャッシュ・フローの増加を支える成長投資管理は、住友理工グループ投資採算基準と、投資後の事業環境変化への迅速な対応の仕組み及び財務規律ガイドラインにより実施しています。
(資金調達)
当社グループの必要資金については、自己資金の充当及び金融機関からの借入や社債発行等により、調達しております。なお、突発的な資金需要の発生や市場の流動性が著しく低下したときなどの緊急的な事態に備えてコミットメントラインを設定しております。
なお、新型コロナウイルス感染症影響の長期化リスクを踏まえ、コマーシャル・ペーパー調達枠を確保して必要資金の調達を行っております。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因や当該事項への対応については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「売上高」、「事業利益」、「営業利益」、「営業利益率」、「ROA(総資産営業利益率)」、「ROE(親会社所有者帰属持分利益率)」を重要な指標として位置付けております。2018年5月24日公表の中期経営ビジョン「2022年 住友理工グループVision」においては、2022年度の目標として、売上高530,000百万円、事業利益25,000百万円、営業利益25,000百万円、営業利益率5%、ROA6%、ROE7%をそれぞれ掲げております。
当連結会計年度は、経済活動の回復があったものの、資材価格の高騰、輸送費高騰の影響を受けたことから、売上高445,985百万円、事業利益6,467百万円、営業利益1,110百万円となりました。
中期経営ビジョンにおける目標達成に向けて、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」に記載の施策に取り組んでいきます。
該当事項はありません。
当社グループは、事業を取り巻く環境がダイナミックに変化する中、将来に向けて持続的に成長・発展するために新事業の創出が不可欠であることから、当社グループのコア技術である高分子材料技術と総合評価技術をベースに外部技術との融合・協業を促進し、スピーディーな新技術の創出とタイムリーな商品開発を目指しています。
研究開発にあたっては、新機能・高品質の材料設計開発を担う材料技術統括部と、当社グループのコア技術の深化、データサイエンス、シミュレーション技術開発を担う基盤材料開発研究所、そして材料の分析や試作試験を担当する評価試験部で進めています。
また各事業部門では、「自動車(モビリティ)」「エレクトロニクス」「インフラ・住環境」「ヘルスケア」に該当する新製品・改良品の研究開発を実施しているほか、2020年4月には品種別に分かれていた開発センターなどを統合した、「新商品開発センター」を設置しました。開発テーマの選択と集中を実施しつつ、開発のスピードアップと早期事業化を図ります。
さらに、新製品の開発と市場開拓を急ぐ中で、親会社である住友電気工業株式会社との連携を強化し、シナジーを創出できるよう進めていきます。
なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は
セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。
① 自動車用品
自動車(モビリティ)分野においては、CASEといった技術革新への迅速な対応にとどまらず、環境問題をはじめとする社会課題解決への積極的な関与が求められています。「防振」「自動車用ホース」「ウレタン」の3事業本部とファインエラストマー事業部では、顧客ニーズに対応した製品やCASEに関する技術などについて、研究開発・技術確立を進めています。
新商品開発センターでは、圧力の検知により、呼吸や心拍などの生体情報(バイタルデータ)を測定することが可能な当社独自開発の「スマートラバー(SR)センサ」を応用し、SRセンサを座席に設置する「モニライフ・モビリティ(ドライバーモニタリングシステム)」を開発中です。上市を見据え、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)と「住友理工-産総研 先進高分子デバイス連携研究室」を2020年10月に設立し、実証実験を継続しています。2021年10月には、産総研と共同でテストコース(茨城県つくば市)を整備し、両者の知見を生かしながら、新たな技術・製品の開発を加速させていきます。また、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)向けの基幹部品についても、次世代車種を見据えた研究開発を継続実施しております。EVで注目される熱マネジメントへの対応製品においては、車室内の断熱効果を高める薄膜高断熱材「ファインシュライト®」を2020年9月に発売。省エネや環境負荷低減に貢献できる製品で、さらなる技術開発を進めています。他にも、EV用の電池やモーターをはじめとする部品の熱マネジメントへの対応として、冷却系ホースや電池用断熱材などの開発にも着手しています。
親会社の住友電気工業㈱とは、同社の主力製品であるワイヤーハーネスと、当社の制遮音品や内装品、ホースなどの製品とを組み合わせたシステムの提案に向けて、さらなる協業体制の構築を目指していきます。
当連結会計年度における自動車用品に係る研究開発費は、
② 一般産業用品
エレクトロニクス分野においては、環境面で注目される水現像フレキソ版材や、高機能、高精度部品の材料開発を積極的に進めています。インフラ・住環境分野では、鉄道車両用防振ゴム・高圧ホース等のコア技術の強化・再構築を図るとともに、住宅市場でのさらなる事業展開を継続し、事業体質の強化・新規事業の創出を図っています。ヘルスケア分野では、SRセンサを応用した「モニライフシリーズ」の展開を進めています。ホテル宿泊者の睡眠状態を「見える化」するとともに、ルームマネジメントシステムと連携させて、照明や空調の自動制御を行い、質の高い睡眠環境の提供や効率的な客室運用に活用する実証実験などに参画しています。
また、2015年12月に九州大学および糸島市(福岡県)との間で3者協定を締結し、フレイル予防に関する研究を進めてきました。この成果をもとに、小牧本社・製作所がある愛知県小牧市においても、小牧市と協定を締結のうえ、フレイル予防を推進しています。医療機関や研究開発機関、介護施設や企業などへの当社製品・サービスの提供を通じて、ヘルスケア分野での新たな製品開発につなげ、人々の暮らしへのさらなる貢献を目指していきます。一方、「ファインシュライト®」は、その断熱性能が認められ、自動車に先んじてフードデリバリー専用の温熱シートやコロナワクチンの定温輸送用ボックスにも採用されており、その他用途でも協業できるように展開・拡販を進めています。
当連結会計年度における一般産業用品に係る研究開発費は、
※「フレイル」とは、加齢とともに身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態のこと。