第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

(1) 経営方針・経営戦略等

当社グループは2029年に創立100周年を迎えます。次の100年も社会から選ばれ続ける企業であるために、「2029年 住友理工グループVision」(2029V)および、3ヶ年の事業計画として「2025年 住友理工グループ中期経営計画」(2025P)を策定し、2023年5月30日に公表しました。

 

2029Vで定めている通り、当社グループは住友事業精神を根幹として、「素材の力を引き出し、社会の快適をモノづくりで支える」というパーパスのもと、コアコンピタンスである「高分子材料技術」「総合評価技術」を磨き続け、グループ内だけではなく、外部との共創による既存事業領域の深化と融合分野の事業探索によって、2029年のありたい姿「理工のチカラを起点に、社会課題の解決に向けてソリューションを提供し続ける、リーディングカンパニー」への変革を目指します。

 

2029年 住友理工グループVision

住友事業精神

萬事入精・信用確実・不趨浮利

目指すべき企業像

Global Excellent Manufacturing Company

存在意義
(パーパス)

素材の力を引き出し、社会の快適をモノづくりで支える

2029年のありたい姿

理工のチカラを起点に、社会課題の解決に向けてソリューションを提供し続ける、リーディングカンパニー

ありたい姿実現に
向けた3つの方向性
とマテリアリティ

未来を開拓する人・仲間づくり

個々の成長を促す、育成機会の提供と働きがい溢れる企業風土の醸成
社内外のパートナーシップによる共創の推進

柔軟かつ強固な組織づくり

気候変動・自然資本に配慮した事業活動
環境変化に柔軟に対応できる経営基盤への変革

持続可能な社会に向けた価値づくり

次世代モビリティ進化への対応と環境配慮型製品の提供
安全・快適の提供拡大に向けた技術の進化・融合

企業価値
(財務目標)

連結売上高

7,000億円規模

ROIC(投下資本事業利益率※1)

10%以上

ROE(親会社所有者帰属持分利益率※2)

10%以上

公益価値
(非財務目標)
※代表例

エンゲージメント

経営理念やビジョンへの共感を高め、従業員と会社がお互いに選び・選ばれる、自律的な関係構築

ダイバーシティ&インクルージョン

多様な人材が安心して働き、新たな価値を創造

コンプライアンス

サプライチェーンを含めた、グループ・グローバルでの法令・企業倫理の遵守徹底

人材育成

高い志を持ち、未来を切り拓く自律型人材の育成

地球環境保全

CO2排出量削減(2018年度比) Scope1+2  -30%

               Scope3      -15%

 

※1 投下資本事業利益率(ROIC)=事業利益/(純資産+有利子負債)

※2 親会社所有者帰属持分利益率(ROE)=親会社の所有者に帰属する当期利益/自己資本

 

2025Pについては、2029Vからのバックキャストによって、「未来を開拓する人・仲間づくり」「柔軟かつ強固な組織づくり」「持続可能な社会に向けた価値づくり」という、ありたい姿実現に向けた3つの方向性への取り組みを強化していきます。そして、「さらなる収益力向上と持続的成長に向けた経営基盤強化」のテーマのもと、目標達成に向けて取り組みます。

現在の事業セグメントを強化・伸長させるとともに、イノベーションや共創によるさらなる成長を目指すことで、2025年度の最終目標として、売上高6,200億円、事業利益280億円、ROIC8%以上、ROE8%以上、配当性向30%以上を掲げております。

 

2025年 住友理工グループ中期経営計画(2025P)

テーマ

さらなる収益力向上と持続的成長に向けた経営基盤強化

企業価値
(財務目標)

連結売上高

6,200億円

事業利益

280億円

ROIC(投下資本事業利益率)

8%以上

ROE(親会社所有者帰属持分利益率)

8%以上

配当性向

30%以上

投資額(3ヶ年累計)

研究開発費 550億円

設備投資額 900億円

公益価値
(非財務目標)
※代表例

エンゲージメント

グローバル幹部への理念教育および全従業員への理念・ビジョン周知活動推進

人材育成

研修プログラムの拡充(3ヶ年累計)

・経営幹部研修 参加者 100人

・DX コア人材※3の育成 200人

・DX データ分析人材※4の育成 700人

地球環境保全

CO2排出量削減(2018年度比) Scope1+2  -20%

廃棄物の削減(2022年度原単位比)     -3%

 

※3 DXコア人材:自部門でIoT・AI活用の企画から実用導入に主導的に取り組む人材

※4 DXデータ分析人材:自部門でIoT・AI など専門的ITツールを業務に使用する人材

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループを取り巻く環境は、サステナブルな社会実現に向けた世界的な潮流や「CASE」といった自動車業界の大変革に加え、足元では緊迫したウクライナ情勢の長期化、原燃料価格高騰、サプライチェーンの混乱といった影響により、先行きが依然不透明な中ではありますが、コロナ禍からの経済活動の回復基調は継続すると見ております。

このような中、当社グループは2029Vで定めたパーパスである「素材の力を引き出し、社会の快適をモノづくりで支える」に沿って、社会課題解決に貢献してまいります。また、2029Vのありたい姿実現に向けた方向性「未来を開拓する人・仲間づくり」「柔軟かつ強固な組織づくり」「持続可能な社会に向けた価値づくり」に合わせて、2025Pでは「さらなる収益力向上と持続的成長に向けた経営基盤強化」をテーマに、より具体的な活動方針に落とし込み、事業活動を進展させます。さらに、新製品の開発と市場開拓を急ぐ中で、親会社である住友電気工業株式会社との連携を強化し、これまで以上にシナジーを創出できるように進めてまいります。

 

〔自動車用品部門〕

自動車業界においては、技術革新の波が進行し、企業はこれらへの迅速な対応にとどまらず、カーボンニュートラルに象徴されるような社会課題解決への積極的な関与が求められています。

当社グループにおいては、創業以来培ってきたコアコンピタンス「高分子材料技術」「総合評価技術」をもとに、これからの自動車(モビリティ)に新たな価値を提供する製品の創出と開発を進めています。

現在、新商品開発センターが主体となって、CASEにおける「A:Autonomous(自動運転)」「E:Electric(電動化)」2領域の新製品開発に注力しています。

当社のコア技術より生まれた薄膜高断熱材「ファインシュライト®」は、電気自動車(EV)のネックとされる電費・航続距離問題・電池の安全性向上などといった、様々な課題解決に寄与すると考えています。

防振ゴム事業については、EV時代においても、モーターマウントやeAxleマウントといった製品へと進化し、日系自動車メーカーのみならず、海外自動車メーカーでの受注も進んでいます。自動車用ホース事業については、EV用の電池やモーターをはじめとする部品の熱マネジメントのニーズが高まっており、当社の流体搬送技術を生かした冷却系ホースなどの開発にも注力しています。また、各国の環境規制に対応した、ガソリン蒸散の低減に寄与する環境規制対応の燃料ホースやバイオ燃料用の燃料ホースなどは引き続き好調で、拡販を継続しています。

水素社会の実現に向けては、燃料電池自動車(FCV)向けの基幹部品を供給しており、トヨタ自動車株式会社の新型MIRAIにも当社製品が継続採用されています。

 

当社グループにおける、米州の業績低迷については、早急に対処すべき経営課題として認識しています。中でも米国拠点では、グローバル競争の激化や人手不足から生産性が低下してきました。ローカル人材の育成や工程改善によるロス低減に継続して取り組みつつ、米国拠点からメキシコへの生産移管なども含め、収益性の改善に着手しています。

依然として自動車生産動向が不透明な状況が続いていますが、これまで進めてきた体質強化の成果が表れ始めました。今後も間接費などの低減を継続するとともに、需要回復期にも対応できるよう、より一層最適な生産体制の構築に取り組んでまいります。

 

〔一般産業用品部門・新規事業部門〕

当社グループは、主力事業の「自動車(モビリティ)」分野に加えて、「インフラ・住環境」「エレクトロニクス」「ヘルスケア」といった、社会環境基盤の構築に不可欠な分野へも事業展開しています。

一般産業用品部門のうち、インフラ分野では、グローバルでの需要回復を背景に高圧ホースの売上が好調で、需要を見極めながらグローバル拡販を進めます。また、免震ゴムについても、東海圏での需要増に対応して製品を供給しており、高速道路の拡張や延長などに合わせて対応します。エレクトロニクス分野では、市場の成熟や働き方の変化による事務機器の需要変動に柔軟に対応することで、収益力を高められる体制への取り組みを実施します。

新規事業部門では、社会の要請に応えられるよう投資すべき重点事業分野を見極め、事業基盤の強化を図っていきます。特に、2029Vに沿って、当社グループの技術領域の融合を進め、他社との共創や新領域への挑戦をより一層強化し、新たな収益の柱となる事業を見出していきます。すでに、培養肉や再生医療といった分野への挑戦を、積極的に進めています。

「ファインシュライト」は、その高いレベルでの保温・保冷機能から、食品や医薬品などの定温輸送に活用されており、新事業展開に向けた協業先探索を継続していきます。また、ファインシュライトを工場設備に取り付けることで、熱効率が向上し省エネにつながったという実証結果も得られており、カーボンニュートラルを目指す社会ニーズにマッチし、採用が進んでいます。

これら以外にも、サーキュラーエコノミーへの取り組みとして、ランザテック社との協業も始まっています。製品を供給するだけではなく、廃棄物の回収・再利用といった循環型社会の実現を目指して、長期的な目線をもって取り組んでいます。

私たちはこれまで、モノづくり企業として90年以上にわたって培ってきたコアコンピタンスを軸に、住友事業精神が謳う「萬事入精(ばんじにっせい)」「信用確実」「不趨浮利(ふすうふり)」を忠実に守りながら、「安全・環境・コンプライアンス・品質(S.E.C.Q.)」の取り組みを積み重ねてきました。これからも世界中で必要とされる“Global Excellent Manufacturing Company”への成長を目指して、創立100周年に向け、着実な歩みを続けていきます。

株主の皆様におかれましては、今後とも一層のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。

(1)気候変動への取り組みとTCFDへの対応

当社グループは企業行動憲章において、「地球環境問題への取り組みは人類共通の課題であり、企業の存在と活動に必須の要件であることを認識し、主体的に行動する」と定めているように、社会に貢献する活動を実践する精神のもと地球環境保全に貢献し、持続可能な社会の構築を目指しています。

また、当社グループは、経営理念においても、「地球環境に配慮し、よりよい社会環境づくりに貢献すること」と定めています。中でも、気候変動への取組みは重要な経営課題の1つと認識しており、2022年6月 にTCFDの提言への賛同を表明しました。その提言に基づき、「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の観点から、積極的な情報開示を進めるとともに、具体的な施策を通じて、企業価値の向上に努めています。

環境も安全・品質と同様に創り上げていくものであり、従業員が自分ごととして捉え取り組んでいくような企業にしていきます。そして、自分の家族や子供、子孫が安心に暮らしていける、安全な住みやすい地球環境創りに貢献してまいります。

 

①ガバナンス

当社グループでは、気候変動を重要な経営課題の一つとして位置づけ、「社会的価値の創造」に向けた活動を推進しています。

 

気候変動を含めたサステナビリティ関連の社会課題については、社長が委員長、役付執行役員らが委員を務める「CSR ・サステナビリティ委員会」で活動方針の承認や、活動推進状況のチェックおよびフォローを行います。CSR・サステナビリティ委員会で検討した内容等は、年2回以上取締役会で報告し指示を受けるなど、取締役会による適切な監督体制を整えています。

 

2022年3月に脱炭素の取り組みを加速させるべく、カーボンニュートラル推進室を設置しました。「エネルギーマネジメント」「新技術開発」「新エネルギー転換」などをテーマに、カーボンニュートラル実現に向けた施策を推進しています。

 

(CSR・サステナビリティ委員会の概要)

委員

委員長:代表取締役 執行役員社長
委員:社外取締役、常務執行役員、所管部門長等

事務局

経営企画部

開催頻度

会議開催:2回/年

取締役会報告:2回/年

主な議題

気候変動に関する中長期目標の設定・進捗のモニタリング、カーボンニュートラル推進体制の構築、並びに「環境」「安全衛生」「社会貢献」「ダイバーシティと人権」「サプライチェーン」等をテーマに審議を実施

推進体制

カーボンニュートラル推進室を生産機能本部直下に設置 (2022年3月)

 

 

②戦略

a. シナリオ分析

当社グループでは、気候変動が事業にもたらすさまざまなリスクと機会について具体的に把握するために、 シナリオ分析を実施しました。シナリオ分析は、当社グループの主要な事業である自動車用品事業(売上高の約89%を占める)と研究開発部門を対象に、2030年の時間軸にて、移行面で影響が顕在化する「カーボンニュートラルな世界」に向かうシナリオ(1.5℃シナリオ)と、物理面で影響が顕在化する「悲劇の世界」に向かうシナリオ(4℃シナリオ)の2つにより、実施しています。

 

(参考)参照した主なシナリオ

カーボンニュートラルな世界
(1.5℃シナリオ)

IEA WEO 2022:NZE2050
IEA Global EV Outlook 2022:NZE2050/APS
IPCC AR6:NZE2050

悲劇の世界
(4℃シナリオ)

IPCC AR6:SSP3-7.0
WRI Aqueduct Water Risk Atlas 3.0:SSP3-8.5

 

IEA: International Energy Agency(国際エネルギー機関)  

WEO: World Energy Outlook

NZE2050: Net Zero Emissions by 2050

APS: Announced Pledges Scenario

IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)

AR6: 6th Assessment Report(第6次評価報告書) 

WRI: World Resources Institute(世界資源研究所)

SSP: Shared Socio-economic Pathways(共通社会経済経路)

 

b. リスク・機会の特定、分析

TCFD提言の視点や、当社グループの企業行動憲章・マテリアリティ(「人権の尊重」「コンプライアンス」を基盤とし「安全」「環境」「品質」「社会貢献」を重点分野としている)等を記載しながら、シナリオ分析の結果、下記のリスク・機会を特定し、影響度を分析するとともに、対応策を検討しました。

移行リスク・機会

項目

リスク

機会

影響度

顕在期間

対応策

政府/規制

GHG規制強化

炭素税

・対応コスト増による収益低下

・規制対応による顧客選好

・生産工程改善によるコスト減少

中期

・太陽光発電等、再エネ導入の検討と推進

・生産活動における

省エネの推進

市場/評価

サプライチェーン

・天然ゴムの

供給減少、価格高騰

・自然資本依存への懸念増加

・持続可能な

天然ゴム調達や資源代替による顧客選好

短~長期

・環境に配慮した材料の開発

・リサイクル可能な製品の設計

顧客

・急激なEV化による既存製品の売上減少

・脱炭素ニーズに対応しきれず売上減少

・EV化対応、低燃費対応で売上増加

・脱炭素に貢献する製品で売上増加

短~長期

・振動制御技術や高分子材料技術の進化による既存事業のEV対応

・環境配慮型製品の訴求販売拡大

技術

次世代技術普及

・既存技術の付加価値低下

・低炭素、脱炭素製品の開発・普及による売上増加

中~長期

・CASEにおける「Autonomous」 「Electric」領域を軸に新製品開発を推進

 

 

物理的リスク

項目

リスク

影響度

顕在期間

対応策

急性

異常気象の激甚化

・災害による操業停止で売上減少

・設備投資やサプライチェーン強靭化等、事業継続対応強化によるコスト増

長期

・事業継続マネジメントによるレジリエンス強化

慢性

平均気温の上昇

・労務環境や材料保管環境等を保つためのエネルギー費用増

長期

・省エネの推進

 

※ 顕在期間 … 短期:3年以内、 中期:4~6年、 長期:10年以上

 

c. 戦略のレジリエンス

2030年の世界では、当初の主戦場である自動車市場は堅調に成長するとともに、1.5℃を目指して脱炭素に移行させる「カーボンニュートラルな世界」への動きがさらに進むと考えました。その際に顕現化するリスクは主として移行リスクであると考えており、規制強化への対応コスト増や原材料である天然ゴムの供給減少・価格高騰に加え、急激な電気自動車(EV)化等に対応しきれない場合に既存製品の売上減少といった影響が生じる可能性があります。

 

しかしながら、EV化を機会と捉え、従来以上の静粛性を有する「モーターマウント」など「振動制御技術」の進化を始め、EVにおいては、車内で発生した熱をいかに効率よく利用できるかが航続距離や性能に大きく影響するため、「流体制御技術」を活かしたEV向けホース製品(冷却系ホース)の開発や、EV駆動ユニットから発生する特有の音に対して高い防音性を発揮するウレタン材などコアコンピタンス「高分子材料技術」の進化、放熱と防音を両立するMIF(マグネティック・インダクション・フォーミング)技術の進化といった対応を進めています。これらにより、EV化がどれだけ進んでも、動力源の支持や操業安定性に寄与する防振ゴムの需要は変わらないと予測しています。

 

また、新製品として次世代モビリティに向けて、特に「CASE」における「Autonomous(自動運転)」「Electric(電動化)」領域を軸に、安全・快適・環境の側面から開発を加速しています。
  「Autonomous(自動運転)」に関しては、当社グループが独自開発した柔軟センサー「スマートラバー(SR)センサー」を応用した、ステアリングに内蔵してドライバーの状態推定を行うためのセンサーや乗員の状態を推定するモニタリングシステムなど、センシングテクノロジー等に取り組んでいます。「Electric(電動化)」に関しては、電気自動車(EV)向けの製品だけでなく、燃料電池自動車(FCV)向けの部品を手掛けており(水素ホース、FCセル用ガスケット等)、電動化に向けた幅広い事業機会に対応していきます。

なお、「悲劇の世界」に向かう場合(4℃シナリオ)は、主として物理的リスクが顕現化し、異常気象の激甚化等により、操業停止等の影響が生じる可能性があります。これに対し当社グループでは、グループ全体でのリスクの把握に努め、その分析・評価に基づき、対応すべきリスクの選別・対応方法を選択し、事業運営への影響の極小化に取り組むべくリスク管理委員会を設置しています。

 

③リスク管理

当社グループは、グループ全体のリスクを横断的に管理する体制として、社長を委員長とするリスク管理委員会を設置するとともに、同委員会の事務局機能を務めるリスク管理専任組織であるリスク管理室を設置しています。

「グループ危機ガイドライン」に基づき、国内外のグループ会社において毎年リスク調査を実施し、「重要なリスク」として認識・特定されたリスクを同委員会で共有し、グループ全体でのリスクの把握に努め、その分析・評価に基づき、対応すべき選別・対応方法を選択し、事業運営への影響の極小化に取り組んでいます。

気候変動関連リスクについても、全社リスクマネジメントの枠組みの中で管理を実施しています。

CSR・サステナビリティ委員会とも連携し、対応計画の策定や進捗状況のモニタリングに取り組んでいきます。

 

 

④指標と目標

当社グループでは、燃料の燃焼などによるCO2の直接排出「Scope1」、購入した電力等の使用に伴う間接排出「Scope2」といった当社グループ自身の事業活動による排出量だけでなく、原材料の調達や販売した製品の使用・廃棄による排出などサプライチェーン全体で発生する間接排出「Scope3」をGHGプロトコルに従って把握し、CO2排出削減活動に取り組むことが重要と認識し、目標を明確にして活動していきます。

 

項目

目標年

目標内容

実績
(2021年度)

2022年住友理工グループVision

2022年度

CO2排出原単位削減

(Scope1+2、2017年度比)

8%減

8.9%減

2025年住友理工グループ中期経営計画

2025年度

CO2排出量削減

(Scope1+2、2018年度比) 

20%減

Scope1+2

12.0%減

2029年住友理工グループVision

2029年度

CO2排出量削減

(Scope1+2、2018年度比)

30%減

(Scope3、2018年度比)

15%減

Scope3

8.1%減

2050年度

カーボンニュートラルの達成

 

※2022年度実績は当社ホームページ「CSR情報サイト」・統合報告書2023に掲載予定

 

なお、2029年度目標のCO2総排出量2018年度比30%減に対しては、(1)省・少エネ活動、生産性向上、(2)新技術開発(革新製法、新商品)、(3)事業構造改革、(4)再エネ・創エネ活用を四本柱とし、CO2排出削減推進人材の育成と共に取り組んでいきます。

 


省エネルギー活動や生産プロセス改善等を引き続き推進するとともに、当社グループではサプライチェーン全体でのCO2排出量のうちScope3が90.3%を占めることから、環境配慮型製品の提供や技術進化・新製品開発等を通じた排出量削減の取り組みを行っていきます。

 

 

(2)人的資本

①人的資本経営実現にむけた方針

当社グループでは、中長期的な企業価値の向上にむけて、『多様な人材の活躍推進』『人材育成』『働き方改革』を重点方針に、従業員のエンゲージメント向上を通じた人的資本経営の実現を目指しています。

(当社グループにおけるエンゲージメントの定義:働き手にとって組織目標の達成と自らの成長の方向性が一致し、「働きがい」「働きやすさ」を感じられる職場環境のなかで、組織や仕事に主体的に貢献する意欲・姿勢を表す概念)

 

②エンゲージメント向上にむけた施策

エンゲージメント向上にむけて、従業員の多様性、人格、個性を尊重し、活力溢れる企業風土を醸成するという経営理念のもと、従業員の人材育成や社内環境整備に関わる様々な取組を進めています。(図参照)

まずは当社グループのグローバルマザー工場である住友理工を中心に、人材育成や社内環境整備に繋がる各種取り組みを推進しており、今後、世界各地のグループ会社と連携を図り、地域の特性を反映しながらグローバルで活動を展開してまいります。

 

<図:エンゲージメント向上にむけた施策>


a. 採用

○ 採用の強化

当社では、候補者との相互理解の深化や機動的な人員補充を目指し、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用を開始するなど採用方法の多様化に注力しています。

 

○ 経験者採用

新しい視点や視野、そして、その先にあるイノベーションを期待し、当社でも経験者採用を通じて毎年一定数の社員を迎えています。

また、実績のある期間社員等の非正規社員に対して社員登用を進めるなど、その実務能力を十分に発揮し、即戦力・中核人材として活躍できる場を整えることもD&I推進の一環と捉えています。(2022年度社員登用実績 53名)

入社後は、その能力に応じてステップアップできるよう、新卒入社者との区別なく公平公正に評価・処遇を行っております。また、経験者採用によって入社した社員同士の連携を深めるためにも、入社式や懇親会といったコミュニケーションの場を設けています。さらに、「キャリア基礎教育」の実施や、役員交流会などの取組を行い、速やかな戦力化と定着強化に努めています。

 

○ 障がい者雇用の推進

当社では、各部門で障がい者の受入れを行っています。受入れに際しては、障害者職業生活相談員資格認定講習を受けた社員の確保と適正配置を行っています。また、障がいを持つ社員が、受入れ職場の支援や理解を得つつ、適性に見合った業務遂行ができるように努めています。(2022年度 グループ障がい者雇用率2.6% 166名)

2013年11月には障がい者雇用促進と社会貢献を目的として、特例子会社「住理工ジョイフル」を設立しました。同社の業務内容は、社内メール便の集配、書庫管理、印刷、書類の電子データ化、清掃業務など年々拡大し、ジョブコーチの支援も受けながら社員それぞれが個性を生かして就労しています。また、2023年3月時点で同社より、住友理工グローバル本社に2名、小牧製作所へ3名が出向し、共に業務を進めています。

なお、長年、特例子会社と共に法定雇用率の達成及び障がい者雇用推進の実績が認められ、2020年度障害者雇用優良企業独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構理事努力賞を受賞しました。

今後もそれぞれが対応できる業務や活躍できる機会を増やせるよう、障がい者の積極的な雇用確保を推進していきます。

 

○ 外国人社員の登用

当社の海外子会社の社長については、ローカル人材の登用比率をモニタリングしており、子会社運営の自律化を目指しています。(2022年度 ローカル人材登用の海外子会社 12社 19.7%)

2019年度には住友電気工業株式会社主催の研修に海外子会社幹部が参加しました。また、2022年10月にはGMM(Global Manager Meeting)を開催するなど、本社経営幹部と海外子会社幹部の交流機会を設けるよう努めています。(2022年度 GMM海外子会社幹部参加者 45名)

 

b. 教育

○ 全社教育体系整備

当社の人材育成は、「人材育成に優る事業戦略なし」との考え方のもと、グループの従業員に相応しい人格と知識を持ち、グローバルに活躍できる人材の育成を目指しています。その実現にむけ、様々な学習機会を提供しています。従業員の各キャリアステージで求められる知識やスキルを学習できる教育コンテンツの拡充を推進しています。次世代幹部候補者向けの選抜教育をはじめ、新任管理職向け研修、昇格者を対象とした階層別研修、中途入社者向けの基礎教育、入社3年目までの若手社員を対象とした若年層教育などを行っています。

これらの研修では、従業員が働く上での基本となる住友事業精神を振り返り、S.E.C.Q.(安全、環境、コンプライアンス、品質)への理解を深めます。また、マネジメントや、コミュニケーション、問題解決、キャリア構築、業務改善など、それぞれの立場で必要とされるビジネススキルや思考法なども学びます。住友事業精神は、従業員にとって全ての業務における拠り所であり判断基準です。2022年度は昇格者を対象に動画学習を実施しました。動画では、住友400年の歴史や、住友グループの成長に大きく寄与した先人たちの取組、そして住友グループが大切にしている理念について説明しています。

他にも、海外赴任者を対象としたグローバル人材育成プランの強化・拡充や、メンター及びOJTトレーナーを対象とした育成スキル習得のための指導員教育、「カーボンニュートラル」や「DX」、「D&I」などをテーマとした管理職向け講演会、自身のキャリアを考えるシニア人材に向けたライフプランセミナーなどの取組を行っています。

さらに、従業員の多様な学習ニーズに応える各種Eラーニングや、リスキリングにも繋がるITリテラシー教育動画の拡充も進めています。

 

c. 配置

○ キャリア形成支援

当社では、多様な個人が生き生きと働き、成長できる職場環境づくりの一環として、キャリア開発を推進しています。

個人のキャリア動機を知り、上司や関係者と共有する「キャリア対話」や、キャリア教育(開発)の活性化を目的としたキャリアマネジメント研修を実施しており、今後取組内容のさらなる拡充を目指しています。本取組を通じて、従業員のやりがいや働きがいの向上を図り、ひいては、業務品質や業務効率の改善、会社の業績に寄与することを期待しています。

また、ローテーション施策への活用のため、従業員が中長期のキャリアを申告する「自己申告制度」を導入しています。今後は申告内容をデータベース化し、適材適所の人材配置に取り組みます。

 

○ サクセッションプランの策定

経営人材の計画的な育成に向けて、2022年8月より全社人材会議を立ち上げました。

半年に一度、各部門の役員が一堂に会し、経営人材育成の進捗を共有・議論する場として運営しています。具体的には、全社の主要ポストについて後継者計画を策定し、各候補者のこれまでの経験を棚卸しすることで、今後の計画的な経験付与を検討するなどの取組を実施しています。

 

○ D&I推進

当社では、性別・国籍・採用ルート等に関係なく、誰もがやりがいを持って活躍できる企業風土の形成に取り組んでいます。

女性・外国人・中途採用者ともに、その属性によらず、能力・適性などを総合的に判断した採用、管理職への登用を行っています。

なお、女性については、従業員・管理職に占める割合に男女差があることを課題としてとらえているため、特に課題解決に努めています。2017年3月には女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業として、厚生労働大臣より「えるぼし認定」の2つ星を取得しています。

 

○ 女性活躍推進

当社の女性管理職比率は2022年度末時点で1.4%(8名)となりました。

そのため、女性管理職比率向上にむけて、現在、採用の強化や研修等の施策を行っています。

2021年度には女性社員向けのアンケートを実施し(315名回答)、本人のキャリア志向等の意識調査を行いました。その上で、女性社員のキャリアアップを目指した社内外のネットワーキング及びキャリアプラン研修等を実施しています。

 また、2023年度に女性の部下を持つ上司約600名を対象に動画コンテンツのリリースを予定しています。アンコンシャスバイアスやワークライフバランスをテーマに取り上げることで社内意識を高めていきます。

さらに、当社では、社外取締役、社外監査役として3名の女性を登用しています。今後も中長期的に女性社員が活躍できる環境整備に努めていきます。

 

区分

2020年度末

2021年度末

2022年度末

女性管理職比率

1.4%

1.4%

1.4%

 

※当社の管理職:基幹職1級、2級、3級、経営基幹職、理事

 

<住友電工グループ女性社員ネットワーキング「SWING」の実施>

(SWING : SEG(Sumitomo Electric Group) Women's Innovative Networking Group)

会社の枠を超え、住友電工グループ女性社員の相互研鑽の機会を提供し、ネットワーキングの構築を支援することにより、女性社員の育成、能力開発を図り、グループ各社の女性活躍推進をサポートすることを目的に活動しています。

2017年度より継続的に住友電工グループの女性社員が集まり、「SWING一般職(事務職)女性フォーラム」を開催しています。

2021年度は新たに女性総合職を対象とした「SWING総合職女性フォーラム」を開催しました。同フォーラムでは、女性の働き方に関して考える機会となるよう男性の参加を推奨するなど活動を強化しています。(2022年度参加者 64名 ※女性部下を持つ男性上司を含む)

 

<キャリア維持のための新制度導入>

当社では、女性のキャリア維持をサポートする制度として、配偶者の海外転勤等に帯同する場合において、1年以上3年以下の休職を認める「配偶者帯同休職制度」を2019年度より導入しました。

また、2022年度より職場の理解と赴任先での法制面の条件を満たす場合に限定して、配偶者の海外赴任に帯同した社員が、任地でリモートワークを継続する仕組みをトライアルで実施しています。

 

d. 職場環境

○ 働き方改革の推進

当社では、リモートワークなど新しい働き方を導入し、社員のワークスタイルに合わせた働き方が選択できる仕組みづくりによって、働きやすさや生産性向上を促進しています。

具体的には、Web会議の利用拡大やコアタイムなしフレックスタイム制度など、世界中の拠点との時差対応も含め、柔軟な働き方を促進しています。

○ 育児/介護と仕事との両立

当社では、育児休業、介護休業取得の促進はもちろんのこと、「在宅勤務制度」や「短時間フレックス制度」の導入、「短時間勤務制度」の対象拡大、無料で専門家へ直接相談できる介護相談窓口の設置等により、育児や介護がしやすい職場環境の整備を行っています。

2009年には地域に先駆けて事業所内託児所を設置し、常時約30名の児童が過ごしています。

こうした取組が評価され、2016年3月には子育てサポート企業として、厚生労働大臣より「くるみん認定」を取得しています

 


 (事業所内託児所「コアラぽっけ」外観)

 

<男性の育児休業取得率>

当社では、育児休業制度だけでなく、1才に満たない子供を養育している場合、最大で稼働日連続5日の休暇を取得することができる育児奨励休暇制度や、配偶者が出産する際に2日の休暇を取得することができる妻の出産休暇制度を導入しています。

2022年度の男性の育児休業取得率は21.3%ですが、育児奨励休暇、妻の出産休暇も含めた取得率は87.6%となりました。今後も男性の育児参画を支援、推進するような社内文化を育んでいきます。

 

区分

2020年度

2021年度

2022年度

男性の育児休業取得率

6.1%

8.0%

 21.3%※

男性の育児奨励休暇取得率

23.5%

31.0%

30.3%

男性の妻の出産休暇取得率

57.4%

47.1%

57.3%

育児休業等及び育児目的休暇取得率

73.0%

74.7%

 87.6%※

 

※2022年度は出生時育児休業(産後パパ育休)を含む

 

取得率算出定義

(分母)

原籍・勤務地が住友理工株式会社かつ直接雇用者(正社員及び非正規社員)で、対象年度に出生した子どもがいる男性

(分子)

原籍・勤務地が住友理工株式会社かつ直接雇用者(正社員及び非正規社員)で、対象年度に出生した子どもがいる男性のうち

・育児休業の取得率:育児休業もしくは出生時育児休業を取得した者

・育児休業等及び育児目的休暇取得率:育児休業もしくは出生時育児休業もしくは育児奨励休暇もしくは慶弔休暇(妻の出産)を取得した者

育児休業等及び育児目的休暇取得率は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における取得割合を算出したものであります。

 

<男性の育児休業取得率に係る子会社の状況>

開示対象子会社

2022年度

住友理工ホーステックス株式会社

100.0%

株式会社住理工大分AE

6.7%

住理工山形株式会社

83.0%

 

※開示対象子会社のみ掲載。育児目的休暇の利用を含む。

 

○ 長時間労働是正

当社では、36協定違反、長時間労働による健康被害ゼロを目指し、システムによる時間外労働時間の管理の徹底や、長時間労働が続く従業員への産業医面談による指導、正しい労働時間管理に関する教育を行っています。

○ 労働安全衛生の推進

「安全な組織づくり」「安全な職場づくり」「安全な人づくり」「交通安全」を労働安全衛生に関する重点実施項目と位置づけ、作業の観察や巡視、職場の整備点検や整理、安全に関する対話や交通安全教育等に取り組んでいます。

○ 健康経営の推進

「健康増進活動」「メンタルヘルス対策」「生活習慣病対策」を健康経営に関する重点実施項目としています。

「健康増進活動」では、業務開始時に行う健康体操や、健康関連の研修の実施に取り組んでいます。「メンタルヘルス対策」では、メンタルヘルスに関する研修の開催や、ストレスチェックを活用した職場単位での改善活動を実施しています。「生活習慣病対策」では、職場単位での減量と生活改善活動や、女性のがん予防、更年期障害等をテーマとした研修を行っています。

 当社の健康経営に関する取組が評価され、2017年より7年連続で経済産業省と日本健康会議が共同で進める「健康経営優良法人」に認定されています。

 

e. 評価

当社では「公正さ」と「納得性」を原則として、「コミュニケーションの活性化」「報酬基準の明確化」「制度の透明性」の3つを基本方針に評価制度を運用しています。

 

f. 処遇

○ 男女賃金格差の是正

男女の賃金の差異(男性の賃金に対する女性の賃金の割合)は、2022年度において正規労働者63.0%、非正規労働者77.7%、全ての労働者62.3%となりました。

賃金格差の一因として、男女の勤続年数の差異(男性:平均17年、女性:平均10年)が挙げられます。よって、女性が長く働ける環境作りの一環として、安心して継続就業できるよう、育児・介護支援措置を拡充するとともに、個人の成長を支え、職場内での悩みや問題解決を支援する社内メンター制度の導入を進めています。(男性社員も対象)また、女性社員の約半数が一般職(事務職)であることも格差の一因であると考え、総合職への職掌転換制度を活用しながらキャリア開発を支援していきます

 

 

区分

2022年度

正規労働者

63.0%

非正規労働者※

77.7%

全ての労働者

62.3%

 

※非正規労働者=シニア社員、嘱託社員、期間社員、有期社員、事務契約社員

 

<男女の賃金の差異に係る子会社の状況> 

開示対象子会社

区分

2022年度

住友理工ホーステックス株式会社

正規労働者

83.2%

非正規労働者

72.6%

全ての労働者

80.0%

東海化成工業株式会社

正規労働者

66.8%

非正規労働者

82.6%

全ての労働者

66.6%

 

※開示対象会社のみ掲載

 

<人材育成方針、社内環境整備方針に関連する目標と達成状況>

関連方針

項目

2022年度

備考

目標

実績

人材育成

採用

新卒採用数

49名

50名

経験者採用数

72名

50名

女性採用比率

30%以上

22%

障がい者雇用率

(対象:国内グループ会社)

2.5%

2.6%

国内グループ全体雇用数 166名

教育

企業理念教育実施率

(対象:全ての昇格者)

100%

99.1%

全受講者数748名

昇格者研修受講率

(対象:基幹職・総合職の昇格者)

100%

98.1%

全受講者数252名

配置

後継者指名率

100%

77%

グループ主要ポスト

117/152ポスト

女性管理職数

15名

8名

社内環境整備

働き方改革

ノー残業デー遵守率

(毎週水曜と給与支給日)

100%

81.3%

同一月内の振替実施を含む

有給休暇取得7日以上遵守率

(最低7日/年)

100%

98.6%

総労働時間

(一人当たり平均)

2022

時間/年

1999

時間/年

健康経営

喫煙率

25%未満

28.9%

運動習慣率

(1回30分程度を週2回以上、

1年以上実施)

30%

以上

24.4%

健康関連の研修受講者数

2,000名

以上/年

3,269名

/年

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のものがあります。本項における将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(政治経済情勢・需要変動等に係るリスク)

部品メーカーである当社グループの経営成績は、顧客である完成品メーカーの生産動向の影響を受けますが、特に売上高の8割以上を占める顧客である自動車メーカーの国内外での生産動向の影響を大きく受けます。中長期的には自動車メーカーを取り巻く環境の変化が当社製品の需要に影響を及ぼす可能性があります。

加えて、顧客ニーズの多様化、製品ライフサイクルの短期化、グローバル化の進展による競争構造の変化等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、海外売上高が連結売上高の約7割を占めており、海外の政治経済や社会情勢が経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(法律・規制の変更等によるリスク)

当社グループの事業は、国内外の法律・規制の変更等があった場合、その影響を完全に回避することができないため、経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。これらの要因としては、輸出入規制や関税率の引き上げ、各国の国内及び国際間取引に係る租税制度の変更、外貨規制などがあります。 

 

(訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに係るリスク)

当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、訴訟規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループが損害賠償請求を受け、罰金その他の制裁金を賦課され、又は事業の遂行に制約が課される可能性があります。当社グループは、これらの法的リスクを未然に防止し、また顕在化したリスクに適切に対応する体制の整備を進めていますが、かかる対応にもかかわらず、法的リスクが顕在化した場合には経営成績等への影響が及ぶ可能性があります。

また、当社は海外での事業展開や新事業への進出を積極的に進めており、一方、消費者等の権利意識の高まりや国内外における競争政策、贈賄防止、移転価格、消費者保護等の分野での規制当局の法執行が積極化していることから、国内外における集団訴訟や当局の調査に対し適切に対応するために要する費用により財務負担が増加する可能性があります。

 

(災害等のリスク)

当社グループは、地震、火災、落雷、破裂・爆発、風・雪・水災、航空機の墜落、伝染病の流行、テロその他の犯罪、内戦等により被災することにより直接・間接の損失を被る可能性があります。特に、当社グループの主要な生産・営業拠点が、東海及び東南海・南海地震の防災対策強化地域や首都直下型地震の地域に所在しているため、地震発生も想定した事業継続計画を策定するなどの対策を進めていますが、顧客、原材料等の供給元の被災、電力・情報通信・物流網等の復旧の状況等により、影響が長期化する可能性があります。

 

(新型コロナウイルス感染症拡大に伴うリスク)

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大及びそれに伴う経済活動、消費活動の停滞による市場環境のさらなる悪化、また、当社グループの事業活動に係る生産体制、物流体制、営業活動に支障が生じた場合や、人的被害が拡大した場合には、当社グループの業績に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

(資金調達に係るリスク)

当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を行っています。当社グループの資金調達は、設備投資を目的とした長期固定金利の社債発行や長期借入による調達を中心としています。そのため、金利の短期的な変動による影響は比較的受けにくいものの、金利が中長期的に上昇した場合は、社債等による資金調達コストを上昇させ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの借入金に係る金融機関との契約には、財務制限条項が付されているものがあります。当該財務制限条項に抵触した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(為替レートの変動によるリスク)

当社グループは、在外連結子会社及び在外持分法適用関連会社の個別財務諸表を主に現地通貨ベースで作成し、連結財務諸表の作成時に円換算しています。従って、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、円換算時の米国ドル、ユーロ等の為替レート変動が経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、中長期にわたる大幅な為替変動は、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(原材料等の調達に係るリスク)

当社グループの製品は、天然ゴム、合成ゴムや鋼材等を原材料として使用しています。これら原材料や副資材、燃料等の市況価格の急激な上昇等があった場合は、製品価格に適切に反映させることができず、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、原材料等の供給元の倒産や罹災により、必要量の調達が困難になる可能性があります。

 

(知的財産に係るリスク)

当社グループは、特許権、意匠権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図るとともに、他社の知的財産権に対しても注意を払っています。

しかしながら、新事業分野における製品開発の増加や海外での事業活動の拡大に伴う流通経路の複雑化等により、当社グループの製品が意図せず他社の知的財産権を侵害した場合に、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があり、その場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(保有資産の価値変動に伴うリスク)

当社グループは、様々な有形固定資産や無形資産を保有しております。こうした資産は、価値の下落や、期待通りのキャッシュフローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合があり、減損処理した場合、経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性に伴うリスク)

当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積もった上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性に疑義が生じた場合、もしくは税率の変更等を含む各国の税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果として、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(情報の流出によるリスク)

当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報や機密情報を有しています。これらの情報の秘密保持については必要な対策を講じていますが、不測の事態により、情報が漏洩する可能性があります。このような事態が生じた場合、事業戦略の遂行に支障が生じたり、損害拡大防止費用や損害賠償責任の負担が生じたりすることにより、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(情報システム・セキュリティに係るリスク)

当社グループが事業活動を行う上で、情報システム及び情報ネットワークは欠くことのできない基盤であり、構築・運用に当たっては十分なセキュリティの確保に努めていますが、ハッカーやコンピュータウイルスによる攻撃、不正使用やインフラ障害等により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(製品の欠陥によるリスク)

当社グループは、全社的な品質管理の体制を構築・運用することにより、製品の品質保持に万全の注意を払っていますが、予期せぬ事態により、大規模な市場回収や製造物責任による賠償費用等の負担が生じる可能性があります。

また、顧客との間での品質問題に関する交渉等のために要する費用の負担により、経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(人事・労務に係るリスク)

当社グループは、事業領域の拡大やグローバル化に対応するため、人材確保・人材育成に努めていますが、事業領域・規模の拡大や新規事業への投資等に伴いグループの人員が増加していることから、人材不足や人事・労務問題が生じた場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(新事業展開によるリスク)

当社グループは、「2029年 住友理工グループVision」で定めたありたい姿「理工のチカラを起点に、社会課題の解決に向けてソリューションを提供し続ける、リーディングカンパニー」に向けて、コアコンピタンスである「高分子材料技術」「総合評価技術」を軸に既存事業の強化と新規事業の展開を進めております。特に新規事業には既存事業と異なる事業リスクが存在するため、事業化の検討の各段階において必要に応じて外部専門家の意見も取り入れ、十分な調査に基づく慎重な判断を行うものとしています。

しかしながら、当社グループは新規事業分野での十分な事業経験を有していないことから、事業化の遅延やマーケティング手法の不備などの原因で投資回収の遅延や不能が生じ、経営成績等に影響を与える可能性があります。また、同様の理由から、既存事業と比べ、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続きに係るリスクが高まる可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。

 

(2) 経営成績

当連結会計年度における世界経済は、地域ごとで差はあるものの、総じて緩やかな景気回復が見られました。一方、供給制約に伴う需給逼迫や長期化するウクライナ情勢、金融市場の不安定化等を背景にインフレが高水準で進行するなど、依然として先行き不透明な状況が続いています。

当社グループの事業に関する業界については、主に自動車市場において需要回復の兆しが見られたものの、原燃料価格や輸送費、労務費などの高騰影響を受けました。

このような中、当社グループでは拠点の最適化など経営資源の選択と集中を進め、グローバルでのコスト管理や合理化による体質改善を推進するとともに、原燃料価格等の価格転嫁による収益力改善に取り組みました。また、持続的な成長に向けた投資戦略については、引き続き、足元の状況等を十分に検討したうえで事業戦略・投資採算基準に基づいた適時、適切な投資資源の配分を徹底してまいります。

当連結会計年度における連結業績については、売上高は541,010百万円(前期比21.3%増)、事業利益は17,870百万円(前期比176.3%増)、営業利益は16,560百万円(前期比14.9倍)、税引前当期利益は14,908百万円(前期比38.5倍)、親会社の所有者に帰属する当期利益は6,683百万円(前期は6,357百万円の親会社の所有者に帰属する当期損失)となりました。

 

※事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を含めて算出しております。

 

各セグメントの業績は、次のとおりです。

<自動車用品>

外部顧客への売上高は、中国を除く地域で主要顧客の生産台数が増加したことに加えて、円安の進行による為替換算の影響もあり、480,281百万円(前期比24.2%増)となりました。

事業利益は、販売数量増加や原燃料価格高騰分の一部価格転嫁などにより、14,774百万円(前期比633.6%増)となりました。

 

<一般産業用品>

外部顧客への売上高は、60,729百万円(前期比2.7%増)となりました。

プリンター向け機能部品や高圧ホースは、主要顧客の出荷台数減少等により、前期比で減収となりました。一方、インフラ分野における橋梁用ゴム支承の受注増加や、円安の進行による為替換算の影響もあり、一般産業用品全体では前期比で増収となりました。

事業利益は、主に出荷台数減少、原燃料価格高騰などの影響により、3,096百万円(前期比30.5%減)となりました。

 

 

事業セグメント別実績

(百万円、増減率%)

 

外部顧客への売上高

事業利益

 

 

日本

米州

アジア

欧州その他

合計

2021年度

 

 

 

自動車用品

111,538

97,277

133,919

44,109

386,843

2,014

一般産業用品

40,837

142

17,734

429

59,142

4,453

合計

152,375

97,419

151,653

44,538

445,985

6,467

2022年度

 

 

 

自動車用品

124,712

145,445

153,360

56,764

480,281

14,774

一般産業用品

42,537

236

17,415

541

60,729

3,096

合計

167,249

145,681

170,775

57,305

541,010

17,870

増減率

 

 

 

自動車用品

+11.8

+49.5

+14.5

+28.7

+24.2

633.6

一般産業用品

+4.2

+66.2

△1.8

+26.1

+2.7

△30.5

合計

+9.8

+49.5

+12.6

+28.7

+21.3

176.3

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注の状況については、セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
 至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

自動車用品(百万円)

480,281

24.2

一般産業用品(百万円)

60,729

2.7

合計(百万円)

541,010

21.3

 

(注) 1.セグメント間の取引17,625百万円については相殺消去しております。

   2.主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
  至 2023年3月31日)

金額

割合

金額

割合

トヨタ自動車㈱

百万円

50,593

11.3

百万円

58,824

10.9

 

 

(3) 財政状態

<資産>

資産合計は、420,008百万円(前連結会計年度末比11,728百万円増)となりました。

流動資産は225,116百万円(前連結会計年度末比12,659百万円増)となりました。これは、営業債権及びその他の債権が6,641百万円増加したことなどによるものです。

非流動資産は194,892百万円(前連結会計年度末比931百万円減)となりました。これは、有形固定資産が1,186百万円減少したことなどによるものです。

 

 

<負債>

負債合計は、230,342百万円(前連結会計年度末比1,092百万円増)となりました。これは、リース負債が640百万円増加したことなどによるものです。

 

<資本>

資本合計は、189,666百万円(前連結会計年度末比10,636百万円増)となりました。これは円安の進行により、その他の資本の構成要素に含まれる在外営業活動体の為替換算差額が4,882百万円増加したことなどによるものです。親会社所有者帰属持分比率は39.8%(前連結会計年度末は38.7%)となりました。

 

(4) キャッシュ・フロー

① キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況について、現金及び現金同等物は、営業活動により33,339百万円の増加、投資活動により25,512百万円の減少、財務活動により8,906百万円の減少、現金及び現金同等物に係る換算差額により2,098百万円の増加の結果、当連結会計年度末には29,494百万円となり、前連結会計年度末(28,475百万円)に比べ1,019百万円(3.6%)の増加となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は、前連結会計年度(14,149百万円)に比べ19,190百万円増加し、33,339百万円となりました。これは、税引前当期利益が14,521百万円増加したことなどによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、前連結会計年度(24,956百万円)に比べ556百万円増加し、25,512百万円となりました。これは、有形固定資産及び無形資産の売却による収入が1,182百万円減少したことなどによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は、前連結会計年度(6,937百万円の収入)に比べ15,843百万円減少し、8,906百万円の支出となりました。これは、短期借入金及びコマーシャルペーパーの純増減額が14,679百万円減少したことなどによるものです。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

(財務政策)

当社グループは、「2029年 住友理工グループVision」で設定したROIC、ROE等の目標達成のため、成長投資管理の強化に加え、運転資金を継続的に効率運用することにより資産回転率の向上を目指します。また、所有者帰属持分比率50%以上を中長期的に維持することを財務規律のガイドラインとしています。これにより、営業キャッシュ・フロー増加のため成長投資を推進する局面でも財務安定性を確保しています。なお、当連結会計年度末において、㈱日本格付研究所より「A(長期)、J-1(短期)」の信用格付を取得しております。

 

(資金需要)

当社グループの資金需要のうち主なものは、事業運営に必要な設備資金や運転資金です。また、企業価値向上の源泉となる営業活動によるキャッシュ・フローの増加を支える成長投資管理は、住友理工グループ投資採算基準と、投資後の事業環境変化への迅速な対応の仕組み及び財務規律ガイドラインにより実施しています。

 

(資金調達)

当社グループの必要資金については、自己資金の充当及び金融機関からの借入、コマーシャル・ペーパーや社債発行等により、調達しております。なお、突発的な資金需要の発生や市場の流動性が著しく低下したときなどの緊急的な事態に備えてコミットメントラインを設定しております。

 

 

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因や当該事項への対応については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

(6) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「売上高」、「事業利益」、「ROIC」、「ROE」、「配当性向」を重要な指標として位置付けております。2023年5月30日公表の中期経営ビジョン「2025年 住友理工グループ中期経営計画」においては、2025年度の目標として、売上高620,000百万円、事業利益28,000百万、ROIC8%以上、ROE8%以上、配当性向30%以上をそれぞれ掲げております。

当連結会計年度は、販売数量増加や原燃料価格高騰分の一部価格転嫁などにより、売上高541,010百万円、事業利益17,870百万円、営業利益16,560百万円となりました。
中期経営ビジョンにおける目標達成に向けて、「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等」に記載の施策に取り組んでいきます。
 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、事業を取り巻く環境がダイナミックに変化する中、将来に向けて持続的に成長・発展するために新事業の創出が不可欠であることから、当社グループのコア技術である高分子材料技術と総合評価技術をベースに技術領域の融合・協業を推進し、スピーディーな新技術の創出とタイムリーな商品開発を目指しています。

2023年5月末に発表した、「2029年 住友理工グループVision」に基づき、パーパスである「素材の力を引き出し、社会の快適をモノづくりで支える」に沿って、社会に価値を提供し続けてまいります。

研究開発にあたっては、主に、新機能・高品質の材料設計開発を担う材料技術統括部と、当社グループのコア技術の深化、シミュレーション等を活用したデータ駆動型開発の体制構築を担う基盤材料開発研究所で進めています。加えて、GX(グリーントランスフォーメーション)技術開発としてCN(カーボンニュートラル)につながる生産性革新材料開発や、CE(サーキュラーエコノミー)への取り組みとして、ランザテック社との協業が2022年から始まっており、廃棄物の回収・再利用といった循環型社会の実現を目指した長期的な目線をもって取り組んでいます。

また各事業部門では、「自動車(モビリティ)」「エレクトロニクス」「インフラ・住環境」「ヘルスケア」に該当する新製品の研究開発を実施しているほか、2020年4月には品種別に分かれていた開発センターなどを統合した「新商品開発センター」を設置しました。開発領域の選択と集中を実施しつつ、開発のスピードアップと早期事業化を図ります。

さらに、親会社である住友電気工業㈱との連携をより一層強化し、グループ全体での製品開発を進めていきます。

なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費の総額は14,377百万円であります。

 

セグメント別の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

① 自動車用品

自動車(モビリティ)分野においては、CASEといった技術革新への迅速な対応にとどまらず、サステナブル社会の実現に向けて、環境問題をはじめとする社会課題解決への積極的な関与が求められています。「防振」「自動車用ホース」「ウレタン」の3事業本部とファインエラストマー事業部では、OEMメーカーや最終ユーザーのニーズに対応した製品やCASEに関する技術などについて、研究開発・技術確立を進めています。

新商品開発センターでは、圧力の検知により、生体情報(心拍成分や呼吸成分などによるバイタルデータ)を推定することが可能な当社独自開発の「スマートラバー(SR)センサ」を応用し、SRセンサを座席に設置する「モニライフ・モビリティ(ドライバーモニタリングシステム)」を開発中です。上市を見据え、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)と「住友理工-産総研 先進高分子デバイス連携研究室」を2020年10月に設立し、テストコース(茨城県つくば市)を活用した実証実験を通し、両社の知見を生かしながら、新たな技術・製品の開発を加速させています。また、電気自動車(EV)や燃料電池自動車(FCV)向けの基幹部品についても、次世代車種を見据えた研究開発を継続実施しております。EVで注目される熱マネジメントへの対応製品においては、車室内の断熱効果を高める薄膜高断熱材「ファインシュライト®」を2020年9月に発売しました。省エネや環境負荷低減に貢献できる製品で、さらなる技術開発を進めています。他にも、EV用の電池をはじめとする部品の熱マネジメントへの対応として、冷却系ホースや電池用断熱材などの開発も進捗しています。

親会社の住友電気工業㈱とは、同社の主力製品であるワイヤーハーネスと、当社の制遮音品や内装品、ホースなどの製品とを組み合わせたシステムの提案等をはじめとして、さらなる協業体制の構築を目指していきます。

当連結会計年度における自動車用品に係る研究開発費は、12,577百万円であります。

 

② 一般産業用品

エレクトロニクス分野においては、環境面で注目される水現像フレキソ版材や、高機能、高精度部品の材料開発を進めています。インフラ・住環境分野では、鉄道車両用防振ゴム・高圧ホース等のコア技術の強化・再構築を図るとともに、住宅市場でのさらなる事業展開を継続し、事業体質の強化・新規事業の創出を図っています。ヘルスケア分野では、SRセンサを応用した「モニライフシリーズ」の展開を進めています。ホテル宿泊者の睡眠状態を「見える化」するとともに、ルームマネジメントシステムと連携させて、照明や空調の自動制御を行い、質の高い睡眠環境の提供や効率的な客室運用に活用する実証実験などに参画しています。

また、2015年12月に九州大学および糸島市(福岡県)との間で3者協定を締結し、フレイル*予防に関する研究を進めてきました。この成果をもとに、小牧本社・製作所がある愛知県小牧市においても、2021年1月に小牧市と協定を締結のうえ、フレイル予防を推進しています。医療機関や研究開発機関、介護施設や企業などへの当社製品・サービスの提供を通じて、ヘルスケア分野での新たな製品開発につなげ、人々の暮らしへのさらなる貢献を目指していきます。一方、「ファインシュライト®」は、その断熱性能が認められ、2022年愛知発明賞を受賞し、自動車に先んじてフードデリバリー専用の温熱シートやコロナワクチンの定温輸送用ボックスにも採用されており、その他用途でも協業できるように展開・拡販を進めています。

このほか、インテグリカルチャー㈱が主宰する細胞農業オープンイノベーションプラットホームに参画したり、㈱ギンレイラボと共同で動物実験代替ツールである生体模倣システムを開発したりと、新たな事業共創に向けて積極的に取り組んでいます。

当連結会計年度における一般産業用品に係る研究開発費は、1,800百万円であります。

※「フレイル」とは、加齢とともに身体機能や認知機能が低下して虚弱となった状態のこと。